「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

息を吹き返したエンクロージャー

2016年11月29日 | オーディオ談義

草木も眠る「丑三つ時」(うしみつどき:現代の午前2時半頃)に、冷え切った部屋でパチリと目を開き、むんずと起き上った男がいた。

ふらふらしながら階段を降りて、オーディオルームに入っていく。ゆっくりと大きなスピーカーに手をかけると前後にゴソゴソと揺すりながら動かしだした。どうやらこんなに朝早くからユニットの交換でもするつもりらしい(笑)。

この男、チョット変わっていて鈍感な部分と繊細な部分が同居しており、対人関係も含めて日常生活はやや鈍感気味だが、ことオーディオに関する限りやたらに神経質だ。

数か月前にオークションでSPユニットを落札し、玄関先でクロネコさんからその荷物を受け取ったのはいいものの、そのときの「重量感」が今でも気になって仕方がないらしい。どうやら「軽すぎる → マグネットが貧弱 → 重量感のある音が出にくい」という単純思考の枠から逃れられない様子。

このSPユニットはグッドマンの「AXIOM110」(口径25センチ:ダブルコーン)という古い代物だが、納めているエンクロ-ジャーの性質(たち)も悪かった。

タンノイのウェストミンスターという大型エンクロ-ジャーで、これがまた輪をかけたようにうまく鳴らすのが難しい。それかといってオリジナルのユニット(口径38センチ)に比べれば「AXIOM110」の方がまだマシ(笑)。

まあ、いささか持て余し気味というのがホンネだが、やはり大型エンクロージャーじゃないと出せない音があるのも事実なので「未完の大器」としていつも実験用の対象となっている。

作家「井上 靖」の小説に「あすなろ物語」というのがある。

多感な青春時代に読んで「少年の世界から大人の世界に入る道しるべ」として記憶に残っている方も多いと思うが、「明日は檜(ひのき)になろう」と懸命にもがきながらも、とうとう「檜になれない翌檜(あすなろ)の木」になぞらえた作家の自伝的な小説である。

このウェストミンスターは目下のところ我が家の「翌檜の木」にあたる。

今回は「AXIOM110」の代わりに「AXIOM150マークⅡ」(口径30センチ)を代わりに容れてあげて、晴れて「檜」になってもらおうという算段である。

後者の方がマグネット(アルニコ・タイプ)が大きくてはるかに重たいので、おそらくそれに比例して重量感のあるズシッとした響きになることだろう。重さにかけてはオリジナルのタンノイ・ユニットに比べても軽~く凌駕している。

           

画像をご覧になると一目瞭然で左側が今回取り付ける「AXIOM 150マークⅡ」、右側が取り外した「AXIOM110」。

「はたしてどういう音になるか」、胸をワクワクさせながら一心不乱に作業を進めた。いつも苦労するのが、補助バッフルに開けたネジ穴とエンクロージャーのネジ穴とを一致させること。「リーマー」などの機具を使って(補助バッフルの)ネジ穴を広げる作業を繰り返しながらようやく取り付け完成。

これがエンクロージャー内部の画像。

    
           

ようやく左右両チャンネルとも納め終えて、念のためエンクロージャーの裏蓋のネジ(18本)を締める前に簡単に音出しをしてみた。

ハラハラドキドキの一瞬だが、「ひかりTV」の「また君を愛してる」(坂本冬美)を聴くと、奥行き感があって深々とした音が出た。ホール感がとても素晴らしい。我が家のウェストミンスターの歴史上、これは最高の音に違いない。これでようやく念願の「檜」になれたぞ~!(笑)。

すべての作業が完了したのはきっかり6時25分だった。

よかった!これでNHKの「朝のニュース」(6:30~)の華、「和久田アナ」のご尊顔を拝することができる(笑)。

                        

そして朝食後には自作の空色の箱から抜けた「AXIOM 150マークⅡ」の穴を埋めるべく、「フィリップス」のユニット(口径30センチ)を収めた。こちらの方は作業が簡単で30分もあれば十分。

                  

「フィリップス」のユニットは世界各国の放送局のモニタースピーカーに採用されただけあって、色付けなしの「無色透明」という得難い個性がある。これはこれでとてもいい。

12月中旬に本州からお客様がお見えになる予定だが、これで万全の受け入れ態勢が整った!

最後に、冒頭の「丑三つ時」に起床の件だが、前日の夜7時に就寝しており睡眠時間は7時間半とバッチリ確保しているので、どうかご心配なきように(笑)。
 


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レコードは面倒くさい!

2016年11月26日 | 音楽談義

「レコードは面倒くさい!」なんてオーディオ好きにとっては「あるまじき暴言」だがまあ聞いてほしい(笑)。

先日のこと、いつも3日おきくらいにメールをいただく東海地方にお住いの「I」さんから
突然ですが、LPレコードの再生は終了することにしました。ガラード・オーディオクラフト・FRのプレイヤーシステムをオークションに出しました。「LP終了」の理由やオークションの結果(まだ取引終了してません)については後日報告させていただきます。」

エッと驚いた。すぐに次のような返信メールを送った。

「世間ではCDと入れ替わるようにレコードの再生が勢いを盛り返してきていますが、逆行する理由をぜひお聞かせください。当方はレコードをやらないので
我田引水の理由にもってこいのネタになりそうです(笑)。」

すると次のような興味深い理由が明らかになった。

「理由と言えば、使わなくなったからということなります。ここ半年で使ったのは1回です。同じ盤でLPとCDの比較をした時だけです。あー これは「理由」ではないですね。「結果」ですね。  

理由を順不同に述べますと次のとおりとなります。 
 
1 音楽を聴くまでに時間(手間)がかかることが面倒くさくなった。
 
2 音質の比較をしても、決定的な差は感じなかった。
 
3 ノイズ(スクラッチや傷)はCDの完勝。LPは洗浄機が必要。
 
4 LPは約200枚(ほぼジャズ)と少なく、中でも輸入盤はごく僅か。また、世にいう貴重盤は持っていない。ダイレクトカッティング盤が2枚あるくらい。その程度のレコードのために、洗浄機に何十万円もかけられない。
 
5 今後聴く機会が増えると予想されるクラシックをLPで聴く気は起きない。
 
6 今後のソースはCDとFMで十分。

以上のとおりだった。

このうち大半は自分と同じ理由なので納得。とりわけ2については一番大事なポイントだが、他家でもときどきレコードを聴かせていただくものの、音はたしかにいいがCDとの決定的な差を感じないので、幸か不幸かレコードに回帰する気がサラサラ起こらない。

また1の理由も大きい。実はCDでさえもこのところ聴くのが面倒くさくなりつつある。CDの出し入れ毎にいちいち立ち上がってCDトランスポートに近づくのが面倒だし、リモコンボタンを操作するのさえ煩わしく感じることがしばしばで、ましてやレコードとなると途中の頭出しなんか考えるだけでも億劫になる(笑)~。

その代わりというか、このところよく聴くのが「ひかりTV」(NTT)のミュージック部門。1か月1200円程度でいろんな音楽が聴き放題という代物だ。

          

たとえば「グレングールド」をマイ・アーティストに登録すると画像のように曲目がズラリと並んで放っておいても次から次に曲目が終了するごとに切り替わっていくのだから便利なことこの上なし。

音質はさすがにCDには追い付かないが、ほとんど遜色はない。目隠しで聴いたら何方(どなた)もこれがテレビの音とは信じられないだろう。

ただし、ひかりTVチューナーから「ひかりデジタルアウト」端子を使って光ケーブルでDAコンバーター「エルガー プラス」(dCS)に繋いで音だししているので、そのせいもあるのかもしれない。

ただし、いいことばかりではない。

たとえば、グールドの場合モーツァルトの「ピアノ・ソナタ」を聴くとしたら3つの楽章がバラバラに収録されているので、導入、展開、終結といった一連の流れの統一した鑑賞が出来ない。これはたいへん困るッ!

交響曲なども同じで各楽章がバラバラに収録されているので、残念なことにBGM的な聴き方しかできない。極めてマイナーな存在であるクラシック愛好家をまったく念頭に置かずに構成されていることがよくわかる。それとも既得権益を守りたい業界からの注文かもしれない。(CDなどが売れなくなるので)

その点、ジャズやポピュラー、歌謡曲はそもそも楽章が分かれておらず1曲ごとの単独収録なのでとても便利。

「エンヤ」(スコットランド)などは、100曲以上が連続して聴き流しできるし、歌謡曲も「プレイリスト」で単独収録できるので、聴く機会が多くなった。

坂本冬美の「また君を愛してる」なんかとてもいいですねえ!(笑)
 

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フルレンジ派 VS 3ウェイ派

2016年11月22日 | オーディオ談義

ひとくちにオーディオマニアといっても多種多様なので分類するのはたいへん難しいが、どうも大きく二つに括られるような気がしてならない。

勝手に言わせてもらうと、「フルレンジ派 VS 3ウェイ派」、言い換えると「ハーモニー派 VS (周波数)レンジ派」ともいえる。

もちろん、どちらがいいとか悪いとかいうことではなくて各人の好みの問題だが、意識する、しないに関わらず、結果的にそれぞれのシステムが「ハーモニーを優先しているか」、それとも「低音から高音まで広い周波数レンジを優先しているか」、どちらかに区分できるようなのだ。

もちろん両方とも満足できるシステムがあれば万事解決だが、残念なことにそういうシステムはまだ聴いたことがないし、ありそうにもない。どうしてもどちらかに片寄ってしまうのが現実だ。

すると、どうしようもない悲劇が起こる(笑)。

フルレンジ派は3ウェイ派に対して「ハーモニーがおかしいので聴けない」と非難し、その一方、3ウェイ派はフルレンジ派にたいして「レンジが狭くて聴けない」と非難する。日本の津々浦々の試聴会で大なり小なりこの堂々巡りが続いている。

自分はときどき浮気心を起こしてしまうが(笑)、基本的にはフルレンジ派に組している。なぜか?

いろいろ差し障りがありそうだが、個人的に思うところを率直に述べさせてもらおう。

☆ 周波数レンジを追いかけてもキリがない

たとえば身近な例でいくとハイレゾの「SACD」と「CD」との違いだが、「SACD」を聴くとたしかに細かな音を拾い、レンジも広くなるが「それがどうした!」。ジャズは別としてクラシックを聴く限りでは音楽から受ける感銘度にさほど違いはない。

デジタル系の録音はレンジ拡大の一途を辿っているが、むしろ周波数レンジが広がれば広がるほど音楽が「薄味」になるような気がしてならない。歳を取って高音域の聴取能力が落ちたせいかもしれないが(笑)。

☆ ボーカルを聴くときは「点音源」に限る

音楽を聴くうえで「ボーカル」というジャンルは欠かせない。そもそも大好きなオペラがそうだし、ポピュラーにしろジャズにしろ「女声ボーカル」は宝の山みたいな存在だが、あれや、これやいっても「ボーカル」はフルレンジの「点音源」に限る。

そもそも人間の口は一つなのだから、当たり前である。これが3ウェイでボーカルを聴くと3つのユニットから別々に音が出てくるので不自然極まりない。たとえて言えば、顔をスピーカーのバッフルにたとえると、口からだけではなくて、鼻と目からも音が出てくる感じ。

それに3ウェイで聴くと歌手の口元がカバのように大きくなったり、ステージで足のない幽霊が唄っている印象を受ける。

したがって、オーケストラやジャズを聴くときは3ウェイでも仕方がないが、せめてボーカルを聴くときぐらいは「フルレンジにして欲しい」といつも思っている。もちろんご本人の面前で口に出せるわけがないが(笑)。

そういうわけで、身の回りにはフルレンジのユニットが増え続けるばかり。グッドマンの口径違いが7ペア、フィリップスが1ペア、タンノイさんが1ペアと百花繚乱。

この中で目下のところ一番気に入っているのがグッドマンの「AXIOM 150マークⅡ」。フルレンジでありながら、レンジの広さにも肉薄気味。このユニットが故障でもしたら絶望の淵に立たされるので、ぜひともスペアを欲しいと熱望していたところ、ようやく「北国の博士」から吉報が入り、「海外のオークションで程度極上のものが1本、また、純正のコーン紙も2枚出品されてますよ。」

何しろ60年ほど前のユニットなので、程度極上とくれば申し分なし。「即決価格で結構ですからお願いします。」

海外からの発送(イギリスとオーストリア)なので2週間ほどかかってようやく一昨日(20日)、我が家に到着した。

        

ほんとうに信じられないほど程度がいいですねえ。それにコーン紙が薄くて軽いこと!まるで羽毛のようだ。道理で音声信号に対する反応が早いはずで、グッドマンの秘密の一端を知る思いがした。

こういう程度のいい物をスペアにしておくのは勿体ないのでさっそく左側のユニットを入れ替えた。期待通り一点の曇りもない音に大満足。そして、取り外したユニットがこれ。

         

まるで満身創痍、「傷だらけの人生」ですねえ(笑)。これでもちゃんとした音が出ていたのだから驚きだが、新品同様のコーン紙が手に入ったことだし、これから修理メーカーを探して張り替えてもらうことにしよう。

 


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魅惑の真空管アンプ~その9~

2016年11月17日 | 魅惑の真空管アンプ

このシリ~ズもとうとう9回目になった。「前回からの続きです」と、いきたいところだが、もし初めから事情を知りたいという方は「カテゴリー=魅惑の真空管アンプ」を設けていますのでどうぞ~。

さて、主人公の「6FD7」アンプだが「異人さんに連れられて」放浪の旅に出たのは去る5日(土)のことだった。

それから福岡県の2か所、兵庫県の1か所と他流試合を経て我が家に戻ってきたのがこの14日(月)。

その結果だが、採用が1件、不採用が1件、保留が1件ということだった。採用、不採用ともに奇しくも相手のスピーカーはタンノイさんだったのがご愛嬌(笑)。それも、より低音域が重視される大型システムの方で採用となり、小型システムの方で不採用となったのはこのアンプの重厚な性格をよく表わしているようだ。

兵庫県の別のマニアの方がJBLの「150-4C」(38センチ・ウーファー:片チャンネル2発)の鳴りっぷりが気に入られて、即注文となったのも頷ける。

さらにまた、使われているプリアンプとの相性によって命運が分かれた可能性も否定できない。

なにはともあれ、10日ぶりに我が家に戻ってきたこのアンプを遊ばせておくのは勿体ない。不在中、2台のアンプを繋ぎ替えて楽しんでいたが、今度は改めて実力確認の意味で胸をワクワクさせながら3台による聴き比べを実施した。

       

相手が定評のある「71系」アンプ2台とくれば、不足はなかろう。左側から順にアンプを紹介しておくと、

「471-B」アンプ

前段管が「6SN7GTB」(ボールドウィン)~出力管「471-B」(デフォレ)~整流管「380」(カニンガム)

「6FD7」アンプ

改めて言うまでもないがテレビ用の真空管「6FD7」(複合管)を使っていて、整流管は「6BW4」。出力トランスは個人の手巻きによるもので、製作者によると周波数特性は「7ヘルツ~4万ヘルツ」というから驚異的な数値を誇っている。

道理で、こんな小さな図体のアンプからあんなに深々とした低音が出るはずである。このトランスが(このアンプの)「陰の主役」といっても過言ではあるまい。

「371ーB」アンプ

前段管「AC/HL」(英国マツダ:ナス管)~インターステージ・トランス~出力管「371-B」(カニンガム)~整流管「OK-X213」(メッシュプレート)

そして、試聴に使ったシステムは次のとおり。

CDトランスポート「ヴェルディ・ラ・スカラ」(dCS)~DAコンバーター「27iXVer3.0」(ワディア)~上記の3台のパワーアンプ~スピーカー「AXIOM150マークⅡ」で、プリアンプは抜き。

結果からいくと3台とも「いずれアヤメかカキツバタ」、ほんとうに惚れ惚れするような鳴りっぷりだった。

強いて言えば、「471-B」アンプのゲインが少々高過ぎてDAコンバーターのボリューム位置が「30/100」程度となって、どうしても不利な状況となり、この場合に限ってはプリアンプを噛ました方がよかった。

残るは「371-B」アンプと「6FD7」アンプとの一騎打ち。両者ともゲインが同じくらいでDAコンバーターのボリューム位置が「60/100」程度で丁度いい塩梅。

音の陰影というか、彫の深さからいくと「371-B」アンプに軍配が上がり、音の立ち上がり、立下りといった「スピード感覚」から言えば、やっぱり「6FD7」アンプの方が一枚上。

こうなると、もう好き好きだがクラシックもジャズも両方聴きたいと欲張るとなれば明らかに「6FD7」アンプだろう。

ただし、先日購入したフルトヴェングラー・ボックス」の中のオペラ「魔笛」(1951年版:ライブ)を聴くと、明らかに「371-B」の方が舞台の雰囲気の再現性に優れていた。さすがに1930年代の古典管の面目躍如という気がした。

したがって「6FD7」アンプは優れた近代録音盤の方とマッチングがいいといえる。

それに面白いことに気が付いた。「AXIOM150マークⅡ」をウェストミンスターの上に置いているので頭の上から音が降ってくる感じがあったが、「6FD7」アンプに切り替えたとたんに音の重心が見事に下がり耳の高さで音が出ている感覚に襲われた。音にも目方があるのかと驚いたほど(笑)。

それにしても誰が聴いても、「これがアンプとスピーカー合わせて10万円前後の音?」とはきっと信じられないに違いない。


最後にピンコードについて。

実は「これを使ってみてください」と、つい最近いただいた「ウェスタンの単線」を使ったピンコードがある。いろんな線材を試されて、ようやくこの単線に行き着かれたそうだ。

          

実はその昔、ピンコードや電源コードで音の変化を大いに楽しんだ時代があったが、そのうち飽きてしまって「どうせ50歩、100歩」と思うようになった。

したがって、今回のピンコードもその類だろうとあまり乗り気ではなかったが、実際に使ってみて音が激変したのには驚いた。それもDAコンバーターとパワーアンプを直結するときに使うと威力絶大の効果を発揮した。音が艶やかになって生気がより一層出てくるのだ!

さっそく14日(月)の夜、注文した。「是非同じものがワンペア欲しいです。お金は払いますから~。」(笑)。

 


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秋深き 隣は何を する人ぞ

2016年11月15日 | オーディオ談義

遡ること3か月前の8月のお盆の頃、ウォーキング後にフラリと入った書店で購入したが次の本だった。

       

このうち中央の「マイ オーディオライフ~32人のわたしのリスニングルーム~」は、全国津々浦々のオーディオ愛好家のシステムを紹介したものだった。

もう3か月も経っているのだから、とっくの昔に読み上げていたが何しろ記事のネタが満載で途切れることなく続いていたので、登載のタイミングを失ってとうとう今ごろになってしまった(笑)。

その昔、オーディオ専門誌を血沸き肉躍らせながら見たものだが、今ではこういう類の雑誌にあまり興味を持つことはなくなった。

「もう騙されないぞ!」思う反面、商売っ気とは無縁の素朴なオーディオ愛好家たちの32例のシステムの現状から何か得るものがあるかもしれないとの思いで購入したわけだが、時節柄「秋深き 隣は何を する人ぞ」(芭蕉)という心境に近い(笑)。

現代のオーディオ愛好家たちははたしてどういうシステムで鳴らしているのか、そういう中で我が家のシステムはどういう位置づけにあるのかを知っておくこともけっして無益なことではないと思う。「井の中の蛙世間を知らず」という言葉もある。

読了した結果、特筆すべきことが2点あった。

☆ グッドマンのSPユニットを愛好している方は皆無だった

我が家のオーディオの生命線はグッドマン製(イギリス)のユニットで、「AXIOM80」、「AXIOM110」、「AXIOM150マークⅡ」、「AXIOM300」に尽きるが、このグッドマンを使っている方がまったく居なかったのには少なからず驚いた。

そもそも、ユニットとエンクロージャーを別個に揃えるという発想がまったくないのだ。すべて箱と一体化したスピーカーを購入して使うばかりで、これでは背圧の処理方法や位相の管理、吸音材の差などオーディオの楽しみもへちまもなかろう(笑)。

周知のようにグッドマンはユニットだけ作って、タンノイさんみたいにエンクロージャーを作らなかった。おそらくエンクロージャーの重要性は認識していたと思うので、あえて作らなかったというべきだろう。

推測だがその理由の第一はユニットの能力を発揮する可能性を少しでも広げておくためにエンクロージャーの構造や大きさを所有者の裁量に任せたかったのではあるまいか。何しろユニットはエンクロージャーの工夫次第で生きもすれば死にもするのだから。

ちなみに、エンクロージャーの響きを重視したのが「ブリティッシュ サウンド」であり、JBLなどのようにユニットの直接的な響きを重視したのが「アメリカン サウンド」だと個人的には思っている。

いずれにしても巷ではグッドマン愛好家がほとんど皆無ということがよく分かった。

それで良し~。40年以上かかってやっと辿りついた「グッドマン・トーン」の妙味が簡単に分かってたまるかいな!(笑)

☆ 1930年代の古典管使用者は皆無だった

我が家には真空管アンプが数台、スピーカーが4系統あり、オーディオ仲間だって真空管アンプを15台近く所有して日代わり方式で楽しんでいたりで、それが当たり前だと思っていたら大間違いだった(笑)。

大部分が1系統のスピーカーを1台のアンプで鳴らす「本妻オンリー派」だった。「よく我慢できるなあ!」と感心したが、そのうち真空管アンプ愛好家となるとこれら32例中10例でおよそ3割程度だった。想像したよりは多かったが、1930年代の真空管を愛用している方となると皆無だった!

質、量ともに真空管の全盛時代といえば1930年代前後というのが通説だが、この時代の真空管の良さを知っていて使わないのか、それとも知らないので使わないのか、おそらく後者になるのだろう。そもそも接する機会がないのだから仕方ないが実に勿体ないこと!

しかし、80年前の球となると何かとトラブルがあるのも事実でけっして万人向けではない。好きな音を味わうためには「ハイリスク・ハイリターン」は付き物かもしれない。

いずれにしても我が家のシステムは「時代遅れ」というのがよくわかったが、せめてシステムのうち増幅系(アンプ)と変換系(スピーカー)の製造年代の時代背景を統一することだけは心がけている。

ちょんまげ姿の時代劇に背広姿が登場するのは滑稽だが、それと同じで真空管アンプ時代に作られたスピーカーを使うのにTRアンプはちょっとそぐわない。


なお、32例の中には超豪華なシステムも散見されたが、若い頃とは違って「うらやましい」とか「同じシステムが欲しい」とかはいっさい思わなかった。大掛かりになればなるほど能力をフルに発揮させるのが難しくなるので、つい「さぞや苦労されていることだろう」と同情の方が先に立ってしまう。

次にもう1冊印象に残った本がある。近隣にお住いのオーディオ仲間から借りた本で「管球王国」(2016 Vol・79)。

                        

本書の147頁に「1940~1970年代に活躍したミドルサイズ スピーカーの魅力を探る」をテーマに8機種の試聴テストが記載されていたので読んでみたところグッドマンの「AL120」がダントツで絶賛されていた。評論家3氏のコメントを紹介してみよう。

新 氏「8機種の中で最大の収穫はグッドマンのAL120で、まるで青春時代の音が蘇ってきた感じがしました。」

篠田 氏「私もAL120には鮮烈な印象を受けました。再生音楽をゆったりと楽しむのにはこういう音づくりも必要なのではないかと思います。」

土井 氏「私もグッドマンのAL120には新鮮な驚きを覚えました。」

といった調子。真空管アンプにかけては「千軍万馬」の評論家諸氏がこれほど仰るのだから「グッドマン恐るべし」
ですぞ!(笑)


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読書の秋~二冊~

2016年11月13日 | 読書コーナー

今年は9月あたりから大好きな「海釣り」に行こうと張り切っていたのだが、台風や多雨のせいで延々と天候不順が続き、とうとう釣りシーズンを棒にふってしまった。

あと、やることといえば
「音楽&オーディオ」と「読書」の二つしかない(笑)。

     

いつものように音楽を聴く片手間に図書館から借りてきた本を読みふけっているが、とても面白かった本を2冊紹介。

まず「空飛ぶタイヤ」から。

例の「半沢直樹」シリーズでお馴染みの「池井戸 潤」さんの作品だが、この人の本はどうしていつもこう熱いんだろうと、思わせるほど主人公の活躍が半端ではない。打算的な人間たちを相手に不運のどん底から這い上がるファイトぶりにはいつも感心するが、こういう人物像を作り上げる才能には頭が下がるし、最後にはその努力がしっかりと報われ、「強きをくじき弱きを助ける」のだからまことに胸がスカッとする。

まずはあらすじを紹介しておこう。

「父親の後を継ぎ運送会社を経営する赤松徳郎は、ある日、自社のトラックがタイヤ脱落事故を起こし、死傷者を出してしまったことを知る。事故原因を一方的に整備不良とされ、「容疑者」と決め付けられた赤松は警察からの執拗な追及を受ける。さらには会社も信用を失い、倒産寸前の状態に追い込まれてしまう。 

しかし赤松は、事故原因は整備不良ではなく、事故を起こした車両自体に欠陥があったのではないかと考える。自社の無実を信じる赤松は家族や社員たちのために、トラックの販売元である巨大企業の自動車会社に潜む闇に戦いを挑む。」

以上のとおりだが「中小企業 VS 大企業」とくれば、後年直木賞を受賞し、昨年テレビドラマ化されて大好評を博した「下町ロケット」と同じパターンである。

また、このところブログで話題沸騰(?)のテレビ用の真空管を使った軽量級アンプ「6FD7アンプ」 VS 「重量級アンプ」と同じ構図ともいえる(笑)。

とにかく、まだお読みでない方は期待を裏切られることがないので是非~。

なお、次のような読者レヴューを紹介しておこう。

「ワンパターンといえばワンパターンなのですが、読ませる読ませる。日常生活をちゃっちゃと済ませ、没頭したくなるくらい面白かった。かの自動車メーカーは、燃費データ不正発覚後の再検査でも、まだ懲りずに不正してたとか! 」

 結末は分ってるんです。でも、このまま運送会社が潰れてしまうんじゃないかなとイライラしながら最後はほんとスカッとさしてくれますよね。いやな人の描き方が見事なんでしょうね。非協力的な態度で侮蔑の言葉をぶつけられる赤松にほんと頑張れと応援しながら読んじゃいました。三菱ふそうトラックのリコール隠しの実話を基にしているみたいですが、事故を起こした会社は自動車会社が証拠を隠されたら、確かに犯人になってしまいますよね。自分にも降りかかるかも知れないと思うと怖いですね。とっても面白かったです!」

次の本は「ラプラスの魔女」。

近代ミステリーの雄「東野圭吾」さんの作品とくれば面白くないはずがない。ただし、今回の作品はいつもと傾向が違っていてオカルト風だった。

本の裏帯には「これまでの私の小説をぶっ壊してみたかった。そしたらこんな作品ができました。東野圭吾談。~価値観をくつがえされる衝撃。物語に翻弄される興奮。作家デビュー30年、80作品の到達点~。」と、ある。

たしかにこれまでの東野作品と比べて異質だったが相変わらず一気読みだった。あらすじはこうである。

「著名な資産家の映像プロデューサー水城義郎が、旅行先の温泉地で死亡した。 

死因は、火山で発生する硫化水素ガスによる中毒死であり、硫化水素ガスが発生した時にその場所に偶然居合わせたための事故死と判断された。 

だが、水城義郎の母だけは息子の妻の関与を疑っていた。「生命保険など必要ない」と言っていた息子が、死の直前に多額の生命保険に加入し、その受取人が妻になっていたからだ。 

しかし、現場を調べた環境科学者の青江が「この事故を故意に起こすことは不可能だ。」と結論づけたことにより、不運な事故死として処理されることになった。 

しばらくして、別の温泉地で硫化水素ガスによる中毒死で亡くなった男性が発見された。環境科学者の青江はこの温泉地にも調査のために訪れることになったが、これも事故死と断定した。 

両方とも不運な事故死と結論づけた青江ではあったが、どうしても気になることがあった。前回の事故現場で見かけた少女を、今回の事故現場でも見かけたからであった。彼女の存在は、「これは事故死ではないのかもしれない」と青江に疑念を抱かせることとなった。 

その疑念をはらすべく、その少女を追いかける青江。やがて青江は、常識では考えられないような能力をその少女から見せられることとなる・・・・。」

ここから先もストーリーが二転三転するが、本書には確たる主人公がいないため物語の視点がクルクル変わるので「あらすじ」がとても要約しずらい。

オーソドックスなミステリーを期待する人は読まない方がいいかもしれない。

最後に読者レヴューを紹介しておこう。


「超常現象による殺人を解明していく東野さんお得意の化学ミステリー。 この事故に見せかけた殺人を計画したのは、一度は植物状態に陥った少年。彼は、脳に電極を入れることで、更なる進化を遂げる。そして、予測する力をえる。更に、この手術をした医者の娘も同様の手術を施されて予測の力を得る。さらりとしてくどい言い回しもなく、感情表現や、人物像に翻弄されず、ただ淡々と読み進んだ。こんな非現実的な話しあるはずもなく、と思いながらも、東野ワールドに引きずり込まれ、すらすらと読了しました。」
 


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「フルトヴェングラー・ボックス」~107枚のCD~

2016年11月10日 | 音楽談義

            

このご時勢に今さらCDでもないのだろうが、ときどきネットで注文する「HMV」さんから宣伝用のメールが届いたので開けてみると、この画像が目に飛び込んできた。

「メルケル首相(ドイツ)がローマ教皇に進呈したことで話題になったフルトヴェングラー・ボックスが再生産されました。有名演奏の数々に加え入手困難な音源も多数含まれリハーーサルやスピーチまで聴ける激安ボックスです。」とある。

すぐに詳細をクリックして調査を開始。往年の名指揮者フルトヴェングラー(1886~1954)が指揮した107枚のCDボックスとくれば、貴重な文化遺産なんだから簡単に捨て置くわけにもいかない。

おっと、「フルトヴェングラーって誰?」という方がいるかもしれない。ネットから引用させてもらおう。

「カラヤン
の前にヴェルリン・フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者を務め、20世紀前半を代表する指揮者のひとりとされている。ベートーヴェン、ブラームス、ワーグナー等のドイツ音楽の本流を得意とした。~中略~ 

音楽評論家の吉田秀和氏はフルトヴェングラーについて、<濃厚な官能性と、高い精神性と、その両方が一つに溶け合った魅力でもって、聴き手を強烈な陶酔にまきこんだ><(ベートーヴェンが)これらの音楽に封じ込めていた観念と情念が生き返ってくるのがきこえる>と評している。 

現在でもCDが続々と発売され、放送録音、海賊録音の発掘も多く、真偽論争となったレコードも少なくない。 

音が出る前から指揮棒の先が細かく震え始め、非常にわかりにくいその独特の指揮法から、日本ではフルトヴェングラーをもじって<振ると面食らう>などと評され、「フルヴェン」の愛称で親しまれている。」

はるか昔の20代の頃だが、それこそフルトヴェングラー抜きには夜も日も明けなかったが、30代の頃になると「もう卒業した」と思ったものだが、50代以降になると「やっぱりいい!」(笑)。

何しろ彼が活躍した1940年代前後はモノラル録音の時代で音質が悪いのが玉に瑕だが、フルトヴェングラーに限っては「演奏を取るか」「音質を取るか」となるとやはり前者になる。

このボックス購入の決め手はオペラ「魔笛」(モーツァルト)だった。

フルヴェンは魔笛の録音をライブで2回残している。1949年版と1951年版だが両者を聴き比べてみると、歌手の出来具合から音質まで圧倒的に1951年版の方がいい。

107枚のうち、「第5巻」に収録されていたのは紛れもなく「1951年版」(3枚組)だったので、そこまで慎重に選曲したのならこのCDボックスは「間違いあるまい」というのがその理由。

ちなみに、「魔笛」には主要な歌手が5人登場する。

「夜の女王役=コロラツゥーラ(ハイ・ソプラノ)」、「王女役=ソプラノ」、「王子役=テノール」、「道化役=バリトン」そして「高僧役=バス」

一般的には夜の女王役が難易度が一番高いとされており、実際にとても人気もあるが、個人的には「高僧役=バス」もそれに優るとも劣らないほど難しい役どころだと思っている。

50セット近い魔笛をつぶさに聴いてきたが、深々とした本格的なバスを聴かせてくれたのはたったの数名だが、その中でもダントツだったのが「ヨゼフ・グラインドル」だった。彼はフルトヴェングラーの大のお気に入りだったので「1949年版」と「1951年版」の両方に起用されている。

グラインドルにはこういう逸話がある。

「グラインドルはフリック、ベーメと並んでドイツの3大バスの一人。名声が世界的になったのは新バイロイトのバスの重鎮として20年近くあらゆるワーグナーのバス役を歌い続けたこと。70年開催のザルツブルク音楽祭ではカラヤンに起用されたが、そのときにカラヤンはグラインドルがフルトヴェングラーのお気に入りの歌手だったので自分の公演には参加してくれないだろうと思い、長らく彼を起用しなかった非礼を詫びたという。」

「人間の声からこんなに低い音が出るのか」と驚くほどの本格的な「バス」を聴けるのだから、この「フルヴェングラー・ボックス」絶対に買いですぞ!(笑)

注文してから三日後には早くも到着。

         

これからじっくりとフルヴェンの世界に浸らせてもらうとして、まずは「不滅の名盤」とされるシューマンの「交響曲第4番」(第1巻9枚目)から入った。

一般的に幻想的とされる曲目だが、フルヴェンが指揮すると緊張感溢れるドラマティックな演奏になって何だか悲劇性を帯びるような趣がある。

折しも、アメリカ大統領選では大方の予想を覆して「トランプ」候補が勝利したという番狂わせが起こったが、あの数々の暴言をアメリカ国民が許容したのが驚きだが、マスコミの事前予想っていったいなんだったんだろう。

フランスの思想家アランは「悲観は感情の産物であり、楽観は意志から生まれてくる。」と、言ったが、今後の日本への風当たりはいったいどうなることやら・・・。


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魅惑の真空管アンプ~その8~

2016年11月08日 | 魅惑の真空管アンプ

「魅惑の真空管アンプ」シリ~ズもいよいよ8回目を迎えた。第一回を登載したのが10月18日だからおよそ3週間の間に8回なので、ほぼ3日ごとの更新ペースになっている。

単にテレビ用の真空管に過ぎない「6FD7」が意外な実力を秘めていることへの驚き、そしてその
新鮮さに興味を魅かれる方が多いようで、上々の反応ぶりにこちらもつい熱が入ってしまう(笑)。

さらに製作者様の情報によると、実際に試聴していただいた方々からもご好評のようで、早くも1回目のロット「5台」が完売となり、2回目のロットを準備中とのこと。

しかし、よく考えてみると、お値段も手ごろだし、持ち運びに便利な軽さだし、音も見かけによらず重心の低い本格派なのでむしろ売れない方がおかしいくらいで、サブアンプとして使いながらも、ひょっとしてメインアンプを凌駕するかもしれない可能性を秘めているところが何とも頼もしい。

今でも評判を聞きつけて乗り気になった方々から試聴希望のメールが当方にもいくつか舞い込んでおり、順番待ちの状態だが、そのメールの内容を拝読させていただくと真空管アンプの「低音域のエネルギー感と制動力」に悩んでいる方がいかに多いかを実感する。実は、かくいう自分もそのクチなのでほんとうに身につまされている。

さて、去る5日(土)、福岡方面の試聴希望者のとりまとめの窓口にあたるKさんがこの「6FD7」アンプを引き取りにお見えになった。名残惜しいがしばしの別れとなるので、アンプの編成替えをしなければならない。

もちろん、Kさんにはお見えになったついでに丁度いい機会だから我が家のシステムを試聴していただいた。

何といっても今回のハイライトはにわか作りの「AXIOM150マークⅡ」の試聴である。

            

画像のライトブルーの箱に容れた「150マークⅡ」(口径30センチ)だが、設置してしばらくしてからちょっとした細工を施した。というのは、聴いているうちに、たしかに素性のいい音なんだけどやはり(箱が)後面開放だと音にタメがないことに気付いた。

グッドマンのユニットはすべてそうだが、ユニットの振幅時に何がしかの負荷を与えた方がメリハリがつくので、ARU(背圧調整器)もどきに、適当に細かい穴を開けた板に補強材をガッチリ張り付けて箱の後ろ側を塞いでみたところ、明らかに音のクオリティが向上した。ほんのちょっとしたことだが、スピーカー周りの細工の効果はアンプを替えたどころの比ではない。

折角だからKさんがお見えになる前にぜひ作業をやっておこうと取り掛かり、ギリギリの前日の夕方にようやく完成をみた。

当日は秋晴れの中、11時過ぎにお見えになったKさんに一番最初にこのシステムを聴いていただいた。

まず、優秀録音で知られるヒラリー・ハーンの「プレイズ・バッハ」を聴いていただいたところ、ほんとうに驚かれたご様子。イヤ、けっして大げさではない(笑)。

「音の佇まい、音色の艶やかさといい、これが一番いい音ではないでしょうか!グッドマンの赤色マグネットのトライアクショム(口径30センチ)を別宅でちょくちょく聴いてますが、この150マークⅡは優るとも劣りませんよ。」と、仰るのだ。

「たしかに、これが一番いい音かもしれませんね。このユニットは私の好みにピッタリです。ツィーターが無くてもシンバルがとても繊細な響きを出してくれますし、低音域の質感もこれで十分です。オーケストラからボーカル、ジャズまであらゆるソースに対応できますので、これ1台あれば十分でしょう。早いうちにこのユニットに巡り会っておれば無駄遣いしなくて済んだのですが・・・。」

実は内心複雑である。

「150マークⅡ」のユニットは2個とも中古の安物のジャンク品だし、箱の材料は厚さ1センチほどのありふれた集成材だし、プリアンプもパワーアンプも予備役に編入していた残り物を使ったし、こんな安普請のシステムから我が家で一番いい音が出るなんて絶対に許せん!(笑)

ちなみに、集成材の箱の厚さは1.15センチだが、音が鳴っているときにそっと触ってみるととてもいい振動が伝わってきて、この共振が心地よいサウンドを生み出してくれているのだろう。

改めてオーディオに見かけや値段は通用しないと、痛感した!

まさに、うれしい悲鳴だが午前の部はこれで終了。そして波乱は午後に起こった。

午後からは話題の「6FD7」アンプで「AXIOM300+スーパーツィーター」そして「AXIOM80」の試聴に移った。

Kさんは先月(10月)の13日に我が家に到着した「6FD7」アンプを既に試聴されているのだが、そのときに比べると「随分音がこなれてきましたねえ。明らかにエージングの効果が出てますよ。」と、ひとしきり感心されながら二人で「6FD7」アンプの特徴を述べ合った。

低音域はどんな使い方をしても破綻がなさそうなので、あとは中高音域の素直さをいかに引き出すかが使い主の腕の見せ所だろう。


しばらく試聴してから、「今度はひとつ3ウェイの音(箱はウェストミンスター)を聴いてみましょうか。」とお誘いしたところ「いや、私は3ウェイの音は結構です。」とかたくなに拒否される。

まあ、そんなに言わなくてもと、アンプのスイッチを入れて強引に聴いていただいたところ、30分もせぬうちに、そそくさと帰り支度を始められて、「今日はもうこの辺で帰らせていただきます!」。

「エッ、まだいいじゃありませんか。」

「いや、帰宅してから早く6FD7アンプを試聴したいものですから。」

日頃のKさんに似合わぬ言動なので「?」・・・。

思い当たるのに完璧なフルレンジ愛好派で知られるKさんのことだから、3ウェイの音を耳が受け入れず我慢できなかったに相違ない。

「Kさんを殺すのに刃物は要らぬ、3ウェイの音を聴かせればいい。」と、初めて気が付いた(笑)。

モーツァルトが幼少の頃、トランペットの音が大嫌いで聴いただけで恐怖に打ち震えたという逸話があるが、Kさんの耳はまさにモーツァルト並みだ!

フルレンジで聴いていると、つい周波数レンジの広さが欲しくなるので「3ウェイ」にするのだが、するとハーモニーがおろそかになって、ふたたびフルレンジに戻る。そういうことの繰り返しが実験用のウェストミンスターの箱に限って延々と続いている。

まあ、大いに楽しんでいるので仕方がないか(笑)。 


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グッドマン「AXIOM」4兄弟の揃い踏み

2016年11月05日 | オーディオ談義

オークションで超安値で手に入れたグッドマンの「AXIOM150マークⅡ」。詳細は10月30日付の<グッドマンのスピーカー「ジャンク品」を落札>で述べておいたが、そもそも「グッドマンって何?」という方が多いかもしれない。

今から60年ほど前の古き良き時代のイギリス製スピーカーの製造元ブランドである。イギリス製といえば日本ではタンノイさんが有名だが、本国の方では明らかにタンノイさんよりも格上とされていたのは知る人ぞ知る。

ユニットだけ製作しエンクロージャーを作らなかったので地味な存在に終始したが、独特の翳りがあって一筋縄ではいかないブリティッシュ・サウンドの代表格といっても過言ではない。しかもクラシックもジャズも両方イケるところが頼もしい。

このマークⅡが試聴テストでOKだったので、裸のままウェストミンスターの上に載っけておいたのは記載したとおり。

テレビの音を聴くのならこれで十分だと思っていたのだが、マニアの常で段々と欲が出てきてしまった。

名(迷)アイディアは、ベートーヴェンがハイリゲンシュタットの森を散策しながら楽想を得たように、朝のウォーキングの途中で湧いてくることが多いが(笑)、突然次のように閃いた。

「こんな素性のいいスピーカーを裸のままにしておくのはまことに申し訳ない。そうだ、後面開放の箱を作って150マークⅡを収めてみよう。縦横40センチのサイズの箱をつくれば十分だろう。ユニットの背圧は後面開放だから、ウェストミンスターと背後の壁との空間を利用して逃がしてやれば、バックロードホーンもどきの効果が出てくるかもしれない。」

さあ、思い立ったが吉日。ウォーキングが終わるとすぐにホームセルフのお店に駆け込んだ。大きな集成材を丸ごと購入して、40センチ×40センチのサイズを6枚、板厚が1.15センチなので42.3センチ×40センチ(天板用)の板を2枚カットしてもらった。木材代とカット代を合わせて1500円なり(笑)。

さすがに作業の方は手間がかかった。

寸法取りから、ジグソーを使っての丸い穴開け、ペンキ塗りなど所要時間は5時間ほどかかった。

         

板への直接反射音は音を粗くするので右側画像のように内部のフェルト張りは欠かせない。また「澄み切った青空のような音」が特徴なので、ペンキの色は思い切ってライトブルーにした。まったく単純思考だ(笑)。

すっかり乾いてからウェストミンスターの上に載せて待望の音だし。さあ、どんな音が出てくるか。

          

この画像を見て、まるで「ちんどん屋」みたいなんて言わないで欲しい(笑)。

想像以上に低音域から高音域までバランスがとれて「いい音」が出た。伸び伸びと鳴り、しかも細かい音もよく拾う。さすがはグッドマンだが、ARU(背圧処理器)を使ってきちんとした箱に容れてやればもっと品が良くなるだろうと思った。

それにしてもテレビ用だけに使うのはもったいない、CDの音も聴けるようにしようとすぐにRCAコードを差し替えた。

ちなみにプリアンプは「E180CC」(フィリップス)、パワーアンプは出力管に「471ーB」(デフォレ)を使ったシングル。

          

試しに「サキソフォン・コロッサス」の「セント・トーマス」の冒頭のシンバルの一撃を聴いてみたところ、チリ~ンと理想的な音が出て心の底から参った~!(笑)

ウ~ン、これこそ「ウェストミンスター」の箱にふさわしいユニットかもしれない。そのうち是非・・・。

これで、我が家ではグッドマンの「AXIOM」4兄弟が勢揃いしたことになる。

番号の若い順からいくと「AXIOM80」、「AXIOM110」、「AXIOM150マークⅡ」、そして「AXIOM300」。

仲間によると「150マークⅡ」の後継機種が「300」だそうで、高入力用として改変されており、繊細な表現力からいくと「150マークⅡ」の方が一枚上とのこと。道理で、「300」のときはスーパーツィーターの必要性を感じたが、「150マークⅡ」では、前述のシンバルの音のように単体で十分だ。

いずれにしても、4つのユニットにはそれぞれに魅了されるところがあって、これでとうとう完璧なグッドマン党になってしまった。

おかげさまで、どうやら微かにだが山の頂が見えてきたような気がする。早くオーディオよりも音楽に専念しないと命の方が先に終わってしまう~(笑)。 


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魅惑の真空管アンプ~その7~

2016年11月03日 | 魅惑の真空管アンプ

前回からの続きです。

29日(土)午前の部でいかんなく実力を発揮した「6FD7」アンプだが、午後の部に入ってからはまず「PX25」アンプの登場となった。

前回掲げたテーマの3番目「AXIOM300+スーパーツィーター」と4番目「大改造したPX25アンプ」の検証である。

          

「AXIOM300」はオークションに頻繁に出品されている「AXIOM301」とよく間違えられるが、これは似て非なるものでたった1番違いにもかかわらず、れっきとしたグッドマンのアルニコ・マグネット・タイプである。ここでもDAコンバーター「エルガー プラス」との直結でスタートした。結局、以降プリアンプの出番はなし。

「PX25アンプは随分変わりましたね~。これならわざわざPP5/400の出番はなくても済みそうです。スーパーツィーターも十分効果を発揮してますよ。この音は以前、友人宅で聴いたグッドマンのトライアクショム(3ウェイ)の音とそっくりです。」と、Sさん。

先日、オークションで滅多に出品されないトライアクショムを執念が及ばず、とり逃したことを今でも忘れ切っていないが、これでどうやら胸が収まった(笑)。

30分ほど音楽に浸ってから、Sさんがおもむろに「アンプをPX25から6FD7に変更して聴いてみたいですねえ。」

そ~ら、おいでなすった!(笑)

それからが本日のクライマックスだった。試聴盤は女性ボーカルからヒラリー・ハーンの「プレイズ・バッハ」、ブルックナーの「交響曲8番」(チェリビダッケ指揮:リスボンライブ盤)などさまざま。

じっと目を瞑って聴かれていたSさんだが、やおら「いやあ、こんな小さなアンプから出てくる音とはとても信じられませんよ。カーテンをして聴いたら、大型アンプで駆動しているみたいです。ヒラリー・ハーンのヴァイオリンはこれまで聴いた中では最高です。音のスピードが信じられないほど早いです。大規模編成の曲でも破綻がありません。このアンプぜひ欲しいですねえ。〇〇さんと同タイプのもので結構ですからさっそく注文をお願いします。」

「この出力管6FD7は複合管のためドライバー機能と出力機能が一体化していますのでスピードが並外れて早いのでしょう。たいへんなメリットですよ。アンプ発注の件は製作者にすぐに連絡しておきます。いくらアメリカからの直輸入ルートがあるといっても、スペア管などのことも考え合わせると本数に限度が有りますので早い者勝ちです。なかなか評判が良くて注文が舞い込んでいるようですが、まだ間に合うと思います。」と、自分。

実際に試聴してみての注文だから説得力がある。これまでこのアンプを実際に聴いた人間は自分も含めて7名。そのうち実際に注文したのは3名。保留が1名だから確率は50%だ。高いか低いかは読者のご判断に任せよう。

最後にテーマのへ。「我が家のベストの組み合わせを探る」

たいへん熱のこもった本日の試聴会もいよいよSさんの帰りの電車の時間が迫ってきた。いよいよ真打ち「AXIOM80」の登場である。

          

AXIOM80(イギリス)は復刻版も含めて製作年代によってツクリ(コーン紙の軽さやカンチレバーの質など)が微妙に変わり、したがって音質も微妙に異なるが、我が家の「AXIOM80」はSさんと同様にオリジナル「最初期版」のものである。ただし、いつ故障してもいいようにスペアとして「復刻版」を2ペア保管しているが、出番はまったくない。

女性ボーカルを聴いたが、思わず息を呑むほどの美しさだった。何という透明感、デリケートな表現力・・・。

ときどき「いい音」ってなんだろうと思うことがある。別に公式的な尺度があるわけでもなし、人それぞれの感性でもって「それで良し」としているだけだ。

したがって世界中に「いい音」がいくつも氾濫しているわけだが、我が家の場合「いい音」の「物差し」は「可聴周波数の全域に亘って透明感があること」に尽きると思っている。

ただし「透明感って何?」と訊かれても言葉で表現するのは無理だが、「それはAXIOM80を聴いていただくと自ずと分かると思います。」と答えるしかない(笑)。しかし、このAXIOM80は鳴らし方が難しくて、アンプとの相性が悪かったりすると耳障りで騒音以外の何物でもない。

まあ、そういうわけで長年「ああでもない、こうでもない」と彷徨しているわけだが、今回はうまくいったようだ。

「やっぱりAXIOM80は空前絶後のスピーカーですねえ。とても複雑なツクリで潜水艦のソナー探知用に開発されたというだけのことはありますよ。」と二人で嘆息した。6FD7アンプとはどちらもスピード感(音の立ち上がり)を身上としているのでとても相性がいい。

これで我が家のベストの組み合わせは決定した。しかし、これは持ち主しかわからない微妙な心理なのだがこの音は日常的に聴くべきではないように思う。だいいち自分のようなガサツな人間にはもったいない。ひっそりと大切に保存しておき、お盆と正月、そしてお客さんが見えたときにだけ聴けばいい音だ(笑)。

いつものことながら今回も実り多き試聴会だった。

SさんをJR別府駅まで送った後、すぐに製作者に連絡をとったところ「6FD7アンプ製作」2台分(自分とSさん)の了解を得た。

とにかく、お値段がリーズナブルだし、軽いので持ち運びに便利だし、音もいいし、シンプルな回路で球も丈夫だし、こういう四拍子そろったアンプはなかなかお目にかかれない。

少なくとも今年中には新たな「6FD7」アンプが完成するだろうから、今度はSさん宅でどういう活躍を見せるか、とても楽しみ~。
 


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魅惑の真空管アンプ~その6~

2016年11月01日 | 魅惑の真空管アンプ

今回のブログはテレビ用の真空管「6FD7」を使ったアンプが登場するので「魅惑の真空管アンプ」シリ~ズとして分類しておこう。また、カテゴリーとして新たに「魅惑の真空管アンプ」を15番目に設定したのでバックナンバーをご覧になりたい方はどうぞ~。

さて、去る29日(土)、およそ9か月ぶりに我が家にお見えになったSさん(福岡)。

その間、我が家のシステムの方もかなり変遷しているので頭が混乱しないように事前に主要なテーマを設定しておいた。

 新たに導入を決定したデモ用アンプ「6FD7」の試聴

 ウェストミンスターの箱に容れた「AXIOM110」(25センチフルレンジ)を核とした3ウェイシステムの試聴

 「AXIOM300+スーパーツィーター」の試聴

 大改造した「PX25アンプ」の試聴

 我が家のベストの組み合わせを探る

こうして書き上げてみると、改めて9か月間にすっかりシステムが様変わりしていることに驚くが、はたして変化することがいいことなのかどうか、確たる自信があるわけでもない。こういう状況のもとで同じスピーカー「AXIOM80」(グッドマン)を愛用している仲間から意見をもらうは大いに参考になる。どうせ「似た者同士」だが(笑)。

午前9時半から午後3時まで昼食を挟んで、5時間半みっちり試聴してもらいながら意見交換を行ったのでその模様をおいおい述べていくとしよう。

まずから。

           

関西のMさんに貸出していた「6FD7」アンプだが、この日の試聴のために27日(木)に約束通り返してもらった。余談になるがMさんはなかなかお気に召されたようで既に製作を依頼されたとのこと。

さて、この日は始めから我が家のエース級のシステムで聴いてもらうことにしたので日常用のワディアのDAコンバーターの出番はいっさいなし。したがってシステムの構成は次のとおり。

CDトランスポート「ラ ヴェルディ スカラ」(dCS) → DAコンバーター「エルガー プラス」(dCS) → プリアンプ「大西式プリ」 → パワーアンプ「6FD7シングル」 → スピーカー「AXIOM110+ワーフェデールのコーン型ユニット+JBL075ツィーター」3ウェイシステム

スピーカーを前半の部(午前中)は同上のとおり3ウェイを、後半の部(午後)はフルレンジに分けて、試聴することにした。

はじめに、女性ボーカルを聴いていただいたが、Sさんの第一声は「低音域のエネルギー感は目を見張るものがありますが、中高音域の透明感というか抜けは今一つですね~。」

長いお付き合いを背景に、思ったことをズバリと指摘されるのがSさんのいいところ(笑)。

「プリアンプを外してDAコンバーターのエルガー・プラスから直結にして聴かせていただけませんか。」

そういえば、ワディアとの直結はしょっちゅうやっているが、エルガーとの直結は滅多に試したことがない。これもボリューム調整機能が付いているので可能だ。RCAコードを差し替えるだけだから簡単そのもので1分で完了。

「いやあ、これは素晴らしい!何よりも気になっていた中高音域に透明感が出てきました。やっぱりプリアンプが邪魔していたんですねえ。この音はわたしの大好きなブリティッシュ・サウンドそのものです。6FD7アンプは私も是非欲しいですね。それに出力管もさることながら出力トランスの優秀性が際立っていると思います。」

広い帯域を身上とするこの出力トランスに目を付けられたSさんの慧眼には驚いた。

「市販されている機械巻きのトランスと違って個人の丁寧な手巻きによる出力トランスですからその効果は歴然としています。それこそ製作者は福岡市近郊の方だそうですよ。北国の博士が優秀性に着目され実際に使用されていますので折り紙つきです。このトランスの存在なしに、この音は語れないでしょう。」と、自分。

それにしても、Sさんは絶対的なプリアンプ使用派だと思っていたので「プリアンプを外す」というご提案は意外だった。

「ケースバイケースでプリアンプの程度次第ですよ。中途半端なものなら入れない方がいいです。この6FD7の特徴は無色透明なところにあるようですからスピーカーの個性をそっくり活かすならプリアンプ無しの方がいいと思いました。これがテレビ用の球だなんてとても信じられませんよ。」


さあ、ここから我が家の手持ちのアンプテストに入った。このDAコンバーター直結状態のもとで次々にアンプを取り代えて試聴した。何しろアンプの個性が一目瞭然に分かるのだからこたえられない。

そして「171シングル」「71Aシングル」「71Aプッシュプル」「2A3シングル」がいずれも枕を並べて討ち死に~。何も比較してやらなければ誇り高く生き残れたものを・・・、無念(笑)。

それにしても、このチビちゃんアンプ「6FD7」は出力トランスが出力管を生かしているのか、出力管が出力トランスを生かしているのか、どうも両者の主従関係がよく分からない。いい真空管アンプとはそういうものだろう。もちろん、独特の回路も良質な整流管も陰の主役だ。

なお、併せてのテストもしたわけだが、この“にわか作り”の3ウェイシステムは十分鑑賞に耐え得るものだった。自画自賛になるがフルレンジのときよりもずっと広帯域になってハーモニーにも違和感はない。

ちなみに前々回のブログで紹介した時と比べると、「~1100ヘルツ」は従来どおりだが、「1100~9000ヘルツ」はワーフェデールの「コーン型ツィーター」に、「9000へルツ~」はJBL「075ツィーター」に変更している。

高音域(9000ヘルツ~)に加えたJBL075ツィーターは、ブリティッシュ・サウンドとは異色の存在にもかかわらず「生かさず、殺さず」で、挿入したマイカ・コンデンサー「0.1μF」が功を奏したようだ。

以上で午前の部は終了し、昼食を挟んで今度は午後の部へ~。

いよいよ「PX25アンプ」による「AXIOM300+スーパーツィーター」、そして「AXIOM80」の駆動という我が家の生命線の登場だが、ここでも意外な展開に心の底からビックリ(笑)~。

以下、続く。
 


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