酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

『かもめ』

2008-07-08 23:06:12 | 演劇
赤坂ACTシアターの『かもめ』。久しぶりに芝居らしい芝居を見た。
演出栗山民也。沼野充義の新訳によって上演。
ニーナのセリフ「私はかもめ」が有名なチェーホフの芝居である。

大女優アルカジーナ(麻実れい)の息子トレープレフ(藤原竜也)は前衛的な演劇の創作を志しているが、才能を認めるのは医者のドルン(中嶋しゆう)ぐらい。恋人だったニーナ(美波)も有名作家のトリゴーリン(鹿賀丈史)に夢中になり離れていく。

2年後新進作家として一応の評価を得られるようになった彼のところへ、男に捨てられ落ちぶれたニーナが帰ってくる。ところがニーナはまだ去った男が忘れられず、その思いを彼に話つづける。自分の気持ちとのギャップに絶望した彼は・・・。

芸達者が多く芝居の完成度は高い。群像劇であるが、歯車の合わない人間関係を演技の力で浮き立たせる。特に麻実れい・美波・小島聖の女優陣がそれぞれの個性を発揮して見せる。

藤原竜也は26歳になりそろそろ転換期か。前半を激しい演技で後半につなげたいというのは本人の意図のようであるが、鼻水を流し、唾を飛ばしての熱演は彼の演技の形としてそろそろマンネリ化しているように見える。後半の抑えた演技が光るだけに惜しい。

ともかく見ごたえのある芝居だった。