「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

独り言~タイヤの話~

2007年12月29日 | 独り言

26日はかねて予約していたクルマの12ヶ月点検。何しろ走行距離17万2千キロともなるとクルマが相当へタってきておりコマメな点検は欠かせない。

朝9時のオープンと同時にディーラーに駆け込んでクルマを預けて待つこと1時間あまり、整備員が点検結果を報告しにきた。

まずタイヤが磨耗していて即交換が必要、併せていろんな箇所にオイル漏れが見られ、整備に2日間程度かかるとのこと。部品が間に合わないので年内修理は無理で結局翌年回しということになった。

車検(昨年12月)からたった1年(走行距離1万6千キロ)しか経っていないのにやたらと故障箇所が多い。思い当たるのはこの1年間釣行のときに280馬力にものをいわせて高速を何回(23回以上)となくぶっ飛ばしたことだけ。

とりあえず、タイヤだけはすぐに交換しなければならないので、行きつけのO市のタイヤ専門店まで車を走らせた。現在のタイヤ(ミシュラン・パイロット・スポーツ)もこの店で装着したが、このタイヤはコーナーワークがよくて結構長持ちだし、いい点が沢山あるが何といってもそれと引き換えに燃費があまり良くないのが玉に瑕。

今回はクルマの寿命もそろそろだし性能よりも燃費優先で考えよう。顔なじみの店主に
”ガソリン代が高くなったので、とにかく安くて燃費のいいタイヤをつけて欲しい、メーカーの選択は任せる”と気前よく(?)言ってみた。

早速、在庫があった様子で、店主が選んできたのは国産メーカー(ヨコハマ)のタイヤで”DNA・Sドライブ”という銘柄だった。省エネ技術では世界を見渡しても日本に一日の長があるがこれもその一環なのだろうか。

ミシュラン以外のタイヤは久しぶりだが、ときには変化があって面白そう。注入する空気は窒素にするよう忘れずに注文して、40分ほどで交換終了。早速クルマに飛び乗って自宅めがけて走らせた。なかなかいい乗り心地で音も静か。ミシュランに比べてソフトで軽快感がある。まるでクルマを乗り換えたようなフィーリング。まあ、タイヤが新しいうちだけかもしれないが。

とにかく現在の燃費が6.5Km/ℓぐらいだが果たしてどれくらい良くなるのだろうか、興味津々。せめて7.0Km/ℓぐらいにはなってほしい。

少々みみっちいが年間走行距離15000km、ハイオクガソリン160円/ℓとして計算してみると0.5Km/ℓ向上するだけで1年間で160リットル、26400円の節約となる。これは丁度2年半でタイヤ代がチャラになる勘定。

ウェブで検索すると日本の車の台数は営業用、個人用を含めて現在
7000万台といわれており驚異的な数字。これら全てが燃費のいいタイヤにはきかえると、仮に0.5Km/ℓ向上(6.5→7.0の場合)するだけでも全体では莫大な数値のガソリンが節約できる。

ざっと計算してみただけでも7000万台の車が1年間で仮に5000Km走るとして、年間に
385万kℓのガソリンが節約できるのでタイヤの省燃費はほんとうにバカにならない。

そこで、環境を守るためのタイヤの最新の開発事情を紹介しよう。

「ゴムはなぜ伸びる?」(2007.9.25、オーム社刊、著者:伊藤真義 東京理科大教授)は生活のあらゆる分野でなくてはならない存在となっているゴムについて、いろんな角度から分析した本だが、特にタイヤ関連の部分に相当頁を割いている。ゴムが果たす役割の中で、クルマ、飛行機などのタイヤは最たる位置づけだから当然だろう。

第5章に
「驚きの性質をもつハイテク・ゴムたち」~二酸化炭素削減に協力するタイヤ~とある。やや理屈っぽいが概略次のとおり。

クルマが確実に「走る、曲がる、止まる」ができるのはタイヤと路面の間に摩擦力が発生するからだが、この摩擦力は燃費にも深く関っている。

つまり、摩擦力が大きいほど車の走り(転がり抵抗)や制動の性能は良くなるが、逆に走行に使われるエネルギーの割合が少なくなり燃費の低下につながる。
結局、高性能タイヤとは走りと制動が良い代わりに燃費は悪いという関係にある。

ところが、近年地球環境の問題が深刻化するにつれてタイヤに対する評価軸が完全に変わってきていて、いまや燃費性に優れた転がり抵抗の小さいタイヤが求められるようになった。

しかし、転がり抵抗を小さくすると逆に制動能力が下がって危険となるなど裏腹の関係にあるが、それを解決するのが
補強剤として使用するカーボンブラックの替わりにシリカを使用すること。

このシリカ入りタイヤは転がり抵抗をカーボンブラックを用いたタイヤより約20%を下げるにもかかわらず、制動能力は逆に5%程度増加する(理屈は長くなるので省略)、いわば夢の高性能タイヤ。ちなみに転がり抵抗を20%削減すると約17%の二酸化炭素削減につながるとのこと。

しかも、このシリカ(白色の微粒子)入りのタイヤは色が白いため、車体に合わせて
カラフルなタイヤが可能となる。タイヤメーカーの話によると100%シリカ入りのタイヤはもうほとんど実用化の段階に来ているそうだ。

ただし、これには消費者の心理的な問題が大きいようでこれまで見慣れた黒いタイヤの方が丈夫で強そうで、命を預けるタイヤとして人間心理上なかなか新しいものは受け入れられにくいと予想されているところが大きなネックになっているようだ。

なお、今回入れ替えた
DNA・Sドライブをネットで検索して調べてみるとカーボンブラックとシリカを合体させ、それに新ポリマーを配合したエコタイヤだそうで随分期待できそうだ。(後日、燃費改善状況を報告予定)。

                              




 

 

 


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読書コーナー~断末魔の中国~

2007年12月27日 | 読書コーナー

以前にも使った表現のように思うが、21世紀はユーラシア(ユーロとアジアの合成語)大陸の時代だといわれている。資源大国ロシア、IT大国インド、人口大国中国の近年の躍進振りをみればうなづける話。

このうち特に、隣の大国中国は一衣帯水の地とまではいかないが地理的にも近いことから古来、政治制度、文化面などで多大の影響を受けてきた国。

太平洋戦争への道の発端となった満州事変(満蒙問題の解決には思想があった!)あたりの本を読んでいると、中国は日本にとってお兄さんのような国だという表現がよく出てくる。

つまり、旧陸軍関係者あたりに言わせると中国への進出は欧米列強からの侵略を黙って見過ごすわけにはいかなかったので、”兄さん、しっかりしてくれとビンタを張ったのだ”という都合のいい解釈も出てくる。侵略する側とされる側の論理を一致させるのは後世の歴史観のなせる業だ。

その中国もすっかり立ち直り、いまや将来の覇権をアメリカと争う(2025年にアメリカと正面から戦える戦力を目指す~同書52頁~)までに成長してきた。広大な国土と人口がフルパワーを発揮すれば当然の成り行きだろう。しかし、日本は中国のことをお兄さんと思っているかもしれないが、中国が日本を弟とおもっているかどうか、それは別問題。

いずれ遠くない将来に日本は中国の軍門に下って、自分の孫子の時代には属国みたいな存在になっているかもしれないと個人的にひそかに憂慮しているところ。

とにかく中国の台頭が日本にとってどういう影響を及ぼすのか常に注目の的だと思うがこういう中国に対して実に辛口の中国論に出会った。

題して
「断末魔の中国」~粉飾決算国家の終末~(2007.11.15、学研新書刊)。

著者: 柘植久慶氏 1942年慶応義塾大学法学部政治学科卒業、在学中にコンゴ動乱に参加、フランス外人部隊などの格闘技教官、アメリカ陸軍特殊部隊グリーンベレーに所属、86年作家に転身。

著者によると、2008年の北京オリンピックから10年の上海万国博のあいだ、遅くとも11年までには中国が大崩壊すると大胆な予測をしている。当たらないときはどう責任をとってくれるんだと問い詰めたいところだがそれは何も書いていない。

したがって、中国に対してこういう見方もあるんだというワン・オブ・ゼムの考え方で気楽に構えて読んでみよう。

とにかく、中国大崩壊の根拠を示したこの本の内容は次のとおり。

第1章 深刻化の一途をたどる環境破壊
工業化優先の名の下に汚染物質の垂れ流し状態が続き、中国大陸北部の砂漠化による黄砂が汚染物質を運び光化学スモッグが再び日本の空を覆い始めた。”冥土・イン・チャイナ”の造語には思わず笑ってしまった。

第2章 食糧問題がアキレス腱に
第1章と関連して農業用水や地下水の汚染、農地の急速な減少、農薬の不適切な大量使用による農地の疲弊がこの国の食糧問題を根底から揺るがす。しかも輸出を通じてわが国の食の安全を脅かす。

第3章 超インフレーション国家
悪性のインフレーションが秘かに進行している。一体どれだけ紙幣を流通させているのかいっさい発表しない国家だがもはや完全に危険水位を超えていると推測される。やたらと最高額面の100元紙幣の新札ばかりが目立ち、さらに北朝鮮製の偽札が朝鮮との国境地帯に大量流入しており近い将来表面化するに違いない。

第4章 自殺的投資に走る民衆
2004年末には閑散としていた上海の株式市場がたった2年で様変わりして狂気の沙汰と化し、公金を横領したり借金を重ねての投機という異常な状態を招いている。


第5章 汚職は底なし沼のごとし
恐るべき役人の不正を紹介。賄賂により見逃された人身売買、公金横領、売春などの犯罪が横行し、環境汚染への目こぼしもその例に漏れない。

第6章 偽造・贋造・コピー天国
無法国家ぶりを紹介。歴史的文物の偽造、通貨などの贋造、そしてブランド物のコピーはこの国では常識。

第7章 一人っ子政策が暴動に発展
広西チワン自治区での暴動を実例に2006年の中国全土での暴動は10万件を超えている。

第8章 エネルギー至上主義の限界
エネルギー確保になりふり構わない浅ましい姿。アフリカの極悪非道国家に武器弾薬の供与、兵員の派遣を行うなど目的のために手段を選ばない。

第9章 格差社会が国家の亀裂を招く
年収1000万円クラスがゴロゴロいる反面、辺境では年収1万円にも満たない者が少なくない。この格差がどういった結果を招くか大胆な予測を展開。

第10章 断末魔の国家に水不足が止めを刺す
黄河以北の乾燥地帯が砂漠化していく。そして河川が汚染物質処理の場となっている長江の水が大量の健康被害者を生む。つまり、水不足と毒水が中国を近い将来滅亡させるという予測。

第11章 オリンピック開催の資格なし
大会が近づくにつれ問題山積の大会運営の現状。観客と選手の劣悪なマナー、ホテルのぶったくり料金、水の不足と水質の悪さ、汚染された首都の大気、ウイグル人などのテロ、インチキ商品と食物、売春婦と泥棒の大結集など枚挙にいとまがない。救いようのない史上最悪のオリンピックだから日本人は行かない方が賢明。

以上(異常?)、よくもまあ、これだけ悲観的な材料を収集したものだと思うが、いずれもおろそかに出来ない問題ではある。

この中で個人的に興味があるのは第9章「格差社会が国家の亀裂を招く」で、中国の人口約12億~14億人のうちたとえば1割にすぎない層が金持ちとしても約1億2千万人となる。

これは日本の人口に匹敵する規模で、まったくの桁違いの世界になるが、この層が果たして中国経済全体のけん引役となることが出来るのか、あるいは残る9割の層が押しつぶしてしまうのか、この辺が中国の命運を分ける気がする。

結局のところ、圧倒的な数の力がものをいうのか、あるいは日本のような適正規模の国の方が有利なのか、国家モデルでのかってない壮大な実験が始まっているといえよう。
                             
  

 


 

 


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オーディオ談義~CD盤の材質と細工~

2007年12月25日 | オーディオ談義

最近、CD盤の材質が見直され新しい材質のもとにジャズ、クラシックの名盤が復刻されて発売されている。

この
SHM-CDスーパー・ハイ・マテリアル)と銘打ったCD盤は従来の材質と比べて透明度を高くしてあり、レーザー・ビームの透過率・屈折率が向上し音質に寄与するとのこと。実際に聴いた方も全ての方が音質が大幅に向上すると感じるそうだ。

11月21日にクラシック20タイトル、ジャズ30タイトルがリリースされ定価は2800円。やや高いが、このうち個人的にはカール・ベーム指揮の「田園」(ベートーヴェン)、レクイエム(モーツァルト)などはやはり欲しくなる。今後、もし好きな指揮者による「魔笛」が発売されればもちろん断然買いだ。

なお、この理論の延長でガラス基板による新しいCD盤が1枚20万円で発売された(12月15日)という。驚異的な値段だが音質の方も驚異的な改善が見られることだろうし、一度聴いてみたいもの。

これまで、アナログのレコードに比べてCD方式のデジタルによる音質は議論百出の様相を呈していたが、こうしてCD盤そのものの材質を改良して音質の向上を図ることはCDにまだまだ大きな可能性が残されていることを示唆しており、オーディオ愛好家の端くれとして大歓迎。

おそらく中途半端なオーディオ機器の入れ替えよりも効果があるのではなかろうか。何よりもこれらの盤はSACDと違って従来のCDプレーヤーでそのまま聴けるところがいい。

なお、これまでにもCD盤の材質には疑問が出され一部のマニアの間ではそれなりの細工がなされてきているところ。その最たる例がCD盤のレーベル面からカッターナイフで薄く放射線状に1~3本の筋を入れるもの。裏側(再生面)にかすかな筋を残すのが目的だが、かくいう自分も実行者の一人。

まっさらのCD盤にわざわざ傷を入れるなんて正気の沙汰ではないと沢山の方から叱られそうだが実際に聴いてみて音質がよくなるのだから仕方がない。

実は、これはオーディオ評論家の江川氏の名前を取って”江川カット”と呼ばれており一部のマニアでは絶大な支持を受けているもの。しかし、業界では物議をかもしオークションで流通できないなどの理由で猛反対を受けていて、決して公にされていない細工。

たしかに、これにはカッターナイフの力の入れ具合など微妙なコツが要るので絶対にお薦めできないし、真似しないほうが無難。

このカットの件は、理論的には素人同然の自分にはCD盤の高速回転に基づく渦電流を打ち消す効果があると聞いていたわけだが、つい最近F県に在住の高校時代の同級生のU君からこの件に関して実に分かりやすい説明をもらった。

以下、U君独自の分析を紹介してみよう。

CD盤にはレーザー光を反射させるためのアルミ蒸着膜が張ってあり、これが(再生時に)高速回転するときにCDプレーヤーのモーターやそのドライブアンプなどからの漏れ磁界により渦電流を発生させる。音質を悪くするのは生じた渦電流により別の磁界が発生してその磁界がモーターの回転精度やドライブ・アンプに悪さをするのだろう。

以上、理論的にしっかりした裏付けをもらったのでこれからは胸を張って引き続きカットを実行することにした。なお、コピー用のCDーR盤はアルミ蒸着膜が張っていないのでカットしても効果が見られない。

なお、U君が指摘した
漏れ磁界だがこれは電気製品にはつきもので微小電流に悪影響を及ぼし音質に弊害を与えること夥しい。これは目に見えないだけに一層始末が悪い。

オーディオ仲間が磁気を帯びやすい鉄をふんだんに使っているアンプを敬遠されるのもよく分かる。いい製品はネジ一つでさえも銅製やアルミ製を使って磁気を排除しているという。したがってやむなく鉄製のシャーシを使っている方はせめて裏蓋だけでも外しておく方がいいそうだ。ただしこれはPL法に照らして自己責任の範囲。

磁界対策振動対策、この二つは幽霊を相手にするようなもので手ごたえというか実体感がないが、いい音質を確保するためには避けて通れない世界だ。しかし、磁界を完全に閉じ込めたり振動を完全に止めたりすると逆に音質が悪くなる場合があるので両者ともにケースバイケースでほんとうにさじ加減が難しい。

CD盤への細工はもう一つ別の方法がある。円周部分のエッジの角を削って丸くするもので、これはネットでも公開されていて商売しているサイトがある。加工料金1枚500円なり。

この理屈は、SHM-CDとやや共通しており高速回転時のレーザー・ビームによる乱反射を抑えるものでやはり音質の改善に効果がある。自分も実際に自宅でドリルドライバーを利用してダイアモンドやすりなどでエッジを削っている。

放射状カットと違ってこの場合はCDーR盤にも細工が可能だが何せ時間がかかるので大変。まだ大半のCD盤が未処理だが、CDをかけるごとに聴き比べしながらこつこつと根気よく手がけている。

以上のとおり、これら二つのCD盤の細工はお金がかからないのが何よりもいい。

 

 


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読書コーナー~「頭のよさ」は遺伝子で決まる!?

2007年12月23日 | 読書コーナー

「頭のよさは遺伝子できまる!?」(2007年8月24日、PHP新書刊)

著者:石浦章一(東京大学大学院総合文化研究科教授、理学博士、専門は神経生化学、分子認知科学)

最初にこの表題を見たときに「頭のよさ」は「遺伝」で決まると勘違いしてしまった。読み進んでいくうちに
「遺伝子」「遺伝」では大きな違いがあることが分かった。

まずブック・カバーに記載されていることばから。

言語力、計算力、記憶力、集中力、創造力、コミュニケーション力・・・・。「頭のよさ」を決めるさまざまな能力や性格は、果たして生まれつきなのか、それとも環境や努力で変えられるものなのか?
最新の遺伝子研究によって人間の神秘が少しずつ見えてきた。
眠れる遺伝子をオンにすれば才能は自然と開花する。

以上だが、この本は実に緻密に項目立てをしている。やや長くなるが全て記載してみた。読書に慣れた方は目を通すだけで、論説の流れ、勘どころが分かると思う。

プロローグ  「頭がいい」とはどういうことか、「一流大学出身者は頭がいい」はほんとうか、「頭のよさ」を決める要素とは?

第1章  頭のよさはどこまで遺伝で決まるのか
数値化できる頭の良さとは?
曇りの日の真昼に森で道に迷ったら?
IQはどこまで遺伝するか
人間にはいろいろな能力があるととらえる多重知能説
IQテストと学校の成績は関係あるか
自分の生まれつきの才能を見極めることは大切

第2章  記憶力は生まれつきなのか
短期記憶と海馬
昔の記憶はいろいろな場所に仕舞われている?
眠ることで記憶が定着する
脳のつながりがよくなる秘密
記憶の遺伝子が見つかった?
何故記憶力は衰えていくのか
女性は男性よりも記憶力がある?
だれでも三回くりかえせば暗記できる

第3章  好奇心や集中力がある人、ない人 
集中力に関係する脳内物質
ドーパミン不足は意欲や動作にも影響してくる
意欲がなくなれば死んでしまう
好奇心が強い人の遺伝子
意味のあることでドーパミンが出るようにする
アルコール依存症になりやすい遺伝子が見つかった
さまざまなアディクション
何にはまるかは性格や生活環境しだい

第4章  創造力豊かな子どもは育てられるか
脳の中で計算を担当している場所
創造力とは何なのか
創造力は教育しだい?
優柔不断な人は遺伝のせい?
右脳と創造性とは無関係
頭がいい人ほど脳を効率よく使っている

第5章  運動能力は遺伝、芸術的才能は環境
筋肉の質は遺伝する
持久力が高い「オリンピック症候群」の人たち
基礎的な運動能力は遺伝のたまもの
絶対音感が五、六歳までに決まる理由
禁煙は1ヵ月で達成できる
年をとっても使えば脳は変わる

第6章  遺伝子の神秘
メンデルの遺伝の法則
頭のよさを決める遺伝子はあるのか
両親とまったく似ていない子が生まれるのはなぜ?
なぜ男性にだけ表われる病気があるのか 
O型は劣性遺伝
精神遅滞はDNAの2%
ジャンクの中に残るウィルスの名残
なぜDNAから直接タンパク質がつくられないのか
遺伝子があってもそれが発現するかどうかが問題

第7章  男と女、どちらが頭がいいのか
「男は話を聞かず、女は地図が読めない」はほんとうか
「頭が大きい人は頭がいい」はほんとうか
「男の方が数学が得意」はほんとうか
男と女はどちらが生まれつき頭がいいか
性ホルモンが低下すると頭のはたらきが悪くなる
なぜ年をとると性ホルモンが減るのか
むかしは女性しかいなかった?
男の子らしい脳になるのはいつ?
男性の方が病気になりやすい?

第8章  頭がよくなる薬
コーヒーで頭がよくはたらく?
魚を食べれば頭がよくなるのか
解熱とは別のアスピリンの意外な効果
タバコが頭をよくする?
頭に直接効く薬がある?

第9章  性格は遺伝するのか
生まれつき決まっている性格、環境で決まる性格
気質を決める三つの脳内物質
うつ病と脳内物質の関係
遺伝的気質が生きるかどうかは経験しだい

第10章  人間関係をうまく築ける人、築けない人
人の気持ちが分からない
自閉症の遺伝子が見つかった?
生きていくのに必要な人間関係能力はだれでも身につけられる
特別な能力を伸ばしてあげられる社会
リーダーシップは生まれつきなのか

エピローグ  遺伝子をオンにする方法
脳の回路を自分でコントロールする力
母親の食生活が子どもの頭のよさに影響する
人それぞれに勉強法は違う
努力によって遺伝子をオンにすることができる

以上のとおりだが、次の言葉が印象に残った。

「頭のよさ」は一つの要素に限定できず、いろんな要素が絡み合っているので一概に断定できない」

自分の得意分野にはその能力に応じたはたらきやすい遺伝子をもっており、不得意分野については同様にはたらきにくい遺伝子をもっている。
その遺伝子のオン、オフをいかに上手に切り換えられるかは
環境と学習が決めており、そのことを認識することが「頭のいい人」になれる第一歩である。

この歳になっても、やはり頭のいい人にはあこがれるし、少しでも頭が良くなるのに越したことはないのでこれから努めて遺伝子のオン、オフの切り換え方を意識しようと思ったのがこの本を読んでの結論。
 
                           



 


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オーディオ談義~速断ヒューズ~

2007年12月21日 | オーディオ談義

オーディオ・システムの中でヒューズの存在を意識している方はどのくらいいるのだろうか。

スピーカーを除いて、アンプ系ではまずほとんどの機器に装備されているといってよいが、ヒューズは電気回路に過剰な電流が流れるなど不測の事態が起きたときに、大事に至らないように即座に断線して電流を遮断する役割を担っているのだが、まったくの縁の下の力持ち的存在で必要悪といってもいい。

このヒューズはCD機器、DVDレコーダーなどはケースの奥深く内蔵されているので外側から見ることは出来ないが、アンプ類たとえばプリアンプ、パワーアンプなどは簡単に交換がしやすい位置に取り付けされているので分かりやすい。

我が家のシステムは、プリアンプを使っていないのでパワーアンプだけが該当し、ステレオ型が2台、モノ型で2台、合わせて4台(全て菅球アンプ)のアンプのうち1台は5アンペアのヒューズ、残りは全て3アンペアのニューズが装備されている。

このヒューズ、実はその材質によって音質にいろんな影響を及ぼしていて、なかなかデリケートな存在だそうだ。回路の電流は必ずヒューズを経由するのだから必然的に音質に影響があって当然なのだが、はじめから装着されているメーカー付属のものはほとんどがガラス管のありふれたヒューズだがこれを速断ヒューズに取り替えると音質が見違えるほど良くなるという。

その理由は、速断ヒューズは品質のいい銅線が使ってあるが、通常のガラス菅ヒューズは銅以外の音質に好ましくない材質が使ってあって磁気を帯びるなどの弊害が考えられるから。

論より証拠で理屈よりも実験に優るものはない。Mさんのお宅でもつい最近、2台のパワーアンプの4本のヒューズをこの速断ヒューズに取り替えたところ驚くほど音質が向上した。耳のいいMさんが激賞するのだから間違いない。このアンプはトランジスター式なので真空管、トランジスターを問わず効果が確認された。

早速認識を新たにして、我が家のアンプのうち1台(低域用のVV52B)だけ5アンペアのガラス管ヒューズを使っているので速断ヒューズに入れ替えることにした。(写真)

このアンプは使っているヒューズが小さいため速断ヒューズとヒューズ・ホルダーがマッチせず、仕方なくこれまで放っていたものだがMさんの実例をみて黙って見ておく手はない。

結局、格好のホルダーがないので直接アンプの回路にヒューズをハンダ付けすることにして腕達者なMさんにお願いすることにした。しかし、その前に手元にスペアがないのでこの速断ヒューズを調達することが先決。

ネットで調べたところ5アンペアの速断ヒューズが1個400円。通常ガラス管のヒューズが50円程度だから8倍もする。(いい音がして当たり前!)しかし、通販では何と合計額5000円以上の取り扱いに限るとある。1~2本では手間が掛かって儲けがなく引き合わないらしい。

しかたなく、湯布院のAさんに泣きついて厚かましいことに無心してみた。実は速断ヒューズの発見と使用は
Aさんの研究成果による特許(?)なのだが快くOKのご返事。まとめて7本もお分けしていただいた。何と広い心の持ち主、感謝感激!

ヒューズを替えただけでも効果があるのに、ハンダ付けというベストの接続方法が加わるのだから効果絶大との期待感がいやがうえにも増すところ。

ただし、ハンダ付けした場合、ヒューズが切れたときに取替えが面倒だが、なーに、まずヒューズが切れることは滅多にない。ほんとうはヒューズなしが音質には一番いいのだがそれはちと不安。トランスの故障などが怖い。

話がそれるが、昔、ラックスのSQ38FD(菅球アンプ)を使っていたときに出力トランスが故障してヒューズが飛んだ経験がある。このラックスの38F系統はトランスの故障が多いので有名なアンプ。当時ベストセラーでよく売れ、今でもネット・オークションでよくみかけるがご用心。

19日水曜日の午後にMさんに来ていただいていよいよ作業開始。まずヒューズの両端に金属線をうまく巻きつけてハンダ付けし、それから重たいアンプを裏返して回路の途中のお目当ての箇所に再びハンダ付け。約20分程度の作業で済んだ。さすがにアンプ修理を生業(なりわい)にしてきたMさんだけあって実に手際がいい。

早速お楽しみの試聴に入った。

☆ ブロムシュテット指揮 第九(スタジオ録音盤)

この第九はつい最近全集盤として購入したもの。先日のMさん宅での鑑賞会では同じ指揮者の第九のライブ盤だったが、本日わざわざ持ってきてもらって聴きくらべをした。やはり演奏に微妙な違いがあるようで、Mさんはもちろんライブ盤に軍配を上げる。

☆ 「世界の愛唱歌」佐竹 由美(さたけ なおみ)

このCD盤は非売品とのことでMさんから○○○してもらったもの。佐竹さんのさわやかな声と歌いぶりは、いつまでも耳の奥に心地よい響きをのこしてくれて、一度聴いたら病み付きになりそう。

佐竹さんについてウェブ検索の結果はこうある。

東京藝術大学及び同大学院修了、現在博士課程在籍中。学部を首席で卒業し皇居にて御前演奏の栄に授かる。宗教作品、オラトリオのソリストとして国内外で高い評価。

この盤はモーツァルトの子守唄をはじめ19曲収録されておりいずれも親しみやすい名曲ばかりで市販されていないのが実に残念。○○○盤とはいえ末永い愛聴盤になりそうだ。基礎から鍛え上げた発声法に基づく歌唱力がいかほどのものかを教えてくれる好事例。

さて、ヒューズ交換の結果だがやはり満足のいくものだった。これまで幾分ふやけていた低音がびしっと締まった感じで音に勢いが出てきた。たかだかヒューズ1本の交換で音質がよくなるのだからほんとうにオーディオは面白くて謎多き世界なり。

                          
              左が速断ヒューズ              左下部に半田付け



 


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独り言~「家貧しくして孝子出ず」~

2007年12月19日 | 独り言

「家貧しくして孝子出(い)ず」(~広辞苑~貧しい家には孝行な子が出て家を助ける。)という諺を昔はよく聞いたものだがどうやら近年は死語になりつつあるようだ。

12月11日(火)のブログで「学力日本一!弱小県福井の不思議」を投稿したが、先日、骨折で入院した母の見舞いのため福岡から長兄が来たので、
福井県の学力日本一の理由をさりげなく聞いてみた。因みに長兄は長年教師を勤め上げ、最後は高校の校長で退職、現在はある大学で非常勤講師をしている。もちろん、自分のブログは日頃見ていない。

すると即座に一言「それは
就学援助の子どもの比率が低いからだろう」との回答。何だ、教育専門家の間ではこのことは顕著な事実として既に認識されているのかとややがっかり。兄貴の鼻を明かしてやろうと思ったのだがやはり専門家にはかなわない。

さて
就学援助とは何ぞや。

佐野眞一著「この国の品質」(2007年11月7日、ビジネス社刊)を読んでいたら193頁に”下層社会到来の前兆”の項目のもとに詳しい内容が記載されていた。以下同書から引用してみよう。

「朝日新聞」朝刊2006年1月3日の一面で「就学援助 四年で四割増」の見出しのもと、≪公立の小中学校で文房具代や給食費、修学旅行費などの援助を受ける児童・生徒の数が04年度までの4年間に四割近くも増え、受給率が四割を超える自治体もあることが朝日新聞の調べで分かった≫と伝えている。

この記事によると、就学援助率は東京や大阪で四人に一人に及び、特に東京都足立区の突出ぶりは異常で04年度は42.5%に達したという。

就学援助とは学校教育法に定められた制度で、経済的な理由で就学に支障がある子どもの保護者を対象に、市町村は必要な援助を与えなければならないとされている。具体的には生活保護を受けている家庭とそれに準ずる困窮家庭が対象となっている。

足立区の場合、前年の所得が生活保護水準の1.1倍以内の家庭が対象で、支給額は年平均で小学生が7万円、中学生が12万円となっている。

同記事は苅谷東大教授の次のようなコメントで結ばれている。
「塾に1ヶ月に何万円もかける家庭がある一方、学用品や給食費の補助を受ける子どもがこれだけ増えているのは驚きだ。教育環境が、義務教育段階でこんなに差があって、次世代の社会はどうなってしまうのか。」

著者の知り合いの現役校長によると「経済的豊かさと学力の関係は残念ながら完全に正比例の関係にあると言わざるをえない」とのこと。東大に進学する生徒の家庭の年収が日本人の平均年収より相当高いことが数年前に報じられたことがあるが、いまや貧富の差から来る学力差が小学校の段階から顕在化している。

以上、引用が長くなったが、冒頭に掲げた”家貧しくして孝子出ず”も昔は全ての家庭がどんぐりの背比べで子どもの能力如何で孝子ぶりの発揮の仕様があったが、近年ではどんなに子どもが優秀であってもスタートラインがあまりにも違いすぎると限界もあるところ。

たとえば劣悪な家庭環境により朝ご飯が食べさせてもらえない、学習環境が悪くて勉強できない、放課後にバイトをさせられるなど個人の努力以前の問題としての冷徹な現実が横たわっている。つまり現代の就学援助は焼け石に水の状態。

以前、テレビの国会中継で民主党の前党首だった前原さんがご自身の事例(父親亡き後、奨学金をもらって苦学しながら京大を卒業したこと)を挙げて、格差対策について当時の小泉総理に質問したところ、同総理は高級官僚を引き合いに出して政治家の優位性を誇示しつつ、「頭が良くていい大学を出ることが全てではない、実社会にはいくらでもチャンスはある。」といった趣旨のことを回答していたのが印象に残っている。

たしかに一理あるとは思うが果たしてそういう風に割り切れるものかなという気もする。あの位人臣(くらいじんしん)を極め”今太閤”の異名をとった元総理の田中角栄さんでさえ、”君は大学を出ているのでいいなあ、俺には金しかない”とずっと学歴コンプレックスにつきまとわれていたと側近(たしか、故西村英一衆院議員)のこぼれ話を見た記憶がある。ただし、これも人によりけりで、価値観が分かれるところだろう。

私見だが格差是正のためには、今や小中学校からの根っ子の部分の対策が待たれるところで、埋もれた石の中からダイアモンドの原石を見つけて磨き上げるには何よりも現場の教師の熱意と質が問われると思う。

それから表題とは関係ないが、「この国の品質」の著者の佐野眞一氏はあの
「東電OL殺人事件」(新潮社)の著者でもある。この事件もこの本の中で少しだけだが触れられていた。

被害者の渡辺泰子(当時39歳)さんは慶応大学経済学部卒業後東京電力に就職し、昼間は一流企業に勤めるビジネス・エリートとして活躍し、そして夜は流しの売春婦として夜の街をさすらい、挙句の果てにアパートの一室で殺害された事件。当時、昼と夜の顔のあまりの落差にマスコミが格好の話題として報じていたので記憶されている方も多いと思う。  

1997年、10年前の事件だがいまだに風化しておらず、彼女が長い髪の毛のカツラをかぶりロングコートを翻してさすらった円山町のラブホテルが林立する界隈の一画にやさしい顔の地蔵を納めた小さな祠(ほこら)があり、あの事件後、この地蔵さんの唇には口紅がひかれ、誰言うともなく”泰子地蔵”と呼ばれるようになった。

この地蔵に花と線香を手向ける女性たちはいまも後を絶たず、いまや円山町の都市伝説と化しており、著者のもとには若い女性たちから自らの境遇を重ねて綴った手紙が数多く寄せられるという。

赤裸々な本能、変身、孤独、虚無・・・・、この事件にはどこか人間の共感を呼ぶものがあるのだろうか。

 

                            

 

 



 


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音楽談義~CD名演鑑賞会~

2007年12月17日 | 音楽談義

K市に住むMさんから、自宅でご近所の方を招いて音楽鑑賞会を開くので一緒にメンバーに入りませんかとのお誘いがあった。入院中の老母の世話で何かと忙しいが、音楽を通じて交流の輪が広がるのはいいことなので行ってみることにした。

音楽鑑賞会といってももちろん生演奏ではなく、Mさんのオーディオ装置でクラシック音楽を鑑賞する趣向なのだが、Mさんは退職後にこのK市に移り住んで以来、定期的にこの催しをしてきたそうで、今回は8回目。当日は年の瀬も押し迫っているので自分を含めて4名。御婦人2名に初老の男性1人の中に割って入った形。

当日のプログラムをそっくり次に再現してみた。

                   第8回CD名演鑑賞会
                                  2007年12月14日
                                  午後2時~4時
   1   モーツァルト  ヴァイオリン協奏曲第3番
         グリュミオー   ヴァイオリン
         コリン・デービス  指揮  ロンドン交響楽団

   2   ベートーヴェン   第九交響曲  ゼンパー・オパー(ライブ)
         ブロムシュテット  指揮  シュターツ・カペレ・ドレスデン
         ドレスデン国立歌劇場合唱団
         ソプラノ  ヴィーンス
         アルト   ワルター
         テノール  ゴルトベルク
         バス    シュトゥリチェク

   3   バッハ   主よ人の望みの喜びよ(カンタータ147番より)
         ニコラーエワ   ピアノ

以上のプリントをもとにMさんの挨拶と曲の詳細な説明があっていよいよ鑑賞会に入る。

については、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲の中では第5番が白眉だと思うがMさんはあえて3番を選択されたのが興味のあるところ。この次ぎに会ったときに理由を訊いてみよう。

は久しぶりに第九を聴かせてもらった。20代の頃にしっかりと聴いた曲で、当時は第1楽章から3楽章までは人間の所産だが、4楽章だけは音楽の神様が乗り移って作ったものだと思うほどの入れ込みぶり。

ブロムシュテット指揮の第九はもちろん初めてだが、HMVで500円かそこらの盤だそうで演奏の質の高さにびっくり。安価な盤だといって決してバカにはできない。
(早速、翌日にブロムシュテット&ドレスデンのベートヴェン交響曲全集(5枚セット)をHMVのホームページで注文した!)

ドレスデンの弦はやはりいい。それにトランペットの咆哮(ほうこう)に集約される第3楽章には思わずジーンときた。青春時代の話だが、好きだった女の子が結婚したと風の便りに聞いたときに、その夜この第3楽章(フルトヴェングラー指揮、バイロイト祝祭盤)だけを繰り返し聴いたことを思い出してしまった。

は超有名だが4分足らずの曲で心が隅々まで洗われるような清らかな調べと敬虔な祈りに満ちている。ずっと以前に、NHK・FM放送の特集番組のテーマ曲としてクラウディオ・アラウが弾くこの曲が耳にこびりついていて、アラウによる演奏を随分探し回ったが未だに手に入らない。しかし、ニコラーエワもなかなかいい。日本公演での演奏だそうだが音質もグッド。
とにかく、バッハもこのくらいの時間で終わってくれるといい。長時間になると神気(心気?)くさくてやや鼻に付きだす。

以上、まるっきりオーディオを離れて音楽だけに集中できた2時間で愉しい鑑賞会だった。こうして、地域の音楽愛好家を募って鑑賞会を催すのもなかなかいいもので、自分も2008年の4月から隣組の組長の順番が否応なく回ってくるので広報誌などを利用して似たような企画をしてみようかしらんなどと思った。

終了は4時5分。鑑賞後の懇談に後ろ髪を引かれる思いをしながら、母の看病のため早々に辞し通勤ラッシュ前の家路を急いだ。

 

               





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音楽談義~バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ~

2007年12月07日 | 音楽談義

11月13日付のブログ”オーディオ訪問記”で湯布院のAさん宅のクリプッシュホーン(スピーカー)を紹介したところ、オーデイオ仲間のMさんがこのヴィンテージ・スピーカーを是非一度聴いてみたいとのご希望だったので、Aさんにご都合を伺い4日の午後に日程をセットして一緒に訪問した。

昔の職人肌の熟練者による手作りのスピーカーは現代の技術では及ばない未知の音の領域を持っているので、電気技術=オーデイオ=音楽のバランスがとれたMさんがどういう感想を洩らされるのか大いに興味があるところ。

この日からいきなり寒波に襲われた日本列島だが、九州といえども由布山系に囲まれた盆地・湯布院の冷え込みは半端ではなかったものの、試聴結果は実に熱いものだった。

AさんとMさんとはまったくの初対面だが、二人とも超がつくオーディオ愛好家なのですぐに話が通じてまったく初顔合わせとは思えない溶け込みぶり。

早速、待ち合わせた「山のホテル夢想園」からAさんのご自宅に移動。一階のオーディオルームはウェスタンの伝説の15Aホーン、二階にはお目当てのクリプッシュホーンが置いてある。

まず、一階から攻略。入室するなり巨大な15Aホーンが大きな口をパックリ開けてリスナーを圧倒する。
最初に、Mさんが持参したヴィヴァルディ作曲の”ヴィオラ・ダ・モーレ”(エラート原盤)をかけてもらった。このCD盤の聴きどころは、バロック音楽特有のきらびやかな高域、特にヴィオラの高音が耳当たりがいいかどうかといったところ。直前の我が家の試聴では、ややうるさく聴こえてしまってガッカリさせた厳しいテスト盤だ。

しかし、このウェスタンの巨大ホーンでは鳴りはじめから自家薬籠中のものとなってイヤ味な音をおくびにも出さず、深々とした音質で聴きやすく、古い録音にはぴったりで気宇壮大な癒される音質とでも言うべきか。まずは滅多に聴けない音。

次の試聴盤はAさんご推奨のスメタナ作曲
「売られた花嫁」。不世出のテノール歌手ヴンダーリヒとローレンガー、フリックの組合わせ。こういうところ(選曲)にAさんの音楽的教養がさりげなく伺える。日頃聴き慣れない名曲を楽しませてもらった。

一段落していよいよ本命のクリプッシュ・ホーンが設置してある二階に上がった。この部屋ではJBLの375をメインとしたシステムとの二組が設置してある。

クリプッシュ・ホーンではまず
マリア・ジョアオ・ピリスのピアノから。Aさんは最近集中的にこのピリスを聴いておられるそうで、たしかにピリスの洗練された美意識は素晴らしい。演奏に音楽心(ごころ)がある。先日のNHKBSハイで夜遅く再放送によりピリスのベルガイシュ(スペイン)の生活振りが放映されていたのを憶い出した。(11月22日23:40~0:56「ベルガイシュからの風」

DVDに収録のうえ貴重な映像を観たわけだが、ピリスはたいへんなコンサート嫌いで「芸術(家)は気取るべきではない、日常の生活の中にあるべきだ」の発言の趣旨にまったく同感!いまの時代には得がたいタイプの芸術家だ。

さて本題に戻って、ピアノもよかったがヴァイオリンもなかなかよく聴かせてくれた。
バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタを聴くに及んでとうとうオーディオを忘れて音楽鑑賞に没入した。次の9人の一流のヴァイオリニストの聴き比べである。

エネスコ、ズスケ、ヘンデル、クレーメル、シェリング、ハイフェッツ、シゲティ、ハーン、ミルシテインによるバッハの競演。まず、これだけの盤を収集されたAさんの熱心さには頭が下がるところ。9人それぞれに個性があって、同じ曲目とはいえ千差万別だった。

試聴結果は次のとおり。

Aさんのお好みは
ハイフェッツ、シェリング、、クレーメルの3人。昔のタンノイⅢLZの時代はシゲティだったが、このクリプッシュ・ホーンになって、ハイフェッツのテクニックに驚嘆し、さらにシェリング、クレーメルの音楽性にも心惹かれるとのこと。

Mさんの一押しは
クレーメル。演奏と音質が高いレベルで両立しているとの感想で、”バッハの曲こそ音楽の中の音楽”と、帰りの車中の会話でも力説され、その造詣の深さには感心した。

さて、最後に自分だがバッハにはいまだに馴染めないというのが本音。したがって正直言って誰の演奏を一押しするか断定するのはいささか心もとない。

極端な言い方をすればメロディの森に満ち溢れたモーツァルトという山は制覇したつもりだが、純粋な音の組み合わせによる作曲家バッハの孤高の山の頂には未だはるか道遠しの感がしている。

話がややそれるが、
バッハとモーツァルトの音楽の違い”これはなかなか興味深い比較で、音楽のあり方、聴き方の本質に関係してくる結構面白いテーマ


これについては「モーツァルト二つの顔」(礒山 雅著 講談社刊)第9章「モーツァルトとバッハ」に両者の音楽の違いを明確に指摘した非常に鋭い考察がある。神の観念の有無にまで踏み込んだ卓見だと思うのでいずれ取り上げてみたい。

さて、試聴に熱心なあまり、時間が過ぎるのも忘れてしまい最後のハーンの演奏が済んだときは夕暮れの気配が漂う17時過ぎだった。いろいろとご迷惑をかけてはとそそくさとAさん宅を後にして夢想園に戻った。

一段と冷え込んだ外気の中で音楽脳の方はいまだ興奮冷めやらないままに、駐車場で丁重にAさんにお礼を言ってMさんとともに帰途についた。

いい音、いい音楽に包まれていい時間を過ごさせてもらい音楽・オーディオ冥利に尽きる半日だった。

 


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オーディオ談義~雑音対策~

2007年12月05日 | オーディオ談義

音楽を聴いているときは目立たないが、音が鳴り止んだときにジーとかブーンとかいってスピーカーから聞こえてくる雑音は実に気になるもの。通常SN比(シグナル/ノイズ比)といっている。

トランジスター・アンプではこういうことはまず皆無といってよいが、真空管アンプは大なり小なりこういう類の雑音から逃れられず、いわば我がシステムの宿命のようなもの。

今回はその雑音対策について。

①コタツの電源からの雑音混入
秋も深まってオーディオ・ルームの隣の部屋で家内がコタツを使用する時期になると、決まって左側のスピーカー(JBL375)からジーという雑音が聞こえてくる。

これは、中域用のアンプ(PX25)の電源トランスにコタツの電源の悪影響が伝わってきているもの。他のアンプ2台はまったく反応を示さないのでこのPX25アンプ個有のトランスとの相性があるようだ。

とにかく、これまでの経験でこうした加熱用の電源はパソコンやオーディオなど微小電流を扱う機器にいい影響を及ぼさないのは確実。

PX25アンプの電源は特別にCSE(メーカー)のアイソレーション・レギュレータ(400W)に接続しているのだがそれでも混入してくる。そこで一計を案じて、根元でシャット・アウトをしようとノイズ・フィルター付きのタップ(写真)に隣の部屋のコタツ用電源を接続したところ雑音がピタリと止まった。それほど高価でもなかったタップだが早く気がつけばよかった。

トランジスター・アンプの場合は、まず耳に聞こえてくるほどの雑音の混入は無いと思うが、何らかの悪影響は及ぼしている可能性があるので、別の部屋でコタツを使用されている方は是非ノイズ・フィルター付きのタップを使用されることをお薦めしたい。使っているオーディオ装置から聴感上、音が澄んでスッキリする効果が期待できるかもしれない。

②真空管の雑音
これもPX25アンプだが、初段菅のピンとソケットの接触不良によって両側のスピーカーからヒューといった微妙な雑音が時折聞こえてくる。こういう場合の原因のひとつは、まず接触不良なので初段菅のピンをカッターナイフでやさしく磨いてやって、その後ワコー・テクニカルのチタン・オーディオ・オイル(写真)を綿棒で薄く塗ってやるとピタリと雑音が止まる。

約3ヶ月に1度のこの作業は欠かせない。このオイルはオーデイオ仲間のA氏から教えてもらったものだが実に重宝している。初段菅に留まらず真空管を差し替えるときには常にピンに同様の作業をしている。

③DVDレコーダーの振動音
自分の部屋のオーディオ装置には、CDだけでなくテレビ(シャープLC-45GD1)の音声も聞けるように接続している。その場合常にいずれかのDVDレコーダー(3台所有)を活用して視聴しているわけだが、スペースの関係で2台を直接積み重ねているためモーターの音が増幅されてウーンと方向性が判明しない雑音が聞こえる。

そこで、DVDレコーダーの下にインシュレーターを差し込んでみたらずいぶんと雑音が小さくなった。結局のところ、オーディオはいろんな機器の振動との闘いでもある。低域の音圧の威力は半端ではなく、目には見えないので一層始末が悪い。

真空管のガラス面の振動、スピーカー・ボックスの振動、機器自体の振動、部屋の壁の振動などいたるところ振動だらけである。
それかといって徹底的に振動を抑えてしまうと無味乾燥な音質になってしまう。とにかく適切な振動対策は本当に難しい。

                  
           ①                ②                 ③

 


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読書コーナー~ザ・ニューリッチ~

2007年12月03日 | 読書コーナー

「ザ・ニューリッチ~アメリカ新富裕層の知られざる実態~」(2007年9月13日、ロバート・フランク著、ダイヤモンド社)

ニューリッチ(新富裕層)とは何か?

アメリカの資産100万ドル以上の世帯は、1995年から2004年までの10年間で倍増し、900万世帯を突破した。アメリカの総世帯数の1%に迫る勢いである。

この増加分の大部分を占めるのが、まだ若くて、勤勉な金持ちたち、すなわちニュー・リッチと呼ばれる人々である。

彼らは一体どういう人たちなのか、いかにして巨万の富を得たのか、またその富によって彼らの生活はどのように変わったのか、そして彼らはいま何を考え、行動しているのか、本書はニューリッチの生活の実態をリアルに描き出した興味深い本だった。

冒頭にいきなり「富裕層が形成する独立国家」の呼称としてリッチスタン(RICHISTAN)という興味深い言葉が紹介される。

いまの富裕層は自分たちだけの別世界、バーチャル国家を形成しているという。事実、並の国よりも金持ちである。2004年時点でアメリカの上位資産額1%の層の年間所得総額は、約1兆3500億ドルに達し、フランス、イタリア、カナダの国民所得を上回っている。

これら富裕層は自己完結した内輪の世界を築き、経済的な異邦人となって国の中に独自の国家を、社会の中に独自の社会を、経済の中に独自の経済を生み出した。こうして生まれたのが金持ちの国
「リッチスタン」である。

著者は1年をかけて国じゅうを旅し、資産総額1千万ドル以上のリッチスタン人を取材した結果、旧来の富裕層とはまったく異なる新しい富の文化を発見したという。

ここでは、第7章「ニューリッチの消費競争~財力の証し~」から、ステータスを追い求めるリッチスタン人が、昔ながらの高級品市場を一変させたケースをいくつか見てみよう。とにかく信じられないほどのレベルの消費振りである。

世界最大の自家用クルーザー

今後1、2年の間に500フィートを越える自家用クルーザーが世界に始めて登場する見通し。それも2隻。ドバイのマクトゥム国王のドバイ号、ロシアの石油王のエクリプス号。
船の大型化競争により150フィート以上の新船の注文はここ10年間で倍増し、造船業界は未曾有の好景気に沸いている。

急増する自家用ジェット機の売り上げ
1995年の33億ドルから2005年には130億ドルに伸びている。順番待ち(2年)をしなければ買えず、中には自分の待ち順を後から来た待てない客に100万ドルもの値段で売り渡すケースもあるという。また、便座にワニ革の使用など内装にこだわる注文主も
いる。とにかくニューヨーク周辺の週末の空港はこうした自家用ジェット機の待機で大渋滞をきたしている。

ロールスロイスの復活
超高級車の人気が復活している。1998年にBMWに買収されたロールスロイスは2003年に新型車「ファントム」を発表した。全長5m85cmと鯨なみの巨体で価格は32万ドル。
V型12気筒453馬力、5.7秒で時速96キロまで加速する高性能の車で、雇った運転手にだけ楽しませるのはもったいないとのことで今や95%が自分で運転するという。

これに負けじと、メルセデスも伝説の高級車
「メイバッハ」を復活させた。全長6mを越すメイバッハ62は価格35万8000ドル。最高速度は時速250km近い。

リッチスタン人にとってBMW、ジャガーといった典型的な高級ブランドはほとんど普通のクルマなのだという。

筆者註:世界のトヨタもレクサス・ブランドで高級イメージの浸透を図っているが、超高級車の分野では伝統に裏打ちされたステータスという面でマダマダというのがよく分かる。

60万ドルの価値がある腕時計とは
2006年ニュヨークのある社が純資産500万ドル以上の層を対象にアメリカで最もステータスの高い腕時計ブランドを調べるアンケート調査を行った。その結果、ロレックスはかろうじて10位、カルティエは13位、評判の高いブレゲも5位にとどまった。

1位に輝いたブランドはスイス発の新ブランド
”フランク・ミュラー”だ。富裕層だけが知っているブランドの一つでアメリカでの年間販売数は4500個にも満たない。取り扱いは小さな専門店で予約制。なにせ高価なのでごく少数の限られた人しか持てない。一番安いステンレス製のクォーツ腕時計で4800ドル、いま一番高い製品は60万ドル以上する。

フランク・ミュラー
の特徴は大きくて宝石をびっしりと飾った長方形の文字盤とアーティスティックなデザインで市場を一変させた。形もユニークなら、機能もユニーク。たとえば人気商品の一つ「クレージー・アワーズ」は、文字盤の数字がめちゃくちゃな順番に並んでいる。12のあるべきところに8、6のかわりに2といった具合。こういう場合、注目を浴びるためのフランク・ミュラーと時間を知るためのもう一つの時計が要る・・・。

このほか、超豪邸の建設、邸内を飾る絵画などの美術品の高騰ぶりなどが紹介されている。

以上がアメリカのニューリッチの一端だが、日本の富裕層はいくらなんでもこれほどのレベルには達しておらず、
リッチスタンは明確な形をなしていない。格差社会といっても上には上があるもので、日本の場合は実に可愛いものだなんて随分気が大きくなってしまった。

健全な富の分配が、世界各国あるいは国内各層の間で確保されることが21世紀の大きなテーマだろうとの読後感を持った。
                         
 


 

 

 

 


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