このところオーディオが忙しくてなかなか読書に時間が割けない。
毎日の時間が2倍くらい伸びるといいんだけどなあ(笑)。
贅沢な悩みは抜きにして、寸暇を縫い運動も兼ねてお目当ての「新刊コーナー」(図書館)に行くと、「開口 健」さんの本がふと目に入った。
「開高 健」(かいこう たけし:故人)さんといえば、1958年に「裸の王様」で「芥川賞」を受賞された作家で、それほど熱心に読んだ記憶はないが、逸話だけはよく小耳に挟む。
たとえば、手当たり次第に古今東西のあらゆるジャンルの本を読む「本の虫」であり、サントリーの宣伝文句を手掛けて連続ヒットを飛ばしたり、釣りキチとして海外で大物を狙ったり、幾多の「名言名句」を残している人など。
そういえばサントリーの「角瓶」の宣伝(テレビ)で「少し愛して、長く愛して」を女優の「大原麗子」(故人)があの「ハスキー・ボイス」で囁くシ~ンでは、もうノックアウト寸前だった記憶がある(笑)。
また、名言にはこういうのがある。
「漂えど沈まず」「悠々として急げ」「毒蛇は急がない」「たとえ明日、世界が滅びるとしても、今日、あなたはリンゴの木を植える」「おだやかになることを学べ」「心に通ずる道は胃を通る」「心はアマ、腕はプロ」「釣りの話しをするときは両手を縛っておけ」「釣師と魚は濡れたがる」等々。
ついでに、この種の名言にはあの大宅壮一氏による「男の顔は履歴書」「女の顔は請求書」というのがある(笑)。
それはさておき、本書にひととおり目を通して 記憶に残った箇所を拾ってみた。
✰ 「ノン・フィクション」の傑作としてとりあえずこの3つを推薦したい。
「アンネの日記」「コン・ティキ号探検記」「反乱するメキシコ」
もう読んだ人はもう一度、まだ読んでない人はすぐ書店に走って熟読・玩味されたし。そして、熟読も玩味も終わったら、それを水煮にする。味の素もコンブもマギーも入れずに水だけでグツグツ煮る。
そのスープを夜ふけに畏怖をこめてすすること。まだ残っていたらヤカンで煎じて飲むこと。
✰ 「心はさびしき狩人」
あるとき出版社から(読書している)写真を求められ、現実の話として「布団の中で本を読む」シ~ンを要望したところカメラマンの人に、ひとことでしりぞけられた。
「いけません」という。
「何故?」と聞くと「日本の部屋で写真に布団を入れるときまってエロかグロになるんです。そうでなきゃ病人かどちらかですよ。西洋のベッドみたいに家具になりきっていないんです。」
「なるほど」「布団は寝るために敷くもんです。ベッドは寝なくても人目さらしてある。あれは家具です。ところが布団はそうじゃない。寝る時以外は隠してあります」「・・・ははァ」
「だから写っているのがエロでもグロでもなくても、とにかく布団というのは見ただけでチカチカとくるものがあるんです。日本映画で布団のあるシーンが出てきたら、ただそれだけでなんだかドキッとくるでしょう、ね、くるでしょう、ドキッと」
「そうだなァ、そういわれると、なんとなく」「アレですよ、アレ、アレですよ」
筆者注:何となく腑に落ちて思わず笑ってしまったが、それはともかく標題にある「狩人」という言葉に大いに感じ入った。
ブログのタイトルを「音楽&オーデイオの小部屋」から「音楽&オーディオの狩人」にしたくなった。こちらの方が躍動的で”しっくり”きませんかね(笑)。
最後に「名著ゼミナール~今夜も眠れない~」から厳選30冊をメモしておこう。
「ジャカルの日」「元首の謀反 上下」「スパイになりたかったスパイ」「白い国籍のスパイ 上下」「秘密諜報員 アルフォンスを探せ」「アシェンデン英国秘密諜報員の手記(モーム短編集)」
「コン・ティキ号探検記」「ハーレム・ピープル 原始に生きるブッシュマン」「ナバニュマ アマゾン原住民と暮らした女 上下」「パパラギ はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集」
「舌鼓ところどころ」「最後の晩餐」「象牙の箸」「食生活を探検する」「反乱するメキシコ」「黒い夜白い雪 ロシア革命」「源氏物語 付き現代語訳」「チャタレイ夫人の恋人」
「タイム・マシン」「海底二万里」「山椒魚戦争」「継ぐのは誰か?」「ミクロの決死圏」「一九八四年」「大帝ピョートル」「釣魚大全」「シートン動物記 上下」「野生の呼び声」「ティキシィ」「ソロモンの指環 動物行動学入門」
以上の30冊について、(図書館の)「新刊コーナー」で好みの本が見つからないときは積極的に探してみるとしよう。