「池中玄太80キロ」シリーズをはじめ「新宿鮫」シリーズ、「点と線」など数々の名作
テレビドラマを手がけてきた石橋冠が、演出経験55年で78歳を迎えて、どうしても撮
りたかったと、初めて劇場映画でメガホンを取った作品です。
主演の竹野内豊を筆頭に、江口洋介、西田敏行、ビートたけし、松坂桃李、優香、小
池栄子、美保純、柄本明、立川志の輔、室井滋らと豪華キャスト。
江戸時代から約350年続く富山県の曳山まつりを題材に、根っからの仕事人間だっ
た主人公が全てを失い、かつての親友との約束を果たそうとする中で、自分を見つ
め直していく姿を描いて行きます。
このテレビドラマ監督は、一本だけでもいいから映画を撮りたいと言っていたそうで
すが、テレビと映画の違いに遭遇し、映画が如何に難しいかを痛感したと思います。
加えて映画の脚本も然りで、今作の脚本の薄っぺらさにも気が付いた筈です。出だ
しは快調で演出にも力が入っていますが、どちらかと言うとリキみ過ぎで、脚本の
不味さも加わり中盤から後半になってどんどん乱れてきます。
何かが起こる時には、そのキッカケとか動機描写・説明が重要ですが、いくつかの
ポイントは全て手薄です。折角の好材料なのに脚本を含めて料理しそこなった出来
ばえで、非常に残念です。