「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

読書コーナー~音のエチケット~

2009年08月31日 | 読書コーナー

小さい頃からミステリーが好きで、江戸川乱歩やコナン・ドイルにはじまって、名作「Yの悲劇」で有名なエラリー・クィーンや推理作家の登竜門といわれる江戸川乱歩賞受賞作品まで内外の話題作はほとんど読んでいる積もり。いわゆる謎解きの面白さに加えて人生にとって有益なことも結構書いてあるのがいい。

最近、偶然読む機会があって面白いと思ったのが次の本。

 「人生に必要なすべてをミステリーに学ぶ」(1994年:同文書院)  

著者は馬場啓一氏である。ご覧になった方もあるかと思うが、この中の「古今東西”音のエチケット”」が特に印象に残ったので紹介しよう。

さて「マフィアに”おなら”」とかけて何と解く。

ご承知かと思うが欧米では身体から発する音は全てエチケット違反である。おならに限らず、ゲップもダメ、お腹が鳴る音もだめ、ものを飲み込む音でさえもアウト。

これらを我慢するのは日本人には結構大変なことだが、なにしろ生活上のルールだから彼らとお付き合いをする以上従わなければしようがない。

当然スープを飲む音もダメでバリバリとかバシャバシャと噛む音も絶対ダメなのである。欧米人には民族的歴史と経験の違いなのだろうが、彼らは固いフランスパンだって音もなく食べてしまう。

深田祐介氏のエッセイに部下にラーメンを音を立てて食べろと命令するのがある。ところがこの部下が英国人であったから、この命令がとてつもなく大きな意味を持ってくる。

取り澄ました紳士の代名詞である英国紳士に、音を立ててラーメンを食べさせようというのである。さあ、どうなる?

結果は英国人の負けで、彼はどうしてもズルズルと音を立てて食することが出来なかったのである。もちろん、英国人だってラーメンをズルズル食べることは可能である。

しかし、それは英国人である誇りとメンツを失うに等しい、というのがその部下の本音だったのであろう。彼の歯と口には音を立ててものを食するというデータがインプットされておらず、それを行うには民族としての誇りを失う必要があったのである。こうして「エチケット=マナー」には意外と深い意味が込められているのだ。

冗談でよくいわれるのは、もし日本が太平洋戦争に勝っていたら、食後に歯を楊枝でシーハーする作法を世界中の人々が学ばねばならなかっただろうという話で、この逸話はマナーというものには絶対的な基準というものがなく相対的な存在であることを示している。

戦争に強いアングロ・サクソン系のマナーが、幸か不幸か世界の一般的常識となってしまったのでやむなく我々東洋人もこれに右を倣えしなくてはならないのだ。

さて随分と寄り道をしたが「マフィアに”おなら”」への解答である。

リチャード・コンドンの書いた「プリッツイズ・ファミリー」でいつでも好きなときに低音から高音まで自由自在に音を発する”おなら”の名人が登場し、マフィア・ファミリーの余興の人気者になる。

西洋人にとって大切なルールを平気で破る芸をあえて賞賛することで治外法権といえば大げさだが”ムラ”的な存在であるマフィアと”おなら”とが、彼らの中で一本ちゃんとつながっているのが分る。

したがって「マフィアに”おなら”」とは、ファミリー独自の「ルール=マナー」でお互いに結束を確認し合っていると解く。

敷衍して、洋画をみていると登場人物がヒックをしたりゲップをしているシーンを時折見かけるが、あれはその人物がルールに従わない人間であることを暗示しており、またその場に相手がいる場合にはその人物を軽んじていることを示唆しているのだとこれで納得。

ところで先般、ネットでヤンキースの松井選手が居並ぶ外人記者の前で大きな音で”おなら”をして平然としていたとの記事をみかけた。本年で契約切れとなる松井には高額年俸に見合う実績が伴なっていないとかでシーズン当初から放出の噂みたいな記事が絶えない。

松井ほどの男が西洋人のエチケットを知らぬはずがないので、これはそのウップン晴らしなんだろうか。それとも単に神経が図太いだけなんだろうか。真相は松井のみぞ知る。

                             
 


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オーディオ談義~「羽毛による吸音材」~

2009年08月28日 | オーディオ談義

オーディオ関係の記事を投稿すると、どうも”マニアック”すぎてよく分からないというご指摘をよく受けるが今回も相変わらずで「どうか、あしからず~」。

タンノイのスピーカー・ウェストミンスターに「アキシオム80」(以下、「アキシオム」)を取り付けてから約3週間あまり、いまだに裏蓋の中に入れる吸音材の調整に悩んでいる。といっても、もっと
”いい音”にならないかという贅沢な悩みの方に属する話。

そもそもスピーカー(SP)の中に入れる吸音材の役割は何かというと一義的には音の内部反射を抑えるためで、理論的にはいろいろあるのだろうが、とにかくその素材と量によって音質がクルクル変化するので現象面からのアプローチとしていろんな試行錯誤が欠かせない。

「アキシオム」という50年ほど前の時代物のユニットをわざわざ使っている以上、定評のあるヴァイオリンの音色をより生かしたいのでグリュミオーが弾くストラディバリウスの音色を基準に調整しているが、時折り突き刺すように高音が響くのでこれをもっと
”ふんわり”と、そして”しっとり”とした感じにしたいというのが主たる狙い。

そう、「アキシオム」はエッジレスという特異な構造のため音楽信号に対する応答性が抜群で極めて繊細な再生に長けているものの、その分、高域にややクセがあるのでこれをいかに穏やかに鳴らすかが一つのポイントなのである。

吸音材の材質については、インド綿の厚手の敷物を使ってみたり真綿を使ってみたりしてみたが、上述のようにもっと音響空間にヴァイオリンの音色がふわっと漂うような雰囲気が欲しいところ。とにかく試行回数が多ければ多いほど当たる確率も高くなるので”こまめ”なチャレンジが欠かせない。

その一環での話だが、オーディオ仲間のM崎さんによると以前から吸音材のベストは
「羽毛」だと主張されている。

その理由は鳥の羽根は億年単位という気の遠くなるような時間を経て進化してきたもので強い風や空気抵抗に対処するため
「丈夫で軽く」という二律相反する問題を見事に解決している類稀(たぐいまれ)な自然素材。

つまり羽根の強度を保ちながら、何とか軽くするために人間の目では見えないほどの無数の穴が空いており、そこが吸音材には最適というわけ。通常、吸音材として使われているグラスウールなんてのは所詮、人間の作ったもので羽毛と比べれば性能的に”段違い”という説。

たしかに、この理論は「成る程」と頷かせるものがある。因みにM崎さんによると羽毛を吸音材として使っているネットのオーディオ情報はこれまで見かけたことが無いそうである。

「よし、自分がパイオニアとなって羽毛にチャレンジしてみよう」と決心。以前、「羽毛布団」を購入してそっくりそのままウェストミンスター(以前のJBL130A ユニット付き)の裏蓋の中にブチ込んでいたのだが、カバーが分厚いポリエステルのまま使っていたので大いに反省して今回は直に羽毛を引っ張り出して使ってみることにした。

当然、羽毛を入れる物が必要なので26日(木)の午後、クルマで15分ほどの大きな100円ショップを覗いてみた。広い店内をウロウロと2~3回ほど巡回してようやく見つけたのが商品名「ランドリーネット角型」。

洗濯機に汚れた衣類を入れる際に小物類などをまとめるファスナー付きのネットである。「これこれ!」と小躍りして10枚ほどまとめ買いした。もちろん1枚100円だから全部で1050円なり。

自宅に戻ると、早速「羽毛による吸音材」作りを開始。

                 
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 「ランドリーネット角型」で横33cm×縦48cmのファスナー付き。

 羽毛を詰め込んだところ。ネットの細かい穴に羽毛がところどころ刺さっているのであちこちズレないのがいい。

 これまで吸音材として使ってきた羽毛布団だが、今回はカバーを切り破って中身の羽毛を直接引っ張り出した。

約1時間ほどの作業で2のような吸音材が10個分出来上がった。なにしろ
安物の羽毛なので粒が大きく空中にふわふわと飛び散らないので作業がやりやすかった。

早速、ウェストミンスターの裏蓋を開けて取り付け作業開始。裏蓋はご丁寧にも16個のネジ止めがされているがここ3週間のうちに本当にどのくらい開け閉めしたことだろう。因みにこの裏蓋はネジを取っ払っただけでは簡単に開かない。この工作精度の高い密封状態を打開するには
”ちょっとしたコツ”が要るが文章では表現が難しい。

さて、片チャンネルで丁度5個分ということで上下左右の内壁に1個ずつと裏蓋にも直接1個取り付けたのでSPの中はもうまるで羽毛だらけ。押しピンと小さな釘打ち作業によるものだったが、苦労したのはランドリーネットからこぼれ落ちる細かい羽毛で、
「しまった、ランドリーネットを二重にすればよかったのに」と思ったがもう後の祭り。

左右両チャンネルの取り付け作業が完成したのがもう夕方の5時近く。高鳴る胸を抑えながら早速グリュミオーの弾くヴァイオリンを鳴らしてみる。

「凄い!」の一言だった。SN比が良くなったというか、静けさの中から音がスット出てくる印象。

時折りキンキンするような鋭い表情を見せていたヴァイオリンも艶やかでむせび泣くような音色に一変。なんだか胸が切なくなって涙がこぼれ落ちそうになるほどの素晴らしさで「こんな音でずっと聴けるのならこれからの毎日が随分と楽しくなりそうで幸せの極み」といったところ。

もし吸音材にお悩みの方があれば「羽毛」は一度試してみる価値のあるお薦め品である。音色が一変すること間違い無しでそれも良い方に改善される。「自分がこれまで使ってきた吸音材のうちでベスト」だったのはいうまでもない。それこそSP内部以外にも部屋のあちこちに置いて使用するのも部屋全体の音響改善に寄与すると思う。

自分もあと1枚羽毛布団が残っているのでランドリーネットを追加購入してせっせと作り、天井など部屋の要所に置くことにした。

さて、夕食前のひととき、ルンルン気分で芋焼酎にカボスをギュッと絞り込んでお湯わりで”ちびりちびり”とやっていたら玄関先のチャイムがピンポーン。こんな至福の時間に何だと出てみたら朝日新聞の集金屋さん。

朝刊代だけなので3007円を支払ったところ、部屋から漏れ出てくる音を聴いて「すごく澄んだ音が出てますね~」とおっしゃるではないか。年恰好が自分と同じぐらいの方だったが「エッ、貴方分かるの」といっぺんに楽しくなった。訊いてみるとジャズがお好きでそれも「コルトレーン」のファンだそう。

「コルトレーンなら4~5枚CD盤を持ってますよ、ちょっと聴いていきませんか」「いやあ仕事中なので」「それならオーディオ装置を見るだけでも」「それではちょっと拝見」「・・・・・・」。

「近いうちに焼酎をぶら下げてきますのでゆっくり聴かせてください」「いつでもどうぞ~」。

これまではいつも2年おきに朝日新聞と読売新聞を交替させていたが、カミサンがどう言おうとこれからはずっと朝日新聞を購読することに決めた。                           

PS(8月29日)

これには後日談があって、28日の午後に話題を合わせたように読売新聞が勧誘にやってきた。「9月で朝日との契約が切れるようですが次は読売にしていただけませんか」「ダメダメ、縁のある人が出来たから朝日を継続することにしました」と丁重にお断り。

ところが、夕食時にこの話をしたところ「巨人の記事が多いので次は読売にしようと楽しみにしていたのに」と大の巨人ファンである家内が猛反対。とうとう「巨人なんかのどこがいいのか」と、論争に発展。挙句の果てには「朝日新聞の購読料は貴方が支払ってください」なんて言い出す始末。

この「バトル」とても一筋縄ではいかず、どうやら長引きそうな気配である。

                        


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音楽談義~ヴァイオリンあれこれ~

2009年08月26日 | 音楽談義

オーディオ装置の一部を入れ替えたときに、まず試聴するのはピアノ独奏、ヴァイオリン独奏、ヴォーカル、オーケストラのCD盤でこれらが気持ちよく鳴ってくれると調整がうまくいっている証拠。

いずれのソースともそれぞれにクセがあってなかなか再生が難しいが、音色とともに情緒的な感性に訴えかけてくる点ではヴァイオリンという楽器に尽きるところがある。

以前のブログで「ヴァイオリンの魅力」を投稿したところ、呼応してS県のKさんから「ヴァイオリンあれこれ」と題したメールをいただいたので引用させてもらおう。(出典:「ヴァイオリンとチェロの名盤、本間ひろむ著、平凡社新書)

19世紀はじめに登場したパガニーニがヴァイオリン演奏に”超絶技巧”でもって人々を驚かせ、その後の1世紀はヴィルトオーゾがメインストリームを歩む時代になる。その中心にいたのがロシア楽派のヴァイオリニストたち。

エルマン、ハイフェッツ、ミルシテインといった巨匠たちからオイストラフへと受け継がれたロシア楽派の特徴は、運動量の多いボウイング(弓使い)によって豊かな音量を生みダイナミックな表現をするところにある。

しかし、現在ではロシア楽派のボウイングを採用するヴァイオリニストはごく少数で、フランコ=ベルギー楽派の”自然で合理的なボウイング(両手を含む体全体のバランスを重視する)が世界的な趨勢になっている。細かなニュアンスを表現するのに適したこの奏法は同時に美しい音色を生み出す。

さて、名手たちが使用しているヴァイオリンを調べてみると・・・・・。(ひとりでいくつもの名器を所有している場合があるので、これしかないということではない)。

アルトゥール・グリュミュオ-

ストラディヴァリを美しく歌わせたヴァイオリニストのひとり。彼の愛器は、「ジェネラル・デュポン」などストラディヴァリの名器だったが、年齢を重ねるとグァルネリ・デル・ジェスも弾くようになった。因みに彼の弾くモーツァルトのヴァイオリン協奏曲5番の第二楽章は霊妙な美しさを湛えていて聴くたびに胸が震える。コリン・デービス指揮のもので古い録音だが間違いなく史上最高、いまだにこれを凌駕する演奏はないと思う。

ヨゼフ・スーク

1710年製のストラデヴァリの名器「レスリーテイト」

オーギュスタン・デュメイ

クライスラーの愛用した1721年製のストラディヴァリ

ナタン・ミルシテイン

1716年製のストラディヴァリ「マリア・テレサ」

ギドン・クレーメル

1730年製のグァルネリ「エクス・ダヴィッド」

マキシム・ヴェンゲーロフ

1727年製のストラデイヴァリ「クロイツェル」

千住真理子

ストラディヴァリの名器「デュランティ」

五嶋みどり

グァルネリ「ギブソン」

諏訪内晶子

ハイフェッツの愛器1714年製ストラディヴァリ「ドルフィン」

樫本大進

1722年製のストラディヴァリ「ジュピター」。因みに先般の報道で彼はベルリンフィルの栄えあるコンサートマスターに推薦された模様。

神尾真由子(NHKBSハイ「強く、強く」より

先般のチャイコフスキー・コンクール・ヴァイオリン部門の優勝者、1727年製のストラディヴァリ

ところで、あのパガニーニが持っていた1742年製グァルネリ・デル・ジェスの名器「カノン(大砲)」はパガニーニの死後故郷のジェノヴァの博物館に寄贈されて厳重に保管されている。

しかし、ヴァイオリンは適切な保存のために時折演奏されなければならない。20世紀に入ってからカノンは選ばれたクラシック演奏家が弾く栄誉を与えられてきたが、2002年、ジャズ・ヴァイオリニストとして初めて、レジーナ・カーターがジェノヴァ市の招聘によりカノンを弾いて録音したCDが生まれた。

「パガニーニ / 夢のあとで」がそれで、やはり名器の響きは素晴らしく、聴き惚れてしまったとのことだった。

                      


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独り言~身の回りのことあれこれ~

2009年08月21日 | 独り言

同居している母のことだが今年の10月で93歳になる。子の立場として長生きしてくれるのはうれしいが、最近どうも認知症が進んできて、ありもしないような”とりとめ”のないことを言い出して困っている。

家の中に小さな子供がウロウロするとか、二階に人が住んでいるのでご飯を持っていきなさいとかの他愛もない話。

どうやら幻覚症状が出てきているので、週一回のデイケアに通っている担当のケアマネージャーに相談したところ、施設に入れるにしろその前に専門医に見せた方がいいとのこと。

そこで8月18日〔火)の午前中、家内と一緒に母を医院に連れて行って半日がかりで検査や面談を行った。実に優しくてソフトな壮年のお医者さんで人の気を逸らさない方だった。

その結果、まだ他人との会話はできるのでとりあえず薬を飲んで様子をみましょうという事になった。

毎朝1錠服用ということでくれたのが「セロクエル25mg錠」という薬。不安や興奮などの精神症状を改善するという。

翌日の19日、早速1錠を朝食後に飲ませたところ、即効性の薬のようでなんだか気弱なことを言い出したと思ったらすぐにバタンキューとなってしまった。

さあ、それからが大変、ベッドに運んだところ昏睡状態になって昼食時になっても目を覚まそうとしない。この暑い時期なので汗をかいて水分が蒸発すれば血液の流れが悪くなるので無理やり起こして水分を補給するもそれが済むとまた寝入ってしまう。

夕方になっても食事を取らず同じ状態が続くので心配になって専門医に電話相談したところ、これからは興奮状態になったときだけ半錠服用するようにしましょうということになった。

結局、正気に戻ったのは翌朝の4時前後のことだったが、痩せて小柄な老人に薬がこれほど効くとは驚きだったが、とにかくこのまま植物人間になるのではと心配した大騒動の一幕だった。

さて、次はオーディオの話。

先日の13日〔木)に数年ぶりにお見えになったO江さん。すっかり我が家の音にピタリとはまられたようで、18日の午後に新たにお二人のオーディオ愛好家を連れて見えられた。

Y口さんとM山さんでともに大分市にお住まいの方。これまでもちょくちょく来られた方だが、今回はO江さんが是非にと誘われた模様。

直前の電話で「念のためお伺いしますがシステムは13日のときから一切変えてないですよね」「もちろん、O江さんがお見えになったときから全然いじってませんよ~」と即答。

ところが、
この「全然いじってませんよ~」という言葉が後になって物議を醸すのだから世の中”ゆめゆめ”油断は出来ない。

さて、3人がお見えになって早速試聴にはいったところ、O江さんが「この前とは音が違っていますね、どこか変えましたね」と断定的におっしゃる。

「そうですね、裏蓋の中の吸音材の量を加減したり、SP周りの夾雑物を取り除いたりしてスッキリさせましたけど~」。別に機器を入れ替えたわけでもなし、このくらいの変更は変えたうちに入らないと自分は当然思っている。

「それが悪いんです。いい音が出ているときは極端に言えばSPの前のゴミ一つでも取ったら音は変わるんです!」

「ヒェーッ」。

まったく驚いたねえ~。自分もオーディオに関しては結構、粘着気質に輪をかけたようなデリケートさを自認しているほうだが、とてもO江さんの足元には及ばないことがよく分かった。

しかし、いくら”いい音”の状態でも金科玉条のようにしてそれを守るだけというのもどうだろうか。やはり、ものごとにはすべからく柔軟性が必要だしチャレンジなくして進歩はありえないとも思うのだが・・・。

ただし、自分にも経験があって、他家の音が随分気に入ってうらやましくてたまらないのに、その方はアッサリと見限って簡単に機器を入れ替えられることを度々見聞してきた。音は感性の世界なので一人ひとり違って当たり前だと割り切ってしまうのは簡単だがなんだか惜しい気もするところ。

さて今日のところはアナログ派のM山さんなんかが「CDでこれだけの音が出るとは」と舌を巻かれたご様子で「この音で十分だ」と援護射撃をしてくれたおかげで最後の方は、「まあ一長一短だ」とご機嫌を直してくれたO江さんだが、オーディオに対する考え方の違いをまざまざと認識した試聴会だった。

オーディオの世界は他人の意見を虚心坦懐に聞くのも必要だが、よほど自分をしっかりしておかないとすぐに流されてしまう危険性があるので「用心、用心」。

                              


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オーディオ談義~「宝くじに当たったような音」~

2009年08月15日 | オーディオ談義

タンノイ・ウェストミンスターのボックスにSPユニット「アキシオム80」を取り付けてから、およそ1週間。

吸音材を適度に入れて裏蓋を開けたり、締めてみたりと試行錯誤を繰り返しながらようやく落ち着いてきて今は密閉の状態が続いている。

とにかくこれまでの音とは明らかに違う音で自分では以前に比べてメチャクチャに良くなったと思うのだが、もしかするとこれはオーディオ愛好家が往々にして陥る罠かもしれず、単なる「音の変化」をつい「良くなった」と勘違いすることがままあるので”ゆめゆめ”油断は出来ない。

自分の耳を信じないわけではないが、「身びいき」は程々に、やはり節度というか謙虚さも必要であることはいうまでもない。これはオーディオ以前の問題でもある。

こういうときは、我が家の装置を聴きなれている友人・知人に聴いてもらって判断してもらうに如くはない。

湯布院のA永さんはつい先日お見えになったばかりだし、杵築市のM崎さんは折悪しく現在腰を痛めているとかで身動きがとれず、それではと大分市にお住まいのN松さんに来ていただくことにした。

N松さんたち一行(4名)は、先月(7月)の17日に来訪されたばかりでまだ1ヶ月も経っていないがそれだけに我が家の音の記憶も鮮明なはず。

13日の早朝のこと、そのN松さんから電話があって「先日お誘いがあった件だが、お盆の最中なので気が引けるが今日の10時ごろにお伺いしていいでしょうか」。

もちろん「どうぞ、どうぞ」とこちらは一つ返事。オーディオに盆もへちまもない。

今回のご来訪者は2名で、N松さんのほかにO江さん。O江さんも非常にご熱心なオーディオ愛好家で数年前に我が家にお見えになってからずっと音信が途絶えていた方なので実にお久しぶり~。N松さんがお誘いされたものとみえる。

さて、音信が途絶えていた理由については、デリケートな人間関係に起因する話なのでなかなかストレートに表現しにくいが今回のテーマにも大いに関係してくるので、この際あえて明らかにしておこう。もちろんその理由をO江さんに直接たしかめたわけではないのでこれはあくまでも自分の憶測を交えた話である。

当時、O江さんは湯布院のA永さんの紹介を通じて我が家にもちょくちょくお見えになっていた。タンノイ・ウェストミンスターの音をこよなく愛されており、名バイオリニスト・ハイフェッツが弾く「ツィゴイネルワイゼン」(サラサーテ)がことのほかお気に入りだった。

”ああ、それなのに”。

自分がやったことといえばウェストミンスターから勝手にオリジナルのユニットを追放しJBLの130Aを取り付けてみたり、075のツィーターを載せてみたりとやりたい放題の仕打ち。

O江さんにしてみれば、「なぜこんなに”いい音”が出ているのにわざわざタンノイのユニットを外す必要があるのか」と失望感を持たれたであろうことがそもそもの事の発端。

振り返ってみると、ひたすら迷路(?)を進む自分に対して親切心からしきりに暴走抑止のシグナルを送ってくれたO江さんのアドバイスを無視し、逆に”煙たい存在”だと意識しだしたことがお互いに以心伝心となり、意地の張り合いも手伝って今日まで仲直りするきっかけがつかめなかったというのが自分なりの分析。

なぜオリジナルのタンノイユニットを外したのかについては詳述すると長くなるので、ここでは端折るが、「低域の不透明な分解能と伸びきらない高音」に対して物足りなさを持ったことによる。クラシックもジャズも両方よく鳴らしたいと欲張ると必然的に出てくるタンノイの音づくりに共通する不満である。

こういう背景があるので、今回「JBL130A」の代わりに「アキシオム80」を入れ替えたとはいえオリジナルのユニットを放逐していることに変わりはなく、O江さんが果たして今回どういうご感想を洩らされるか興味津々。

こと、音に関しては一切妥協することなしのストレートな物言いをされる方なので、おそらく牙を研いで見えられたことは想像に難くない。

お二人ともCDを持参されなかったので、こちらで勝手にバイオリン、ピアノ、オーケストラ、ジャズ、歌謡曲と様々なジャンルからCDを取り出して聴いてもらった。時間にして1時間半あまり。

そして、試聴の結果は異口同音に
「素晴らしい!」。

豊かな響きの中に細身の音像がくっきりと浮かび上がり、柔らかくてしなやかな音色の中にも艶というか色気がたっぷりと漂っていて「アキシオム80」の実力を遺憾なく発揮した音。「こんな音は滅多に聴けない」と絶賛。

「クラシックもジャズも両方いい、まるで宝くじに当たったようなものだね~」とO江さん。

フーム、
「宝くじに当たったような音」ですか。前述した背景がなければスット聞き流すところだがなかなかO江さんらしい表現ではある。

自分なりに解釈すると「ウェストミンスターにはオリジナルのユニットが一番いいに決まっている、今回の音はたまたま試みた中での”まぐれ当たり”に過ぎず本当に運がよかったね」とのニュアンスが言外に込められていると感じたのは考えすぎかな。

まあ、そうおっしゃいますが幾多の試行錯誤を繰り返しながらまるでオーディオと心中するような思いで「血(お金)と汗と涙」を流してやっと行き着いた結果がこれなんで、決して”まぐれ当たり”なんかではないですよ~。

と、喉まで言葉が出かかったが長年”わだかまり”があったお客さんに向かってこの場で言い返すのは「KY」だと思い止まった。それにこの音を大いに称賛してくれたのは間違いないことだし~。

最後の曲目として所望されたのが想い出のハイフェッツの「ツィゴイネルワイゼン」なのはいうまでもない。

                                

ウェストミンスターの箱で「アキシオム80」が奏でるバイオリンの音色は真綿にくるんだようなしっとりとした麗しさと柔らかさがあって形容する言葉を失うほどの絶妙な響き。

「オリジナルのユニットのときよりもたしかにいい、しばらくはユニットを入れ替えたりなんかせずに是非このままの音でいろんな人に聴かせてあげてください」と帰り際にくどいように念を押されるO江さん。

「もちろんです、当分入れ替える気は毛頭ありませんよ~」と自分。

これでやっとO江さんとの長年の”わだかまり”が解けて自分も大いに救われる思いがしているのに、また替えたりしたらそれこそ元の木阿弥どころか一層こじれきってしまうことになる。

結局、オーディオ愛好家同士、仲たがいするのも音が原因、そして仲直りするのも音次第、まことに罪作りなオーディオではある。
                      
                     


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オーディオ談義~「最適の助っ人」が帰省した!~

2009年08月10日 | オーディオ談義

「一日千秋の思い」で待っていた娘の帰省。

もっとも、何も可愛いからではないし、懐かしいからでもない、ただオーディオのスピーカーを動かすのに
「最適の助っ人」の出現をひたすら待ち焦がれていたというのがその理由。

娘は「一人っ子」で現在、大阪で勤務しており2ヶ月に1度くらいのペースで別府に帰ってくる。いつも2~3日ほど滞在するが今回はお盆休みということで8日に帰ってきて、17日に戻るという超ロング休暇。

たっぷりと時間があるので、ご機嫌のいいときを見計らって、スピーカーの移動を手伝わせようという魂胆だったが、出迎えのJR別府駅で顔を合わせるなり「今日の午後にスピーカーの移動をするので手伝ってね~」と思わず”いきなり”の発言が自然と飛び出した。とにかく頭の中はオーディオのことでいっぱいなのである。

さて、スピーカーといってもそんじょそこらの軽いスピーカーではない。
1本が重さ110kgほどの超重量級の「タンノイ・ウェストミンスター」である。オーディオ仲間に手伝ってもらうのもいいが、いずれも自分と同様のかなりの高齢者ばかり。

作業中に腰でも痛められたらそれこそ大変、ご家族に申し訳ないし取り返しのつかないことになる。その点自分の家族なら万一のときでも気楽である。

これまで、横向きにして変則的に使ってきたウェストミンスターだが、今回は正規の使い方どおり縦向きに起こして使おうという算段。中に入れるSPユニットは愛用の「アキシオム80」。

こういう「ウェストミンスターとアキシオム80」の組合わせは日本はおろか世界にもあまりあるまい。果たしてどんな音がするか、考えついた4~5日前から胸がワクワクしてもうたまらない。

さて、昼食後に準備万端整えていよいよ作業に掛かる。

このところ、意図的に家の掃除を手伝ったり買い物に付き合うなど周到な準備のもと、やや覚えがめでたくなっているカミサンも一つ返事で引き受けてくれたので自分を入れて3人による合同作業。

とにかく想像以上の重たさで3人ともフーフー云いながらの危険極まりない作業だった。足を挟みこまないように声を出し合いながらようやく設置完了。これでもう半分以上の目的は達したようなもので女性軍は無事解放、これからは自分ひとりの孤独な作業になる。

まず、これまで使ってきた平面バッフルから取り外して、補助バッフルへのアキシオム80の取り付け。前もって購入しておいた5×35のネジで4箇所みっちりと締め上げる。これが左右2本でその後にSPコードのハンダ付け。それが済むと今度は補助バッフルをSP本体に取り付け。

       
      1            2              3              4

1と2が補助バッフルへの取り付け写真。3がウェストミンスターへの取り付け終了後に表側正面から写したもので、4は裏側からの写真。1と2では手回しのネジ締めだったが、3と4では電動ドリルが大活躍。

あとは結線を済ませるばかりだが、それでも作業開始から3時間ほどは経過していた。時刻にして午後の4時半ごろ。

さ~て、いよいよ音出しである。とりあえず、テレビで放映していた全国高校野球の実況中継を聴いてみた。甲子園球場の観衆のざわめきがゆたかに臨場感を持って聴こえるがどうもボンつき気味で想像以上に低域過剰の傾向にある。

何だか箱鳴りそのもののような音で、こういう音はホンモノの低音ではない。「フ~ン、こんなものかな~」
とやや期待はずれ。

まず、裏側に詰めていた羽毛布団を取り外してみたところ随分と抜けが良くなったがそれでも依然として低音過剰気味。

現在、アキシオム80の低域周波数の下限を200ヘルツほどでカットしているのにこんなに量感が出るのだから驚く。これまで低域補強用に使っていたヤマハの「サブウーファー」はまったく必要がないほどでやはりウェストミンスターの箱は”スゴイ”と変な感心。

この時点で、オーディオ仲間のM崎さんに電話してみた。

「ようやくウェストミンスターにアキシオム80を取り付けましたがやはり
一長一短ですね。どうも低域過剰気味の傾向があって、平面バッフルのときのように音に歯切れのよさが感じられないのですが~」

「そうかい、遂に取り付けたかい。つい最近新車を購入してね~、車庫を作ったのはいいが腰を痛めてしまい声が掛からなくてホントに助かったよ。話によると低域過剰気味のようだが、背圧のかかる裏側のバックロードホーンへの音の逃げ道の穴を適当にふさいでみたらどう?」。

成る程、やはり相談はしてみるものである。

適当な厚さの板があったので、外に出てヤブ蚊にブンブン刺されながら鋸でSPボックスの裏の寸法に合わせて幅39cmの板2枚を切り出して開口部をふさいでみたところこれが非常に効果的。

       
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の写真が横40cm、縦10cmほどの開口部で、2が板でふさいだところ。3がカミサンの要らなくなったパンストに真綿を詰め込んだ簡易な吸音材。4が本日の作業の完成写真。

この開口部の調整で響き具合がいろいろ変わる。全部ふさぐと蒸留水のように物足りないし、全部空けると低域過剰となる。1/5開口ぐらいが適当のようで響きが適度になって、随分とまろやかで品のいい音になった。

とにかく重労働の甲斐ありで、あとは裏側に詰め込む吸音材をどの程度にするかが焦点でいろんな曲を聴きながら気長にやっていく積もりだが、これからこんな音で自分の好きな音楽を聴けるなんて最高の幸せ。

最後にカミサンと娘との夕食後の会話。

「どう、音がよくなった?」とカミサン。「”これまで”で最高の音だ!」と自分。

「あなたって、いつも装置を変えるたびに同じことを言うじゃない、その言葉、絶対に忘れないでね」

「”これまで”というのが問題で、音の記録がないのだからナンセンス」と追い討ちをかける娘。

やはり「縁なき衆生は度し難し」なのである。

                            


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オーディオ談義~口径20cmのSPユニットの低音~

2009年08月07日 | オーディオ談義

8月4日(火)のお昼過ぎ、ようやくオークションで手に入れたSPユニットのアルテックの「フルレンジ型403A」(口径20cmがやってきた。

さあ、それからが大変。とにかくブログの更新がまったく脳裡に浮かばないほどの大忙しの日が2日間ほど続いた。

まず補助バッフルの作製が最初の関門。丁度、自宅のトイレの改修移設工事に来ていた大工さんに頼むと一つ返事で引き受けてくれた。

                      
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 バックロードホーンに取り付ける補助バッフル。縦、横30cmの四角形(厚さ1.5cmの合板)に直径19cmの穴をくりぬいてもらう。この19cmというのがちょっとしたミソで、アキシオム80の場合は20cmでいいが、アルテックの場合は19cmでないと取り付け出来ない。SPユニットの内径、外径を十分チェックして穴あけする必要あり。

 1にアルテックの「403A」をネジ止めし(4個の穴)、それをSPボックスにさらにネジ止めして取り付けた。前もってドリルで穴を開けておかないとネジが入り込まず、これが左右なので結局、16箇所の穴あけ。

 今後の話になるがタンノイのウェストミンスターに取り付けているJBLの130A(口径38cm)を外してフォステクスのSPユニット「SLE20W」〔口径20cm)を取り付けるための補助バッフルも作製。直径が39cm、内径が20cmのドーナツ型である。

次にSPユニットへの結線。丁度ウェスタンの細いワイヤーケーブルを以前購入していたのが大助かりで、これを活用し、全てハンダ付け。ワイヤーの芯を剥くのが大変でやたらに時間が掛かる。

作業の合間には、最近やや痴呆気味の92歳になる母が、大工さんのたてる騒音に興奮して、「この家をいつ売り渡すことに決めたのか」と”わけ”の分からないことを言い出して詰め寄ってくる。

「母さんの足が不自由なのでそのためにトイレの工事をしてるんだよ」と何度言っても、2~3時間もすればもう忘れてしまう。ウロウロして大工さんの作業の邪魔にはなるし困ったものである。とにかく目が離せない。

「オーディオに専念させてくれー!」と思わず悲鳴を上げそうになるのをじっとこらえてひたすら耐える非常に感心な親孝行の自分がいる。

SPユニットの作業終了後もいろんな試行錯誤の末、結局、完成を見たのは木曜日の午後のことだった。

                           

左側が完成後の写真で、ポイントはサブウーファーをバックロードホーンのボックスの上に載せるという奇想天外な発想。

右側がこの際ついでにということでウェストミンスターから取り外したJBLの130Aユニット。おそらく今後、二度と使うことはあるまい。

さていよいよ試聴である。通常のシステムでは低域に38cmのユニットを使い、中域、高域には小さなユニットを使うのだが、今回はアキシオムの音に合わせるため、あえて低域に口径20cmのアルテックのユニットを使うという常識外の大実験。

結局、音の定位が向上し、低域の分解能が増すことは容易に予想できるがその反面、量感を失うのは確実なので”どの辺”まで許せるかという話になる。

しかし、やはりアルテックはすごかった。どうやら心配は完全な杞憂に終わったようでJBLの130Aに遜色のない低音が出るのには驚いた。しかも音楽信号への反応の早さがアキシオム80の音と見事に溶け合っている。

いやあ、満足、満足!まる2日間、フーフーいって汗を流しただけのことはあった。

8日(土)の午後には大宰府のM田さん、N村さんがお見えになる予定なので是非聴いてもらってご意見を拝聴させてもらおう。

                          


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独り言~やっとクルマがやってきた!~

2009年08月04日 | 独り言

なかなか忘れることが出来そうにない運命の日、7月19日(日)。

釣りの帰りに交通事故に遭遇し余儀なく廃車の憂き目にあってしまって、クルマ不在の日々が続き「髀肉之嘆」をかこっていたが、ようやく新しいクルマがやってきた。

新車のプリウスが欲しかったが、来年3月の納車予定ともなると、とても待ちきれないので中古車を選んだがそれでも車検整備や登録などに時間がかかり丁度2週間待たされて、8月1日(土)の夕方に納車の運びとなったもの。

乗り慣れない車を夜間に運転するほど自分の神経は図太くない。その夜は運転のマニュアル書やカーナビの操作などに首っ引き。

これまでクラウンの「アスリートV」(先々代)に乗ってきたが今度購入したのはゼロクラウン(先代)。同じクラウンだが、結構変更箇所が多かった。

                         
       先々代                      ゼロクラウン

使い慣れている方は”今さら”という話だろうが、一番大きな違いはスマートキーで、所持しているだけでクルマのドアの開閉からエンジンスタートまでできるとは。それにバックガイドモニターも便利がいいし、瞬間燃費が表示できるのもいい。やはり時の流れとともに着実に進化しているのが分かる。

さあ、翌日の日曜日(2日)は2週間の間に溜まっていた雑用を処理するのに大忙し。

順を追って書いてみよう。

まず早朝の6時半ごろ、交通量の少ない時間帯に出発して修繕を依頼して預けたままになっている「竿とリール」を引き取りに大分市の釣具店までひとっ走り。がら空きの国道を片道20km程度だったが、これでほぼ運転感覚が蘇った。

宗旨替えをしたので、「急ぐ車はドンドン追い越して先に行ってちょうだい」という我ながら驚くほどの寛容な運転。これからは「紅葉マークのクルマ」にも優しくなれそう。

帰途、毎月下旬になったら配送してくる健康食品の代金を支払うためにコンビニに寄る。因みに健康食品とは
「黒にんにく」「黒酢のいいとこ」「オルニチン」の3つ。これでもかなりの「健康おたく」なのである。

一旦帰宅して朝食後、今度はディーラー(修理工場)に置きっぱなしにしているクルマの”こまごま”とした品物を整理しに行った。いよいよ、旧友みたいだったクルマともこれでお別れである。

9年半も大切に乗っていると愛着もひとしおで自分の分身みたいな存在だったが交通事故という不可抗力ではいかんともしがたい。半年前の車検で35万円もかけて整備し、あと7年くらい、通算で30万km程度は乗る積もりだったのに・・・。

ついでに、クルマの変更に伴い「ETC」(高速道路用のカード)の登録し直しについて営業マンと打ち合わせ。結構処理が面倒そうだ。

再度、帰宅して10時ごろからカミサンと近くの神社に交通安全祈願。これまではクルマを買い換えるたびにわざわざ片道50kmほどの宇佐神宮(国宝)に行っていたのだが、今回の事故によって「霊験あらたか」ではなかったので近くの神社に変更というわけ。

行きがけに、宅配便の営業所に寄って2本目の「アキシオム80」の修理のため岡山県の専門店に発送。因みにこの店主さんは腕は確かだが奄美大島で皆既日食を観測するために7月14日から28日まで2週間の休暇を取っていた。ちょっと豪華すぎ~。

結構、商売が儲かっているんだろうなあ~。オーディオ仲間のM崎さんにこの話をしたら、スピーカー修理はなにしろ設備投資が要らず、経験を積んでコツさえつかめばいいのでこれほどうまい商売はないだろうとのこと。

さて、無事に交通安全祈願を済ませ帰宅して車庫入れのときに家内に新しいクルマの乗り心地を訊いてみたところ、あっさり前のクルマの方が静かで良かったとのこと。やっぱりそうか・・・。

前の車のエンジン型式は直列6気筒、今度の車はV型6気筒なので”もろ”にその違いが出ている。直列6気筒の方が明らかに振動音が少ないし、重厚な乗り心地がする。それに比べてV型6気筒は騒音の面でいまいち。

エンジンの音をオーディオにたとえると、前者は低音が充実したピラミッド型の重厚な音質で、後者は周波数レンジを欲張っているが浅くて薄っぺらな音。

しかし、悪いことばかりではなくフロントノーズが短くなって室内空間が随分と広くなっているし、ハンドルの切り回しもいい、アクセルの踏み心地から随分と燃費が改善されそうな予感がするなど、良い所も多々ある。まあ、「居住空間」と「燃費の改善」を優先したということも時代の流れなんだろう。

ところで、新しい車のナンバーは
53-67。カミサンに言わせると「ゴミ、ろくでなし」だそうだ。結婚前はあんなに純情可憐だった彼女も今ではもう・・・。

とにかく午前中にひととおりの用事を済ませると、午後からは福岡からオーディオ仲間のO君とS君が来てくれた。

我が家ではデジタルボリューム付きの「WADIAのDAコンバーター」を使っているため、プリアンプが不要になり、ずっと直し込んでいた手持ちの2台の引き取りを兼ねて来てもらったもの。

つい先日のブログに投稿したとおり、低域ユニットの改善後では初めてのお客さんであり、我が家には4回目くらいになるので音質の移り変わりをよく承知してくれているので非常に貴重な参考意見になる。

いろんな曲を聴いてもらったが異口同音に、歌手が中央に等身大に位置するようになってこれまでと比べると随分と「音像定位」が良くなったとのこと。

因みにO君の愛用SPはタンノイGRFで、駆動するアンプは真空管845のプッシュプル。ご存知のようにタンノイのSPユニットは同軸ユニットなので音の定位が抜群、音像フォーカスがピタリと決まる。

ここで一言いっておくと、「音質へのこだわり」の系統を大きく分けると「音のレンジ(周波数)優先派」と「音像定位優先派」の二つに分けられる。もちろんこの二つが両立するのが一番いいのだが、そうは簡単に問屋が卸さない。最後はどちらかを優先しなければならないのがオーディオの世界。

結局、自分は前者でO君は後者に属する。世にいうタンノイ派は全てクラシック音楽優先の後者だろうが、自分の場合クラシックもジャズも欲張っているので音像定位には半分目をつぶっており、定位が良くなったという意見は正直言ってうれしい。

おそらく中高域用の「アキシオム80」と低域用のナショナルの「20PW09」がともに口径20cmなのでバランスがとれたのだろう。

しかし、今日のところは、低域ユニットを「20PW09」で聴いてもらったが、
つい先日のオークションでともに口径20cmのアルテックのユニットとフォスターのユニット(低音専用のエッジレス)を落札(8月1日)したのでさらに低域の分解能がよくなりそうで非常に愉しみ。

まず、今日(火曜日)の午後にはアルテックのユニットが到着するので試聴結果はその後ということに。

                          


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オーディオ談義~低域用ユニットの見直し~

2009年08月01日 | オーディオ談義

交通事故で大切なクルマを失ってしまい、釣りにも行けないし図書館に行って新しい本を借りてくるわけにもいかず、ここ2週間ほどは自宅でカンヅメ状態の日々が続いている。

出来ることといえば猫の額ほどの庭の木の水遣りと音楽を聴きオーディオをいじることぐらいだが、音楽と向き合えば向き合うほどいろいろと音質の
アラが目立ってきて、オーディオをいじりたくなる。

いろんな人から「なかなかいい音になったね」と言われても、どこか一部に不満が残るというか、自分の工夫次第でもっといい音になるのではという欲が尽きないのは「オーディオ愛好家の宿命」か。とにかくキリがない世界なのである。

目下の悩みのタネは、中域~高域用(周波数300ヘルツ~)ユニットとして使っている「アキシオム80」(口径20cm、エッジレス)の音楽信号に対する応答速度に比べて低域用(周波数およそ200ヘルツ以下)ユニットとして使っているJBL130A(口径38cm)の応答速度が劣るため全体的にバランスが取れていないこと。つまり低域に大きな弱点がある。

我が家のオーディオシステムの中心は何と言っても
「アキシオム80」である。あの繊細で艶やかでふっくらとした音質は是非大切にしたいところで、結局他の機器はこれを引き立たせるためにあるようなもの。

定評のあるJBLの130Aだがアキシオムと相性が悪いのであれば代えるのに何のためらいもない。やはりイギリス文化とアメリカ文化は所詮、水と油なのだろうか。

取替えに専念できる時間もたっぷりあることから、この際いさぎよくこれを追放してその代わりとなる低域用ユニットの交換に取り組んでみた。

引っ張り出してきたのが、物置の奥深く直しこんでいたバックロードホーン型のスピーカーボックスとユニット(ナショナルの「20PW09」)。俗称
「ゲンコツ」と称されたものでおよそ40年ほど前に一世を風靡したヤツである。

                      

当時、長兄が”しがない”ボックスにこのユニットを内蔵して鳴らしていたのをよく聴かされていて、いわゆる「刷り込み現象」みたいなものでいいイメージを持っていたこともあり数年前にオークションで偶然発見してボックスごと手に入れたもの。

このユニットに低域の300ヘルツ以下を持たせ、さらに40ヘルツ以下をヤマハのスーパーウーファーに分担させようという魂胆。分かりやすく表示すると次のとおりとなる。

中域~高域(肩落ち6db:300ヘルツ以上)    

     SP「アキシオム80」ユニット
     アンプ「PX25真空管アンプ」

低域~(肩落ち6db:200ヘルツ以下)

     SP「ナショナル20PW09」(バックロードホーン入り)
     アンプ「ケンウッド01A」

超低域~(40ヘルツ以下)

     SP『ヤマハのサブウーファーシステム「YST-SW515」』(アンプ内臓)

 スピーカーコードの結線はマニュアルどおり「ケンウッド01A」 → 「YST-SW515] → 「ナショナル20PW09」とした。

CDシステム   

     トランスポート「ワディア270」
     DAコンバーター「ワディア27ixVer3.0」

といったラインアップになるが、問題は「20PW09」の置く位置と方向。試行錯誤のすえ結局、次のような設置となった。

                                  

何だか位相を随分と無視したずさんな置き方のようだが、オーディオ仲間のM崎さんによると周波数100ヘルツのときの音の波長は3.4mほどになるので、こと低域に関してはそれほど神経質にならなくてもいいとのこと。

とにかく理屈だけでいろいろ言ってみても聴いてみなければよく分からないのがオーディオの世界。

いろんな聴きなれた曲目を試聴してみたところ、どうもうまい具合に鳴る。低域の反応が随分と素早くなったし、音質に不自然なところが少しもない。

やってみただけのことはあって、
”これで十分いける”と思わず熱くなった。

こうなると、次のステップとして現在タンノイウェストミンスターのボックスに取り付けているJBL130Aを外して、ナショナルの20PW09を取り付けることが考えられる。口径が38cmと20cmでは寸法が合わないが補助バッフルを作って、それに取り付ければ十分可能。

フッ、フッ、フッ。ホームセンターまでひとっ走りすれば補助バッフルはベニヤの合板で十分だし、穴あけの方はは注文どおり簡単にやってくれる。

とにかく動かなければ話にならず下駄代わりの足が是非必要、早く新しいクルマがこないかな~。

                           


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