土曜は通常お休みしているのですが、見た作品が溜まっているだけではなく、
どうしてもこの作品を取り上げたかったのでPCに向いました。
劇作家で俳優でもある宅間孝行が主催し、昨年惜しまれて解散した劇団「東
京セレソンデラックス」が、2010年に公演した名作舞台の映画化です。
公演は「舞台史上一番泣ける」と話題を呼び、小さな劇場ながら2万4000人の
観客動員を記録したことでも著名ですが、物語は宅間が数十年前に新聞の片
隅で見つけた小さな事件記事をモチーフにし、埼玉県本庄市を舞台にして作ら
れたものでした。
本人によって小説化もされた「くちづけ」ですが、果たして映画の出来ばえは
如何にと、楽しみにして見ました。
知的障害のため、心は7歳児のままの女性マコ(貫地谷しおり)は、もと人気漫
画家の父親・愛情いっぽん(竹中直人)に連れられ、知的障害者の自立支援グ
ループホーム「ひまわり荘」にやって来ます。
無邪気で陽気な住人たちに囲まれ、のびのびと日々を送るマコは、そこで出
会った男性うーやん(宅間孝行)にも心を開いて行くのでした。
ようやく見つけた理想の場所で娘が幸せになれば、いっぽんも漫画家として
復帰出来るのではないかと思われましたが、やがてひまわり荘の一同に厳し
い運命が降りかかります・・・。
まず脚本が実に素晴らしいと思います。この映画も舞台場面のように、集合
住宅の一角にある"ひまわり荘"の内部だけの場面であり物語進行で、最初
は取っ付きにくいかなと思いながら見ていて直ぐ馴れて見入りました。
三谷幸喜の舞台にやや似ていて人物が縦横に動き、そして出入りするので
すが、堤幸彦監督もこの舞台的脚本をよく消化し、今回は上手く人物を動か
して進行さます。
貫地谷しおり・竹中直人・宅間孝行・田端智子・橋本愛・岡本麗・島田久作・
麻生祐未・平田満など、みんな役柄にはまっていて、出演者全員に惜しみな
い拍手を贈りたいと思いますが、特に宅間孝行と、久し振りまともな役を好演
の竹中直人は拍手喝采です。
見終わってジーンと来るし、色々考えさせるものを残し、投げかけているのも
貴重です。どうか皆さんも是非ご覧ください、絶対お薦めです。