今回は皆様が覚えておられるかどうか少し不安ですが、フィリッピン女優のチェリト・
ソリスさんです。
昭和36年に大映が製作した「釈迦」(製作・永田雅一、監督・三隅研次)は会社が総
力を挙げての作品で、70ミリスーパーテクニで撮影された作品でもあります。この
作品で重要な役を演じた女優さんがチェリト・ソリスさん。この時期は邦画界がアジ
ア各国とのつながりを強くし、香港女優のユー・ミンが日本映画にも出演して大評判
になっていた時期です。
大映も何本かユー・ミンの出演を希望し、交渉してOKをもらっていたようですが、東宝
が先に出演させたことで道義的に手を引いた経過があります。その代わりとして永田
社長の薦めでチェリト・ソリスが出演することとなり、「釈迦」のあと「熱砂の月」にも出
ています。
結果的に彼女の出演は2本のみでしたが、確かに美人であり個性も強いのですが、
ユー・ミンと比べると清純さや甘さが不足していて、残念ながら日本では成功しなか
った女優さんでした。
大映後、私は友人がフィリッピンにいて何回か行った際に、チェリト・ソリスの消息を
聞いて回りましたが、ほとんどの人は彼女のことを知らない中で、かろうじて名前を
覚えていた年配者に会うことが出来ましたが、かなり前に故人になったと言っていま
した。