CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】レペゼン母

2023-04-26 20:55:38 | 読書感想文とか読み物レビウー
レペゼン母  作:宇野碧

期待以上に楽しめた小説でした
お母さんがラップをやりだす、そしてタイトルがこれという
この見事なキャッチーさに、期待と不安を交えながら読んだんだが
思った以上にしっかりと小説していて、まさにレペゼンする、される母という題材になってて
大変よかったと思うのでありました

正直ラップ部分がどれくらいクオリティとして優れているというか、
会場が沸くほどなのかは、まったく理解できなかったというか、
その素養がないので、やきもきしてしまったんだが、
物語として、ここで盛り上がるというのは自然で、
むしろそうであって、そのフローがバイブスがとか
なんとか言いたくなるような感じで、ただの農家のおばちゃん、いや、おばあちゃんの物語なのに
すごく人間を描いていてよかったと思うのでありました
いつだって、根元には怒りとか、そういう感情があって
その発露がラップだったり、なんだったりするんだろうと
改めて腑に落ちるといっても過言ではない納得感があったわ

梅農家という、これまた大変な生き方と、
そのコミュニティでの成功と辛さというのもよくよくわかる丁寧な内容で、
そこにずっと年の離れた若い嫁とかかわることから、
ラップに近づいていくというのが面白さのかかりなんだけども、
そこからあれよあれよと、ラップバトルに参戦するあたりは
どうなってんだと思いつつも、小説としてすごく盛り上がりがスムースでよかった
実際だったら、多分どっちらけというか、
いやいや、そういう人がいてもいいけど、それをクールと呼ぶにはなんとかと
それこそ、場の空気で勝敗が決まるような、極めて危なげな競技会で
危険極まりないだろうなと思ってしまうんだが
そこが小説のよいところで、盛り上がったように読めて納得できるのがよかった

最終的なバトル部分については、もはや親子の対話でしかなかったので、
もうちょっとラップバトルっぽい節回しみたいなのだったら、
なおよかったなとない物ねだりをしてしまったんだが、
実際はラップになってんだろうか、観たことないから読み方わからずに
とりあえず韻踏んでるようには見えないなと思ったりしてたのである

ともあれ、母と息子の物語というのが、60代と30代の親子というあたりが
今なんだろうなと思わされつつ、大変楽しく読み終えたのでありました
気持ちよく終わる話はとてもよいですね