「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

これぞ求めていたサウンドか!~第1弾~

2016年09月30日 | オーディオ談義

ウ~ン、どうしよっか!ブログのタイトルにこんなに悩んだのは久しぶり。候補は二つあって、一つは「これこそ求めていたサウンドだ!」 、二つ目は 「これぞ求めていたサウンドか!」

ご覧のとおり、前者は完成形で後者は未完成形。前者にすると後々ブログが書きづらくなるので、結局後者にした。そんなに迷うほど今回取り組んだ音は非常に良かった!

経緯を振り返ってみよう。

去る25日(日)にオークションで落札したSPユニットのグッドマン「AXIOM110」(口径25センチ)が我が家に到着したのは28日(水)のことだった。落札した瞬間から胸をワクワクさせながら26~27日の2日間にわたってこのユニットを迎え入れる準備に余念がなかった。

まず、ウェストミンスター(タンノイ)の箱に容れるための補助バッフルづくりがポイント。

なるべくスピーカーの内部を傷つけたくないので寸法をきっちり測ってネジ穴4か所の位置をピタリと合わせる必要がある。あまり器用なたちではないが、「工作はいい音を得るための必須条件だ」と思っているし、何度も経験してきたので苦にはならない。

ドリルやヤスリなどの道具をいろいろ使うが、とりわけ「ジグソー」(木板を丸く切る道具)は必需品。これまで何度助けられたか分からないほど重宝している。

                   

さて、ここで「そもそも論」を一言。

「そもそもSPユニットとエンクロージャーは一体化したものである。設計者の知恵に優るものはない。それを勝手に分離させるなんておかしい。いったいお前は何様か。ましてや権威あるタンノイのウェストミンスター様を弄くり回すなんてケシカラン!」との声が外野席から聞こえてくるのを十分承知している(笑)。

ハイハイ、たしかにスピーカーの王道とはそういうことです。よく分かります。
しかし、あまりにも魅力的なバックロードホーンを持つ大型エンクロージャーを一つのユニットに閉じ込めておくのは非常に勿体ない気がして内部もそれなりに改造させてもらいました。

これまでに入れ替えたユニットを振り返ってみると、JBLの「D130」に始まってグッドマンの「AXIOM80」、「AXIOM301」そして現行の「フィリップス」(口径30センチ)。その都度新しい発見があって大いに楽しませてもらったが、やりかかった以上、オリジナル以上のいい音を出そうと今でも必死である。

以上、弁解(?)を済ませたところで、前述のように午前11時半ごろにユニットがいよいよ到着。クロネコさんから荷物を受け取って手に持ったときに「意外に軽いな」というのが第一印象。「低音も軽そうだな。あまり軽すぎても困るが・・。」と、一瞬不安感が脳裡をよぎった(笑)。

巷には「オーディオは重たければ重たいほど音がいい」という名言(迷言)があるのだ。

そこから、頭の中で次のような瞑想(迷走)が始まって沈思黙考することおよそ30分。「下手の考え休むに似たり」だが
(笑)。

「前の持ち主はどうしてこのユニットを手放したのだろう。オークションの解説文にはヴァイオリンの音はピカイチだとあったが、すべてに満足していれば手放さないはずなので何らかの不満があったのだろう。おそらくその原因は低音域の不足感ではあるまいか。

グッドマンのユニットはARU(背圧調整器)をつけてやらないと満足な低音は出てこない。ご本人は70ℓの容積の密閉箱で鳴らしていたそうだが、それではちょっと無理だろう。ただし、密閉箱だとユニットの振幅が抑制気味となって傷みが少ないはずなので当方にとっては好ましい材料だが。

この際、予備で持っているAXIOM301(口径30センチ)を使う手もある。コーン紙が重たいので音声信号に対する応答性はイマイチだが低音域は間違いなく重量感がある。以前に実験したときと違ってスーパーツィーターを追加しているので環境は変わったが・・。さあ、どっちを選択しようか。

ま、いろいろ考えてみても実際に鳴らしてみないと分からないのでこのユニットでとりあえず実験してみっかな・・・。ウェストミンスターのバックロードホーンと相性が悪かったらAXIOM301にすぐに取り替えよう。」

との腹積もりで、まず裸のままでアンプに繋いで音出しテストをしてみた。音が出なかったり、ハム音などのノイズが出たら大困りだが見事に合格。ただし低音への不安感はますます募る鳴り方だった(笑)。

すぐに本格的な作業に入って、途中経過だが1時間後には次のようになった。

       

ひと山越えてここからが正念場。フィリップスのユニット(口径30センチ)には大いに愛着があるのだが、相手がグッドマンのアルニコマグネット型ともなると一時撤退もやむを得ない。

大きな図体のウェストミンスターを動かして裏側に潜り込み、裏蓋(ネジが16本!)を外してフィリップスのユニットを取り外し、新たにAXIOM110を取りつける。ターミナルがネジ式になっているのでSPコードの芯剥きがたいへんだった。

4箇所のネジ穴の位置は正確に測ったようにピッタリだった。これで右チャンネルの作業は完了して左チャンネルの作業へと移行。

両チャンネルが完成したのは見込んだ通りきっかり16時半頃だった。結局、2日間の準備のおかげで3時間程度の作業で済んだ。

                  

さあ、いよいよ緊張の音出しだ!出てきた音に耳を澄ましてみると・・・。

以下、続く。


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オーディオ訪問記 最終回 ~2016.9.19~

2016年09月27日 | オーディオ談義

前々回からの続きです。

Sさん宅(福岡)のオーディオルームで対面した新たなスピーカー(再掲画像の中央寄り)。

          

「いったいこれは何というスピーカーですか?」

「いやあ、オーディオショップで見かけてつい衝動買いしてしまいました。タンノイのチャトワースというコーナー型のスピーカーです。中に入っているユニットがレッド(口径25センチ)でしかも稀少な初期の飴色タイプのものですから飛び付きましたよ。」

「下世話ですがお値段の方はどのくらいしたんですか?」とお訊ねしてみた。貧乏性はこれだから困る(笑)。

すると衝動買いにしては信じられない価格をお聞きして、S財閥には全面的に降参!

ちなみに右側のスピーカーはタンノイ・ヨーク(コーナー型)で中に入っているユニットは「モニター シルヴァー」。この音を聴かせてもらうのが(仲間たちにとっては)主要な目的のひとつ。

周知のようにタンノイのユニットは旧い順に「ブラック」 → 「シルヴァー」 → 「レッド」 → 「ゴールド」 → 「HPD」と変遷を遂げているが、巷では音質もこの順番に悪くなっているという噂がある(笑)。


どうやらコーンの紙質が段々と重たくなって音声信号に対する応答性が鈍くなっているように言われているが、これは「TRアンプ」の登場と無縁ではあるまい。

ちなみに、五味康祐さん(故人)が愛用されたことで知られる「オートグラフ」に内蔵されたユニットは「レッド」である。

一般的にオーディオショップや私邸で聴けるタンノイのユニットはせいぜい「レッド」までで「シルヴァー」(口径38センチ)ともなるとまず無理。国内の所有者に限ってみるとおそらくせいぜい一桁止まりだろう。当時はイギリスでも日本でもモノラルの時代なので、同程度のシルヴァーユニットを左右2本そろえるなんてとても至難の業だから。

このスピーカーの後ろ側には「AXIOM80」(最初期版)が置いてあって現在休憩中でこれは我が家と同じ。

ひととおり他のシステムも画像によって紹介。

          

これが、「WE300B」(アメリカ)と並んで音の良さでは双璧とされる出力管「PP5/400」(英国マツダ)を使ったアンプ(モノ×2台)。ドライバー管は「MHL4」(ナス管、メッシュプレート)、トランスはすべてパートリッジ。イギリス人のアンプ・ビルダーの手になるもの。

           

レコードプレイヤーはEMTでカートリッジはトーレンス。下段にあるのはフィリップスの稀少な「LHH2000」CDプレイヤー。古い機種なのにいまだにオークションでは高値を呼んでいる逸品。

Sさんはクラシック音楽オンリーの方で輸入盤を中心に聴かせていただいた。「ペールギュント」(デッカ盤)の静謐感あふれる「オーゼの死」に始まり「朝」、そして「エロイカ」(クレンペラー指揮)、「ピアノ協奏曲4番」(ベートーヴェン)、そしてヴィオッティの「ヴァイオリン協奏曲22番」。

大好きなローラ・ボベスコの輸入盤(左側)と国内盤の聴き比べをお願いした。

             

やっぱり口惜しいことに輸入盤の音質に軍配を上げざるを得なかった(笑)。

それにしても、一同タンノイ「モニター シルヴァー」の音には感心した。一番の特徴は中低音域が籠らずに水が抜けるように気持ちよく広がっていくところ。オーディオの一大テーマである「量感と質感の両立」に肉薄しているというべきか。

ちなみに、この「籠り」が嫌なばかりに、ウェストミンスターからタンノイの近代ユニットを放逐したのがこの自分だ(笑)。

2時間半ほどクラシック音楽を堪能させていただいて一同大満足。予定の15時半を大幅に過ぎたのでようやく帰途についたが、玄関口の車庫でSさんの愛車「1960年代のジャガー」を見学させていただいたのでパチリ。

         

いまだに週に一度は乗っておられるそうで、Sさんの英国に対するオールド趣味は半端ではない。

Sさん宅を後にしてクルマを置いてあったKさん宅へ立ち寄り、16時半頃に出発してあとは一路別府へ。到着予定時刻はきっかり18時のはずだった。

ところが九重ICまでは快調に飛ばしたものの、別府ICの手前の湯布院ICに差し掛かるところになって大渋滞に巻き込まれた。何と、雨による濃霧の発生で通行止め!

「行きは良い良い、帰りは恐い」とはこのことでした(笑)。

仕方なく湯布院ICから下道の九州横断自動車道に入り込んだが、ここでも峠にたちこめる濃霧のためユックリ運転を強いられた。結局、別府に着いたのは18時40分で40分遅れとなったが、事故が無かったので良しとしよう。

それにしても皆さん、本日は稀少な出力管「カードンのC585」を使ったアンプや「タンノイ シルヴァー」の音を聴くことができてたいへんご満足のご様子だった。

帰宅してパソコンを開くとSさんからメールが届いていた。

「何時もの三人会は楽しいですが、ああいう大人数の会も良いですね。またやりましょう。」
 


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ホットニュース!

2016年09月26日 | オーディオ談義

我が家のオーディオにとって絶対に無くてはならないものがある。

それはスピーカーではグッドマン(英国)のアルニコマグネット型と真空管では「PX25」(英国)。前者は現在「AXIOM300」と「AXIOM80」、後者は「PX25シングルアンプ」が両方セットで活躍中。

これらが故障して修理不可能となれば我が家のシステムはたちどころに崩壊する(笑)。

したがってスペア用を兼ねて常にオークションに目を光らせているが、久しぶりに両者の出品があり、無事落札できたので勝利の余韻が残っている今のうちに、(投稿予定の「オーディオ訪問記~最終回~」を後回しにして)「ホットニュース」として緊急速報させていただこう。

落札日は昨日(25日)の深夜でいずれも熾烈な競争を経てのものだった。

☆ 「AXIOM110」ユニット

           

オークションの解説は次のとおり。

アルニコマグネットとWE755系の様な大変浅いコーン紙カーブで、ツヤのある大変魅力的な音を出します。個人的にはヴァイオリンの音がピカイチだと思います。ユニットサイズは25cm(フレーム径)で他の16cm、20cm系のフルレンジよりダイナミックです。

このユニットは今回出品のドーム型キャップタイプと、サブコーンが付いた2種類あるようです。
こちらにドーム型の参考写真があります。www.vintageaudioworld.com/products/catalogue/goodmans/

定格
 周波数特性 40Hz~15KHz
 許容入力 10W
 定格インピーダンス 15オーム

45L程度のARU付きエンクロージャーが良さそうですが、私は70L程度の密閉で聞いていました。残念なことに1本は裏の銘板がありません。アルミの板を丸く切って取り付けました。(今は外しています)。また1本に小さな補修跡がエッジに1箇所あります。

以上のとおりだが、到着したらまず裸のままでテストして結果良好の場合は「ウェストミンスター」に容れている「フィリップスのユニット」(口径30センチ)を入れ替えてみようかと思っている。これで我が家のスピーカーはすべて「グッドマン」になる。

50年近くになるオーディオ人生の中で出会った最高のスピーカーは「グッドマン」だからメチャ楽しみ~。

☆ PX25出力管

                     

オークションの解説は次のとおり。

OSRAM(GEC)の直熱3極出力管PX25で、戦前の英国を代表するオーディオ用3極出力管といえます。プレート損失25W。

出品していますのは初期のナス管タイプのものでも、1枚目画像左側の通常サイズのPX25(サイズ比較のためでオークションには含まれません)と比較すると分かるように、時折見かけるガラス部分の形状が長いロングタイプのものです。1930年代前半の製品。

ゲッタの減少も見られず、特性はTV7/Uで確認済みの新同品です。 基準値30に対し、測定値は58となっています。

以上のとおりで、オークションの解説をそのまま鵜呑みにすると大変な目に会うことが多いが、この出品者に限ってはあらゆる関係者の方々にお聞きしても信頼度の面で「一押し」の有名な真空管ショップさん。

1930年代製、しかも新品同様とあれば見逃す手はないし、それも予想外の低落札額だった。ペアではなくて1本だけの出品はやはり狙い目である。

これで、PX25系としては「PP5/400」(英国マツダ:最初期版)が3本、PX25が6本そろった。これだけ揃えておけば息のあるうちは大丈夫だろう(笑)。
 


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オーディオ訪問記 その2 ~2016.9.19~

2016年09月24日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

稀代の名ユニット(持ち主が言うのも変だが~笑)、グッドマンの「AXIOM80」については我が家の音で皆さんすっかり耳に馴染んでいるが、このKさん宅の「AXIOM80」はまるっきり違う鳴らし方になっているといえるだろう。

まずユニットが納められているエンクロージャーが自作のため少々大振りになっている。しかも純正の「ARU」(SPユニットの背圧調整器)が使ってある。それに、日本で1台の特殊処理が施してある2A3シングルアンプで駆動されている。

この三種の神器によって信じられないほどの中低音域の重厚感が醸し出されており「これが〇〇さん宅(我が家のこと)と同じAXIOM80ですか!」と、皆さん驚嘆。

周知のとおり「AXIOM80」はメチャ神経質なので、どこかの周辺部分をチラッとでも変えてやると即座に反応するが、エンクロージャーとアンプという二大要素が変われば激変するのが当たり前だわいなあ~。

ただし、けっして負け惜しみではないが我が家ではAXIOM80に本格的な低音は期待していないので念のため(笑)。

それにしても収束がはやくてスピード感あふれるみごとな低音!

実は「AXIOM80」の公称のカタログによる最低共振周波数の数値は20ヘルツとなっている。こんな小さな口径(25センチ)でそんなに低い周波数を出せるなんてウソだろうと誰もが思うが、実際にこういう低音を聴かされるとイヤでも納得させられてしまう。

クラシック、ジャズ、ボーカルと様々なジャンルを聴かせていただきながら「AXIOM80」を十二分に堪能させてもらい、次にローサー「PM6」を聴かせていただいた。判りやすいように前回掲載したシステムの画像を再掲しよう。

         

中央寄りの黄色いユニットがそれだが、これまたこんな小さな口径なのに信じられないほど堂々たる音が出てくる。しかも音のスピード感が圧倒的でこればかりは定評のある「AXIOM80」よりもさらに上。「まだまだエージングが必要です」と、おっしゃるKさんだが「この音でもう十分ですよ~」と思わず声を上げた。

とりわけ「静かなるケニー」(ケニー・ドーハム)には痺れた。ジャズにはまったく縁遠いといっていいのだが、ローサーで聴くジャズは別世界。今回、特に記憶に残った演奏だった。

           

1時間半ほど試聴させてもらってから、今度は福岡市内中心部のSさん宅を目指して出発。到着予定時刻は13時半だったが途中の高速道路SA(サービス エリア)で簡単な昼食を済ませたおかげで時間が節約できて早めの13時20分に無事到着。

去る4月中旬の熊本地震で高速道路が不通になったり、Kさんがお仕事で多忙だったりで「AXIOM80愛好家の集い」の定例会も中断している状況で、半年ぶりにお目にかかるSさんだったがすこぶるお元気そうだった。初対面の皆さんを紹介してからオーディオルームに一歩足を踏み入れた。

          

ジャジャ~ン、何と「AXIOM80」に代わって新しいスピーカーが中央寄りに鎮座している!いったいこれは?

以下、続く。
 


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オーディオ訪問記 その1 ~2016.9.19~

2016年09月22日 | オーディオ談義

三連休の最終日、9月19日(月)は待ちに待ったオーディオ訪問日だった。行き先は福岡方面の二か所。

ところが当日は日本列島にどっしりと横たわる秋雨前線と近づいてくる台風16号の影響で別府は早朝から土砂降りの状態。

こんなに降ると高速道路はとても危ないし、霧がかかるのも心配だし・・。仕事ならともかく、趣味ごときで命を危険にさらすなんてバカと言われそうなので(笑)、よほど中止しようかと思ったが、今回ばかりは張り切っている仲間たち3名との同行だ。

簡単に中止するわけにもいくまいというわけで、
福岡のKさんに現地の状況を訊いてみた。すると「こちらは全然降ってませんよ~」とのご返事。

よし、どうやら豪雨は局地的なもののようだと、決行することにした。


予定どおり我が家に午前9時に全員(3名)集合。大分組がMさん、Nさん、別府組がYさん。全員やる気満々(笑)。しかし、「行きは良い良い、帰りは怖い」となることをそのときは誰も知る由は無かった(笑)。

さて、今回の試聴会の動機は仲間たちの要望により次の二つの理由に起因している。

 出力管の稀少管「カードンC585(メッシュプレート)」で駆動するローサー「PM6」をぜひ聴いてみたい(Kさん宅)

 出力管「PP5/400」(英国マツダ)で駆動するタンノイの稀少ユニット「モニター シルヴァー」(口径38センチ)の音をぜひ聴いてみたい(Sさん宅)

さあ、出発。一同揃って自分のクルマに乗ってもらい、すっかり小降りになった高速道をひた走って、まずKさん宅へ到着したのが10時25分だった。


       

ご覧のようにスピーカーはグッドマンの「AXIOM80」とローサーの「PM6」。この2系統をレコードプレイヤー3台、CDプレイヤー3台、プリアンプ2台、パワーアンプ2台で鳴らしてある。そして、その注目のパワーアンプがこれ。

          

左側が「50シングル」(出力管:カードンC585メッシュプレート)で、これがローサー用。右側が「2A3シングル」(一枚プレートのシルヴァートーン)で「AXIOM80」用。

「2A3シングル」アンプはこのほど改造を終えたばかりで、名人によって独特の工夫が凝らされている逸品。Kさん宅の「AXIOM80」はこれまで散々聴かせていただいたのですっかり耳に馴染んでいるが、アンプの改造ではたしてどこがどう変わったのか興味津々。


まず「AXIOM80」から聴かせていただいたが、皆さんすっかりその音に驚いた!

以下、続く。
 


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オーディオ評論二題

2016年09月20日 | オーディオ談義

このところ朝晩随分涼しくなってあの猛暑だった夏がまるでウソみたいな気がする。ちょっと気が早いが「読書の秋」ということで、「音楽とオーディオ」に関する評論について二題紹介してみよう。

☆ 五味康祐さん(1921~1980)の評論集

去る9月17日付で登載した「あの日、あの時、あの場所で聴いた音楽」の後半に登場した五味康祐さんに関して、さっそくメル友の「I」さん(東海地方)から反応があった。
 

「確かに五味康祐さんなら何と仰るでしょうか! <・・これ以上何を望むというのか>、 <・・その努力に、彼のその体を抱きしめたくなった> 等、名言が思い出されます(注:文言には記憶違いがあると思います) 
 
それにしても五味さんは1980年に亡くなられているのですね。オーディオ全盛期に59歳で、惜しいです。氏はお顔も言葉も大人でしたね。」(抜粋)

まだ五味さんのことを覚えている方がいらっしゃって、ホッと一息(笑)。

我が「音楽&オーディオ」人生を振り返ってみると、この分野の論客としてまず思い浮かぶのは、この五味康祐さん、それから瀬川冬樹さん、菅原昭二さんあたりかな。

とりわけ五味康祐さんは亡くなられてからもう36年も経ち、はるか忘却の彼方にあるといってもいいが、その内容の奥深さからいくとこのまま葬り去るにはあまりにも惜しい方。

要らん世話かもしれないが、ネットで簡単に読めるのでその著作集を是非覗かれててみてはいかがでしょう。

五味康祐著作集(クリック可)

☆ 「日本オーディオ史」

前述の「I」さんはこのほど「イシノラボ・チャンデバ」を導入されたそうで、その試聴結果が届いた。

イシノラボ・チャンデバ導入し約2週間経ちました。その試聴状況です。

             
 
CDP    DENON DCDー1650SE
プリアンプ   DENON PMA-2000AE(プリメインアンプ)のプリ部
チャンデバ   イシノラボ  CD-300M (12㏈/oct固定)
 
SPユニット・パワーアンプ・クロスオーバー周波数
  低域 130A用  ラックス MQ68C ハイカット 700Hz
  中域 LE85用  ヤマハ MX-1   ロウカット 800Hz  ハイカット 10KHz
  高域 2405用  ヤマハ MX-1   ロウカット 8kHz
 
クロスオーバー周波数は、以前のベリンガーでは800Hzと8kHzでしたが、今回は低中を少し離し、中高を少し重ねるように調整しました。
 
その結果は・・・いいです。「音が」ではなく「音楽」がとてもいいです。
 
ベリンガーでも大きな不満はありませんでした。ただ、なんとなく静的に過ぎる。換言すると、「音場再現性はあるが音像がやや平面的になる」ところが気にはなっていました。
 
イシノラボに入れ替えて、その部分が改善されました。結構大きな変化です。
 
今は時間があれば、ジャズとクラシックのCDを交互に聴いています。シュワルツコップ、バーバラ・ボニー、いいです。シュワルツコップはシューベルトとモーツアルトのリート集も借りてきました。こう言っていいのかわかりませんが、まるで女フィッシャー・ディースカウですね。ボニーちゃんは20年前の公演が中止になって聴けなかったのが本当に残念です。
 
普段敬遠気味のベートーベンも抵抗なく聴けました。クロイツェルソナタ(パールマン・アルゲリッチ)、ピアノソナタ30番から32番(バックハウス)です。素晴らしい。
 
今はオーディオ的な聴き方を意識しないで音楽を楽しく聴くことができます。このような状況はあまりやってこないでしょうから、しばらく、この感覚のまま行こうと思っています。
 
実はワーフェデールに大苦戦しているので、その反動かもしれませんが・・・・・。

以上のとおりだが、
このイシノラボ・チャンデバのお値段を伺ってみると、何と87、480円(モノ×2台分)で超安いッ。昔のJBL愛好時代の自分なら即座に飛び付くのだが・・・。

ところで、この良心的なイシノラボ代表の平野さんという方はタムラ製作所やサンスイなどに勤務されオーディオ全盛時代の貴重な思い出を「日本オーディオ史」としてネットに投稿されている。

「歴史を忘れた民族に未来はない」と、やいのやいのとばかり責め立てるどこかの民族ではないが、オーディオの歴史を知ることも必要ですぞ(笑)。

拝読してみたが、とても面白いし参考になる。前述の五味康祐さん、瀬川冬樹さんも登場します。まだお読みでない方は是非お薦めです!

「日本オーディオ史」(クリック可)
 

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「TRアンプ」から「真空管アンプ」への誘い

2016年09月18日 | オーディオ談義

何の縁もない人間同士がただオーディオという趣味だけで結びついているオーディオ仲間だが、それぞれ耳の形も違うように音の好みも微妙に違う。

したがって、スピーカーやそれを駆動するアンプもそれぞれ違うが、改めて周囲のオーディオ仲間を見回したときに共通点が一つだけあって、それは真空管アンプの愛好家。

以前「トランジスターアンプ」(以下「TRアンプ」)を愛好していた方も、いつのまにか「真空管アンプ」に転向されている例は枚挙にいとまがないほどだが、それでもいまだに一人だけ例外の方がいらっしゃる(笑)。

その方は我が家からクルマで10分ほどのところにお住いのYさん。

実際にフルートを嗜まれているだけあってとても音にはウルサイ方でオーディオ機器も凝りに凝っている。3年ほど前のブログでも話題にしたが、微小電流を扱うプリアンプやデジタル機器の電源には高価なリチウムイオン電池を使用されているほど。

                    

そして現在使っておられるシステムを紹介すると、CDトランスポートがエソテリックの「Pー03」、DACが「TAD-1000」、パワーアンプはマークレヴィンソンのモノ×2台という豪華版。

とはいえ真空管アンプとは完全に無縁とはいえないようで、ご自宅以外の場所(保健医療施設)では2台の真空管アンプを使用されている。ラックスの「出力管6550」アンプと音楽専科の「出力管VT62」アンプ。いずれもパワー重視のプッシュプルアンプ。

「出力管6550」アンプについては、以前我が家のスピーカーを繋いでテストしたが、あえなくアウト(笑)。

そして昨日(17日)のこと、珍しくYさんの方から電話があって、「VT62アンプをお宅のシステムでテスト試聴させてもらうわけにはいきませんか?」

「ハイ、いいですよ。どうぞ~」と一つ返事。

             

見るからに堂々たるアンプである。出力管のVT62のブランドを見てみると「ナショナルユニオン」(トリタン管)だった。整流管はGEの5U4GB。

アンプの入れ替えがしやすいので、ウェストミンスターに繋いでいる「2A3アンプ」の方を外して鳴らしてみた。音がガンガン前に出てくる勢いのいい音を想像していたら、プッシュプルらしからぬ意外とまとまりがあって静かな音に驚いた。

「これはしっかりしたツクリのアンプだと思いますよ」と思わず声に出た。

「キットで売っていたんですが、ありふれたツクリで皆と同じ物は嫌いなものですからタンゴの最高級の出力トランスを使ってくれと特注しました。」とYさん。

「国産トランスといっても侮るなかれですよ。タンゴのシングル用出力トランスの最高峰XE-20Sは今やアメリカでたいへんなプレミアムが付いているそうですよ。プッシュプル用の最高級トランスですからきっとそれにヒケを取らないものでしょう。」

しばらく聴いているうちに、「整流管を取り代えてみましょうか。幸い出力管と同じブランドのナショナルユニオンの274Bがあります。」

差し替えると、ガラリと音が変わったのが分かった。

「エッ、整流管でこんなに音が変わるもんですか!」と驚かれるYさん。

TRアンプではこういう弄る楽しみがないのでYさんを真空管アンプに誘う絶好のチャンスとばかり、すかさず畳み掛けた(笑)。

「直熱管の5U4Gと代替できる整流管は数多くありますから、相性のいい球を探し出す楽しみがあります。それに出力管によって音の傾向が随分と変わりますから試しにアンプを替えてみましょう」というわけで、いよいよ我が家のエース「PX25」シングルアンプの出番。

VT62アンプの明るくて前に出てくるアメリカンサウンドに比べて、一聴するからに渋くて心の内面に秘かに忍び寄ってくるかのようなブリティッシュサウンド。ま、人によって好き好きだろうが出力管次第で音の選択肢が無限に広がるのが真空管アンプのいいところ。

「このPX25アンプは、以前と比べるとまったく惚れ惚れとするような音になりました。アンプづくりの名人によって独特の秘儀が2か所にわたって施されていますのでその意味では日本に1台限りのアンプです。真空管アンプはつまるところ名人に出会えるかどうかがポイントです。よろしかったらこのVT62アンプも診ていただくように紹介
してあげてもいいですよ。ただし改良できる点があればの話ですが。」

「日本に1台という言葉には弱いですねえ」とYさん(笑)。

そうなんです、真空管アンプに限ってはそれがいとも簡単に可能なんですよ~。

明日19日(月)は台風の接近をものともせずに、Yさんも含めて大勢で福岡方面に押しかけて真空管アンプを堪能させてもらう予定だが、はたして結果やいかに~。
 


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あの日、あの時、あの場所で聴いた音楽

2016年09月17日 | 音楽談義

これまで2~3日おきに、まるで流れ作業のように次から次にブログを更新していると、過去記事なんて文字どおり過ぎ去るばかりでこだわる気にはならないし、またそんな暇もないが、それでもやはりときどき「思い入れのある記事」というのがある。

実は、去る9月8日(木)に登載した「名録音技師 ルディ・ヴァン・ゲルダー 逝く」
がそうだった。ところが当方の意気込みにもかかわらず、この記事はあまり評判が良くなかった(笑)~。

ブログを続けていくやりがいのひとつに読者の反応がアクセス数で反映されることが挙げられる。

たとえば、なかなか凝ったつもりの内容の記事がサッパリだったり、一方では、どうでもいいやと軽く流した記事が好評だったりで
自分の思惑と読者の反応のズレが年寄りの頭を大いに刺激してくれるが(笑)、この音楽記事については前述のように通常のアクセス数よりも大幅に下回っていた。

いったいどうして?

つらつら考えてみるのに、まず音楽記事はオーディオに関する記事に比べて概ね人気がないことが第一に挙げられる。読者の期待は何といってもオーディオがらみの記事なのだ。商売っ気抜きのありのままの情報を得たいのだろう。


次に、文中後半の「指揮者トスカニーニの虚しい顔」がちょっと高尚過ぎたのかもしれない(笑)~、それとも舌足らずでもっと内容を掘り下げるとよかったのかなあ・・・。つい面倒くさくなって「ま、いいか」と放り出したのがずっと気になっていた。

ところが、メル友の「I」さん(東海地方)から次のようなメールが届いたのでこれ幸いとばかり、この記事をチョッピリ深追いさせてもらうことにした。

おそらく、これも評判が芳しくないだろうが、「もの言わぬは腹ふくるるわざなり」(徒然草)という言葉もあることだし、どうか付き合ってほしい(笑)~。

それでは例によって匿名ということで「I」さん、無断掲載お許しください。

「私もヴァン・ゲルダーの生死は気にしていませんでした。すでに現役でない方だったので、普段、氏を意識することもありませんでした。ただ、好きな録音の多くが氏の手によるものでした。改めて偉大な録音家に合掌です。  

ところで「トスカニーニの虚しい顔」のことです。トスカニーニの演奏会はそう思わせるほど素晴らしい内容だったのでしょうね。 

ジャズのエリック・ドルフィーのラストレコーディングに「・・・it`s gone in the air, ou can never capture it agein.」という言葉が肉声で入っています。これも「虚しさ」を表しているように思います。
 
 
一方、誰かは忘れましたが、「(消えてしまうという)音楽のあり方が、最も理想的な創作だ」という発言があります。過去は文字通り、過ぎ去っていくもの・・・というような考えでしょうか。

あるいは、「最新のポルシェが最良のポルシェ」という考え方でしょうか。この考え方はアート系の人に多いように思いますが、普通の?作家や画家の中にも、過去の作品を消却していく人(または消していきたい人)はいるようです。」
 
 
この内容に触発されてこう返信させていただいた。

「エリック・ドルフィーの言葉は有名なので記憶にありました。是非ブログに掲載したかったのですが
出典が分からず仕舞いのところ、おかげさまで確認できました。ありがとうございました。

ところで <過去は文字どおり、消え去っていくもの・・・> についてですが、音楽についても「消え去り、もう戻ってこないもの」でしょうかね。

あの日、あの時、あの場所で聴いた音楽>・・・・。つい「一期一会」という言葉を思い出してしまいました。

判りやすく実例を挙げてみましょう。何方にも青春時代の甘酸っぱくてほろ苦い思い出があると思いますが、当時、人生経験の未熟な若者にとっては、ほろ苦さを通り越してとてもショッキングなことがありました。

その夜、間借りしていた狭い部屋でまんじりともせずに耳を傾けたのが「第九」(フルトヴェングラー指揮)の第3楽章でした。それ以来この曲はトラウマになってまともに聴くことができません。

好きなのにあえて聴かない、聴けない曲ってやっぱりあるんですよね。


そもそも音楽の側からしますと何度も何度も繰り返して聴かれることを望んでいるのでしょうかね。どんな名曲だって聴けば聴くほど耳に倦んで逆に遠ざかっていくのが関の山でしょう。

その昔、指揮者ブルーノ・ワルターが「己を鼓舞し明日を生きる糧となる芸術たるべき音楽が、近年ではまるで単なる暇つぶしや娯楽のようになっている」と嘆いていましたが、一過性であるべき音楽が録音されることによって何度も再生できるようになりコマーシャル化したことにも一因があるような気がします。

過去にはコンサートを専門にして、いっさいの録音を拒絶したチェリビダッケなどの指揮者もいましたが、はじめは変わった指揮者だと思っていましたがやっぱり一理ありますよね。

とはいえ、現代では私も含めて大いに再生音楽の恩恵に浴しているわけですからこれは明らかに二律相反です。せめて好きな音楽は大切にして一年に一度しか聴かないくらいの節度が私たちには必要なのかもしれません。

もちろん「フン、偉そうに!暇つぶしや娯楽にしろ好きな音楽を何度聴こうと俺の勝手だ!」と声高に喚きたてる方もきっといることでしょうが(笑)。
 
いずれにしても <音楽は一過性のもの> というテーマはもっと掘り下げられてしかるべきでしょうが、私の思考レベルではせいぜいこの辺までが限界です。

ふと思い出しましたが、こういう題材となりますと亡くなられた五味康祐(1921~1980)さんの独壇場です。音楽を取り巻く環境が当時とはすっかり様変わりしましたが、もしご存命ならぜひご高説をお伺いしたいところです。」

以上、またグダグダと勝手な講釈を垂れてしまったが、きっかけをいただいた「I」さんに感謝です。

続いて今度はメル友のMさん(関西)から録音技師「ルディ・ヴァン・ゲルダー」の追悼記事を教えていただいた。

ちなみに読売新聞と同様に朝日新聞にもゲルダーの死は報じられなかったそうで、おそらく毎日新聞だって同様だろうから全国「三大紙」が揃って討ち死にという有り様。これに対してMさんは「日経(の文化面)は凄いですね!」と仰っていた。


演奏家と違って名録音技師といってもその程度の取扱いかとガッカリさせられるが、タイミングよろしくゲルダーの偉大な功績が詳らかにされた
その追悼記事(クリック可)をここに紹介させていただこう

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DAコンバーターの故障

2016年09月15日 | オーディオ談義

2年ほど前に「オーディオ機器の故障はチャンスの糸口」と題して投稿したことがある。

ご記憶の方もあろうが念のために、再掲するとアラ筋はこうだ。

「長年愛用したワディア(アメリカ)のCDトランスポート <270> が故障し、修理期間中に代替機器としてdCS(イギイス)の <ラ・ヴェルディ・スカラ> を借り受けたところ、その性能の違いに驚嘆してとうとう購入する破目になった。結局、故障したことが思い切りを促進して、いい方向に作用した。これを文字どおり“禍転じて福となる”というのだろう。」

たったこれだけのことを例によって針小棒大に膨らませてグダグダと書き連ねたわけだが(笑)、今回の故障ばかりはチャンスなんて言っていられないようだ。

15年近く愛用してきて、我が家のオーディオ機器の中核とでも言うべきワディアのDAコンバーターから遂にトラブルが発生したのだ。

レコード派は別にして、CDにしろPCオーディオにしろ「DAC」はなくてはならない大切な機器である。

その役割をひとくちで言えばデジタル信号をアナログ信号に変換する機器のことで「Digital to Analog Converter」 以下、頭文字を取って「DAC」。

故障の兆候は3週間ほど前のことだった。右側のチャンネルからブ~ンというハム音が聞こえてくる。別に音楽を聴くときに支障になるほどの音ではなかったので、気にせずにおこうと思った。実はDAコンバーターの故障とは夢にも思わずてっきりパワーアンプが原因だと決めつけていたのである。

我が家にお客さんが4名お見えになったときも(「オーディオ愛好家のご来訪~2016.9.1~)、「アンプから若干ハム音が出てますが、逆にハム音を完全に止めてしまうと肝心の音そのものに元気が無くなる恐れがありますので我慢してください。“角を矯めて牛を殺す”となると元も子もありませんからね。」と、わざわざ皆さんに申し上げたほどだった。

ところが原因はアンプではなかったのである!お客さんがお帰りになった後に、念のためDAコンバーターとアンプを直結にしたところ盛大にハム音がブ~ン。いやあ、驚きました。これまで途中に介在していたプリアンプがハム音をいくばしかカバーしていたというわけだ。

素人考えだが故障の原因はおそらくコンデンサーに違いないと睨んだ。このDACは機器自体にスイッチが付いておらず24時間電気を入れっぱなしという設計になっている。

それにもかかわらず、これまでの15年間で1度だけ電源トランスが故障しただけという優れものだったが、とうとう今年の猛暑で機器の内部が異常高温となりその影響でコンデンサーがイカれたに違いない。

しまった!日中でもエアコンを入れっぱなしにしておけばよかった。DACの修理代とエアコンの電気代とどちらが安くつか、それは火を見るより明らかだ(笑)。

後悔先に立たずだが、さあ、困った。この機器はとっくの昔に生産完了の状態で、国内のワディアの取扱業者は軒並み「修理は受け付けておりません。」と白旗を掲げている。 デジタル機器はこれだから困る。

とうとう購入先の東京のショップに泣きついて、ようやく〇〇〇〇という修理専門の会社を紹介してくれた。連絡をとったうえでさっそく送付して現在見積額を待っている状態だが、あまりに高額だと修理はしない腹積もりだった。

ところが、折しもこれと同型機のワディア「27ix」がオークションに出品されていたのである。我が家のものは「27ixVer3.0」なので若干の型番の違いがあるが、昨日の9月14日(水)が落札日だったので興味深く見守っていたところ落札価格は「371,000円」。

            

「dCS(英国)の <エルガー プラス> の登場によってワディアのDACは奈落の底に突き落とされた」と、当時酷評されたものだが、老いたりとはいえまだなかなかの人気のようである。我が家でも常に両者を比較試聴しているが、世間が言うほど大きな違いはないと思っている。もちろん長年使ってきたので贔屓目もあるかもしれないが(笑)。

いずれにしても、まさか修理代がそんなにかかることはあるまいと思うので「修理を続行しよう」と、意を強くしたところ。

ちなみに、ワディアのDACはこういうこともあろうかと、3年ほど前に中古で同じ型番のものをスペアとして確保していたので我が家のシステムにはいっさい差し障りなし。心配性がこういう時に役立った。

ヨカッタ!(笑)


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オーディオ訪問記~2016.9.5~

2016年09月13日 | オーディオ談義

「男子三日会わざれば刮目してみよ」という中国の故事がある。意味はくどくど言わない(笑)。

これは、男子ならぬオーディオシステムにも当てはまりそうで、我が家みたいに日変わりのようにクルクル変わるのは論外として、熱心なオーディオ仲間の場合、半年も過ぎれば相当変わっているに違いない。

きっと得るところがあるに違いないと、大分市内在住のMさんとNさん宅を訪問することにした。去る5日(月)のことだったが、丁度当日は未明に台風12号が本県をわずかに逸れて北上した後だった。ちなみにご両人は先日我が家のシステムを聴きにお見えになられたばかり。

最初に訪れたのはMさん宅だった。

      

2系統のシステムを楽しんでおられて、クラシック用に「タンノイ・オートグラフ」そしてジャズ用に「クリプッシュ」(3ウェイ:アメリカ)のスピーカー。

完全なレコード派で3台のプレイヤーを駆使しておられる。それぞれカートリッジが「TSD15」「シュアー」そしてモノラル用に「ピカリング」。レコードで鳴らす場合のカギとなる「イコライザーアンプ」は「カンノ製」(電源は別)。

プリアンプは自作で出力管にWE310Aを使用したもの、パワーアンプはクラシック用として「KT88プッシュプル」(新藤ラボ)、ジャズ用には「マランツ8B」。

以前は、一部にトランジスターアンプを使用されていたがこの程全面的に真空管アンプに転向され、今ではすっかりその魅力の虜になっておられるようだ。まことにご同慶の至り(笑)。

はじめにクラシックを聴かせていただいたが、大型スピーカーなのに低音域をドスンとかボンつくような鳴らし方をいっさいされていないことに気が付いた。その点に水を向けると「低音域のボンつきだけは警戒しています。どうしても中音域に被ってきて全体的に音の透明感が失われますからね。」

まったく当方と同じ考え方なので安心した(笑)。

音の「量感を優先するか」それとも「質感=
スピード、透明感を優先するか」。

もちろん両立が理想だが、これがなかなか難しい。オーディオにとって永遠のテーマみたいなものだが、楽器の位置や音色をくっきり鮮やかに再生できるのは絶対に後者だと思うが、量感たっぷりの鳴らし方にも聴くソースによってはいわく言い難いふてぶてしさがあって
、一概にいい悪いとはきめつけられない。

「こうして鳴らす引き締まったタンノイもなかなかいいですねえ」と申し上げたところ「正直言って〇〇さんのウェストミンスターにももう一度タンノイのユニットを入れて、もっと音を詰めて欲しいと思ってます。」と、いきなりカウンターパンチをくらった。もちろん我が家のことである。さすがにタンノイ愛好家さん(笑)。

「まあ、常に気にかかっていることではありますよ・・・。ヤル気になればいつでもユニットを取り代えてもいいんですが、現行のフィリップスの口径30センチのユニットにも愛着があってなかなかその気になれないですねえ。

今さらながら口径の大きな38センチのユニットのスピード感の鈍さについていけるかという不安もあります。我が家のユニットは同じタンノイといってもHPD385とは少々違っていますのでね。ま、そのうち一度試してみることにしましょう。」と返しておいた。

次にクリプッシュでジャズも聴かせていただいたが、こちらも低音域を程良く締めてあってレンジも広く実に聴き心地が良かった。やっぱりNさんは「凄腕」の印象を強くした。2時間ほど堪能させていただいてから一緒に次の訪問先のNさん宅へ伺った。

           

これがNさんご愛用のアルッテクのA5システムで、Mさんと同様にレコード派で1台のプレイヤーに3本のアームを取りつけて楽しまれている。プリアンプとイコライザーアンプは一体化してあり(画像左:出力管「WE310A」)、パワーアンプはWE300Bシングルのモノ×2台。両方とも自作である。

      

試聴結果の印象はどちらかといえばレンジを狙わずに厚みを前面に打ち出した中身の濃い音という印象を受けた。

Nさんのお好きなジャンルはジャズオンリーとのことで、ジャズマニアにときどきみられる大音響で聴かれるタイプではなく比較的しめやかな音で聴かれるのがお好きのようでローレベルでもいっさい音が痩せることなくその表現力はさすがで、このアルテックの鳴らし方ならクラシックが聴きたくなったほどだった。

それからNさんはとても器用な方で、いろんな便利な道具を揃えてあり、中でも今回感心したのは次のリフター。

          

100キロクラスの大きくて重量のあるスピーカーをテコの原理で片手で楽々持ち上げられる優れもの。持ち上げた隙間に付属のコロを入れてスピーカーを動かしやすくする仕組み。お値段も2000円以内ということで、近くのホームセンターで購入された由。

我が家のウェストミンスターのユニットを入れ替えるときはいつも狭苦しい裏側に潜り込むのでひと苦労するが、これがあると非常に便利だ。

しかし、毎日使うものでもないし、せいぜい年に1~2回といったところだろう。その時になってお借りしようか、それともアッサリ購入しようか、ここが思案のしどころ(笑)。アッ、そういえばオーディオ以外にも大きな箪笥などを動かすときも使える!

それにしても今回も実り多き試聴会だった。
 


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縁の下の力持ち

2016年09月10日 | オーディオ談義

「スーパーツィーター」がやってきてからおよそ40日あまり経過し、その間右往左往したが結局最後の落としどころとなったのは次の2点だった。

一番目は鳴らし方の問題で「フルレンジ・ユニット+高音域の味付け」で構成する、そして二番目は優れた道具の活用で「マイカコンデンサー」の出番。

オーディオ機器にはシステムを構成するうえで、それこそ主役と脇役が入り乱れているが、目立たないけどそれらをしっかりと支える「縁の下の力持ち」的存在を忘れるわけにはいかない。

さしずめマイカコンデンサーなどはその最たるものだろう。スピーカーのネットワー用や真空管アンプのカップリングコンデンサー用にと八面六臂の大活躍で、もちろん普通のコンデンサーでも代用は利くし音は出るのだが、透明感などの点で大きな差が開く。

実は今回の「マイカコンデンサー」の活用に当たっては水面下でいろいろあったので後日のために記しておこう。

当時(8月初旬)のこと、メル友のMさん(関西)からメールが舞い込んだ。

「滅多に手に入らないマイカコンデンサーの逸品が現在オークションに出品されています。高級なスーパーツィーターにふさわしい代物ものですから見逃す手はないですよ。是非お薦めします。」

      

オークションでの説明では、

「金田式DCアンプ用 SEコンデンサ 0.4μF×2」「製造メーカー 双信電機 」「商品紹介 金田式DCアンプで有名な双信電機のSEコンデンサです。DCプリアンプからの取り外し品ですが容量に問題ありません。(測定済)

なにしろ発売当時はペアで10万円をくだらない代物だったそうで、(マイカコンデンサーって、とても高価なんですよ!)それが落札日直近の価格では3万円前後と格安だった。

性能と価格のバランスからみて、大いに気をそそられたものの惜しいことにこの容量の「0.4μF(マイクロ・ファラッド)」は我が家にとってはチョット大き過ぎた。

「0.2μF」程度なら飛び付くが、使う目途が立たないので切歯扼腕して見送ったところ落札結果は何と「39,500円」。

メチャ安いッ!こんなことなら購入して転売すればよかった(笑)。

そして、タイミングよくまるで入れ替わるようにオークションに出品されたのが次の画像の「0.2μF」のマイカコンデンサーだった。

           

国産モノだが、「0.2μF」は我が家にとっては絶好の値である。
    

そこで、北国の博士にマイカコンデンサーへの見解かたがた今回の出品物について伺ってみると次のような返信があった。

「マイカコンデンサーは音が良いと古来から言われていますが、トランス結合の場合思ったほどの効果は得られません。インターステージトランスの個性の方が強いからと思われます。R/C結合の場合の方がマイカコンデンサーの恩恵を得られます。 

また、小容量をパラレルにするのではなく大容量を1本使うほうが好結果が得られることはいうまでもありません。実は、私は国産のマイカコンデンサーの新品未使用本を自分用に少々ストックしています。20年以上前に大枚叩いてアマチュア無線ご用達の電気屋さんの在庫を全て買い取りました。
 
0.1μF(1KV) 4個  0.05μF(1KV) 10個  0.03μF(1KV) 3個 
 
中古のマイカコンデンサーも少しストックしていましたが殆ど知人に持っていかれました。  
マイカコンデンサーの難点はレアーショートが発生することですが、防止するには動作電圧の2倍以上の耐圧の製品を使用することくらいしかありません。
 
日本は湿度が高いので湿気による絶縁低下も問題で、マイカコンデンサーをよく使用するアマチュア無線愛好家や自作アンプマニアはパラフィン煮沸によって絶縁低下したマイカコンデンサーの湿気除去を行い高価なコンデンサーの延命を図りました。

それからお訊ねのあったオークションのマイカコンデンサーですが、しっかりテストしているようですしスペックを考えると中古のマイカコンデンサーとしては妥当な値付けと思います。

というわけで、安心感を持って「0.2μF」のマイカコンデンサーを即決で落札。すぐにスーパーツィーターに装着し、結果はバッチリ!(笑)

            

最後に、同様に「縁の下の力持ち」的存在として真空管アンプに使用される「整流管」について、懇意にさせていただいている真空管博士のMさん(別府市)から厳重注意があったので紹介しておこう。

整流管の挿し変えは十分お気をつけ下さい。同じナンバー同士だと問題ありませんが異なる場合、たとえばボウ熱から直熱へとか、ピンの形状が似たようなものなのでと思われても困ります!

ボウ熱型近代管と直熱型古典管では規定抵抗が異なります。又コンデンサINPUT時は容量指定されている場合が普通です。規定抵抗は始めから付いている整流管に合わせていますので。以上の様な条件から簡単に球を変える事は危険ですので注意して下さい。破損あるいは短時間でボツになる事があります。

趣味のオーディオは遊びですから何でも有りですが使い方を理解した上で使わないととんでもない事になります。」

アレッ、Mさんは当方のブログを日頃読まれていないはずだが・・。情報の発信源はいったいどなたなんだろう?

いずれにしろ、次のようにメールを返信した。

「アドバイスありがとうございます。ブログには書いておりませんが整流管を新らしく差し換える時はアンプの製作者に確認をとっております。しかしブログを読んだ方が真に受けられると不味いのでそのうち注意喚起しておきます。」

そういうわけで、読者におかれましては当方の記事をどうか鵜呑みにされませんように、そしてあくまでも「自己責任」ですのでよろしくお願いします(笑)。
 


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名録音技師 ルディ・ヴァン・ゲルダー 逝く

2016年09月08日 | 独り言

我が家の購読紙は「読売新聞」、お隣さんは「日本経済新聞」なので「1日遅れの新聞を交換しましょうよ」とみみっちい提案をしたところ(笑)、ご快諾を得てからおよそ3か月。

相変わらず経済記事の充実ぶりに重宝しているが、文化的な紙面もなかなかのもので9月5日(月)付の「日経」の裏面「文化往来」に次のような記事があった。

                 

文中に「世界で最も有名な録音技師」とあり、その通りだと思うがジャズファンならともかく、クラシックファンなら馴染みが薄いかもしれない。

この訃報を見たときに「あらまあ~、ルディ・ヴァン・ゲルダーってまだ生きてたんだね!」というのが第一印象。てっきりもうお墓の中かと思っていた。アメリカ人の平均寿命は先進国の中では低い方なので、91歳といえば天寿をまっとうしたと言えるのではあるまいか。

生前の代表作となる録音は人によってそれぞれ違うだろうが、個人的には「サキソフォン・コロッサス」(ソニー・ロリンズ)を第一に挙げたい。

モノラルにもかかわらずサックス、ピアノ、ベース、ドラムのそれぞれの楽器の位置が奥行き感を持って見事に表現(再生)されるというのはいったいどういう録音手法を取ったのだろうか。

ずっと不思議に思いながら、いまだにシステムをどこか弄ったときの貴重なテスト盤として活躍している。

これがうまく再生できればシステムの組み合わせに大きな外れはなく、大船に乗った気分でいられるのでとてもありがたいし、とりわけ高音域のシンバルの再生テストはこの盤以外には考えられない。

            

上段左からビクターの「XRCD」盤、通常のCD盤、下段の「SACD」盤の3種類を持っているが、この中で一番図太さを感じさせて迫力が在るのは「XRCD」盤で、こればかりは「SACD」盤といえども形無しで、いかにも音質が薄っぺらく感じてしまう。

レンジが広くて細かな音をよく拾う、いわゆる繊細な再生なんて当時(1956年)の演奏イメージにふさわしくないと思うのは自分だけだろうか(笑)。

それはさておき、現代の私たちは音楽と録音が切っても切れない仲であることを当然のことのように知っているが、そうではなかった時代の話を紹介しておこう。およそ9年前に投稿した「指揮者トスカニーニの虚しい顔」から抜粋。

「アルトゥーロ・トスカニーニ。20世紀に活躍した指揮者たちの中でも、その偉大さと名声において、疑いなく五指のうちに入る人物である。その彼が、ときにひどく虚しい顔をしていることがあったという。

自分が指揮した演奏会の後に、である。うまくいかなかったから、ではないらしい。オーケストラがミスをしたから、でもないらしい。それなら、彼は烈火のごとく怒り狂うばかりで、おとなしくしているはずがない。

演奏会が特に良い出来で、指揮者も演奏者も聴衆も、一体となって完全燃焼できたような晩にこそ、彼は虚しい顔をした、というのである。

理由は、想像するに難くない。 

今、たった今体験した音楽が、もはやあとかたもなく虚空に消えて、自分の肉体だけが現世に残っていることに、彼はどうしようもない喪失感を味わわされていたのだろう。

それが演奏家たるものの宿命であった。
 

画家は絵を、彫刻家は彫像を、建築家は建造物を、詩人は詩を、作曲家は楽譜を形として後世に遺す。

しかし、演奏家は、トスカニーニが生まれた19世紀後半までの演奏家たちは、聴衆の思い出の中にしかその芸術を留めることができなかった。彼と、彼の聴衆が死に絶えれば、その芸術は痕跡すら残らないのだ。」(「栄光のオペラ歌手を聴く」の序文より)
 


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オーディオ愛好家のご来訪~2016.9.1~

2016年09月06日 | オーディオ談義

猛威を振るった真夏の酷暑もどうやら一段落して多少なりとも日中が過ごしやすくなり、いよいよ待望のオーディオ・シーズンの開幕も目前となった。

人の動きも活発になったようでこの1週間のうちに3回もお客さんがお見えになったのはとても喜ばしいこと。

8月30日(火)のKさん(福岡)に続いて、9月1日(木)には4名のお客さんが、続いて3日(土)にはクルマで10分ほどの近くにお住いのYさんがご来訪された。

うち、1日にお見えになったお客さんたちはいずれも大分市にお住まいで、この日は別府市内の二軒の「オーディオ巡礼」をされるそうで、最初のお目当ては我が家とのこと。13時過ぎに揃ってお見えになった。

アルファベット順にAさん、Oさん、Mさん、Nさんの4名すべてお馴染みの方々ばかりで、とてもオーディオにご熱心な方たち。JBLの「パラゴン」、タンノイの「オートグラフ」、アルテックの「A5」などを愛好されており、いわば歴戦の強者ぞろい。

オーディオの酸いも甘いも噛み分けた方々なので、当方がどんなに日頃から偉そうな御託を並べてみても実際に出す音がプアなら「口舌の徒」として一気に信用を失ってしまうのが、ちと怖くなる。

したがって、まるでテストを受けるような気分になるが、ま、とどのつまりはそれぞれ自宅に戻られて「やっぱり我が家の音が一番落ち着く」となるのが目に見えているので、はじめから褒めてもらおうなんて期待しないほうが無難(笑)。

毎日聴いて耳に馴染んでいる音は良し悪しは別にしてそれほどの凄い説得力を持っている!

それでも、まず持てる道具でベストだけ尽くそうと慎重に作戦を練った。我が家には3系統のシステムがあるがどういう順番で聴いていただくのが効果的だろうか。

こう考えた。

「まず初印象が大切だ。最初でつまづくとそのイメージをひきずって全体が取り返しのつかない恐れがある。そして最後も好印象のまま後味よく帰っていただく必要があるので責任重大。すると二番目の真ん中あたりは緩衝地帯として当たり障りのない音でいいだろう。」

そこでお客さんからの視点を優先すると、1位「AXIOM80」、2位「ウェストミンスターの箱入り」、3位「AXIOM300」あたりが妥当なところだろう。

かくして鳴らす順番は次のとおりになった。後日の変化を確認しておくためにシステムの中身を明らかにしておこう。

共通機器 CDトランスポート「ヴェルディ・ラ・スカラ」(英国dCS)

1番目 DAコンバーター「ワディア27ixVer3.0」 → プリアンプ「出力管E80CCアンプ」 → パワーアンプ「PX25シングル」 → スピーカー「フィリップスの口径30センチユニット+スーパーツィーター」(箱はタンノイ・ウェストミンスター)

2番目 DAコンバーター「エルガー プラス」(dCS) → プリアンプ「大西式12Au7パラプッシュ」 → パワーアンプ「2A3シングル」 → スピーカー「グッドマンAXIOM300+JBL075ツィーター」

3番目 2番目と共有、スピーカーだけとり代えて「AXIOM80」

ご覧のとおり、やっぱりトリは「AXIOM80」に決めた!(笑)

ちなみに従来からの違いといえば、プリアンプを2台にしたこと。それぞれのプリアンプには出力が2系統あるのだが、パワーアンプを繋ぐときは1台限りにした方が音が断然良くなる。したがって必然的にDAコンバーターも2台活用。

さて、結果からいくとおよそ2時間程度の試聴だったが、総じて手ごたえ十分のように感じた。まさか、持ち主の面前で悪い音とかいう人はいないので、割り引いて考える必要はもちろんあるが、まあ、雰囲気でおよそ分かりますわいなあ(笑)。

意外だったのは2番目のシステム「AXIOM300」で想像以上に好評だった。075のおかげで音のエッジがっくっきり浮かび上がって、実にクリヤな音。

「AXIOM300と301との違いは大きいですね。さすがにグッドマンのアルニコ・マグネット型だけのことはあります。それに、やっぱり075は最高のツィーターですよ。骨太い高音はこれじゃないと出てくれませんが、こういう使い方もあるんですねえ。よく利いてますよ。」との声が上がった。

「なにせ075は能率が108dbもあって実に使いやすいので、普通のツィーター用でもスーパーツィーター用に使っても何でもござれですが、クラシックを主体に聴くのなら我が家のような使い方もあると思いますよ。」

最後は「AXIOM80」によって往年の名ヴァイオリニストのハイフェッツの「ツィゴイネルワイゼン」で締めくくった。

                   

お客さんが持参されたCDだが、あまりにも縦横無尽な技巧が余すところなく披露されているので、ちょっとテクニックに溺れ過ぎているような気がしてあまり積極的に聴く気にはなれないが、実際に聴いてみるといつも惚れ惚れする不思議なCDである。

全体的な総括となると評価が三分したようだ。内訳は「3系統とも甲乙つけ難し」派(2名)、「AXIOM300」派(1名)、そして「AXIOM80」派(1名)に分かれた。

「AXIOM300」派の方は「低音から高音までバランスが取れていて、音のエッジがくっきりしていて爽やか」、一方「AXIOM80」派の方は「AXIOM300はやや紙臭い音がする。その点AXIOM80の方が細かい音をよく拾うし原音再生にもっとも忠実。」と、いったところ。いずれのご意見ともよく判る。

ま、概ね3つのスピーカーとも実力伯仲との印象を受けられたようで、とにかく喜んでもらえてヨカッタ!

本日は自分も含めて5人でワイワイ、ガヤガヤと楽しく交流の輪が広がったが、これもオーディオの楽しみのひとつ。

お帰りになった後、すっかり沈黙したオーディオ機器のもと喧騒の余韻が部屋中に拡がって一抹の淋しさがそこはかとなく漂った。

ふと、次の句が浮かんだ。

夏草や 兵(つわもの)どもが 夢の跡 (芭蕉)


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これ以上、欲を出したら罰が当たる

2016年09月03日 | オーディオ談義

10日ほど前に登載したブログ「柳の下の二匹目のどじょうを狙う」(2016.8.25)では、その末尾に次の様に記していた。

「スピーカーが変わったのだからその性能に応じてもっと相性のいいアンプがきっと出てくるはず。2日がかりの実験の結果、予想に違わずこれまでダメだったアンプが見事に息を吹き返したんですよねえ。以下、続く。」

残念なことに、どなたからも「あの続きはどうなったんだ?」という催促がないし、それらしい気配もないので、ホッタラカシにしようかと思ったが、「以下、続く」とあるのに「続きがない」のではウソをついたことになる。

たしかに「ウソも方便」なところがあるが、こういう見え透いたウソは道徳上よろしくない(笑)。

そこで続きを~。

結論からいくと「息を吹き返したアンプ」とは、ここ1年間ほど使わずに寝かせておいた「2A3」シングルアンプのことだった。

         

アメリカの古典管の系譜は自分が知る範囲では「12A」 →「71A」 → 「45」 → 「50」 → 「2A3」と、脈々と受け継がれてきているが、この中で今でも取り分け世評が高いのが「45」であり、「50」である。「2A3はイマイチ」とも評されているが、設計次第によっては球の種類も豊富だし愛好している方もなかなか多いと聞く。

このアンプで使用している真空管の構成は初段から順次、「12AU7」(ボールドウィン) → 「6FQ7」(RCAクリヤトップ) → 「刻印入り2A3」(フランス製:VISSEAUX)。そして整流管は「5X4G」(カナダ製・楓マーク入り)。

パワーアンプの場合、ミニチュア管の一次、二次増幅というのはどうも印象が悪かったので、いずれ改造してもらおうかと二軍落ちにしていたのだが、スピーカーも変わったことだしと久しぶりに繋いでみたら驚いた。

とてもクリヤな響きでスピード感も透明感もこれで十分。どうしてこれまで活用してこなかったのだろうか?先入感は怖い。思わず自分の頭をド突いてやった(笑)。

アンプとスピーカーの関係といえばご存知のようにお互いの個性のぶつかり合いだが、やはりスピーカーの長所を伸ばし、短所を補ってくれるのがアンプの役割であり、今回のケースではスピーカーの引き立て役としてマッチングがうまくいったようだ。

ちなみに繋いだスピーカーは「AXIOM300+JBL075ツィーター」。

グッドマンAXIOM300はフルレンジとして使い、075は味付け程度にしてマイカコンデンサーの「0.15μF」でローカットしているが、クラシックを聴くのならこれで十分。

まったく惚れ惚れしながらルンルン気分の毎日だが自画自賛はあまり信用してもらえないのがオチなので、ここで「生き証人」に登場していただこう(笑)。

去る30日(火)におよそ1か月ぶりに我が家にお見えになったKさん(福岡)がその重要な証人。

はじめに「AXIOM300」を聴いていただいたところ、べた褒め。

「これ見よがしの派手さが無くて、ほんとうに音楽好きの方が鳴らす音ですね。いかにもグッドマンの本領発揮といったところです。075をプラスした違和感も微塵もありません。このスピーカーで2A3アンプが生き返りましたよ。

出力管の刻印入りVISSEAUXは我が家でも愛用していますが、定評のある一枚プレートものよりも音楽性は上のような気がします。数ある2A3真空管の中ではベストかもしれません。

フランス人は料理もさることながら、耳のセンスも侮れません。また、整流管の5X4Gの楓マーク入りは北国の博士が推奨されていただけのことはあります。とてもVISSEAUXと相性がピッタリです。想像以上の音にビックリしました。」


ことのほか鋭い耳の持ち主で、なかなかOKサインを出してくれないKさんからこういう言葉をいただくと、自分の取り組み方は間違ってなかったとひと安心。オーディオは自分さえ良ければそれでいい世界だが、それでも強力な後押しがあればやはり心強い(笑)。

次に「フィリップスのフルレンジユニット+スーパーツィーター」(箱はウェストミンスター)の試聴へ。

スーパーツィーターのチリ~ンと爽やかに鳴り響く音に魅せられて今やすっかりゾッコンのシステムだが、Kさんのご意見やいかに~。

はじめにシュワルツコップを聴いていただいたが、これが「AXIOM300」のとき以上の大好評!

「これまでシュワルツコップのレコードを散々聴いてきましたが、これぞまさしくシュワルツコップの声でしょう。彼女の声の再生は実に難しくてうまく鳴らしているシステムは少ないものですが、これは完璧ですね。

フィリップスのフルレンジがとてもいい味を出してます。タンノイを外して大正解でしたね。それに、とてもスーパーツィーターが利いてますよ。目立たないですけど雰囲気感の醸成に貢献が大きいです。実を言うとこれほど繋がりがいいとは思いませんでした。」

いやあ、今日は大安吉日だった(笑)。

ちなみにフィリップスのユニットを使っている方はどなたも刺激的な高音域の調整に苦労されているようで、つい先日オーディオ仲間のMさん(奈良)から参考までにと次のような画像が届いた。

                      

どなたのユニットか存じ上げないが実にうまい高音域拡散の方法を取っておられてつくづく感心した次第だが、その反面、寸法の調整など随分とご苦労の跡が偲ばれる。材質はおそらく厚手の紙だろうが、自分の場合はSPコードに「ムンドルフのゼロ抵抗コイル」を挿入して1万ヘルツ辺りから「6db/oct」で減衰させて、スーパーツィーターとバランスをとっている。

最後に付け加えておくとウェストミンスターを鳴らしたアンプは「PX25シングルアンプ」だったが、決め手は新しい整流管だった。

          

左側の真空管から前段管の「3A/107B」(STC) → 「PX25ナス管」(GEC)で一番右側の真空管が整流管で、つい最近手に入れたばかりのムラードの「10E/378」(軍用の直熱管)。

初めに使った整流管はコッサーの「CV378」だったが、どうもボンヤリして冴えないのでKさんのアドバイスもあってムラードに差し替えたところアンプを替えたぐらいに音が変わった。この珍しい整流管はクチコミにより、つい最近あるルートから手に入れたものだがそれだけのことはあった。

「これ以上欲を出したら罰が当たる」、そう思わせるほど我が家の2系統のシステムは熟成の域に達したようで、9月1日(木)にお見えになった4名のお客様たち(大分市)からもこれまでにない好評を博したがその模様は後日に~。

独り相撲ではとてもここまで到達できなかったのは明らかで、感謝の気持ちを忘れないようにしなければ(笑)。


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