医療・介護を支える継続企業の知恵袋

毎日ブログを書き続け10年が過ぎました。2025年、2042年に向けた医療介護の厳しい時代を乗り切る策を考えます。

やるっきゃないか

2018-11-20 06:21:04 | 薬局

小さな記事だけど大きな話だ。

 

11月16日の朝日新聞に「医療介護データ連結して公開」との小さな記事が掲載された。

厚生労働省は、同省が管理する医療と介護に関するデータベース(DB)を連結し、情報機関や研究者、企業などに公開することを決めたそうだ。

これにより効果的な医療・介護サービスのありかたや費用抑制策に関する分析・研究など公益目的での利用を図る。

これに関する法律を来年までに整備し、2020年度の実施に動き出す。

同じ様に総務省でもマイナンバーの活用など2020年に向けての動きもある。

いよいよ薬局においてもICT化の波が押し寄せてくる。

 

上記の準備なのか厚生労働省は来年度に、電子版お薬手帳の機能強化に向けた検討を始めるそうだ。

2019年度の概算要求に「電子版お薬手帳の機能強化事業(仮称)」として約500万円を計上している。

予算額はわずかだが、これに飛びつく企業は多いと思われる。

今まで鳴かず飛ばずの電子版お薬手帳の普及に火が付くかもしれない。

 

実は、電子版お薬手帳の普及は2015年6月に閣議決定している「日本再興戦略(2015年改定版)」に中に「患者自身が服薬情報をいつでも、どこでも入手し、薬局薬剤師などからの適切な服薬指導が受けられるよう、本年度中に電子版お薬手帳のさらなる機能性の向上について検討する」となっている。

さらに「2018年度までを目標とする地域医療情報ネットワークの全国各地への普及と併せて国民への普及を進める」となっている。

こうなるとゆっくり構えていた電子版お薬手帳の導入も多少急がなければならない。

ただ、その機能強化はもう少し時間を要するように思う。

 

電子版お薬手帳を導入している薬局は34.9%しかなく、利用している患者は2.9%だそうだ。

患者の大半を占める高齢者には扱いづらい。

紙のお薬手帳でさえ持参しない患者が多い現実から、薬剤師の普及に対するプレッシャーは調剤報酬という形で落とし込まれそうだ。

 

先ずは、今の電子版お薬手帳がなぜ普及しないのかを考える必要がある。

それを改善して初めて導入になる。

また、全薬局の半分近くは1人薬剤師と言われている。

電子版お薬手帳の採用時の初期費用もどうするのか中小薬局を多く抱える日本薬剤師会からの提案が必要になる。

 

今回のDBは既に2009年から始まっており、医療DBでは病院で受診した患者の傷病、投薬、健康診断結果など約148億件の情報が、介護DBは利用された介護サービスなど約6億6千万件の情報が蓄積されている。

アナログでは時代から取り残されそうだ。

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自己責任

2018-11-20 06:02:30 | 薬局

目覚めて欲しい。

 

今月は“ぐるっと四国巡業セミナー”を行って来た。

2週に分けて徳島、高知、松山、高松と開催した。

先ず、驚いたのは今行われている厚生科学審議会の審議内容について、意外に知らないってことである。

もちろん知っているが手を上げない人もいるとは思う。

でも、知っているようにも感じられなかった。

身に迫る話なので、どこかが知らせるべきじゃないだろうか。

 

その厚生科学審議会の審議が22日に行われる。

基本的に、今回で最終となる。

何がまとまるのかわからないが12月には、2019年に改定になる医薬品医療機器等法(薬機法)に盛り込まれる内容が決まる予定になっている。

はっきり言って審議内容から何か決まった感じはない。

ただ薬剤師や薬局に対する患者本位ではない医薬分業を言い連ねているようだ。

内容については既に何度もブログで書いているのでくどくなるので触れない。

今回の審議内容からすると、かなり薬剤師の業務が変わりそうな気がする。

にも関わらず、知らない薬剤師が多いことに問題の深さを感じている。

 

参加者の数名から「かかりつけ薬剤師」の要件について、困っているとの感想が届く。

これはどうしようもない。

同じように管理薬剤師にも言える。

特に、当該店舗での勤務実績の1年以上は厳しい。

移動ができない。

女性が多い職場なのに産休、育休などへの配慮がない。

声を出して困ると言えばいいと思うが現場からの問題指摘がない。

ただひたすら耐えている。

 

在宅の実績がないことも困っているようだ。

1人薬剤師だから出来ないが理由として上がってくる。

でも、私の友人は1人薬剤師薬局だけど頑張って在宅患者数人を抱えている。

やれないのではなくやりたくないのではないだろうか。

どうやったらいいのかわからないとの理由も多い。

初めは誰も試行錯誤だ。

ネットで調べると何でも見える時代である。

やる気の問題じゃないだろうか。

 

「小売薬局」から「保険薬局」への転換が急がれる。

出来ない理由を並べても誰も助けてはくれない。

自分の道は自分しか作れない。

今日は熊本で吠えてくる。

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年度初めから

2018-11-19 06:23:31 | 薬局

お金がないんだからやるしかないじゃないの。

 

来年の消費増税をめぐって薬価改定の時期がいまだに決まらない。

何となく大勢は増税のタイミングに合わせて10月が有力であるが、財布を握る財務省が〝うん“と言わない。

そうかと思うと、こんなマスコミからの記事が届いている。

「根本匠厚生労働相は15日の参院厚労委員会で、消費税引き上げに伴う診療報酬や薬価・医療保険材料価格の改定時期が2019年10月に「決まったわけではない」と述べた」

何だか胡散臭い雰囲気を感じる。

何と言っても内閣の中で財務省が最も力を持っている。

しかも総理の意向がどうあるべきなのかが大事だ。

しょせん大臣など会社で言うと部長みたいなもので人事権を持った社長が恐い。

 

今回の薬価改定は4月に行うか、10月に行うかで社会保障費の増額の仕組みが変わる。

10月に改訂すると400億円程度の削減になる。

2019年の社会保障費の増額の概算要求は6,000億位円である。

これを5,000億円未満にまで引き下げる必要がある。

400億円では全く足りない。

4月からの改定だと単純に倍の800億円にまでたどり着く。

 

社会保障費の引き下げは他にもある。

所得の高い会社員からの介護保険料の引き上げがある。

いわゆる「総報酬割」と呼ばれるものである。

これで350億円あり、さらに生活扶助の見直しで50億円程度削減できそうだ。

それにしても合わせて800億円で、目標とされる1,000億円にも満たない。

そうなると是が非でも4月からの引き下げが必須となる。

 

因みに、薬価を4月から引き下げないと他の対策が必要になる。

例えば、75歳以上の高齢者について、医療機関の窓口負担を1割から2割にする。

これは選挙前には出来ない。

次に、紹介状がない患者に定額負担を求める病院の対象範囲を広げる。

既に、大学病院や地域支援病院などには初診で5,000円以上、再診で2,500円以上となっている。

大病院への受診抑制による医療費削減である。

その他にも薬の保険適用を外して本人負担とする。

いつも言われているのがビタミン剤、シップ剤、胃薬、目薬、漢方製剤などで、かぜ薬も検討されている。

さらに金融資産の多い高齢者の自己負担増などもある。

これらは今のところ見送りの公算となっている。

何と言っても選挙前には出来ない。

 

となるとやっぱり4月からの薬価改定になるんじゃないだろうか。

 

 

 

 

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わらって死す

2018-11-18 06:25:13 | 薬局

昔も今も変わらないはずだけど。

 

今、30代の人が60代になった私をどのように見ているのだろうか。

自分が30代の頃、思い描いていた60代はかなりの老人に思っていた。

一緒に飲む時も食事だけで、その後は疲れるのではないかと、そっとおかえりいただいていた。

今思うと、きっと物足りなかったかもしれない。

 

そんな60代に自分がなって思うことは「早く、もっと大人になりたい」である。

何となく不思議だ。

自分で自分が自覚できていない。

大人ってナニと聞かれると困るが、こんなにチョロチョロしていないように思う。

 

セミナー等の懇親会などで、ちょっと年配だと思われる人と話しながら、何気無く歳を聞いてみた。

すると私より年下だったりする。

自分もこんな風に見られているんだと寂しくなる。

自分で気付きづらいが確実に老人に向かっている。

 

たまにセミナー等で話をしていて、私の考えを押し付けるような話でいいのかと迷いが出る。

私は基本的に自分の考えを言い切る。

中途半端な情報などいらない。

使えるかどうかの判断は聞く側に任せる。

無責任だと思うなかれ。

将来のことなど神様以外にはわからないことになっている。

 

何となく自分の賞味期限が近づいていることを感じている。

でも、使用期限ではない。

そろそろ旬が過ぎ去ろうとしているってことである。

 

最近は身辺整理をしなきゃと思っている。

何と言ってもかなりヤバイ遍歴がある。

あれもこれも消さなきゃ。

自分の命はどんな終わり方かと考える事がある。

突然、頭痛がして目の前が真っ暗になるのか、急に胸が痛くなってうずくまるのか。

ガンの宣告なら時間的余裕があるので、全国の知り合いに挨拶回りもしたい。

もしまだブログを書いていたとしたら、最後は「絶筆」で終わりたい。

 

一番望むのは飛行機かな。

 

今月のHSEセミナーでは「尊厳死」をテーマにお話をいただいた。

「人間は、おぎゃあと泣いて生まれたが、最後は笑って死にたい」だそうだ。

確かに、最後は笑って感謝しながら逝きたいと思う。

 

 

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めざせ!

2018-11-17 04:36:28 | 薬局

着眼がいい!

 

15日の日本保険薬局協会の定例会見で、2020年3月までの会員企業が目指す数値目標が発表された。

後発医薬品使用数量割合が80%以上、かかりつけ薬剤師が勤務する薬局数、年間10件以上の在宅に実績を持つ薬局数である。

それぞれの目標は全会員薬局の占める割合までもが示されている。

的を射たと思う。

 

後発医薬品の使用割合についての80%は、既に2017年度の「骨太の方針」で2020年9月までに80%を目指すと閣議決定されている。

こうなると80%以下は落第ってことだ。

既に2018年1月の後発医薬品使用割合は74.3%に達している。

この時点でも75%以上でないと合格とは言えない。

 

後発医薬品といえば「後発医薬品調剤体制加算」がある。

現状では75%以上で18点、80%以上が22点、85%以上になると26点の算定が可能となっている。

さて、「骨太の方針」からすると2020年の調剤報酬改定で「後発医薬品調剤体制加算」は残るだろうか。

4月に報酬改定があり、9月には80%達成させなければならない。

となると、もし「後発医薬品調剤体制加算」があるとしたら、80%以上から始まる。

正直なところ80%はある面での限界じゃないかと思われる。

アメリカは90%、EU加盟国は80%が標準となっている。

それぞれ制度の違いによって後発医薬品の普及も異なる。

それを考慮すると「後発医薬品調剤体制加算」そのものが必要性を見いだせない。

逆に、閣議決定された80%の数値目標は義務となり、未達成薬局にはペナルティーが課せられる可能性もある。

思い出すと2015年の財政制度等審議会から出されている調剤報酬改定案には、60%に満たない薬局の「調剤基本料」から10点マイナスが示されていた。

「調剤基本料」の減点は、それに加算される「地域支援体制加算」も失うことになる。

 

かかりつけ薬剤師を増やすことも理にかなっている。

2015年に示された「薬局再編の全体像」では「すべての薬局が『かかりつけ薬局』へ」とある。

そのかかりつけ薬局の要件の1つに「服薬情報の一元的・継続的把握」がある。

このキーワードは「かかりつけ薬剤師指導料」そのものである。

生き残りの要件としてかかりつけ薬剤師の存在は欠かせない。

これから議論されるであろうと思われるが、かかりつけ薬剤師から調剤を受けた場合とそれ以外の薬剤師からとでは、患者の自己負担が異なる仕組みも出てくる。

まさに、患者獲得の視点からもかかりつけ薬剤師の重要性が感じられる。

 

最後に在宅の実績である。

これは地域包括ケアに欠かせない。

病床は「地域医療構想」により削減傾向にある。

行き場を失った高齢者はいやが上にも在宅を選択せざるを得ない。

国はその体制の整備を急いでいる。

もちろん「かかりつけ薬局」の大きな要件でもある。

 

組織とはこうあって欲しいものだ。

これからの薬局が生き残る方向性を明確に示す。

さらに欲を言えば「健康サポート薬局」研修の修了者の確保も入れて欲しかった。

 

今朝は、昨日のHSEセミナーのまとめ中である。

ブログも気になり、忙しい。

思わず…はぁ~。

 

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どら、グゥ~

2018-11-16 06:12:10 | 薬局

明暗が分かれた。

 

今年度の上半期の決算報告がほぼ出そろった。

大手調剤チェーンは”減収減益”から脱することは難しかったようだ。

それに比べてドラッグストアは押しなべて“増収”を確保している。

利益の方はセグメント別の公表がないので分からないが、こちらも”増益”であると確信している。

中小薬局の調剤報酬自体はさほど影響がなかったようだが、薬価の引き下げと価格交渉の暗礁から”微減収、減収“って感じだろうか。

いろいろな形態があるので一概には言えない。

 

特に増収が目立つのはウエルシアHDの前年同期比13.7%である。

これははっきり言って凄い。

大阪を地盤とするキリン堂も10.3%と好成績だ。

その他にもスギHDが7.6%、ココカラファインが6.5%と猛威を感じる。

 

それに比べて大手調剤チェーンは日本調剤がかろうじて1.0%の増収であるが、他はクオールHDが▲3.6%、総合メディカルが▲3.9%と厳しい。

アインHDは決算月が異なるので未だ隠れた存在となっている。

医薬品卸の薬局事業は、ここ最近低調でスズケンが▲5.7%、東邦HDが▲5.8%となっている。

この辺は戦略的に引き際を悟ったのだろうか。

 

大手調剤チェーンは調剤報酬で叩かれ、薬価改定で締められて増収は高根の花となっている。

利益も薬価の引き下げ分が圧縮されているが、価格交渉はそれなりに負けてはいないようだ。

この情報はアンタッチャブルなのか何処の医薬品卸も教えてはくれない。

 

大手調剤チェーンは上場企業である。

従って、売上も利益もダウンとは株主に報告は出来ない。

そこで動き出したのがM&Aじゃないだろうか。

但し、昨今の調剤報酬から大手調剤チェーンがM&Aをすると「調剤基本料1」が「調剤基本料2・3」になったのでは困る。

ある程度の規模感がないとM&Aをしても売上にも利益にも貢献しない。

年間売上が最低でも1.5億から1.8億ぐらい欲しいそうだ。

これだけでは自力回復にはならないので敷地内争奪が始まっている。

これがいつまで続くのかは不明だが、現段階での最適な動きなのかもしれない。

 

ドラッグストは順調である。

ここにはいつまで続くか分からないが、1つにはインバウンド(外国旅行者)効果が有る。

ドラッグストアは常に他所の市場を奪った戦略が得意だ。

従来からあった旧態依然とした薬局から始まり、大型スーパーのコバンザメ商法で成長し、今では食品スーパーに引けを取らない食材が並ぶ。

さらに惣菜や弁当の充実はコンビニへの影響を強めている。

中にはイートインまで設けている。

そして今は調剤市場がターゲットとなっている。

 

今日から東京でのHSEセミナーが始まる。

時代の変化を受け止めたいと思う。

 

 

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スプリング来るはずかも

2018-11-15 05:14:56 | 薬局

忙しくなりそうだ!

 

何となく消費税の増税に伴う薬価改定が10月になりそうな気配である。

昨日の日経新聞の夕刊に中医協のでの方針は10月となったと伝えている。

新聞では約400億円程度の引き下げになるようだ。

最終調整は予算編成の過程で決まる。

もし10月に決まると価格交渉が必要になってくる。

ただ10月だと未妥結減算の対象ではない。

 

あれ!

未妥結減算は毎年必要なはずである。

2019年4月から9月までの「調剤基本料」の確定に必要となる。

と言うことは、ここでも価格交渉が必要で、さらに10月の薬価改定に伴う価格交渉も必要になる。

年が明けて4月には通常改定があり、ここでも価格交渉が必要になる。

何とも慌ただしい限りだ。

これにかかる労力は計り知れない。

いっそのこと価格交渉は外部に任せたくなる。

因みに「妥結率、単品単価契約率及び一律値引き契約に係る状況について、毎年10 月1日から11 月末日までに、同年4月1日から9月30 日までの期間における実績を地方厚生(支)局長へ報告することとし、11 月末日までの報告に基づく調剤基本料は、翌年4月1日から翌々年3月末日まで適用する」とある。

 

そもそもなぜ10月に消費税の増税が行われるのか。

年度始めの4月ならなんとなく納得する。

これは言わずともしれた夏に行われる参議院選挙の影響である。

通常、どう考えても10月の実施はおかしい。

 

もし4月に薬価改定を行なったとしたら、10月の消費税対応は単純に2%上乗せでいいことになる。

もちろん価格交渉の必要もない。

薬価の本体価格は変わっていないからだ。

政治家は世の中の仕組みなど御構いなしだ。。

自分たちの利益だけが優先するかのように進めている。

 

既に、中医協の場でも10月薬価改定を了承したようだが、それでいいのだろうか。

薬価改定の影響を最も多く受けるのは薬局である。

調剤医療費の約7割を薬価が占めている。

安易に了承などしてもらっては困る。

 

泣くのは薬局ばかりなり。

 

追加!

高松駅の横奥にあるうどん屋さんがお気に入りです。

今朝も5時半に“肉うどん小とアジの天ぷら”をいただきました。

何があっても欠かせないお楽しみです。(5:50)

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代表責任あり

2018-11-14 06:12:58 | 薬局

今さらだけど…。

 

医薬分業のあり方が問われている。

その是非は厚生科学審議会の医薬品医療機器等法(薬機法)の改定だけではなく、財務省が所管する財政制度等審議会でも話し合われている。

面と向かって言えない立場の厚生労働省も「患者のための薬局」として問題提起をしている。

この現状に当事者の薬剤師は何をしてきたのだろうか。

医薬分業の是非論は、当然のこととして調剤報酬改定に直結する。

来年の薬機法改定が、そのまま2020年の調剤報酬改定へと流れていくことを危惧する。

 

そもそも調剤報酬の根拠とは何なんだろうか。

先ず始めに「調剤基本料」とは何かを患者から問われて説明出来るだろうか。

どうして受け付けただけで410円も取られるのか。

貰う方に疑問など湧かない。

立場をかえて払う側なら疑問が湧いてくる。

「領収書の明細にある『調剤基本料』って何をしてくれたのでしょうか」って患者に問われて答えられるだろうか。

私には納得させる説明はできない。

薬剤師が自ら処方箋を受け取り、患者等からの情報を踏まえて“調剤よし”と判断する報酬というなら何となく納得する。

 

3剤出ている30日処方の「調剤料」が240点である。

「こちらの『調剤料』とは何ですか」と問われて。

まさか「棚から錠剤を取り揃える技術料です」で、納得してくれる患者は少ないと思われる。

 

「薬剤服用歴管理指導料」も服薬指導時に薬剤師が書いている姿を見たことないと言われそうだ。

薬歴を見ながら投薬する姿は患者に見えているだろうか。

 

世の中は医薬分業に対して疑問を持ち始めている。

上記のような調剤報酬に何らかの理由づけと、その根拠が求められている。

今、それに取り組まないと手遅れになるような気がしてる。

中医協で調剤報酬の議論は年明けから始まる。

まだ審議会での議論で収まっているうちはいいが、マスコミを通じて国民の声になると窮地に追いやられそうだ。

審議会へ委員を送り込める組織団体は業界を代表している。

ここが危機意識を持って臨まないと全てに出遅れてしまう。

出遅れの結果は惨めなものだと思う。

 

昨日は松山にてセミナーだった。

今日は高松である。

声高に訴えているが少しは刺激になっているだろうか。

 

 

 

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かかってこい薬局

2018-11-13 05:43:04 | 薬局

具体的になっていないことへの疑問はないのか。

 

私の理解と知識がないのか「かかりつけ薬局」の姿が見えない。

ただ「かかりつけ薬剤師」の定義ははっきり示されている。

1つは薬局勤務年数が3年以上必要とされている。

しかも同一薬局で週32時間以上の勤務と1年以上の勤務実績が必要になる。

さらに研修認定制度等の研修認定も必要になる。

そして、何をしたら認められるのか迷う「地域活動」への参画の実績も必須である。

この「かかりつけ薬剤師」の存在は「かかりつけ薬剤師指導料」の算定可能の有無だけではない。

「地域支援体制加算」の算定要件でもある。

 

ところが「かかりつけ薬局」の定義はどうなっているのだろうか。

定義が明確になっていないのにもかかわらず誰も気にもしていない。

「かかりつけ薬局」になる準備もできないと思うが…。

 

財務省は10月9日の財政制度等審議会財政制度分科会に、2019年度予算編成に向けた社会保障制度改革案を示している。

その中に患者が「かかりつけ薬局」とそれ以外の薬局で調剤を受けた場合に、定額負担の差を設けること提案している。

この仕組みは薬局だけではなく、「かかりつけ医」にも同じである。

医療の窓口を出来るだけ1つにすることによる無駄の改善である。

これについては2015年に厚生労働省から出された「患者のための薬局ビジョン」でも「バラバラから一つへ」と提案されている。

 

どうなるのか具体的に見えては来ないが、要はかかりつけ薬剤師または薬局以外で調剤を受けると患者負担を増やすと言っている。

セミナーでの表現は「眼科、耳鼻科、皮膚科、整形外科のみの処方箋を受けている薬局はつぶれる」となる。

なぜなら「かかりつけ」になれないからである。

「かかりつけ」になれないと患者負担が増える。

それも数十円単位ではないはずだ。

数百円単位で変わってくる。

 

これを踏まえて「かかりつけ」では、「このお薬は当薬局にもあります」との誘いが始まる。

「しかも、こちらの薬局で薬をもらうよりお安くなります」となる。

お年寄りの受け取り年金額は厳しく、数百円も違うとなると便利さだけでの選択はなくなる。

そんな「かかりつけ」が気にならないのだろうか。

 

もし仮に「地域支援体制加算」の要件が「かかりつけ薬局」だとすると、しっかり準備を怠らないことだ。

例えば、在宅の実績を増やす、「かかりつけ薬剤師指導料」の実績を作るなどがある。

この他にも健康サポート薬局研修の終了者の設置も考慮したい。

セミナーではいつも話している。

 

 

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賞与評価

2018-11-12 04:50:32 | 薬局

粘り勝ちなのか、粘られ負けなのか。

 

医薬品卸上位4社の2018年4~9月連結決算が出そろった。

4社平均で営業利益が46.1%も増加している。

はっきり言って頑張ったというのか、やられたと言った方がいいのか微妙な立場である。

中でも凄いのはスズケンの前年比86.8%である。

これは販売管理費の大幅な削減によるものらしい。

特に、早期退職制度などで人員の整理が貢献している。

経費削減の表現に“乾いた雑巾を絞る”があるが、まだ雑巾は絞れたようだ。

 

4社平均の売上の伸び率はほぼ横ばいである。

ただ、個々に見るとアルフレッサHDは1.5%、東邦HDが0.1%、メディパルHDがマイナス0.5%である。

先ほどのスズケンは前年比がマイナス1.3%にもかかわらず、営業利益を大幅に伸ばしている。

しかも営業利益率は4社の中で最も低く0.71%となっている。

何か大きな問題を抱えているようだ。

因みに、アルフレッサHDは1.52%と前年より0.54%改善させている。

売上の伸び率も最も高いので、価格交渉が上手く行ったってところなのかもしれない。

何があったのか。

 

ただ、今回の営業利益の好成績は、何と言っても薬局等への仕切り価格の値上げだったと思われる。

皆さんの価格交渉での苦戦が反映されている。

どこの医薬品卸も“錦の御旗”である「流通改善ガイドライン」を掲げていた。

そして、厚生労働省からの“にらみ”もあったようだ。

その結果がもたらした。

で、本当に大手調剤チェーンへの仕切り価格の引き上げにつながったのだろうか。

 

価格には次回以降の薬価引き下げがかかっている。

来年は本来、薬価改定がない年であるが消費増税によって、一旦実勢価格に照らし合わせて2%増税分を上乗せる。

結果として、2019年度は薬価の全面改定になる。

続く2020年は通常改定、2021年から毎年改定と決まっている。

何のことはない2018年から薬価は毎年引き下げられることになった。

これに対応する製薬メーカーは薬価防衛が必須である。

新製品の開発など今さら難しい。

既存品で生き残るためには今の薬価の温存が欠かせない。

 

さて、何はともあれ気になるのは大手調剤チェーンの価格である。

どうも今回の価格交渉で割を食ったのが中小薬局のような気がする。

確かに、大手調剤チェーンの価格交渉も苦戦したと聞いているが、今回の妥結は前半戦である。

10月からは後半戦に入っている。

医薬品卸の好決算を横目で見ながら虎視眈々と”サヨナラ逆転”を狙っているようだ。

また、長いものには巻かれるのか共同交渉のような仕組みに参加する薬局も増えていると聞こえてくる。

入ると抜けられなくなるのが組織の怖さでもある。

自社での価格交渉が出来なくなるような”廃用性症候群”だけには陥って欲しくない。

 

12月の賞与は前半戦の結果で決まる。

医薬品卸の皆さんに少し上乗せの賞与が出ることを願っている。

 

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