CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】板上に咲く

2024-07-15 20:57:58 | 読書感想文とか読み物レビウー
板上に咲く  作:原田マハ

リーチ先生に続いて、民藝の方面のお話
世界のムナカタこと、棟方志功と、その妻のお話でありました
例によってといったら失礼かもしれないが、事実と空想がごたまぜになっているはずなので、
どこが本当で、どこが創作なのか、さっぱりわからんまま読んだけど
凄くいい話しで、しかも、民藝とこれほど繋がりがあるとわと
感激したのでありました

個人的な興味としては、棟方先生のところへ、
私が敬愛する加藤卓男氏が訪れたことがあったはずなので、
そんな話しでも出てこないかなと淡く期待したんだが
まぁ、氏の作品に影響を与えたよりも、与えられた方が多かった話しのはずなので
出てくるはずもなく、ちょっぴり寂しかったのであるが
そんなものは余談である、もっとも、柳先生などとの出会いが
描かれなかった様々な人たちとの出会いを導いていたのだろうし、
そういう話しをすべて、柳先生たちとのあれこれに集約したともとれるので
棟方という人の芸術家、美術家としての歴史は
とても細やかに書かれていたのではなかろうかと、楽しんだのでありました

眼が悪かったという話しは、正直知らなかったので
なるほどと感心したわけだけども、それがあってこその、
あの版画のそれこれが出来上がったかと思えば、芸術というのは何が要素となるか
まるでわからんものだなと、改めて思い知らされるばかり、
ようは情熱が、内にある芸術がどれほどかというのが、
すべてを決めているのかもしれないなんて思わされるくらいでありました
その情熱の加減が、物語としてほどよく苦難と成功に彩られていて
本当はもっと悲惨であったり、成功も苦かったりといったことがあったろうけど
物語としてすごくよい塩梅になってて、読んでいて気分よく進められるのがよかった

途中でひょっとしたらと、様々な悲しい出来事の予感的なものがあったけども、
それらもうまく、悲しくならないように仕上がっていて、安心して読めたのも大変よかった
はらはらしながら、それでいてというのが、年を食ったのか
これくらいの起伏がちょうどいいとか思うのである

とはいえ、挫折といえる、柳先生に大作を認められなかった瞬間だとか、
その逆だったりとか、そういうものへの情熱の閃光みたいなものが
文章から伝わってくるようで、とても楽しく読めた一冊でありました

日本における民藝というものへの理解も深まるようでもあり
個人的に凄くためになった本である


最新の画像もっと見る

コメントを投稿