酢豚のひとりごと

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『英国王 給士人に乾杯!』

2009-01-28 19:10:49 | 映画
『英国王 給士人に乾杯!』監督:イジー・メンツェル主演:イヴァン・バルネフ

どの新聞の批評を見ても☆が4つはあるという高評価(5つが最高で)。これは見過ごせないと『悪夢探偵』を先伸ばしにして急遽有楽町のシャンテ・シネ1へ。

刑務所を出たばかりの老人(といってもそれほどの歳ではないが) の波乱の人生の回想映画。
百万長者のホテル王を夢見て、働く若者ヤン。成功と挫折を繰り返しながら、階段を上がっていく。高級娼館や高級ホテルで働くのだがこのあたりの雰囲気は映画『フォー・ルームス』のティム・ロス風。やっと大金持ちになった途端、政治体制が代わり財産も没収、15年の刑務所行きとなる。

現在と回想が行ったり来たりして話は進む。

ラストは出所してから住んでいる家で生ビールを飲むシーンで終るのだが、一緒に飲んでいるのは、かってだましてお金をせしめた相手。お金を返して楽しそうにビールを飲む。終り方は現実とも空想ともつかないが、人の幸せとは何かとか、戦争に翻弄される人間の悲しみみたいなものを感じさせてくれる。

とは言ってもそれまでの間には女性の裸がふんだんに登場したり、ナチス絡みの政治問題が出てきたり、ごった煮の感じ。
ドイツなど他国への皮肉が感じられるのでフランス映画かと思ったらなんとチェコ映画。

監督は 似たシーンを繰り返すことにより印象を強くする効果を狙っている。列車を追いかけるシーン、鞄から切手が風で空に舞うシーン、女性の裸体を花やお札で飾るシーン、俄かカップルが高級娼館のそれぞれの部屋に入っていくシーンなど数えきれない。
狙いを押さえた方が、もっと洒落た感じに仕上がったかもしれない。