CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】名探偵のままでいて

2023-04-19 20:55:51 | 読書感想文とか読み物レビウー
名探偵のままでいて  作:小西マサテル

このミス大賞受賞作品でありました
レビー小体型認知症というものを患う祖父が、安楽椅子探偵のように、
時折意識がはっきりした瞬間に謎を解決といった感じで、
それが、謎を見たときにはっきりするといった感じでもあったりと
まぁ、なんというか、頼もしい探偵役で、
聞いた話だけで、おおよその概要をつかんで、ことの矛盾点を指摘し、
見事解き明かすといった感じなのでありました
少々やりすぎというか、できすぎだなと思ったのは、
叙述トリックめいた話も、聞いただけでわかってしまうとか、
もはやどういう認知構造してんだと思わなくもないんだが
案外、ミステリ好きって、そういうものなのかと
衝撃を受けたのでありました
文字に書いてあってもわからないのに、なんで聞いた話でわかるんだ…

さておき、そんなことはどうでもよろしく、
小学校の先生をしている孫娘が主人公というか、狂言回しをするんだけども、
その学校や、勤める教師の謎を解き明かすといった感じで、
人が消えたり、殺人事件も起きたり、結構物騒なんだけども、
その学校もまた、もともとおじいさんが校長先生を務めていたところなので、
それを生かして、地の利のある話になってたりもするのが、
結構説得力というか、辻褄があってる気がして(こういうセリフが多い)
よいなぁと思ったのであります

はっきりとミステリとしていて、ことに矛盾がないかどうか、
それによって紡がれた物語が真実であるというのが明確になっているからか、
割とかっちりしたトリックというか、あれこれ駄目をつぶしていくと、
自然たどり着くようになっているんだが、
はたして、本当に書かれている通りだったのか、
相変わらず読んでいるだけで、わかることもないんだが、
そういうものだと楽しんだというわけであります
変に引っかかったり、読みにくいと思わなかったから、
一読、とても自然ということなんだろうなと納得するのであった

最終的には主人公が狙われるストーカー事件から、
登場人物たちの家族構成、その過去というのが明らかになって、
物語としても、すごく綺麗に落ちるのが見事で、
大変面白く読んだのでありました
講評部分で、地味と書かれていたけども、
その地味さというのもよくわからんが、よくできてる話だろうと
思ったりしたのでありました
というか、ミステリ好きのために書いたといった節もあるから、
むしろ、セルフオマージュでもないが、自虐的なセリフ、
古典的ミステリを揶揄するような言葉がでてくるのが、
ミステリ好きにまた、よいのかもしれんと
私は違うのでわからなかったところなのかもと、思ったのでありました