「ファーゴ」(1996)などの名優ウィリアム・H・メイシーが初めて監督を務めた作品
で、死んだ息子が残した楽曲を歌い継ぐ父親と、その歌に魅了されたミュージシ
ャン志望の青年が、音楽を通じて再生し成長していく姿を描いたドラマです。
やり手の広告宣伝マンだったサム(ビリー・クラダップ)は、大学生の息子ジョシュ
を学内銃乱射事件で亡くしてしまいます。
会社を辞め、荒んだ生活を送っていたサムは、別れた妻から音楽好きだった息
子が残したという歌の歌詞とデモテープを受け取ります。
その曲を聴き、父親なのに息子のことを何一つ知らなかったことに気付いたサム
は、息子の遺品でもあるギターを手に、場末のライブバーでステージに飛び入り
参加します。
そんなサムの演奏を聴き、感銘を受けたロック青年のクエンティン(アントン・イェ
ルチン)はサムを説得し、歳の差バンドを結成することに・・・。
息子を亡くした父の悲しみが尋常でないのが見ていて不思議だったのですが、
それが段々と判ってくるのは上手い演出だと思います。そのあたりはとても珍し
いシチュエーションなのですが、脚本も演出も中々丁寧に処理していて纏まりが
いいです。
ハッピーエンドではないのですが、妙にすがすがしいし後味が悪くないのも好感
です。
音楽とカメラがいいのも加点理由となりました。小品ですがお薦めの一本です。