酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

『キル』

2008-01-19 00:03:25 | 演劇
NODA・MAP 第13回公演「キル」
作・演出: 野田秀樹
出演:妻夫木聡、広末涼子、勝村政信、高田聖子、山田まりや、村岡希美、高橋恵子、野田秀樹ほか
渋谷シアターコクーン

羊の国の洋服屋テムジンはブランド「蒼き狼」で世界制覇を企てるが、いつかライバルの「蒼い狼」が出現。その野望も蜃気楼の彼方に消えてゆく・・・。

テムジンは、現実を生きたのか、それとも母の羊水の中で見た夢だったのか。
モンゴルの広く澄んだ青空が目に浮かぶラストシーンは感動的である。

主演テムジンは妻夫木聡。
出だしは声がかすれ、苦しそうだった。しかし芝居が進むにつれて、初舞台とは思えない堂々とした演技。テレビで見るひよわそうな雰囲気は全くなかった。

テムジンの妻シルク役には広末涼子。
「MajiでKoiする5秒前」からのファンとしては、本人のノリと、芝居の流れのずれにちょっとハラハラ。でも精一杯演じていた。過去のNODA・MAPの宮沢りえや松たか子と比べるのは酷だろう。

この芝居いつもの言葉遊びと下ネタが結構出てくるが、そういえばシェークスピアも同じ。
でも野田さんは今後「THE BEE」のような深刻路線に方向転換するらしいから、この軽さ楽しさは見られなくなるかもしれない。ちょっとさびしい。

ブレヒト幕や舞台の中ほどに段差をつけ起伏を見せるなど、大地の広さを感じさせる工夫が非常に効果的だった。芝居の成功に舞台装置の貢献度も高い。