最近は老人問題を扱った作品が多くなりましたが、今回の作品はお話が煌
びやかなことに加え、俳優のダスティン・ホフマンが初めてメガホンをとった
監督作であることと、「戦場のピアニスト」「潜水服は蝶の夢を見る」で実績の
ある脚本家のロナルド・ハーウッドによる戯曲を映画化したこともあって、楽し
みにしていた作品です。
日本でもこういう施設が出来るといいなと思いますが、イギリスの郊外に、引
退した音楽家たちが暮らす老人ホーム「ビーチャム・ハウス」があります。
そこで穏やかに余生を送るレジー、シシー、ウィルフのもとに、昔のカルテット
メンバーでありながら、野心とエゴで皆を傷つけ去っていった名ソプラノ歌手
ジーン(マギー・スミス)が入居してきます。
近く開かれるヴェルディ生誕200周年コンサートが成功しなければ、財政困難
でハウス閉鎖という危機を迎えていて、誰もが伝説のカルテット復活に期待を
寄せますが、ジーンのもと夫レジー(トム・コートネイ)の気持ちは微妙だし、
肝心のジーンは人前で歌うことを断固拒否。みんなは右往左往するばかり・・・。
住人たちを演じるのは引退はしても本物のアーティストで、歌も演奏も本物で
すから、このあたりはとても楽しく聞けますし見れます。
ダスティン・ホフマンの初監督ぶりはまあまあで、特に切れ味が鋭いとは言え
ませんが無難に明るく纏めている良心作と言えましょう。映像も中々綺麗です。