CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】ステーキを下町で

2013-10-07 20:03:46 | 読書感想文とか読み物レビウー
ステーキを下町で  著:平松 洋子

挿絵というか、漫画に谷口ジロー氏を選んだ
珠玉の食べ物エッセーであります
なにぶん面白かった、すこぶるおなかが空いた
こんなに食べたいと思わされたのは
初めてかもしれない、そう思うほどに
凄くよい食べ物文章でありました

エッセーで、いくつかの短編をまとめたものになっており、
章によって分量が違うので、いくつかをまとめたものも
あったりするんだろうかと思うのでありますが、
どれもこれも非常においしそうに描かれております
食べ物系の文章はいくつか読んだと思いますが、
これは食べた食感がというのではなく、
さりとて、味のあれこれがどうしたという講釈でもなく
雰囲気というか、まさに食べている
その食べるさまが楽しい、嬉しいと語りかけてくるような
食べることを描写しているといったらいいか、
それが珍しいというか、
雰囲気が美味しさを左右させるそれを
文章で確かめたようでありました
凄くよかったんだ、なんか旨そうで

と、そんな具合だったので、
実際描かれている内容と、実際に食べに行ったときでは
感じるものが違うかもしれないとも思うところ
あの、中華料理チェーンの王将について
いくつかの店のレビウがあったものの、
あれ、王将ってそんな感じだっけ?と
ちょっと思ったりしてしまったのも確か
人それぞれでありますが、それぞれがなにせ
楽しそうに食べていれば、それはいいのでありますねと
納得する文章でありました

内容においては、赤目四十八滝とまたをかけた
京都のうどんシリーズが抜群によかった
文章もさておき、恐ろしい寒さに打ち震える旅情というか、
そこにいたるまでの青年編集者のいじましいというか、
ちょっとずれているところが魅力の挿話
これが冴えているというか、非常に読んでいて
うどんを食べたかのように温まってよかった
おかげで、京都なら食べにいけるかもと
この冬に眼目を掲げている次第でありました

そのほか、題名にもなっている下町でステーキをという、
町のステーキ屋さんで、510gもの
オージービーフを食べる話が垂涎
ものすごくうまそうで、今すぐにでも肉が食べたいと
思わず身を乗り出すようなステキさでありました
脂少なく、赤みばかりのステーキを
がつがつと食べる、その楽しさ、そして
無理をして食べたあとの苦しさみたいなのまで
きっちりと経験したかのようになぞれて
凄くよい文章であります
なにげに、このタイトルもかっこいい、
センスといったらいいのか
この題名だけで、ぐっとくるもんだと
感心してしまったのであります

よい本を読みました