「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「オーディオ」 この1年をふり返って

2014年12月30日 | オーディオ談義

いよいよ年の瀬も押し迫り、今年も残すところわずか1日となった。

この1年をふり返ってみるといろんな出来事があったが、オーディオに限っては自分で言うのも何だが飛躍的な年となった。つまり「当たり年」~(笑)。

そこで功績のあった主要な機器をピックアップしてみよう。今年は元旦からメモ風の日記をこまめにつけていたので非常に便利である。逐一、頁をめくっていくと交友関係を通じて見えてくるものがあった!

☆ CDトランスポート「ラ・スカラ」(dCS)の到着(3月13日)

ワディアのCDトランスポート「270」が故障したため、修繕期間だけ貸与という約束で東京のオーディオショップから届けられた「ラ・スカラ」だが、オーディオマニアの常で一度聴くと手放せなくなって、とうとう居ついてしまった。

       

オーディオ仲間たちからも絶賛の嵐で、「ワディアとは全然次元が違いますよ」の言葉にはほんとうに参った!

「清水の舞台から飛び降りる」思いで手に入れたわけだが、その一方、世の流れはいまや「草木もなびけ」とばかり、「パソコンオーデイオ」へ“ひた走っている”ので明らかに時代遅れの機器ではある。

しかし、手持ちのCD以外にこれ以上音楽のレパートリーを広げるつもりはないし、それにクラシック専門チャンネル「クラシカ・ジャパン」も「HDD」になって非常に音が良くなったので重宝しており「パソコンオーディオ」へ手を広げる“いとま”がないのがつらいところ。

ま、くどくどと言い訳はよしておくとしよう。パソコンが苦手という事実は争えないのだから(笑)。

☆ 「AXIOM80」(最初期のオリジナル:以下「80」)の到着(10月16日)

         

これまでずっと復刻版(2セット)で楽しんできてそれほど不満もなかった「80」だが、こうして最初期版を実際に手に入れて聴いてみるとやはり「一日の長」があるようだ。

復刻版との相違点だが「マグネットが強力」「コーン紙が軽い」「カンチレバーが薄い」(画像の白い線で囲んだ部分)といった特徴があり、全体的に音の艶がより一層良くなって柔らかくなった印象を受ける。

11月下旬に同じ最初期の「80」を愛好されている福岡のSさんに試聴していただいたところ、後日のメールで「本場イギリスでもこんなにいい音で鳴らしている人は少ないのでは!」と絶賛していただいたので勇気百倍。しかし単純に受け止めていいのかな(笑)。

いろいろ欠点もあるユニットだが、大好きなヴァイオリンをこれほどの音色で鳴らしてくれればもはや言うことなし!

☆ トランス式アッテネーター(11月23日到着)

          

カンノのパーマロイコアを使ったトランシス式アッテネーターが到着してからおよそ1か月経過したが、改めて音質に惚れ惚れしている。パワーアンプの悪い癖を見事に矯正してくれる気がするが、取り分け高音域でその効果が大きい。「80」は高域に独特のクセを持っているので補完的な役割を果しているのだろう。

ただし、明らかにアンプ側との相性もあって、どちらかと言えばゲインが低くて地味なアンプは輪をかけておとなしくなるので繋がない方がベターである。いずれにしろ使い方についてはもっと研究の余地があると思っている。

ほかにもプリアンプ系についてはTR式を3台オークションで落札したが、「ちょっと聞き」はいいものの長時間聴いていると何だか疲れてくる。そこで知人を通じてほぼ元値で捌いてもらったが、もうTR式はコリゴリ~。

☆ 消磁&エージングシステム(12月20日到着)

             

実はこれは購入したものではなく、オーディオ仲間から借りている真っ最中の機器。

周知のとおり、オーディオをやってて厄介なのが「磁気対策」「振動対策」である。いずれも目にはまったく写らないし、耳にもそれと分かるほどハッキリ伝わってこないところがあり、対策をとるといっても非常に難しい。

そもそも完全に磁気とか振動を無くした方が音響にとっていいことなのかどうかも定かではない。

周知のとおりオーディオは相互に関連する変数要因があまりにも多過ぎる。部屋の音響、CDなどの前段機器、アンプなどの増幅系統、音質を大きく左右する変換系のスピーカーなど枚挙にいとまがない。しかも真空管アンプなどは、ドライバー管、整流管、出力管の種類や相性によっても音が千変万化する。

こういう中から、磁気とか振動の因果関係を考察するのはとても無理なので頼れるのは実際に試聴してみた結果による「自分の耳」だけしかない。

今回もこの機器を実際に使ってみて使用前と使用後の比較によってはじめてその効果が納得できた。

前述した「トランス式アッテネーター」はときどきトランスに宿った磁気を取り払う必要があるので仲間に頼んで持ってきてもらったわけだが、これは同時にパワーアンプのトランスまで消磁してくれる優れものだった。

使用前と使用後では明らかに違いがあって「80がより一層、水も滴るいい音」になったと、仲間ともども喜び合った。

まるで、最後の締めとしてちょうど1年間の垢を取り払ったような気分(笑)。

さて、最後になったがオーディオといえばつい新しい機器ばかりに目が行きがちだが、いろんなアドバイスや情報提供があればこそ的確な機器の選択も出来るし、無駄遣いの防止にも大いに貢献してくれるのでオーディオ仲間たちにはただただ感謝あるのみ。

「オーディオの本質はハード(機器)よりもマンパワー(人的資源)にあり」を改めて思い知らされたこの1年だった。

さて、今年のブログはこれで終わりです。皆さま、どうか良いお年をお迎えられますように~!
 


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身の回りあれこれ

2014年12月28日 | 独り言

☆ 9連休

今回のお正月はカレンダーの日付が絶妙の配置になっており、12月27日(土)~1月4日(日)まで9連休という会社員やお役人さんがさぞや多いことだろう。

我が家の一人娘も例外ではない。26日(金)の昼ごろ宅配便でドカンと大きな段ボールの箱が届いた。「はて、こんな大きなアンプをオークションで落札したかな」と一瞬ドキリとしたが、送付人の名前が娘になっていたのでナ~ンだ。

「これから9日間お世話になります。その間の必要な荷物を送りますのでよろしく」という連絡はいっさい無し(笑)。

まるで「身勝手な居候宣言」を象徴するような荷物だったが、娘が帰ってくるとまるで味方が増えたかのように急に強気になる家内と一緒になって、これから9日間たっぷりと苛められることだろう、多勢に無勢なのでヤレヤレ。

(荷物の)中身の方は、パソコンやブルーレイ・デッキ、そしてミステリだった。

          

「ソロモンの偽証(全6冊)」(宮部みゆき)は(娘が)かねてから文庫本になるのを待ちわびていたようで、この休みで一気に読み上げる積もりで購入した模様。もちろんミステリには目のないオヤジ殿もご相伴にあずかるつもり~。

ちなみに同梱されていた「このミステリがすごい!2015年版」の恒例の国内編、海外編のベスト10のうちベスト3を挙げておこう。

〇 国内編

1位 「満願」(米澤穂信著)  2位 「さよなら神様」(麻耶雄嵩) 3位 「闇に香る嘘」(下村 敦)

「満願」(短編集)は2か月ほど前に図書館から借りてきて読んだが、初めの「夜警」は別としてその他はどうもピンとこなかった。そもそも短編集はシャーロック・ホームズ物を除いてこれまで感心したことがないので、読む前から早くも諦めムードだった。

2位の作品も短編集で問題外、3位になってようやく長編の登場。「闇に香る嘘」は栄えある第60回江戸川乱歩賞受賞作(賞金1千万円)で、たいへんな話題作。「盲目というハンデを背負った男を主人公に据える高い難易度に挑んだ意欲作」とのことで、これはぜひ読んでみたい。 これまで同賞受賞作を読んで外れたのはたった1冊だけだったので確率的に先ず間違いはなかろう。

〇 海外編

1位 「その女アレックス」(ピエール・ルメートル) 2位 「秘密(上下)」(ケイト・モートン) 3位 「ゴーストマン時限紙幣」(ロジャー・ホッブズ)

ミステリは独裁国家や共産圏国家など言論の自由がない国からは絶対に生み出されない。しっかりした三権分立のもとで容疑者の人権が保証された健全な民主主義国家ならではの産物で、イギリス、アメリカ、ドイツなどの作品に指を屈するが今回の1位は珍しくフランス発の警察小説(パリ警視庁)だった。かっての名作「メグレ警部シリーズ」(シムノン)を彷彿とさせるが、娘が持ち帰ってきたのを奇貨として是非読ませてもらおう。

2位は「訪ねてきた男を刺殺した母はほんとうに正当防衛だったのか?娘は死を目前にした母の過去を探るが・・・」というストーリー。なかなか面白そう。

3位は「盗まれた大金を取り戻す。タイムリミットは48時間。若き才能が描くクールな犯罪小説」とのことだが機会があれば読んでみようかなという程度。

「秘密」をさっそくネットで予約登録(県立図書館)したところ、貸し出し中だったが幸運にも“予約なし”でこれは早めに読めそうだ。

☆ <冬の入浴>血圧の変動で起きる「ヒートショック」に注意

この見出しは毎日新聞の「12月24日」の記事としてネットに掲載されていたもの。なぜ取り上げたかというと、このところご近所の方が相次いで入浴に起因して二人も亡くなられてしまった。ウォーキング中に出会うと必ずニッコリ笑ってご挨拶される方々だったので少なからずショックを受けた。

共通点は「高齢のご婦人、独り暮らし、風呂場で死亡」。いずれも発見が遅れてしまった。お一人は親族の要請で警察が踏み込んで発見、もう一人の方は翌日になって訪問介護によって浴槽の中で発見という悲惨な状況だった。

「俺は元気だから関係ないよ」という方もいるだろうが、念のため記事の中身を紹介しておこう。

自宅で入浴する際の事故が高齢者を中心に増えている。主な原因は温度の急激な変化により血圧が大きく変動して起きる健康被害「ヒートショック」だ。ヒートショック関連の入浴中の死者は推計年間1万7000人に上り、冬の被害が多い。どうすれば、安全な入浴ができるのか。


◇ 血圧上昇と低下

ヒートショックはなぜ起こるのか。暖房をしていない脱衣室で衣服を脱ぐと、寒さの刺激で血圧が急激に上がり、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中の原因となる。さらに、温かいお湯につかると血管が拡張して、血圧は急激に下がる。

通常、血圧の正常値は、「140~90ミリHg」ぐらいとされる。東京都健康長寿医療センターの調査では、入浴後6分で30~90ミリHgも血圧が下がり、失神して溺死する危険があるという。

高齢者は元気でも体温維持機能が低下しており、血圧変化を来しやすい。若い世代でも高血圧や生活習慣病の患者は、起きる可能性がある。


◇ 年1万7000人死亡

同センターは、全国の消防機関に行った調査で2011年の搬送者数を基に死者数を推計したところ1万7000人だった。同年の交通事故死者数(4611人)の4倍近くになる。

このうち、65歳以上の高齢者は1万4000人とみられる。高齢化の影響か死者数は増加傾向にあり、同センター研究所の高橋龍太郎副所長(63)は「無理な入浴は避けているはずの80歳以上の方にも被害が出ている」と憂慮する。


1万人当たりの発生件数を都道府県別でみると、沖縄県と北海道が少ない。このうち、沖縄県はもともと温暖であり、北海道は家屋が耐寒仕様になっており、浴室も暖かいためとみられる。季節的には1月が最も多く、最少の8月の10・7倍にも上る。入浴習慣が違うためか、海外ではヒートショックによる死者は少ないという。

◇ 浴室で熱中症も

一方、給湯器大手「ノーリツ」(神戸市)の研究開発本部で入浴を研究している野中隆さん(38)によると、ヒートショックより件数は少ないが、冬でも浴室内で熱中症になることに注意すべきだという。寒い浴室でなかなか出られず、浴槽で過剰に身体を温めてしまうわけだ。

◇ シャワーで給湯

ではヒートショックを防ぐにはどうすればいいのか。高橋さんは「屋内の寒さが原因のため、住宅を断熱改修すればよいものの、費用がかかってしまう。

すぐにできることは、浴槽にお湯を張るときにシャワーを利用すること」と提案する。高い位置にあるシャワーからお湯が出ることで、浴室全体を暖めることができるというのだ。

さらに、▽ 脱衣所や浴室を暖房で暖める 
▽ 食事直後や飲酒時の入浴を控える ▽ 夕食や日没の前に入浴する ▽ あまり長湯をせず、お湯の温度は41度以下にする--などの対策を挙げている。

野中さんはこの他、高齢者や高血圧の人は心臓が完全につからないよう、みぞおちあたりまでにしておいたほうがよいとアドバイス。かけ湯も水面からでる部分は避けたほうがよいとしている。

以上のとおりだが今年はことのほか厳しい寒さが続く中、「お風呂」だけはお互いに気をつけましょうねえ。
 


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モーツァルトの「ヴァイオリン・ソナタ集」

2014年12月25日 | 音楽談義

この30年ほど専らモーツァルトの音楽に親しんできたので“今さら何だ”と言われそうだが、ここ2週間ばかりすっかり「ヴァイオリン・ソナタ集」に嵌っている。

この「ヴァイオリン・ソナタ集」はオペラなどとは違ってモーツァルトにしては非常にマイナーなジャンルにあたるが、
朝な夕なに聴き耽っておりウォーキングやエアロバイクを漕ぐときも頭の中にフレーズが自然に浮かんできてつい口遊むほどで、これは明らかに“淫している”状態にある。ちなみに「淫」とは、姦淫とか淫乱とか非常に語感が悪いが「度を越して熱中する」(広辞苑)ことをいうので念のため(笑)。

とにかく「いい音楽を聴くと必ず後に尾を引く」と、よく聞かされるがまさしく身をもって体験している。

ソースはCDとは違いクラシック専門放送「クラシカジャパン」(CS放送)を録画したもので、ギル・シャハム兄妹のピタリと呼吸の合った
演奏が何とも形容のしようがないほど素晴らしい。

          

番組中の「K301~306」の一連のソナタは1778年(22歳)に作曲されたもので、いかにも天真爛漫というべき「モーツァルトらしさに」溢れた作品で、正式な題名は「クラヴィール(ピアノ)とヴィオリンのためのソナタ」で、平たく言えば「ヴァイオリン助奏付きのピアノ・ソナタ」のこと。

形式上はピアノが主役となっているが、そこはさすがにモーツァルトでピアノとヴァイオリンがまったく対等となって丁々発止のやり取りを繰り広げている。その絶妙の緊張感と調和は何度聴いても飽きがこない。

去る20日(土)に、ご近所にお住いのYさんが久しぶりに我が家に試聴にお見えになったときもこの録画番組を真っ先に視聴していただいた。

ちなみにYさんは実際にフルートを演奏される方で日頃から生演奏に触れられているせいか非常に音にうるさい方。そのフルートにしても金製でトヨタ・クラウン並みのお値段とのことで、その熱心さが推し量られようというもの(笑)。

ひとしきり聴かれてから「このヴァイオリン・パートはフルートでときどき演奏してますよ。」とのご発言。

エッと驚いた。「とても複雑そうですが演奏が難しくはないですか?」

「いいえ、まるでフルート向きに書かれたみたいに簡単ですよ。しかしヘンデルなどの音楽とは違ってモーツァルトを演奏するときはいつも変化に富んでいてまったく飽きがきません、こればかりは不思議ですねえ~。」とYさん。

自分の日頃のモーツァルトへの思いを裏付けしてくれる貴重なご発言である(笑)。

一般的にモーツァルトの音楽はクラシックというジャンルの中で一括りにしてアッサリと片付けられているが、他の作曲家たちと同列に論じられるのが間違っているような気がしてならない。何といっても音楽の成り立ちがまったく違う。

手紙魔だったモーツァルトにはいくつもの残された書簡があるが、その中で作曲に当たっての非常に興味深い記述がある。(小林秀雄「モーツァルト」より)

要約すると、「曲目の構想が奔流のように頭の中に浮かんできてどんなに長いものであろうと一気に完成します。まるで美しい一幅の絵を見ているみたいです。後で楽譜に写す段になると、脳髄という袋の中から必要なだけの“かけら”を取り出してくるだけです。」

「天才の極印」(同書より)として非常に有名な箇所だが、こうして出来上がった音楽は文字どおり「天馬、空を駆けるが如し」で伸び伸びとして微塵も不自然さが感じられない。他の作曲家たちのように苦吟しながら何度も何度も推敲を繰り返して完成する音楽とはまるっきり異質で明らかに一線を画している。

ヴァイオリン・ソナタを聴くたびに「モーツァルトはやっぱり凄いなあ、天才やなあ!」とまるで“うわ言”のように繰り返しているが、このブログを書く段に当たって、ある程度の予備知識を蓄えておこうと県立図書館に出かけて関係図書を借りてきた。(21日)

         

右側の「モーツァルトその人間と作品」(アルフレート・アインシュタイン著)は、数あるモーツァルト研究書の中でも白眉とされているが、その348頁に「ヴァイオリン・ソナタが作られた当時はフルート奏者のために作曲をしていた時期に当たり、ヴァイオリン・パートは明らかにフルート的な性格を有している。」とあった。

Yさんが「ヴァイオリン・パートはフルートでも演奏しやすい」との発言にピタリと符合することに驚いた。

何はともあれ、こういう名曲をヴァイオリンの音色に特化した「AXIOM80」で聴けることは至上の喜びとするものである。

ちなみに、Yさんには(この曲を)初めにJBLシステムで聴いていただき、途中から「AXIOM80」に切り替えて試聴していただいた。

その結果「まったくヴァイオリンの音色が違いますね。JBLだとツルンとして“のっぺらぼう”に聴こえますが、AXIOM80になると、非常にしなやかで細かい襞の部分まで再生してくる印象を受けます。」
とのご発言。

“我が意を得たり”とばかり「いつも思うのですが(スピーカー側が)金属のダイヤフラムだと、どうしてもヴァイオリンの音色が硬くなりますね~。」と、すぐに返した。

その代わり、ピアノや金管楽器の響きなどはJBLの独壇場だから「音の神様」は実に公平である。

そこで一言。

「AXIOM80に打楽器や金管楽器の本格的な響きを求めるのは、比丘尼(びくに)に求めるに陽物(ようぶつ)を以ってするようなものだ」(司馬遼太郎「歳月」)。(笑)


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「当たるも八卦当たらぬも八卦」シリーズ~その3~

2014年12月23日 | オーディオ談義

品質保証が定かではないオークションの品物は当たりもすればハズレもする。今回は大いに食指をそそられたものの、やむなく見送った案件を2つほど挙げてみよう。

☆ SHINDO LABORATORY 新藤 300B モノラルパワーアンプ

            

名管の誉れ高い真空管「WE300B」を使用した豪華なアンプである。

掲載されていた解説によると使用頻度が少なく内部パーツはほぼ純正状態、真空管も当初のオリジナルのままで出力管「WE300B」、整流管「WE274B」、初段管「WE310A」、二次増幅管「WE349A」という全てウェスタン製の真空管。

定評のある名管ばかりで真空管マニアなら一度は聴いてみたいという涎が出そうなアンプ(笑)。

制作元の「新藤ラボ」のアンプは所有したことはないが、知人が同社の「KT88プッシュプルアンプ」(モノ×2台)でクリプッシュホーンを鳴らしているのを聴かせていただいたことがあるが、クセのない朗々たる音だった。

今回のケースでは自分は既に「WE300B」アンプ(モノ×2台)を持っているし、欲しいことは欲しいがとても手が出ない価格になるのは分かりきっていたので半分は諦めムードだった。残された興味は価格がどこまで上がるかということだったが、結局最終落札価格は「111万円」(12月14日)という、オークションでは珍しい高値を呼んだ。

オーディオ仲間も注視していたが「おそらく落札者は中国ルートでしょう。転売すれば250万円は固いでしょうからね。」とのことだった。あな恐ろしや~(笑)!

ところで、この際とばかりここ20年ほど聴いてきた「WE300B」観について個人的な意見を述べてみよう。「雉も鳴かずば撃たれまいに」だが(笑)。

どちらかと言えば音声信号を忠実に再生するクセのない真空管で無色透明に近い持ち味がある。安心して音楽を聴ける反面、魅力を積極的に発散するタイプではない。「振るい付きたくなるような音」とは無縁の存在で、中高音域に独特の艶と華やかさを持つ「AXIOM80」にはちょっと合わない。総じてヨーロッパ系のスピーカーは苦手の部類に入るだろう。

ただし、真空管の音質の「決めつけ」はうかつにできない。ドライバー管や出力トランスの性能などによって激変するのであくまでも「現時点では」という予防線付きでの話~。


☆ 真空管アンプ 「2A3」トランスドライブ パーマロイコアの出力トランス使用

ネットからウッカリ消去してしまったので写真を掲載できないのが残念だが、このアンプばかりは入札に参加しようかどうしようかと最後まで迷った。

当初の段階で同じ「AXIOM80」仲間に相談を持ちかけると「解説文からして出品者は真空管の扱いにものすごく長けた人の匂いがしてきます。ウェスタンの274B(整流管)、ヴィソース(フランス)の刻印入り2A3が4本も付属していてとてもお買い得品ですが、後は入札価格がどこまで上がるかですねえ。」

いくらオーディオ大好きといっても「矩」(のり)というものがある。法外の値段に追従する積もりは毛頭ないが、付属の真空管の価格だけで軽く20万円はいくだろうから、30万円ぐらいまでなら狙い目である。それに一番魅かれたのは「パーマロイコア」の出力トランスだった。

なぜか?

これは自分のケースに限っての話だが、これまで一番苦労したのが低音域の処理だった。

低音域はピラミッドの底辺のような基礎的な役割を果しており、「音の分解能に秀でて爽やかで軽くて弾むような低音」が理想だが、これが残念なことにいまだに実現できていない。

「分解能」と「量感」が両立せず、ドロ~ンとしたような低音が全体の足を引っ張ってしまう。変な低音を出すくらいなら「いっそのこと物足りないくらいの方がいい」というので、実は「AXIOM80」を愛用している理由のひとつもここにある(笑)。

ちなみに「分解能のいい音」というのは、平たく言えば「演奏されている楽器の位置と音色がくっきり浮かび上がって明瞭に聴こえること」をいう。

熟練したマニアからよく「重たい低音」「軽い低音」という言葉を聞かされるが、音の分解能が優れていると明らかに軽い低音のイメージを受ける。音に目方があるわけではないので、こればかりは聴感上の問題だが他家で試聴させてもらうときは、いつもこの点に神経を集中する。

これまで聴かせてもらった中で「軽い低音」の最たるものはGさん宅(福岡)の音だった。ジェンセンのフィールド型(口径46センチ)だったが、大口径のユニットにもかかわらず、まるで涼風が吹き抜けていくような「軽い低音」にビックリ仰天していまだにその時の音が耳に焼き付いて離れない。

詳しくお伺いしてみるとアンプの出力トランスのコアがパーマロイだそうで、爾来「パーマロイのコア」は憧れの的となった(笑)。

今回、出品されたアンプも出力トランスが「パーマロイのコア」ということで大いに魅かれたわけだが、少し気になったのが「インターステージトランス」がパーマロイのコアを使ったものではなかった。これが唯一ともいえる瑕疵だった。

「これさえ揃ってくれれば絶対に入札に参加するのだが」と切歯扼腕(?)。

最終局面になって再度仲間に相談してみると「オークションは少しでも気に入らない点があるときは止めといた方がいいですよ。ほら、ネクタイと一緒ですよ。すべて気に入った柄を買ったときはいつまでも愛用しますが、そうでないときは無用の長物になりますよ。」

結局入札を見送ったが、大いに気になった最終落札価格は25万円だった。安い!

しかし、このアンプの所有者はどうしてこれほどの逸品を手放す気になったのだろう。その辺の理由はいっさい記入されてなかったのがちょっと気になる。真空管「2A3」はとてもいい球だけどあまりにも品行方正すぎて少し物足りない点が出てくるが、そういうところに嫌気がさしたのだろうか。

「逃がした魚は大きかった」とばかり、名残惜しげに憶測は尽きない(笑)。


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「当たるも八卦当たらぬも八卦」シリーズ~その2~

2014年12月20日 | オーディオ談義

オークションで購入した品物は“当たり”もあれば“ハズレ”もする。今回は前回と違って“大当たり”のケースである。

☆ E180CC PHILIPS MINIWATT 2本組 真空管(落札日:2014.12.7)

             

たまたまオークションで見かけた「E180CC」という真空管。

「オランダ フィリップス」ブランドに大いに魅かれるものがあったので、
真空管の薀蓄(うんちく)にかけてはおそらく右に出る人はいないKさん(福岡)とGさん(福岡)に訊ねてみた。

「オランダ フィリップスのE180CCという真空管がオークションに出品されてますが、使ったことがありますか?」

お二方とも口を揃えて「いいえ~、これまで使ったことがありません。E80CCなら名管として知ってますが。」

この答えに怯むような自分ではない(笑)。さっそくネットで調べてみるとE180CCは「μ(ミュー)=46」だった。μとはその真空管の持つ特性のうちでも最も大切な「増幅率」のことである。

たとえば、
「電圧増幅管」として代表的なものは「12AX7」「12AU7」といったところだが、そのμを例示してみると次のとおり。

12AX7(μ=100)、12AT7(60) 12AZ7(60) 12AY7(44) 12AV7(41) 12AU7(17) 12BH7(16.5)といったところで、最も汎用されている「12AU7」のμはかなり低い。

これらの真空管を思い切ってほかの真空管に差し換えることで音質が随分良くなることがあるのでこのところズッポリ嵌っている。一番重宝しているのが「E80CC」や「12BH7」で我が家のアンプに使っている「12AU7」はすべて差し換えている。ただし、我が家のシステム環境ではという条件付きなので他家では当然ハズレもあるだろう。その辺は保証の限りではない(笑)。

ちなみに、この真空管の「増幅率」(μ)の違いによりアンプの音色が激変する。しかも出力管と違ってミニチュア管なので価格の方も比較的安価に済むので非常にありがたい。

とはいえ、真空管の基本特性の諸元はいろいろあって、単なる「μ」だけで使用判断するのは危険なのは分かっている

差し換えてノイズさえ出なければ良し」
という具合だから随分荒っぽい話ではある。出力管も含めて他の部品に与える影響を無視しているのだから専門家の観点からはきっとタブーに違いない。ま「虎穴に入らずんば虎児を得ず」というところで許してもらおう(笑)。

さて、話は戻って「E180CC」だが、「μ=46」という値はそれほど大きくもなく小さくもなく随分使いやすそうである。まあ、「冒険してみるか」というわけで落札。入札は我が1件だけだった。誰にとってもあまり馴染みのない未知の球なのだろう。

すぐに丁寧に梱包されたE180CCが我が家に到着した。ピンの根元辺りをじっくり拝見したが、あまり変色しておらず中古には違いないが程度は良さそうである。

大いに期待して、まず「71Aシングルアンプ」に挿し込んでいる初段管「E80CC」に差し換えて試聴してみた。

一聴した瞬間に「オッ、なかなかいいじゃない!これならE80CCと、どっこいどっこいだなあ。」。

ところが1時間ほど連続して試聴してみると、左右両側の「AXIOM80」から何とも表現しようのない非情なノイズが聞え出した。もともとは「6SN7GT」(μ=20)が使ってあったアンプなのでおそらくμ値が高すぎるのだろう。これはいけませぬ!どんなに「お気に入りの音」が出ても、ノイズが出ればたちどころにアウトなのが我が習性である(笑)。

「71Aシングルアンプ」は失敗の巻で、次に目を向けたのがJBL375用に使っている「刻印付き2A3シングルアンプ」である。

現在、初段に使っているのは「6SL7GT」(ムラードECC35)でこの真空管は「μ=70」だが、使えないことはあるまいと踏んだ。水と同じで高き(μ=70)より低き(μ=46)に流れるのは自然の流れ(?)。

ただしソケットのピンサイズが合わないので、こういう時のためにちゃんと「6SL7、6SN7=12AX7、12AU7」にマッチングするアダプターを準備している。

         

これでJBL3ウェイシステムを聴いてみると、信じられないほど音が柔らかくなった。どちらかと言えばあの華やかな音を出す傾向のある「375」がである!クラシックを聴くにはもってこいで、出力管の「刻印付き2A3」も欧州管だし「これはオランダ フィリップスの匂いがしてくる音だなあ」と大いに感じ入った。

肝心のノイズの方も10日ほど経つがいっさい無しで、「E180CC」当たりの巻~。

調子に乗って、またまたオークションに出ていた「アンペレックス」ブランド(オランダ)の「7062=E180CC」4本も落札した。まるで「無人の荒野を行くがごとき」で今回も入札は自分だけ。

これでスペアは十分確保したのであとはもう高枕~。
 


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当たるも八卦当たらぬも八卦~その1~

2014年12月18日 | オーディオ談義

タイトルにある「当たるも八卦(はっけ)当たらぬも八卦」の意味は、もう言わずもがなだろうが「占いは当たりもするしハズレもする」(広辞苑)。

「品質保証」が定かではないオークションで購入した品物も「当たりもするがハズレもする」。これまで通算すると、おそらく300件前後の商品を落札したと思うが「当たり」の確率はおおよそ7割程度ぐらい。

もっとも「当たり」といってもその基準はあくまでも落札価格に見合った性能というわけで満足度50%から100%まで様々である。そして、完全にハズレたときはお金が伴っているだけに悲劇である(笑)。

この1か月あまりの間にオーディオ関連の小物を6点ほど落札したが、当たりもあればハズレもあった。そのうちのいくつかをピックアップしてみよう。

☆ GOLDMUND ゴールドムンド バナナプラグ(落札日:2014・11.16)

          

「バナナプラグ」と言ってもピンとこない方もあると思うがその使い道を一言でいえばSPコードをメインアンプのSPターミナルに接続するときに使用するものである。

もちろん「シンプル イズ ベスト」の法則どおり、音質的にはこういうものを使用せずに裸線のままで繋いだ方がいいに決まっているが、我が家では一つのスピーカーにいろんなアンプを日変わりで接続しているので、手間を省くために仕方なく使用している。

微小電流を扱うプリアンプ側とは違って、音声信号を増幅した後の比較的強い電流を扱うパワーアンプ側に使うのだから「まあ大目にみておくれ」という心境である(笑)。

それに先日、同じ「AXIOM80」仲間のSさん宅(福岡)を訪れたときに音質にあれほどこだわるSさんが何ら抵抗なく使用されていたので安心感を覚えたのも理由のひとつ。

現在、使用しているバナナプラグはなかなかの優れもので音質の劣化は自分の耳ではいっさい感じないし、簡単に接続できるので非常に重宝している。

            

そこでバナナプラグの効用を幾分見直してもっと手軽に接着できるタイプはないものかとオークションを漁ってみた。

現用品はSPコードをプラグに接着させる方法がちょっと複雑で(2か所を小さなネジで締めるタイプで極小の専用ドライバーが要る)、もっとシンプルなものをという狙いからだったがすぐに目についたのがこの「ゴールドムンド」だった。

非常にシンプルな形をしているし、マニアならご承知だと思うがスイスの高級オーディオブランドなので品質的に間違いはなかろうという期待もあった。

落札後2~3日で品物が届いたのでさっそくSPコードを接続して、アンプ側のSPターミナルに接続しようとしたところ何とサイズが合わず穴に入らない!バナナプラグ側の棒状の部分の直径が大きすぎるのである。

そこで6台の真空管アンプを次々に試してみたところ辛うじてサイズが合ったのは1台だけという惨状。

こういうトラブルは予想だにしなかったのでガックリ~。バナナプラグにも適正サイズというものがあったのだ!

もちろん初期不良でもないので返品するわけにもいかず、現在何とか使い道はないものかと猛烈に思案中(笑)。


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たった1枚のCDから予想だにしない展開へ

2014年12月15日 | オーディオ談義

昨日(14日)の午後のこと、何気なしにテレビを観ていたら、「フラメンコ」の放映をやっていた。立川市は「フラメンコ」が盛んなところで街路で盛大なお祭りをやっているという。

                      

しかも「フラメンコ」教室の踊り子さんたちが衣装のままで移動し「出前」で飲食店で踊りを披露するというのだからお客さんたちもたまらない。店内には笑顔が溢れて、もの凄く楽しそうな雰囲気だった。

よし、久しぶりに自前のシステムで「フラメンコ」でも聴いてみるかと、取り出したのが次のCD。

                

フラメンコの名曲決定盤として長年の愛聴盤である。2トラック目の「タラント~ソンソンセラ」の、床を踏み鳴らすタップの超弩級の音が聴きどころ。低音域の切れと重量感がどのくらい感じられるか、試聴盤としてもってこいなのだが、ここ2年ばかりうっかりして「忘却の彼方」だった。

ヴァイオリンなどの擦(こす)る音はAXIOM80の右に出るスピーカーはないと思うが、叩(たた)く音となると100点というわけにはいかない(笑)。

当然、JBL3ウェイシステムの出番となってこの曲目を鳴らしてみたところ愕然とした。実に貧相な音!

ひとつのシステムであらゆるジャンルをうまく鳴らそうなんて思うのは欲張りというものである。それは分かっているのだが、この場合はあまりにも極端すぎる。

「AXIOM80」が「100点か0点か」の極端な秀才型とすると、JBLシステムは全科目にわたって平均点をやや上回るような優等生的な役割を期待しているのでなおさらである。

「やっぱり3ワット程度の出力では無理か」と、低音域専用に使っている真空管「2A3」アンプをあっさり入れ替えることにした。

まったく、たった1枚のCDから予想だにしない展開となってしまった(笑)。

予備軍の真空管アンプが2台あって、「VV52B」と「PX25」アンプを試してみたがいずれも「帯に短し、たすきに長し」でどうも、うまくいかない。前者は量感はあるが分解能がイマイチ、後者は分解能はいいが歯切れが今一つ。

とうとう真空管WE300B(モノ×2台)の出番となり、これでようやくひとまず落ち着いた。このアンプは「AXIOM80」用として、ときどき使っているのだが、そう贅沢もいってられない。

          

全体で小1時間ほどかかっただろうか。アンプの交換が一段落したところで日課となっているウォーキングへ出かけた。

このところ運動ジムでの「エアロバイク」と公園での「ウォーキング」を日替わりでやっている。両者とも50分間のトレーニングだが、自分の身体に合っている健康法のようでこの寒さなのに絶好調!

さて、ウォーキングをしているとパッと閃くことがあった。そうか、アンプばかり目がいっていたが、ネットワークもいじってみるか。

現在低音用ユニットを8.3mh(ミリヘンリー)のコイルでハイカット(150ヘルツ付近)しているが、これを6.8mhのコイル(ムンドルフ)で200ヘルツ付近でハイカットしてみよう。

思い立つと、急に歩くペースが早くなった。早く家に帰って是非試してみたいのだ(笑)。

自宅に到着するなり、さっそく「半田ごて」を暖めて作業に着手。15分ほどで終了して試聴してみたところ、これで満足!

コイルやコンデンサーを使ってネットワークを編成するのは賛否両論あるだろうが、「音いじり」の引き出しが豊富になるのはたしかである。

本日はアンプの変更に合わせてプリアンプやアッテネーターの入れ替えも行ったので、結果的に非常に大がかりなシステム変更になってしまった。

ま、しばらくこれで聴いてみようかと、ホット一息ついていたところタイミングよく「AXIOM80」仲間のKさん(福岡)から連絡があった。

「オークションに凄いアンプが出品されてますね。ご存知でしたか?明らかに真空管の特性や取扱いに熟知した方が制作したものですよ。」

「もちろん、気が付いてますよ~。さっそくウォッチリストに登録しました。問題はお値段ですねえ。生活レベルに合った範囲内に収まってくれるといいのですが・・。」

「いい音」のために、生活まで犠牲にする気はさらさらなし。とはいっても悩める日がここ2~3日は続きそう(笑)。


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最後の冒険

2014年12月13日 | 独り言

何だか降ってわいたような衆議院選挙だが、いよいよ投票日(14日)が明日に迫ってきた。

投票当日はいつも会場(小学校)が混んでいて駐車に苦労するので一足先に市役所本館で「期日前投票」を済ませてきた。日曜日(7日)のことだった。

本館1階のレセプションホールで投票を済ませて出ようとしたところ、朝日新聞の「出口調査」に引っ掛かった。

アンケート用紙に記入するものだったが具体的な支持者、比例代表の政党名の記入は当然のことだが「アベノミクス」の功罪についての選択肢を記入するのは意外だった。エッ、そこまで調査するの!

もちろん任意だから記入しなくてもいいのだが、自分はあえて高評価の一番星にしておいた。

近年の為替相場「円安ドル高」の流れについての受け止め方は業種によって“悲喜こもごも”だろうが、自分にとってはまったく望むところで今のところ笑いが止まらない状況である。

なぜなのか、その経緯を記してみよう。「他人の儲け話なんて聞きたくもない!」という方もいるだろうが、ま、そう言わずに(笑)。

時は8年前にさかのぼる。当時、長年に及ぶ宮仕えの対価として少々まとまったお金を手に入れたのでさあ、どう運用しようかと大いに迷った。周知のとおり銀行に預けても微々たる金利だからそれは問題外。

家内が勧めたのは「ドル国債」で「アメリカが破産することはないわよ。もしそのときは世界の終わりよ。」

これを聞いて、その昔「新日鉄」への就職が決まった大学時代の友人の「ご母堂」が自慢げに宣(のたま)った「新日鉄が潰れるときは日本が潰れるときよ。」との言葉を連想したことを覚えている。そういえば、あの頃は「鉄は国家なり」の時代でしたなあ。経団連の会長も鉄鋼出身者が多かった。

結局、家内の仕事関連もあって大半を「ドル国債」に投資した。年利4.4%の複利、10年間の長期運用である。当時は1ドル=114円の時代だったが、この114円のまま推移すれば10年後に元金が5割増しになるというからかなりの高配当だった。

ところが、そうは簡単に問屋が卸さなかった。その3年後ぐらいに例の「リーマンショック」でいきなりドルが暴落し一時は「1ドル=77円」という悲惨な状況に陥った。自分のケースでは丁度「1ドル=75円」のときに元金だけが戻ってくる計算になるのでまさにボーダーラインの状態。

当時は「
為替相場というのはまったく当てにならないなあ」と慨嘆したものだが、家内を憾む気持ちはいっさい無かった。

ま、いっか、今さら別に欲しいものはないし~。

高額消費財といえばまずクルマだが、若い頃と違って別にベンツやBMWに乗りたいとも思わない。我が家には現在旧型のゼロ・クラウンと家内が仕事で乗っているアクアの2台があるが、土曜と日曜はいつもアクアを乗り回している。

ハイブリッドなので馬力もかなりのものだし、小型なので実に乗りやすい。燃費も市街地走行で確実に25km/リッターもいくので大助かり。もう「アクア」クラスで十分である。歳を取るにつれ身の回りの持ち物が「重厚長大」から「軽薄短小」へと移行するのは世の習いというものだろう。

次に欲しいものといえばオーディオ機器だがこれも不思議なことに欲しい機器があまりなくなった。狙っていた真空管はすべて手に入れたし、スペアもタップリでいささかの不安もなし。

ただし、オーディオはときどき機器を入れ替えてやらないと元気が出てこないので、その辺の資金が若干必要だがもうそれほど大金を必要とするような冒険心も湧いてこない。

それやこれやで、4年ほどは以上のような諦観と節約ムードがずっと続いていたのだが、2年前のアベノミクスの登場で事態は一変した。超秀才の誉れ高い黒田(日銀総裁)さんの思い切った金融緩和も明らかに功を奏している。政府と日銀の見事な足並みの“そろい踏み”である。

現在、「1ドル=120円」前後で推移しているがこの状態が後1年半ほど続いてくれればまったく言うことなし。

“取らぬ狸の皮算用”という言葉もあるが、思わぬ為替相場の好転により最近になって精神構造にやや変化が生じてきた。果てしなき欲望がちょっぴり頭をもたげてきたのである(笑)。

現在使っているCDトランスポートはdCSの「ラ・スカラ」だが、ペアとなるDAコンバーターはあいにくワディア製である。これをdCSのDAコンバーターに入れ替えると正規のコンビとして「クロック・リンク」が出来るし、きっと今以上の音が出るに違いない。

                

とはいえ、これは目玉が飛び出るほどのお値段である。しかし、為替相場の結果次第では「最後の冒険」をしてみようかと千千(ちぢ)に心が乱れる今日この頃。

現在、我が家での一番の稼ぎ頭は娘(会社員)である。いくらか援助してくれると強い追い風になるので、帰省の都度、「お父さんにお金を貸してくれないかなあ」と“からかう”のだが「お父さんは無駄遣いしそうなのでダメ~。お母さんなら貸してあげる。」と、つれない返事。

いつもこのブログに目を通しているので、こちらの手の内はすっかりお見通しのようだ。ヤレヤレ。

ま、母親に「告げ口」しないだけ“いい”とするかな(笑)。
 


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高値を呼ぶ真空管

2014年12月11日 | オーディオ談義

前回のブログに記載したように、たいへん稀少な1920年代製の真空管(以下、「特別管」)を不注意な取扱いによって1本ダメにしたのでその旨を同じ「AXIOM80」仲間のKさんに連絡したところ、次のようなコメントが返ってきた。

「非常に残念なことをしましたねえ!しかし、90年ほど前のとても旧い真空管ですから生き残っているだけでも大したもんですよ。まあ、10本購入したとしたらハズレが3本程度あると思った方が賢明でしょう。そういう考え方をしないと古典管を持つ資格は無いと言ってもいいくらいです。

それからエージングの方法をお伝えしておきます。〇〇さんは「2A3」真空管アンプをお持ちですよね。この2A3はヒーター電圧の規格が2.5V(ボルト)になってますので、特別管のヒーター電圧の規格5Vに対して低いので、差し換えてのエージングにはもってこいです。ピン配列は同じですし、非常に緩やかな理想的なエージングが出来ますよ。」

なるほど!これは大変有益な情報。

次に話は「WE300B」真空管の話に移った。

「オークションに出品されていた刻印付きのWE300Bがとうとう911000円で落札されましたね。もしかして〇〇さんが落とされたのではないですか?」と、Kさん。

「いいえ~、私はWE300Bにこれ以上投資するつもりはありませんよ。もう特別管があれば十分です。」

ようやく「足るを知る境地」になってきた今日この頃(笑)。

Kさんが仰るWE300Bの刻印については、このところKさんと大いに盛り上がった話題だった。まずオークションの概要を記してみよう。

          

「WE ウエスタンエレクトリックの直熱3極出力管WE300Bです。 言うまでも無く、WEの代表的銘球で、出品していますのはWE300Bでも最初期の刻印ベースのものです。
どちらも新品元箱入りで、WE300B刻印の未使用品は現在では入手困難になっていると思います。 1940年頃の製品。
どちらも新品元箱入りで(片方の元箱には一方のふたが無くなっているなどいたみが見られます)、今回出品のため測定しただけです(足ピンもぴかぴかの状態)。 特性はTV7/Uにより確認済みです。 測定値は基準値58に対しどちらも82となっています。入札価格は2本セットの価格です。 よろしくお願いします。 」

と、あった。

顔の見えないオークションでの法外ともいえる値段には誰もが警戒心を抱くのは当たり前だが、今回のケースは出品者がメチャ信頼の置ける「〇〇ヴァルブ」さんだったので、皆さんも安心して入札に参加したのだろう。

それにしても2本で91万円だから驚く。これは憶測だが、落札者は中国ルートではないかと思える。国内のマニアがこういう高価な球を音楽鑑賞用に使用するとはどうしても思えないのだ(笑)。

通貨「元」の為替価値の将来について不安を持つ向きが将来にわたって絶対に値下がりのしない確実な品物に代えておこうという魂胆は十分あり得るのではあるまいか。しかも先日のテレビ番組「何でも言っていいん会」では、「元」の下落どころか「中国崩壊説」が真面目に論議されていたほどだった。言論の自由が無い国の末路は“推して知るべし”なのか。

ま、そういうわけで確実に再生産のきかないWE300B、それも刻印付きとあれば投機対象としても不足はないだろう。

11月の下旬に我が家にお見えになったSさん(東京在住)は我が家と同じく「AXIOM80」(最初期版)を使用されているが、「AXIOM80はこれからも絶対に値上がりします。たとえ100万円になってもおかしくありませんよ。こういうツクリのスピーカーは絶対に出てこないんですから~。貴重な文化遺産を是非国内に留めておきたいものですね」と、しみじみ述懐されていた。

話を戻そう。

我が家にもまだWE300Bはある。1951年製が2本、1988年製が2本、1967年製が1本、そして中国製が2本。日頃、使っているのは「1988年製」だが何だか勿体ないので、つい先日左チャンネルに1967年製を、そして右チャンネルに中国製(4300BC)を挿して聴いてみたところ、あまり違和感がなかった。

2本とも中国製の場合は明らかに「音が高域寄りになって変な音」がするのだが、片方をWE300Bにするだけで一変するのだから正直言って驚いた。

自分の耳はあまり当てにならないので(笑)、実際にWE300Bを自宅で聴いておられるAさん(大分)に聴いていただいたところ、「まったく区別がつきません」とのことだった。

これまで散々中国製を謗ってきたのだが、こういう有益な使い道もあるので簡単に捨てるわけにはいかない。

ちなみに、特性の違う真空管が2本あったとすると優秀な方を左チャンネル用に使うか、それとも右チャンネル用に使うのかここはちょっと迷うところだ。「どちらに使っても同じことだろう」というマニアは明らかに修業が足りない(笑)。

いつかあるとき、我が家に試聴にお見えになったKさんにその点をお訊ねしたところ言下に「それはもう左チャンネルに決まってますよ。」とにべもなかった。

オーケストラの主要パートは左側だし、コンマス(コンサートマスター)だって左側に位置している。それに人間の「利き耳」は左側の耳が多いという説を聞いたことがある。周知のとおり右手の機能は左脳が支配しているので、右利きの数が多いだけ「左脳 → 左側の耳」優位ということだろうか。

なお、自分は「右利き」で、「利き耳」は左である。スピーカーににじり寄って音を確認するときはいつも左側の耳を押し当てるクセがあるのでよく分かる(笑)。
 


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地球劇場~100年後の君に聴かせたい歌~

2014年12月09日 | 音楽談義

BS「日テレ」(141チャンネル)の番組に「地球劇場~100年後の君に聴かせたい歌~」というのがある。

1か月に1回ほどの割合で放映されている「歌番組」(19時~20時54分)だが、司会「谷村新司」の「歌があれば地球は劇場となる」のナレーションのもとに毎回著名な歌手がゲストとして登場し歌謡界の裏話などのホンネトークが展開される。

以前の番組では「吉田拓郎」が登場していたが、その中でご自身が作曲した「襟裳岬」が森進一によってまったく違ったスタイルに編曲されておりビックリ仰天、しかし聴いているうちに次第にこれが本来のイメージかもしれないと思うようになったと語っていた。

「襟裳岬」は自分にとっては思い出の曲で現役時代に数少ないカラオケの十八番として、クチパクで随分練習したものだが(もちろん給料のうちだった!)、実際にこの番組の中で谷村新司との掛け合いで吉田拓郎が歌うのを聴いたところ、軽いロック調の歌い振りでその落差に唖然とした記憶がある。しかし、この「襟裳岬」もなかなかいい!

こればかりはCDでも発売されていないので貴重な録画番組として今でも永久保存中。

そして今回(12月7日)のゲストは「小椋 佳」(おぐら けい)だった。日本の男性歌手では一番好きな歌い手さんなので興味津々で拝見。あの透き通った声はなかなか忘れられない。

作詞作曲家、そして歌手としてあれだけの実力と人気に恵まれながら東大法学部を卒業後、銀行マンになった理由を「音楽はあくまでも趣味としてずっと楽しみたかった。仕事にするのはイヤでした。」と、語っていたが何だか分かるような気がする。

「オーディオは大好きだが、それを生業にするのはまっぴらゴメン。趣味と実益は別。」という自分の思いと一緒だ。まあ、生業にするほどの実力もないわけだが(笑)。なお、このブログだって趣味の一環だからご覧のように広告宣伝の類とはいっさい無縁にしている。

小椋さんはもうかなりのご高齢(70歳)で、先日「生前葬コンサート」をやったそうだが、番組の中ではいまだに味のある歌い方だった。何よりもすべての曲目に亘って歌詞がいい。もうまるでポエム(「詩」)の領域に入っている。

たとえば代表作「シクラメンのかほり」の一節。

「真綿色した シクラメンほど 清(すが)しいものはない 出逢いの時の君のようです ためらいがちにかけた言葉に 驚いたように振り向く君に 季節が頬をそめて過ぎてゆきました」といった具合。たいへんなロマンチストである。

ピアノなどの楽器をいっさいやらないので、作詞後に自分なりに節をつけて歌いながら曲を完成させるとのことだった。

当時ではタブーな話も盛りだくさんだった。たとえば小さい頃から大好きだった「三橋美智也」のために作曲した12もの曲目が途中でお蔵入りになり、その代わり美空ひばりが歌うことになったこと、そのときに天下の“ひばり”に対して、あえて歌い方に注文を付けたことなどが披露されていた。

また家族から見た「小椋 佳」の印象として、全国でも数少ない「薩摩琵琶」製作者の次男さんが「怖い存在です。“時間を無為に過ごさないように”といつも気を張っている生き方をしています。常に“人生とは、生きていく価値とは”という話題ばかりです。どうかもう少しリラックスしてよと言いたいところですが、もう無理でしょう。」と言ってたのが印象的だった。

この番組によって飾りっ気のない「小椋 佳」がますます好きになり、番組終了後に興に乗って心ゆくまで手元のCDを引っ張り出して聴き耽った。

          

両方ともいずれ劣らぬ名盤だが、夜が更けるにつれて“ひときわ”音質が良くなるのはオーディオマニアならご承知のとおり。

電源事情の改善や周辺環境の静寂化によりSN比が良くなるせいだという話があるが、適度な音量でもって「AXIOM80」と「1920年代製の真空管」のコンビで聴く小椋佳の歌声は、まるでご本人が目前で歌っているようで、深~い感銘を受け、もう何物にも代えられないほどの素晴らしい時間が過ぎていく(笑)。

と、ここまでは実に良かった!

さて、翌朝のことである。この冬一番の厳しい寒さだったが、毎朝、だいたい4時前後に起きているのでぶるぶる震えながら石油ストーブをつけて、小さい音で音楽でも聴くかと真空管アンプのスイッチを入れたところ、ほどなく「AXIOM80」の左チャンネルからブ~ンというそれほど大きくもないが明らかに異音がしてくる。

信号音が出てきてはいるものの、右チャンネルに比べると明らかに小さい。すわ故障勃発か!

さあ、眠気も何もすっかり吹っ飛んで原因追求にとりかかった。

音声信号の流れに沿ってカンノの「トランス式アッテネーター」、真空管アンプの初段管(E80CC:フィリップス)、そしてSPユニット(AXIOM80)の順に点検したが異常なし。そして最後に確認したのが1920年代製の出力管。一番恐れていた故障なので、あえて後回しにしたのだが・・・。

やっぱり異音の犯人はこれだった。この出力管を左右に入れ替えると今度は右チャンネルから異音がするので決まり。「あ~あ、メチャ稀少な真空管だったのに」と思わず天を仰いだ。

原因をつらつら考えてみるに、おそらく次のような状況ではなかったろうか。

前日の夜遅くまで(といっても22時前後だが)、程良く暖まっていた真空管が今年一番の冷え込みにより、翌朝にかけてガラス管やプレート、フィラメントなどの精密部品が極端に凍結状態にあった。そういう不安定な状況にもかかわらず、アンプ周りの室温がある程度上昇する前にいきなり電源スイッチをオンしたため急激に(精密部品に)負荷がかかって耐え切れずお陀仏になった。

「何せ90年ほど前の真空管だからその取扱いには神経質すぎるほどの用心深さが必要だったのに~」と、大いに悔やんだがもう後の祭り。

おそらくベストな対策として考えられるのは次のとおり。

「まず整流管を引っこ抜いてアンプをスイッチオン。30分ほど真空管のヒーターを暖めてからスイッチオフ。そして整流管を再び挿してアンプのスイッチをオン。それからようやく音楽鑑賞に入る。」

そういうわけで日曜日(7日)は一日中、「ブルー」だった。夕方になってようやく「やけ酒」(「橙」果汁入りの芋焼酎)を“あおって”元気回復(笑)。

「真空管に寿命が来ていたと思えば、ま、いっか」と自分に言い聞かせた。

古典管の愛好家の皆さん、厳寒期における取り扱いにはくれぐれもご用心。少なくとも室温20℃ぐらいになってから使用する方がベターですよ。そうすると(古典管)の寿命もきっと延びることでしょう~。

 


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我が家のJBLシステム

2014年12月06日 | オーディオ談義

<健康一口メモ>

新潮社の「波」という月刊誌がありここ数年定期購読している。小さくて薄っぺらな本だが、新作を中心に書評が沢山掲載されていて非常に重宝している。

その11月号の42頁に「生島ヒロシ」(フリーアナウンサー)さんの「健康マニアが辿りついた“鼻呼吸”」というのが掲載されていた。

要は「寝るときに口に専用テープを貼って寝る」という健康法である。口呼吸をしなくて済むので喉や肺に負担を懸けなくて済むらしい。生島氏によると明らかに睡眠の質が良くなり、風邪をいっさい引かなくなったという。


興味のある健康法を見かけるとすぐに実行に移すのが自分の性癖である(笑)。

専用テープというのがよく分からないが薬局に行って皮膚に優しそうな細身(幅1センチ程度)の絆創膏を買ってきて、寝る前に唇の中心に鼻の下の部分から顎の方向に縦に3センチほど貼ってみた。実に簡単。

これを実行しだしてからもう2週間ほどになるが、翌朝目覚めたときにたしかに睡眠の質が良くなったようだし、喉や肺の荒れをいっさい意識しなくなった。もちろん鼾もかかないようで隣室に居る家内から「昨日は鼾がひどかったわねえ」という皮肉もいっさい無し(笑)。

まあ、人によってそれぞれだろうが睡眠の質や「喉や肺」に一抹の不安がある方は試されてみてはいかがだろう。

閑話休題。

先日(11月29日)のkさん(福岡)との試聴会で最後に聴いたのがJBL3ウェイ・マルチシステム。

ただしJBLといっても混成旅団である。改めて編成内容を述べてみると、

低音域(クロスカット周波数150ヘルツ、6db/oct)

SPユニット(タンノイ・HPD385)+エンクロージャー(ウェストミンスター) → アンプ(真空管2A3シングル)

中音域(クロスカット周波数300ヘルツ、6db/oct)

SPユニット(JBL375)+ウッドホーン → アンプ(真空管刻印付き2A3シングル)

高音域(クロスカット周波数7000ヘルツ、6db/oct)

SPユニット(JBL075)+ステンレスホーン → アンプ(真空管71Aプッシュプル)

この編成で聴いていただくと、Kさんが「前回聴いたときよりも低音域と中音域の繋がりが随分良くなりましたよ。これまで聴かせてもらったJBLシステムの中では今回が一番自然な鳴り方です。」

「いやあ、このシステムは随分苦労しましたがようやく落ち着きました。」と、さりげなく言ったもののKさんの敏感な耳にはいささか驚いた。

実は前回の試聴のときに比べて秘かに定数を変えていたのが中音域のクロスカット周波数だった。

ある日あるとき、別のお客さんのご要望でカウント・ベーシーのCD
「ビッグバンド」を聴いたときに中低音域の薄さに気が付いた。一言でいえば「低音域と中音域の繋がりがうまくいっていない」。

日頃小編成の曲目ばかり聴いているせいで気が付かなかった。たまには異なる音楽ジャンルを好きなお客さんのご来訪もいいものだ(笑)。

すぐに対策を講じた。といっても簡単そのものでJBL375(16Ω)のSPコードの「+線」に噛ませているコンデンサーを替えるだけである。

これまで使っていたコンデンサーは「12μF(マイクロファラッド)+10μF=22μF」の並列接続により、このクロス周波数は「クロスオーバーネットワーク早見表」では、およそ450ヘルツ。

そこで、「12μF+22μF=32μF」にしてみた。この挿入によっておよそ300ヘルツとぐっと下がってウーファーとの繋がりがもっと良くなるはずだと踏んだわけだ。「375」のメーカー規格では「クロス500ヘルツ」となっているのでこれは明らかに禁じ手だが、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」で思い切ってやってみた。

入れ替えたコンデンサー(22μ)は業務用のとても大きな代物だが音の方も抜群にいい(笑)。

         

駆動するアンプがたかだか3ワット前後の小出力の真空管アンプなのでそういう面での安心感はあったわけだが、非常に満足すべき結果となって一件落着。

この話には余談があって、この定数に満足して鳴らしていたところ左チャンネルの「375」から強い音声信号が入ったときにだけ歪音がする。「ヤレヤレ、重たい鉄の塊りを上げ下げする重労働かあ」と慨嘆しながら面倒くさい作業に入った。オーディオは体力勝負の一面がありますなあ(笑)。

重たい「375」を降ろして裏蓋を外し、ダイヤフラム(直径10.2cm)を確認したところ8本の取り付けネジが緩んでいた。おそらくこれが原因だろう。

       

いつぞやのブログで偉そうに(笑)「取り付けネジは締めすぎないように」と記載していたが、あまりにも軽く締めすぎたようで逆にそれが仇となって低音域方向の信号が余計に入ってきたことによりダイヤフラムの振動が激しくなってネジが緩んでしまったようだ。

非常に反省して今回はがっちりとネジを締めて固定した結果、ようやく歪音は皆無となった。ひとまず胸を撫で下ろしたがSPユニットのネジ締めの強度具合はことほど左様に難しい。

とにかく、「AXIOM80」(最初期のオリジナル)はうまく鳴ってくれるし、JBLシステムも満足のいくように鳴ってくれるしで、我が家のオーディオシステムは今のところ言うことなし。

ただし、「この道や 行く人なしに 秋の暮」(芭蕉)で、“音いじり”も限界なし(笑)。
 


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すべては軽薄短小の方向へ

2014年12月04日 | オーディオ談義

前々回からの続きです。

つい「臨時ニュース速報」が入ってしまって記事が途絶えたが、再度「今年はオーディオ機器の当たり年」に戻ろう。

アンプの話が出たついでに、この日(11月29日)の試聴会にKさん(福岡)が持参された「WE349A」を出力管に使ったアンプに触れておこう。

          

つい最近作られたアンプだそうで、持ち重りのしない小柄なタイプ。アンプ道楽のKさんにしてみると、おそらく10台目前後になることだろう(笑)。

余談になるが重量級のアンプは年齢がいくほど重荷になる。システムの配置換えのときなど腰がどうかなりそうだし、修繕に出すときなどは梱包するのにもう大変。どんなに「いい音」がしても重たいというだけで敬遠したくなるのは自分だけだろうか(笑)。

そういえば、日頃聴く音楽もシンフォニーなどの重量級からボーカルや小編成の音楽へと嗜好が変わってきているのを自覚しているが、身の回りすべての好みがひたすら「軽薄短小」の方向へと向かっている気がする。

もちろん、このブログだって同様に「軽薄」の一途を辿っているかもしれない~(笑)。

つい最近、知人を通じてオークションに出品した機器をめぐって自分の過去記事が足を引っ張った事例があり、どこでどんな読者が目を通しているか分からないので、「“うかつ”なことは書けないなあ!」とつくづく自戒する機会を得た。

それにつけても、このブログではあくまでも自分のシステム環境の中で、ある局面をとらえての断片的なモノの言い方になっているので作者が言うのもおかしいが、すべて“真に受ける”のは危険ですよ~。まあ、言わずもがなでしょうが・・。

さて、話は戻ってこの「WE349A」アンプを聴いてみたところ、実に非の打ちどころがない“いい音”がする。ドライバー管はシルヴァニアのメタルベースの「6SN7GT」という、いかにもKさんならではのたいへんな稀少管でまさに名コンビ。

なお、出力管の品定めをするときはドライバー管にも言及しないと意味がないのはマニアならご承知のとおり。さらに厳密に言えば真空管のプレート電圧にまで言及する必要があるからうかつに断定できない。

「これは1920年代製の真空管アンプに優るとも劣らない音ですよ!」と、思わず口をついて出た。やっぱり世の中は広い。自分が知らないだけで、いい音がする真空管がいっぱいある(笑)。

こうなると負けん気がムクムクと湧き起こってきた。我が家のWE300Bシングル・アンプ(モノ×2台)の登場である。

        

初段管が「E80CC」(ヴァルボ)、二次増幅管が「AC/HL」(英マツダ)、出力管が「WE300B」(1951年製)、整流管がレイセオンの「VT244」軍用管(=5U4G)。クラシック向きにと増幅管に「AC/HL」を使ったのが今のところ功を奏している。

さあ、一騎打ちとばかりKさんともども耳をそばだてて聴いてみると、「WE349A」アンプとまったくといっていいほど同じような音が出てきたのには驚いた。表現が難しいが「音の重心が安定していて全体的に密度の濃い音」とでもいうのだろうか。

Kさんも同様のご感想で、異口同音に「ウェスタンというのは凄いですねえ。どんな球でも音のポリシーが一貫してますな~。」

自分は多少へそ曲がりなところがあって有名ブランドや高価な球はつい敬遠しがちになり、悪口を言いたくなるのだがウェスタンの球だけは別格で素直に脱帽せざるを得ない(笑)。

以下、続く。

 


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臨時ニュース速報~医療費の還付金詐欺~

2014年12月03日 | 独り言

今回は臨時ニュース速報です。

一昨日(12月1日)の9時半頃のこと、1本の電話がかかってきた。

「〇〇さんのお宅でしょうか。こちらは市役所の保健予防課の者です。2か月ほど前に文書を送っていたのですが、まだ手続きがなされておりません。過去5年間分の医療費の還元金が溜まっています。直通電話を申し上げますので、急いで手続きをしてください。今日が締切になっています。」

若い男性の声で、背後には大勢で執務しているような、いかにも“ざわざわとした”室内の気配が伝わってくる。

「文書にはまったく心当たりがありませんが、還元金はいくらになってますか?直通電話の機関の所在地はどこですか?」とすかさず訊ねると、「はい、37,000円になってます。所在地は県庁の5階にある社会保険事務局です。」

「分かりました。」と一応電話を切ったものの、念のため県庁に電話して確認してみたところ、受付嬢が「5階に社会保険事務局なんてありません。今日はそういう問い合わせの電話がひっきりなしにかかってきます。」

というわけで、「詐欺」ということが分かった。この手の話はテレビ、新聞などでよく見聞するが自分が巻きこまれたのは初めてだった。

はたして、翌日(2日)の地元紙の朝刊にこの件が掲載されていた。

        

あれほど報道されているのにやっぱり騙されてしまう人がいる。よほどウブで信じ込みやすい人たちなのだろう。しかし、自分もあまり偉そうなことは言えない。

実はご近所の方から半年ほど前にこの医療費の還付金詐欺に引っ掛かった話を聞いていたので、還付金と聞いただけでピ~ンときたのだが、もしそうでなければウッカリ乗せられたかもしれない。

およそ4年ほど前に高度医療(心臓のカテーテル手術)を受けているので、もし還付金があれば欲しい真空管が買えるし~(笑)。

この日(2日)の午後に出かけた運動ジムで知り合いの方々にこの話を披露したところ、皆さん興味津々で耳を傾けてくれた。

実際に身近な例として被害に遭いそうになったという生の声はやはり説得力があるようだ。もし、これが実害があったとすればよりいっそう身につまされたことだろう。

他人の失敗談ともなると「自分だけは同じ轍を踏むまい」と、それはもう骨の髄まで沁みこむんだから~(笑)。

とにかく、皆さん師走どきの“うまい話”には用心しましょうねえ。


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今年はたいへんな当たり年でした!

2014年12月02日 | オーディオ談義

映画俳優「高倉 健」に続いて名優「菅原文太」がまるで後を追うかのように鬼籍に入った。享年81歳。隠れファンとして寂しい限り。代表作は「仁義なき戦い」と「トラック野郎」だが、奇しくもこのブログの前回のタイトルが「仁義なき戦い」だった。

もちろん、このヤクザ映画にちなんでつけたタイトルで“シマ”をめぐる戦いを貴重な真空管の争奪戦に喩(たと)えたわけだが、この映画はメチャ面白かった。命を張った男たちのむんむんする体臭が画面を通じて直に伝わってくるかのようで終生忘れえぬ傑作となった。合掌。

閑話休題。


卒業した職場の先輩が「1日は長いけど1年は短い」という名言(?)を吐いていたが、自分の場合は「1日は短いけど1年はそれ以上に短い」というのが実感。毎日が非常に充実して忙しく、退屈することがまったくない。しかし、家内に言わせると自分は「ぶらぶら会社の社長さん」だそうな(笑)。

さて、今年のカレンダーも残すところ1枚となった。いよいよ師走に入ったのでこの1年間をふり返ってみることにしよう。もちろん「音楽&オーディオ」についての回顧談である。

先日(11月29日)、我が家に試聴にお見えになった同じ「AXIOM80」仲間のKさん(福岡)が「〇〇さん、年初に比べるともの凄く音がよくなりましたよ。今年はいろんな機器を購入されましたが、たいへんな当たり年でしたね~」と、しみじみ述懐された。

「いやあ、まったくそのとおりだと思ってます。おかげさまで近年にない大当たりの年でした。」

地方に住んでいると、いろんな機器を実際に試聴出来る機会に恵まれないのでどうしてもハンディがある。ネットなどで性能などを十分調べてはみるものの最終的には機器同士の相性もあって当たり外れが必ずつきまとう。

万一外れたときはそれはそれは悲惨なもので二束三文で下取りに出さざるを得ない。そういう体験、いわば高い授業料を随分払ってきた。

その点オーディオ仲間たちからのクチコミは実にありがたい。取り分け、同じスピーカーを使っている仲間だと100%に近い確率で的中するので非常に重宝している。

オーディオといえば、つい音響空間や機器群についてのハード面に囚われがちだが、その一方、ソフト面での人との交流による情報交換もけっして無視できないことを痛感したこの1年だった。

この両者がうまく調和し「クルマの両輪」となってはじめてシステムは完成の域に近づいていくのではあるまいかと思う今日この頃。

さて、そこで「大当たりとなった機器」を時系列で振り返ってみることにしよう。

と、ここまで書いたときに何となく引っ掛かるものを覚えた。

畑村洋太郎さん(東大名誉教授)の著作に「失敗学のすすめ」というのがある。「成功談よりもむしろ失敗談に関して学ぶ方がためになる」という本だが、この中に「人は他人の成功談にはあまり興味を示さない。むしろ失敗談の方を熱心に聞きたがる。」という一節がある。

その伝でいけばこれから述べることは成功談なので読者にとってはあまり面白くないかもしれないし、さらには持ち物の“のろけ話”として受け止める向きがあるかもしれない。そういう虞のある方は不快の念を起されるとまずいので、どうかこの続きは読み進まないようにしてくださいな(笑)。

☆ dCSのCDトランスポート「ラ・スカラ」

          

今年の4月頃、これまで長い間使ってきたワディアのCDトランスポート「270」が故障したのでオーバーホールしたものの、その修理期間中、オーディオショップ(東京)の好意で「ラ・スカラ」を貸与してもらい使ってみたところ、なかなかの音質で仲間たちからも「明らかに270を上回る性能」との折り紙つきだった。

戻ってきた「270」と実際に聴き比べても、はっきり分かるほどの差を示したので、これはうれしい悲鳴だった。まったく「ピンチはチャンス!」。

もちろん羽根をつけて飛んでいった大切なものがあるが、その8割方の原資は「270」をオークションに出して回収したのでメデタシ、メデタシ(笑)。

なお、試聴会の都度Kさんが「このdCSがシステムの中で実によく利いてます。我が家の80の音がどうしても追い付けないところがあるのもそのせいでしょう。」と悔しげに洩らされるが、まあ、デジタル機器は日進月歩の世界なのですぐに値崩れするのが残念なところで、そのうち逆転現象が起きるのでどうか気を落とされませんように。

その一方、パソコンオーディオだとあまりその辺の心配はしなくていいが、ストックしている折角のCDが勿体ないし、それも大好きな曲目ばかりなので有効活用の方が何といっても焦眉の急である。したがって、今後もパソコンオーディオをやろうとはつゆほども思わない(笑)。

☆ 1920年代製の真空管を使えるアンプ

           

これまでの真空管に対する認識をガラリと変えてくれたアンプである。一般的に「音のいい球」として流布しているのは言わずと知れた「WE300B」(アメリカ)と「PX25」(イギリス)である。音質に優れた直熱三極管の両雄として並び称されており、自分などは評判に釣られて「この球さえ使っておけば安心」とばかりに長年使ってきた。まあ、平たく言ってみれば「ブランド信仰」ですなあ(笑)。

ところが、まるで真空管の“生き字引”みたいなKさんと出会ってから状況が一変した。95db以上と能率の高い「AXIOM80」に見合った真空管がほかにも沢山あることに驚いた。

世の中には星の数ほどの沢山のスピーカーがある中でなぜ「AXIOM80」を愛用するかといえば、「艶やかなふっくら感」と「音声信号に対する反応の速さ、いわばスピード感」が両立していることにあるが、WE300BやPX25などに比べると真空管の図体が小さい分、スピードの点で軽く凌駕している真空管の存在が何よりも新鮮だった。

いわゆる「71A → 45 → 50 → 2A3」の世界である。「AXIOM80」は45アンプのもとで開発されたと聞いたことがあるし、あの伝説のオーディオ評論家「瀬川冬樹」さんが「AXIOM80」に使用されていたアンプは「245」(45のナス管)だった。

これらの系統のアンプをKさんから持参してもらい我が家で試聴を重ねること1年余り、あまりの「AXIOM80」との相性の良さに感銘を受けてオークションで購入したのが〇〇アンプだった。最後まで競り合って非常に際どい勝負の結果1000円差でようやく落札したが、このちっぽけなアンプがその後の我が家のシステムの命運を握っていようとはその時には夢想だにしなかった(笑)。

このアンプは通常は1940年代前後に製造された古典管を使用するのだが、そのときはたしかに“いい音”には違いないがまあ「並みの音」、それが1920年代後半に製造された特別球に差し換えると音がガラッと豹変するから驚く。

以下、続く。
 


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