「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

結果、良ければすべてよし

2013年02月27日 | 音楽談義

月曜日(25日)の早朝、朝刊を読んでいたら、「サバリッシュ死去」のニュースが目に飛び込んできた。N響の桂冠名誉指揮者だったので、NHKテレビでも全国放映しており、ご覧になった方も多いことだろう。

                           


享年89歳とあって行年に不足はなし、これから新たに指揮した曲が出されるわけでもないが、好きな指揮者が亡くなるとやはり少なからずショックである。

本家、ヨーロッパのクラシック界ではオペラが重要な演目になっており、「オペラを振らせると指揮者の実力が分かる」とまで
言われているが、彼が指揮したオペラ「魔笛」は大のお気に入りだった。

30年ほど前から魔笛にトチ狂ったこともあり、CD、DVD合わせて40数セット収集していろんな指揮者の個性に接してきたが、彼の指揮したものはその中でも極めてオーソドックスな解釈のもと、どこといって破綻のない、まことに中庸を得た演奏だったので安心して「魔笛」の世界に浸れたものだった。

改めて手持ちを確認してみるとサバリッシュ指揮のものはCD盤(2枚組)とDVD、それぞれ一組あった。

              

「魔笛」の主役は5人いるが、粒よりのメンバーがすべてそろうことは不可能に近く、どういう盤にも何らかの配役に憾みを残す。

このサバリッシュのCD盤では、高僧役に「クルト・モル」、王子役に「ペーター・シュライアー」、道化役に「ウォルター・ベリー」と、男性陣に最高のメンバーを得ているものの、女性役二人がちょっと物足りない。

一方、DVD盤では女性陣として夜の女王に「エディタ・グルヴェローヴァ」、王女役に「ルチア・ポップ」とこの上ない豪華な顔ぶれだが、今度は男性陣2名が物足りないといった具合。

巷間、「魔笛に決定盤なし」と言われている所以が、これらサバリッシュ盤にも如実に伺われるところ。

サバリッシュはカール・ベームなどと同様に楽譜を
深読みすることで有名だった。作曲者の意図を推し量る唯一の手掛かりは遺された楽譜しかなく、いわば音楽の設計図みたいなものだから複雑な曲になればなるほど、そして音楽に真剣になればなるほど”眼光紙背に徹する”ように、(楽譜に)拘泥するのも分かるような気がする。

ところで、サバリッシュのフルネームは「ウォルフガング・サバリッシュ」である。ピンと来る方がきっといるに違いない。

そう、あの我らがモーツァルトのフルネームが「ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト」である。ちなみに現在のウィーンフィルの首席フルートは「ウォルフガング・シュルツ」である。

いったい「ウォルフガング」とはどういう語源を持つんだろうか?こういうときにはググってみるに限る。

すると、「Wolfgangは主にドイツ語圏などで見かけることができる人名で”狼の牙”という意味を持つ」と、あった。そういえば、英語でも狼のことをウルフと呼んでいる。おそらく狩猟民族に由来する名前ではあるまいか。

なお、「アマデウス」とは「神に愛されし者」という意味だが、この「アマデウス」という言葉には思い出があって、ここでちょっと触れさせてもらおう。

「人生は山あり谷あり」なので、誰にでもスランプや不遇の時代があると思うが、そういうときには自分の場合、転職を考えるのが常だった。まあ、一種の逃げみたいなものかなあ。

当時を振り返ると、最近のベストセラー「置かれた場所で咲きなさい」(渡辺和子さん著)なんて、立派な精神にはとてもなれなかったことを憶い出す。

そして、逃げ道候補の一番手はクラシック専門の「音楽喫茶」を開くことだった。

当時はタンノイ・ファンだったのでオートグラフをドカンと店内に据えて、アンプは五味康祐さんのように、マッキンの「MC22+MC275」のコンビで鳴らそうなんて夢みたいなことを考えていたが、
その時の音楽喫茶の名前を一貫して心に刻み込んでいたのが「アマデウス」だったというわけ(笑)。

奇しくも、2セット目の「AXIOM80」を譲ってくれた千葉のSさんも音楽喫茶を開くのが夢で、その時には店名を「アマデウス」にしようと決意されていたそうで、「音楽好きは似たようなことを考えますね~」と二人で苦笑したものだった。

なお、この音楽喫茶の顛末だが「こんな地方の田舎でどれだけクラシック・ファンがいると思っているんですか。食べていけるわけがないでしょう!」とのカミさんの凄い剣幕に気圧されて、結局諦めざるを得なかった。常識的に考えても、おそらく誰もがそう言うに違いない。

こうして今では何の憂いもなく音楽・オーディオ三昧の日々が送られるのだから、当時の選択はおそらく正しかったのだろうと思う今日この頃。

まあ、「結果、良ければすべてよし」とするかなあ(笑)。

 


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MJオーディオテクニカルCD

2013年02月25日 | 音楽談義

つい最近、オーディオ仲間から「凄くいい音がするよ」と、いただいたのが「MJオーディオテクニカルCD」。

まあ「いい音」といってもいろいろなので半信半疑で聴いてみると、これがなかなか我が家のシステムと相性が良くて大いに気に入った。

           

一緒にもらった解説書を読んでみると、こう書いてあった。

「HDマスタリングとは、ABCレコードが開発した製盤技術です。液晶パネル用の樹脂材料を使用することで透明性に優れており、デジタル信号ピットを高精度に成形し、表面の塗装で振動を抑えることで高音質を実現しています。本CDの塗装はCDレーザーの補色である緑系の塗料を使用して、より読み取り精度を向上させています。本CDを含むHDシリーズは、マスタリングからプレスまで、すべてドイツ生産されています。」

オーディオといえばハード面の機器の方ばかりに注意を向けがちだが、ソフトの方も要注意でとてもおろそかに出来ない存在。

CDがこの世に生まれてからおよそ30年経つが、一部のマニアの間では従来から「江川カット」と称される、CD盤の表面から薄くカッターナイフで疵を入れたり(誘導電流対策)、円周部分のエッジを丸くしたり、レーザーの補色である緑を必要な個所に塗ったりといった対策が施されてきた。

実は我が家でもCDトランスポート「ワディア270」のトレイにわざわざ緑色の塗料を塗っている。

        

そして、近年ではメーカーしかできない新たな材質のCD盤が登場してきた。

以前にも透明ガラスの素材で作られたCDが発売され、たしか曲目はカラヤンの第九だったと思うが、1枚が10万円以上もしていて音は滅茶苦茶にいいのだろうが、普及の方はサッパリだった記憶がある。値段が値段だけに当初からメーカー側も期待していなかっただろうが、今回のMJ盤はその上位技術が応用されたのかもしれない。

1980年代初期にレコードからCDへと切り替わりのときに、CDの音質に触発されてそれに負けじとレコードの再生技術が飛躍的に向上したが、今ではCDからPCオーディオの台頭による「ハイレゾ音源」へと移行しつつあるので、立場が入れ替わって今度はCDの再生技術にも最後のひと踏ん張りが求められているのだろう。

ちなみに、“ハイレゾ音源”とは、ご存知の方も多いと思うが聞き慣れない方のため、ネットの記事を紹介しておこう。少々長くなるが次のとおり。

「ハイレゾリューション音源」の略で、高分解能な音楽ソースのことである。
何を対象として高分解能と言えるのか、ということだが、それは、CDのスペック。すなわち、44.1kHz/16ビットのデジタル信号(リニアPCM)の規格で、一般にハイレゾとは、それを上回るスペック、例えば48kHz/24ビットとか、96kHz/24ビット、あるいは192kHz/24ビット等の音源を、一括りにハイレゾ音源と呼んでいる。ちなみに「/」の前がサンプリング周波数、後がビット語長(ビット数)を表している。 

ハイレゾ音源の特徴は、高分解ということから想像がつくように、同じアナログ音楽ソースを44.1kHz/16ビットでデジタル変換したものと、96kHz/24ビットでデジタル変換したものを比べると、密度やきめ細かさが断然違う。喩えが妙かもしれないが、木綿豆腐と絹ごし豆腐くらいの質感の差があると思っていただければよい(この場合、舌触りとして木綿の方が好き、とかいう嗜好は加味しない)。 

よくいわれることだが、ハイレゾ音源は、音楽の制作現場の音がそっくりそのまま楽しめる点に最大の魅力、セールスポイントがある。スタジオ等では、CDのスペック以上の変換精度で演奏が収録されており、これまでは、CDというフォーマットにそれを収めるために“グレード・ダウン”処理をしていた。ハイレゾ音源は、グレード・ダウンをせずに最高スペックのまま我々エンドユーザーに演奏が届けられるのである。 

そうした音の密度の違いは、再生音の違いとして声や楽器の質感の違いに現われる。端的に言えば、ハイレゾ音源の方が一般的にはより生に近いというか、リアルだ。声ならば、温度感や湿り気、ヴィブラートや語尾のアクセントなど、微かなニュアンスが一段と克明になる。楽器ならば、響きや音色の微細な変化、タッチの違いや強弱なども敏感に再現される。一般には、サンプリング周波数が高ければ高いほど、ビット数が大きければ大きいほど、より生音に近づくと言っていいだろう。 

もうひとつ重要な要素は、空間再現力の違いである。演奏が行なわれている現場(スタジオやホール等)の大きさや広さ、反射や残響などが再生音からイメージできそうな感じは、ハイレゾ音源の方がより鮮明に感じられることが多い。再生音の立体感や臨場感に差が現われる。」

正真正銘のオーディオマニアなら当然のごとく「ハイレゾ音源」への移行を考えるべきなのだろうが、ソフトの利用が問題でこれだけCDを溜め込んでいるともはやハイレゾに対してあまり気力が湧いてこない。

「音遊び」ならともかく、「音楽」を鑑賞するのなら現在のスペックで十分だと割り切ることにしているが、万一、他家で凄い音源を聴かされると、ヨロメキそうで怖いのも事実(笑)。

さて、冒頭の話に戻って、「MJオーディオテクニカルCD」には、クラシックからポピュラー、歌謡曲まで幅広く16トラックに亘る曲目が収められている。

いずれ劣らぬ名曲ぞろいだが、その中でも「トラック3 クリスタル・ゲイルの”夢のひととき”」、「トラック8 テネシー・アーニー・フォードの”テイク・ミー・・・”」、「トラック10 テレサ・テンの”雨の夜の花”」がお気に入り。

とりわけ、テレサ・テンの声と唄い回しには感心した。しかも何というロマンチックな歌詞だろう!まるで情景が目に浮かんでくるようだ。彼女が今でも高い人気を誇っている理由がようやく分かった。

雨の降る夜(よ)に 咲いてる花は / 風に吹かれて ほろほろ落ちる

白い花びら しずくに濡れて / 風のまにまに ほろほろ落ちる

更けてさみしい 小窓の灯り / 花を泣かせる 胡弓の調べ

明日はこの雨 やむやもしれぬ / 散るを急ぐな 可愛い花よ

雨の降る夜(よ)に 咲いてる花は / 風に吹かれて ほろほろ落ちる

一つの句がすべて7つの言葉で構成された、まことに見事な「七言律詩」である。
 

つい最近(2/9)のBSハイで「美空ひばり、テレサ・テン、ちあきなおみ」の特集を2時間にわたって放映していたので逃さず録画したが、歌謡曲の女性歌手ではこの3人が我が家では今のところブッチギリの存在!


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新しい真空管アンプ~その3~

2013年02月23日 | オーディオ談義

前々回からの続きです。

今回の真空管アンプキット「2A3」の製作を依頼したMさん(奈良)は、まるで我が家の専属エンジニアみたいで非常にありがたい存在である。

これまでプリアンプを3台、パワーアンプを4台(いずれも真空管式)、それぞれ改造や修理をしていただいたが、アンプを作る人は専門店を含めて個人的にもいろいろ存じ上げているが、なぜ、これほどまでにMさんに固執するかといえば、それはMさんが「この上なく良好なSN比」に象徴されるハイテクニックもさることながら、非常にクラシック音楽を愛好されている方だからである。

「マタイ受難曲」をはじめ、バッハの音楽をこよなく愛されていることにたとえようもない安心感を覚えている。「アンプの設計、製作者には音楽的な資質、教養を
必要とする」というのが、40年以上に亘ってオーディオの迷路をさまよってきた自分が秘かに持っているポリシーである。

その理由はあえて記載する必要もあるまいが、「オーディオ機器は単なる工業製品ではない」ということだけ付言しておこう。この件は突き詰めるとかなり奥の深い話になるので別の機会に~。

さて、今回のアンプだが最初から組み立てていただくのはこれが初めてである。これまで改造、修繕ばかりお願いしていたので、思い通りの設計や組み立てというわけにもいかず、さぞやストレスが溜まっていたに違いないと推察しているがどうだろうか。

したがって、今回は思う存分に腕を振るっていただきたいところである。たいへん手前勝手だが(笑)。

当初のご連絡では、「作業マニュアルの1頁分を1日のペースで仕上げます。したがって真空管の送付は来週末(16日)頃に」ということだったが、さすがに練達の士、途中からあっという間にペースが速くなって、12日には「真空管を送ってください」というメールが入った。

そこで、オリジナルの出力管「2A3」(RCAの1ペア)と、それを駆動する真空管「6SL7GT」を4ペア送付した。

              

その4ペアの内訳とは、左からアメリカ製で銘柄が「GE(1950年代)、シルヴァニア、RCA」の3ペアと残る1ぺアはイギリス製の「STCのCV569」。ちなみに「STC」は周知のとおり欧州のウェスタンと称されている古典管の銘柄である。送付するときに、この4ペアをそれぞれ試聴して、音質のいい順に番号を振ってくださいとお願いしておいた。

超シンプルな回路なので、きっと真空管の性格がモロに反映されるに違いない。まさにオーディオの楽しさ満喫といったところ。

 そして、13日(水)に真空管到着後の第一報として次のようなありがたいメールが届いた。

「一発で鳴りました!!各部の電圧チェック中の写真添付します。このあと、じっくりと2階で試聴させていただきます。コンデンサーは、以前のメインアンプに使用したブルーのブロックコンと同じドイツ製のF&T社のものです。」


              

ところがである。その後、あれほど几帳面なMさんからパタリとメールが入ってこないようになった。試聴に入ったはずの14日~15日の間、一日千秋の思いで待っていたのだがまったく梨の礫(つぶて)。

「ハハァ~ン」と、思い当たる節があったので16日(土)になって次のようなメールを送った。

タイトルは「中間報告を求めます(笑)」

「今日は、試聴の結果はいかがでしょうか?もしかして苦戦されているのではありませんか(笑)。超シンプルな回路の場合、蒸留水のように無味乾燥な音になる可能性があることを充分承知しています。こればかりは組み立ててみないとわからないことです。

そういうときは、高域専用に使いますので一向に構いません!PX25アンプを休ませることができるし、希少管が温存できます。これは狙いの一つとして、当初から織り込み済みです。

以上の話、もしかして自分の取り越し苦労かもしれませんがそのときは失礼の段、平にお許しを。 とにかく、あまり深刻にならなくて結構ですから、そのことをお伝えしたくてメールしました。」

すると、すぐに次のようなメールが返ってきた。

以下、次回以降に続く。


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新しい真空管アンプ~その2~

2013年02月19日 | オーディオ談義

以前のブログの続きになるが、とりあえずその”途中経過”を記しておくと、

現在、手元に5台ある真空管アンプだがシステムの中でそれぞれ役割を果していてフル回転中。もしかして1台でも故障すると、すぐにお手上げの状態となる。

したがって、「不安症」のタチなのでスペアとして新たにもう一台真空管アンプを手元に確保しておきたいところ。

そこで出力管「2A3」シングルアンプの製作をいつものMさん(奈良)に依頼したところ、「ご存命中に、ぜひ真空管アンプキットの製作に挑戦してみてください」とのご親切なアドバイスがあったところまで記載していた。

実は、真空管アンプの熱烈なファンとして挑戦する気持ちは十分あるのだが、如何せん、長く俯く姿勢を続けていると首筋をはじめ周辺部が凝ってくるという悲しい習性の持ち主である(笑)。

パソコンでさえも長時間の作業は避けているほどなので、キットのような精密作業ともなると、とてもとても~。

率直に当方の事情を申し上げると、「仕方がないですね」と、気持ちよく組立作業を引き受けていただくことになった。

さあ、そこで紹介していただいた3種類のキットのうちどれを選択するかという、まことに楽しい「雨夜の品定め」(源氏物語)。

結局、K無線のキットを選択した。

           
 

型番     KA-27SE 
商品説明

     真空管無しのキットです。
    (真空管は2A3、6SL7GT共に付属しません)
    すでに、2A3、6SL7GTをお持ちの御客様からの要望で真空管無しのキットを御用意しました。

シャーシ     鉄製、グリーンブルー・ハンマートーン焼付け塗装済み
外寸     幅280mm×奥行き240mm×高さ196mm、厚みmm
難易度     初級以上

選択した理由は「6SL7GT」だけで「2A3」を駆動するという大いにシンプルな回路が気に入ったこと。6SL7GTは、手持ちのバッファーアンプに使用しているので余分に豊富な種類を持っていることもさらなる理由のひとつ。

ちなみにこの「6SL7GT」には、同じ電圧増幅管として一字違いの「6SN7GT」というのがあるが、これはお馴染みのミニチュア管「12AX7」と「12AU7」との関係とよく似ている。

とにかく意を決して、ネットの「お買い物カゴ」に放り込んで、送付先はMさんの現住所を記載した。

在庫があったと見えて、2~3日後には無事到着したようでMさんから連絡が入った。

「早速、回路図をみました。超シンプルでひとつひとつの部品の重要さがもろに出そうですが、まずは従順に『守・破・離』の『守』で行ってみましょう!」

ただ、注文するときに少しばかり気になっていたのが、このキットはダイオード整流を使用していること。

今さら気にしても仕方がないが一応念のため、Mさんに「以前、M&オースティンのKT88プッシュプルアンプを使っていましたが、ダイオード整流のせいか音が幾分”味気なかった”記憶があります。」と連絡してみた。

すると、Mさんから次のようなメールが届いた。


「M&オースティンの設計者と開発に使ったスピーカーシステムが〇〇さんのシステムとは合わなかっただけで、ダイオード整流だからには、反論します。
整流管の一番のメリットは、+B電源の立ち上がり電圧が他の真空管の動作時間と
同じようになるのがメリットですが、ダイオードでも真空管の寿命の点でそのデメリットが顕著には表れていないので、かなりの割合でダイオード整流です。
”デザインで採用する人、いや~整流管でないと!!”は、少数派になって来たように思います。」

一服の貴重な精神安定剤として素直に承った。ほかに製作上での留意点としては付属しているチャチなボリュームを外してもらうことぐらいである。

以下、次回以降に続く。


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オーディオシステムの重要性

2013年02月17日 | オーディオ談義

前回のブログで補足したかったことが一つある。それは「オーディオシステムの重要性」について。

モーツァルトの音楽にモロに情感を揺り動かされたことを、かなりシツコク記載したわけだが、しばらく時間を置いて、今度は別のシステムで同じ曲目を聴いてみたところ、まったく露ほども心を揺り動かされなかった。しかも聴いていて、何だか退屈感さえ覚えてしまう。

「あれぇ~、オーディオシステム次第で音楽への感動度がこれほど違うとは大問題だ」と、愕然としてしまった。

「音楽さえ良ければ、どんなシステムだって充分鑑賞できる。どうせ五十歩百歩の世界だろう」と、近年はやや「悟りの境地」に入っていたのだが、改めて認識を新たにした。

BGMならともかく本格的に真剣になって家庭で音楽を鑑賞しようと思ったら、ゆめゆめおろそかに出来ないのがオーディオシステム。

なぜ、うまく鳴ってくれないのか我が家の「JBL3ウェイシステム」ちゃん!

ジャズではバッチリなんだけどなあ。

さあ、ここからがいよいよオーディオマニアとしての出番である。「何とかうまく鳴らしてやるぞ!」と、つい血が騒いでしまった。

まず、周波数帯域の中域を担当する「375」ドライバー(16Ω)を駆動するアンプを交換してみた。同じ真空管アンプの「PX25・1号機」から「PX25・2号機」へ、シフト。

これで随分印象が変わり、全体的に音が豊かに聴こえるようになった。同じ出力管のPX25を使っているアンプても、回路が違い、出力トランスが違えばまったく別物になる。

それぞれ持ち味があってPX25・1号機は繊細感に優れているが、やや力強さに欠けており、一方「PX25・2号機」の方は粗削りだが馬力があって押し出しがいい。JBLスピーカーの音づくりにはこのアンプの方が向いているみたいで、やはり適材適所なんだなあ。

このPX25・2号機にはさらに、二の矢、三の矢と追い打ちをかけてみた。

まず、初段の真空管「12AU7」を国産ブランドの東芝から、これまで秘蔵してきたムラード(イギリス)の「ECC82」(12AU7同等管)に取り替え、次に、PX25の銘柄を「テスラ」から純正の「GEC」にしてみたところ、一段と濃厚な雰囲気を醸し出してくれた。

            

これで、とりあえず退屈感を覚えず聴けるようになったが、それでもとても感動する境地までには至らない。弦合奏の響きにどうしても不満が募る。

どうやら我が家のJBLではこの辺が限界のようである。もちろんJBLに責任があるわけではなく、きっと鳴らし方が悪いに違いない。非常に定評のあるスピーカーだからもっとうまく鳴らせる達人がどこかにきっといるはずである。

はてさて、これからどうしたものか。

「そうだ、JBLでクラシックを聴くからいけないんだ。心を惑わされないように、これからは”AXIOM80”さんオンリーで聴くことにしよう。」

JBLに関わり合うには、人生はあまりにも短すぎる(笑)。


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新しい真空管アンプ

2013年02月14日 | オーディオ談義

昔から「不安症」とでもいうのだろうか、身の回りで使っていて気に入ったものがあれば何でもかんでも「スペア」を準備したがるタイプである。

さすがに「カミさん」と「娘」だけは「スペア」とはいかなかったが(笑)。


そのクセがいかんなく発揮されているのが我が家のオーディオシステムである。ときどき試聴にやってくる市内のオーディオ仲間たちから「ここのオーディオシステムは(接続の流れが)サッパリ分からんなあ、どの機器のスイッチを入れるのかメチャ複雑なので、あんた認知症にならないようにしないといけないよ」と、揶揄されるほど。

たしかにそうだろうと思う。機器のスイッチを入れる手順はシステムの音声信号の流れに沿って下流から上流へ向かうが、ときどきウッカリして間違うこともあるほどだから。もちろんスイッチを切るときは逆の流れとなる。

ご参考までに、ここで実際にどれだけのスイッチがあるか記しておこう。

CDトランスポート(常時電源ON) → DAコンバーター(常時電源ON) → 音声信号を3分配(A、B,C)

A(低音部) → バッファーアンプ(ON) → アッテネーター → パワーアンプ(ON)

B(中音部) → プリアンプ(ON) → パワーアンプ(ON)

C(高音部) → プリアンプ(ON) → パワーアンプ(ON)

と、いった具合。

なお、システム全体の概要は次のとおり。

第1システム

低音用スピーカー    「フォステクスSLEー20W 3発」(アンプはケンウッド「01-A」改)

中高音用スピーカー   「AXIOM80」(アンプは真空管WE-300Bシングル:」モノ×2台)

高音用スピーカー    「JBL-075・2号機」(アンプは真空管PX25シングル・2号機)

第2システム

低音用スピーカー    「JBL・D130(ボックスはタンノイ・ウェストミンスター)」(アンプはケンウッド「O1-A」改)

中音用スピーカー    「JBL375(16Ω)(アンプは真空管PX25シングル・1号機)

高音用スピーカー    「JBL075・1号機(アンプは真空管2A3シングル)

第3システム(テレビ視聴専用)

フルレンジ用スピーカー リチャードアレン「ニューゴールデン8」(18センチ口径)(アンプは真空管VV52Bシングル)

これらに前述の音量調整用のパッシブ・アッテネーターやプリアンプが入り乱れ、ときどきはアンプを気まぐれに入れ替えるのだから、もう何が何やら(笑)。


特筆すべきは、スペアとして準備した真空管アンプが次から次に必要になって、とうとう5セットすべてがフル稼働の状況になっていることである。となると、「1台でも故障するとお手上げだなあ」と、持ち前の「不安症」が頭をもたげてきた。

この際、スペアとしてもう1台作っておく必要がある!

さっそく、いつもの「Mさん」(奈良)に、持ちかけてみた。

「真空管アンプがフル稼働の状況になりました。2A3(RCA)の真空管が4ペアありますので有効活用の意味からもアンプを1台作っていだくわけにはいきませんか?」

すぐにメールが返ってきた。

「是非この地球上にご存命中に真空管アンプキットに挑戦してください。教材は以下の3機種です。(※ 故あってそれぞれリンクはさせておりません。興味のある方はコピペしてググってみてください)

http://www.kit-ya.jp/product_info.php?cPath=1_22&products_id=425

http://www.tubeworks.jp/kit/kit_2a3s.html

http://www.e-kasuga.net/bunlist.asp?sid=109

ハンダさえ出来ればあとはやる気だけです。自分が作り上げたアンプには電源ONの時の不安と音の出た時の喜びは格別なもの!!他に代替するものは無いと思います。是非味わってください。

組立サポートは、勿論いたします。3機種とも真空管なしのキットが都合良くあります。」

親身になったアドバイス、まことに身に沁みわたるが、 実は・・・・。

以下、次回以降へ続く。
 


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アクセス数、ついに1日当たり700IP超え

2013年02月12日 | 独り言

7年前からヨチヨチ歩きを始めた我がブログだが、ブロバイダーはNTT系の「グー」に加入している。初めの頃はやたらにメンテナンスが多くて、ブログの登載に支障を来していたが近年は順調そのもので今のところ満足している。

この「グー」では、日曜日~土曜日までの1週間を一区切りとしてアクセス・ランキングを報告してくれる。

最近の3週間のアクセス数を記載してみると、

日付(2013.1.20~1.26)      閲覧数(10045 PV)     訪問者数(4451 IP)

   (2013.1.27~2.02)      閲覧数(11334 PV)     訪問者数(4435 IP)

   (2013.2.03~2.09)      閲覧数(11437 PV)     訪問者数(5025 IP)

最近1週間の訪問者数が5025ということは、7日で割ると、1日当たりおよそ717件(人)となる。ようやく念願だった目標の700を超えることが出来た。

これは掛け値なしに、うれし~い!

しかも総合順位は「621位/1822891件」なので、およそ3000件当たりで1位となる計算。元より浅学菲才の凡人にとっては思いもかけない光栄なことである。

まあ、ブログなんて一銭になるわけでもなく自己満足の世界に過ぎないわけだが、これだけの人たちに読んでもらえるということは、おそらく”暇つぶし”程度だろうが、それにしても何らかのお役に立っているということで、少しは社会に貢献しているのかな(笑)。

「人生には”上り坂”と”下り坂”とがあって、もう一つ”まさか”という”坂”がある」と、言ったのは小泉元首相だが、一昔前までこういう一介の市井の徒が簡単かつ手軽に世間にアピールできる場が出来るなんて夢想だにしなかったこと。

まったく、ネット時代の恩恵に浴している一人で本当にありがたいことである。


振り返ってみると、(アクセス数が)ブログを始めて最初の1年で100件台、2年目で200件台、3年目で300件台とまるで計ったように1年当たり100件づつ伸びていった。しかし、6年目でとうとう頭打ち。ずっと500件台で2年間ほど終始してどうしても600件台に届かない。

オーディオというマイナーな趣味だし、我が知識と筆力からしてこの程度が限界だろうと半ば諦めて、それでも根気強くブログを続けていこうと粘ったところ、この1年でようやく600件台に到達した。

「良し」と、手ごたえを感じて次は700件台へと秘かに意欲を持ったものの500件から600件台に到達するのに2年ほどかかったので、700件台へは少なくとも3年はかかるだろうと内心踏んでいたところだった。

それが1年足らずであっけなく達成したわけで、うれしさの反面、「おかしいなあ」。ウ~ン、
なんで急にアクセス数が伸びたんだろう?

こればかりは分析のしようがないが、500~600台が一つのカベでそれをブレークスルーしたのだろうか。調子に乗っていい気になったところで、次の「夢の扉」は1000台に置くとするかなあ(笑)。

ところで、最近、高校時代の友人から「ブログを電子書籍にしてみないか」とのアドバイスがあった。

ウ~ン、どうしよう。

過去記事の写真なんかの処理が手間だしなあ。そもそも、書籍として何回もの購読に耐える内容でもないし、分相応にして止めておくとするか。

 


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インシュレーターの効果

2013年02月11日 | 独り言

前回のブログで紹介したように、スピーカーの「スパイク受け」加工がうまくいったので、つい調子に乗って(笑)、いろんなSPユニットに挑戦してみた。           

まず、我が家のレーゾン・デートルともいえるSPユニット「AXIOM80」に併用して使っている高域用のJBL「075」ユニットに手元にあったスパイク代わりのネジと、中央に「窪み」を付けたメタルベースを設置。

            

従来は防振素材を敷いていたのだが、075の振動を完全に殺しても悪いと思ったので方向転換したもの。ついでに第二システムのJBL3ウェイシステムの375ドライバーのウッドホーンにも次のとおり設置。

            

何だか見るからに音が良くなる感じ(笑)。こうして両方のシステムを試聴してみると、各ユニットの響きが溶け合ってまるでフルレンジのスピーカーみたいな鳴り方をする。これは非常にいい傾向。

手作りの楽しさを存分に味わったところで、9日(土)の午後からは借りた本の期限切れが迫っていたので県立図書館(大分市)へ直行。

駐車場に車を納め終わったときにオーディオ仲間のAさんから電話が。

「今日はご在宅ですか?よろしかったら音を聴かせていただきたいんですが。」

「今はあいにく県立図書館に来ていますけど。」

「それは丁度良かった。用事があって今、大分に居りますので15分ほどで図書館にお伺いしましょう。」

「どうぞ、どうぞ、あまり時間はかかりませんので。」

図書館に駆け込んで本を返却してから、とりあえず目についた新刊本を5冊借りた。

           

相変わらずの濫読だが、「数字の国のミステリー」はことのほか面白そうだ。著者の「マーカス・デュ・ソートイ」(オックスフォード大数学研究所教授)には「素数の音楽」という著書がある。これ以上分解出来ない数字「素数」(2、3、5、7、11、13・・・・)はあらゆる神秘の謎をひも解くカギを秘めているというが、本書はその観点から素人向きに数学の面白さを伝えるために書かれたと解説にあった。

たとえば、第一章の「果てしない素数の奇妙な出来事」では「17年」に1度しか(地中から)出てこないある種の「蝉」がアメリカにいる、ベッカムの背番号はなぜ「23」なのか、素数は宇宙のどこにおいても共通なのでNASAが素数を使って他の惑星との交信を試みたなど、身近な生活の中に潜む素数の謎を題材にしている。

ちなみに素数の並び方の規則性を数式で表そうとしたのが、数学界最大の難問とされる「リーマン予想」である。これを証明しようとして精神に異常を来した数学者が何人もいるというが、それほどまでに専門家をのめり込ませる魔力を秘めているのだろう。

丁度、借りる手続きを終えたところで無事、Aさんと図書館の大ホールで落ち合い、クルマ2台連なりながらスイスイと我が家へ一目散。

30分ほどで到着して、はじめに、「AXIOM80」のシステムを聴いてもらったところ、「(演奏会場の)空気感みたいなものが出てきましたねえ」
と、大好評。

試聴盤は、最近夢中になって聴いているモーツァルト全集の中から「ヴァイオリン・ソナタK.301」(ドイツ・グラモフォン)ほか。

            

「ヴァイオリンはデュメイですか?」と仰るので、ジャケットを確認すると、やはりデュメイとピリス(ピアノ)のコンビだった。Aさんは音質もさることながら、音楽を聴分ける耳の方も相変わらずで恐れ入った。

なお、ピリスは以前、テレビの特集番組で「音楽は着飾って演奏会場で鑑賞するものではない。普段の日常生活の中に溶け込ませて自然な形で楽しむのが理想」みたいな趣旨のことを言っていて、実際に音楽ハウスで仲間たちと普段着スタイルで実践していたのが記憶に残っている。ピリスの演奏はなぜか琴線に触れるものがあって、グールドと並んでよく聴いている。

さて、Aさんは所要のため再び大分に戻られるとのことで1時間半ほどの試聴だったが、JBLの3ウェイシステムも好評だった。

たかがインシュレーター、されどインシュレーターかな(笑)。


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オーディオあれこれ

2013年02月09日 | オーディオ談義

☆ スピーカーべースの「スパイク受け」加工

先日、オーディオ仲間のお宅にお伺いしたところ、オーディオ専門誌「オーディオ・アクセサリー」(季刊誌)が置いてあった。昔、よく読んでいた雑誌なのでつい懐かしくなり手に取って何気なく目を通していたら、オーディオ機器の振動を防止するための金属製のスパイクとスパイク受けが載っていた。(画像はネットから転用)

                              

機器の「振動対策」と機器周辺の「磁界対策」は音質に多大の影響を及ぼすので、あだやおろそかにできない世界だが、まったく目に見えないので始末が悪く、つい手を抜きがちになる。しかも前者の場合、振動をすべて止めればいいというわけでもなく、適切なバランスが求められる。

自分の場合、SPボックスの振動対策としてこれまで、他人から譲ってもらった大きなネジを改造したスパイクで何とか恰好を付けている程度だが、この専門誌によるとスパイクとスパイク受けのセット(3点支持)で3万円、これは左右両方のスピーカーに必要だから2倍の6万円となる。ちょっとした真空管アンプが購入できるお値段。

たしかに材質とかツクリがいいのだろうが、値段に応じた効果があるかどうかは「鰯の頭も信心から」みたいなところがあって、最後は自己満足の世界といえよう。

そこで、あえて自己流「スパイク受け」を作ってみることにした。

           

画像右側の太いネジの先端を加工したスパイクが現在使っているもので、そのスパイク受けとして新たに手持ちのメタルベースの中央に金属用のドリル刃で「窪み」を付けてみたのが画像左側。このメタルベースはずっと昔に購入したもので手元に20個ほどあってこれまで使い道がなかったのだが、こうして出番が見つかって良かった(笑い)。

片チャンネル3個なので計6個加工。そして実際に装着したのが次の画像。

           

ご覧のとおり、床に振動が伝わらないように、スピーカーボックスをコンクリートの打ち抜きに設置しているが、新たなスパイク受けによって音がどう変わったか、興味津々で試聴してみると心なしか音が締まって心地よい響きになった印象を受けた。これでひとまず満足~!

☆ 新しいスピーカーの開発状況

記憶に新しいところで、前回のブログの末尾に遅々として進まないスピーカーの新しいテクノロジーについて嘆いたところ、さっそくオーディオ仲間のMさん(奈良)から次のようなメールが届いた。

「今日のブログ拝見いたしました。デジタル・スピーカーがかなり技術が進んできました。クラリオン、オンキョーがかなり力を入れているようです。下記の会社も法政大学と共同でやっています。興味が湧けば幸いです。」


「MATLABを用いたフルデジタルスピーカーシステム」(クリック可)

原理を理解することは難しそうだが、オーディオの歴史において最後の聖域とされるスピーカーにもデジタル化の波がヒタヒタと押し寄せているのは興味深い。

☆ 山水のアンプはすべて修繕可能

併せて「昨年倒産した山水電気のOB3人が有り難い修理を受け付けているようです」と、情報提供があった。いまだに同社のアンプを愛用されている方には朗報だろう。「アクア・オーディオ・ラボ」

山水の製品ではずっと以前、「SP50」(スピーカー)を使っていたし、アンプは「AUーα707」を使っていたことがあるが今は長兄(福岡)のところで活躍している。このトランジスターアンプには思い出があって、低音域には使えるものの、中高音域の無味乾燥さにヘキヘキして、以降、中高音域に限っては絶対に真空管アンプを使おうと決意させてくれたアンプである。

2月6日付の朝日新聞の記事によると、

音質の良さからオーディオファンの間で高い評価を得ている高級アンプ「サンスイ」。製造元の山水電気は昨年4月に経営破綻(はたん)したが、OB3人がいまも細々と修理工場の営業を続けている。全国各地から「名器」の修理依頼が届く工場を訪ねた。

 埼玉県入間市。住宅街の一角に建つプレハブ小屋には、はんだごての焦げた臭いが漂っていた。床には修理を待つアンプが10台ほど並んでいる。「どんな故障でも何とか直してみせるよ」。奥の作業台に座る横手正久さん(75)が笑いながら話す。

 山水電気は1944年に東京・代々木で創業。54年からオーディオアンプの生産を始め、70年代のオーディオブームを先導した。横手さんは赤坂の高級キャバレー「ミカド」の音響設備を手がけ、技師長としていくつもの高級アンプを世に出した「名物」サンスイマン。業界誌に「アンプに人生をかけた男」と紹介されたこともある。

 この日の仕事は約40年前に発売された「AU9500」の修理。大卒銀行員の初任給が5万2千円の時代に、12万3千円の値を付けた高級品だ。「サンスイのアンプは自分で作ったんだから、配線まで全部頭に入っているよ」。黒く焦げたトランジスタを交換、回路基板をブラシで磨いた。」

文中に出てくる山水の「AU9500」は当時、購入を迷ったアンプだが、とうとう縁がなかった。きっと今でも愛用されている方が多いに違いない。

機器に長年の愛情を込めて修繕しいしい使う風潮が薄れてきている昨今、「どんな故障でも何とか直してみせるよ」なんて、実に心強くてありがたい会社ではないかと思う。

 


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面白いテレビ番組

2013年02月07日 | 独り言

先日のネット情報によると、テレビを視聴するときに録画してからお気に入りの番組を観る人の方が多くなったので、「現時点でどの番組を観ているか」という視聴率調査の在り方も検討すべき時期に来ているといった趣旨のことが書かれていた。

実は当方も圧倒的に録画優先主義で、観たい番組はほとんど事前に録画予約している。したがって、BSハイについては1か月分をまとめた番組情報が載っている「TVガイド」が、地上デジタル放送は地方紙の1週間分の番組表が欠かせない。

録画心理を自己分析してみると、気に入った番組、たとえば目の保養になる女優が出演したものや絶対に行けそうにない紀行、あるいは興味のある情報などを何度も繰り返し見たいという気がそうさせるわけだが、そうやって折角保存した番組にもかかわらず一度観てしまうと、もう滅多に繰り返して見ることがないのが不思議。さらに、それが分かっていながら相も変わらずせっせと録画と保存を続けている心理もまた不思議。

結局、何ぼ録画してもタダなんだからという”さもしい根性”がなせる業だろう(笑)。

さて、最近録画した番組のうちからネタになりそうなものを紹介してみると次のとおり。

☆ ゴルゴ13

去る1月下旬にNHKが2週連続で夜に特集番組をやってた。タイトルは「探検バクモン:「ゴルゴ13の秘密基地に侵入せよ」。

「ゴルゴ13」を知らない方はあまりいないと思うが、念のためネットから引用させてもらうと、

『ゴルゴ13』(ゴルゴサーティーン)は、さいとう・たかをによる日本の漫画作品。超一流のスナイパー(狙撃手)「ゴルゴ13」ことデューク東郷の活躍、及び活躍の元になった事件に関わる人たちを描く劇画作品。1968年より『ビッグコミック』他で連載開始し、現在も連載中。単行本は2012年現在166巻、文庫版も136巻を数える。

                            

このテレビ番組では単行本2億冊以上、日本最長連載記録45年を更新中とあり、絶大な人気を誇る劇画の製作現場に侵入して舞台裏を探ろうといった狙いだったが、作画、脚本といった分業チームの見事なチームワークが紹介されていた。

人間誰しもスーパーマンを夢見る部分があるものだが、一時的にでもその気にさせてくれる世界とでもいうべきか、いまだに絶大な人気を誇っているのがその証左だろう。

今をときめく安倍内閣の現副首相で財務大臣の麻生太郎さんは、クレー射撃の選手としてオリンピックに出場したほどの腕前だが、そのせいか「ゴルゴ13」を愛読していることでも知られている。

また、以前、とある裁判官の随筆集を読んでいたらこの方が「ゴルゴ13」の大ファンで通勤の電車内で夢中で読んでいて、ふと顔を上げたら丁度審理中の事件の担当弁護士が居合わせていて、目を丸くして驚いたように自分を見つめていたなんて面白いエピソードが書かれていた。

裁判官といえば日本で最高の難関とされる資格試験「司法試験」の関門を突破し、社会的な地位も言わずもがなだが、そういう知識階級でもこの劇画を愛読する人がいるのだから、世間で「ゴルゴ13」のファンだと公言してもあまり気後れすることはなさそうだ(笑)。

☆ 夢の扉

何時の頃からか定かではないが、毎週必ず予約して観ているのが「夢の扉」という30分番組である。日曜日の夕方6時半から放映されている民放番組だが、都会では放送時間帯が違うかもしれない。

「夢」に向かってユニークな技術の開発に努力している市井の人たちを取材した番組で、当事者が「アイ ハブ ア ドリーム」と、カメラに向かってアピールしているのを見ると「残り少ない人生だが自分もまだ頑張らなくては」と、つい勇気づけられてしまう。スポンサーは「NTTドコモ」である。

とても視聴率を稼げそうにない、こういう地味で目立たない番組のスポンサー役を果たしているドコモはある意味で社会的な貢献をしているわけでもあり、なかなか商売根性だけではできないと思う。「偉いぞ、ドコモ」。

1月27日(日)の番組のタイトルは「天才!東大医師の驚異の人体CG」だった。

東大付属病院の一研修医(27歳)が患者が理解しやすくて安心できる医療を目指して気管支のCG製作にチャレンジする過程を取材したものだった。

           

この人はものすごい秀才で、東大医学部に入学してたった半年で2年生までの単位をほぼ取得し、残る1年半の時間を作ってCGクリエーターの専門学校に通ったというから恐れ入る。

しかも、それが嵩じてアメリカの「メディカル・イラストレーション」の専門学校に留学をはたすが、医学部長への留学嘆願書に「僕を留学させないと東大医学部は必ず後悔します。」とタンカをきったというから能力に裏付けられた自信の程がうかがい知れる。

「良き細工は少し鈍き刀を使う」(徒然草)という非常に含蓄に富んだ言葉があって、有り余る才能があってもストレートに表に出すことは古来良しとされない風潮があるが、今や世の中のスピードからしてそんな悠長なことは言ってられないようで、世間には改めて想像を絶する秀才がいるものだと感心した。

引き続き「夢」に向かってまい進して、医学の発展に寄与して欲しいものだ。

このように、毎週ユニークな人材が紹介される「夢の扉」だが、まだご覧になってない方は、元気づけられること請け合いなのでぜひお薦めしたい番組である。

なお、オーディオの長い歴史において、音響を大きく左右するキーポイントとなる重要な存在なのに一向に技術の進展が見られないスピーカーの画期的な開発に勤しんでいる方がいれば、是非その紹介を期待したいものだが、何せマイナーな趣味であり人類の幸福にそれほど貢献するわけでもなさそうなのでちょっと無理かな(笑)。

 

 


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モーツァルト全集を楽しむ

2013年02月05日 | 音楽談義

2~3日前からおかしくなっていた炊事場兼食堂の電気温水器が、昨日(4日)の朝からからとうとう水が出ないようになった。とても素人工事では収まりそうにないので出入りの業者を通じて水道屋さんに来てもらった。

10時ごろにお見えになったが、30歳前後のはきはきした好青年で、蛇口のパッキンも含めて全体的に経年劣化とのことで部品取り寄せによる交換と相成った。

待ち時間の間中、仕方なく音楽を聴いていたら、その青年が帰り際に「僕もクラシックが好きでいつも聴いてます。いい音ですねえ。まるで目の前で演奏しているみたいにリアルに聴こえます。トランペットを吹くので音の原理は空気中の波紋だと分かっていますが、このスピーカーは波紋の起こし方が違うように思います。」

自分のシステムを褒められて誰も悪い気はしない。「ホウッ、分かるかね!このスピーカーはね・・・・・」とつい夢中になって、ひとしきり薀蓄を傾ける自分がいる。しかし、次の仕事を控えて忙しそうなので、「この次は時間にゆとりを持って、聴きにおいで」とアッサリ解放してあげた(笑)。

聴いていたシステムは「AXIOM80」で、曲目はモーツァルトの「管楽とピアノのための五重奏曲」(K452)である。

24日にCD55枚組の「モーツァルト全集」が来てから、以降ずっと聴くとなるとモーツァルトである。1枚目から順番に聴いていって、昨日が10日目で30枚のCDを聴き終ったので、1日3枚当たりのCDを聴いたことになる。

           

何しろ40年以上音楽に親しんできたがこういうCDの聴き方をしたのは初めてである。いつもは、聴きたい曲をわざわざラックから選んできて肩肘を張ってじっと耳を澄ますのだが、こういう全集をはじめから順番に聴くとなると与えられた曲目を完全に受け身の態勢で拝聴させてもらうという感じ。

いざやってみると、こういう聴き方の方が随分楽だということを発見した。自分の意志はそっちのけなので与えられるままに聞き流すといった風情で、当然、本などを読みながらBGM風の流し方も出来る。

また、この全集のうち大半の曲目はすでに持っていたのだが、幸いほとんどといっていいほど演奏家が違うのが購入した動機のひとつだったが、狙いは見事に当たった。

演奏の解釈が違えば曲目に対するイメージも驚くほど変わるし、さすがにドイツ・グラモフォンレーベルだけあって演奏の水準が高い。奇を衒うことなく、きわめてオーソドックスで地味な演奏ばかりだが、非常に味わい深いし録音もいい。

(取り分け、パールマン(ヴァイオリニスト)のヴァイオリン協奏曲(3~5番)、カラヤン・ベルリンフィルの「交響曲32,35、36番」には感銘を受けた。カラヤンは嫌いだったが少し見直した。)

しかも、すべての曲目から、メロディーとは関係なく「モーツァルトの声」が共通して聞えてくるのには驚いた。「モーツァルトに限っては、曲目をあれこれ詮索することは無意味である。どの作品ひとつとってみても、それはモーツァルトそのものである」と発見できたのは大きかった。

以前、彼のヴァイオリン協奏曲を1番から5番まで何度も聴いたとき、それぞれ番号を付けて区別するのは無意味で全体がヴァイオリン協奏曲だと思ったことがあるが、それと似た感慨である。

生涯に600曲以上作曲したモーツァルトにも当然駄作とされるものがあるのだろうが、そういう駄作でさえからもきっと共通した「モーツァルトの声」が聞えてくるに違いない。

こういう心境になればしめたもので、後に控えていてまだ聴いたことのないオペラ「クレタの王イドメネオ」「後宮からの逃走」もまったく退屈せずに聞き流せそうなので大いに楽しみである。


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汚染列島

2013年02月03日 | 独り言

ブログをやってて、うれしくなるのが全然見知らぬ方からメールをいただいたとき。「人恋しさ」というのは万人共通だと思う。

先日も福島市にお住いの方からメールをいただいた。仮にFさんとしておこう。「JBL375ドライバー周りの改善」について、線材、SPターミナルのメーカー名の問い合わせだったが、「若気の至りでいろいろ書きましたが、線材やSPターミナルにこだわる必要はありません。また、素人が375を分解するのは危険です。専門店に任せた方がいいです。」と回答した。

「非を認めるにやぶさかではあらず」。振り返ってみると、今となっては妥当ではない記事がいくつもあって(笑)、どうか皆様も真に受けないようにしてくださいね。「メディア・リテラシー」を存分に発揮されて、とにかく最後の判断はご自分で!

さて、Fさんとメールのやり取りをするうちに次のように申し上げた。

「福島は放射能被害で大変でしたね。大切なオーディオ装置を残して避難された方々の苦渋をいつも察していましたが、どうやらそこまでは無かったご様子、よかったですね。」

これに対してFさんから次のようなメールが届いた。匿名ということで無断引用、お許しください。

福島原発事故の放射能汚染で全国的に有名になった飯館村のスグ北西に位置する福島市は、県庁所在地であり東北新幹線・東北自動車道と大動脈が通っております。

 このことから、政府等により放射能汚染の深刻さはできるだけ低く抑えられているように思われます。けっこう線量の高いところが点在しておりますし人類にとってもっとも猛毒と言われるプルトニウムも飛散しているようです。また、福島だけが汚染されてるかのようなイメージを植えつけておりますが東日本全体に影響を及ぼしてるのは否めません。 
 
 福島第一原発の現況はメルトダウンした原発を冷却する汚染水が地下水の流入により地下と海にダダ漏れ状態のようです、汚染水を貯蔵するタンクも増設に継ぐ増設でどこまで増えていくのか解りません。 4号機からは常時放射能を含んだ水蒸気が空へと向かって流出しております。
 
 以上のことから廃炉の見通しは立っておらず現状維持が精いっぱいのようです。
 
 私ども60歳を超える者に影響が出る頃は人生の終焉を迎える頃ですので大して心配はいらないと思われますが、日常の生活には精神的な抑圧が重くのしかかっております。
 
 将来を担う若者は深刻な状況といえます。 暗いお話で申し訳ありませんでした。

本当にお気の毒である。世間ではとりあえず放射能の被害が終息しているかのような感覚を抱いているものの、現状はとてもそれどころではないようで、将来に残る禍根が心配。

さて、翻って南国九州は安全かといえばけっしてそんなこともない。

中国の光化学スモッグによる大気汚染がたいへんなことになっていて、これから九州地域への飛来が懸念されている。ネットから引用すると、

「スモッグは自然現象ではなく、人工的に排出された産業排気物、建築砂塵、粉塵、生活排気物などが原因」と同気象局の王強(ワン・チアン)教授は指摘。王教授によると、直接的な排気物以上に有害なのが「第二次汚染物」といわれる産業排気物や自動車排気ガスなど4種の排気物が光化学反応を起こして生成したエアロゾルで、粒子の大きさが2.5ミクロン以下と小さいためより容易に体内に吸収されるという。」

現在、中国では呼吸器系病院に患者が殺到しているとのことだが、近隣諸国にとっては本当にはた迷惑な話である。「自分さえ良ければいい」という国民性だから、公害対策なんか蚊帳の外なんだろう。工場の排水や煙は垂れ流し放題だし、日本のように厳しい排ガス規制をしていない中国車が縦横無尽に市街を走り回るのだからたまったものではない。

2.5ミクロン以下の粒子を吸い込むと将来肺がんになる可能性が高まるという。福岡では早くもいくつかの観測地点でエアロゾルの濃度が高くなっているというので(福岡に)住んでいる娘に急いで高性能のマスクと「空気清浄器」を室内に備えるよう指示したところ(笑)。

九州地方には毎年2月~3月にかけて黄砂が強風に乗って押し寄せてきて車などに細かい粒子が堆積するが、今年は高濃度のエアロゾルがそれに混じるとなると健康被害が思いやられる。

さらにネット記事によると、このスモッグは中国共産党の支配体制をも揺るがしかねないとあった。

「共産党体制70年崩壊説」というのがある。1917年のレーニン革命によって始まったソ連共産党は設立後70年前後で崩壊したが、中国共産党もそろそろ70年に差し掛かっている。私見だが言論の自由がない国家の命運は推して知るべしだろう。

将来のイスラムのテロを予見したことで知られる「文明の衝突」(1996年:S・P・ハンティントン元ハーバード大教授著)の巻末に「解題」として京都大学教授の中西輝政氏の論文が寄せられており、その中に次のような興味深い一文がある。(再掲)

「私自身とハンチントンとは、中・長期的な中国の将来像については大きく見方を異にする。ハンチントンは中国は今後も安定して経済の急速な発展を続けると見ているが、私は長期的にみて中国という社会は大きな変動に直面し「21世紀の超大国」の座を現実のものとする可能性はまずないであろうと考えている。21世紀に入ると時間が経つにつれ「分裂する中国」という文明史的特質が浮上してくるはずである。」

はたして壮大な歴史的実験の結果やいかに。

おっと、「汚染列島」のつもりで書いた内容が変な方向に行ってしまった(笑)。

 

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世の中、そう甘くはなかった!

2013年02月02日 | オーディオ談義

以前のブログに記したように我が家では新年早々から幸先よく格安のCD全集(モーツァルト)やスピーカーなどが手に入って、いかにも「巳年」にふさわしい順調な滑り出しを見せていたのだが、世の中そうそう甘くはないようである。

「好事魔多し」(こうじ ま
おおし)という言葉がある。ご存知の方もきっといるに違いない。

天下の「広辞苑」によると、その意味は「よいこと、うまくいきそうなことには、とかく邪魔がはいりやすいものである」と、ある。

念のためネットでググってみると、「
良いことには邪魔が入りやすいものだから、良いことがあったからといって有頂天になってはいけないという戒めの意を含む。「魔」とは、「邪魔」の「魔」。「好事魔を生ず」ともいう。

自分流の解釈では、これまで「人間、いいことばかり続くと調子に乗ってしまい、つい油断して痛い目にあう」と、理解していたので、まあ当たらずといえども遠からずかな。

今回はその「痛い目にあった」とやらの顛末を記してみよう。

今年の正月明けからパッシブアッテネーターの代わりに使用している真空管式プリアンプが、ますます存在感を発揮してシステムの中で今やなくてはならない存在になっている。快く譲っていただいたオーディオ仲間のYさんや改造を快く引き受けていただいたMさんには心から感謝である。

このプリアンプには「6DJ8」というミニチュアの電圧増幅管が使ってあるが、メーカー別の銘柄によって音質がかなり左右されるのでいろいろと挿し替えるのが大きな楽しみの一つになっている。

           

この辺りは真空管アンプならではといったところだが、この「6DJ8」は同等管とされる型番の種類が実に豊富で何がなんやらサッパリ分からない。困ったときのMさん(奈良)頼みで「ご教示願います」と、メールしたところ次の回答が戻ってきた。

お尋ねの件は、以下のように2分類されます。「Radio museum」からコピペしました。

一般球    6DJ8=ECC88=6n23p=CV5358=M3624

通信・軍用  E88CC=6922=CCa=CV2492=9622

「通信、軍用は何となく、音まで良さそうに思えてきますがメーカーにおいては音をよくする努力ではなく耐久性、信頼性向上が目的であることを念頭に置いておくべきだと思います。しかし、電極材料や構造の見直しをしているのですからつい聴いてみたい誘惑に駆られてしまいますね。」

真空管愛好家の方は既にご承知の通り、比較的ポピュラーな「12AU7」にしても、「ECC82」「6189」といろいろあるのでその類だろうが、比較的稀少とされる「6DJ8」にもこんなに沢山の種類があるとは夢想だにしなかった。

現在手元にあるのは、譲っていただいたものを含めて「6DJ8」系が12本、「E88CC」系の「6922」が4本である。まあ、どうせ種類は違えど似たようなものだろうとたかをくくっていたらそれがどうも違うのである。

(我が家のプリアンプは)とてもデリケートに作られているとみえて、無音時のノイズレベルが「6DJ8」系12本のうち7本がちょっと高くて、神経質な人間にとってはいささか気になる状態。残る5本も何かしら違和感がつきまとう。

その一方、「6922」の方は4本ともノイズレベルも低くて響きも実に豊かでお見事。はっきりと明暗を分けていて、「我が家のプリアンプは”6922”に限る」と、つい最近ようやく気が付いたのだが、「時、既に遅し」。

ネット・オークションでシルヴァニア製(アメリカ)の「6DJ8」を4本落札した後だった。まあいいか、ノイズレベルが低い可能性もあるしと、自らを慰めて到着を待った。

ちなみに、オークションに出品されている真空管は、これまで10年以上に亘って利用してきたが近年になって非常にハズレが多くなった。随分世知辛い世の中になってしまった。いくら安いといっても最初からとても使い物にならない真空管を平気で出品する人がいるのだから閉口する。

したがって、防御策としてきちんとした測定値が記載されたもの以外は購入しないことにしている。今回の4本は廃棄値55に対してそれぞれ「91/91、92/92、90/90,93・92」と記載してあって良好のようである。

厳重な梱包によって我が家に到着したのが29日(火)の午前中だった。さっそく、プリアンプの真空管を差し替えて試聴したところ、残念なことに4本とも既存の球と同程度のノイズレベルがする。「6DJ8はツクリそのものが我が家のプリアンプには相性が悪い」と、思わず天を仰いだ。

しかし「転んでもただでは起きないぞ!」(笑)と、出品者に対して(オークションの)「取引ナビ」で次のようなメールを送った。

「〇〇  様
商品(6DJ8×4本)が無事到着しました。さっそく我が家のプリアンプに挿したところ、無音時のノイズレベルが少々高いようです。これは真空管にまったく責任はなく、どうやら相性の問題のようです。そこで、これはまったく当方の勝手なお願いですが、軍用の「6922」をお持ちでしたら、交換というわけにはいかないでしょうか?もちろん、送付していただいた真空管は明日にでも返送の予定です。どうか、ご一考くださるようお願いいたします。」

これに対して、出品者から次のような素っ気ないメールが返ってきた。

「ご連絡ありがとうございます。6922の在庫はありません。また、商品説明に記載していますように音が出ない以外は返品不可とさせていただいてます。返品はご容赦ください。」

やれやれ、調子に乗って慌てて落札するものだからこんなことになる。何事ももっと慎重に取り組まないとアカンと素直に反省。今年に入って最初の挫折だった。

かなりの損害を蒙って「痛い目」をみたが、ま、しょうがないか(笑)。

 


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