「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

この1年を振り返って

2018年12月31日 | 独り言

今日(31日)はいよいよこの1年の締めの大晦日です。

改めて今年を振り返ってみますと相変わらず「音楽&オーディオ」三昧でした。逆に言えば自分から「音楽&オーディオ」を取ってしまうと何も残らない人間です(笑)。

本年も例によって「トライ&エラー」の連続でしたが確実に命中したのもいくつかありましてそれなりに満足できる年でした。

命中精度の実例をざっと上げてみますと、

「パソコン・オーディオ」、「ワーフェデールのユニット」、「192KHz再生が可能のDAコンバーター」、「マランツ7回路のプリアンプ」、「グッドマンのトライアクショム」、「CECのCDトラポ」、「JBLの新ネットワークLX-80」

といったところです。

次に「ブログ」について。

情報発信の手段として大いに活用しているものの「雉も鳴かずば撃たれまいに」のところもたしかにありますが(笑)、ありがたいことに全国的に仲間が増えて我が家のオーディオを随分楽しませていただきました。本欄を通じて関係の方々に厚くお礼申し上げます。

今年登載した件数を調べてみますと「186」件でした。ほぼ2日に1回のペースでしたが実は非常に当たりはずれが多いのが難点です。

たとえば、内容にかなり自信の有るブログのアクセス数がサッパリだったり、その一方、手間暇かけずに書き流したブログが意外にも人気があったりで、自分の思惑と外野席の反響との「ズレ」に刺激を受けているのもブログが止められない理由の一つです(笑)。

今回はその「ズレ」が比較的少なかったブログ14件を時系列であげてみることにしました。いずれもクリックするとご覧になれます。

気が向いた方は暇つぶしにどうぞ~。

☆ 「真空管オーディオの愉しみ」(2018・2・14)

☆ 「ドレミの7音は虹の色」(2・24)

☆ 「モーツァルト全集~55枚のCD~」(3.20)

☆ 「オーディオ=精神物理学+感性」(4.14)

☆ 「オーディオ仙人の枯れた夢」(4.22)

☆ 「ギャンブラー・モーツァルト」(5.24)

☆ 「音楽好きが理系人間に多いのはなぜ?」(6.8)

☆ 「一つの部屋に4系統のシステムを置く理由」(6.29)

☆ 「我が音楽&オーディオの原点とは」(9.1)

☆ 「オペラを聴くと頭が冴える?」(9.21)

☆ 「音楽家がオーディオに熱心ではない理由」(10.16)

☆ 「いろんなケースで通用するパレートの法則」(10.18)

☆ 「凄いぞ!マランツ7Kプリアンプ」(12.14)

☆ 「音楽&オーディオの栄枯盛衰について」(12.25)

以上、本年もブログをご愛読いただきどうもありがとうございました。

厳寒の折、どうかお風邪を召されないようにして良いお年をお迎えくださいね~。

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パソコン・オーディオへ飛躍的前進!

2018年12月29日 | オーディオ談義

いよいよ年も押し迫って残すところ、本日(29日)を入れてわずかに3日あまり。

このタイミングで実に大きな収穫があったので記録しておこう。

もちろんオーディオの話だが(笑)、このほどかねてからの宿願だった「パソコン・オーディオへ飛躍的な前進」が成し遂げられたのである。

今頃になってやっと「パソコン・オーディオ」かと笑われそうだが、高齢者にとってパソコン操作は大いなる鬼門である。そりゃあ、ブログぐらいなら何とかなるが、細かい作業ともなると途端にお手上げだ。

それでも、曲がりなりにもコツコツと前進はしてきたつもり。

たとえば「パソコン・オーディオへ一歩前進」(2018.11.5)、次いで「パソコン・オーディオへ2歩前進」(11.19)といった具合。

しかし、情けないことに「・・へ2歩前進」からもう1か月以上も経っている。遅々として進まず、「このままではいっこうに埒(らち)が明かない」とばかりに、ことここに至ってようやく決心がついた。

一口にパソコン・オーディオといっても、自分の狙いはただ一つ「あらゆる音楽ソースをハイサンプリングの192Khzで再生すること」だが、古典管ばかりでなくパソコンにもメチャ詳しい「北国の真空管博士」にとうとう泣きついた。

「いっそのことオーディオ専用のパソコンを購入していただいて使いやすいように設定してくれませんか?手持ちのDAコンバーター(フェーズメーションHD-7A192)も送りますがいかがでしょうか?」

「はい、いいですよ。扱い慣れてますので富士通のパソコンがいいでしょう。程度のいいものをオークションで落とします。おそらく192Khz再生が出来ると思います。DAコンバーター側の設定も必要ですから一緒に送ってください。」

そして、待つことわずか1週間あまり。博士から吉報が入った。

「極上のパソコンが手に入りましたので専用ソフトをインストールしたところ192Khz再生が巧くいきました。ソフトの方はフーバー2000とソニー(日本語)の両者です。

出力はすべて192Khzにしておきます。CDが1500枚入っているSSDメモリの方もソニーのソフトで192khzにより再生できます。

それからフーバー2000を通じてインターネットラジオの中で最高の音質といわれるリン(イギリス)のクラシック番組とジャズ番組も192Khzで聴けるようにしておきました。」と、まさに至れり尽くせり(笑)。

そして、この25日(火)に待望のパソコンとDAコンバーターが到着。

さっそく結線して両者をスイッチオン。真っ先に期待のインターネットラジオを聴こうとしたものの音が出ない。アレ~ッ(笑)。

さっそく、博士に連絡して携帯で直接お聞きしながらのパソコン操作となった。

かなり複雑で自分一人では絶対に無理だった。最後のクリックでどうにか完了して音出しすると、やっとスピーカーから音が出てきた。

感激~!!

下記の画像はDAコンバーターのもので黄色のスポットが「USB」の選択、青色のスポットが「192Khz」再生が巧くいっている証拠。

   

次いで、これがパソコン側での画像で「フーバー2000」を開くと次の画面が出てくる。

  

やはり「リン」の音は素晴らしかった。インストールしていただいた他のラジオも聴いてみたが「音の粒子」が粗い感じで到底「リン」には及ばすといった印象を受けた。流石は「LINN」(イギリス)!!

それにしても最新のデジタルの音を80年ほど前の古典管を使ったアンプで鳴らす対比というか組み合わせの妙味には唸らされる。

デジタル系の音は周知のとおり、総じて響きが少なくパサパサして乾燥気味なので、そのあたりの弱点を倍音成分が豊かな良質の真空管アンプで補ってやるというのは実に理に適っていると思う。

これに関連して、ずっと以前にたいへんなクラシック通の方からメールをいただいたことを思い出した。

趣旨は「あなたはハイレゾの音をまだ聴いてませんね。無知であることは幸せです。」というものだったが、その方の使用中のアンプといえばあのラックスの安物のTRアンプだったのでガッカリしてしまった。

もし真空管アンプを使用されていたら、おそらくその方の「耳」を信用していたことだろうが、一般的にパソコンの音とTRアンプの組み合わせでは「オーディオ離れ」も頷けるといったら言い過ぎかな(笑)。

それはともかく、クラシックにチャンネルを合わせていたところ27日(木)の午後12:55分にいきなり「交響曲39番の第二楽章」(モーツァルト)が鳴りだした。

モーツァルトの交響曲の中では第39番が一番好きなのでついウットリ聞き惚れた。続いて第三楽章もと期待したがすぐに別の曲に移った。どうやら通しでは聴けないようで残念。結局CDを購入してもらうための紹介番組ということだろう。

そりゃそうですよね、通しで聴かせるとCDが売れなくなるんだから~(笑)。

そこで博士に「モーツァルトの専門チャンネルがあればフーバー2000に取り込んでもらえると最高なんですが。機会がありましたらよろしくお願いします。」

すると2時間ほどしてご連絡があり「専門チャンネルがうまく取り込めましたよ。今からパソコン操作を言いますので実行なさってください。」

小躍りしながら、実におぼつかない手つきで「複雑怪奇」(?)な操作をすること5分余り、ようやく取り込み成功。

モーツァルトの自然で流麗な音楽には断片的にどこを切り取っても「らしさ」があってすぐにわかる。それに生涯にわたって600曲以上作曲しているので私たちがまだ知らない曲目が山ほどあるはずで、そういう発掘の観点からも、インターネットラジオはもってこいかもしれない。

さっそく本日(29日)の午前7時半のこと、ブログ作成中に素晴らしい旋律が聴こえてきたのでパソコンの画面で曲目を確認したら「ハフナー・セレナーデ」(Kv250)だった。これは手持ちのCD盤にはないので大収穫。

だがしかし、音質の面では・・・。

我が家の場合ではCDトラポとDAコンバーターで「16ビット → 20ビット」「44.1Khz → 176.2Khz」のアップ・サンプリングで聴くときの情報量を100点とすると、パソコンによる192Khz再生は95点ぐらいで少し劣る。

こればかりはそもそも圧縮した音源がもとになっているので仕方がないが、鑑賞するに値する十分な音質だとは自信を持って言える。それに「費用 対 効果」が抜群なのが素晴らしい。


今年のお正月はひたすら「モーツァルト浸り」になりそうだ。

それにしても北国の方角には足を向けて寝られないなあ(笑)。

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魅惑の「オーディオ実験」~負け惜しみ~

2018年12月28日 | オーディオ談義

前々回からの続きです。

我が家の実験用システムとしてずっと楽しませてもらっているタンノイ「ウェストミンスター」(改)。

       

ご覧のとおりボックスだけは何とか原形を留めているもののユニットとなると荒療治によって似ても似つかぬものに変身している。

初めの頃はそれは、それはひどい音だったが、このところ「あの手この手の対策」でようやく様(さま)になるようになった。

やはり「ウーファーの交換」「チャンデバ → 新ネットワークの導入」の効果が大きかったようだ。

とはいえ所詮は自己満足の領域に過ぎず
「井の中の蛙」になることはなるべく避けたいのでいつもオーディオ仲間たちの「耳」を参考にさせてもらっている。

今回もそうだった。

「JBLのLX80という新しいネットワークを手に入れましたよ。なかなか優れもののようです。今からご試聴いかがですか。」と、近隣のオーディオ仲間(仮称:Yさん)に呼びかけたのは去る22日(土)の冬晴れの午後のことだった。



Yさんは急なお誘いにも関わらず、通算するとおよそ8割くらいの確率で「ああ、いいですよ。」と、ご快諾いただけるのでたいへんありがたい存在だ(笑)。

最初の試聴盤はこのところ重宝しているバレエ音楽「三角帽子」(アンセルメ指揮)。とても色彩感豊かな素晴らしい演奏である。
                                  

SACD化した盤がつい先日のオークションに出品されていたが入札者が殺到して何と1万3千円の高値で落札されていた。「名盤」であることを皆さんとてもご存知のようだ。

さて、Yさんの評価はといえば結論からいくと大好評だった。

以下のようにぬけぬけと、他人の賛辞を書き連ねる神経もどうかと思うが(笑)、書かないと具象化できないのでどうか許してほしい。

「いやあ驚きました。音に立体感が出てきましたよ。それに質感が高級になりました。これに比べるとこれまでの音はザラッとした粗さが目立つ印象です。それにしてもネットワークでこんなに変わるものですか。参考のためにカバーの中身を見せていただくとありがたいのですが。」

「ああ、お安い御用ですよ。」

  

「空芯コイルではないですね。」

「はい、低損失オリエントコア採用のコイルだそうですよ。音の違いの要因はここにありと睨んでいます。」   

試聴は好調のうちにさらに続く。Yさんが持参されたのが優秀録音で有名な「TELARC」のCD
だった。「逸品館(大阪市)のオヤジさんが気に入っているCDですよ。」

  

「ツァラストラはかく語りき」の凄い低音がどうにか再生できた気がする(笑)。

「長大なバックロードホーンの威力がもろに出てますね。こういう音はブックシェルフタイプではとても無理です。何しろJBLのD130(口径38センチ)のときよりも低音が出てますよ。」

「口径30センチ(赤帯マグネット)のユニットの方がこのバックロードホーンとは相性がいいみたいです。」

このまま終わってくれると、それこそバンザイ三唱ものだったが、そうは簡単に問屋が卸さなかった(笑)。

「ドヴォルザークの8番をお持ちじゃないですか?思い出のある曲なんです。とりわけ第三楽章が好きです。」と、Yさんから要望があった。

「はい、ジョージ・セル指揮のものならありますよ。」

   

実はこの第三楽章の弦のユニゾンが大いに問題提起をしてくれた。

「ちょっとクラシックにしては音色が明るすぎて雰囲気がそぐわないようですね・・。」

相呼応するように、自分も「ウ~ン、ちょっとJBLのクセが出過ぎのようです。CDが評判の悪い「CBSソニー」レーベルというのもちょっと気になりますが・・。」

これからがドタバタ劇の始まりだった(笑)。

お客様の前でそれこそ、800ヘルツから使えるありとあらゆるツィーターを引っ張り出して試してみたがいずれもアウト。どうしても「175」には追い付かなかった。

「ネットワーク」と「175」がJBL同士「同じ穴の貉(むじな)」として深く絆を結び、がっちりとタッグを組んでいる印象を受けた。

結局、クラシックとジャズの両方を「高い次元」で熟(こな)せるシステムの成立がなかなか難しいことを改めて痛感した!

当面の対策としては、クラシックのときだけ「ネットワーク」の高音域のボリュームを絞ることにしよう。

システムの欠点が分かるたびに「やっぱり聴き込むと何かしらアラが出てくるなあ」と、いつもガッカリするのだが、その一方では「何とかせねば」とファイトも湧きおこる。

この繰り返しが結局「生きるエネルギー」になっているんだろう。

そういうわけで、実はあまりにも「万能の音」が出てくれるのも困るのである。

いや、けっして負け惜しみ」ではなくて~(笑)。

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「音楽&オーディオ」の栄枯盛衰について

2018年12月25日 | オーディオ談義

我が家のオーディオにとってネットオークションは必須のツールだが、その一方ではかってのオーディオ機器の栄枯盛衰ぶりを窺い知るのにも大いに役立っている。

たとえばつい先日のオークションでのことだった。

まずはクラシック音楽愛好家なら誰もが一度は憧れるタンノイの「オートグラフ」が出品されていた。音楽&オーディオの先達として有名な「五味康介」さんが愛好されたことでもよく知られている大型スピーカーである。

オークションのタイトルは「Autograph HPD385A +エンクロージャー 進工舎製国産箱」だった。

          

ご覧のとおり凝ったツクリの堂々たるスピーカーだが、落札価格となると信じられないほどの安いお値段で「39万2千円」(12月21日)だった。定価は確実に百万円を超える代物である。

若い頃の「タンノイⅢLZ」の時代だったらまず確実に入札していただろう。

そして日をおかず出品されていたのが同じオートグラフでも「ミニ」の方だった。

        

見るからに「小振り」で定価「32万4千円」のところ、この落札価格は「25万1千円」(12月23日)だった。

大型とミニの音質の差は、そりゃあ個人ごとの「好き好き」があるとはいえ「月とスッポン」ほどの開きがあるだろうに、お値段の差はたったの「14万円」だからまことに恐れおののいてしまった(笑)。

大型スピーカーは人気がない!

このことからいったい何が推し量られるのか、「桐一葉落ちて天下の秋を知る」ではないが(笑)、勝手に類推させてもらおう。

1 マンション・オーディオの蔓延

今や都会は高層マンションだらけといっても過言ではないほどだが、そうすると大型スピーカーを置こうにもスペースがない、そして隣近所に遠慮して大きな音を出すわけにもいかずせっかくの大型機能が生かせない。

と、いったところだろうか。

人的交流を含めて豊かな文化と便利さが享受できる都会生活、その一方スペースに恵まれた1戸建てに住む機会があるものの文化程度が貧弱な地方の生活のどちらがいいか、それぞれ個人毎の価値判断に任されるところだろう。

もちろん自分の場合は「音楽&オーディオ」至上主義者なので後者を選んだが、やっぱりときどき一抹の淋しい思いにかられるのは否定できないなあ(笑)。

2 オーディオの衰退

先日、オーディオ仲間と話していたところオーディオ専門誌「無線と実験」の「(オーディオ機器を)売ります買います」欄で「遺品整理のため」という言葉がやたらに多くなったとのことだった。

中には「タダで進呈します。」とあったりもして、今は亡き亭主のオーディオ道楽の後始末に遺族がほとほと困っている様子が散見されると言っていた。

思わず「我が家もいずれ同じようなことが・・・」と、絶句したことだった(笑)。

1970年代のオーディオ全盛期を体験した年齢層は今や高齢者軍団と化しており、本格的なオーディオ愛好家は高齢者に集中しているといっても過言ではないが、これからも続々と途切れることなく鬼籍に入っていくのだからオーディオ人口が減るばかりである。

何しろ若い人たちはオーディオに価値を見出さないのが大半なので補給が追い付いていかない。

本格的なオーディオシステムで音楽を聴くと人生観が一変するほどの衝撃を受けると思うのだが、そういう機会もまずない。オーディオショップで聴く音はいくら豪華なシステムでも所詮は借り物の音で家庭でよくチューニングされた音には到底及ぶべくもない。

こういう負の連鎖を断ち切る方法はないものかと、僭越ながらいらぬ心配をしている
今日この頃だ(笑)。

3 クラシック音楽の衰退

その昔「ブルーノ・ワルター」という指揮者がいたが、当時次のような警告を発していた。現代でも通用すると思うので紹介してみよう。

「いまや芸術に対して社会生活の中で今までよりも低い平面が割り当てられるようになって、その平面では芸術と日常的な娯楽との水準の相違はほとんど存在しない。

本来芸術作品が持っている人の心を動かし魂を高揚させる働き
に代わり、単なる気晴らしとか暇つぶしのための娯楽が追い求められている。

これらは「文明」の発達によりテレビやラジオを通じて洪水のように流れ、いわゆる「時代の趣味」に迎合することに汲々としている。

こうなると文明は文化の僕(しもべ)ではなくて敵であり、しかもこの敵は味方の顔をして文化の陣営にいるだけに危険なのだ。」

以上のとおりだが、残念なことにクラシック音楽の地盤沈下は留まることを知らない。1950年代前後が黄金時代だとすると、取り巻く環境が激変している。

別にクラシックを聴かなくても生きていけるし、聡明にも、お金持ちにもなれるわけでもないが、人生を豊かに彩ってくれることだけはたしかである。

その流れで、最後に「村上春樹」さんの言葉を紹介して終わりにしよう。

「僕にとって音楽というものの最大の素晴らしさは何か?

それは、いいものと悪いものの差がはっきり分かる、というところじゃないかな。大きな差もわかるし、中くらいの差もわかるし、場合によってはものすごく微妙な小さな差も識別できる。

もちろんそれは自分にとってのいいもの、悪いもの、ということであって、ただの個人的な基準に過ぎないわけだけど、その差がわかるのとわからないのとでは、人生の質みたいなのは大きく違ってきますよね。

価値判断の絶え間ない堆積が僕らの人生をつくっていく。

それは人によって絵画であったり、ワインであったり、料理であったりするわけだけど、僕の場合は音楽です。

それだけに本当にいい音楽に巡り合ったときの喜びというのは、文句なく素晴らしいです。極端な話、生きてて良かったなあと思います。」

「微妙な差をかぎ分けるのは何も音楽だけとは限りませんよ。オーディオだってそうですよ。」と、言ったらあまりにも「我田引水」になるのだろうか(笑)。

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魅惑の「オーディオ実験」~死闘編~

2018年12月23日 | オーディオ談義

前々回からの続きです。

新ネットワークとの相性探しに用意した「三種の神器」(仮称)の実験結果を記録しておこう。

我がオーディオ史上稀にみる激戦だったが、今後のシステム変更次第では評価が逆転する可能性もあるので、あくまでも現在のシステム環境ではという条件付きの話である。

         

☆ 3種の神器の試聴結果について

1 AXIOM80(以下「80」:ウッドホーン付き)画像右

ほんとに、ほんとに期待に胸を弾ませながら「いの一番」に試してみたのが80だった。

ところが残念無念!!「期待外れだった」というよりもネットワークとの相性が悪かった。ネットワークのボリュームを最大限にあげても80がまっとうに鳴ってくれなかった。明らかに80(95db前後)の能率不足だ。

逆に言えば、このネットワークは高音域のユニットに110db前後の高能率しか想定していないようだ。やっぱり生粋のJBL向き仕様だったことになる(笑)。

そこで諦めきれずに80をテクニクスのネットワークに戻して試してみるとワーフェデールのウーファー「スーパー12」とどうにかうまくハモってくれた。

何時かは陽の目を見させてやりたい音なのでオーディオ仲間がお見えになったときなどに改めて実験することにしよう。

な~に、ネットワークの交換なんてものの5分もあればできるんだから~。

2 テクニクスのドライバー+ホルン(画像真ん中)

クロスが1200ヘルツから800ヘルツにダウンしたものの、なかなかいい鳴りっぷりだった。これなら聴けるとひと安心。

元々このホルンは「800ヘルツあたりからなら対応できますよ。」と元の持ち主さん(青森県)から伺っていた。ただし、あえて難を言えばテクニクスのドライバーにややパワー不足の感があるかなあ・・・。

3 JBLの175ドライバー(画像左)

ウ~ン、参った!

さすがはJBL同士でやっぱり「同じ穴の貉(むじな)」だったようで(笑)、ネットワークとの相性に非の打ちどころがなかった。

両スピーカーの間に音が奥の方に引っ込み綺麗にステージが出来上がる感覚でこういう鳴り方が一番好き。クラシック音楽にはもってこいである。独奏ヴァイオリンの音色も艶があってとてもいい。

およそJBLらしくない印象だが、我が家ではこれで十分。

ちなみに、175の能率は108dbと高能率だが、ネットワークのボリュームが10で満開のところ下記の画像のように8の位置でOKだった。

        

この位置でウーファーとツィーターとの音量バランスが取れるようでは、能率の低いAXIOM80がとうてい太刀打ちできるはずもなかった。

SPユニットの能率の高低について考えるときは、つい古典管の「μ(ミュー)=増幅率」を連想してしまうが、いかなる相性テストにおいても「能率」は常にカギになる要素だと思う。

いずれにしても175の見事な復活で、この音ならツィーター(075)無しでも十分いけそうだ。

ツィーターを欲しがるときは中高音域の透明感が足りないせいだという話をよく聞くが、この得られた透明感も新しいネットワークのおかげだろう。


これで我が家の天下分け目の「関ケ原の戦い」はあっけなく2時間程度で決着がついたことになる。

結局「AXIOM80で決まり!」との当初の思惑とは大違いで何とも面白くない結果に終ったが、詰まるところJBLの連中の底力をイヤというほど思い知らされた実験だったことになる。

ま、いっか・・・(笑)。

    

このまま終われば万事めでたしメデタシだったが、昨日(22日)近隣のオーディオ仲間に試聴してもらったところ一難去ってまた一難だった。

やっぱりあらゆる音楽ソースに完璧に対応できるシステムなんて無理のようだね(笑)。

詳細は次回以降へ。

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「捻りのスポーツ」とは?

2018年12月22日 | 独り言

つい先日、図書館から借りてきたのが新刊「文藝春秋2019年の論点」。

               

内容は政治から国際情勢、はてには芸術、娯楽までいろんな分野にわたって各界の著名な評論家が2019年の展望に向けて2~3頁づつ寄稿したものだった。

例によってタイトルは華々しくて目を引くものの、中身の方は掘り下げ不足でサッパリというのがいかにも「文藝春秋」らしかったが、このブログだって似たようなものであまり偉そうなことは言えない(笑)。

本書のなかにスポーツの分野で「甲子園で881球、金足農業・吉田輝星投手は”投げすぎ”なのか」(94~95頁)というタイトルの評論があった。

著者は野球評論家の「江本孟紀」氏。

江本氏といえばかって阪神タイガースのエースとして活躍していた。「エモヤン」としての呼称もあり、長身で独特のスリークォーターからのストレートにはみるべきものがあったが、ある試合で途中交代を余儀なくされ「ベンチがアホやから」と有名な捨てゼリフを吐いた投手だった。

周知のとおり野球選手にとってベンチの采配への批判は罰金ものだが、いわば「直言居士」の持ち主だといえよう。

その江本氏の評論だが結局、論点整理としてはご自身の投手経験から「881球はけっして投げすぎではない。投手は投げ込めば投げ込むほど自然と力が抜け故障しにくいフォームになる。つまり上半身に頼らない、下半身主導のフォームが身に着く。アメリカのメジャーリーグを基準にするのは愚かだ。」といった趣旨だった。

まあ、いろんな見方があるのだろうが、その中でオヤッと思った表現があった。抜き書きしてみよう。

「ウェートトレーニングなどリハビリ以外では無用。余計な筋肉がつけば体とフォームのバランスが崩れ、それこそ故障につながる。野球は「捻りのスポーツ」であり、柔軟性が肝心だ。無駄な肉があったら、捻りの動きがむしろ阻害されてしまう。」

野球が「捻りのスポーツ」とは初めて耳にした言葉だが、とても新鮮な印象を受けた。

いわゆる「野球頭脳」における「読み」の部分は別にして、野球に必要な身体的な能力を分解してみると「投げる、打つ、捕る、走る」に分類され、この中でも選手の年俸に直結する重要な要素となると「投げる、打つ」に集約されるが、たしかにどちらも「捻る動作」が基本である。

早い球や鋭い変化球を投げる、そして打球を遠くに飛ばす能力は筋肉の鍛え方次第だと思っていたが、柔軟性の方がより重要だとはまさに「目からうろこ」だった。

練習さえすればいいというわけでもなさそうで、天賦の才も必要な野球というスポーツの奥の深さを改めて思い知らされたことだった。

最後に、「スポーツ界の頂点に位置する野球」と題した日経新聞の記事(2018.4.6)を引用しておこう。

「アスリートの中にはどんな競技をしても成功しただろうと感得させてくれるユニバーサルな選手がいる。米大リーグに投打の二刀流で挑戦中の大谷翔平選手はその象徴だろう。

大谷選手の活躍に拍手を送りながら「この子がうちの競技を選んでくれていたら」と歯ぎしりするスポーツ関係者は山ほどいるに違いない。

たとえば相撲なら白鳳を超える大横綱に、ボクシングなら世界ヘビー級チャンピオンに、サッカーならFWやGPの名選手になっていたかもしれない。

すべては妄想に過ぎない。が、次々に浮かぶそんな「もう一つの世界」で遊ばせてくれるところにも大谷選手の希少性がある。(だからこそこの逸材には投打ではなく他の競技との二刀流を見てみたかった気もするのだが)。

大谷選手には今、いろいろな賛辞が贈られている、その中で驚きだったのはアスレチックスの監督の「なんて足が速いんだ」というコメントだった。

スピードとパワーを兼備した大型選手の躍動は米プロスポーツの真骨頂であり、見慣れた光景かと思っていたからだ。それでも大谷選手の速さに言及したのは従来の日本選手像が覆されるような衝撃を感じたということなのだろう。

大谷選手の特大級の活躍を見るにつけ、日本スポーツ界の良質なタレントが野球にはかなり集まっていると改めて感じる。某大学サーッカー部の監督に聞いた話だが、体育の授業でサッカーをさせると、野球部の学生の運動能力とセンスに唸ること再々だとか。

もう一つ感じるのは野球という競技が開発する運動能力の部分。外周23センチほどのボールが時速160kmという単位で飛び交う中、投げて打って走って捕まえてを繰り返し、鍛えられる特別な能力があるのだろう。

大谷選手は何をしても大成したと思いつつ、野球によってここまで大きくなったとも思うのだ。」

以上のとおりだが、大谷選手の筋肉の柔軟性は有名で胸を張ると左右の肩甲骨がくっつくというほどの凄さだそうで、だからこそ「投げる、打つ」の二刀流が可能なのだろう。持って生まれた資質によってきっと来シーズンも活躍してくれるに違いない。

「春=大リーグの開幕」がとても待ち遠しいなあ
(笑)。

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魅惑のオーディオ実験~新ネットワークの実力~

2018年12月20日 | オーディオ談義

前々回からの続きです。

        
新しいネットワーク「JBLのLX-80」(クロスオーバー:800ヘルツ)との相性を試すため「3種の神器」(仮称)を準備したが、初耳の方もいらっしゃるだろうから改めてそれぞれ紹介しておこう。

   

<JBLの175ドライバー(画像左)>

諸元ではクロスオーバー(以下「クロス」)「1000ヘルツ~」からの使用となっているものの「LX80」の資料によると適合ドライバーとして「175」が挙げてあったのでどうやら800ヘルツから使用しても差支えなさそうだ。

これも、肩落ち「-12db/oct」(ネットワーク)のおかげだろう。もし「-6db/oct」だとするとちょっと怖い。なぜ怖いかはオーディオマニアならとっくの昔にご存じのはずですよね(笑)。

「175」はJBLのドライバーの中では珍しくヴァイオリンをこなせるのが魅力的。過去の拙ブログ「JBL175の使い方の一考察」(2018・3・17)をよろしかったらご参照されたい。

<テクニクスのドライバー+ホルン(画像真ん中)>

現在使っているのがこれだが(画像真ん中)、現用のクロス1200ヘルツから800ヘルツに一気に切り変わるのではたして対応できるかどうか、期待と不安が同居中。

<AXIOM80(ウッドホーン付き)画像右>

画像右側だが以前使っていた「AXIOM80」(ウッドホーン付き:復刻版)の再登板を目論んでみた。オーディオマニアという人種は実にしつこくて執念深い(笑)。

過去、チャンデバを使ってクロス500ヘルツでJBLの「D130」(口径38センチ)と組み合わせてみたところ両者のスピードが合わないためにあえなく惨敗した経緯がある。

今回はLCネットワークによりクロス800ヘルツ、しかもウーファーはワーフェデールの「スーパー12」(口径30センチ)ときているので、はるかに環境整備されている。

そもそも「AXIOM80」はフルレンジで鳴らすのが常道だし、そのスピードに対応できるウーファーなんて存在しっこないが、次善の策として口径30センチクラスが辛うじて滑り込みセーフといったところだろう。しかも両者ともに共通点があって定評のある「赤帯マグネット」の持ち主である。   

今回は前回時の反省を込めてウッドホーンの後ろ側に黒い布切れを張ってすんなりと背圧を逃がさないようにしてみた。簡易的な「ARU」(背圧調整器)のつもり(笑)。

さあ、いよいよ実験開始だ。

当日は早朝に目覚めた時から期待に胸がはち切れんばかりだった。「オーディオってどうしてこんなに楽しいんだろう。」と、「未知の音」への憧れにワクワクしながら「三種の神器」を交互に入れ替えて試聴してみた。

テスト盤はバレエ音楽「三角帽子」(アンセルメ指揮)。

  

ドカ~ンという大太鼓の最低音域から耳に突き刺ささってくるほどの鋭いピッコロの最高音域までの間に弦楽器、打楽器、管楽器そしてボーカルなどの多彩な楽器群が煌びやかに登場するので、システムの完成度を総合的に推し量るにはこれ一枚で十分。 

ぐだぐだと前口上ばかり長くなったが(笑)、試聴結果は次のとおり。

まずは、

☆ 新ネットワークの印象

オークションで手に入れた品物は相手の顔が見えないだけに博打の要素が多分にあるので「最初の音出し」のときにはいつもヒヤヒヤするが無事にきちんとした音が出てくれたのでほっと一息。

しかも音の質感に明らかに「いぶし銀」のような高級な雰囲気が漂っており、中高音域の色艶も垢ぬけしている。低音域もほど良い締まり方でローエンドに向けてよく伸びている。 

つまり本来の音を引き出す能力に長けているということだが、確実に音質が一段とクレードアップした感がする。付属のボリュームを回すときの手ごたえもとてもいい。やっぱり定価13万円(ペア)はけっして伊達ではなかった。いや、けっして身びいきではなく~(笑)。

ちなみにSPコードはお気に入りの銅の単線(0.8mm)を使っている。

   

次はいよいよ「三種の神器」の中から「ベスト1」の選出過程へといきたいところだが、波乱万丈とあって内容が当初の予定より大きく膨らんだので
次回以降へと持ち越させてもらおう。

当初の思惑とは大ハズレの結果に喜ぶべきか、悲しむべきか・・(笑)。

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若手ピアニスト「ラファウ・ブレハッチ」

2018年12月19日 | 復刻シリーズ

昨日(18日)のこと、過去記事ランキング(ページごとの閲覧数)で若手ピアニスト「ラファウ・ブレハッチ」を題材にした記事ががっちりと上位に食い込んでいた。

何しろ8年も前の記事だし今頃になってなぜ・・?

ブレハッチは周知のとおり2005年に開催された由緒ある「第15回ショパン・コンクール」(5年に1回開催)で優勝したピアニスト(ポーランド出身)である。当時は弱冠25歳だった。

さっそく理由を推し量ろうとググってみると、何のことはない来年(2019年)訪日の予定という話だった(だと思う)。

それにしてもブレハッチは優勝後はパッとしないようなイメージを抱いていたけど、まだ健在だったんだねえ。もう三十路を過ぎたんだからそろそろ脂が乗ってくる頃ではある。

いずれにしても、せっかくの機会なので8年前の記事を以下のとおり加筆修正のうえ再掲させてもらおう。

「新版クラシックCDの名盤」で、3名の著者たちがそろって絶賛していたピアニスト「ラファウ・ブレハッチ」〔339頁~)。


ショパンと同郷のポーランド出身で2005年開催のショパン・コンクール優勝者である。 

しかし、現時点でまだ25歳前後と若くやや経験不足が心配なところだが、かのヨーゼフ・シゲティによると「演奏のテクニックは25歳がピーク。それ以上にうまくなることはない」との談もあり”まあ、いいか”と自分を半分納得させてHMVへ注文。

2週間ほど経過してやっと自宅に到着したのが10日の日曜日。

左から「24の前奏曲集」(ショパン)、「ピアノソナタ」(モーツァルト)、「ピアノ協奏曲1番&2番」
 

                     

 まず「コルトー以来の名演」(中野 雄氏)と称される「24の前奏曲集」を聴いてみた。「ピアノの詩人」ショパンにはいろんな作品群があるが、ショパン通にとって代表作といえばまず「24の前奏曲集」に指を屈するという人が多いのではあるまいか。

自分には演奏の良し悪しやテクニックを云々する資格はないが聴いてみたところ「ええかっこしい」の音楽家でないことが感じられて救われる思いがした。自分をことさらに大きく見せようとせず、純粋に音楽に溶け込んでいる印象で、録音の良さは申し分なし。

個別では判断の下しようがないので手持ちの「コルトー」と「アシュケナージ」の演奏と比較してみた。 


                          

思わず居住まいを正し、聴けば聴くほど味わい深くなるコルトー、安定感に満ちたアシュケナージの印象からするとブレハッチの特徴は一言でいえば演奏慣れしていない「初々しさ、瑞々しさ」のように思えた。なかなか好印象!

次に、2枚目のCDにはハイドン、ベートーヴェンそしてモーツァルトと古典派3人のピアノ・ソナタが網羅されていて、モーツァルトでは「K.311」〔9番)が収録されている。

ショパンはいいと思ったけど果たしてモーツァルトはどうかな?

自分は帰し方40年ほど耳にたこができるほどモーツァルトの一連のピアノ・ソナタを聴き込んできたが、こう言っては何だがこの一連のピアノ・ソナタほどピアニストのセンスと力量が如実に反映される音楽はないと思っている。

たとえば久元裕子さん(ピアニスト)は著書「モーツァルトはどう弾いたか」の中でこう述べている。
 

「モーツァルトの音楽は素晴らしいが弾くことはとても恐ろしい。リストやラフマニノフの超難曲で鮮やかなテクニックを披露できるピアニストがモーツァルトの小品一つを弾いたばかりに馬脚をあらわし「なんだ、下手だったのか」となることがときどきある。 

粗さ、無骨さ、不自然さ、バランスの悪さ、そのような欠点が少しでも出れば音楽全体が台無しになってしまう恐ろしい音楽である」。 

以上のとおりだが、実に意地の悪そうな前置きはこのくらいにして(笑)、ブレハッチのモーツァルト演奏について述べてみよう。

一楽章の冒頭から指がよく動き、果てしない美音のもとに流れも軽快で”いいことづくめ”、何ら違和感なく聴け「大したものだなあ~」と演奏中は感嘆しきり。
 

だが、”しかし”である。終わってみると、「はて、この演奏から何が残ったんだろうか」という印象を受けてしまう。つまり、後に尾を引くものがない、名演にとって不可欠な「香り立ってくるような余韻」がないのだ。

どうも、つかみどころがない演奏で単なる”きれいごと”に終わっている気がしてしかたがない、もしかすると自分の体調が悪いのかもしれないと日を改めて翌日も再び挑戦。しかし、やはり同じ印象は拭えない。

改めて、いつも聴きなれたグレン・グールドのK・311を聴いてみた。

まったく何という違い!音符を一つ一つバラバラに分解し、改めて自分なりに精緻極まりなく組み立てて、
見事に自分の音楽にしてしまうグールド。圧倒的な、有無を言わせない説得力に無条件に降参した。

因みに演奏時間の違いが面白い。ブレハッチの16分59秒に比べてグールドは12分25秒。こんなに違えばまるで異なる音楽になるのは必然で、めまぐるしく早いテンポのグールドと比較すると”まどろっこしさ”を覚えるのも無理はない。

個性的なグールドと比較するのは可哀そうだと思い今度はクラウディオ・アラウの演奏を。これは演奏時間が20分55秒と一番長い。

じっくり聴いてみたがやっぱりいいねえ!一音一音が見事に磨き抜かれてコクがありロマンチックで素敵な演奏の一言に尽きる。こうなるとブレハッチとの差はいかんともしがたい。

ショパンはともかくモーツァルトの音楽では簡単に騙されないぞ!

キーシンほどの大ピアニストがいまだにモーツァルトのピアノソナタ全集の録音をためらっているが、ブレハッチにはまだモーツァルトのピアノソナタを弾くにはちょっと早すぎるようだ。

しかし、折角有望な若手が出現したのに否定的な注文をつけるとは何ともへそ曲がりの嫌味なリスナーが世の中にはいるもんですねえ~(笑)。

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魅惑の「オーディオ実験」~新しいネットワーク~

2018年12月17日 | オーディオ談義

つい先日のブログにも記載したように、若い頃からどちらかといえば「得意科目=長所」をさらに伸ばすというよりも「不得意科目=弱点」の方が気になって何とかカバーしようとするタイプであることを自認している。

言い換えると、「嵩(かさ)にかかって攻め切れない」タイプともいえるし、「大勝もできなければ大敗もできない」タイプといえるかもしれない。まあ、小心翼々とした平々凡々の人間ということですな(笑)。

そこでオーディオの話に移ろう。

我が家のオーディオシステムで気になっている弱点部分といえば自他ともに認めるのが「ネットワーク」だろう。

現用中のものは画像のとおり国産のテクニクス製とパイオニア製。

         

そのうち、もっといい物に取り代えようと日頃からオークションで虎視眈々と狙っていたところ、たまたま目に入ったのがJBLの「LX-80」だった。

「ボリューム」部分と「コイルなどの主要部品」が別建てになっていて大いに食指をそそられた。画像を引用させてもらおう。

    

さっそく「LX-80」の諸元をググってみると、幸いにも「オーディオの足跡」にきちんと仕様が書かれていた。

2ウェイ、8Ω対応、クロスオーバー800へルツ(-12db/oct)、高耐圧ノンポーラコンデンサー、低損失オリエントコア採用のコイルの優れたパーツ類を採用、1976年発売、定価130,000円(ペア)

周知のとおりネットワークの生命線はボリューム、コンデンサー、コイルにどれだけ質のいいものを使っているかに尽きるが、これはなかなか「いい線」をいっているようだ。

しかも、たかがネットワークごときでお値段(定価)が13万円(ペア)も張るとはおそらく最高級品に属するのではあるまいか。

スタート価格は「999」円だが、はたしてどのくらいまで入札価格が上がっていくのか「見もの」だったが、どうも気配(?)からすると伸び悩みの傾向にあるようで、これはもしかして「ビンボー人」にもチャンスが巡ってくるかもしれないと途中から淡い期待を抱くようになった。

その背景として考えたのは、今どきスピーカーをコツコツと弄り回す人間はメチャ少ないだろうし、そういう人たち以外にとってはまさに「猫に小判」だろうから。

そして、予想どおり最後は信じられないほどの安値で無事落札できた!ああ、よかった(笑)。

さあ、実際にゲットしたとなると、にわかに忙しくなった。

現用中のクロスオーバー(以下、クロス)は1200ヘルツなので「テクニクスのドライバー+ホルン」で対応可能だったが、これがクロス800ヘルツとなると持ちこたえられるかどうか不安がよぎる。

このあたりの重要な周波数帯で400ヘルツの差は無視できないので、800ヘルツ以上を分担できそうな機器をいろいろ動員してみることにした。

オーディオは選択肢が多ければ多いほど質的に向上するのはマニアならご承知のはず。

しかし、これはオーディオに限らず人生の分岐点だって同じですよね。

たとえば、受験の際の学校の選択、卒業後の就職先の選択、そして伴侶の選択だってそう。ほんとに身につまされますなあ(笑)。

話を戻して、とりあえず次のとおり3種類準備してみた。

   

左からJBLの「175」ドライバー、「テクニクスのドライバー+ホルン」、そして真打の「AXIOM80」(ウッドホーン付き:復刻版)

とりあえずこれらを我が家の「三種の神器(じんぎ)」と名付けさせてもらおう(笑)。

こうして受け入れ準備が整ったところで、タイミングよく待望のネットワークが届いた。とても丁寧な梱包で出品者は中古専門の「STORE」さんだった。

玄関先で品物を受け取った途端にズシリとした重さを感じた。オーディオ機器の目方と音質は正比例することが多いが、ネットワークごときでこの重さだからこれはずいぶん期待が持てそうだ。

   

はたしてノイズなしにきちんと音が出てくれるかどうか、それをクリヤした後での「三種の神器」の激戦の行く末はどうなるのか、ハラハラ ドキドキ ワクワク~(笑)。

大乱闘の模様は次回以降で詳述しよう~。


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新たな麦焼酎の開拓

2018年12月16日 | 独り言

1か月ほど前に近隣にお住まいの方が我が家に試聴にお見えになった顛末を題材にした記事「素人さんの耳は侮れない」(2018.11.9)をまだご記憶の方がいらっしゃるだろうか。

当日は音楽の話題以外に盛り上がったのが「血糖値」の話だった。

実はお互いに病院に通院して投薬中という「同病相憐れむ」仲だったのである(笑)。

年齢も病歴も先輩格にあたるご当人と大いに情報交換したのだが、そのうちの一つに「晩酌」があった。

「晩酌をやってますか」

「ハイ、あまり強くはないのですがコップ半々程度に薄めて毎日芋焼酎を呑んでますよ。」

「お医者さんから聞いたのですが芋焼酎よりも麦焼酎の方が血糖値のためにはいいそうですよ。」

「エッ、そうでしたか!実は20年この方、ポリフェノールが豊富とかでずっと芋焼酎でした。さっそく麦焼酎に切り替えてみましょう。」

以降、およそ1か月余りいろいろ麦焼酎を試飲してみた結果行き着いたのが下記の画像の焼酎だった。オーディオと同様にアルコールにもかなりの凝り性ぶりを発揮したことになる(笑)。

   

「銀座のすずめ琥珀」(25度)という熟成焼酎で、独特の琥珀色が魅力的で大いに飲む意欲をそそってくれる。

実際に飲んでみると薄めのウィスキーのような感じで、庭先の橙(だいだい)の汁を絞り込んでオンザロックで飲むと絶品だった。

   

手が届く範囲から、もぎ取っているので植生密度がバラバラになっているのがご愛嬌(笑)。

血糖値が気になる方で、お酒が好きな人は一度試してみるのも面白いかと思いますよ~。

ちなみに、メーカーのうたい文句は次のとおり。

「米国ケンタッキー州のバーボンメーカーから取り寄せた樫樽に貯蔵した大分麦焼酎です。トンネルを貯蔵庫とした一定の貯蔵環境と樽の内側に付いた焼き焦げが雑味を吸収しスモーキーな香りとまろやかな味わいを生み出します。

心地よく広がるトロミのある舌触りと、ほのかな甘さがまとまった極上のフレーバーをお楽しみください。

オンザロック、水割り、お湯割りなどどれも美味しく飲めますが、まろやかな舌触りを存分に味わうにはしっかりと冷やしたストレートがおすすめです。ソーダで割れば本格焼酎ハイボールの出来上がりです。すっきりとしたのど越しとほのかな甘みをご堪能ください。」

以上のとおりだが、運動ジムで汗を流して心身ともにすっきり爽やかになった後の夕食前のひと時、ちびりちびりやりながらモーツァルトを聴くのはまさに「至福の時間」だが、あまりにも「口当たり」が良すぎてつい飲み過ぎてしまうのが難点(笑)。

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凄いぞ、マランツ7Kプリアンプ!

2018年12月14日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

Mさん宅への訪問日は朝からあいにくの雨となった。やたらに車が多くて15分ほど遅れて到着すると前日のNさんも同席されていて3人によるとても賑やかな試聴会となった。


Mさんはレコードプレイヤーのたいへんな愛好家である。4台のプレイヤーと何種類ものトーンアームを使いこなされている。

イコライザーアンプもカンノをはじめピカリングなどがあり、レコード会社によって違う6種類のイコライザーカーブをスイッチ一つで切り換えて楽しんでおられる。

まるでアンプを代えたみたいに音が変わるのでレコードプレイヤーの世界も随分奥が深くてなかなか遊べそうだが、極めるためにはとうてい残された時間と資金が足りそうにないので諦めざるを得ないのが残念(笑)。

Mさんの現用スピーカーは「オートグラフ」と「クリプッシュホーン」の二つ。

今回の試聴の目的は新たに導入された「マランツ7K」プリアンプ(以下、「7K」)の出来栄えだったが、結果から先に言うとそれはそれは見事に期待した通りの音だった。

まずは「オートグラフ」
から聴かせてもらった。

   

7Kに組み合わせるパワーアンプは同じマランツの「8B」である。初めにカンノのイコライザーアンプで聴かせてもらい途中から7K内蔵のフォノイコに切り替えた。

試聴盤は「グレート」(シューベルトのシンフォニー第8番)。

       

ヨーゼフ・クリップス指揮だがクリップスにはオペラ「ドン・ジョバンニ」(モーツァルト)の名演があって、大好きな指揮者の一人。

「グレート」「ドン・ジョバンニ」とくれば奇しくもフルトヴェングラーにも名演がある。

大理石で出来たトーンアーム(オイルダンプ)で聴かせてもらった。手前はピカリングのストレートアーム。

   

とてもSNがいいし、しかも7Kのトーン・コントロールをいっさい弄らずに豊かな低音域が出ていることに驚いた。使ってある真空管は最初から「テレフンケン」(6本)だったそうで「これはたいへんな掘り出し物でしたねえ!」と思わず口をついて出た。


まるでゆったりと包み込んでくるような豊かな音で、さすがは独特の「オートグラフ」の世界、実に説得力があってオーディオ的にどうこう言えるような音ではなかった。

小さな箱にはそれなりのメリットもあるけれど、やっぱり大きな箱じゃないと出せない音ってのもたしかにありますなあ。

1時間ほど聴かせていただいてから今度は座る位置を変えて「クリプッシュホーン」の試聴へと移った。

  

プリアンプは同じ7Kの2系統の出力のうちの1系統を使い、パワーアンプは「KT88プッシュプル」(新藤ラボラトリー)。

新藤さんのアンプは定評があってこれまで悪い評判を聞いたことが無いのは特筆すべきことだし、社長さんがすこぶる熱心なことでもよく知られている。

このクリプッシュホーンの音にはたいへんな感銘を受けた。

   

これまで我が家を含めてさんざん「サキコロ」の冒頭のシンバルの音を聴いてきたが、このシンバルが最高の出来栄えだった。最高音域の鮮烈さもさることながらその質感というか光沢に独特の艶があってとても筆舌に尽くしがたい。

ほとほと感心するうちにお昼時になったので辞去してクルマで40分ほどで我が家に到着するなりさっそく耳の記憶が新しいうちにと、ウェストミンスター(改)で「サキコロ」の試聴に移った。

「いい音」が及ぼす波紋はどこまでも広がって深~く浸透していくなあ(笑)。

最低音域と最高音域はどうにか太刀打ちできそうに思ったが、あの6000ヘルツあたりのシンバルの独特の質感はどうしても我が家のシステムでは表現できなかった。

やっぱりレコードじゃないと無理かなあ・・・。

ほんとうに勉強になった1日だった。

ただし、時間が経つにつれ耳の記憶は薄弱となり自宅の音に自然に妥協していくのがこの世の倣いだ。刺激を新たにするために、これからもときどきMさん宅を訪問させてもらうことにしよう。

妥協は敵だ!(笑)

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凄いぞ、アルテックA5!

2018年12月12日 | オーディオ談義

オーディオ仲間のNさん(大分市)に依頼していたオーディオ機器の出品(オークション)が、冬が近づくにつれ売れ行き好調となり次々に商談が成立してうれしい悲鳴を上げている。ボーナス時期ということもあるのかな(笑)。

今回はJBL「D123」(16Ω仕様:初期のグレイタイプ)と古典管が対象だったが、それぞれスペア品の処分なので後顧の憂いなし。

前回は売上金を持ってきてもらったので、今回は試聴を兼ねてNさん宅に受け取りに行った。

オーディオルームに入るなり「いつもお世話になってま~す。あれっ、いったい何やってんすか?」

Nさんが机の前で沈思黙考されている。

  

「実はねえ、この度Mさんがマランツ7Kを購入してねえ。試聴に行ったんだけど、これがもう素晴らしい音でねえ。大いに触発されて手持ちの部品で何とか作ってみたいものだと寄せ集めて回路図を研究しているところなんだ。」

「ほう~、それはぜひMさん宅の試聴をさせてもらいたいですねえ。」

「Mさんがマランツ7Kを購入した動機はお宅のプリアンプ(マランツ7仕様)に衝撃を受けたかららしいよ。」

「エ~ッ、そんなに~。それは身に余る光栄ですねえ。」と、破顔一笑(笑)。

それはさておき、久しぶりにNさん宅の「アルテックA5」システムを聴かせてもらった。

    

3本のアームを駆使したレコードプレイヤーと自作のイコライザーアンプとパワーアンプがこの画像。

パワーアンプは「WE300Bシングル」と「6550プッシュプル」だが、このところ「6550」の出番が多いそうだ。

マイルスの「カインド・オブ・ブルー」を聴かせてもらったが、従前と比べると明らかに音の押し出し感に力強さがあって実に聴き心地が良かった。

「A5はローエンドがちょっと物足りない」と、ずっと思ってきたが見事に先入観が覆された。どうやらスピーカーよりもアンプに原因があったらしい。

アメリカ系のスピーカーは総じてイギリス系のように箱をうまく鳴らす工夫よりもユニットの能力を最大限に生かすため「パワー勝負」
を挑んでくる傾向があるので、駆動する真空管アンプはシングルよりもプッシュプル方式の方が有利のような気がしてならなかったが、やはり今回もそのことが裏付けられた。

それにしても、やはりレコードの音は自然そのもので大いに啓発された。

こういう音を聴かされると「レコードは面倒くさい」(過去のブログ)なんて簡単に片づけられなくなる(笑)。

3時間ほどお邪魔して帰宅の途に就き、夕食時が近づいた頃を見計らって話題になったMさん宅へ連絡。

「マランツ7Kを購入されたそうですね。明日にでも聴かせてくれませんか。」との性急なお願いに対して、

「マランツ7といってもキットですよ。それでよろしければ~。10時頃なら空いてます。」

「は~い、よろしくお願いします。」

心なしかMさんの声が明るく弾んでいたなあ(笑)。

詳細は次回以降へ。

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魅惑の「オーディオ実験」~古典管の生かし方~

2018年12月10日 | オーディオ談義

前々回からの続きです。

ウェストミンスター(改)でのホルン活用に続いて「口径30センチ+ツィーター」方式など、次から次にうまくいって快進撃を続けている我が家のオーディオ。

まあ、所詮は自己満足の世界なので何とでも言えるのだが(笑)。

スピーカー騒動が一段落したので今回は真空管アンプの相性テストといこう。

        

画像の左と右のスピーカーに、どの真空管アンプをあてがえば相性がいいのかという単純な実験である。両者は持ちつ持たれつの関係なので新しい魅力を引き出せればそれに越したことはない。

分かりやすいように現在の我が家のシステムを整理しておくと、大きく2系統に分かれる。日々変遷しているものの本日時点(2018.12.10)ということで記録しておこう。

第1系統(メインシステム:我が家のエース級をすべて投入)

dCS(イギリス)の「CDトラポ+DAコンバーター」 → 真空管式プリアンプ(マランツ7回路) → パワーアンプ「WE300Bシングル」 or 「PX25シングル」 → スピーカー「ウェストミンスター」(改)

第2系統(サブシステム:テレビ及びイージーリスニング用)

CDトラポ「CEC・TL3 3.0」 → DAコンバーター「フェーズメーション「HD7A・192」 → 同プリアンプ → パワーアンプ「171シングル」or「300Bシングル」(モノ×2台) → スピーカー「3台」

3台の内訳は「AXIOM80」、「LE8T+デッカ」、「AXIOM150マークⅡ+スーパー3」となる。

今回の実験は第2系統の「LE8T」と「マークⅡ」に対して「171シングル」(下記画像の上段左)と「300Bシングル」(画像下段)との相性テストとなった。

   

試聴の結果、きれいに評価が分かれて「LE8T」にはパワー感のある「300Bシングル」、「マークⅡ」には渋い表現に終始する「171シングル」がピッタリだった。

と、ここで終わってしまうと何の山場もないお話になってしまうのがつらい(笑)。

そこで「とっておきの話」(?)を披露しよう。

実は上記の実験に特別参加として「PX25シングルアンプ」(画像上段右)を登場させてみた。しかも3種類の球を次から次に差し換えての実験である。

  

左から順に「PP5/400」(英国マツダ:最初期版)、「PX25ナス管」そして「PX25ドーム管」

この順番は「お値段」、「評判」、そして「製造時期」の順番でもある。

ところが、実際に音出しをしてみると意外にも逆の順番になってしまった。

評判の悪い「ドーム管」がトップで、期待の「PP5/400」ともなると、出てくる音に何とも表現のしようがない違和感が漂っていてどうもしっくりこない。

無残なり我が家の至宝「PP5/400」!(笑)

さっそく、この結果を古典管の泰山北斗「北国の真空管博士」にご注進すると、次のような回答が戻ってきた。

「ドーム管は年代が比較的新しいだけあって高音域が素直に伸びていてとてもいい球ですよ。PP5/400が冴えなかった原因ですが、それはインターステージトランスにあります。現在入っているのはUTCのA19ですよね。これは正直言ってPP5/400には役不足です。

もっとハイレベルのインターステージトランスを使ってやれば、本来の実力が発揮できます。こういう球がツボにはまったときの凄さといったらそれはもう何とも言えないですよ。

簡単に手に入る球ではないんですから、オークションに出そうなんて・・・。そのうち高性能のインターステージトランスがきっと見つかりますよ。とにかく古典管を単体で評価するのはご法度です。」

同博士によると、古典管の性能を存分に発揮させるには当時の資料(細かい注意書き)を十分に把握して忠実に実行することが肝要とのこと。

少しでも気に入らないとオークションに出そうなんて、すぐに短絡的な発想に走るのが自分の悪い癖だなあ。これまでどのくらい損をしたのかわからん(笑)。

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ブルックナーの交響曲第8番「リスボン・ライブ」版

2018年12月09日 | 音楽談義

 テレビチューナーのHDD録画容量が段々と減ってきてとうとう残り10時間あまりとなった。年末を控えてこれから好番組が目白押しだろうからさすがにヤバイ。

そこで過去の録画番組の中で消せるものはないものかと最初からチェックしてみた。

すると一番初めの番組は8年前にベルリンフィルが遠征して演奏したブラームスの交響曲1番だった。指揮者はバレンボイムで場所は「オックスフォード大学」(2010年7月24日放映)。

嫌いな指揮者だけどコンサート・マスター(以下「コンマス」)は日本人の樫本大進(ヴァイオリニスト)さんが務められていたので、これは消すわけにはいかないなあ(笑)。

          

これを手始めにこういう「消すわけにはいかない」番組の続出で、とうとう消去の矛先は「釣り番組」に向かってしまい、ようやくかなりの量を消去してスペースを獲得した。

それはさておき、話のついでに「コンマス」の件に移ろう。

音楽愛好家の端くれとしてコンマスの重要性はある程度承知しているが、そもそも「なぜヴァイオリニストがコンマスを務めるのか?」なんて初歩的なことがつい気になってしまう。


そしてたまたま図書館から借りてきた本にコンマスの役割が詳細に述べられていた。

「ようこそ!すばらしきオーケストラの世界へ」 

本書〔2010年6月発行)の109頁~139頁にかけて、当時の3人の「コンマス」の生の声が収録されている。

NHK交響楽団「篠崎史紀」氏、東京フィルハーモニー「荒井英治」氏、東京都交響楽団「矢部達哉」氏たち3名に対する16の設問への回答形式。

日本を代表するオーケストラの「コンマス」の本音が書かれてあって興味深く拝見した。

その設問だがたとえば、

「コンマスとは何者?」「コンマスの一番重要な仕事とは?」「コンマスにとって理想的な指揮者とは?」「理想のコンマス像とは?」「コンマスにとって理想的なオーケストラとは?」など。

それぞれに違った回答を面白く拝見したが、「オヤッ!」と思ったのが「荒井英治」氏が理想のオーケストラとして
「チェリビダッケ〔指揮者)+ミュンヘン・フィル」を挙げていたこと。

ウィーン・フィルやベルリン・フィルとかの超一流オーケストラなら分かるが、なぜ、ミュンヘン・フィルを?

実は思い当たる節があるのである。

チェリビダッケはフルトヴェングラー亡き後、ベルリンフィルの常任指揮者のポストをカラヤンと争って敗退した。〔楽団員の投票によるもの)。敗因の一つにスタジオ録音をことさら嫌悪し排除したことが上げられているが、いわば音楽にコマーシャリズムの導入を認めなかった頑固者。

後年「自分がベルリンフィルを継いでいたら、もっとドイツ的な響きを失わずに済んだであろう」と豪語した話は有名だが、ともかくミュンヘンで「配所の月」を眺めつつ徹底的に楽団員をしごき上げ、理想の響きを追求した。

つい「悪いオーケストラはない、悪い指揮者がいるだけだ。」という言葉を思い出す。

そして、その成果ともいえる「名演奏」が誕生した。

それはブルックナーの「交響曲第8番」のリスボンでのライブ演奏。世に言う「リスボン・ライブ」である。

チェリビダッケは録音を許さなかったし、ライブでもあるのでこの演奏は後世に残るはずがなかったのだが、何と海賊盤
が存在しているのだ。

誰かが当日、こっそり録音機器を持ち込んで録音したという曰くつきのCD盤〔2枚組)。正式に陽の目を見ない盤だが、知人によると過去にオークションで法外な価格〔1万円以上)で登場していたという。

念のためネットで「HMV」を確認してみたがやはり「正規盤」としては流通していない。

巷間、ブルックナーの交響曲のうち最高傑作は8番と9番〔未完成)とされており、この8番は100分ほどに及ぶ大作だが幾多の名指揮者の録音があるものの、この「リスボン・ライブ」を一度聴いておかないと話にならないそうなので、まあそれ相応の価格と言っていいかもしれない。

フッ、フッ、フ・・、思わず出てくる含み笑い。実はこの「リスボン・ライブ盤」を持っているのである。

   

手に入れた経緯? 海賊版なのでそれはヒ、ミ、ツ(笑)。

荒井さんの記事に触発されて久しぶりにこの「リスボン・ライブ盤」にじっくりと耳を傾けてみた。(音楽には刷り込み現象があるので最初に聴く演奏が大切だが自分の場合この演奏だったので助かった。)

やはり、旋律を楽しむのではなくてたっぷりと大きなスケールで豊かな響きを楽しむ音楽である。はじめからお終いまで「豊潤な美酒」という言葉がピッタリ。

取り分け3楽章と4楽章が圧巻でオーケストラの躍動感に痺れてしまった。

通常、チェリビダッケの指揮はテンポが遅すぎると敬遠される方が多い。

それはオーケストラの直接音とホールの残響音とを綿密に考慮して「響き」を重視した指揮をしているからで、良し悪しの問題ではなくて各人の好みの問題なのだが、その点、このリスボン・ライブはホールの響きとのマッチングもあってかテンポもそれほど遅すぎず、絶妙〔だと思う)なので人気がある所以だろう。

しかも、鮮明に録れているのでおそらく最高の位置で録ったものだと推測される。

とはいえ、チェリビダッケの意図した響きを我が家のオーディオシステムがきちんと再生しているかどうかとなると別問題。

オーケストラのトゥッティ〔総奏)ともなれば、どんなシステムだって五十歩百歩で、〔生演奏に)とても及ぶところではないが、少しでもうまく騙されたいものである。

「このリスボン・ライブを聴いて退屈したら、それはシステムがダメな証拠」と知人は断言するのだが、はたして我が家のシステムはどうかな~?(笑)。

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魅惑の「オーディオ実験」~敗者の救済~

2018年12月07日 | オーディオ談義

前々回のブログに搭載したように意外な結末を迎えた「ウェストミンスター」(改)。

もはや「ミンスター」ではなくて「モンスター」と形容したくなるほど「好みの音」になってずっとハイな気分が続いている。

「こんなに面白い趣味がほかにあったら教えてくれ。」と言いたくなるほどだ(笑)。


ちなみに課題だったホルンのデッドニングは結局次のように鉛テープを3等分に張り付けてどうにか落ち着いた。

    

片チャンネルごとに鉛テープの張る量を違えて試験的に試聴したところ、鉛の量次第で左右の音が激変するのには本当に驚いた。明るく軽やかになって抜けが良くなるかと思えば、響きが乏しくなって重苦しい音になったりする。

画像の状態でようやく管楽器とヴァイオリンの音色の折り合いがつく接点を見つけた感じ。とにかくこのタイプのホーンはデリケートそのものだ。

何しろ1200ヘルツ以上(-12db/oct)という重要な倍音成分を受け持っている帯域だから当然至極ではある。


以上でオーディオ実験は一段落といきたいところだが、そうは問屋が卸すまじ~(笑)。

「一将功なって万骨枯る」のとおり、一人の勝者の陰には幾多の犠牲者が横たわっている。

先日のツィーター同士の乱闘で無念にも敗れ去った機器が3台あるので何とか救済してやらねば可哀そうだ(笑)。


          

とりわけ「デッカのリボン型」と「スーパー3」(ワーフェデール)を有効に活用しないとどうも枕を高くして寝られない。

そこで、対策を講じたのが次の画像。

     

左側が「グッドマンAXIOM150マークⅡ」(以下「マークⅡ」)の上に載せた「スーパー3」、そして右側が「LE8T」(JBL)の上に載せた「デッカ」。

具体的な救済方法を記録しておこう。まずは「デッカ」から。

1 「LE8T + デッカのリボン型ツィーター」システム

これまで隆盛を誇ってきた我が家のJBLの機器群だが「栄枯盛衰はこの世の倣い」のとおり、次から次に追放され辛うじて踏みとどまっているのがこの「LE8T」である。

実はこれだけはどうしても手放す気にならないのである。まずは音声信号に対する反応の速さ、加えて低音域から高音域までのバランスの良さなど小口径ならではのメリットが充満している。

イギリス系のユニットではどうしても得られないメリットがたしかにあり、まるで秋の澄み切った青空のように気分がスッキリ爽やかになれるところがいい。

ただ惜しむらくはJBLにしてはやや能率が低いこと(87db)、そして個人的には高音域の艶がもっと欲しい。

その隙間に乗じるように組み合わせてみたのが今回の「デッカ」だった。

ネットワークを利用して8000ヘルツ以下を「LE8T」に受け持たせ、それ以上はオイルコンデンサー(WE製ブラック型「2.2μF」)を使ってローカットして「デッカ」に分担させた


JBL(アメリカ)とデッカ(イギリス)の組み合わせなんて誰にも想像がつかないだろうが、これが実に良くて、オーディオ仲間からも称賛の一幕だった。

何よりもデッカが見事に息を吹き返したのがたとえようもなくうれしい(笑)。

次にいこう。

2 「
 マークⅡ + スーパー3」システム

グッドマン指定のエンクロージャーを使って口径30センチのユニットを次々に入れ替えて楽しんでいる。

たとえば「JBLのD123」、「グッドマンのトライアクショム」、「ワーフェデールのスーパー12」、そして「マークⅡ」などの4種類のユニット。

この中から「スーパー3」を生かそうと思ったら、どうしても「マークⅡ」と「スーパー12」(赤帯マグネット)に落ち着く。後者は2ペアのうち1ペアをウェストミンスターで堪能しているので自ずと「マークⅡ」に集約される。

これを単体のフルレンジとして聴くとどうしても最高音域が物寂しいのでまさに「スーパー3」の出番となる。


クロスオーバー4000ヘルツのネットワークで処理したところ、グッドバランスだった。もうこれで十分満腹(笑)。

最後に両方のシステムに対して真空管アンプの聴き比べを行ったところ「定評があって高額かつ希少な古典管」がもろくも敗退するという実に興味深い結果が得られた。

詳細は次回以降で~。 

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