CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】月夜の散歩

2023-04-01 20:55:03 | 読書感想文とか読み物レビウー
月夜の散歩  著:角田光代

角田さんによる、アフター猫時代のエッセー
かわいらしい猫の写真と、他愛のない毎日のこまごまとしたことを
つらつら書いているだけなんだが、気負いなくするする読める
実に心地よい文章でよかった

多くが料理に関するところに記述が割かれていて
実際、料理すること好きなんだろうなというのが伝わってくるし、
食べることを楽しむということへの素直な気持ちが
とてもよいと思える内容ばかりだった
天麩羅に対して、揚がってから、天麩羅を待たせるということが
どれほど罪深いことか、凄く伝わってきて笑ってしまったけど
気をつけないといけないなと思わされるところ
母親にド叱られたのは、そういうところだったんだろうと
自身を反省するのでありました

食べる事も、飲むことも好きなんだが、量が少ないことを病んでいるというのは
なるほどなと思わされるところで、小食なのを気にしているが、
小食の人と一緒に食べるのはおいしくないよねという
自虐とも、真実とも思えるような心情の吐露がなんともよろしく
にじみでる人の好さというか、なんかいい感じの気の抜け方がして
素敵だわと思わされるのであります
また、自分の家というか、ルーツ的な食事のマストは他人に伝わらないという話で、
名前出してないけど、絶対スガキヤの話だというのが面白かった
まったくその通りだ、多分どこにでもあるんだろうけど
そういうところで、スガキヤが上がるあたり、東海人の暗躍が偲ばれて面白かった(考えすぎ)

もっと猫のことを書いてるかと思ったけど
そこまで猫馬鹿っぽさは出しておらず、傍に猫がいる生活の切り取りであったり、
そこから得られる知らなかった事実みたいな話がちょっと出てくるだけなんだが、
その観察眼というか、これもまた心情を丁寧に描写していて、
その移ろいが手に触れるような感じで、すごくよかった
猫って本当、よく寝るよな、わかるわかるーみたいな感じが素敵

ほのぼのとした気分になれる、とてもよい
軽い読みものだったとメモっておくのであります