「禁じられた歌声」
西アフリカ、マリ共和国の古都ティンブクトゥを舞台に、イスラム過激派の弾圧に立ち
向かう家族の戦いを描き、フランスのセザール賞で最優秀作品賞を含む7部門を獲
得したヒューマンドラマで、去年のアカデミー賞ではモーリタニアから初となる外国語
映画賞ノミネートを果たしました。
ティンブクトゥ近郊の街をイスラム過激派が街を占拠し、住人たちは音楽もタバコも
サッカーも禁じられ、恐怖と不自由の生活を強いられるところからこの映画は始まり
ます。
このように不条理な行いが現実に行われているという強い訴えが画面に出ていて、
映画作りの原点を見る思いがします。映画製作技術は低いし、俳優も素人同然です
が、先述の強い訴えがそれらをカバーしていて一見の価値ありです。
「バディントン」
1958年に第1作が出版されて以降、世界40カ国以上で翻訳され、3500万部以上を
売り上げるイギリスの児童文学「パディントン」シリーズを初めて実写映画化したも
のです。
真っ赤な帽子をかぶった小さな熊が、ペルーのジャングルの奥地からはるばるロン
ドンへやってきます。彼は親切なブラウンさん一家に出会い、「パディントン」と名付
けられますが、初めての都会暮らしは毎日がドタバタの連続で、果ては命まで狙わ
れる始末…。「ハリー・ポッター」シリーズを手がけたプロデューサーのデビッド・ハイ
マンが製作し、ニコール・キッドマンらが賑やかに出演、パディントンの声は「007」シ
リーズのベン・ウィショー、日本語版では松坂桃李が担当しています。
とにかく出だしから胸がわくわくするぐらい楽しいです。ブラウン一家が泥臭いことや
少々変な場面もありますが、理屈を言い出す暇もなく最後まで楽しく見終わりました。
とにかくアイデアが素晴らしいのと、敵役にニコール・キッドマンを配しているところな
ど実に心憎いファンサービスですし、ロンドンの風景がこれまた素敵です。家族連れ
は勿論ですが、大人の鑑賞に充分耐え得る作品なので是非ご覧ください。