「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

逆転現象

2014年01月30日 | 独り言

ブログの話になるが、2~3日おきの更新をこまめに続けていると、「よく話の種が尽きませんねえ」と知人から言われることがある。

「いいえ~、ときどきネタ切れで困ることがありますよ」と返しているが、オーディオ関連の記事にはあまり困らないものの、その合間になるべく“畑違いの記事”を挟むことにしているのがやや苦痛の種になっている。

オーディオばかりの連続記事だと「専門バカ」と思われそうなので、ちょっと意識して変化を持たせているわけだが、たとえば最近の記事では「スターリン回想録」(2014.1.19)、「原発 ホワイトアウト」(2014.1.26)といったやや“お堅い内容”のがそう。

しかし、このことがまったく予想だにしない逆転現象を引き起こしていることに気が付いた。

実を言うとこれらの記事の方が本家本元の「オーディオ関連の記事」よりもアクセス数が多いのである(笑)。

以前から娘や一部の知人に「オーディオ関連の記事はサッパリ分からない」と言われて久しいが、このことが改めて裏付けられた感じ。7年以上もの歳月をかけてコツコツと獲得した大切な読者の方々だが、もしかしてオーディオ以外の記事を楽しみにしている方が多いのかもしれない。

この現象をあえて言わせてもらうと「二枚目志望の役者がたまたま三枚目役を演じたところ思いもかけず人気が出てしまった」ような複雑な気分。

一般的に自分の適性は分かっているようで、実は分かっていないものだ。もとより雑学大好き人間なので「博覧強記」は望むところ。なるべく読者のご期待に添えるようにこれからはちょっと幅広い視野の記事を心がけた方がいいのかもしれないと思う今日この頃。

そういえば、ブログを始めた頃はもっとオーディオ以外の記事が多かったことを思い出した。

そこで当時の作風を知ってもらう意味で、ここ2~3日やたらにアクセスが多い過去記事を紹介させてもらおう。

それはおよそ5年前の2008年12月16日にアップした「女性指揮者 西本智美」という記事。

この1月27日付のアクセスでは記事閲覧数の第3位として50PV、28日付では52PVと過去記事にしては珍しいほどの過熱ぶり。おそらく「西本智美」さんに関わる最新ニュースがあり、興味のある方々がググってみた結果だろう。

当時の記事は、「グー」(ブログ・ブロバイダー)の一方的な仕様変更のためメチャ小さい活字になっているので、きっと読みずらいに違いない。そこで大きな活字への変更を兼ねて以下のように再度アップさせてもらうことにした。

実を言うと、ネタ切れだったのでこれで1回分の記事が助かった(笑)。

古い読者の中には当時の記事の内容を覚えている方もきっとおられるに違ないと思うが、どうか悪しからず~。

それでは以下、「女性指揮者 西本智美」
を再掲します。

ずっと以前のブログで「女性指揮者が育たないのはなぜ」というテーマについて書いたことがあり、そのときに参考にさせてもらったのが女流ピアニストでエッセイストでもある「青柳いずみこ」さんの次の著作。

 「ピアニストは指先で考える」(2007.6.5 中央公論新社刊)   

この本の中に次のような“くだり”がある。重複するが紹介させてもらおう。

『指揮者希望のある女性(ピアニスト)が知り合いの管楽器奏者に(指揮者になるための進路を)相談したところ、
「ダメ、ダメ、あんたには胸に余計なものがついている、そんなものを”ゆさゆさ”させられた日にゃ男どもは気が散ってしょうがない、やめとき、やめとき」』という逸話。

女性指揮者の弱点(?)というか、どうしようもない性差についてまことに言い得て妙で思わず吹き出してしまったが、その後に「西本智美さんなどは宝塚の男っぽいカッコイイスーツに身を包み全然”ゆさゆさ”
させていないように見えるが・・・」という著者のコメントがあった。

そのときに「フーン、女性指揮者が全然いないかと思っていたら“
西本智美”(にしもとともみ)さんという人がいるんだなあ~」と何気なしに記憶の片隅に留めていたところ、つい先日、テレビ番組のチェックをしている中、ふとその名前が目にとまった。

期    日   2008年12月13日(土)午後10時~10時30分

チャンネル    BSデジタル181「BSフジ」 

番 組 名    「辰巳琢郎のワイン番組」指揮者の西本智美とワイントーク展開

都会と違って地方では「西本智美」さんなる指揮者を実際に拝見する機会はまずないといっていいし、少なくともごくごく限られている。どういう人かしらんと興味しんしんで早速番組予約。

そして、録画した番組を観たのが15日の月曜日。
 

                               

「辰巳琢郎」も随分と”締まり”のない顔つきになったなあと思いながら(自分のことはさておいて!)観ていると「西本智美」さんが颯爽とテーブルを前にして立っておられた。「オッ、なかなか”いける”じゃん!しかし気が強くて冷たそう」というのが第一印象。

もっとも、指揮者というのはただ指揮棒を振ればいいというものではなくて楽団員への管理能力が問われる大変な仕事。

これも以前のブログに取り上げたが長いことNHK交響楽団の指揮者だった岩城宏之さん(1932~2006)の著作「いじめの風景」によると、音楽芸術の世界でさえも「指揮者=管理職」、「オーケストラ団員=部下」という構図が成り立ち「叱り方の難しさ」や「逆に楽団員からいじめられる指揮者の実例」などが紹介されていたが、やはり女性指揮者であっても「男勝りの部分」も必要とされるのは当然。

番組中の西本さんによると自分の性格を「思いっきりがいい、竹を割ったようなと、いいつつも意外と中からモチが出てくるといったような”しつこさ”がある」との自己分析だがさもありなんと思う。

日本には年間わずか3ヶ月ほどしか居ないとの話だったが、古今東西、名を成した女性指揮者をまず見聞したことがないので今後の活躍が大いに興味あるところ。

なお、この際だから彼女についてネット情報を漁ってみた。

まず「ウィキペディア」から。

1971年生まれで大阪市出身。大阪音楽大学作曲科卒業。国立サンクトペテルブルク音楽院に留学。28歳のデビューから37歳までロシアを拠点に活躍。指揮台での美しい姿から公演チケットがバックアップステージ側から売れてゆくという。

阪急宝塚線で大学へ通っていた頃は宝塚音楽学校の生徒たちから上級生と間違われよく挨拶をされていた。


なお、スキャンダラスな記事もちらほら。個人のブログの記事なので真偽の程は確かめようがないが、2007年夏季の「週刊朝日」に「西本智美の虚飾」との見出しで記事が掲載されたという。(未確認)

中身は、同性に対する性的嫌がらせ、虚言、経歴詐称などだったそうだが、どうせ有名税のひとつだろうし個人的な問題がどうあろうと指揮者の本分は指揮棒を振って芸術の本質に迫ること。

一度西本さんが指揮する音楽を聴いて女性指揮者としてのセンスを探ってみたいものだ。


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柳の下に二匹目の“どじょう”を狙う

2014年01月28日 | オーディオ談義

故障が直ったSPユニット「AXIOM80」が戻ってきてから早くも1週間ほどが経ったが、今のところまさにルンルン気分。

たまたまオーディオ仲間のAさん(湯布院)が近くにご用事があったとかで25日(土)に我が家に立ち寄ってくれたので、これはいい機会とばかり試聴していただいた。

「ホリー・コール」(アルバム「テンプテーション」)のボーカルを聴いていただいたところ、これが大好評。

「随分良くなりましたねえ。何だか背景が真っ暗闇の中から音がスッと静かに立ち上がってくる印象を受けました。以前はこれほどの静けさと緻密さはありませんでしたよ。それにエンクロージャーとの相性がいいようでAXIOM80にしては信じられないような低音が出ています。こんなに良くなるのでしたらAXIOM80はときどき点検に出した方がいいようですね。」

Aさんはとても自分なんぞが及びもつかないスーパーマニアである。非常に研究熱心でオーディオへの投資額は桁外れだし、豊富な武者修行に裏打ちされて「音」にはことのほかウルサイ方。そういう方からこうして太鼓判を押してもらうと随分自信になる。

「いやあ、そう仰っていただくとはうれしい限りです。考えようによっては故障して逆に良かったのかもしれません。戻ってきた翌日に修繕屋さんに電話したところ、“故障してない方のユニットもテストしてみるとガタガタでしたよ。みっちり調整したので随分良くなったはずです”と、自信満々でした。修理代なんて効果から考えると安いもんです。」

明るい気分になったところで、出力管のWE300Bを1988年製から1950年代製造の「オールド」に代えてみたところ「AXIOM80だからこんなにはっきりと差が分かるんですね。まるでCDとレコードの差みたいな開きがあります。断然後者の真空管がいいです。」

ここで、話のついでに「CDとレコード」について一言。

CDが登場してからもう30年余が経過したが、いまだにその音質にけっして満足しているわけではない。個人的にはほんとに「いい音」で聴こうと思うのならレコードに限ると思っている。一昔前は自分も実際にレコードばかりだったが、CDを使い出してどうしてもその便利さに押し流されてしまった。グレシャムの法則ではないが「悪貨は良貨を駆逐する」(笑)。

そういうわけで、いわば微妙な心理のもとにCDを使っているわけだが近年では「SACD」や「PCオーディオ」なども登場してきており、関係者のご努力には頭が下がる思いがするし、たしかに音質はいいのだろうが所詮は同じデジタルというコップの中の争いに過ぎず、レコードと比較するとどうせ「五十歩百歩」だろうと、あまり乗り気がしないまま今日に至っている。

まあ、ヘッドフォンなどで聴くとCDとSACDの違いがもろに出そうな気もするが・・・。

結局、自分の頭の中では今のところCDかレコードかの二者択一しかないわけだが、前述したようにたかが出力管の製造年代の違いでCDとレコードの差ほどの違いが明確に演出されるのだから、これはうれしい悲鳴。

さて、ひとしきり自作のエンクロージャーに容れた「AXIOM80」を聴いてから、今度はグッドマン社指定のオリジナル・エンクロ-ジャーに容れた「AXIOM80」を試聴してみた。するとメリハリが利いた音でいい面はたしかにあるのだがこうして目の前で実際に比較試聴してみると肝心の「ふっくら感」がどうも足りない。

前々回のブログに記したようにこの「ふっくら感」を出すために、自作のエンクロージャーのARUに超細目の金網を挿入したことでドラスティックに成功した記憶がまだ生々しい。

凡人が考えることは決まっている。「どれどれ、柳の下に二匹目の“どじょう”はいるかな」(笑)。

しかし、オリジナルとして聖域化された仕様に素人にちょっと毛の生えた程度の人間が手を加えるなんて「神をも恐れぬ所業」なのかもしれないと、怯む気持ちももちろん捨てきれない。少なくともそういう謙虚さは持ち合わせているつもり。

結局、「な~に、オリジナルといってもどうせ実験をすべてやり尽くした結果ではあるまい。それに60年前の当時とは使うオーディオ機器もまるで違っている。たとえばAXIOM80の開発に使用したアンプは出力がたかだか1ワット前後の“45”真空管アンプと聞いている。この際、熱心さに免じて許してもらおう。」という気持ちが優った。

一晩おいてから翌日の午前中に作業に取り掛かった。ネジを全部外した後でもエンクロ-ジャーの裏蓋がキッチリ締まっていて開けるのに実に苦労した。昨夏にはスポッと取れたのだが、冬場の空気が乾燥した時期はこうなるのだろう。細くて長いキリを使ってこじ開けたが、こういう作業は湿気の多い時期に限るのかもしれない。

         

これがエンクロージャー内部の写真だが既存のARUの上から金網を被せて4隅を極小の釘で止めてみた。もちろん原状復帰は簡単に出来るし、あくまでも実験である。

左右両方、ひととおり作業を終えてから胸をワクワクさせながら試聴してみたところ、どう割り引いても予想以上の効果が明らかに出ていて「ふっくら感」が増しているのが分かった。少なくともこれで1週間以上は聴いてみることにしよう。

まあ、好き好きだろうが何ごともやってみないと分からないもので、オーディオに固定観念は禁物~(笑)。


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「原発 ホワイトアウト」

2014年01月26日 | 読書コーナー

近頃、評判になっている「原発 ホワイトアウト」を運よく図書館でゲットできたので早速読んでみた。なぜ巷の噂になっているのか、ご存知の方も多いと思うが念のため紹介しておこう。

                     

著者の名前が「若杉 冽」(わかすぎ れつ)とあるが、これは仮名で裏表紙の著者略歴にはこう書いてある。

「東京大学法学部卒業、国家公務員試験1種試験合格、現在霞が関の省庁に勤務」

そう、現役の高級官僚が覆面作家となって書き上げたミステリーもどきの本というわけで、内容の方がこれまたショッキング。

現政府が“しゃにむに”なって進めている「原発の再稼働」に対して、原発の持つ脆弱性を明らかにしたうえで「はたしてそれでいいのか」という、いわば内部告発に近い本だから話題を呼ぶのも当然。

現在「犯人探し」が躍起になって行われている模様だが、杳として行方が知れないところも面白い。

ざっと、目を通してみたがけっして偉ぶって言うわけではないのだが、端的に言えばやはり素人作家が書いた印象はぬぐえないと思った。

全体的に文章が硬いうえに、何といっても登場人物の掘り下げが浅いし愛情も感じられないので読む側としても感情移入が出来ずあまり面白くない。しかし、さすがにお役人だけあって、物事の的確な把握や事実の描写力には並外れたものがある。

たとえば、官僚(行政府)と国会議員(立法府)との密接な関係や、電力会社と官僚、政治家との癒着などは「眼からウロコ」で、「成る程、そういうことだったのか」と頷かせるものがある。

一例を挙げると、選挙で落選した失意の議員がいるとする。よく、たとえに言われるのが「猿は木から落ちても猿」だが、「代議士は木から落ちたらタダの人」なので、今後の生活の心配までしなくてはならない。

そういう元代議士の中で再度選挙にチャレンジしそうな有力な人物に対して、とある電力関係者がこっそり忍び寄り「女子大の非常勤講師の口があります。週に1~2度講義をしていただければそれなりの報酬は保証します。」といった具合。

まさかの復活の場合に備えてちゃんと先行投資をしておくというわけだが、こういう議員が次の選挙でもし当選したりしたら電力会社に恩があるので、言いたいことも言えなくなる仕組みにちゃんとなっている。

こういう裏事情は一般人には皆目見当がつかないので随分参考になる。

それからもう一つ。

新聞の一面又は二面の裏の片隅にひっそりと「首相の動静」(朝日新聞の場合)という欄がある。

時の最大権力者である首相が「何時何分にどういうお客と会った」とか、「どこそこに行った」とか、細かい動きが記されている。興味があるのでいつも必ず目を通しているが、夕食などはよく「秘書官たちと会食」と記されている。

本書によると、これは額面通りに受けとったら大間違い。実は、こっそり抜け出して政財界の有力者とか、表に出すのが“はばかられる”人物との会食が多いとのこと。

本書のストーリーの中で事例として挙げられているのは、首相と検事総長との会食。

三権分立の建前上、行政府と司法府のトップ同士の会食だからこれはとても穏やかな話ではない。同席したのは資源エネルギー庁の高官で、懇談の目的は原発に強硬に反対する某県知事のスキャンダルを暴きたてること。ただし、もちろん個人名を挙げての直截な話はいっさい出ない。

首相から「現在の日本経済における原発の必要性」を大所高所から話すだけだが、それでも受け取る側は会食の意味と時節のタイミングを踏まえて総理の意を忖度(そんたく)し、以心伝心で通じるというわけ。

とまあ、こういう具合に一般庶民にはとても窺い知れない水面下の話が満載なので、こういう内容に興味がある方は一読されても面白いと思う。

最後に、原題の「ホワイトアウト」の意味だが広辞苑によると「極地一面の雪の乱反射のため凹凸・方向・距離が不明になる現象」とある。

巻末では、“ある工作”によって全電源喪失が起き、それによってメルトダウンを起こす原発、ひいては日本崩壊~ホワイトアウト~のシナリオが準備されているが、本書によって改めて「原発再稼働」に対する考え方が深まることはたしかである。

原発再稼働に対する短期的な見方「原油などを購入するために大量の国富が流出しているのを何としても阻止しなければ」と、長期的な見方「国富の流出どころではない、安全性を考えて原発即時撤廃だ」のどちらを国民は選択したらいいのだろうか?

これはあくまでも私見だが、原発即時撤廃には別の要素もあるように思う。たとえば、もしそうなると大学の原子力工学科の学生が極端に減ってしまって人材が枯渇し原子力技術の継承が出来なくなる恐れがありはしまいか。

領土紛争などの国の外交力の裏付けとなるのは何といっても軍事力だが、「その気になれば原子爆弾はおよそ1年あれば出来る」(自民党某有力政治家)そうで、これは物騒な話だが現在持ってはいなくてもいつでも原爆を作れるという日本の科学技術力と環境は有形無形の力になってはいないのだろうか。

それに万一、領土の局地紛争で一敗地にまみれたとすると、国民が一気にヒートアップして「原爆を作れ」なんてこともあり得ると思う。太平洋戦争前夜の国民の熱気ぶりはまだ遠い過去の話ではない。

公には絶対に「口が裂けても言えない」本音の部分が原発問題にはまだ隠されているような気がして仕方がないのだが、これは取り越し苦労なのかな(笑)。


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戻ってきた「AXIOM80」

2014年01月24日 | オーディオ談義

一昨日の22日(水)午後4時半頃のことだった。

いつものように60分ウォーキングを終えて、自宅に戻って“くつろいでいた”ところ玄関のチャイムがピンポ~ン。どうせ “押し売り”ぐらいだろうと玄関に出てみたところ、宅配業者が「着払いの荷物が届いています。」

思い当たることはただ一つなので「オ~ッ!」とうれしい悲鳴。

そう、1月7日(火)に修繕に出していたSPユニット「AXIOM80」がおよそ2週間ぶりにやっと戻ってきたのである!

そうならそうと、修繕屋さん(大阪)が事前に「これから送ります」ぐらい一言連絡してくれればいいものを、ここの店主さんは腕はいいけれど、そういう親切心はまったくない(笑)。

途中で1度連絡したところ、「まだ修繕中です。該当箇所に接着剤を沁みこませていますので時間がかかりますよ。」と、やや乱暴な物言いで、いつもの調子。

当方としても可愛い子供を人質に取られているようなものだから、ひたすら低姿勢で「そうですか、けっして急ぎませんのでたっぷり時間をかけてください」な~んて、心にもないことを言っていたずらに刺激しないように待ちの姿勢を貫いたことだった。下手に急がせて中途半端な作業をされても困るしねえ。

この調子なら少なくともあと1週間はかかると踏んでいたのだが、意外と早く戻ってきたというのが正直な感想。おそらく口は“ぶっきらぼう”だが心根は優しい店主さんが気を利かして急いでくれたのだろう。

夕食前のことだったが、すぐに作業に取り掛かった。エンクロージャーに容れていた「リチャードアレン」のユニットを外して、元通りに「AXIOM80」を入れ替える作業である。

途中で「ご飯ですよ~」と、家内が呼びに来たが「まだ、まだ、後だ!」。とにかく最初の「音出し」をするまでは食事どころではない(笑)。

SP周りの作業はとにかく慎重を要する。SPコードのユニットへのハンダ付け、エンクロージャーへの取りつ時のネジ締めなど、絶対に慌ててはいけない。ハンダが溶けすぎてユニットにこぼれ落ちでもすると大変なことになるし、ネジ締めの時に手が滑ってドライバーがコーン紙を突き破りでもすれば、もう自殺もので首をくくらないといけない。

ようやく2時間ほどで作業が終了して、心臓をドキドキさせながら「音出し~」。

故障個所は見事に治っていた。納品の説明書には該当ユニットの「周波数特性実測表」とともに、「コーン紙補強、カンチレバー取り付け直し、センター調整」とあったが、テストCDで200ヘルツ以下の信号を連続して入れたときに、「バタバタ」言っていたあの付帯音が見事に無くなっていた。

しかし、問題は音質。

何だか全体的にやや上ずった音がしてキャンキャン気味のどうも落ち着きがない音。むしろ修繕に送る前よりも悪くなっている感じで「困ったなあ、ちょっと期待外れだなあ」。駆動するアンプはWE300B(1988年製)だからアンプに不足はないし・・・。

ユニットの前にサランネットを付けて高音域をマスキングしたりしてあれこれ調整するも、どうもイマイチ。その日はとうとう諦めて就寝。

翌早朝、目覚めたときにふと気が付いた。そういえば「ARUを代えていたなあ。」

ARUとは、昨年12月のブログ「二つのAXIOM80の聴き比べ」にも搭載したように「Acoustic Resistance Unit」の頭文字をとったもので、音響的に負荷をかけて低い音を平坦に伸ばす役目を持っている」もので、要するに
ユニットの背圧の逃がし方を微妙に調整することで、豊かなふくらみのある音を得る道具のこと。

グッドマン社のユニットは通常のバスレフ方式だと「暖簾に腕押し」みたいなスカスカした音になるので、このARUは必需品といっていい。

                    

写真の水色で囲んだ部分が「ARU」の箇所で、エンクロージャー内部から2枚の金網を重ねて張り付けている。ユニットの後ろ側に出た音(逆相)を微妙に負荷をかけながら空気中に逃がす役割を担っている。

もちろんメーカー指定ではなく、自作のエンクロジャーだから完全にヤマカンに基づいた自己流である。とはいえ、何回も実験を繰り返してみた結果であることは言うまでもない。

以前は細かい目の金網を2枚張り合わせて張り付けていたが、別のユニット(リチャ-ド・アレン)に交換したときに細かい目と粗めの金網の2枚にセットし直していたのを思い出した。

「犯人はここかもしれない!」ピンと閃いたねえ。ちょっと遅すぎるが(笑)。

起き抜けだが、さっそく作業に取りかかった。エンクロージャーを“どっこいしょ”と倒して16本の裏蓋の長いネジを外してからご開陳。もう1枚細目の金網を足してみた。これでARUの構成は2枚の細目の金網と1枚の粗めの金網の計3枚の重ね合わせになる。

             

これが付け足した超細目のステンレスの金網で、考え抜き、迷った挙句の産物で近くのホームセンターで購入したもの。微妙な背圧の調整にはもってこいの代物だと思う。

さあ、注目の音出し~。結果は・・・。

大当たり~、それも以前より良くなっている!

あのキャンキャンした雰囲気の音が、しっとりと湿り気があってふっくら感が増して実に聴きやすい音になっている。高音域をマスキングするサランネットなんてもちろん要らない。たった30センチ四方の金網1枚で、これだけ音が変身するのだからまったくオーディオは奥が深い。そして、怖い世界である。

こういう勉強をさせてくれる「AXIOM80」さんに心から感謝。

これで、真空管アンプ「PX25・1号機」で駆動する「AXIOM80」(オリジナル・エンクロージャー入り)と、WE300Bアンプで駆動する「AXIOM80」の2系統システムが出そろった。

前者は官能的な雰囲気の音でどちらかといえばクラシック向き、後者はメリハリがきいた音でジャズ向き、かな~。いずれも甲乙つけ難しで、自画自賛になるがかなりの水準に達しているように思う。

ちなみに我が家の現在のラインナップは次のとおり。

CDトランスポート(ワディア270) → DAコンバーター(ワディア27ixVer.3.0) → バッファーアンプ → 真空管プリアンプ(2台) → パワーアンプ(真空管アンプ5台) → スピーカー(JBL3ウェイシステム、AXIOM80・2セット)

消費税が上がる前に弱点を補強するとなると、時代遅れの前段部分くらいかな~(笑)。
 


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出番ですよ~、「ナンバー2」の真空管!

2014年01月21日 | オーディオ談義

オーディオは音楽を聴く道具なので基本的には独りで楽しめる趣味なのだが仲間との交流があると、さらにその楽しみが何倍にも膨れ上がるような気がする。

そういうわけで仲間たちにはいつも感謝の念を抱いているがそのうちのひとり、Aさん(湯布院)とは一番長い付き合いでもう20年以上になる。

システムのどこかをいじったときは必ずといっていいほど来ていただいて試聴をお願いしているが、昨年末にプリアンプがほぼ完ぺきな状態で調整されて戻ってきたこともあって、
うれしさのあまり今年も年明け早々から二度ほど試聴していただいた。

☆ 1月14日(火)

愛用している「AXIOM80」が故障してしまい、修理に出してその代わりにエンクロージャーに収めたのがリチャード・アレンの「ニュー・ゴールデン8」(口径20センチ)。

「AXIOM80」と比べるのは酷だと分かってはいるものの、持ち主の評価としてはどうしても贔屓目になるので、冷静な第三者に判断してもらおうとAさんに来ていただいた。使用したアンプは真空管式の300Bアンプ。

試聴曲目はシベリウスの「ヴァイオリン協奏曲」(デービス指揮、ヴァイオリンはアッカルド)と由紀さおり・安田祥子コンビの「ローレライ」など。

「音の重心に不足はないのですが、もっと全体的に伸び伸びと鳴って欲しい気がしますね~。それにちょっと暗いです。」

「やっぱり、そうですか~」と言いながらもアレンさんに未練が残るので一縷の望みを託して「それでは真空管を代えてみましょうかね」と、中国製の300Bから本家本元のWE300B(1950年代のオールド)に代えてみた。

「いやあ、これは素晴らしい!まるで(リチャード・アレンが)生き返ったみたいです。こんなに差が出る
とは思いもしませんでした。」

それなら、「これはどうでしょう」と引っ張り出したのが今度は1988年製のWE300B。スピーカーのテストの積もりが何だか「球転がし」の様相を呈し始めた(笑)。

「明らかに音に若さを感じます。もっとエージングをした方がいいような気がしますね。日常的にオールドを使うのは勿体ないので、これは大切なお客さん用に取っておいて、いつもは1988年製を使用されてはいかがでしょう。年数が経つにつれオールドに近い音になるかもしれませんよ。」

WE300Bといっても製造年が30年以上も違うと、音が随分違う。たしかにAさんが仰るように日常的に使うのは1988年製がいいのかもしれない。

             

なぜなら、いつも中国製(写真左)を使うのでは淋しい思いがするし、オールド(写真中央)では音が良すぎて(?)もったいないし、そういう意味では1988年製(写真右)は絶妙の位置づけのようだ(笑)。

というわけで、出番ですよ~、「ナンバー2」の真空管!

それもこれも、真空管は消耗品だし修繕がきかないのでいつかは寿命がくる、それに古くて音がいい真空管はまったく再生産がきかないことに一番の原因がある。少々“みみっちい”ようだが後生大事に使わないとねえ。

☆ 1月18日(土)

我が家の問題児であるJBL3ウェイ・マルチシステム。ご機嫌がいい時と悪い時の差が激しくて手こずっているが、「手がかかる子供ほど可愛い」という言葉もある通り、自分で言うのも変だが愛情の注ぎ方は“ひとかたならぬ”ものがある(笑)。

この日は中域用のJBL375ドライバー(16Ω)に使っている真空管アンプPX25・2号機の真空管のテストをAさんとともにやってみた。

使った球は次のとおり。

          

直熱三極管の雄としてWE300Bと並び称されるPX25の本家本元はイギリスだが、タイプにはいろんな種類がある。

そこで手元にある4種類を試聴してみた。試聴の順番に写真左から「ドーム管」(イギリス:オスラム)、「ナス管」(チェコ製)、「ドーム管」(チェコ製)、「VR40ナス管」(イギリス:軍用管)。

試聴の結果、Aさん曰く「同じPX25でもこんなに音が変わるとは驚きです。今日は大きな収穫でした。あえて順番を言わせてもらいますと、VR40がダントツです。次に少し音の品格が落ちますがオスラムのドーム管です。チェコ製はちょっと・・・・。日常的に“VR40”を使うのは正直言って勿体ないですね~。」

やっぱり、ここでも出番ですよ~、「ナンバー2」の真空管!(笑)

最後に念のため申し添えておこう。

今回は何だか真空管のヒアリングテストになってしまったが、もちろんそれぞれに良さはある。上記の結果はあくまでも我が家の試聴環境での結果だし、それに使っているアンプの出力トランスや回路、初段管や整流管によっても出力管は生きたり死んだりする。

けっして先入観を持たないようにしてくださいね~。
 


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「スターリン回想録」

2014年01月19日 | 読書コーナー

「スターリン回想録~第二次世界大戦秘録~」(2013.8.15、山田宏明 著)。

                       

こういう極めて地味なタイトルの本が本屋さんに置いてあったとしても、いったいどれだけの人が実際に手に取って興味を示すことだろう。

そういう意味ではこれはまさに図書館に置かれるのにふさわしい本で、読んでいるうちについ惹き込まれて完読してしまった。まさに「掘り出し物」とでもいうべき力作。

スターリンといえば、第二次世界大戦当時のソ連の最高指導者として、また誰からも恐れられた独裁者として保身のためにライバルたちを次から次に粛清したことくらいしか知らないが、本書はそのスターリンの目を通して第二次世界大戦時の首脳たちの駆け引きの全容を明らかにしたもの。

日本そして欧米諸国の視点からの「大戦論」は多いが、ソ連という当時の独特の位置付けにあった国から見た「大戦論」は極めてユニークで「眼からウロコ」の連続だった。

「歴史は現代を写す鏡」という言葉があるが、現代日本の社会システムや国際関係は70年前の戦争の結果を抜きにしては語れないので、改めて一読の価値があるように思う。

たとえば当時のアメリカが参戦した主な理由として、自国の将来の権益を守るため、太平洋を隔てて対峙する日本が中国や東南アジアに進出してこれ以上の大国にならないように防止するためだったこと(「オレンジ計画」)などが明らかにされている。

結局、戦争に勝利して「超大国日本」の実現阻止には成功したものの、代わりに台頭した中国との関係に苦慮する現在のアメリカを見ていると、はたしてその戦略が長期的に見て正しかったのかどうか、まだ歴史の審判は下されていない。

また日本の天皇制についても敗戦の責任論も含めて、日本独自の奇妙な統治システムに関して随所にその在り様が率直に展開されている。中にはこういう記述もある。(141頁)

「400年も続いた徳川封建支配体制の時代には、天皇の存在すらほとんどの国民は忘れていたのに、明治維新によって歴史の屑籠から引っ張り出され、教育と洗脳で“世界に冠たる王室”に祭り上げられてとうとう戦争遂行の理論的支柱にまでなってしまった。~中略~。こんなものを担いで戦争遂行を正当化したこと自体が日本という国が“帝国主義国にもなれない二流国家”の証明なのだ。」と、いった具合。

ただし、本書はスターリンが実際に回想したものではない。毎日新聞の記者として34年間もの経験を生かした著者が「もし実際にスターリンが生きていたらこう言っていただろう」という推論に基づくものだが、豊富な資料に裏付けされているために内容に説得力があり、もしスターリンが生きていたら「ウン、その通りだ」というに違いないと思わせるものがある。

末尾の「歴史の勝者は誰か」(216頁)で、俺(スターリン)はこうつぶやく。

「第二次世界大戦とは、そして20世紀とは何であったのか。~中略~。俺の存命中の出来事ではなかったのだがソ連という国は結局消滅してしまったのだから、俺は敗者だったのだろうか。我が国が無類の勇気を発揮し命を削って戦った独ソ戦とは何だったのか。歴史の勝者は誰なのか。時の移ろいのままに、すべては無に帰すだけなのか。俺には分からない。」

「20世紀の一つの見方」として多角的な歴史観を養う意味で、こういう地味な本にぜひ世間の脚光を浴びてもらいたい気がする。


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神様は公平だった!

2014年01月14日 | 独り言

いつも原稿を書いた後にタイトルを決めるのだが、今回ほど迷ったことはなかった。結局、原題に落ち着いたが「世の中、そうそううまくはいかない」にも未練がある。最終的には読者のご判断にお任せということで。

さて、「好事魔多し」(こうじ ま おおし)という諺がある。

ご存知の方も多いと思うが、念のためその意味を簡単に述べると世の中良いことばかりは、そうそう続かない」

これを敷衍すると、普通の状況なら邪魔が入っても特に何も思わなくても、非常に楽しみにしていることに邪魔が入るとその邪魔に対する残念な気持ちが大きくなり、そういう心理的な側面からこの諺を使うことが多い」。

いずれもネットからの引用だが、まさに「言い得て妙」でピッタリの事柄が我が身辺に起こった。

日頃から愛してやまないSPユニット「AXIOM80」が何と故障してしまったのである!

どうも今年は新年早々からランキング三冠王になったり、オーディオ仲間が遠路はるばる来てくれたり、プリアンプの修繕のおかげで一段と音が良くなったりして、あまりにも順調すぎるので何か悪いことが起こりそうな予感がしていたのだが、やはり「神様は公平だった」(笑)。

以下、経緯を述べてみよう。

このところ連日ぶっ通しで「AXIOM80」用のWE300Bアンプを酷使していたので、当分休憩させようと待機中の「PX25真空管アンプ・1号機」に入れ替えてみたのが11日(土)のことだった。

アンプを代えたときには恒例の儀式として必ずSPコードのプラス・マイナス接続の位相チェックをやっているので、今回もテストCDを使って200ヘルツ以下の音声信号を入れてやったところ、左チャンネルの「AXIOM80」から微かに、それでも4mほど離れた距離からでもハッキリ聴きとれるぐらいに「バタバタ」という付帯音が聞こえてきた。

アレッ、おかしいなあ!通常の音楽を聴く分にはいっさいそういう症状が出ないが、低音域の連続信号を送ったときだけの現象のようである。

さっそく、同じ「AXIOM80」の愛好者のKさんに問い合わせてみると「それは心配でしょう。まるで自分の子どもが病気になったようなものですね。コントラバスなどの楽器が入ったCDで症状を確認されたらいかがでしょう。万一のときは病気と同じで早期発見、早期治療に越したことはありませんのですぐに修理に出された方がいいですよ」。

さっそく、ゲイリー・カー(コントラバス奏者)のCDで確認してみると確実に同じ症状が出てきた。これでユニットの故障であることは間違いなし。ヤレヤレ、また面倒くさい作業をしなければいけないのかと思わず天を仰いだ。老体にはこたえる(笑)。

これで「AXIOM80」を修理に出すのは手持ちの4本のうち3本目になる。普通のユニットに比べて故障が多いのは否めないが、耐久力が持ち味の工業製品ではないのだから十分に許せる。

「余裕を持って設計してあるので故障しないが、その代わりにそれほど“いい音”ではない」ユニットと「“いい音”だが、その代わりにギリギリのレベルで設計してあるので故障しやすい」ユニットのどちらを選ぶか、オーディオマニアの答えは自ずと明らかだろう。

作業にかかる前に、主治医にあたるSP修理専門店(昨年4月に岡山から大阪へ移転)に電話してみた。このお店は必ずしも儲け主義ではないところが気に入っている。たとえば、以前に修理歴があると、二回目は無料になったりすることがあるし、返送の送料は取らないなど、まるでコセコセしたところがない。

その店主さん曰く「すぐに送ってください。おそらくカンチレバーとコーン紙の接続部のヘタリだと思います。新札が使い古されてシワシワが増えてコシが無くなった状態と思えばいいです。

(接続部に)接着剤を微妙に沁みこませて強度を保つ必要があります。乾かしてから試聴を繰り返すためにかなり時間がかかりますよ。また、左右両方のバランスをとる必要があるためにペアで送付してください。もともと微妙なツクリのため個体差が大きく、左右不揃いが多いのがこのユニットの特徴です。」


          

一方的にまくしたてられて、こちらは「ハイハイ、そうですか」と相槌を打つばかりだが(笑)、カンチレバーとは上の写真の中の水色で囲んだ部分のことである。この変わった方式がAXIOM80の感度の良さに直結する最大の特徴で通常のユニットでは円形の外周部に襞が入ったエッジ形式になっている。

ところで、このユニットのツクリは見れば見るほど奇妙な形で何だか宇宙人を連想してしまう。こういう奇抜な形からでないと、あの独特の音が出てこないのも事実なのでまさに宇宙的な発想の産物といえる。

なお、(このユニットは)店主が仰るように個体差が多いこともたしかで左右の音量が違ったりすることがよくある。

取り分け、オークションなどで手に入れたものは“ペア合わせ”はまずやってないと思った方がいいので、そういうときははじめから専門店に送って調整してもらった方がベター。鑑賞は長期にわたるものだし、「まあ、いいか」は禁物(笑)。

さあ、嫌も応もなくさっそく作業に取り掛かった。AXIOM80を取り出すだけならまだいいが、修理の日数がどれだけかかるか分からないので当面、別のユニットを取りつけることにしたが、これがまた一苦労。

はじめに補助バッフルを使ってアルテックの403Aを取りつけて聴いてみたが、まあ我慢が出来るといった程度でリチャード・アレンの「ニューゴールデン8」(イギリス)の方が魅力がありそうなのでサボリたい心を叱咤激励して入れ替えてみた。

                

こちらのほうがアルテックに比べて「メカニカル2ウェイ」の利点はあるものの、それでもジャズを聴くとシンバルの響きに不満を感じたので余っていたJBL075ツィーターをマイカ・コンデンサー(0.15μF)でローカットして付け加えてみた。しかし、これは一長一短でクラシックを聴く場合は無い方がGOOD。

「ツィーターを付け加えたいと思うのは、高音域に原因があるのではない。それは中高音域の透明感が不足しているからだ。」の至言を思い出して、本体は置いたままでSPケーブルを外してツィーターは使わないことにして、相性のいい真空管アンプを模索することにした。

「周波数レンジ」至上主義から「透明感」重視へとボチボチ脱皮しないとねえ(笑)。

聴き始めてから2日ほど経ったが、口径20センチのフルレンジにしてはエンクロージャーの容量がかなりあるのでスケール感は十分で、バランスも整っていて聴きやすいが「AXIOM80」と比べるのは、ちょっと酷のようだ。

ああ、(「AXIOM80」が)早く戻ってこないかなあ~。
 


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「マキシム・ヴェンゲーロフの復活」

2014年01月12日 | 音楽談義

新年早々のこの時期には何となくうれしくなるニュースに囲まれて幸せ気分に浸りたいものだが、このほどその一つに巡り会った。

☆ マキシム・ヴェンゲーロフ(ヴァイオリニスト)の復活

昨年末に図書館から借りてきた「クラシックはおいしい」(2013.9.18、井熊よし子著)を読んでいたところ、マキシム・ヴェンゲーロフのことが記載されていた。この本は50人の著名な音楽家にインタビューしたうえで、それにふさわしいレシピを紹介したもので、なかなかユニークな着眼点から音楽家の“人となり”をうまく表現しており、一読に値する本。

                

43頁にマキシム・ヴェンゲーロフが取り上げてあった。著者の井熊氏は25歳のときにイスラエルのヴェンゲーロフの家に10日間ホームステイをしており、その時の体験をもとに「ヴェンゲーロフの奇跡~百年に一人のヴァイオリニスト~」の著作をモノにしている。

「百年に一人」なんて、ちょっと大げさそうだが、10年ほど前に彼が弾いた「ヴァイオリン協奏曲」(ブルッフ)を聴いたときに、たいへんな感銘を受けたのでこれはけっして誇張ではないと思った。けっして偉そうに言うわけではないが、40年以上クラシックを聴き込んでいると、一度聴いただけで自ずと演奏家の実力の程はしのばれるが、ヴェンゲーロフは明らかに別格。

           

「21世紀のヴァイオリン界を担う存在」とまで言われているのも納得の一言で、これからが非常に楽しみなヴァイオリニストだと思っていたところ、何と2007年に右肩を負傷して完治することが不可能と判断しヴァイオリン演奏の休止を宣言してしまった。

当時は「惜しいなあ!」と嘆息したものだが肉体的な故障なら仕方がないと諦めざるを得なかった。その後、指揮と教育と国際コンクールの審査員などを務めていたようだが、クラシック界は次から次に新鋭たちが登場してくる「生き馬の目を抜く世界」なので、もはや「忘れられた存在」になっていたのだが、それが本書によると完全復活を遂げたとのこと。

「もう、完全に治ったよ。心配してくれてありがとう。」来日公演でヴェンゲーロフはこう語り、不死鳥のように蘇ったとある。

とはいえ、4~5年のブランクは大きいと思う。名演奏家たちにとっては何せ練習を1日休んだだけでも調子が狂うそうだから、ヴェンゲーロフの場合には本格的な復活にはおそらく相当の時日を要すると思うが、何はともあれあの深々とした響きがもう一度聴けるとなるととてもうれしくなる。

ちなみに使っているヴァイオリンは数あるストラディヴァリウスの中でも最高傑作のひとつとされる1727年製の「クロイツェル」。

1974年生まれだからまだ40歳前後で、これから脂の乗り切った演奏に大きな期待を寄せてもよさそうだ。


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「最後の決め手は古いナス型真空管」

2014年01月10日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

「美空ひばりの全盛時代の声(佐渡情話)を聴かせていただきましたが、やはり“張り”とか“艶”とかが晩年とは比較にならないほどいいですね。西洋も含めて歌手の花の盛りは意外と短いようです。」と、Kさん。

それならば「老けをあまり感じさせない“由紀さおり”はどうでしょう?」と、近年のヒット盤「1969」(ピンク・マルティーニ協演)と、ずっと昔に録音された「由紀さおり・安田祥子~ウィーンにひびく歌~」(Kさん持参)を聴き比べたが、さすがに“由紀さおり”といえども声の衰えは隠せなかった。しかし、その辺を実にうまく技巧でカバーしているのがプロの歌手たる所以だろう。

          

人間の声は究極の楽器だといつも思うが、ヴァイオリンなどと比べると年数が経つにつれ次第に輝きが失われていくのが非常に残念。次第に老化していく声帯(靭帯)を何とかできないものか。こうなると、一流の歌手たちには全盛期に沢山録音してもらって後世に残してもらうしかない。

次に今回の試聴会の3番目のテーマへ。

☆☆☆ 小出力の真空管アンプでJBL375ドライバー(16Ω)を鳴らす

今回のメインテーマである。

我が家の「AXIOM80」さんはおかげさんでようやく“そこそこ”に鳴ってくれるようになったが、残された課題はJBL3ウェイ・マルチ・システム。実を言うと低音域と中音域とのバランスにいつも物足りなさを感じている。

何せ、見よう見まねの自己流の変則的な組み合わせなので半分は実験用材料の気持ちもあるし、これはやせ我慢かもしれないがこういう中途半端なシステムを身近に置いておくのも意外と面白いのも事実。

なぜなら「あああでもない、こうでもない」と、ささやかなノウハウを駆使しながら、ネットワークをいじったり、アンプの真空管を交換したりして、ふと良くなったときの嬉しさは格別のものがある。これは完成したシステムからは味わえない楽しみ。

ただし、良かれと思って前進することが逆に楽しみを後退させる面もあるわけで、これはまったくパラドックスの世界(笑)。

それはさておき、今回はJBLをうまく鳴らすためにKさんからわざわざ持参してもらったのが「371Aアンプ」。出力がわずか0.5ワットで使ってある出力管は見るからに音がよさそうな1940年代前後のナス管(カニンガム刻印)。非常にシンプルな回路で小っちゃくて持ち重りがしないので実に使いやすい。

            

ちなみに、「高能率ユニット」+「ノンNFB、シンプルな回路、古いナス型真空管使用のアンプ」の組み合わせで期待が裏切られたことは一度もない。したがって、古い「ナス型」真空管を見ただけで条件反射的に「いい音がする」と思ってしまうが、これにはKさんも「まったく同感です」。

折角の機会なので初めにこのアンプで「AXIOM80」を鳴らしてみた。WE300Bのときにはプリアンプのボリュームの位置が9時の位置だったが、このアンプでは1時くらいになったものの、これでも「十分聴けるぞ」と言わんばかりの大奮闘。

次に本命のJBL375ドライバー(16Ω)に接続してみた。この375は能率が108dbと極めて高いので、わずか0.5ワット出力のアンプでも十分応えてくれるはずで、むしろ大出力だと音が荒れてしまう傾向がある。

ウーファーのJBL「D130」(口径38センチ)には真空管アンプ「2A3・1号機」、ツィーターのJBL075にはこれまた真空管「2A3・2号機」の組み合わせ。両者のアンプともに出力3ワット程度なので“小出力アンプのオンパレード”(笑)。

試聴の結果「いっさい出力不足を感じさせない!」と思えるほどの鳴りっぷりで、Kさんも感心の一幕だったが、全体的な見地からはなかなかシビアなご意見をいただいた。

「口径30センチ以上のウーファーには(コーン紙の重さとともに空気を押し出す量の負荷が大きくなるので)どうしても音のスピードの鈍さを感じます。この場合は低音用ユニットD130(38センチ口径)が375のスピードに追い付いていませんのでどうしても音が被ってしまい“にじみ”が出ています。したがって全体的にクリヤーさが今ひとつの印象を受けました。私がAXIOM80をどうしても手放せないのも、低音域のスピードに優れているからです。」

好みの音を図形にたとえるとするなら、低音域がズッシリと根を張ったように聴こえるピラミッド型からスッキリ爽やかな細身の二等辺三角形型などマニアによってさまざまだが、Kさんはどうやらボンつく低音が大の苦手のようで明らかに後者のタイプ。

いずれにしても低音域のスピードの確保はオーディオにとって大きな課題で、アンプとスピーカーへの“両にらみ”が必要なので一番コストがかかるし、先人たちも散々苦労されて努力を傾注されている分野のひとつ。

2ウェイや3ウェイなどの複雑なシステムの遍歴を経てシンプルなフルレンジの音に還っていく方をときどき見かけるし、Kさんもそのクチだが、これは「
魚釣りはフナ釣りに始まってフナ釣りに終わる」の名言に相通じるものがある。

「この次に試聴に来るまで、この371Aアンプを置いていきますので存分に使ってください」との、ありがたい言葉を残してKさんが帰途につかれたのは17時ごろで、結局この日は6時間にも亘る中身の濃い試聴会だった。

翌日になってKさんから電話があった「あれから家に帰り着いて夜遅くまでAXIOM80で聴き込みました。お借りしたCDから何とか“石川さゆり”のあの情念を引き出そうといろんなアンプをとっかえひっかえしましたが、ようやく245(45のナス管)アンプで再現できました!」

「そうですか。スピーカーを生かすも殺すもアンプ次第ですが、やっぱり最後は古いナス管が決め手になりましたか・・」。
 


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「新年初の試聴会」

2014年01月08日 | オーディオ談義

記事をupするタイミングがちょっとずれてしまったが、去る3日(金)にオーディオ仲間のKさん(福岡)が我が家に試聴にお見えになった。

「新年初の試聴会」になるわけで、年明け早々に幸先のいい好スタート!今年もオーディオに明けてオーディオに終わりそうな予感がする(笑)。

Kさんとは同じ「AXIOM80」の愛好者として昨年3月に交流を始めて、爾来およそ月1回のペースで行ったり来たりの相互訪問が続いているが、多大のノウハウをいただいて大いに感謝している。

Kさんによると「一度聴かせていただいたら2度目の訪問はまず無いのですが“AXIOM80”だけは別格です」とのこと。

おそらく「AXIOM80」に注ぐ愛情と評価にかけては日本でも有数の方だろう。欠点もいろいろあるユニットだが、あの透明感を一度でも味わうとまるで中毒患者のようになってしまう。しかも、システムのどこかをちょっとでもいじったら見事に反応してくるので、ある意味では恐ろしい存在である。

「いい音とはいったい何?」

このユニットからどれだけ勉強させてもらったことか、とても一言では語り尽くせないが、Kさん曰く「私たちはまだこのユニットの能力を十分に引き出していません。お互いに情報交換しながら切磋琢磨して競い合いましょうよ」。

強力なライバル出現だが「もちろん、望むところです。」そのうちKさんが“うらやましがる”ような音を絶対に出してやる~(笑)。

さて、この日は9時半ごろに「今から出発します。」との電話があった。前回のときは降雪のため山間部で随分ヒヤリとされたようだが今回は見事な快晴なのでひとまず安心。

10時半過ぎに早々とご到着されたので「あれっ、今日は随分早かったですね!」

「いやあ、(高速道を)ポルシェ911が20台以上集団で疾走していましたので、負けじと(BMW 7シリーズ)ついていきましたら思いのほか早く着きました。世の中にはお金持ちが沢山おりますなあ!」

おそらく高級スポーツカーの代名詞みたいな「ポルシェ」には保有する喜びとともに「愛好者の集い」みたいなものがあるのだろう。

オーディオの分野でも負けてはならじ、孤高のユニット「AXIOM80」にも同好会のようなものが欲しいが、このブログを通じて再三呼びかけているものの、これがサッパリ反応なし。

うまく鳴らすのが極めて難しいユニットなので、持て余している人が多いのかな(笑)?


さて、今回の試聴会のテーマは次の3点

 昨年末に改造してもらったプリアンプの試聴

☆☆ 新旧真空管の聴き比べ~エレクトロ・ハーモニクス(エレハモ)の300BとWE300B(1950年代のオールド)との比較試聴~

☆☆☆ 小出力の真空管アンプ(0.5ワット)でJBL375ドライバー(16Ω)を鳴らす

まずはじめにについて。

「まったく別のプリアンプを購入したような印象を受けました。周波数レンジや音の抜け、音色の艶など随分良くなってます。ただ、交換したコンデンサーのエージングには相当時間がかかりますよ。ちょっと音にキツサを感じます。少なくとも数か月はみた方がいいと思います。聴いていくうちにもっともっと良くなりますよ。」と、Kさん。

「このプリアンプは使う真空管によってガラリと違う表情を見せますので選択に迷ってます。まだ試行錯誤の段階ですが6DJ8の同等管としてECC88、6922、7308などいろんな種類がありますが、今のところECC88が一番相性がいいようです。これからもっと鳴らし込んでベストマッチを探してみるつもりです。」

次に☆☆について

真空管マニアの誰もが気になる存在といっても過言ではない「WE300B」だが、近年の値上がりは凄まじい。

先般のブログでも取り上げたように程度のいい1950年代初頭のものがオークションで
61万円(ペア)もする。いわば部品なるものがアンプ本体の価格を軽く超える逆転現象が起きており、まったく本末転倒だが古典管は再生産が利かないので需要と供給の市場原理が働くとこうなる。

そこで、類似の他の銘柄の300Bに視線が向けられるわけだが、さすがに人気の球だけあって種類も実に豊富で枚挙にいとまがないほど発売されている。自分だって、日常的に使用するのは300Bの類似管で十分なのでなるべく値段の安い中国製を使用することにしている。(要するにケチなのです~笑~)

今回、Kさんにわざわざ持参してきてもらったのはエレハモの300Bゴールド(ロシア系)。昨年の12月にエレハモの「2A3(低出力仕様)」のペアを購入したところ、予想以上に良かったので二匹目のどじょうを狙ってみたわけ。

はじめにWE300B(モノ×2台)でじっくり聴いてから、エレハモに差し換えた。

「このアンプは非常にいい整流管を使ってありますね。エレハモが実に好ましい鳴り方をしてます。WE300Bに比べると下(中低音域)がちょっと薄味のような気がしますが、十分聴けます。値段からすると立派なものだと思います。」と、Kさん。

「整流管にはWE422Aを使ってますが相性がいいみたいですね。うまく鳴ってますので中国製がダメになったら次はエレハモのゴールドを候補の一つにしたくなりました。」と、自分。

ところで試聴盤としてこの日活躍したのは「AXIOM80」が一番得意とするボーカルの分野だが、とりわけKさんが感心されていたのが「石川さゆり」の8400円のCD(ステレオサウンド社)。

「石川さゆりがこんなに“うまい”とはついぞ知りませんでした。凄い歌手です。ものすごく情念が籠った歌い方ですね。」

「値段が値段ですから、録音も抜群ですよね。同シリーズとしてほかにも美空ひばりの“愛燦々”(あいさんさん)が発売されていますが、欲しいのは山々ですが彼女の全盛時代に比べるとちょっと声の張りとか艶が落ちるようですからいくら録音が良くてもと、ためらってます。彼女の絶頂時の最高のライブ録音とされているCD盤をご存知ですか?」と、言いながら引っ張り出したのが次のCD(2枚組:現在廃盤)。

            

これは昭和48年、彼女が30代後半のときの東京厚生年金会館大ホールでのライブ録音だが、(美空ひばりの)いろんなCDを持っているが、これ以上の歌唱力を発揮したCD盤にはいまだに巡り会わない。この中からKさんが大好きな「佐渡情話」を聴かせてあげた。

以下、続く。
 


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新年早々「三冠王」獲得!

2014年01月06日 | 独り言

ここ4年ほどのことだが「音楽&オーディオの小部屋」のタイトルで三つの「ブログ・ランキング」に応募している。

折角、時間を割いて記事を投稿している以上、少しでも多くの読者に読んでもらいたい気持ちはブログをやっている人なら誰にでも分かっていただけるはず。

そのためのランキング参加というわけだが、おかげさまでこれらの相乗効果もあってブログの全体的なアクセス数も伸びる一方でうれしい限り。

それに加えて、今年は新年早々縁起がいいことに(これらのランキングで)「三冠王」を獲得!

もちろん、2014年1月6日(月)午前10時時点での「瞬間風速」でのことだが、これで通算すると3回目の獲得となる。

ランキングの内訳を紹介すると、まず一番愛着のある「ボーダーレス・ミュージック・ランキング」(参加件数:1115)。

            

次に、比較的若い年齢層の参加者が多い「ピュア・オーディオ・ランキング」(参加件数:149)

             

そして最後に、「人気ブログランキング(クラシック部門)」(参加件数:346)。読んで字のごとくクラシック専門のランキングだが、自分のブログはオーディオ主体の記事になっているので日頃肩身の狭い思いをしているが、こと、モーツァルトへの愛情と研究に関しては人後に落ちない積もり~。

             

以上、パソコン画像の取り込み方を教わっていたが、どうもうまくいかなくてついデジカメでパチリ。不鮮明な画像で申し訳ない~。

とにかく、ありがとさんです!新年早々の三点セットをおいしくいただきました。

これからも増長することなく、そして“はしゃぐ”ことなく(笑)、読みやすくて面白い記事の登載を心がけて参りますのでどうかよろしく~。


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ブログで“お金”を稼ごうなんて滅相もない

2014年01月05日 | 独り言

お目出度い元旦の夜、“ほろ酔い加減”もそろそろ醒めてきてぼちぼち寝ようかとパソコンを閉じかかったら、次のようなメールが舞い込んできた。

タイトルは「雑誌掲載のご依頼」。

「前略   突然のご連絡、失礼致します。

私、〇〇編集部の△△と申します。このたび、貴HPを拝見いたしまして、ご連絡さし上げました。「〇〇」は、10代後半~20代を中心に若者のライフスタイルやカルチャーを取り上げる月刊誌です。

読者層は若い世代だけでなく、幅広い世代の方に支持を頂いております。(よろしければ弊社HPをご覧ください → http:・・・・)

今回「〇〇2月号」にて「音楽入門」という企画を行うのですが、ぜひレヴューをお書き頂けないかと思い、ご連絡さしあげました。

つきましては、企画書をお送りいたしますので、一度ご検討頂けないでしょうか。なお、お引き受け頂ける場合は、レヴューの締め切りは「1月6日」までを考えております。

年始のお忙しい時期に大変恐縮ですが、ぜひご協力いただけますと幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。」

ためらうことなく、すぐに返信のメールを送った。

「メールを拝読しました。ご指名を受けまして恐縮しております。たいへんありがたいことですし、光栄なのですが、残念なことに若者に音楽について講釈をするほどのレベルには達しておりませんし、自信もありません。

したがって、折角のお申し出ですが、ご辞退させていただきます。私以上の方は沢山おられますので、すぐに見つかると思いますよ。それでは」

どうやら「闇夜に鉄砲」式の無差別攻撃の対象になったみたいだが(笑)、そういえば昨年の夏頃にも「webサイトに1回あたり7000円で投稿しませんか」という勧誘があったのを思い出した。

翌日(2日)の朝食時にこの話を持ち出すと、「そうよね~。趣味でやってることが仕事みたいになってしまうと楽しくないわよ。」と娘。

家内からは「そんな雑誌に載せると、いちいち内容にイチャモンがついたりしたときに大変よ。止めといた方が無難ね。」と、珍しいことにいずれも当方の判断に賛成の意見。

とにかくブログで全国向けに発信しているといろんなメールが来る。

「あなたは勉強不足です」という「お叱り型」、「これが絶対いい」という「押しつけ型」、「あなたは軽薄過ぎる」という「非難型」、「侮辱された、訴えてやる」という「脅迫型」など、様々(笑)。「ハイハイ、その通りです。」と、いつも軽く受け流すことにしている。

昨年末には、ご親切心からだろうがオーディオがらみの話が舞い込んできた。何だかすごく博学な方でご自身の選択に絶対の自信をもっておられ、当方のブログの内容に疑問を呈しながらの持論の展開だった。


音楽論なら同じ土俵で話ができるが、こと、オーディオに関してはお互いの家庭でどういう音で試聴しているのか実際に耳で確認しあったうえで対応しないと確実に不毛の議論になってしまう。第一、システムのうちの優先順位からして意見が食い違うのは目に見えている。

部屋の広さ、スピーカー、アンプ、DAコンバーター、CDトランスポート、音源、ケーブルなど、ひとくちにオーディオといっても変動の要素は限りなくある。たとえば、いくら「ハイレゾ」音源といってもスピーカー次第でいかようにも聴こえるはず。


したがってオーディオはどんなに偉そうなことを言ってみても実際に試聴しないと信用できない。我が家の音だって人によってはケチョンケチョンに酷評される恐れがあるので、読者の方々には常に割り引いて読んでもらう方がこちらも大いに助かる(笑)。

そういうわけで、せめて同じスピーカーで聴いておられれば話の糸口くらいは見つかるのにと、この件はあっさりパスさせてもらった。

有料のブログならいろんなご意見に対応する義務と責任があると思うが、何せ何回読んでもタダのブログだし、嫌なら“読んでもらわなくていい”だけの話なのでこういう時に自由がきくのが何よりもありがたい。

自由の価値は“お金”には換算できない!

というわけでブログで“お金”を稼ごうなんて滅相もない(笑)。
 

 


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年の瀬に一時行方不明になったプリアンプ

2014年01月02日 | オーディオ談義

「今さらなんだ!」と、お叱りを受けるかもしれないが、このところとみにプリアンプの重要性に目がいくようになった。プリアンプの性能次第でシステム全体の音質が大きく左右されるのでユメユメ油断できない。

現在、プリアンプは3台あり、その中でメインとして使っている真空管式のプリアンプは、非常に熱心なマニアの自作による逸品で昨年初頭に譲り受けてからずっと愛用している。

どこと言ってさしたる不満はないものの、そこはそれオーディオマニアの常で日頃聴いているうちにソースの録音具合によってつい欲が出てしまうときがある。

そこで、例によって厚かましくもオーディオ仲間のMさん(奈良)に持ちかけてみた。「もう少し高域の抜けの良さが欲しいですね、またもっとローエンドへの伸びが何とかなりませんかね?もちろん、やってみたけど思うような効果が得られないという“ダメ元”でも結構ですが。」

おそらくMさんのことだから“よもや知らんふりはなされまい”と、織り込み済みだったのだが、こちらの“読み”どおり「念のため点検してみますので送付してください。」と、年の瀬の押し迫った中でご快諾をいただいた。

「善は急げ」とばかり、プリアンプを送付したのが12月19日(金)で、順調に翌日の午後にMさん宅へ到着。大型のプリアンプなので送料は1580円なり。こういう調子でどれだけクロネコヤマトさんに儲けさせてあげたことだろうか(笑)。

すぐにMさんからメールが来て「無事到着しました。先ずは現状をもう一度把握してからにしたいと思います。」と、試聴していただいた結果、どうやら改善の余地ありとご判断された模様で「しばらく時間をいただいて方針を立てます。」とのこと。

「もちろんです。どうかよろしくお願いします~。」

その結果、改造箇所はプリアンプの音質のカギを握るともいえる「カップリング・コンデンサーの銘柄と容量の変更」「使っている電圧増幅管6DJ8にかけるプレート電流の変更」の2点に落ち着いた。

丁度3連休中で、予定の銘柄のコンデンサーの入手に時間がかかったが無事在庫があって連休明けに到着。それから、すぐに作業に入られた。

そして、今、試聴に入り聴きながらメールしています。これで、良いと思いますが念のためじっくりと聴きこんでから出荷日を決めたいと思います。今しばらくお待ちください。」

と、いった具合に試聴を繰り返しながら細かな手直しをしていただいてようやくゴーサインが出たのが26日(木)。

この「試聴の繰り返しによる手直し」がアンプづくりの大事なポイントで、Mさんはバッハをはじめ無類のクラシックファンで「音楽が分かっている方」なので安心して任せられる。「クラシック好き」と「技術」が両立したアンプ製作者は実に得難い存在だといつも痛感している。

結局、「これで良し」というわけで28日(土)発送の、到着は29日(日)の16時~18時指定としていただいた。

「明日は待ちに待ったプリアンプがやってくる。さあ、どんな音になったことだろうか」、あまりの期待から前夜はあまりよく眠れなかった(笑)。

そして、29日は朝から一日千秋の思いで待つことしきり。スペアとして使っているプリアンプへのケーブルの接続などもすべて取り外して受け入れ態勢は万全。日課になっている娘(帰省中)とのウォーキングも15時半までに早々と済ませて自宅待機。

ところが・・・・。予定の時間帯になっても到着しない!

とうとう20時近くになっても到着しないのでたまりかねてクロネコさんの専用電話にかけてみた。受付嬢に荷物の伝票番号を告げてから「いったい、どうなってるんですか!」と、チョッピリ大人げなく叫んだ(笑)。

「すみませ~ん。年末で混んでいるようです。お荷物の所在が分からなくなってます。まだ集配所には届いてないみたいです」

「そんなあ・・・・」と、思わず絶句した。荷物が行方不明になるなんて初めてのことで、クロネコさんにしては珍しい。きっとアベノミクスで景気が上向き加減なので年末の輸送量が予想以上にドカンと増えたのに違いない。

とりあえず「無事到着」の一報を待って心配しているに違いない発送元のMさんにメールした。「連絡をお待ちでしょうがこの時間(19:48)になっても 未着です。年末で混んでいるのでしょう。 したがって明日、再度ご連絡いたします。」

「そうなんです!クロネコヤマトの追跡調査をしたところまだ奈良の〇〇(集荷所)から更新されていないので今晩は未着かもしれませんが、余計に期待感が倍増されて音が良くなるかもしれませんよ。 」と、いつもユーモアを忘れないMさん(笑)。

こうなれば仕方がないと腹を括って翌日はおそらく早々に持ってくるだろうと諦めて就寝したところ、これがまた甘かった。

翌日の早朝の電話でも「探していますがまだ集荷所に到着してません。」

そのうち、とうとう「只今混みあっていますのでおかけ直しください」の「人工音声」一点張り。自分のような問い合わせが殺到しているに違いない。それならばと、パソコンに伝票番号を入力して検索してみるも「発送中」の表示だけで、まるで「暖簾に腕押し」状態。

おそらく「ヤカマシイお客がいる」と情報が伝わったのだろうか、心配して当方のエリアを担当しているクロネコさんの配達マンが駆けつけてくれた。「荷物を入れる棚が一つ間違うととんでもないところに行きます。まだ誤配送の連絡が入ってませんので大丈夫とは思いますが・・・」

「エ~ッ、お金には代えられない世界に一つしかないプリアンプなんですよ!」と、こぼしてみるもののその人の責任でもなし、ひたすら待つしかないようだ。

結局、到着したのはとっくに夜の帳(とばり)が落ちた19時半ごろ(30日)だった。ああ、行方不明にならずによかった!

          

これがプリアンプの全容で、右上の真空管(2本)の下部の水色でボカして囲んだ部分が生命線とでもいうべき「カップリング・コンデンサー」の入れ替え箇所で、マイカ・コンデンサーを含めて4種類の上質のコンデンサーをパラって接続してもらいました!

さっそく、ケーブルをつなぎ真空管(ザイレックスのECC88)を挿入して試聴に入った。スピーカーはもちろん「AXIOM80」。試聴盤の方は録音の良さを買って、例の「石川さゆり」の8400円のCD。

一聴しただけであまりの音の瑞々しさに驚いた。ギターの音色がとてもいい。しかも低音域への伸びも申し分なし。これは素晴らしい!

これまでが80点とすると明らかに90点は上げられる。後はコンデンサー類がまだ新しいのでエージングをジワジワ続けていけば95点は確実。

同じ「AXIOM80」愛好者のKさん(福岡)によると「パワーアンプに比べてプリアンプはとても難しいです。本格的にいじれる人はそうそうはいませんよ。」とのことだが、1年の締めくくりに当たって最高の音を送り届けてくれたMさんにただ、ただ感謝です~。

このプリアンプは出力が
3系統あるので、2系統をそれぞれ異なるエンクロージャーに入った「AXIOM80」(いずれもフルレンジ)、残る1系統はJBL375ドライバー(16Ω)に繋いだ。

これでいよいよ「無敵艦隊」の出来上がり~。2014年は「酒とバラ色の日々」になるのは間違いなし(笑)。
 


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新年のご挨拶です

2014年01月01日 | 独り言

                                           

これが日頃お世話になっている方や知人に出した2014年の年賀状です。

レイアウトをすべて娘(帰省中)に任せたため、ちょっと女性っぽくなってしまいましたが(苦笑)、改めて今年もよろしくお願いします。

さて、昨年末、その娘とウォーキングの帰りに書店に立ち寄ったところ、たまたま「3年日記」が目に留まりました。2014年1月1日から2016年3月31日まで、3年間分の日記が綴れるようになっています。

「10年日記」というのもあってどちらにするか選択に迷いましたが、これから残された人生の年数と健康の度合いを冷静に推し量りますと、3年という比較的短い単位で考える方が妥当のようです(笑)。

                  

今年のささやかな誓いとして1日1日を大事にしていきながら、こまめに記録を残していきたいと思っています。どうせ、「オーディオ日記」みたいになるのでしょうが(笑)。


どうか今年1年、皆様にとって良いお年になりますように~。

以上、新年のご挨拶にかえさせていただきます。 


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