「鎌塚氏、放り投げる」
作・演出:倉持裕 出演:・ともさかりえ・片桐仁・大河内浩・広岡由里子・玉置孝匡・佐藤直子
倉持ワールドもすっかり定着したようだ。根底にあたたかさが感じられるせいか、女性ファンが多い。観劇日が東京千秋楽だったこともあり、笑いも拍手も大きかった。
筋は、没落した伯爵夫婦が、成り上がりの男爵夫婦を自邸に招待。招待する方もされる方もそれぞれに思惑を持つ。伯爵側は体面を保ちながら、なんとか男爵のお金を上手く利用したいと思い、男爵側はお金の力にまかせて、伯爵の屋敷と地位を手に入れようと画策する。
両者の駆け引きに、伯爵家の女中頭と両家の執事が加わってのドタバタが展開される。
伯爵の執事の鎌塚アカシ(三宅弘城)と女中頭の上見ケシキ(ともさかりえ)との中々噛み合わない恋も描かれ、さながらシェークスピア喜劇の趣きもただよわせる。
衣装をはじめとする華やかな色彩、場面転換の見事な舞台装置、息のあった演技など、良質な喜劇であることに依存はないのだが、しいて不満を言うなら笑いに意表を突かれる部分がない。
大爆笑の場内を見ながら、取り巻き観客で劇場を一杯にする力を持つ倉持氏の今後に多少の不安も感じた。
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