「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

読書コーナー~「特捜崩壊」~

2009年05月28日 | 読書コーナー


「特捜崩壊~墜ちた最強捜査機関~」(2009.4.9、講談社) 

著者の「石塚健司」(いしづかけんじ)氏は早稲田大学政治経済学部卒業後、産経新聞社に入社。司法記者クラブ詰め(検察担当)、司法クラブキャップなどを経て平成14年7月から社会部次長。

その石塚氏によると近年、「日本最強の捜査機関」である特捜部がおかしくなっているという。

特捜部といえば政財界に巣食う病巣に容赦なくメスを入れ、問答無用で除去する権限を与えられた強力な組織。逮捕権と起訴権を併せ持ち過去、ロッキード事件、自民党の大物だった金丸信の脱税事件などいわば日本の世直しともいえる大事件の摘発を行ってきた輝かしい(?)歴史を持つ。

戦後日本の健全な発展を支えてきたのだという強い自負と使命感のもと特捜検事には法律という武器を駆使する知力、供述を引き出す気迫とともに何よりも病巣の本質を見抜くたしかな眼力が求められる。

しかし、一般国民にとって非常に分かりづらい厚いベールに包まれたともいえるこの特捜部が今や変質をきたし機能不全の徴候すら見受けられるという指摘が各方面からなされているという。

「難しい捜査を組み立てて指揮管理できる人材が不足している。要するに素人だ」(元東京地検特捜部幹部)

「最初に描いた筋書きに強引に当てはめて事件を作っている。恫喝的な取調べが度を超している」(元東京地検特捜部幹部)

「事件の処理能力自体が著しく落ちた。経験不足を露呈している。」(国税局当局)

「もはや捜査のプロ集団ではない。持ち込まれた情報の裏に何があるかを見抜ける人がおらず安易に事件を組み立ててばかりいる」(警視庁筋)

といった具合。

個人的にはつい最近の民主党小澤一郎前代表の秘書逮捕事件だって、これを突破口に小澤氏をめぐるもっと大きな事件に切り込むだろうと思っていたら「泰山鳴動してネズミ一匹」に終わる気配が濃厚だが、こういう特捜部の弱体化については決して他人事ではなく大いに注視されるべき問題だと思う。

もちろん、やりすぎは困るが特捜部がしっかりしてくれなければ政財界の巨悪が見過ごされてしまい一方的な「強い者勝ち」の世界になって公平な世の中の実現は望めないと心配するのは自分だけではあるまい。

特捜部がこうした批判を浴びるようになった原因について著者はこう分析する。

まず外的要因として、

1 時代背景の変化

捜査対象となる政治家や企業の体質も昔とは様変わりしつつあり捜査のメスが入る疑惑の構造も複雑・巧妙化してきている。

2 一般の協力を得にくくなった

かっては任意の事情聴取や資料提供に多くの人や企業が快く応じてくれたが、今は脅したりすかしたりが必要だ。

などが挙げられるが組織を変質させる要因の大元が人事にあったことは明白と著者は言う。

「捜査の職人が消えた」

ここ10年ほどの間に法務・検察の組織における特捜部の位置づけはかなり変化し、それは人事制度に露骨に表れてきた。

戦後の草創期から昭和60年代頃まで「特捜検事一筋」として概ね経験10年以上の精鋭が集められていたが平成に入ると在籍期間は徐々に短くなっていく。そして幅広い人材に特捜部を経験させ1~2年在籍すると畑違いの分野に異動していくパターンが多くなっている。

「お役所」の性格を知ろうと思えば幹部がどういう順番に偉くなっていくかを見ていくとおよそ見当がつくものだが、法務・検察ばかりは傍から見てもなかなか分かりづらいものがあったがこの本を読んでよ~く分かった。

法務・検察の組織は特捜部で頭角を現した人たちの「捜査現場派」と法務省の行政職でキャリアを積んだ「赤れんが組」の二つの流れに色分けされる。

法務・検察の認証官ポストには人事異動の慣例に基づく序列が次のように出来上がっている。

最高位の「検事総長」以下、「東京高検検事長」→「大阪高検検事長」→「最高検次長検事」→「法務事務次官」→「名古屋高検検事長」・・・と続いていく。

「捜査現場派」の検事のポストといえば最高検次長検事や大阪、名古屋などの検事長などで、「赤れんが組」については法務事務次官から東京高検検事長を経て検事総長に就くというコースが定着している。

法務官僚の要職も、官房長→刑事局長→事務次官というエリートコースが確立されているので「未来の総長は四代先まで決まっている」といわれてきた。

こうした硬直した人事に対して不満がくすぶるのは必定で法務と検察の垣根を低くし風通しを良くする努力が行われてきた反動が「捜査の職人が消えた」という事態の一因になっているという。

こうした状況に鑑み、法務・検察当局は21年春以降の人事で特捜部の立て直しに力を入れていくというが元の姿に戻るには相当な時間を覚悟せねばなるまい。

さて、どんな組織の維持発展にも試行錯誤はつきものだが結局は「人のヤル気」次第。それを引き出すような環境づくりが焦眉の急のような気がするが。

最後に(これまで)語られたことのない秘話が紹介されている。(189~190頁)

戦後最大の疑獄事件として有名なロッキード事件ではロッキード社から日本政界へ30億円といわれる工作資金が流れたとされるが、丁度その時期にある大手銀行支店の調査で疑わしい無記名の預金口座が発見され2億円あまりの入金が確認された。口座の主は田中角栄とは別の有力政治家の疑いが濃厚だったが諸般の事情で捜査が見送られた。口座の主と目された政治家はのちに宰相の座まで上り詰めた。関係者によると「お墓の中まで持っていく秘密」とされるが、当時の状況から推察するとこれが「誰」であるか、もうお分かりですよね~。


 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オーディオ談義~最近購入したオーディオ部品~

2009年05月25日 | オーディオ談義

☆ STCの整流菅

         STC軍用整流菅「5R4GY」     

5月17日にネット・オークションで落札したSTCの整流菅が20日(水)に到着したので早速PX25真空管アンプに装着している整流菅(WE422A)と差し替えて試聴してみた。

一言でいえば「good」、期待どおりの音質で艶のほうも十分、一段と魅力的になった。「振るい付きたくなる」という形容を使いたくなるほど。むしろ球切れ(フィラメントの断線)の方を心配したが2日間ほど使用して異常がなかったのでこちらも合格。

これまでの経験で新規に購入した真空管の故障は挿して1~2日ほどの初期段階で起こることがほとんどでそれが過ぎればまず安全。

しかし、そもそも「軍用」と銘打ってある以上おそらく軍事通信用機器の整流菅だろうが突然故障なんかするとそれこそ「人の命」がかかっているので大変、耐久性にはことのほか気を使って入念に作ってあるはず。

一段と優れた軍事用の技術が一般に転用されて民生機器のレベルアップに大いに寄与する例は古今東西、枚挙にいとまがない。

それにしてもこの整流菅、あまりに音がいいので誰かに教えたくなった。

まず湯布院のA永さん、大宰府のM田さん、そして杵築のM崎さんが目に浮かぶ。A永さんはつい先日お見えになったばかりなのでまず真空管アンプの泰斗(たいと)、大宰府のM田さんにご注進。

「STCの整流菅ならまず間違いはないでしょう。しかし、STCでも出力菅の4300Bとなると寿命が比較的早く来るのでダメですよ~」とのご託宣。丁度4300Bが比較的安くネットオークションで売り出されており購入しようかどうか迷っていたので実に適切なアドバイス。

ただし、M田さんによると
真空管アンプの整流(交流を直流に変換)はSBD(ショットキー・バリア・ダイオード)を使った方が良いとのこと。音の勢いと歯切れが真空管の整流とはまったく違うそうでたしかに何よりもM田さん宅の「音」が証明しているので大いに説得力がある。M田さん周辺の真空管アンプの「通」(つう)の方々はすべてSBDによる整流とのこと。

自分の場合は、低域にダンピング特性のいいトランジスターアンプ(L-01A)を使っており真空管アンプは中高域用として使っているので「力感」よりも音の「たおやかさ」を求めているので真空管整流の方がマッチしているようにも思える。いずれにしても一度SBDで試してみたいところ。

次にM崎さんにも連絡。「整流菅によって音が変化するのは電源部がしっかりしていない証拠」となかなか手厳しい。ともかくヴァイオリンの倍音がうまく鳴ってくれれば良くなったといえるので、
バッハの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」をずっと通しで聴いてみてもう一度繰り返して聴きたいと思えば本物とのこと。ヴァイオリンの倍音に限っては歪み成分が多いと頭が痛くなって長時間続けて聴けないそうだ。

早速、ヒラリー・ハーン(女流ヴァイオリニスト)が弾く「無伴奏ソナタ」を聴いてみる。

      「ヒラリー・ハーン プレイズ・バッハ」           

録音の良さでつとに有名なCDだが、なかなかうまい具合に鳴るのでM崎さんに「バッハはハーンみたいな下手くそが弾いてもうまく聴こえる音楽なんですね~」と言ったところ、「とんでもない、ハーンの腕(技巧)はたしかでバッハの無伴奏ソナタをあれほど正確無比に弾いているのはシェリングぐらいのもの。まだ若いので情感に乏しい面はあるが・・」とのご意見。

以前、期待して購入した彼女の弾く「ヴァイオリン協奏曲」(シベリウス)が無味乾燥に聴こえてガッカリした記憶があり「未(いま)だし」の印象を持っていたのだが「技巧」と「人の情感に訴える力」はどうやら別物、将来性豊かな逸材なので今後に期待しよう。

☆ 「ワディア170iトランスポート」の電源機器

吉田苑(福岡市)の強化電源機器「ENE-BOX」     

安価と音質の良さで話題を呼んでいるワディア社の「170iトランスポート」(以下、「170」)。

「iPodをオーディオの核にする」の鳴り物入りのもとに発売以来約8ヶ月が経過したがなかなか好評のようだ。しかし、なにぶんコストに妥協しているせいかワディア社にしては各所に随分と「緩み」が見られる製品である。

つい先日のブログ「仮想空間の音楽の頼りなさ」でも紹介したとおり、「電源部分」と「振動対策」のお粗末さがそれだが、これらに対して着実に弱点を改良してくるメーカーがあるのに驚く。

福岡市の「吉田苑」という会社でまず強化電源機器として「ENE-BOX」、振動対策として「GETA」の発売。

「170」の底板交換用(ステンレス)の「GETA]   

始めは両方セットで購入する予定だったのだが同社に電話をしてよく聞いてみると「GETA」は磁石が”くっつく”とのことでつまり磁性体であることが分かった。ステンレスにも二通りあって磁石がくっつくヤツとそうでないものとがあり、この場合は前者。

「鉄を使ったオーディオ機器はマグネチック・ディストーション(磁界の歪み)を起こすのでできるだけ使用しない」が自分のモットー。それもパワーアンプなら強度の問題もあってまだしもだが「170」のような音の入り口部分の場合はまず「ご法度」である。

したがって今回は「GETA」の発注は見合わせて強化電源機器の「ENE-BOX」だけ注文し、到着したのが21日(木)。
案の定でケースの材質は磁石がくっつく鉄製品だったがまあ電源機器なので仕方ないところ。

早速「170」に接続して「iPod」を挿し込み音出ししたが性能の方は十分満足のいくものだった。音質に安定感があって「潤い」が出てきた感じ。CDから取り込んだ曲よりも「配信音楽」からの方が一段と魅力的になる。

しかし、「170」の本格的な利用に当たってはまずメチャクチャになっているパソコンの「iTunes」の整理に取り組まなければいけない。トホホ。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

釣り紀行♯44~海水温の低下に大苦戦~

2009年05月21日 | 釣り紀行

と     き    2009年5月19日(火)、曇りのち快晴、無風

と  こ  ろ    S市O島~A地区~O地区~S地区の各防波堤

          長汐(干潮10時)

釣り時間      8時50分~16時25分

釣  果       クロ(メジナ)23匹、アジ35匹、黒メバル1匹
    
                  

前回の釣行(11日)でまあまあの釣果だったので今年もいけそうだとやや強気の姿勢に。逸る気持ちを抑えて竿やリールなどの手入れと新しい仕掛けの準備などで2日ほど費やすと、いよいよ次の釣行日の決定に余念がない。

しかし、意外と制限要因が多いのが難点。

1 土曜、日曜は釣り人が多いので出来るだけ避ける

 降水確率が40%以上のときは避ける

 汐のタイミングが悪いときは避ける

4 92歳になる母親(要介護2)のデイケア(週1回)と訪問看護(週2回)の日はなるべく避ける

以上、四つの「避ける」を考慮するとなると結構絞られてくるのがつらいところ。

18日(月)は小潮で汐の動きが小さすぎる、20日(水)以降は「曇りときどき雨」の予報となると必然的に19日(火)に決定。

当日は干潮が10時なので「下げ7分」を目途に早朝6時半に出発。高速道の早朝割引を利用してエサを予約している釣具店経由でフェリー乗り場に到着したのが8時。8時15分発の便に丁度間に合った。

前回の釣果に味をしめて一目散にA地区の防波堤に。竿出しは8時50分頃でマキエを早速、広範に撒いてみるがどうもエサ盗りの小魚の動きがおかしい。ノソ~っとゆったり動く感じ。

今日は「食いが悪い」!

肝心のクロ(メジナ)も全然湧いてこない。早朝なのでチヌ(黒鯛)狙いを兼ねてウキ下3mの仕掛けを何回も振り込むが釣り針にはオキアミがついたまま何度となく上がってくる。1時間近く辛抱したがまるでダメ。これだから「釣りは分からない」。前回の釣果がウソみたいで、ブログでさも釣り名人みたいに偉そうなことを書いている自分が恥ずかしくなってしまう。

原因についてはピンとくるものがある。
海水温度の低下である。魚の食欲は海水温の動きと直結している、それも相対的なものがあって前日よりも急激に温度が下がったりすると途端に食いが悪くなる。海水温の変化まで調べて釣りには行けないのでこういうときは釣り人はまったくのお手上げである。

早々にこの釣り場の見切りを付けて、O地区の防波堤に移動。竿仕舞いなど大変手間で移動するのはイヤだが釣れないのだからどうしようもない。撤退の見切りをどこでつけるかも「腕」のうちかも。

30分ほど後にはいつも釣り慣れているO地区の防波堤で竿出し。ここではエサ盗りの小魚がワンサといた。土曜、日曜の釣り人が終日マキエを撒いた影響が残っているとみえる。

エサ盗りを手前に引き寄せて分散させ、ツケエを出来るだけ遠投してクロを狙ってみたが20cm前後のアジがかかるばかりでクロの気配は全然なし。「今日はもうアウト」と半分諦めながら釣っていると25cm前後の「黒メバル」が上がってきた。

クロよりも美味しいので大歓迎だがこれ1匹だけで後が続かない。とうとうアジのオンパレードでまあ全然釣れないよりもマシかと惰性で釣りを続けたが最後の執念で今度はS地区の防波堤に移動。とうとう3回目の場所替え。

このS地区の防波堤は上に電線が低く張ってあって竿の振り回しが制限され結構釣りづらいところ。これまでなかなか釣り人の姿を見かけないところなので逆に「場荒れ」が無さそうとの見込みによる選択。

15時ごろから座ったままの独特の半身の態勢で釣り始めたが、案の定というかエサ盗りが全くいないので残り少なくなったマキエが大助かり。それに15分ほどすると待望のクロが浮いてきだした。午後になって太陽がかんかんと照りだしたので海水温が上昇してきたとみえる。

ウキ下60cmほどの仕掛けにマキエに狂ったクロが面白いほどにかかってくる。しかし惜しいことに型がいまいちでせいぜい手の平サイズ。磯での大物狙いの釣り人なら棄てるサイズだが新鮮なだけで喜んでくれるご近所へのサービスのつもりで持ち帰り。もちろん早朝からのエンジン騒音に対するせめてもの罪滅ぼしでもある。

そろそろ17時発のフェリーに間に合うようにと気もそぞろながら、せめて残ったマキエの量を使い切るようにと丹念に撒いていると段々とクロの型が良くなってきた。帰るには実に惜しいタイミング。納竿は16時25分。結局1時間半ほどでクロを23匹釣った勘定になる。

今回の釣りの教訓は「海水温には要注意」と「簡単に諦めない」ということかなあ~。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

独り言~ネット・オークションあれこれ~

2009年05月19日 | 独り言

37年間の鬱々とした「宮仕え」の反動が来たのだろうか、今では誰に気兼ねすることもなく好き勝手放題、趣味三昧の生活で大いに自由を満喫している。

しかし、もちろんいいことばかりではない。「稼ぎの無い男は顔の無い男と同じ」な~んて何かの本で読んだ記憶があるがやはり貧乏性なのだろうか、いまだに現役で活躍している友人知人の話を聞いたりすると一抹の「寂しさ」を覚えてしまう。

「友がみな/われより偉く/見ゆる日よ/酒を買い来て/妻と親しむ」 石川啄木

さて、「妻と親しむ」ことはまず無いが、趣味の方は「音楽・オーディオ、釣り、読書」といったところでそれぞれに道具というか媒体が要るのが難点。つまり、それなりにお金がかかるというわけ。

そのうち「本」については狭い我が家にこれ以上荷物を増やしたくないのでほとんど図書館で間に合わせている。問題は「音楽・オーディオ」と「釣り」でこればかりは借りて済ませるというわけにもいかず、いろんな道具を身銭を切って購入しなければならない。

そんなときに役に立っているのが
「ネット・オークション」。日頃から何か安くて掘り出し物がないものかとこまめに出品状況を覗いているがここ2週間ほどで動きがあった。入札に参加したのが3点、そのうち落札できたのが2点であとの1点はあえなく討ち死に。

☆ トランジスター・アンプ

         ケンウッド社の「Lー01A]       


ゴールデンウィーク中の5月4日(月)に落札したもので即決価格3万円のところを「値引き交渉」をクリックして2万5千円と入札していたところ出品者(鹿児島)からOKが出た。

完動品であればおよそ10万円前後が相場だが、初めから「難あり」と表示されていたもので「音が出ないのでジャンク扱い」のため価格の方も3万円スタート。

この「L-01A」は30年前の製品で現在でも愛用している機器。しかし、なにぶん古いので故障したときのスペアとして1台保有しているのでこれで3台目となる。

最初から「部品取り」を念頭において入札したのだが、あわよくばちょっとした修理で「完動品」になるかもという「欲」も絡んでの落札であることはいうまでもない。

しかし、落札後、「L-01A」をスミからスミまで知り尽くしているオーディオ仲間のM崎さん宅に出品者から直送してもらって内部を点検してもらったところ左チャンネルのパワートランジスターがすべてイカレていたそうで「完動品」にはほど遠く、結局「部品取り」にしか使えないことが分かった。

最初から「難あり、ジャンク扱い」が前提なのだから、出品者がウソをついたわけでもなし、そもそも期待するほうがおかしいがそれでもガッカリ感は否めない。

☆ STCの整流菅(274B互換)

           「STC軍用整流菅5R4GY」      


つい先日、整流菅の交換によって真空管アンプの音がくるくる変わるのを再確認したので「STC]のブランドなら間違いなかろうと入札に参加し首尾よく落札したもの。落札期日は5月17日(日)23時35分。

この整流菅(新品)には数日前からチェックして目をつけていたのだが17日の夕食後、早々と眠くなったのであわてて入札。現状では14,000円で競っていたが絶対落とす積もりだったので最高限度額4,1000円で入れておいたところ翌日(18日)の朝一番に見たメールでは「貴方が落札者です」とあった。

落札価格は36,000円。アブナイ、アブナイ!それにしてもSTCの整流菅が1本18,000円とは随分安くてお買得だった。

因みに「STC」社とは、19世紀末のアメリカ・ウェスタン社の英国支店から始まり数多くのWE同規格真空管を製造しているメーカー。WEの持つノウハウとヨーロッパの製造技術が融合したプロ仕様真空管の頂点に位置する存在でSTCブランドの製品をこれまで購入してハズレたことはまず無い。その代わり出回っている真空管も少なく稀少品扱い。

また、整流菅の王者とされるのはもちろん「WE274B」(ウェスタン社)だが、その互換品というのがうれしくなる。18日に出品者(大阪)にお金を振り込んだので到着は20日以降の予定で愉しみ~。

☆ ”がまかつ”の竿

 「がまかつ・インテッサGⅢ」(0.8号~5.3m)      

防波堤、磯、船など「釣り」にはいろんなパターンがあるが共通して一番大切な道具はなんといっても「竿」で、つまるところ釣り道具の花形ともいうべき存在。

釣りをしたことのある人ならお分かりだろうが、魚を(釣り針に)かけてから手元に引き寄せるまでが勝負どころ。そのときに竿の「復元スピード」(張り)と「トルク」(粘り)が大いにモノをいう。

材質が悪くてバランスの悪い竿は(竿を握っている手元が)フラフラするし、おまけに張りが弱いため魚に主導権を握られて手元まで引き寄せるのにひと苦労する。

その点、「張り」と「粘り」のいい竿はそれこそあっという間に魚をグーンと浮き上がらせて手元に寄せてくるのが実に早い。大物の魚のときほど効果的でストレスが少なくて済むので実にありがたい。

これは断言していいが「竿」ばかりは性能と値段とが見事に比例しているのが釣りの世界。

現在、「磯竿」の最高峰とされているのは”がまかつ”の「インテッサGⅣ」で2009年のカタログによると、お値段が127,000円(0.8号~5.3m)なり。いくら釣り好きの自分でもこの値段にはちょっと躊躇してしまう。もっとも鮎用の長尺竿なんかはいいもので40万円前後するのでこれはもう別世界。

さて前置きが長くなったが、今回出品されていたのは中古品で一代前の「インテッサGⅢ」(0.8号~5.3m)で入札の状況は3名で価格は36,500円なり。随分と安い。落札期日も時刻もSTCの整流菅と同じようなので41,000円までならと最高価格を入れてそのまま就寝。

翌日のメールでは予想どおりというかアッサリと「高値更新」のお知らせだった。おそらく5万円前後が勝負どころの価格帯だったような気がする。それでもお買得だったかもしれない。結果的に逃がした魚は大きかったようだ。

「オーディオ」機器には桁違いのお金を突っ込んでもそれほど惜しいとも思わないのに「釣り」道具にはどうしてか”みみっちく”なる。これはずっと以前から。

両者ともに愛好の度合いは同じくらいなのに・・・。 


 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オーディオ談義~吸音材の取り替えなど~

2009年05月16日 | オーディオ談義

「どんなに気に入ったオーディオ装置でも長い間聴いていると何かしら音質に不満が出てきてしまう或いはもっといい音が出ないものか」というのが自分の宿命。

良くいえば探求心が旺盛、悪く言えば「飽きっぽくて欲張り」ということになるのだろうか。

オーディオなんて所詮は音楽を聴く道具に過ぎないんだから仲間のM崎さんなどは「早くオーディオ装置のことなんか忘れて音楽に専念してみては」とアドバイスをくれるがどうもスンナリとはいかない。

来し方を振り返ってみても、およそ1年間隔ほどで機器をいろいろと入れ替えてみたりあるいは部品を交換したりして何かしら音質に改善を求めている。

まあ、最初からあつらえたセットものとは違っていろんな単品を購入して独自に改造しながら自分なりにオーディオ装置を組み立てているので簡単に
「いじりやすい」ということがあるのは否めない。それに中高域用に真空管アンプを使っているが出力菅や整流菅の交換次第で音がくるくる変わるので大いに助かっている(?)面もある。

ただし、こういった場合「音質の変化」が「音が良くなった」と往々にして単純に勘違いすることも多いので要注意。逆に悪くなることだってあるから”ゆめゆめ”油断は出来ない。

これまでに苦い経験を何度も重ねているので早急に結論を出すのは禁物、せめて1週間くらいは体調のコンディションなんかも含めてじっくりと試聴して答えを出すというのが自分なりの経験則。

この辺はオーディオ歴の長い方は先刻ご承知のことと思う。

さて、我が家のオーディオ装置でこの半年ほど気になっているのが
「低域の解像力と量感の両立」。どうも現在使用中の低域用のスピーカーユニット(JBL130A~口径38cm)に鈍重な印象がつきまとって不満が蓄積中。

もっとも、この両立は二律相反する問題でオーディオにとっては「永遠のテーマ」といってもよいほどの難問、ちっとやそっとでは解決できないと半ば諦めているのが現状。

しかし、あの歯切れのよさで定評がありジャズ向きの製品とされるJBLのユニットにしてはどうもメリハリが感じられないのが不思議といえば不思議。当然使用しているアンプとセットで責任の所在を考えなければならないが、アンプにはダンピング特性のいいケンウッドの「L-01A」を使っているので最終的にはやはりスピーカー周りに原因を求めるしかない。

そこで2週間ほど前に少しでも前進をと次の点を改造してみた。以下、やや専門的な話になって分かりづらい方も多いかもしれない。

1 吸音材の変更 

これまでJBL130Aを取り付けているSPボックス(タンノイ・ウェストミンスター)の裏蓋を取っ払って吸音材として真綿の座布団を裏側の空きスペースにぶち込んでいたが、思い切ってこれを羽毛布団に変更。そして、130Aの前面には新たにウレタン材を取り付けてみた(写真左側)。見た目にはカッコ悪いがどうせカバーのネットを被せるので外見からは分からない。(写真右側)。

                        

この狙いは二つあって、ひとつは音のヌケをよくすること、もう一つは低域の上限(400ヘルツ以上)に亘る周波数を大幅にカットすることで「中高域とのカブリ」を少なくするとともに(低域の)音量ボリュ-ムをもっと上げることができるようにすること。

かなり大雑把な対策だったが効果は歴然だった。前述したように「音質の変化」と「良否」は別物で速断は禁物、いろいろと試聴を繰り返しながら慎重に時間をとって2週間後にこの記事を書いているのだがほんとうに掛け値なしに良くなった。

もちろん音質の判定は個人の主観次第だし自己満足の世界に過ぎないがJBLらしい解像力はもちろんのこと、それに量感も伴っていてこれならクラシックもジャズも十分いけそう。いろいろと”やってみるものだわい”と今更ながら痛感。しかも改造費がタダ同然というのがうれしい。

2 真空管アンプの変更

                       
           WE300B(モノ×2)                PX25

これまで中高域用SP「アキシオム80」専用として使っていたWE300B真空管(アメリカ)アンプに代えてPX25真空管(イギリス)アンプにしてみた。

WE300Bに何ら不満は感じなかったが低域のSP周りの変更に合わせて気分転換という軽い気持ちだったがこれも予想以上の効果。「アキシオム80」と「PX25]は同じイギリス製なのでお国柄が一致しているのか音に品があって奥ゆかしさが出てきた。

それに整流菅(1本)をマルコーニのCV37からWE422Aに入れ替えたのも大きい。トランスとの相性もあるのだろうがやはり’50年代のウェスタン製品はスゴイ。

以上2点の変更で毎日がルンルン気分でオーディオ装置のスイッチを入れるのが随分と楽しみになった。

これで当面の不満は一応解消、当分いじらなくて済みそうだが真空管アンプの場合、整流菅の取替えによる音質の変化が実に著しいのでいろんなメーカーのモノを試してみたくなる。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

釣り紀行♯43 ~釣りシーズン開幕~

2009年05月12日 | 釣り紀行

と    き   2009年5月11日(月)  快晴、海上無風

と  こ ろ   S市O島

釣り 時間   11時30分~16時20分

        大汐(干潮14時前後)

釣    果   クロ(メジナ)手の平~足の裏サイズ12匹、 アジ25cm前後40匹

                  

一昨年も昨年もその年の釣りの開始は5月22日だったが今年は10日ほど早めて5月11日(月)の釣行となった。

いよいよ釣りシーズン開幕!

全国的に夏日を思わせる30度以上の高温が続いているので、この調子なら暖温を好むクロ(メジナ)の食い気が上向いているかもという期待に後押しされたもの。


魚の食い気を決定的に左右する汐の具合も11日(月)は大潮最後の日いうことでまあgood。

潮には大潮、中潮、、小潮、長潮、若潮と種類がいろいろあるが、どんな潮でもきれいな曲線を描いていればOK。とにかく釣行のときは必ず事前に汐の干満の具合を「図形」でチェック。(詳しくは「海釣り総合サイト釣りの窓口の潮汐表)。

干潮時をはさんで前後3時間程度というのが一応の目安でこれを守っているとまずハズレがない。「上げ3分、下げ7分」はやはり金言だ。

ということで、干潮時の14時前後を釣りごろと決めて自宅を出発したのが8時30分という釣行にしては遅い出足。お天気の方も初夏を思わせるような陽射しだった。

途中釣具店に寄ってマキエを調達し、フェリー乗り場に到着したのが10時40分。出発の11時15分にまだ間があるので近くの「活き魚」店を覗いて見たところ、
「モイカ」の冷凍モノが売っていた。イカに関しては冷凍モノでも味があまり落ちないので早速購入。

これから釣りをしようというのに、事前に予防線を張ってお土産を購入するのも自信の無さの表れかと我ながらおかしくなる。

これは野球の話だがどんなホームランバッターでもシーズン開幕当初は今年は打てるんだろうかと不安に悩むという記事を見かけたことがあるが人間の心理はそういうものかもしれない。

もっとも、自分の場合はたとえ釣れなくても「最後の拠りどころ」があるという逃げ道というか安心感、余裕を買うようなもの。

フェリーに乗ってO島の釣り場に着いたのが11時半。いつもどおり長い防波堤に釣り人は皆無の状況。

早速マキエを撒くと2,3投しただけでエサ盗りがワンサと群れてきた。魚の活性度は高いと判断。

しかし天気が良すぎて透明度が高く、釣り人の気配、仕掛けの釣り糸などが海中で反射するので警戒心の強いチヌ(黒鯛)は無理だと諦めざるを得ない。

深めの仕掛けは諦めて当初の目論見どおりクロ(メジナ)目当てにウキ下60cm程度の浅い仕掛けを投入。全くの無風なのでマキエと仕掛けの同調がうまくいって特性のウキがすぐに海中に消しこんだ。手の平クラスのクロだったが結構強い引きで軟竿が弓なりになる。タモを使うほどではないのでそのままブリ上げた。

矢継ぎ早に同じ型が3匹ほど続けてきたので「よし今日は大漁だ!」と心が弾んだがそれからがサッパリと来なくなり、代わりにアジのオンパレード。

やはり「梅雨グロ」という言葉があるとおり、クロの時期には早すぎるようだ。食い気がいまいちで警戒心が強くマキエに完全に狂って海面に湧き上がってくるまでにはいかない。

結局、この日はクロは手の平~足の裏サイズが12匹。

40匹ほど釣れたアジの型が25cmクラスだったのでこれは許せる範囲、最初の釣行にしてはまあこんなもんだろう。

なお、ハリス(釣り針に直結する糸)には1号を使用したが海中で反射してよく見えるのだろう、マキエに殺到するクロが一瞬怯む様子が見て取れたので次回はもっと細身の0.8号を使用しなければと、これは大きな反省点。

退屈しのぎに近くの電柱に停まって釣りの様子をじっと見ている猛禽類の鷲に小グロを投げ与えるとサッと舞い降りてきてうれしそうに持ち去ったが、今の時期はエサが不足しているとみえる。

納竿は16時20分で17時のフェリーに間に合った。少々疲れたので帰りは高速に乗ったが、17時以降の割引で900円とラッキー。久しぶりのオーバースピードだったが日頃の低速のせいで不完全燃焼で溜まっていたカーボンが吹き飛ぶのだろうか、随分とエンジンの調子が良くなる。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

独り言~内川選手の地元ならではの情報~

2009年05月09日 | 独り言

3月のWBCの日本チーム優勝に大きく貢献した「横浜ベイスターズ」の内川選手。 

            WBC優勝時の内川選手  

いくら2008年のセ・リーグ首位打者、右打者として歴代最高の打率3割7分8厘の成績を挙げたとはいえ「一回限りの成績」「弱小球団の悲しさ」でそれほどの知名度とはいえなかったが、WBCの活躍によって一躍全国レベルでの桧舞台に登場。

日頃、野球はアメリカ大リーグの中継しか見ないと決めているが、内川選手は地元大分県出身の選手、しかも本人のコメントなんかがなかなか適切で「素直な性格」「野球頭脳の良さ」を伺わせるものがあって結構熱を入れて応援させてもらっている。

今年のペナント・レースも1ヶ月が経過したが好調を持続し、打率3割、本塁打6本(5月8日現在)となかなかの好成績。本人によると「今年の課題は長打力」とのことで昨年と同様の期待が持てる。

自分のブログでもこれまでたびたび内川選手の話題を取り上げてきたが、いまだにアクセスが継続していて根強い人気を保っているようなので、この際地元ならではの情報をピックアップしてみた。

ニュースソースは地元新聞の「BRAVO!!]というスポーツ専門紙(5月号)。今回は内川選手の「家族の紹介」。

         まず父親の「一寛」さんから。    

法政大学時代にはあの「江川卓」と同じチームで活躍し4年のときは1塁手としてベストナインに。1993年には大分工業監督として甲子園出場。病で体調を崩してしばらく高校野球から離れていたが今年の4月から県立情報科学高校野球部の監督に就任。

これは新聞情報ではないが、自分の近所に住む先生OBによると「甲子園での惨敗」により地元で突き上げられて一時「心身症?」みたいな症状に。これは「心の風邪」みたいなもので誰でもなりうる可能性があるし決して恥ずべきことではない。事実だとするとおそらく奥ゆかしくて誠実きわまりない真面目な方なんだろうなあ~。

          次に母親の和美さん。    

シーズン中はときどき横浜に通い食事の世話などして健康に気遣う。内川選手の大好物であるお稲荷を何十個も持っていく。開幕戦は尾頭付きの鯛とお赤飯を炊いて祝うという。同じ横浜の村田選手のお母さんとも親しく、WBC韓国戦でスタメン出場するという情報は村田選手から聞いたお母さんが真っ先に和美さんに知らせてくれた。

                最後に弟の洋平さん。    

内川選手とは1歳違いで、小、中、高と共にプレー。高校卒業後は東海大学に進学し3年からは学生コーチを務め100人を超える野球部を束ねた。現在、会社の野球部や草野球チームにも加入し草野球の面白さを堪能している。

最後にいろんなエピソードをアトランダムに。

☆ WBCとんぼ返り事件

キャンプ後メンバーを25人に絞り込む週末に家族は宮崎キャンプを訪れた。前日も打てず、その日も見逃しの三振で終わった姿を見て家族全員がメンバーから外されると確信。悄然となって帰る車中で内川選手からの「どういう訳か選ばれた」とのメール。それからは大騒ぎで内川選手の顔を一目見て帰ろうと宮崎に逆戻り。

☆ 「一番うれしかった」

以前から内川選手や家族を応援してくれた「恩人」に自分の代わりに韓国戦を見て欲しいとチケットをプレゼントした和美さん。試合後、息子の顔を一目見ようとホテルに向かった時のこと、自分たちを見つけ近づいてきた内川選手が両親の前を素通りして、真っ先にその恩人の頭に自分が被っていた公式キャップを被せたという。「聖一の成長を見たような気がして、この姿が私には一番うれしかった!」

☆ 「僕じゃないんです」

「立派な選手に育て上げるのは大変だったでしょうと言ってくださる人がいます。でも、僕じゃないんですネ。(笑)高校に入るまであの子らとキャッチボールをしたことなんてほんの2、3回ですよ。私は野球でほとんど家にいませんでしたから。ただ、幼い頃から家内が二人を連れて毎日練習を見に来ていました。まだ首も座らない生後2ヵ月ばかりの聖一を試合に連れてきたことがあって、選手のお母さんたちが次々に抱っこしてくれたのを想い出します。」
4月から監督就任の決意を伝えたところ内川選手からのメールには「涙が出そう」とあった。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オーディオ談義~仮想空間の音楽の頼りなさ~

2009年05月07日 | オーディオ談義

ワディアの「170iトランスポート」(以下「170」)が昨年(2008年)の10月に発売されてから早いもので6ヶ月が経過した。

        ワディアの「170iトランスポート 」    

この170は「iPodをオーディオの核にする」という謳い文句のもとにデジタル・オーディオの雄「ワディア社」(アメリカ)から発売されたが、その役目を一言で言えば「iPod」のデジタルストレージ能力「最大48KHz/16bit」というCDを上回るクォリティを秘めた高品位なデジタルオーディオ信号をダイレクトに取り出してDAコンバーターへ送るというもの。

自分としては理論的に十分納得できる説明だと思うのでCDプレーヤーに取って代わる能力を持つ次世代のオーディオ機器だと直感し、ためらうことなく馴染みのオーディオ店(東京の「SIS」)から購入した。何よりもCDプレーヤーと比較して回転機能を必要とせず「漏れ磁界」などを心配しないでいいのが最大のメリット。

もちろん、こちらの懐(ふところ)事情もあり高価であれば”すぐ”に購入とまではいかないが、何とこの「170」は実に安価でたったの約6万円というのが大きな魅力。安くて高音質のオーディオ機器とくればまさに「鬼に金棒」。

しかし実際に使ってみて6ヶ月が経過したわけだが、その感想を率直に言えば当初の目論見どおりには十分能力を発揮していない、あるいは十二分に発揮させきれないジレンマを感じているところ。その理由を箇条書きしてみると次のとおり。

 まず手持ちのCDトランスポート「ワディア270」に比べて音質が落ちる。響きというか余韻が足りない。配信音楽ではそういうことがないので、結局CDをパソコンに取り込むときに音質の劣化が起こっている。当然これは「170」の責任ではないと思う。

 「iPod」の利用にはパソコンの「iTunes」の管理が欠かせないがこの「iTunes」が実に頼りない。先日のブログでも書いたようにこちらの落ち度が何にもないのに開いた途端に一方的に1500曲ものデータが無残にも分解されてしまった。

 「170」本体のツクリにややチャチなところがある。コストに妥協したのだろうがまず底が薄っぺらな仕切りになっていて振動対策がお粗末。しかも電源部が貧弱極まりない。

といったところ。

1の対策としてはパソコン内部のCD装置に問題があるので別売のUSB端子つきのCDプレーヤー(水平型)を購入してパソコンに接続してCDを取り込む。

2の対策は全くのお手上げ。そもそもこれはパソコンの不安定さに起因するもので結局「仮想空間の音楽の頼りなさ」ということに尽きる。

3については地道な改良が続けられている。といってもワディア社による改良ではなく日本国内の業者による改良。

                          

福岡市の「吉田苑」という会社が作って発売しているもので左の写真が「170」の専用インシュレーター「GETA」(26,800円)、右側の写真が強化電源ボックス「ENE-BOX」(34,800円)。

さすがに「170」の発売後6ヶ月ともなるときちんと適切に弱点を改良してくるメーカーが存在することに驚く。

オーディオにとって「電源対策」「磁界対策」と「振動対策」は「死命を制する」ともいうべきものだが普段は目に見えないので実に厄介だが、これらの製品は「170」を本格的に使いこなそうと思えば絶対の必需品になるだろう。

強化インシュレーター+強化電源ボックス+170iトランスポートで約12万円になるが、少なくとも同額のCDプレーヤーよりは音質が上なので新たにCDプレーヤーを求める方や買い替えを検討されている方には選択肢のひとつになる。

因みに詳細は「http://www.yoshidaen.com/wadia170.html」へ。

さて、自分のことである。実はこの「GETA」「ENE-BOX]を購入しようかどうか大いに迷っている状態がずっと続いている。

音質がよくなるのは間違いないし、値段の方もさほどではなく「清水寺の舞台から飛び降りる」ほどのものではないのだが
「仮想空間の音楽の頼りなさ」大いに足を引っ張っていてどうも「170」を本格的に使いこなすことにもう一歩踏み込めないのがその理由。

しかし、これまでの自分を考えると最後には購入することになるんだろうなあ~。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

読書コーナー~推理小説「浅見光彦シリーズ」の読破

2009年05月01日 | 読書コーナー

今年の1月中旬に傑作推理小説の案内本「本格ミステリ・フラッシュ・バック」のお墨付きにより推理作家:内田康夫氏の「萩原朔太郎の亡霊」を読んだところなかなかの面白さ。

これが取り持つ縁で早速、同氏のミステリ「浅見光彦シリーズ」を手に取ったところ想像以上の面白さでついつい読み耽ってしまい、とうとう病みつきになってしまった。

この読書経過についてはこれまでのブログでたびたび紹介してきたが改めて書くと次のとおり。

1月中旬~3月上旬   27冊読破(題名は既に紹介済み)

3月上旬~3月下旬   13冊読破(     〃      )

3月下旬~4月下旬   38冊読破 → 内訳は次のとおり

赤い雲伝説殺人事件  天城峠殺人事件  「首の女」殺人事件  長崎殺人事件  

竹人形殺人事件  軽井沢殺人事件  佐用姫伝説殺人事件   恐山殺人事件   

日光殺人事件  天河伝説殺人事件  志摩半島殺人事件  江田島殺人事件  

隅田川殺人事件  横浜殺人事件  日蓮伝説殺人事件  「紅藍の女」殺人事件 

耳なし芳一からの手紙   
喪われた道   薔薇の殺人   若狭殺人事件         

坊ちゃん殺人事件   須磨明石殺人事件  鬼首殺人事件   怪談の道     

沃野の伝説  イーハトーブの幽霊   秋田殺人事件  不知火海   箸墓幻想   

棄霊島    還らざる海    長野殺人事件    幻香   追分殺人事件   

杜の都殺人事件   王将たちの謝肉祭   湯布院殺人事件 釧路湿原殺人事件

まあ、読みも読んだり今年に入って3ヵ月半で78冊、この1ヶ月では38冊!

自分で言うのもなんだが「ミステリ中毒患者」として面白い本を嗅ぎわける嗅覚は人一倍だと思っているが、逆に読み始めて面白くないと思ったものはいくら読みかけでもその時点ですぐに棄却するのが自分の流儀。

通常一人の作家でこれだけ読むとすぐにマンネリに陥って飽きるのだがこのシリーズに限っては例外で全部読み通した。

累計発行部数1億冊以上というネット情報も決して伊達ではないことがよ~く分かったが、とにかく作者が作品ごとに登場人物の描き分けから「あらすじの展開の仕方」までいろいろと工夫していて実に変化に富んでおり、それに附随して内容のほうもまったく当たり外れがなく引き出しの多さに驚く。

読破したすべての作品に自分なりに点数をつけていったが、出来具合を5点満点とすると、いずれも3点~4.5点までの範囲に見事に納まっていて安心して読めるのもいい。

読者の好みもさまざまだろうが78冊中、4点以上の「良」と思った作品が33冊だったが特に自分のお気に入りの作品といえば次のとおり。

「イーハトーブの幽霊」 「還らざる道」 「江田島殺人事件」 「耳なし芳一からの手紙」 「秋田殺人事件」といったところか。

最後に内田ミステリの魅力について「首の女殺人事件」の解説で「松村喜雄」氏のピッタリの叙述があるので紹介。

 江戸川乱歩によると作家は30歳以後に書き始めないと一人前にはなれない。それ以前だと社会の経験と知識が不足している。基礎的な文学を読まなければならないのだという。これがピッタリ当てはまるのが松本清張氏であり内田康夫氏だ。

 内田氏の作品には暴力とか残虐とかポルノまがいの描写を一切避けている。推理小説は健康的な健全文学でありホームズ物語が長く読み継がれている特徴の一端もここにある。しかも文章が平易で読みやすくわかりやすい名文だ。

 江戸川乱歩賞などの勲章を持たないことが幸いして自由奔放に実力を発揮しており、才能が固定観念を省みることなく驀進している。

 面白い推理小説は実に楽しい。イギリス人は老後アームチェアに座りパイプをくゆらし愛犬の頭をなでながら推理小説を読むのが理想だという。

いらぬ世話だがミステリ好きの方でこの「浅見光彦シリーズ」をもし読んでいない方がいたら機会があればぜひともご一読をお薦めしたいと思うくらい面白い。

こういう類(たぐい)の本は「毒にも薬にもならない本」だと思う方も多いだろうし、自分も最初のうちはそう思っていたのだが、単なるミステリにあらず「学究的な奥行き」も相当なもので作品の題名は忘れたがたしか万葉集の謎解きに係る事件だったと思うが「勉強は想像と実証です」なんて”ドキリ”とする言葉も随所に散りばめられているのも内田ミステリのいいところ。

  


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする