「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「AXIOM80」愛好家の集い~第5回~

2015年09月28日 | オーディオ談義

「オーディオは終着駅が見えない世界なので、せめてお互いに同じスピーカーを使っている者同士助け合っていきましょうよ。」という趣旨で始めた「AXIOM80」愛好家の集い。

今年(2015年)の5月から月1回のペース、3人による持ち回り開催なので第5回目は26日(土)の我が家となった。

特に今回は特別ゲストとして古典管アンプづくりの妙手Gさん(福岡)も参加されて一段と賑やかな試聴会となった。しかし、ホストとしてはオーディオの猛者連3名から日頃の勉強ぶりについて手厳しい試験を受けるような、まるで受験生のような気分だった(笑)。

また、デジタル機器の故障は素人では手が出せないので、途中でどうかトラブルがありませんように~と、ただ祈るのみ。

当日は好天気の中、ご一同がご到着されたのは予定どおり10時45分ごろだった。お帰りが16時45分だったので、昼食を挟んでみっちり6時間もの長丁場となった。

これほどの長時間ともなると、我が家のシステムの長所も欠点も洗いざらい白日の下にさらされた感じ。

今回の試聴会の主要テーマは次のとおり。

☆ SACDとCDの音の比較試聴

☆ DAコンバーターの「エルガー プラス」(dCS)と「27ixVer3.0」(ワディア)の比較試聴

☆ SPユニット「フィリップス」(口径30センチ:アルニコマグネット)と「AXIOM80」(グッドマンン)の比較試聴

いずれも「比較試聴」によってその差を明らかにすることで少しでも対象機器の個性に近づこうという試みである。

マニアならご承知のこととと思うが、オーディオ機器や音質の評価はきちんとした普遍的な物差しがあるわけではないので、巷では各自が己の主観に基づいて好き勝手な御託を並べているのが現状。まさに百家争鳴でどれを信じていいことやら(笑)。

我が国では言論の自由が保証されているので、他に迷惑をかけない限りそれでも一向に構わないと思うが、結局「あんたが勝手にそう思うだけだろう」に、落ち着いてしまう。

その轍を踏まないための方法といえば、今のところ複数の耳で機器の聴き比べをするしかないと思っている。

そこでまず、最初に

「☆ SACDとCDの音の違いについて」だが、その前にシステムの紹介をしておくと、

第一系統のシステム(以下「第一系統」)

CDトラポ「ヴェルディ・ラ・スカラ」(dCS) → DAコンバーター「エルガー プラス」 → パワーアンプ「真空管PP5/400」(最初期版:英国マツダ)シングル → フィリップスのユニット(口径30センチ:フェライト マグネット型、ウェストミンスターの箱入り)

第二系統のシステム(以下「第二系統」)

CDトラポ「同一」 → DAコンバーター「27ixVer.3.0」(ワディア」 → プリアンプ「真空管12AU7使用」 → 「真空管371(トリタン仕様)シングル」 → 「AXIOM80」 or フィリップスのユニット(口径30センチ:アルニコ マグネット型、グッドマンの指定箱入り)

こうしてみると、使っているプリアンプとパワーアンプはいずれもGさんの手になるもので、我が家の音は結局Gさんのセンスで構成されているようなものかも(笑)。

          

初めの1時間半ほどは「第一系統」でCDばかり聴いていただいた後に一同揃って昼食に繰り出したが、和んだ雰囲気の中でどなたかから「たしかにいい音には違いありませんが(エルガーの)お値段からすると、それに見合った音ですかねえ」というまことに率直なご意見が提出された。

いくら熱心にオーディオに打ち込んでいるとはいえコスト意識は必要で、「あくまでも良識の範囲内で楽しみましょうよ」というのが一同暗黙の了解なのでこういうご意見が出るのは至極当然だが、一同しばし「・・・」。明らかに肯定的な雰囲気が漂っていた(笑)。

あとは四方山話で1時間ほどで自宅に戻って今度はSさんが持参されたSACD(ベートーヴェンのチェロとピアノの協奏曲)を試聴すると、CDとのあまりの違いに一同唖然とした。音像の奥行き感、定位、音が消え入るときの情報量などが月とスッポンなのである。ちなみに、このSACD盤は自分が所有しているモノよりももっと上質の録音のよう。

あまりの音の良さに途中で切り替えるのが惜しくてとうとうSACD盤すべてを聴きとおしてしまった。曲目自体はそれほどでもないと思うが、音質がいいと音楽の表情まで変わる。

「以前、マランツのプレイヤーでSACDを聴かせてもらったことがありますがサッパリだった記憶があります。やっぱりエルガークラスで聴かないとSACDのほんとうの良さは引っ張り出せないようですね。チェロとピアノの前後の位置関係に絶妙な表現力が伺えます。これはもう完成の域に達した音ですよ。」と、Kさん。

「今さらSACDか」と、笑われそうだがこれほどの差があるとは想像だにしなかったというのが正直なところ。CDとはまるっきり別物の世界である。

これには後日談があって、27日(日)に福岡からお見えになった新たなお客さん「Nさん」という英国を中心に海外経験が豊富で真空管は「英国マツダ」を愛用されているという方にSACDを聴いていただいたところ「CDとはまったく別物ですね!」と、その情報量に驚かれていた。

CDも標準以上だが、SACDで特に能力を発揮するのが「エルガー プラス」である。

こうなるとSACD盤が欲しくなるのがマニアの常だがネットオークションを覗いてみたところ、あまりの高額にエッ!

いずれも1枚5000円前後と、お値段の方もCDとはまるで別世界(笑)。せめて大好きなオペラ「魔笛」(モーツァルト)ぐらいは所有しておきたいものだが、新盤では唯一古楽器で有名なクイケン指揮のものが発売されているものの、古楽器はどうも馴染めなくてキライ~。

他のSACD盤となると、意外だったのが往年のショルティ指揮盤がSACD盤で発売されていた。魔笛は手元に50セット近くあり、おそらく日本一のコレクターだと自負しているが、指揮者、歌手、オケの出来具合によって個人的にA、B、Cランクに分類しているが、ショルティ盤は間違いなくAランクに位置する演奏でケチのつけようがない。

しかし、アナログ時代のそんな昔の録音をSACD盤に焼き直したところでどのくらいの効果があるんだろうかとちょっとためらいを覚える。マスターテープの出来具合も影響するんだろうが・・・。

SACDの将来を考えるとこれから深入りするのもどうかと思うし、しばらく悩みが尽きそうにない(笑)。
 


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音響空間に漂う「余韻」の美しさ

2015年09月25日 | オーディオ談義

先日(18日)、我が家にやってきたdCSのDAコンバーターのセッティングを無事終えると、直ちにああでもない、こうでもないといつもの調子でスピーカーやアンプなどを入れ替えて「ベスト マッチング」を探し求めた。

ほんとうは楽しかるべき時間だが、組み合わせの結果に眉をひそめる時の方が多いのでもしかすると苦行の時間なのかもしれない。ま、贅沢な悩みかも~(笑)。

試行錯誤の結果、一応の結果を見たものの残念なことに自分の耳には全幅の信頼を置いていないので(笑)、近所にお住いのとても繊細な聴覚をお持ちのYさんに来ていただいて一緒に試聴することにした。

19日(土)のことだった。

Yさんの第一声は、「とても滑らかで緻密な音ですね。さすがにエルガーです。音の品位がこれまでよりも確実に一ランク上がった感じです。音響空間で音がスーッと消え入るときの余韻の漂い方が何とも言えません。散り際の美学さえ感じられます。低音とか高音がどうのこうのというよりも、録音現場の雰囲気が再現できればもう最高ですよ。」

いやはや、なかなかの高評価に思わず頬が緩む(笑)。

しかし、フィリップスのユニットの後に「AXIOM301」(グッドマン)に切り替えて聴いたところ、明らかに「?」だった。音の爽やかさに相当の違いがある。ほかのDAコンバーターでは、これほどの差がでなかったのに、容赦なくアラを暴き出すのが良質のオーディオ機器の持つ宿命だろう。

ウ~ン、こうなれば仕方がないかなあ・・・。

翌日(20日)の午前2時、昔でいえば「草木も眠る丑(うし)三つ時(どき)」にむっくりと起き出した男がいる。眠気を覚ますために頭を振り振りしながら階下のオーディオルームに入っていく。

電動ドライバー、半田ごて、六角ネジ回し、キリ、延長コードなどの道具を黙々と準備する。

何をするかといえば、タンノイ・ウェストミンスターの後ろ側にまわり込んで、その中に容れているSPユニットの交換作業である。

グッドマン「AXIOM301」ユニットから「フィリップス」(フェライトマグネット)のユニットへ~。両ユニットとも口径が30センチであり同じ補助バッフルが使えるので大いに助かる。

取り付け後の内部の画像がこれ。

          

左右両チャンネルの作業が無事済んで時計を見てみると時刻は丁度4時半で、所要時間2時間半の文字どおり朝飯前の仕事だった。

この日は翌日(21日)の釣行の準備が控えており、早朝のこの時間しか空いてなかったのでやむを得なかったのだが、実は早くフィリップスの音を聴きたいあまり、非常に気が急いたことは否めない(笑)。

さっそくアンプにSPコードを繋いで音出しを試みると、重量級の箱に容れたせいか音質の方もフィリップス独特のキャンキャンする印象が見事に抑えられて全体的に非常にバランスの取れた音になった。

ただし、重低音は見事といっていいほど出ないのが我が家の音の特徴である。

おそらく実際に聴かれた大半のマニアが「何だこんな音か!」と、ガッカリされるに違いない。しかし、過去に重低音を追い求めた結果、底なし沼に嵌ってしまった苦い経験が薬になってこの状態に落ち着いたわけで、この低音病から抜け出すのに結構時間がかかった。

今でもときどき顔を出すので困るが、現在のモットーは「周波数レンジよりも音のスピード感」である。音の立ち上がりと立下りが早くなると余分な音がまとわりつかなくなるので音響空間に余韻がうまく漂うようになる。

たしか音楽とオーディオの大先達だった五味康祐さんの著書「西方の音」だったか、「ふと、音が鳴り止んだときの静寂感を楽しむ」みたいな記述があったが、ようやくそういう心境になれたかな~(笑)。

ま、オーディオの世界は独りよがりの傾向が大いにあるので、近々、開催予定の「AXIOM80」仲間による試聴会のときの皆の総括を待つことにしよう。

以上、紆余曲折の結果、次のような組み合わせになった。(2015.9.25現在)

                     

第一系統のシステム

CDトラポ「ヴェルディ・ラ・スカラ」(dCS) → DAコンバーター「エルガー プラス」 → パワーアンプ「真空管PP5/400」(最初期版:英国マツダ)シングル → フィリップスのユニット(口径30センチ:フェライト マグネット型、ウェストミンスターの箱入り)

第二系統のシステム

CDトラポ「同一」 → DAコンバーター「27ixVer.3.0」(ワディア」 → プリアンプ「真空管12AU7使用」 → 「真空管371(トリタン仕様)シングル」 → 「AXIOM80」 or フィリップスのユニット(口径30センチ:アルニコ マグネット型、グッドマンの指定箱入り)

ちなみに「第二系統のシステム」中の「371シングル」アンプは最近故障したので、そのついでにGさん(福岡)に改造してもらったもの。

          

新たにインターステージトランスを挿入してもらい、ドライバー管を「6SN7」から「AC/HL」(ナス管:英国マツダ)に変更してもらったが、大化けして飛びっきりの音になったので文字どおり「ピンチはチャンス」を実感している。

今度こそ、これらのシステムでず~っと音楽に専念したいものだがはたしてどうなることやら~(笑)。


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dCSのDAコンバーター「エルガー プラス」

2015年09月23日 | オーディオ談義

先日のブログ「きっかけは些細なことだったが・・」(9月16日付)で、尻切れとんぼになっていた「エルガー プラス」の件。

念のため巻き起こしておくと、些細なことからネットオークションの「DAコンバータ」部門を見ることになりふと気付いたのが「エルガー プラス」(以下「エルガー」)の出品。

散々迷った挙句に入札に参加することにして、ビンボー人の自分にとっては目いっぱいの金額で入札し、あとは野となれ山となれと寝入ってから翌日(15日)早朝のパソコンを開いたところ「あなたが落札者です」の文字が目に躍った。入札は自分だけだったので出品した当初の価格のままだった。

それはたいへんいいとしても、うれしさも7分目といったところで当然不安感もある。製品の程度もサッパリわからないし、到着して実際に聴いてみないと何とも言えない。オークションは多分にバクチの要素がありますからねえ(笑)。

ただし、希望的な観測材料が一つある。即日に代金を振り込んだところ、「荷物を発送しました」という出品者側からの連絡と同時に「非常に良い落札者様です」のオークションの評価が届いた。こちらが相手を評価しない前にこういうことをする出品者は該当の製品に自信を持っていることが非常に多いのが通例。これまで、こういうケースで期待を裏切られたことが一度もないのでちょっぴり安堵。

そして、18日の午前中に待望の現物が長崎から到着。

dCS独特のジュラルミンの専用トランクに入っていたが、CDトランスポートの「ヴェルデ・ラ・スカラ」を購入したときも同様だった。

          

さっそく梱包を解きにかかって、付属品の確認やら取説の解読がひと苦労。何せデジタル機器の取り扱いはオジサンにとっては苦手の極みなんだから~。

半分わかって半分わからないというのが正直なところだが、せっかちな性格なので運転しながら勉強することにして、マランツのDAコンバーターの上に載せて電源コードを接続。

                       

次に、CDトランスポート「ヴェルデ・ラ・スカラ」から各DAコンバーター3台に接続。

まず1394接続コードでエルガーに、次にバランス・デジタルコードでワディアの「27iXVer.3.0」に、そしてRCAデジタルコードでマランツの「NA11-S1」へ。

ここでひとつの選択が生じる。スピーカーが2系統しか置き場がないので、DAコンバーターも2台しか選択できない。

エルガーが今後のメインになることは当然のこととして、残る一つの枠にワディアかマランツのどちらかを起用することとなる。

ワディアは10年以上も前の製品だが、「腐っても鯛」でまだまだ捨てたものではないし、マランツは今年の3月頃に購入したばかりで新鋭のデジタルチップが使ってある。

クルマに喩えると、「クラウンの中古」と「軽自動車の新車」のどちらを選ぶかということになる(笑)。

自分の場合は当然前者である。マランツをこの半年間使ってきたが、ワディアと比べると基本的なツクリがまったく違うせいか音の元気度に相当の違いがある。

デジタル技術は日進月歩という話もよく聞くが、ワディアとマランツの10年以上の差からすると「そうでもない」というのが実感。

とにかく、つまらん講釈は抜きにして早く音出しを~(笑)。

まず次のシステムで鳴らしてみた。

CDトランスポート「ヴェルディ・ラ・スカラ」 → DAコンバーター「エルガー」 → パワーアンプ「真空管PP5/400」シングル」 → スピーカー「フィリップス」(口径30センチ:グッドマンの指定箱入り)

プリアンプを介在させていないが、この「PP5/400」アンプに限ってはそちらの方が音がいいのが不思議!

その点、「エルガー」自体にボリュームコントロールが付いているので活用の幅が大いに広がる。

ここで「エルガー」のボリュームを最大にして、パワーアンプのボリュームで調整するのか、それとも後者のボリュームを最大にしてエルガーのボリュームで調整するのか、二者択一になるが、「エルガー」の取説ではパワーアンプのボリュームの方を最大とあった。

ドキドキしながら「エルガー」の電源スイッチを入れて注視。小さなディスプレイの窓に「LaScala-」の文字が浮かび上がった。DAコンバーターがCDトランスポートをきちんと認識した模様でひと安心。

まずSACD盤を鳴らしてみた。大好きなコレッリの「合奏協奏曲 Op6」。

       

CDトラポのディスプレイにはSACDの読み取りを示す専用の小さな小文字がいくつも賑やかに躍っている。ちょっと大げさだなあ~(笑)。

そして出てきた音といえば・・・・!


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釣紀行~2015年9月21日~

2015年09月22日 | 釣り紀行

このところ、やたらに忙しい。忘れないように時系列で記しておくと、

9月18日(金)

ネットオークションで手に入れたdCSのDAコンバーター「エルガー プラス」が到着したのでセッティングを行った。これで既存の同じdCSのCDトランスポート「ヴェルディ・ラ・スカラ」との純正組み合わせが完成し、SACDの再生も可能になった。「何を今さら時代遅れのことを」と言われそうだが(笑)。

                          

お金のことを持ち出すのはあまり趣味ではないが客観的な事実として記載させてもらうと、発売当時の定価が両者合わせて500万円にものぼる代物が、それに見合った音を出してくれるかどうか、「それが問題だ」(シェイクスピア)(笑)。

9月19日(土)

「エルガー・プラス」の音の確認のために近所(クルマで10分ほど)にお住いのYさんに来ていただいた。フルートをこよなく愛される方で日頃、生の楽器に触れられているせいかとても耳が敏感な方である。フィリップスの口径30センチのユニット(アルニコ・マグネット)とAXIOM80との聴き比べなどを通じていろいろとご意見をいただいた。

9月20日(日)

タンノイ・ウェストミンスターの箱に入れていた「AXIOM301」を余っていたフィリップスのユニット(口径30センチ:フェライト・マグネット)に交換した。Yさんの「フィリップス絶賛」に、つい乗せられたのかもねえ~(笑)。

以上、オーディオの件は長くなりそうなのでまとめて後日に回すことにしよう。

9月21日(月)

今回のシルバー・ウィーク(連休5日間)は5月のゴールデン・ウィークに匹敵するような人の動きと混雑ぶりだとメディアではなかなか喧(かまびす)しかったが、その例に漏れず、我が家も娘が1か月ぶりに帰省したので久しぶりに家庭サービスをしてあげることにした。

日頃、オーディオにかまけてばかりなので罪滅ぼしの一環だが、娘が「魚釣りをしたことがない」というので家族総出で一路、県南「佐伯市」の離島、大入島(おおにゅうじま)に出掛けてみた。

大入島は30年近くホームグランウンドにしている我が釣りのメッカともいうべき存在である。    

事前に潮汐表を見てみると、潮の具合があまりよろしくなく、午前中の満ち込みが唯一のチャンスと踏んだので早朝6時半に出発。

前日に予約していた「アミ」と「オキアミ」を解凍してもらっていた釣り具店経由でフェリー乗り場に到着したのが丁度8時。8時15分発のフェリーにバッチリ間に合った。

          

フェリー乗り場からの島の全景写真がこれ。周囲17キロほどのこじんまりとした島だが日豊海岸国定公園の一部として風光明媚のうえに水が澄みきっており、波止場が多くて釣り場には困らず魚が多種類なのが大きな魅力。

なお、ここのフェリーは日本一(値段が)高いとして有名である。なぜなら、片道わずか5分の往来でクルマ1台あたり往復3千円も徴収される。ま、家族3人なのでいっか(笑)。

この好天気なので釣り客が多くて混雑しているだろうと予想していたら意外にもお目当ての波止場のポイントは閑散としていた。今の時期は魚が少なく、冬に比ベると(魚に)脂がのっていなくてあまり美味しくないというのがその原因だろう。

9時ごろから釣開始。

娘用にと一番簡単なサビキ釣りを準備してあげた。竿の道糸に6本ほどの釣り針を結んで、カゴにアミを入れて上げ下げするだけだから初心者には最適。

すると、まあ釣れるわ、釣れるわ!サバの大群が押し寄せてきて入れ食い状態。娘が竿の操作に専念し、家内が釣れたサバの取り外しとカゴへのエサの補給にと二人三脚。

釣果は次の通り。

           

25センチほどのサバ16匹はすべて娘が釣り上げたもの。

自分の方はといえば、30センチほどのチヌ(黒鯛)が釣れたほか、足の裏サイズのクロ(メジナ)が4匹ほど。仕掛けの選択をミスってしまい、初めのうちの一番大切なゴールデンタイムをムダにしてしまった。

ウキを取り換えてウキ下2mにした途端にチヌやクロがバタバタと釣れたのだから大いに悔やまれる。

予想どおり午後からは自分も娘もサッパリ釣れなかった。釣り場を綺麗に洗い流したうえで15時発のフェリーで帰途につき、佐伯インターから高速に乗って順調に1時間ほどで別府インターを出たまではよかったがそれからが大渋滞。

県外ナンバーの車が地獄(温泉)に入るために列をなしていたので、辛抱強く待ったうえで結局自宅に到着したのは16時45分だった。

野良猫が寄ってくるので、クーラーなどの釣具をひと通り洗って匂いを消したところで夕食の時間になった。

釣ったばかりの新鮮な魚を食べることができるのは釣り人の特権だが、この日の夕食はチヌの刺身とお吸い物、クロの塩焼きとサバの竜田揚げ。

ビールで乾杯後、カボス入りの芋焼酎、ウィスキーと手広くやったところ、急に眠気がさしてきて早々にバタンキュー。

今回の釣行に娘が味を占めたようで、次回に帰省したときも「ぜひ釣に連れていって」と大張り切り。どうやら新たな釣りファンの誕生かも(笑)。
 


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久しぶりのお客さん

2015年09月18日 | オーディオ談義

一昨日の16日(水)の午後、我が家に久しぶりにNさんとMさん(大分市)のお二人がお見えになった。もちろん、大歓迎である。

自分に限ってのことだろうが、独りだけで聴いているとどうしても音質に甘くなる傾向があるようだ。


たとえば、音楽の方に気をとられて音質に注意散漫になるのはいつものことだし、それに(厳しい)現実を目の前にしても「ま、いっか」と、つい面倒くさくなって詰めが甘くなるのが自分の悪い癖(笑)。

その点、こうして第三者と一緒に聴くことで冷静になり改めて客観的に音質を吟味することができるので大いに助かる。それに、こういう試聴会の都度、何かしら新しい発見があるのも事実で、この日もその例に漏れなかった。

何しろ、SPユニットのフィリップス(口径30センチ:ダブルコーン)と、ウェストミンスターの箱に入れた「AXIOM301」を聴いていただくのは今回が初めてだからどういうご意見が飛び出すか興味津々。

まず最初に聴いてもらったのは第一システム。

CDトランスポート「ヴェルディ・ラ・スカラ」(dCS) → バランスケーブル接続 → DAコンバータ「27ixVer.3.0」(ワディア) → 「トランス式アッテネーター」(カンノ) → WE300Bシングル(モノ×2台) → 「フィリップス」(アルニコ・マグネット:グッドマン指定の箱)

フィリップスのユニットは初めてのご様子で、古色蒼然とした佇まいに「いかにもいい音が出そうですねえ。ちょっとネットを外していただけませんか」

                  

いろんなCDを聴いていただいたが、持ち主が言うのもちょっと気が引けるものの何から何まで「絶賛」だった。音の立ち上がりと立下りのスピード感といい、クリヤーな音像、余韻の美しさといいケチのつけようがなし(笑)。それにお二人は大のジャズマニアだが、クラシックのみならず、ジャズにも十分ご満足していただいたご様子。

「いいスピーカーはジャズもクラシックも両方イケる」。口径30センチのフルレンジの柔軟性と多様性に感心の一幕だったが、フィリップスは現在休息中の「AXIOM80」に取って代わる資格十分で、お値段からすると月とスッポンなので大善戦。今のところエージングを兼ねて鳴らし込みの真っ最中で、もっともっと良くなるはず。

さて、ここまでは良かったのだが・・・。

次に聴いていただいたのが第二システム。

CDトランスポート「上記」 → RCAデジタルコード接続 → DAコンバータ「NA11-S1」(マランツ) → プリアンプ「PAM-5」(クレル) → 「71Aプッシュプル真空管アンプ」 → 「AXIOM301」(口径30センチのダブルコーン:ウェストミンスターの箱入り)

これでまず最初にジャズを聴いてみた。「ビッグ バンド」(カウント・ベイシー)はたちどころにシステムのアラを出してくれるので重宝している試聴盤だが、すぐに「アレッ、何だかおかしいなあ」。どうも全体的に音が歪(いびつ)な印象を受ける。

日頃、クラシックばかりを聴いているのであまり違和感を感じなかったのだが、こうしてお客さんと一緒にジャズを聴いていると、すぐにアラが見つかるのだから世話はない。

お二人さんもご同様のようで「寂(せき)として声なし」(笑)。

長い沈黙に耐えかねて「パワーアンプを交換してみましょうか」と自分から発議して、我が家のエース「71Aシングル」アンプ(銅板シャーシ)に取り替えてみた。RCAコードとSPコードの両者を差し換えるだけだからものの3分もあれば終了。

これで聴いてみると・・・。「絶対に良くなるはず」と思ったのだが、たしかに幾分聴きやすくなったものの基本的にはまだ歪感が残る。どうも、おかしいなあ~。

こういう時にジタバタすると、一層わけが分からないことになるのがオチだが、ここは最後のひと踏ん張り、藁をもつかむ気持ちで「プリアンプを換えてみましょうか」。

とうとうトランジスター式の「PAM-5」を見限って真空管式のプリアンプに交換。

「ああ、随分良くなりましたねえ!」、これでようやく一同愁眉が開いた(笑)。

「クレルの場合、どうも自己主張が強すぎるようですよ。真空管式のプリの方がナチュラルで色付けなしに音を出してくれる印象です。やはり真空管式のアンプ同士の方が相性がいいみたいです。それからフルレンジのユニットをこういう大きな箱に入れて鳴らすのはひとつの理想形ですね。オリジナルのタンノイのユニットよりもむしろいいんじゃないですか。」と、お二人さん。

たしかに・・・。

実はこのプリアンプは音に力が無くてこれまでどうしようもなかったのだが、このほど出力段にUTCのマッチングトランスを取りつけてもらってから音質が飛躍的に向上し、今や我が家の救世主的な存在となっている。出力管は「E80CC」(2本)。

         

真上から撮った画像だが、左側の赤い文字が書かれている小さなトランス(2個)がそれで、「真空管プリアンプの出力段に良質のトランスを噛ませるといい結果が得られる」とお伺いしたので、オークションでトランスを落札しGさん(福岡)に取り付けをお願いしたものだが、狙いは見事に当たった。

これに味を占めて我が家の真空管式プリのもう1台も同じトランスをつけてもらったほどで、
「オーディオ機器は簡単に諦めてはいけない」の見本のような存在。

とにかく今回の試聴会もお客さんから多様なご意見をいただくことができて、一歩どころか二歩も三歩も前進~(笑)。 


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きっかけは些細なことだったが・・

2015年09月16日 | オーディオ談義

ふとした“些細なこと”があれよあれよという間に独り歩きしていって、大事(おおごと)に発展するのは長い人生の中でままあることには違いない。13日(日)の「久しぶりの釣行」もそうだったが、今回のオーディオの件はもうちょっと深刻だった(笑)。

先日のブログ「ありがとう!オークション」(9月13日付)の末尾で、ワディアのDAコンバータ「27ixVer3.0」を処分したい旨を記していたのだが、万一読者の方から問い合わせがあったときは困るので現在の相場ぐらい調べておこうと滅多に見ないネットオークションの「DAコンバータ」部門を覗いてみた。

残念なことにワディア製品は皆無だったので参考にならなかったが、その際、出品物中にふと目についたのがdCSの「エルガー・プラス」。

          

一時、DAコンバータの最高峰として君臨した名器で自分のような庶民にはとうてい手が届かない高嶺の花だった、そのエルガーが何とかちょっと無理すれば手が届く存在となっている!

長くなるがオークションの説明文を引用させてもらおう。どうせ4か月でネットから消去されるので、自分用の保存版としての記録でもある(笑)。

「今までメインシステムの中核を担う重要な機器として使用してきました。システムを縮小するために出品します。dCSのDAコンバーター Elgar Plus(エルガープラス)です。言わずと知れたDAコンバーターのひとつの理想形です。
価格は〇〇円。dCSの代理店はタイムロードから現在は大場商事に変わっていますが本品は大場商事に変わってからの正規品で、IEEE 1394端子装備のおそらく最終型になるのではないかと思います。

Elgar Plusならではの正確無比で非常に艶っぽい音です。私には具体的に表現する記述力がありませんので本品に対する評価等はネット上で検索してみてください。

ソフトウェアヴァージョン(issue)は4,42です。1394のコードヴァージョンは2.06です。外観は特に目に付くキズはなく美品だと思いますが、あくまで中古品ですのでもしかしたら見落とした微細なキズがあるかも知れません。外観にひどく神経質な方はお見送りください

本体以外に以下の物が付属します

●取り扱い説明書(コントロールサマリー等含む)
●専用のリモコン
●電源ケーブル(3ピン⇒2ピン変換アダプター付き)
●IEEE 1394ケーブル
●BNCケーブル
●ドライバー(リモコン用L型レンチ)
●スペアヒューズ
●ジュラルミンケース
●保証登録ハガキ(白紙無記名・期間の経過により無効)

以上になります。
取り扱い説明書の記載事項と照らし合わせてみましたが、おそらく付属品は全て揃っているのではないかと思います。
発送は専用のジュラルミンケースに梱包してゆうパック140サイズの予定です。送料は大阪まで1720円、東京まで2030円です。

さあ、大変~。

現在使用しているCDトランスポートは同じdCS製の「ヴェルディ・ラ・スカラ」だが、このDAコンバータとの純正の組み合わせとして使用することによって1394ケーブル接続でSACDの再生が可能になるし、クロックリンクもできるようになり音質の精度が飛躍的に向上する。

ウ~ム、ここは思案のしどころだなあ。

実は現在のワディアでも音質に関してはいっさいの不満はないし、自分ごときの耳ではさほど違いも分からないかもしれないしねえ~。

それに何といっても先立つものは資金の捻出だし~(笑)。方策といえばただ一つ、手持ちのオーディオ機器を売り払うしかない。

そこで中古販売で有名な某オーディオショップのウェブを覗いてみるとワディアのDAコンバータの最新項目では、買い取り価格が30万円、そして(一般人への)実売価格は518千円となっていた。

「オッ、まだまだ捨てたもんではないなあ」というのが実感。デジタルの世界ではdCSが出現する以前はワディアの「独壇場」だったのでその名残かも・・。

スペアとして1台所有しているので、その分をオークションに出品したら何とか足しになりそうだ。

良し、良し、気持ちは一気に前向きに~(笑)。

このDAコンバータを出品しているのは個人ではなくて、取扱い件数が3000件を越える業者さんのようだ。「悪い評価」も3件と極めて少なくてその内容がいずれも「一方的にキャンセル」という他愛のない(?)もので、どうやら信用がおけそう。

もちろん、オーディオ仲間たちとも相談したがどなたも「前向き」の意見でゴー、ゴー!大きな励みになった。とりわけ同じ「AXIOM80」仲間のSさんから(福岡)は、「こうしてCDトラポとDACが寸法的にもセットになりますよ」とメールで添付画像までいただいた。

                         

さあ、落札期限は14日(月)の午後10時。今の時点では入札件数はゼロだが、こういう定評のある機器は土壇場になっていきなり参加してくるマニアがいるので油断は禁物。何せ全国が相手の舞台だから熱心なdCSファンはきっといるに違いない。

当日の夕方になってようやく始動した。限度額を越えて〇〇円で入札し、「この額を越えたら諦めるしかない」と心に決めて、あとは白川夜船~(笑)。

そして、翌日(15日)の早朝5時過ぎにゴソゴソと起き上って、「結果やいかに」とパソコンを覗いたところ・・・。
 


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久しぶりの釣行~2015.9.13~

2015年09月15日 | 釣り紀行

「釣りファンの方々、たいへん長らくお待たせしました。ようやく“釣り紀行”の再開です。」と、声高らかに宣言したいところだが、おそらくそういう奇特な方は皆無に違いない(笑)。

ふとした縁がもとで6年ぶりの釣行となった13日の日曜日、まずはその経緯を説明しておこう。

8月下旬に家内の強力な申し出によってやむなく全面改造の破目になった我が家の台所。システムキッチンなんか男性にとってはどうでもいい問題だが、女性にとっては自分のお城みたいなものなのでそういうわけにはいかないらしい。

およそ1週間あまりの工事期間だったがそのときにお見えになった大工さんたち3名のうちのSさんが大の釣り好きと分かった。地元(別府市沿岸地帯)の好ポイントを熟知してあるそうで、「是非教えてください!」「それでは一緒に行きましょう」ということで話がスイスイまとまって、今回の釣行となった。

当日は早朝の6時半にSさんが迎えに来てくれて一緒に出発。お天気の方も小雨の予想だったが曇り空で何とか持ちこたえそう。

クルマで走ることおよそ10分、まったく想像もつかないような抜け道に入り込んで小さな原っぱの駐車場に出た。そして歩くこと5分あまりで釣り場に到着。次の画像だが、海の上で遠くに見える山はお猿さんで有名な高崎山(大分市)。

           

「エーッ、近くにこんないい釣り場があったんですか!」と第一声。Sさんのご自宅はこの近くとのことで、よそ者にはとても分かりづらい場所で“場荒れ”していないのがとてもいい。

足場もいいし、大きな魚がかかったときの取り込みも楽そうだし、近場の釣り場としては理想的。

釣り方も親切なSさんからみっちり教わった。

              

「パン粉釣法」といって、「パン粉+ポカリスエット+?」の3点を混ぜ合わせて釣り針にダンゴ状に付けて釣る方法。(「?」はSさんの秘伝だそうで固く口止めされたのでここで明かすわけにはいかないのが残念(笑)。)

アミとかアキアミとかを使わないので、釣り道具が汚れず、あの独特の匂いからも解放されるし、エサの経費も浮くし、釣り場も汚れなくて済むというまさに一石三鳥。

仕掛けは釣り具の名門「がまかつ」のプレシードの6.3m(0.8号)、飛ばし浮をつけ“浮き下”を“ひとひろ”とって、釣り針はアブミの4号。

7時から10時30分までの3時間半の間に型はイマイチだが50匹ほど釣れた。6年間のブランクをまったく感じさせない腕前ぶりに我ながら惚れ惚れした。もしかしたら自分は釣名人ではなかろうか(笑)

        

ただし、実はこの日の釣行のために倉庫の奥深く眠っていた釣道具を引っ張り出して手入れや仕掛けの準備に費やした日にちが延べ5日間とはお釈迦様でも知るまいて(笑)。           

なお、釣りとオーディオはまったく接点がないみたいだが実はオーディオマニアの釣り好きは意外に多い。そこで、その共通点をひとくさり述べてみよう。

「オーディオは(どういう機器を選ぶかの)選択だ」と喝破したのは「ジャズ喫茶ベイシーの選択」の名著をものにされた「菅原昭二」(岩手県一関市)さんだが、実は釣の本質も選択にこそある!

「一場所、二エサ」という名言があるが、釣果を左右するのはまず釣り場所の選択、そしてエサの選択にかかっているが、次に控えている仕掛けの選択が実にきめ細かい。

竿(長さ、調子、軽さ)、道糸とハリスの太さと長さ、リール、ウキ、ガン玉、釣り針、タモ

まるで選択のオンパレードで、それぞれに山のような種類があってこの中から気の遠くなるような複雑な組み合わせを要するが、これらを現地での天候や刻々と変わる潮の流れによって取捨選択を行わなければならず、「機を見るに敏なセンス」が大いに問われるというわけ。

釣りは「太公望」という別名があるが、現実はそういう悠長なイメージではなく選択の究極の雄として、どちらかといえばせっかちな人間が向いている(笑)。


折しも、これから秋にかけて魚釣りの絶好のシーズンである。近場のポイントが分かったことだしこれからの平日は頻繁に釣行して大いに名人ぶりを発揮するとしよう。

音楽、オーディオ、読書、そして魚釣り、もう忙しくてかなわん(笑)~。


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ありがとう!オークション

2015年09月13日 | オーディオ談義

「ネットオークション」という卓抜なアイデアのおかげでオーディオの可能性が飛躍的に高まったと思っているマニアは意外と多いのではあるまいか。

何事もそうだが選択肢の数が多ければ多いほど質的に向上していく。既に販売中止になってもう手に入らないと諦めていたものがときたま出品されるのだからたまらない。

自分などはオーディオシステムのうち、細かい部品などを合せると7割近くがオークションで落札した製品で成り立っているといっても過言ではないほど。

それに、お目当ての機器や真空管の個別の検索、そして何気なくチェックしているときに思わぬ獲物にぶつかった時などの思わぬ胸の高まりはとても捨てがたい。そして長年憧れていた機器が安価で手に入ったときの嬉しさとなるとそれはもう格別(笑)。

ただし落札した商品のネットでの表示期間(マイオークション・落札分)は4か月と定められているのがちょっと短すぎるようだ。つまり、それ以前に購入したオーディオ機器は自分の記憶の中だけの存在となるが、ただでさえ忘れっぽいのに、あとはひたすら忘却の彼方に往ってしまうだけ。

そこで、せめて明示のあるうちにと、この4か月の間(5月17日~9月6日)を振り返ってオークションで落札した機器の傾向を調べてみることにした。

スピーカー関連

フィリップスのSPユニット(口径30センチ、フルレンジ) 2件 2ペア(アルニコとフェライト各1ペア)

グッドマン指定のエンクロージャー(口径30センチのフルレンジ用) 1件 1ペア

               

アンプ関連

71Aプッシュプルパワーアンプ 1件 1台 、クレルのプリアンプ「PAM-5」 1台 

             

真空管関連

71A、AC/HL 、PP5/400など14件 21本(すべてスペア管)

ケーブル関連

RCAケーブル 5件 5ペア   SPケーブル 3件 3ペア  光ケーブル 1件 1本

トランス関連

UTCのドライバートランスなど 5件 5ペア

以上のとおりで、真空管は別格としてあまり偏ることなくオーディオ機器全般にわたってまんべんなく手を広げていることがよく分かった。

全体の件数は33件になるので、1か月平均にすると8件平均となる。つまり4日に一度は落札している勘定になるが、金額的に大物は皆無で小物ばかりなのが「ビンボー人」にとっては唯一の救いのタネ(笑)。

なお、この33件のうち商品が送ってこなかったりの悪質なものが皆無だったことはありがたいことだった。真空管のうちノイズが出たのが1件あったが、格安だったのでクレーム処理することなく諦めただけ。

そして、これは一番大切なことだが性能的に大きく期待を外れたものはいっさいなかった。

長年オークションをやっているので「当たり」への感覚が研ぎ澄まされたのかもしれないし、モノによっては落札する前に詳しいオーディオ仲間にこまめに相談しているのも多大の効果があったはず。

そして、入って来る機器があれば出ていく機器もある。

何しろ置き場に困るので今後使う見込みのない機器を知人に頼んでオークションに順次出品してもらっている。

昨年からだが、ワディアのCDトランスポート、PX25シングルアンプ、VV52Bシングルアンプ、ウェスタンの出力トランス、JBLの375ドライバー、PX25真空管(3本)など、かなりの大物ばかりだったが残らず売り切れた。知人がアンプに詳しい技術者なので丁寧な解説と応答ぶりが良かったのも一因。

面白いことに比較的、名の通ったブランドたとえばJBLやウェスタン製品の売れ行きが特に早かった。JBLの375ドライバーなどは1クール(6日間)目で売れたが、相手はいずれも中国系で「元」の通貨価値をにらんでの投資目的だと睨んでいる。

まあ、相手が誰であれ、売れればそれでヨロシ(笑)。それにこういうケースでは落札後に保管しておくだけで試聴しないものだからいっさいクレームがこない。もちろん良品しか出品していないがクレームが来ないに越したことはない。

今後の出品予定の機器となると、今のところ次のとおり。

ワディアのDAコンバーター「27ixVer.3.0」(2台)、AXIOM80(復刻版2ペア)、2A3シングルアンプ(2台のうち1台)、AXIOM301ペア(スペア分)、エーワイ電子のアッテネーター(大理石の筐体)、タンノイ同軸2ウェイユニット「385」ペアなど。

                 

オークションの弱点として「お互いに相手の顔が見えない」ことが挙げられるが(逆に売り買いしても後腐れが無い面もあるのだが・・・)、そういう意味では「手渡し」が一番いいんだけどなあ。

どなたか手を挙げる方はいませんか~(笑)。
 


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オペラの学校

2015年09月11日 | 音楽談義

作家の吉村昭さんといえば全国津々浦々の図書館を巡って郷土資料を調べ尽くし、「戦艦武蔵」「桜田門外の変」など幾多の優れた歴史小説を書かれた方だが、その吉村さんによると図書館の充実度、たとえば蔵書数や館内の広さ、使いやすさなどは地域の文化レベルを如実に反映しているそうだ。

その点、我が「別府市立図書館」の何とも悲惨なこと!

人口がおよそ12万人、毎日の観光人口を含めるともっと膨れ上がるが、とてもそれにふさわしい図書館とは思えない。

それほど大きくもない古ぼけたビルの2階の1フロワーにおざなりに本が置かれているだけ、それに専用の駐車場もないので借りるときはいつも路上駐車である。駐車違反で捕まりたくないので、新刊本コーナーに直行して5分ぐらいであわただしく戻っているが、利用するたびにその繰り返し。

そのお粗末さの原因はといえば、つまるところ市民のニーズ(読書意欲)の低さに尽きるのだろう。ホテルや観光施設などのサービス業が多いせいか、本を読む暇が取れないとみえる(笑)。

市長や市会議員にしても選挙で図書館の充実を訴えたところで得票数に結びつかないものだからホッタラカシの悪循環が続いている。

それにひきかえ、隣町の人口わずか3万人足らずのH町の図書館は凄い。この3月から7月まで移転改築期間を経てこのたび新しい複合施設の2階に広々としたスペースのもとに開館。

借りる本数も従来の5冊から10冊まで一気にOKで、いちいち1冊ごとにチエックを受けるのではなくて、専用の台にまとめて10冊置くと自動的に機械が読み取ってくれる優れもの。おそらく全国でも最新式のシステムに違いない。

我が家からの距離もクルマで片道15分ぐらいだから、ほぼ10日おきに通っているお気に入りの図書館である。これだけ恩恵を受けているのだからH町に税金の一部を納入しなけばならない(笑)~。

9日(水)も目いっぱいの10冊を借りてきた。

          

こうして公開しても高尚な本ではないので、けっして自慢には当たらないだろうと思うが(笑)、この中で最初に手に取ったのが「オペラの学校」(ミヒャエル・ハンペ著)。

著者はオペラ演出家、ケルン音楽大学教授。表題の中に「学校」とあるように、先生(オペラの専門家)が生徒たちに教えるような調子で全編が貫かれている。

何といっても本書で一番印象に残ったのが「モーツァルト礼讃(らいさん)」に終始していることだった。

たとえば68頁。

「多くがモーツァルトからの剽窃(ひょうせつ)だ」と、オペラ“ばらの騎士”を観たある人が作曲家のリヒャルト・シュトラウス(1864~1949)に言いました。シュトラウスは平然と、“そうですよ、もっと良い人がいますか?”と答えました。

事実、モーツァルトは最高のオペラの師匠です。すべてを彼から学ぶことができます。彼に関しては“ごまかし”は利きません。オーディションでは歌手の長所も短所も数小節で分かってしまいます。」

といった調子。

次に、彼のオペラが持つ社会性に注目せよとの指示が72頁に出てくる。

たとえば、モーツァルトのオペラに必ずといっていいほど登場する下層階級の人物。いつも下積みのタダ働き同然なので高貴な人々に対して常に反感を抱いているが、その下層階級と上層階級との間でもたらされる何がしかの緊張感が彼のオペラの中で劇的な効果を生じている、とのこと。

そういえば大好きなオペラ「魔笛」にも、しがない“鳥刺し”のパパゲーノが貴族階級を皮肉る台詞が沢山出てくるが、このオペラは単に美しいメロディに満ちているばかりと思っていたが、こういう鋭い社会風刺の側面にも配意すべきだと改めて気付かされた。

ただし、モーツァルトの下層階級に対する眼差しは実に暖かい。パパゲーノや黒人奴隷のモノスタトスのアリアなどは滑稽さだけではなくて、ほのぼのとした優しさ、はかなさが漂っているのが不思議。

これは本書には載っていないがモーツァルトが当時の階級制度に対して常に不満を持っていたことはこれまでの彼の言動から明らかである。貴族や権力が大嫌いで、芸術家としての自分の才能に対するプライドがあり、大司教や貴族といった権威に対する反発心が人一倍強かった。

たとえば傑作オペラ「フィガロの結婚」に次のような一節がある。

「単に貴族に生まれたというだけで“初夜権”(結婚した花嫁の初夜を領主が奪う権利)を振り回す伯爵に対して、フィガロは「あなたは、それだけの名誉を手に入れるために、そもそも何をされた?この世に領主の息子として生まれてきた、ただそれだけじゃないか!!」と辛辣なセリフを投げかける。このオペラが当時、上演禁止になった所以である。

当時は現代からすると信じられないほどの階級社会だったことを彼のオペラを鑑賞するうえで忘れてはならないと思った。

最後にもう一つ。「音が多すぎる・・・・」(94頁)。

「音が多過ぎる、モーツァルト君、音が多過ぎますよ」と、皇帝ヨーゼフ二世は≪後宮からの誘拐≫の初演後にモーツァルトに言った。それに対してモーツァルトは「丁度それだけ必要なのです、閣下」と答えた。

皇帝の言わんとするところは「モーツァルト君、君のやり方はよろしくないですね。君は表現すべき多くの要素をオーケストラに委ねています。性格、状態、気分、表現の微妙な差異、それから無意識のことまでも、それらの要素は本来舞台上のオペラ歌手の役割です」だった。

これはオペラの本質にかかわる事柄でもある。そもそもオペラとは「音楽によって表わされる物語」だが、どんなオペラでも次のような問題点を孕んでいる。

すなわち「大切なのは話の内容か、音楽か?オペラ歌手とオーケストラのどちらが重要か?それらは補完しあうのか?どちらに優先権があり、、片方が完全に黙り込んでしまうのか?」というもの。

この相互関係は作曲家によって、オペラによって、そして場面によってさまざまだし常にその真意が汲み取られなければならない。

音符をまるで言葉や文字のように自由自在に操ったモーツァルトのことだから、舞台表現においても音楽重視となったことは容易に想像がつく。

全体的に以上のような内容だったがオペラに対する理解の促進に大いに寄与するもので非常にありがたい本だった。

ただし、本書の翻訳はひどい!

たとえば73頁に「臀部を蹴ったために大司教の召使まがいの職務を解任され・・・」とあるが、この「(大司教の)臀部を蹴った」の真実は(若かりしときに)大司教から解雇されたとき、まるで「戸口から追い出され、お尻に足蹴をくれた」みたいだとモーツァルト自身が手紙で嘆いた一節が由来なのでこれはまったく本末転倒だ。

それに加えて全体的に噛み砕いた文章でもないので非常に分かりづらかった。音楽家よりもむしろプロの翻訳家に任すべきだったろう。
 


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ジャンク品に良品あり

2015年09月08日 | オーディオ談義

プロ野球の王選手の自叙伝「もっと遠くへ」(2015年6月刊)を読んでいたら次のような箇所があった。



引退会見で「バッティングで一番難しかったことは」と尋ねられ、私は答えた。

「バッティングは難しい。自分のタイミングで自分のポイントでいかに球をとらえるか、22年間やりましたが、つかみきれないまま、今日を迎えました。」打撃の道は奥深く、突き詰めても突き詰めても終着点はない。それが偽らざる心境だった。(138頁)

世界のホームラン王、生涯で868本放った超一流選手の言葉にしてこれである。

あらゆる物事の「道」に通じる言葉だと思うが、オーディオ道もその例に漏れない(笑)。

王選手を引き合いに出すのはまことに畏れ多いが、(オーディオを)40年以上もやってきていまだに“つかみきれない”ままである。とうとう、いったいどういう終わり方になるんだろうと、このところときどき思うことがあって、時間に勝てない状況になってきたことがチョッピリ寂しい。

まあ、せめてとばかり飽くなきスピーカー遍歴、アンプ遍歴、真空管の球転がしなどを繰り返してささやかな抵抗をしているわけだが、手が届いたかと思うとスルリと逃げてしまうのでまるで「青い鳥」のよう(笑)~。

そういう心境の中、つい最近のオークションで見かけたのが「71A」のプッシュプルアンプ。

71A真空管に限ってはプッシュプルでもシングルでも音質の差はあまりないとされていますよ」というオーディオ仲間の言葉を思い出した。

オークションに掲載されたこのアンプの画像と説明文は次の通り。

             

自作真空管アンプ 71Appです。回路構成は27-27-トランス結合-71Appです。整流管は5Y3。インターステージトランスはUSA製。真空管もセットです。トランスは、電源 タンゴ ST-220チョーク ノグチ 2010H出力 Peerless 16166X(新さんの製作記事に使用例あり)。シャーシはアルミ、底板は鉄板です。必要であれば回路図や測定結果も付けます。歪5%での出力2.3Wです。  

71Appとして音も出ますが、配線や流用シャーシの見た目がかなりひどいことになっているので、このまま使うのではなく、部品として考えてください。シャーシ上面にも高圧端子が露出しているので、初心者はご遠慮ください。メーカー品ではありませんので、音や特性、外観に神経質な方はご遠慮ください。
 
少なくても真空管アンプに接したことのある方を希望します。動作は確認していますが、サポートを含めてノークレーム、ノーリターンでお願いします。

おそらく落札後のトラブル回避の思惑があってのことだろうか、出品者は随分控えめな言い回しに徹しておられるようだ。こういう説明文を読んで入札に参加される方はよほどのマニアに違いない。

その“もの好き”がここにいた(笑)。

口惜しいことに真空管の回路の知識は皆無といっていいほど持ち合わせていないが、鳴らしてみてダメなときに最後の拠り所があるのがメチャ心強い。71A真空管に熟知しているGさん(福岡)に事前にご相談すると、「いいですよ~。ダメなときは私が修理してあげます。」と、ご快諾。

というわけで「ダメ元」の気持ちで落札した。競争者がたった1名いたが僅差でうまく凌いだ。

そして送られてきたアンプを一目見て驚いた「何じゃ、これは~」というほどの惨状。鳴らす前から「これはGさん送り」と思ったが、まあ念のため結線して音出ししてみた。

いきなり大きな音が出たりして大切なスピーカーが破損するとまずいので、まず安物のSPユニットに繋いでみて試聴。

一番心配していたブ~ンというハム音がまったく出ないのでまずはひと安心。次に本命の「AXIOM301」とSPコードを繋いで鳴らしてみた。

ちなみに、CDトランスポートは「ヴェルディ・ラ・スカラ」(dCS)、プリアンプは「PAM-5」(クレル)。

アッと驚くほどの元気のいい音が鳴り響いた。明瞭かつ歯切れのいい音に「オオッ、これならいけそう」。「人は見かけによらぬもの」という言葉があるが「アンプだって見かけによらぬもの」(笑)。

懸案のジャズ「ビッグバンド」(カウント・ベイシー)や「サキソフォン・コロッサス」(ソニー・ロリンズ)が、ガツンという制動力の利いた音のもとにスケール感豊かになるのだからこれはたまらない。

アンプはシングルに限ると思っていたが、やっぱりプッシュプルのパワーとトルクも捨て難いなあ!(笑)。

シングルアンプとプッシュプルアンプの違いについて興味のある方はググってもらうことにして、何しろ出力管の数が倍になるのでパワー感に関しても後者の方がずっと楽になるのがメリット。

それに何といっても出力トランスに名門「ピアレス」を使ってあるのが利いているようだ。しかもドライバー管の「27」は初めて目にする真空管だが非効率な「一極」式なので4本使ってあるものの、やっぱりそれなりの効果はあるようだ。オーディオの場合は非効率が音の悪化に直結せず、むしろ好転することだってあるのが面白い。

出力管、ドライバー管ともに1920年代製造なので古き良き時代の名コンビなのだろう。

さらに~、もっと欲を出して、付属していたST管(4本)をナス管へ入れ替えてみた。


             

「アレレッ」と第一声。音響空間での余韻の漂い方がただならぬほど美しくなったし、同時に品の良さが醸し出されてきたのはいいものの、肝心の力感がイマイチ。それに微かだがハム音が出てきた。信頼していたナス管だがけっしてオールマイティではないなあ!

すぐに原状復帰でST管に戻したが、今回は従来の固定観念が覆されることが多かった。

たとえば、

 プッシュプルアンプの方がシングルアンプよりもいい面がある

 オーディオの効率性は必ずしも音質に比例しない

 ナス管がST管にすべて優るわけではない

 アンプの見かけ(値段も含む)と音質は必ずしも一致しない

と、いったところ。

それにしても「ジャンク品に良品あり」で、今回は「冒険は大いにしてみるもの」だったが、願わくばこの満足感がずっと続いてほしいところ(笑)。

最後に、今回もいろいろと恩恵を受けたオーディオ仲間たちに心から感謝です~。
 

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どんなスピーカーもアンプ次第

2015年09月04日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

以前見かけたオーディオ雑誌に、「人間に例えるとスピーカーは外見や容姿に当たり、アンプはそれに精神を吹き込む役割を担っている」みたいなことが書かれていた。

精神の変化を感じ取るにはある程度の時間を要するが、外見の変化ともなると一目見ただけですぐに分かる。

フェライト磁石型とアルニコ磁石型のフィリップスのユニット(口径30センチ、フルレンジ)を比較してみると、まったく別物のスピーカーのように感じた。

これまでフェライト型にそれほど不満は感じなかったのに、こうしてアルニコ型を聴いてみると前者が薄っぺらい音に聴こえるのだから不思議。

アルニコ型は音の彫が深くて音像がスピーカーの後方に豊かに展開し、ステージの再現性にとても優れている。

やっぱり変えてよかった!(笑)

試聴用の曲目も女性ボーカルからヴァイオリン、ピアノ、オーケストラといろいろ変えてみたがこれといった不満は湧き起こらずグッドの一言。もちろん、控えに回っている「AXIOM80」をすべて上回っているというわけにはいかないが。

一段落して今度はジャズをというわけでカウント・ベーシーの「ビッグバンド」を聴いてみたところ「アレレッ」・・・。

ジャズは出てくる音に力感がみなぎっていないと聴けない音楽だが、
その肝心のパワー感がイマイチ。これはスピーカーの責任ではなくてアンプの責任である。ここでようやく(アンプが)馬脚を現したかと慨嘆。

ジャズは滅多に聴かないのだけれど、やっぱりちゃんと鳴ってもらわないと精神衛生上良くない(笑)。

とりあえずオーディオ仲間のKさんにご相談してみた。Kさんもフィリップス・ユニット(口径20センチ)の大ファンである。

「クラシックは特上の音で鳴るのですがジャズとなるとどうもイマイチです。非力な真空管のシングルアンプではやっぱり限界ですかね~」

「世界中の放送局でモニター用として使われていたフィリップスですが、その際のアンプはEL34のプッシュプルが使われていたようですよ。」と、Kさん。

「そうですか。EL34のプッシュプルといえばかなりのパワーが出ますし、クラシックもジャズも両方行けそうですね。フィリップスはかなりのハイパワーで鳴らしてやったほうがいいのかもしれませんね。」

ただし、これ以上アンプを増やすわけにもいかないので、何とか手持ちの範囲でベストの組み合わせを探ってみたいところ。

さあ、それからはベストマッチのアンプを探して「アンプ転がし」である。DAコンバーターが2台、プリアンプが2台、パワーアンプが7台入り乱れての壮絶な空中戦の開始~(笑)。

         

前述したPX25アンプのほかに、2A3シングル、WE300Bシングル、71Aシングル(3台)と次々に登場。しかし、いずれも「帯に短し、たすきに長し」
というところ。

たとえばジャズがうまく鳴ったかと思うとクラシックにはちょっと潤いに欠けるといった具合。

とうとう最後に落ち着いたのははじめに戻って「PX25シングル」だった。「二兎を追うもの一兎を得ず」でクラシックさえうまく鳴ってくれれば、ま、いっか~。

ただし、当初のDAコンバーターの直結方式から今度はプリアンプを途中に入れてみたり、整流管を換えてみたりと、細かな修正を行った。

最後の仕上げとして、自分の耳ではどうも先入観がありフィルターがかかって冷静な判断がしかねるところがあるので潔く第三者の判断を仰ぐことにした。クルマで10分ほどの所にお住いのYさんに来てもらったのは昨日(木)の午後のことだった。

Yさんにいろんなソースを聴いていただいたが、どうもイマイチのご様子。

ちなみにYさんは水も滴るような濡れたヴァイオリンの音色を醸し出す「AXIOM80」の大ファンである。

「とてもAXIOM80をそばにおいて鳴らすスピーカーでもないような気がしますね。ボーカルなどはいいのですが、ヴァイオリンの響きとなりますと随分開きがありますよ」。

ウーム、そうきたか!どうもご親切に~(笑)。

猛然とファイトが湧き起こって、とうとう「AXIOM301」に使っていた「71Aシングル」を最後の刺客として差し向けた。緊急事態の発生なので満を持してのリリーフ・エース登板である。

         

これでYさん、ようやくご満足のご様子。

「AXIOM80の音に随分近づきました。フィリップスの良さが納得できました!やっぱりフルレンジの音は安心して聴けますね~。3ウェイでボーカルなどを聴きますとどうしても不自然な印象を受けて仕方がありません。以前持ってたJBLの3ウェイにはどうも馴染めなくてとうとう手放しましたよ。」

周波数レンジを追い求めるのなら別だが、音楽に正面から向き合うとなるとスピーカーはフルレンジに尽きると思うのだがこれは我田引水かなあ(笑)。

これで今回の件は一段落だが、今度は「AXIOM301」にマッチしたアンプ探しが新たな課題として浮上した。

ヤレヤレ、これでは永遠にオーディオの呪縛から逃れそうもない(笑)。

「どんなスピーカーもアンプ次第」ということを改めて痛感した今回の騒動だった。
 


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「普通の音」のありがたさ

2015年09月01日 | オーディオ談義

さあ、いよいよ今日から9月。気候もだんだん良くなって読書の秋、芸術の秋がやってくる。頑張るぞ~。

さて、新しいフィリップスのSPユニット(口径30センチのフルレンジ)を購入しグッドマン指定の箱に取り付けてから丁度1か月が経過した。

それほど広くもない部屋に3つもシステムを置けないので、エース的な存在の「AXIOM80」スピーカーは片隅の方にお引き取り願った。どうせ2週間もすればフィリップスの音に飽きて再び「AXIOM80」様のご登場になることは「火を見るより明らか」と踏んでいたのだが、ところがどっこい、まったく予想に反してしまった。

飽きが来ないどころか、フィリップス・トーンにどっぷりハマってしまったのだからどうしようもない。何といっても輝かしい中高音域の晴れ渡るような音、そして比較的軽くて弾むような低音のバランスがとてもいい。

それに「AXIOM80」(最初期のユニット)に比べると、お値段が1/10くらいというのも大いに気に入った。高いお金を出して「いい音」を得るよりも、安価で「いい音」を出す方が何といっても知恵を絞るので頭の体操には大いにヨロシ(笑)。

そういうわけで、今もって大活躍中のフィリップスだが、1週間ほど前にオークションでたまたま見つけたのが今度は「アルニコ・マグネット」タイプのフィリップスのユニット(口径30センチ)。現在使用中のフィリップスは「フェライト・マグネット」タイプである。

アルニコとかフェライトとかいってもサッパリの方が多いと思うので以下、ネットから引用させてもらおう。

アルニコ磁石は主に「コバルト+ニッケル+アルミ」の合金で出来ており磁束密度が高くて、コイルに集中的に磁場を作ることが出来る。その点でコーン紙を力強く動かすことが出来て反応の良い音が出しやすい。

その一方、フェライト磁石は鉄だから安価なので強い磁場を作るための大型化によるコスト高も無視できるが磁束密度が低い難点がある。

といった特徴があり、1960年前後のコバルト不足によってメーカーが一斉に仕方なくアルニコ磁石からフェライト磁石に移行した経緯があり今もって「アルニコタイプの方がフェライトタイプよりも音がいい」という伝説が生まれてしまった。

閉鎖的なオーディオの世界ではとかく迷信が横行する余地が多い(笑)。

ま、正直なところ「ツクリの悪いアルニコ・タイプのユニット」よりは「ツクリのいいフェライト・タイプのユニット」の方が音がいいというのが専門家の見解のようだ。

とはいえ、マグネットの違いがSPユニットの音質に大きく影響するのは間違いない。

フェライトなのにこんなにいい音が出るのなら、アルニコならもっと「いい音」が出るかもしれないという強力な誘惑に抗する術(すべ)は薄志弱行の自分にはない(笑)。

まるで夢遊病者のように、右手の人差し指が動いてオークションの入札枠を「ポチッ」。相場よりもやや高値を入れてやると「あなたが最高額です」の表示。そして、順調に
落札~。しかも蓋を開けてみるとフェライトの時よりも安価だったのだから驚いた(笑)。

ここ2年ほど、オークションでは掘り出し物に当たることがむやみやたらに多い。ま、情報源にも大いに恵まれているわけで改めて関係者に感謝です~。

           

さあ、8月26日(水)の夜になって我が家に到着したアルニコ・タイプのフィリップス。「8990 270 32 001」というロット番号が記載されているが、見るからにいい音がしそうですねえ!ピンクの縁取りが洒落ているし、フィリップスのブラウン色コーン紙はひときわ音がいいとの情報あり。

しかし、ここでハタと困ってしまった。どの箱にこのユニットを容れようか?3つの箱に4つのユニットとなるとどれかを外さなくてはならない。今のところ次の通り3つの選択肢がある。

第1案 フェライト式のフィリップスを取り外す

欲を言うとキリがないものの、さして不満のない音が出ているのに入れ替えるのはどうも気が進まない。経験上、こういうケースで無理をするとあまりいい結果が出ないのをよく承知している。

第2案 「AXIOM301」(ウェストミンスターの箱入り)を取り外す

ハッとするほどの「いい音」が出ない地味な「AXIOM301」は、いわば「普通の音」といっていい存在だが長時間聴いても聴き疲れしないし、飽きが来ないという利点がなかなか捨て難い。「普通の音のありがたさ」をしみじみ味わっているのにこれを入れ替えるのも1案と同様にあまり気が進まないのだ。

ここで「普通の音のありがたさ」についてもっと深入りしてみよう。

これは自分だけが持つ心理かもしれないがあまりに「いい音」が出るのも実は困るのである。もちろんうれしいことは間違いないが、その一方では「せっかく手に入れたこの音を失いたくない」と思うあまり、使っている稀少な真空管の寿命や、ユニットの故障などが妙に気になってきて音楽鑑賞がおろそかになってしまう傾向がある。

つまり「心理的な守り」に入ってしまうのである。スペアの確保対策などが頭に浮かんできて結局あまり(システムを)聴かないようになるのだから世話はない。何といっても真空管をはじめオーディオ機器は消耗品ですからねえ(笑)。

その点、「普通の音」だと身構えることなく気軽に聴けるしスペアの心配もいっさいすることなく安心して音楽に浸れる。以上、自分で言うのもおかしいがマニアの心理とはかくも複雑なものである。

なお、「AXIOM301」を普通の音と称したが、むしろ「懐の深い音」といい換えた方が適切かもしれない。「噛めば噛むほど味が出るスルメ」のように、聴けば聴くほど味が出るのだからさすがはグッドマン!

ちなみに駆動しているシステムはプリアンプがクレルの「PAM-5」、パワーアンプはすべて「ナス管」構成の「71Aシングル」(トランス結合)である。

             

第3案 「AXIOM80」を取り外す

とんでもない!「我が家のシンボルをそう簡単に取り外してたまるか」と、こうなる。もし、そんなことをするといつも腰がフラフラしている浮気性だと仲間たちから白い目で見られるのは必定(笑)。

というわけで残る「第1案」と「第2案」の選択を散々迷って沈思黙考すること4日間、とどのつまり第1案でいくことにした。

さあ、そうなると迷わず入れ替え作業開始~。結果は吉と出るか、凶と出るか・・・。

以下、続く。
 


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