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デジタル・デバイド

 今日、高校生が『デジタル・デバイド』について、具体例を挙げて300字以内で述べよ、という宿題を見せ、教えてくれと言ってきた。彼の場合、教わろうとしているのではなく、答えを書いてくれと頼んでいるに等しいので、IT用語集なるものを渡し、『自分で調べろ』と言ってみた。彼は手にとってぺらぺらめくった後、『お願いだから、ヒントちょうだい』と今度は直接的に踏み込んできた。ヒントも何も『デジタル・デバイド』という項目を開いて、そこに書いてある説明を丸写しすればいいんだと、言ってみても、『どうやって300字にまとめればいいの、線引いてよ』とあくまでも宿題を丸投げしようという意志を崩さない。さすがに私も業を煮やして、いやだと突っぱねたものの、提出日が明日である彼には引き下がることは許されない。『お願い、お願い』と駄々っ子のようにしつこく繰り返すので、最後には面倒くさくなって、適当に線を引いて、『これをレポート用紙に写せ』と用語集を突っ返してやると、『ありがとう』と屈託のない笑顔を見せて、一生懸命写していた。
 こんな彼でももう高校2年生。大学を意識し始める年頃だが、彼の場合、私立中・高と進んできて、うまくいけば大学までエレベーター式に進学できる身分である。今のところ、推薦枠にぎりぎり入れるかどうかという立場なのに、本人は至って呑気である。年中遊ぶことばかり考えていて、うちの塾に通い始めて、かれこれ5年近くになるのに、精神年齢はちっとも成長しない。私がいくら口酸っぱく諭しても、馬耳東風、馬の耳に念仏で一向に効き目がない。いっそのこと見捨ててやろうかと何回か思ったことがあるが、何故か憎めないキャラの持ち主であるため、縁を切れないで今日まで来た。
 彼を見ていると、他人に頼らず、自分の力でやり遂げようとする意志を持った高校生ってのはいないのかと、暗澹たる思いに駆られる。本当に今の高校生は勉強しない。勉強しなくても何とかなるという安心感を現代社会が彼らに与えているのだとしたら、彼らは、ある意味、平和国家の象徴なのかもしれない。齷齪せずとも、十分暮らしていける社会の構築、明治維新以来、幾多の先人が目標に掲げ、努力してきた国是が、やっと今具現化されたのだ、と声高に叫んでも誰も喜びはしないだろう。それどころか、彼ら先人たちの努力の結果がこれなのか、と嘆くばかりだろう・・・
 高校生諸君、とにかく学べ!もっと必死で生きてみろ!

 で、『デジタル・デバイド』って何なの?
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