小さな記事だけど大きな話だ。
11月16日の朝日新聞に「医療介護データ連結して公開」との小さな記事が掲載された。
厚生労働省は、同省が管理する医療と介護に関するデータベース(DB)を連結し、情報機関や研究者、企業などに公開することを決めたそうだ。
これにより効果的な医療・介護サービスのありかたや費用抑制策に関する分析・研究など公益目的での利用を図る。
これに関する法律を来年までに整備し、2020年度の実施に動き出す。
同じ様に総務省でもマイナンバーの活用など2020年に向けての動きもある。
いよいよ薬局においてもICT化の波が押し寄せてくる。
上記の準備なのか厚生労働省は来年度に、電子版お薬手帳の機能強化に向けた検討を始めるそうだ。
2019年度の概算要求に「電子版お薬手帳の機能強化事業(仮称)」として約500万円を計上している。
予算額はわずかだが、これに飛びつく企業は多いと思われる。
今まで鳴かず飛ばずの電子版お薬手帳の普及に火が付くかもしれない。
実は、電子版お薬手帳の普及は2015年6月に閣議決定している「日本再興戦略(2015年改定版)」に中に「患者自身が服薬情報をいつでも、どこでも入手し、薬局薬剤師などからの適切な服薬指導が受けられるよう、本年度中に電子版お薬手帳のさらなる機能性の向上について検討する」となっている。
さらに「2018年度までを目標とする地域医療情報ネットワークの全国各地への普及と併せて国民への普及を進める」となっている。
こうなるとゆっくり構えていた電子版お薬手帳の導入も多少急がなければならない。
ただ、その機能強化はもう少し時間を要するように思う。
電子版お薬手帳を導入している薬局は34.9%しかなく、利用している患者は2.9%だそうだ。
患者の大半を占める高齢者には扱いづらい。
紙のお薬手帳でさえ持参しない患者が多い現実から、薬剤師の普及に対するプレッシャーは調剤報酬という形で落とし込まれそうだ。
先ずは、今の電子版お薬手帳がなぜ普及しないのかを考える必要がある。
それを改善して初めて導入になる。
また、全薬局の半分近くは1人薬剤師と言われている。
電子版お薬手帳の採用時の初期費用もどうするのか中小薬局を多く抱える日本薬剤師会からの提案が必要になる。
今回のDBは既に2009年から始まっており、医療DBでは病院で受診した患者の傷病、投薬、健康診断結果など約148億件の情報が、介護DBは利用された介護サービスなど約6億6千万件の情報が蓄積されている。
アナログでは時代から取り残されそうだ。