「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「高音域不足」騒動記

2016年04月30日 | オーディオ談義

先日、音楽にもオーディオにもたいへん造詣が深くて、とても信頼のおける方(仮にMさんとしておこう)からメールが届いた。

「最近のあなたのブログにはツィーターユニットの内容が多いのですが、もしかしてプリアンプの高域不足に原因があるのではないですか?」という趣旨だった。

そういえば、たしかにこのところオークションでツィーターユニットを落札することが多い。改めて数えてみたらなんと6ペアも!コーン型ツィーターユニットがいくら安いといってもこれはちょっと調子に乗り過ぎだ。

本人がまったく気付かないうちに知らず知らず「蟻地獄」に陥ることはオーディオにはよくある話。「直感は過たない、誤るのは判断だ」とは文豪ゲーテの言だが、原因の究明を間違えると、もがいてももがいても抜け出られなくなるし、無駄な出費に繋がっていくのが怖い。

根が素直で人の意見を尊重するタイプなので(笑)「そうかもしれませんね~。ちょっと実験してみましょう。」と返信。

さっそく取り掛かった。

現在使用している真空管式プリアンプには2系統の出力端子があり、それぞれ別個の真空管パワー・アンプを繋いでいる。

「PX25シングル」(以下「PX25」)と「71Aプッシュプル」(以下「71A」)である。

そこで、実験1

第一系統のシステムの流れを替えてみた。

CDトランスポート「ヴェルディ・ラ・スカラ」(dCS) → DAコンバーター「ワディア27ixVer3.0」 → パワーアンプ「PX25」 → スピーカー「AXIOM300+コーン型ツィター」

ワディアのDAコンバーターからプリアンプを介さずダイレクトに「PX25」に繋いでみたところ、スッキリ爽やかな音質へと大変身。やっぱりねえと感激。プリアンプは相性次第でパワーアンプを生かしも殺しもするが、これで「北国の真空管博士」の入魂の作品「PX25」の魅力全開となって実験大成功。

実験2

同様に第二系統のシステムの流れは次のとおりだが、プリアンプをいろいろ取り換えてみた。

CDトランスポート「ヴェルディ・ラ・スカラ」(dCS) → DAコンバーター「エルガー プラス」(dCS:SACD用) → 「プリアンプ」 → パワーアンプ「71A」 → スピーカー「ウェストミンスター箱使用の2ウェイ方式」

旧来のプリアンプを含めて3台、それぞれ交互に繋ぎ替えて実験したところ、いずれも甲乙つけ難しだったが、強いて言えば現用中のプリアンプが一番安定感があるようだ。

つまり高音域不足がさほど気にならなかったのだが、ふと、面白いことに気が付いた。プリアンプにパワーアンプを2台繋いでいた時よりも1台だけにした方が全体的に音に躍動感が出てきて低音域も高音域も充実したのだった。ボリュームの目盛も通常10時の位置だったのが9時半ぐらいに収まったのには驚いた。

我が家に限っての現象かもしれないがプリアンプに2台のパワーアンプを繋ぐのはご法度で、どうやら1台限りにしておいた方が良さそうだ。もちろん、同時に両方の2台を鳴らさなくてもただ繋いでおくだけでもプリアンプには負担がかかるとみえる。

まあ、これは真空管アンプに限っての話だろうが、とにかくMさんのおかげで前進出来たので謝、謝。

それはそれとして、またもや新しい道具を仕入れてしまった。

         

YL音響の3ウェイ式ディヴァイディング・ネットワーク。

クロスオーヴァーが「1100ヘルツと9000ヘルツ」とあったので思わず飛び付いてしまった。これで手持ちのあらゆるSPユニットが自由自在に活用できるようになる。

27日(水)の夜に落札し、到着したのは昨日(29日)のお昼時なので出品者(兵庫県)のスピ-ディぶりには恐れ入った。しかもものすごく丁寧な梱包だった。

落札後に“あちらさん”の名前だと判明したのでちょっと身構えたのだが、すこしでも疑ってしまってゴメンなさいね!(笑)

夕食後に1時間ほどかけて3ウェイシステムを編成し、さっそく音出しを試みた。

ウ~ン、これは凄いぞ!!


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宇宙の音階とは

2016年04月29日 | 独り言

先日読んだ「武満徹 音楽創造への旅」がいまだに尾を引いている。

音楽ってなんだろう?音っていったいなんだろう?

こういう根源的な問いに対して一回読んで素通りするにはあまりにも内容が豊富なので改めて現在2回目の読破中。近年、こういう読書体験も珍しい。

ただし、内容を一括りにして記憶に留めるのはちょっと手に余るので、(武満氏の)音に対する考え方が一番如実に表れていると思う「海童道祖と“すき焼き”の音」(467頁)の箇所から引用しよう。

海童道祖(わたづみどうそ:1911~1992)は単なる尺八演奏家に留まらず宗教家にして哲学者だが、武満氏と小さな座敷で同席して名曲「虚空」を聴かせるシーンの叙述である。

「目の前にはスキヤキの鍋があってグツグツ煮えており、外はダンプカーなどがバンバンと走ってうるさいことこの上ない。そういう環境のもとで、尺八の演奏を聴くうちに、僕はいい気持になってきて、音楽を聴いているのか、スキヤキの音を聴いているのかダンプカーの音を聴いているのか分からないような状態になってきた。

それらの雑音が一種の響きとして伝わってくると同時に尺八の音色が前よりもくっきりと自分の耳に入って来る。演奏が終わって海童氏が“武満君、いま君はきっとスキヤキの鍋の音を聴いただろう”と言われたので“たしかにそうでした”と答えると、“君が聴いたそのスキヤキの音がわたしの音楽です”と言われる。

ぼくは仏教とか禅とかは苦手で禅問答的な言い方はあまり好きじゃないのですが、そのときは実感として納得しました。」

つまり、音楽の音の世界と自然音(ノイズ)の音の世界が一体となっている、そこに武満氏は日本の音楽の特質を見出す。

海童同祖は次のように言う。

「法竹(修行用の尺八)とする竹にどんな節があろうが、なにがあろうがいっこうに差支えない。物干しざおでも構わない。ほんとうの味わいというのは、こういうごく当たり前のものに味があるのです。ちょうど、竹藪があって、そこの竹が腐って孔が開き、風が吹き抜けるというのに相等しい音、それは鳴ろうとも鳴らそうとも思わないで、鳴る音であって、それが自然の音です。」

さらに続く。

宇宙間には人間の考えた音階だけでなく、けだもの、鳥類、山川草木たちの音階があります。宇宙はありとあらゆるものを包含した一大響音体なのです。どんなノイズも、クルマの音も、私たちが喋っている声も我々には同じ価値を持っている。それぞれに美しさがあります。いわゆる調律された音だけではない音たち、それから音のもっと内部の音、そういうものに関心があります。つまり音楽の最初に帰ろうとしているわけです。」

以上のことを念頭におきながら昨日(28日)到着したばかりの2枚のCDを聴いてみた。

         

いきなりこういう音楽を聴くと、これまでの西洋の音楽、つまり「旋律とリズムとハーモニー」にすっかり麻痺してしまった耳にとって違和感を覚えるのは当たり前だが、これから繰り返し繰り返し聴くことによって、はたして耳にどう馴染んでくるのか楽しみなことではある。

最後に耳よりの話を一つ。

映画音楽についてだが、時代劇の「濡れ場」のシーンにときどき尺八の音がバックに流れる事があるのにお気づきだろうか。エロティックな映像が尺八の虚無的な響きと一体となり、やがて哲学的な雰囲気となって、いかにも芸術へと昇華されていくような気にさせるので、まことに日本映画らしい趣だと感じ入っていたところ、こういうシーンでの尺八の起用はどうやら武満氏の発案のようなのである。

時代劇「暗殺」に起用され、武満氏から即興演奏を任された横山勝也氏(尺八)は次のように語る。(468頁)

「体当たりで演奏しましたよ。たとえば丹波哲郎扮する清河八郎が囲っているお蓮という女性がいるんですね。それを岩下志麻さんが演じているんです。清河八郎が初めて人を斬ったときものすごく興奮して、お蓮の家に駆け込んできて、すぐ蒲団を敷かせ、帯をとかせて<オレはいま人を斬ってきた>といって蓮を激しく抱くというシーンがあるんです。

ちょっと長いそのシーンを尺八だけでやるんです。あんな激しい場面に合う既成の曲なんてまったくありません。とにかく音は出しましたが、無我夢中でどんな音を出したかまったく覚えていません。」

~でも武満さんはあのシーンの音楽を凄く気に入っていたようですよ。ああいうのは何度かやってるんですか。

いいえ、ほとんど一発でした。はじめに一回観て、次にもう一回流して、それを見ながらリアルタイムで音を乗せちゃうんです。ほとんどNGなしで一発で決まりました。」


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ブラームスの「クラリネット五重奏曲」

2016年04月28日 | 音楽談義

先日のブログで紹介した「武満徹 音楽創造への旅」。

武満氏独特の「音楽と音」へのアプローチがまったく「眼からウロコ」で、これまで40年以上培ってきた音楽観に大きな衝撃をうけたものの、残念なことに「眼光紙背に徹する」ほどの読解力は持ち合わせていないので、どうしても舌足らずになってしまうがじぶんの記憶に留めておくためにおいおい、内容をさらに詳らかにしていきたいと思っている。

とても1回のブログでやり過ごすには手に負えない気がして、こういう気分になったのは初めて。

とりあえず関連のCDを発注して今日中(28日)には到着する見込み。

「ノヴェンバー・ステップス」(武満 徹作曲:ハイティンク指揮)、「海童道祖」(尺八の名手)の「即音乱調」、そして「クラリネット・ソナタ作品120」(ブラームス:演奏カール・ライスター)

この最後の「クラリネット・ソナタ」は本書の中で武満氏が激賞していたものだが、間に合わせで昨日(27日)手持ちの「クラリネット五重奏曲」の方を聴いてみることにした。

          

上段左からこの曲目では定番となっている「ウラッハ」盤、そしてウラッハの弟子筋にあたる「プリンツ」盤、下段左から比較的新しいところで「シフリン」盤と「シュミードル」盤。

周知のとおりブラームスのクラリネット五重奏曲はすべてと言っていいほどモーツァルトの「クラリネット五重奏曲」とカップリングされているので、順番としてはモーツァルトからブラームスの順に聴いた。

若い頃に夢中になって、もう何度聴いたか分からないほどの曲目だがここ数年はまったくのご無沙汰だっただけに感慨もひとしおだった。

まあ、モーツァルトと並べて聴くのはブラームスにはちょっと酷なきもするが・・・(笑)。

音楽評論家の小林利之氏の「名曲に聴く」には次のような記述がある。

「クラリネット五重奏曲というとモーツァルトの名作がまず頭に浮かぶが、ブラームスのこの曲もどこか寂しい影を後に引く、しんみりと聴くにふさわしい名曲だ。ことにほのかな甘美さと憂愁の漂うクラリネットの響きがブラームスの比類のない情感を伝えるこの曲は典雅な香りを漂わせたモーツァルトの五重奏曲にも劣らぬ美しい作品でモーツァルト同じように、作曲者が親しくしていたクラリネットの名手のために書かれた。」

クラリネットという楽器の響きは作曲家をとても刺激するようで、当時晩年になって才能が枯渇してきた感のあるブラームスが大いに創作意欲を刺激されて見事に蘇ったとされるいわくつきの曲目である。

4名の演奏については、じぶん如きがあれこれ論評する資格はないが、聴きどころの第二楽章だけ取り上げるとすればやっぱり「ウラッハ」にトドメをさす。モノラル録音だし地味な演奏だけど非常に心を打つものがある。

ちなみに、ウラッハ盤には2種類あって画像に載せているCDは「20bit」に加工した盤だが、中高音域が人工的でとても不自然に聴こえたので何ら弄っていない盤の方を当時買い直したところ、こちらの方が圧倒的に聴きやすくて正解だった。

            


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選り取り見取りの音

2016年04月26日 | オーディオ談義

文豪「夏目漱石」は若き日の「芥川龍之介」に対してこう諭した。

「世間は才能の前には頭を下げないが、根気に対しては頭を下げる。才能をひけらすことなく、牛になったつもりで根気よく進みなさい。」

じぶんも才能は何も持ち合わせていないが、オーディオの「根気」だけは誰にも負けないつもり。

「またオーディオの話か」と思われるのがシャクなので、冒頭からつい「根気」をアピールしてしまった(笑)。

去る4月上旬に2種類の「ディヴァイディング・ネットワーク」(2ウェイ式、以下、「ネットワーク」)が到着してから4週間が経った。

この道具はアンプはそのままにして可聴帯域の周波数を2つに分割して別々のSPユニットで鳴らせる便利な代物だが、さして音質の劣化も感じられず何よりも「好みの音」へのアプローチが大幅に増えたのがいい。

しかし、一方ではあまりに増えすぎて最近では何が何やらじぶんでも訳がわからなくなったのでここでしばし立ち止まって頭を冷やしてみることにした。

まず3系統あるシステムのうち、ウェストミンスターに絞って整理してみよう。

まずネットワークが来る前のシステムは フィリップスのユニット(口径30センチのダブルコーン:アルニコマグネット型)をフルレンジで鳴らしていたわけだが、無難ではあるもののどうしても開放感が足りずに“こじんまり”とまとまってしまう傾向がある。

そこで2種類のネットワークの出番となっわけだが、分類すると次のとおり。

1 パイオニアのネットワーク(8Ω仕様:クロスオーヴァー 4000ヘルツ)の活用

 (1) 4000ヘルツまではそのままフィリップスのユニットに受け持たせてそれ以上の周波数帯域を二つのツィーターユニットで実験。

            

ワーフェデールのコーン型ツィーターとJBLの075ツィーターの競演となったが、両者とも能率が高いのでSP用のアッテネーターを使っての聴き比べとなったが実に興味深いものだった。

ワーフェデールはヴァイオリンの音色に品があってまるでピンと張った絹糸のように光沢があり、それはそれは筆舌に尽くしがたい美しさ。一方075は陽気で華々しくシンバルの音色にかけては独壇場。

まったく甲乙つけ難しでどちらにするか随分迷ってしまうがやはりクラシックを主体に聴くのならワーフェデールだろう。

(2) ウーファーユニットをフィリップスからJBLのD130(口径38センチ)に替える 

これも随分面白そうだ。そのときは同じJBL同士でツィーターは075で決まりだろう。ぜひ試してみたい組み合わせだが、今は忙しいので(?)将来の愉しみにとっておこう。

2 テクニクスのネットワーク(クロスオーヴァー 1200ヘルツ)の活用

(1) タンノイのオリジナルユニット(同軸2ウェイ、口径38センチ)を使う

これでユニットと箱とが当初通りのオリジナルの組み合わせとなる。このユニットを引退させてからもう数年経つが当時とはアンプが様変わりしたことだし、どういう音が出るか興味津々。

しかし、今のフィリップスのユニットがあまりにもお気に入りのため出番はもう少し先だ(笑)。その場合1200ヘルツ以上をワーフェデールに替えるのも十分考えられる。

(2) 1200ヘルツ以下にJBLのD130を使う

この場合は1200ヘルツ以上を075に持たせるのは酷なのでJBLの「175」ドライバーあたりを持って来ると完璧なジャズサウンドとなろう。ウーファーの箱がウェストミンスターだから世界で唯一のサウンドとなる。

一方では1200ヘルツ以上にワーフェデールを持ってくるのも面白い。アメリカとイギリスの掛け合わせで国籍不明の音になるが、クラシックとジャズが両方いける可能性もある。これもそのうち実験してみよう。

以上、二つのネットワークの使い分けで選択肢が大きく広がり「選り取り見取りの音」が得られるのがいい。


次にシステムを代えてグッドマンの「AXIOM300」(口径30センチ:ダブルコーン、アルニコマグネット型)について。

これも現在16Ω仕様のネットワークを使ってクロスオーヴァー4000ヘルツで楽しんでいるが、ツィーター用のワーフェデールのユニットをウェストミンスター側に惜譲したので後継ユニットを探していたところたまたま見つけたのがイギリスFANE社のコーン型ツィーター(口径10センチ)。

FANE社なんて名前は初めて聞くが、どうやら古き良きラジオ時代の由緒あるメーカーらしい。かなりの競り合いを切り抜けて無事落札。

           

いかにも品の良さがそこはかとなく漂ってイギリス製品らしい雰囲気。薄くて軽量のコーン紙がピ~ンと張ってとてもいい音が出そうな予感がする。AXIOM300と同じイギリス勢同士だしインピーダンスも同じ15Ω前後なので相性が良さそうだ。

我が家に到着したのが23日(土)。さっそくボリューム調整なしでセットしてみた。

         

今日で3日目だが、まったく穴が見当たらず言うことなし!真空管アンプは「Px25シングル」だが、気の遠くなるほど「いい音」とはこういう音を指すのではなかろうか(笑)。


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「武満徹 音楽創造への旅」を読んで

2016年04月23日 | 読書コーナー

先日、文書が届いて封筒の表に赤字で「重要なお知らせ」とある。

いったい何だろうと開けてみたら「クラウンのリコールの案内」だった。なんでも燃料配管のシール不良で始動直後に燃料が漏れる恐れがあるというのでガスケットの交換と熱圧センサを締め付け直すという。

ヤレヤレ、10年以上経ったクルマでもこうしてきちんと面倒を見なきゃいけないんだからトヨタさんもたいへんだね~。ディーラーと協議の結果、修理日が昨日(22日)の14時半からと決まった。

修理に3時間ほどかかるというので、図書館からの帰りに立ち寄ることにした。待ち時間に借りた本を読もうという算段である。

                     

とても分厚い本で(2016年2月刊)、頁の方も上下二段に分かれて細かい字がいっぱい詰まっており、つい読書意欲が萎えてしまうが、いざ読み始めてみるとこれがとても面白くて興味深い内容。

読み進むにつれて段々と武満氏の天賦の才が露わになってくるように感じてきて思わず慄きを覚えてしまった。この人は稀に見る天才だ!

とうとうクルマの修理が済んで家に帰り着いてもずっと読み耽る始末。

名前だけはよく聞くものの、武満氏(1996年没)の音楽はまだ聴いたことがないので、ここはひとつ腰を据えて聴かねばなるまいという気にさせられた。

もっとも映画音楽の方はそうとう作曲しているようで、たとえば黒沢明監督の代表作「七人の侍」の音楽担当は周知のとおり「早坂文雄」氏だが、仲良しだった武満氏も参画しており木村功と津島恵子の絡みのシーンなどを部分的に担当しているそうだし、石原裕次郎の最初の主演作「狂った果実」の音楽も担当しているというので二度ビックリ。

クラシック音楽との関連では、メシアン、ウェーベルンなどの近代の作曲家の影響を多大に受けており、いわゆる古典ロマン派の音楽家たちとは無縁のようだが珍しくブラームスとモーツァルトの音楽に言及する箇所があったので紹介してみよう。

☆ ブラームスの「クラリネット・ソナタ」(604頁)

「最近ブラームスの音楽に急に目覚めましてこの人は凄いと思うようになった。~中略~。晩年の室内楽、たとえば作品120のクラリネット・ソナタなんか聴くと旋律一つの中に本当に大きな世界がある。人生そのものがそこにあるという感じになってくるんです。実に見事な構造をしています。

真ん中のゆっくりした楽章にアダージョですけど非常に長い旋律がある。その最初の二小節と次の二小節が完全なコントラストになっている。はじめの二小節はこうで(口ずさむ)、次の二小節はこうなんです(口ずさむ)。初めの方は生命感に満ち溢れているのにあとのほうは明らかに死を思わせる。

ひとつの旋律の中に生と死が見事に構造化されている。生の後ろにいつも死があるのが見える。生と死の二つが弁証法的にからんでいって、最後の方になってくると、生も死もない途方もないところに突き抜けるんですね。生死を超越した宗教的といってもいいような非常に高いところに抜け出ている。素晴らしい音楽です。ある意味では実に単純な構造だけど、同時に実に複雑でもある。聴いていてすごく心が励まされる曲です。やはり音楽はここまでいかなきゃダメなんじゃないかと思いました。」

☆ モーツァルトの「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 K.364」(741頁)

「最近生まれてはじめてモーツァルトの<ヴァイオリン・・・>を聴いてビックリしました。素晴らしいですね。典型的なあの時代の様式の曲だけど時代の古さなんてまったく感じさせない。新鮮でした。ちょっとショックを受けました。

長い間音楽をやってきて自分ではオーケストラのことがかなり分かったつもりになっていて“オレのオーケストレーションもなかなかうまくなったな”なんて思いはじめていたんだけど、とんでもない。あれを聴いたら、自分はまだまだオーケストレーションが何もわかっていなかったじゃないかと思って2、3日ショックでした。~中略~

モーツァルトの音楽は表面的な外観とかロジックではとらえきれないものを持っている。ブラームスなんかにしてもそうですが、ああいう人たちは長い音楽生活の中で濾過されて出来上がった直感力というか西洋音楽の伝統に鍛え抜かれた信じられないような直感力を持っていて、それでもってああいう美しいフォームを作れるんですね。ただ一本の旋律だけ見ても実に単純にして、しかし同時に複雑な内容をもった見事に美しい曲を書いてます。

モーツァルトというのは音楽が頭から流れるままにスラスラ書いて作曲の苦労なんかまるでなかったみたいにいう人がいるけど、この間、モーツァルト学者の海老沢敏さんにちょっと話を聞いたら、そうじゃなくて非常に緻密にスケッチをとったりしているというんですね。やっぱり単純なものの背景に鍛え抜かれたものがあるんですね。」

本書を読了後に武満氏の代表作のひとつ「ノヴェンバー ステップス」のライブ盤を発見。ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウとくればこれは聴かざるを得るまいて(笑)。 


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選択の妙味

2016年04月21日 | 独り言

ときどきオーディオの魅力とはいったいどこにあるんだろうと、考えることがある。

もちろん「好きな音楽を好きな音で聴きたい」という本来の目的はあるにしても、それだけではこうも熱心になれそうもない気がする。なにしろ、人生の酸いも甘いもそこそこ噛み分けてそろそろゴールが見えてきた人間が毎日毎日飽きもせずに同じようなことを繰り返しているんだから不思議と言えば不思議。

ま、人それぞれに理由があろうがじぶんの場合は「選択の妙味」にあるんではなかろうかという気がしている。

たとえば人生は“おぎゃあ”と生まれて以降、些細なことから大きなことまで選択の連続で成り立っている。まず大きな節目となる岐路といえば進路(学校)の選択、就職先の選択、そして伴侶の選択、居住地の選択などだが、良きにつけ悪しきにつけまず二度と「やり直し」がきかない。

もちろん転職や離婚、引っ越しなどもできる事はできるがそれがはたして正解かどうかは未知数だし、その間にも確実に歳だけはとっていくので時間という制約が大きく立ちはだかっている。

そういう「やり直し」の利かない人生の「ウサ晴らし」をオーディオの世界で果しているんではなかろうかと思うのである。

そう「江戸の仇を長崎で」というわけで、オーディオは何回も簡単に選択のやり直しが出来るしあまり人にも迷惑をかけないところがいい(笑)。

それでは具体的に、この2日間(19日~20日)の「ウサ晴らし」の実例を挙げてみよう。

前回のブログでは、テクニクスのディヴァイデイング・ネットワークを使ってJBLの「075」ツィーター(1200ヘルツ~)を鳴らしてみたところうまくいったことまでは記載していた。

その続きだが、テレビの音とは違って今度は本格的な音楽を鳴らしてみようというわけでオペラ「マクベス」(ヴェルディ作曲)の出番となったが冒頭のブラスの咆哮を聴いただけでガックリ。

こりゃアカン!チャラチャラした音になって、やっぱり075に1000ヘルツ付近を持たせるのは無理だと分かった。

そこで、075の代わりに持ってきたのが先日購入したワーフェデールのコーン型ツィーター(口径10センチ)だ。

          

能率が低いのでネットワークのボリュームをフルに上げて試聴したところ、「075」よりもはるかにいい!ウーファー(~1200ヘルツ)がフィリップスだから、完璧なヨーロッパトーンだ。

小躍りしながら19日が経過し、翌20日(水)となった。

一晩寝るといつものように熱が冷めてきて(笑)、もうちょっと中高音域に「スカッと爽やかさが出てくれたら言うことなしだが・・」とつい欲が出てきた。そうなると今度はシングルアンプの出番となる。

よし、71Aプッシュプルアンプから171シングルアンプへと交替。

          

ドライバー管を「MHL4」から「MH4」(メッシュプレート)へ、整流管をカニンガムからSPARTONの480に代えたりしながらの音づくり。これでようやく「クラシックはこれで十分だろう」という域まで達した。

ここで止めておけばいいのに、また欲が出てきてジャズがうまく鳴ってくれれば言うことなしだがと、名盤「サキソフォン・コロッサス」(ソニー・ロリンズ)を鳴らしてみた。ソースのゲインがとても低いのでオーディオ泣かせの盤だが、これを聴いてまたもやガックリ。

いかんせんパワーが足りない!

「音色はいいんだが押し出す力が足りないなあ」と、ため息をつきながらまたもやアンプの交替。とうとうPP5/400シングルアンプの出番となった。もう何が何やら訳が分からん(笑)。

         

これにてようやく一件落着。

しかし、よく考えてみるとこの組み合わせは1か月前と同じで結局「堂々巡り」だった!

それにしても人生もオーディオのように選択肢が多いともっと充実して楽しくなるんだがなあ(笑)。


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人間万事塞翁が馬

2016年04月19日 | 独り言

我が家のオーディオルームの乱雑さは相変わらずだが、今回の地震で反省するところがあったので、少しでも整理整頓しようと新たにアンプの置台をつくることにした。

昨日(18日)の午前9時頃のこと、材料となる木板やネジ、クの字型金具などを調達しようと、市内のホームセルフに電話して「お店開いてますか」と問い合わせたところ、「地震の被害で天井が落ちました。店内は立ち入り禁止で再開の目途が立っていません」との返事。

ほかにも2~3店電話してみるもののいずれもアウト。震度6弱の爪痕はかくのごとく凄まじい。

仕方がないので隣の大分市まで買いに行くことにした。お目当てのホームセルフの近くにお住いなのがオーディオ仲間のNさんで、いつも不要になったオーディオ機器をオークションに出品してもらっている。

ついでなので、かねて持て余していたJBLの「2440」ドライバー(ペア)を持って行くことにした。「375」の後継機種として有名な代物だが我が家にはとうとうそぐわなかった。理由はいろいろあるが面倒くさいので省略(笑)。

これでJBLの機器は残すところD130ウーファー(口径38センチ)と075ツィーターの二つだけとなった。もはや、いつ刑場の露と消えるか風前の灯である(笑)。

午後からは持ち帰った材料でアンプの置台を2個作って、機器類を納め直した。

        

かなりスッキリとなってようやく一段落。3時半ごろから運動ジムへ出掛けて一汗流し、これで午後の仕事はお終い。

夕食後にほろ酔い機嫌で音楽を聴きながら「とうとう2440も手放したし、この次はいよいよ長いことお世話になった075の順番かなあ。最後の確認のためにもう一度試してみっか」と、直し込んでいた075を引っ張り出した。

          

つい先日購入したテクニクスのディヴァイディング・ネットワークを使ってSPコードを接続。クロスオーヴァーは1200ヘルツ仕様となっており、カタログ上の075の使用範囲の周波数はたしか3000ヘルツ以上なので無理を承知での使用だ。

使用するアンプが真空管式のたかだか出力2ワット程度なので、壊れることもあるまいと横着を決め込んだわけだが、いざ「音」が出てみるとこれがなかなかいい。

なにしろ能率が109dbとメチャ高いのでアッテネーターのボリュームをミニマム10のところを8.5に絞ったが、とてもクリヤーでまるで澄み切った青空のような爽快さがある。さすがはJBL!

一番気になったヴァイオリンの音色にしてもテレビに録画しているモーツァルトの「ヴァイオリン協奏曲」(ムター)を聴いてみたところ水も滴るような美しさ。とても金属のダイヤフラムから出てくる音とは信じられない。

          

恐れ入りました。やはり重さが軽く10kg以上はあるステンレスの特注ホーンが利いているようで1000ヘルツ近くまで下げてもまったく音が暴れない。

これをオークションに出すなんてとんでもないことだった(笑)。

また1200ヘルツ以下を担当しているフィリップスのユニット(口径30センチ:アルニコ・マグネット)も音声信号に対する応答性が早く、075のスピードに十分ついていけるようで両者の繋がりの違和感はあまり感じられない。

あとはオペラがどの程度聴けるかである。ヴェルディ作曲の「マクベス」がうまく鳴ってくれればメインとして十分活躍出来る。

このブログをつくっている時刻は午前4時半過ぎ。こんな時間に大きな音を出すわけにはいかないので、9時過ぎになってから挑戦してみよう。

今回はひょんなことから「思いがけない展開」になってしまった。まったく地震のせいである。

「人間万事塞翁が馬」とはこのことかな(笑)。

そういえば・・・。

何かの雑誌で読んだことがあるのだが、とあるオーディオ愛好家が「阪神淡路大震災」に遭って、オーディオシステムが全壊し、仕方なくまったく新たに機器を購入して編成し直したところ見違えるほどお気に入りの音が出るようになって、これも地震のおかげだと感謝するお話。

まあ、よほどの金満家だろうが一般的に自己のシステムをドラスティックに替えるとなると地震災害などの外的要因しか思い浮かばない。

話がちょっと飛躍するが、日本は黒船来航によって長い封建制度が崩壊するきっかけになったし、さきの戦争によって民主国家に生まれ変われたし、好むと好まざるにかかわらず現状を根こそぎ変えるとすれば今のところ外的な衝撃しか見当たらないようだ。


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新しい遊び道具

2016年04月17日 | 独り言

周知のとおり九州地方で地震が頻発しているが、取り分け昨日(16日午前1時25分)の本震は凄かった。

別府に住み初めて36年になるが初めて経験する激烈な揺れで、すぐに飛び起きてオーディオルームに駆け込んだが、さしたる被害も無くホット安堵の一息(笑)。

それにしてもいつも利用している「オーディオ街道」(高速道路)は山崩れでズタズタになっているが、不幸中の幸いで走っている最中に地震が来なくて良かった。つくづく人間は自然の手の平の上で踊らされていると思う。

それはともかく、ご心配のメールをいただいた関係者の方々に対しこのブログを借りて改めて感謝です~。


さて、先日(ゴルフの)「マスターズ選手権」で活躍した日本の松山選手。

3日目を終わって2位というから世界の並み居る強豪を相手に大したものだと感心しながらテレビ中継を見ていたところ試合後のインタビューのコメントを聞いてガッカリした。

「プレッシャーで押しつぶされそうになりました。」みたいな趣旨だったが、「こんなことを言ってるようじゃあ、この人永久に大きな大会では優勝できないかもしれないねえ」と思った。

「滅多にないチャンスなので大いに楽しませてもらいました」ぐらいの気持ちのゆとりが欲しい~。

スポーツをはじめとして物事に熟練していくうえである程度のレベルに達すると、テクニック的な面に加えてメンタル的な要素が凄くモノをいってくるように思うし、それが逆に萎縮するようではちょっと心許ない。

そもそも物事の「到達度」なるものを
先人たちが様々なレベルに分類しているが、究極のレベルは「遊の境地」とされている。つまり「学んだ内容にとらわれずゆったりと遊べる境地」だという。

「遊び」というと何だおふざけのように思う向きもいるだろうが、伸びきったゴムは用をなさないし、クルマのハンドルだってアソビが要るのと同じで人間何かしら幅というものが欲しいところで、そういう幅から「遊び」の境地が生まれてくる。

我がオーディオも一日も早く「遊の境地」に到達したいものだが、それは無理としても「楽しくやる」という気持ちだけは人後に落ちない自信がある。それも、あまりお金をかけないようにすると益々楽しくなる(笑)。

お金をかけないオーディオとなるとまず思い浮かぶのがオークションで「遊び道具」を見つけるには最適のツール。

1週間ほど前のこと、ビンボー人にも簡単に手が出せるほどのお値段だったので落札したのが「テクニクスの2ウェイネットワーク」だった。

          
クロスオーヴァーが1200ヘルツ(12db/oct)というから、これは手持ちのタンノイの同軸2ウェイユニットに使えると踏んで落札してみた。自宅に届いたのでさっそく性能試験を実施。

久しぶりにタンノイのユニットを昨日(16日)の午後引っ張り出して「171シングルアンプ」に繋いでみた。

         

無事にバランスが取れた音が出てくれてホッと一息。このネットワークが十分使えることが分かった。

現在ウェストミンスターの箱に入れているユニットは「フィリップス」で、今のところまったく不満はないもののこれで選択肢が広がった。そのうち入れ替えて試聴してみることにしよう。

ちなみに、ウェストミンスターからなぜオリジナルのユニットを外したかというと、付属していたネットワークの音が好みに合わなかったのが一因だが、このネットワークだと高音域のボリューム調整がついているので楽しく付き合えそうだ。


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「最高の音」が出た試聴会

2016年04月14日 | オーディオ談義

今回ばかりは(ブログの)タイトルをどうしようかと迷ってしまった。

あまり華々しいタイトルにすると、二年前のように心ない読者から「はしゃぎ過ぎ」と中傷されるに違いないのでしばしためらったが、事実は事実なので“ありのままに~”ということでいかせてもらおう(笑)。

それほど昨日(13日)の試聴会は極めて評判が良かった。

なにしろお客さんのKさん(福岡)が「これまで聴かせていただいた中でAXIOM300もウェストミンスターも最高の仕上がりでした。(ヴァイオリンの)グァルネリとストラディヴァリの音の違いがこれほどはっきり分かったことはありません。この音なら、どなたが聴かれてもきっと驚かれると思いますよ。」

実はじぶんも「これまでで最高の音になった」と大いに自信があったのだが、そう思いつつこれまで何度も何度もそれが短慮の至りだったことを経験してきたので半信半疑だったのだがようやく自信が確信に変わったといえる(笑)。

今回の試聴会のテーマはおよそ2か月ぶりに我が家にお見えになるKさんなので、その間に変遷した我が家のシステム状況を聴いていただくことだった。

「男子三日会わざれば刮目して見よ」という故事があるが、我が家の場合は日変わりみたいにクルクル変わるので何が何やらサッパリだが、まあ、強いて挙げるとすれば次の2点に尽きるだろう。

 二系統のSPについてデヴァイディング・ネットワークの導入と追加したコーン型ツィーター(4000ヘルツ~)の効果

 
第4次改造が済んだ「PX25アンプ」の仕上がりぶり

           

はじめに聴いていただいたのは手前右側のスピーカーからで、グッドマンの「AXIOM300+ワーフェデールのコーン型ツィーター」。

「AXIOM300とワーフェデールの繋がりに全然違和感がありませんね。もしかしたらこのツィーターはマグネットの色が赤ですし、OEMでグッドマン製かもしれませんよ。。そう思わせるほど音が似通ってます。4000ヘルツでクロスさせたのは正解でしたね。トレバックス(グッドマンの専用ツィーター)とAXIOM301との2ウェイ構成のときもクロスオーバーは5000ヘルツにしてますから。」

駆動したアンプはPP5/400シングルアンプ。

           

これまで3回にわたって改造してきたアンプだが、このほどようやく「北国の真空管博士」の裏ワザによってトドメを刺してもらった(笑)。PX25系はμ(増幅率)が高くて、グリッドの処理にも独特の個性がありとても鳴らしづらい球として有名だがやはり独特のノウハウが必要のようだ。

出力管PP5/400(初期版)の次にPX25を、そして整流管をムラードの「GZ33」「GZ32」、STCの「5R4GY」を差し替えるなどいろいろ「球転がし」をしたが、音質がコロコロ変わるので真空管アンプならではのお楽しみ。

この中ではSTCの「5R4GY」が一番いいはずだったが、ガラスの内側が曇っていてどうやらヘタって来ているようでイマイチだった。整流管の劣化は想像以上に進みやすく、しかもじわじわと進行するので気が付きにくい。いっそのこと劣化したときはスパッと音が出なくなってくれた方がいいのに~(笑)。それにしても整流管は鮮度が大切だと肝に銘じたことだった。

これまで何度もPX25アンプを聴かせていただきましたが、中高音域の独特の艶にどこか芝居気があって、どうしても馴染めませんでしたが、今回はガラリと印象が変わりました。とても爽やかで品のいい音です。やはりいい球なんですね~。しかもこれまでと違ってPP5/400とPX25の差が接近してきましたよ。」とKさん。

ジャズからクラシック、そして声楽までいろんなジャンルをいっさい破綻なく鳴らしきったところで、いよいよ佳境に入って画像左側のスピーカー・ウェスミンスターへ。

駆動したアンプは「71Aプッシュプル」アンプ。試聴盤はオペラ「マクベス」(ヴェルディ作曲)。

          

「たった出力2ワットぐらいでこんなに豊かな、そして制動力のある低音が出るんですか!オペラもいろんなところで聴かせていただきましたが、こんなに伸び伸びと歌い上げる歌手たちは初めてです。それに、フィリップスのユニット(口径30センチ:アルニコマグネット)がとても利いてますね。メーカーが口径38センチのユニットは作らない、30センチで十分だと豪語したのがこれでよく分かりました。」というのがKさんの第一声だった。

ここでもデヴァイディング・ネットワークにより4000ヘルツでクロスさせたツィーターが大活躍。グッドマン製と称するものを聴いていたところ13時頃に玄関のチャイムがピンポ~ン。

宅急便のヤマトさんだった。一昨日オークションで落札したばかりの新たなコーン型ツィーターの到着だ。

               

サンヨーさんの型番SX401というシステムに付いていたツィーター・ユニットだという。口径はわずか5センチ。どうしようかと迷ったが製品の仕様をググってみると、「エッジレス」という極めて魅力的な言葉があったので迷わず飛び付いた!お値段はわずかガソリン10リッター分(笑)。

「サンヨーですけど付け替えて聴いてみますか?簡単な作業で済みますよ」と、お誘いすると「当時、サンヨーは松下(テクニクス)と姉妹会社です。いろんなノウハウが渡っているでしょうからけっしてバカに出来ませんよ。」

「それならちょっと待ってください。」事前準備していたバッフルに4か所のネジ止めと、ハンダでプラス、マイナスのコードを焼き付けて15分ほどで完了。

すぐに音出ししてみると、二人とも「グッドマン製(?)のツイーターよりもこちらの方が相性がいい!」。

まったくオーディオは値段じゃないですねえ~(笑)。

次いでオペラ「マクベス」を「是非AXIOM300の方でも聴かせてください」とのたってのご要望だったので、システムを切り替えた。「どちらがいいとも悪いとも言えませんが私はAXIOM300の鳴り方の方に魅力を感じます」とKさん。

スケール感よりも音のスピード感を何よりも重視されるKさんらしいご感想だが、じぶんはどちらかといえばウェストミンスターで鳴らした方が好き。この辺にどうしても二人の好みの差が出てきてしまうがそれはそれで仕方がない。

きっかり16時にKさんが辞去されたのでおよそ6時間にわたる試聴会だった。今回は我が家において「史上最高の音」が出たといっていいが、同時に、お客さんに対してこれまでずっと最後の切り札としてきた「AXIOM80」の出番がないままに終わった試聴会もこれが初めて~。


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新しいコーン型ツィーター用のホーンづくり

2016年04月12日 | オーディオ談義

オーディオはほんのちょっとした“きっかけ”から大掛かりな変革につながることが再々ある。

今回の発端はSPシステム「AXIOM300」の高音域の伸びに不満を持ったことから始まった。その解消の一環として試しにコーン型ツィーター(ワフェデール)とデバイディング・ネットワークを購入してクロスオーバーを4000ヘルツにして繋いでみたところ、完璧と言えるほどに不満が解消した。

金属の振動板と違ってコーン型のツィーターは耳に優しく、クラシックを聴くのにはもってこいで、それかといってジャズ系のシンバルの鳴り具合も堂に入ったもので十分鑑賞に耐えるものだった。

こうなると、夢よもう一度で猪突猛進型になるのが自分の悪い癖だと自覚しているものの今回も止まらなかった。

同じやり方でウェストミンスターの改革に取り掛かったところ、フィリップスの中低音用のユニットと手持ちのJBL075ツィーターの相性がイマイチで、オーディオの難しさを改めて痛感したが、そういうときはあっさり075に見切りをつけるに限る。

ワーフェデールのようなコーン型ツィーターがないものかとオークションで漁ったところ目についたのがグッドマン製と称する代物。未使用だそうで口径5センチ。

            

はて、グッドマンにこういう製品があったかなあ?たしかに裏側のシールに「GOODMANS」と書いてあるのだがちょっと怪しい。ネットでグッドマン社の製品一覧を覗いてみたものの載っていない。

ただし、お値段はメチャ安い(笑)。まあ、この程度ならハズレたときでも実害はしれたものだと騙されたつもりでスンナリ落札。

ワーフェデールのツィーターのときと同じようにバッフルをつくって取りつけて鳴らしてみたところ、取り立てて違和感もなく075と比べるとずっと相性がいい。このグッドマンは本物かもしれないと思えるほど音の素性がいい。購入して大正解だった。

すると、つい工作意欲を掻き立てられて、よし、ホーンを取りつけてみよっか!

ウェストミンスターの低音域部分は周知のとおりショート・ホーン(フロント)になっているので、高音域部分にもホーンにする方が相性がいいかもしれないと思ったのがその理由。

こういう類のホーンはいっさい市販されていないので自作するしかない。見場は悪いが仕方がない。

材料探しはいつもまず100円ショップから始めることにしている(笑)。

幸い常連となっている運動ジムの斜め向かいに立地しているので利用するのにとても便利がいい。店内をブラリと回る中でふと目についたのがブリキ製のカップ。

            

オオ、これはまさにピッタリじゃないかと、思わず唸ったねえ!ブリキといっても薄いから「万能ハサミ」で切っていけば加工が容易そうだ。失敗したときのことも考えて3ペア(6個)購入した。

時間にして3時間ほどかかっただろうか。ブリキ型ホーンとバッフルとの接合部に隙間が空かないように「シリコーン シーリング材」を充填して出来上がり~。

            

これで鳴らしてみると音が激変した!レンジは大きく広がるし音に並々ならぬ浸透力が出てきて驚嘆。

オーディオは大概どこかが良くなると、どこかが悪くなるといった調子でプラス、マイナスの世界になるのが普通だが今回ばかりはプラスオンリーだった。ホーン効果恐るべし!

これに味をしめて「AXIOM300」に追加したワーフェデールのツィーターにも同様にブリキ型ホーンを付けてみた。取り付けのコツはバッフルとホーンとの接合部にあるがちょっと言葉で表現するのは難しい(笑)。

           

これまた付ける前と後では大違い。ただし自画自賛も度重なると顰蹙をかうだけだからこの辺で止めておく。

「AXIOM80」を除いてガラリと一変した我が家のシステムだが、明日(13日)、Kさん(福岡)が試聴にお見えになるというので第三者の冷静な判断を仰ぐことにしよう(笑)。


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元の木阿弥

2016年04月08日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

4月1日から4日まで疾風怒涛の4日間だったが、今回はいよいよシリーズ3部作のお終い。

4月4日(月)

例によってお昼ごろに東京のオーディオショップからアッテネーターが到着。SP用のアッテネーターを繋ぐのは初めてだったが、DN-6の説明書どおりにしたら簡単だった。アッテネーターの端子に番号が1~3番まで割り振られてあるので分かりやすい。

1時間ほどでハンダ付けによる結線完了。

さあ、いよいよ試聴開始。フィリップスのウーファー(~4000ヘルツ)とJBLのツィーター075(4000ヘルツ~)の相性やいかにということだったが、そうは問屋が卸さなかった。やっぱりオーディオは甘くない。

        

両者の音質に違和感があって、どうもしっくりこない。もしかすると並み品のアッテネーターを買ったせいかもしれない(笑)。とりあえず、JBL075のボリュームをぐっと絞って控え目に鳴らすことにした。

実を言うと、いまだに過去においてJBLシステムをうまく鳴らせなかったという憾みが心の中に澱のように溜まっている。執念深いタチなのでいつかは雪辱をと秘かに狙っているのだが、これでは道遠しだ。8Ω用のツィーターを別途調達した方が良さそうだ。

そのうち14時ごろに大分からお客さん2名がご来訪。いつもオークションの出品をお願いしているNさんとMさん。ご両名とも熱心なマニアでそれぞれアルテックのA7、タンノイ・オートグラフを愛用されている。度々我が家にお越しになっているので、過去のシステムの変遷を熟知してある。

今回は丁度、システムの仕上がり具合を聴いていただくのに絶好の機会となった。

はじめに「グッドマンのAXIOM300+ワーフェデールのコーン型ツィーター」の出番。両方ともマグネットはアルニコ・タイプで、駆動するアンプはPX25シングルとオール・イギリス勢だ。そういえば音の入り口のCDトランスポートとDAコンバーターもdCS(イギリス)だ。

ボーカルや小編成の弦楽器を主体に1時間ほど聴いていただいたが、とても品のいい艶やかな響きに十分ご満足していただいたようだ。ワーフェデールを追加したおかげで倍音の響きの豊かさには持ち主ながら惚れ惚れするほどだった。「黄金の組み合わせ」とはこういうことを指すのだろう。自画自賛は滅多にしないのだが今回は別(笑)。

次は、にわか仕立てのウェストミンスターの出番。

駆動するアンプは「71Aプッシュプル」。シングルアンプには望めそうもない中低音の厚みとキレの良さは格別。改造のおかげでナス管の「227」(4本)が使えるようになったのは大きい。

試聴盤はオペラ「マクベス」(ヴェルディ)。大編成のオークストラと弩迫力のボーカルの組み合わせはテスト盤に持って来いである。

「雄大な音だ。この箱じゃないと出ない音。」と、なかなかの好評を博した。

現時点でツィーターとの相性を考えれば上出来の部類だろう。

最後の出番は「AXIOM80」で、アンプは「AXIOM300」のときと同じ「PX25シングル」。

澄んだ音色が響きわたって、一瞬にして部屋中の雰囲気が透明感と静寂感に包まれた。

「これは・・・」と一同絶句して、しばし沈黙。ふと、小林秀雄さんの名著「モーツァルト」にこういう一節があるのが思い浮かんだ。

「美は人を沈黙させるとはよく言われる事だが、この事を徹底して考えている人は意外に少ないものである。優れた芸術作品は、必ず言うに言われぬ或るものを表現していて、これに対しては学問上の言語も、実生活上の言葉も為すところを知らず、僕らは止むなく口を噤むのであるが、一方、この沈黙は空虚ではなく感動に充ちているから、何かを語ろうとする衝動を抑え難く、しかも、口を開けば嘘になるという意識を眠らせてはならぬ。そういう沈黙を創り出すには大手腕を要し、そういう沈黙に堪えるには作品に対する痛切な愛情を必要とする。」

3時間に及ぶ試聴が終わって、ご両名に「どのスピーカーが好きでしたか?」とストレートに伺ってみた。

異口同音に「それはもうAXIOM80に決まっているじゃないですか」。


違う答えを予想していたのでガックリ。な~んだ、元の木阿弥かあ!(笑)

翌日、真空管アンプを愛用されているNさんからメールが届いた。

「昨日は、お邪魔しました。〇〇様のシステムは、お伺いする度に変化が有り大変楽しいです。特に、ビンテージの真空管とビンテージスピーカーの組み合わせがいろいろ楽しめて”ベリー ナイス"でした。」

どうもお疲れ様でした。
 

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柳の下に二匹目のドジョウを狙う

2016年04月07日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

先日のこと、「開運!何でも鑑定団」(テレビ)を観ていたら、たいへんな骨董マニアが登場して「名品を集めるためには次の3つの条件が要ります」と述べていた。

1 (骨董が)好きで好きで仕方がないこと

2 (骨董の)勉強をしなければいけない

3 (骨董を)集めるお金がなければいけない

「このうち、2と3はダメですが、1だけはだれにも負けません」とのこと。

そうなんです!オーディオにも相通じるところがあって、じぶんも2と3はダメだが1だけは誰にも負けない自信がある。とにかく好きじゃないと40年以上もやってられませんからね~(笑)。

ところで、同じ趣味をずっと続けているといいこともある。たとえば段々カンというものが働くようになるのはたしかで、もちろん百発百中とまではいかないが7割程度はうまくいく。

オーディオの場合にカンを働かせる必要があるのはオーディオ機器の性能の品定めである。これまで分不相応の授業料を払って何度か大火傷をした苦い経験が役に立っていると思うのだが、「手頃なお値段で性能がいい」機器の発掘にかけてはかなり目が肥えてきた。

今回がまさにそうだった。

オークションで手に入れたパイオニアのデバイディング・ネットワーク機器「DN-7」(16Ω仕様)の性能にはピ~ンとくるものがあった。何よりもクロスカット周波数が(以下「クロス」)4000ヘルツというのが気に入った。

なぜか。

個人的な意見を言わせてもらおう。古来、人間の耳は他人の声を明瞭に聴き分けられないと生きていくうえでとても不便なので1000ヘルツあたりまではとても鋭敏に聴き分けられるようにできている。人間の声の基音は周波数でいくとおよそ「100~1000ヘルツ」、倍音を含めるとおよそ「100~7000ヘルツ」ほどになる。

したがって、1000ヘルツあたりまでに振動板の違うユニット同士をクロスさせるとどうしても音質が濁って違和感を感じる。名門タンノイさんが頑固なまでにクロスを1000ヘルツとやや高めにしているのもおそらくその辺が理由だろう。

じぶんがフルレンジ・スピーカーを好む第一の理由がそれだが、それが今回の場合クロスが4000ヘルツとなると、もうほとんどフルレンジの鳴り方に近いというのがお気に入りのワケ。

そこで、「柳の下に二匹目のドジョウ」を狙って、
今度は同タイプで8Ω仕様の「DN-6」が欲しくなった。お目当てはウェストミンスターに容れているフィリップスの口径30センチのユニット(アルニコタイプ)が8Ω仕様なので、これに8Ωのツィーターを噛ませてみようという算段。

「DN-6」でググってみると東北の「〇〇無線」という会社の販売リストにあったので照会してみると1セットだけ在庫有り。しかもオークションで購入した値段の半値というからうれしい悲鳴。

4月3日(日)

例によってお昼ごろに「DN-6」が到着。元箱入りの新品だ。

          

さあ、お膳立てが整ったので今度は大型スピーカーのウェストミンスターいじりを開始。手慣れたものであっという間に結線終了。はじめに4000ヘルツ以上を受け持たせるためにリチャードアレンの「ニューゴールデン8」(口径20センチ)に繋いでみた。この人、ときどき常識はずれのとんでもない発想をするのだ(笑)!

          

部屋中が音の洪水になった感じでオペラなんか弩迫力だが、長く聴いていると疲れてくる~。ご覧のように上下のユニットの位置がやや離れているのが難点だし、4000ヘルツ以上は音源が小さい方がいいみたい・・。

そこで、いよいよ真打JBL「075ツィーター」の登場。ただし、周知のとおり能率が109dbとメチャ高いのでフィリップスのユニットとマッチングさせるにはアッテネーターが必須。

そのアッテネーターが東京のオーディオショップから到着したのは4月4日(月)。しかもその日はお客さんが大分から2名ご来訪。

もう忙しくてたまらん(笑)~。

以下、続く。


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オーディオ三昧の4日間

2016年04月05日 | オーディオ談義

オーディオってほんとうにおもしろい!

いい歳をした大の男がひたすら家に閉じこもってああでもない、こうでもないと繰り返すさまはオーディオに興味のない人からすると滑稽極まりないだろうが、当人にとっては至福の時間。

この4日間(1日~4日)がまさにそうだった。真空管アンプいじりも楽しいがスピーカーいじりはもっと楽しい。

アンプの役割といえば増幅系統の終段としていかにスピーカーを牛耳るか、いわば攻め
側になるが、スピーカーはシステムの中で変換系として異質かつ孤高の存在であり、アンプの言うとおりになってたまるものかと自己の個性を守る側になる。

勝手な比喩だが野球で言えば、4番バッターがアンプだとするとエースピッチャーに当たるのがスピーカー。どちらが試合の結果により影響を及ぼすかとなると、やはりエースピッチャーでしょう(笑)。

このところすっかり健忘症になっているので、以下、後日のために日記風に記録しておくことにした。

4月1日(金)

オークションで落札したワーフェデールの「コーン型ツィーター」(以下、「ツィーター」)の到着を首を長くして待っていたところようやく昼ごろに到着。どうやらヤマトさんはこの地区の配達を昼時と決めているようだ。

現物を見てようやく実際の寸法が分かったのでさっそく取り付けるバッフルづくりに取り掛かった。まず横21センチX縦16センチX厚さ1・5センチの小さな板にジグソーで口径10センチほどの穴を開ける。それが済むと、見かけも大切なので黒い塗料を塗って乾くのを待つ。左右両チャンネル分なので2回同じことを繰り返す。

細かい寸法取りが実に面倒で思いのほか時間がかかって3時間ほど費やしたが、ようやくお目当ての「AXIOM300」の上に載せた。

         

可聴帯域(20~2万ヘルツ)のうち波長が短い高音域部分を担当させるのでコーン紙の後ろ側に出る音(逆相)の前方(正相)への回り込みは心配しなくていいだろうが、やはり気になるので心もちだが側板を取り付けた。注意すべきなのはAXIOM300との振動板の位置合わせだが、こればかりは目分量でいくしかない。

まずアド・オン・ツィーター方式で鳴らしてみた。

つまりAXIOM300をフルレンジのまま鳴らして、その高域部分にさらにツィーターの超高音域を追加するやり方である。当然ローカットが必要なのでマイカコンデンサー(0.075μF=マイクロ・ファラッド)
を使った。

最初に1個だけ使ったが、ツィーターの能率が低いとみえて音が出ない。よ~しそれならと、マイカコンデンサーを4個パラってみた。したがって、0.075μFX4なので0.3μFになる。

これで丁度いい頃合いの音になって、繋がりもたいへんよろしい。とても聴きやすい音になってこれで十分だと、つい満足感に浸ってしまった。

4月2日(土)

この日はこれまたオークションで落札したパイオニアのデバイディング・ネットワーク機器「DN-7」(16Ω仕様:12db/oct)がお昼ごろに到着。スイッチひとつで2ウェイにも3ウェイにも切り替えられるという優れものである。

今回はもちろん2ウェイ方式で、クロスオーヴァーは4000ヘルツに固定されている。つまり周波数4000ヘルツを境に低い方の部分はAXIOM300が担当し、高い方の部分はツィーターが担当する。

接続方法は実に簡単だったが、SPコードの端末処理がたいへんで意外に手間取ったが「どういう音が出てくれるんだろう」が推進力となって根気よく作業に没入して無事完了。

          

一瞬、画像の角度に途惑うだろうが、楽屋裏というのはこういう調子(笑)。

胸がワクワクドキドキの緊張の音出しだったが、思わず唸ったねえ!

何というスッキリ爽やか感、そしてとても品が良くて艶があってこれぞまさしく「ブリティッシュ・サウンド」!

こりゃまったく
グッドマンとワーフェデールは同じ穴の貉(むじな)だねえ。さすがにイギリス勢同士。それに一番心配していたユニット同士の能率の違いもまったく気にならず、ツィーター用のアッテネーターが不要と分かって音質と出費の両面からとてもありがたい。

前日のアド・オン・ツィーター方式も満足のいくものだったが、比較すると断然こちらの方が上。つくづく冒険はするもんですなあ(笑)。もしかしたら「AXIOM80」よりも上を行くかもしれない。

しかし、これで満足することなくまだまだ「オーディオおじさん」のチャレンジは続く。

翌3日(日)はもっとスリルとサスペンスに満ちたものになったが、長くなるのでここでお終い~。

以下、続く。


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ワーフェデールのコーン型ツィーター

2016年04月01日 | オーディオ談義

先日(3月26日)、我が家にお見えになったSさん(福岡)は生粋のブリティッシュ・サウンド愛好派である。

使用されているアンプとスピーカーはすべてイギリス製だし真空管にしてもアメリカの球はいっさい見向きもされない。自分のように音がいいとなれば国籍を問わず何でもかんでも飛び付くノンポリ派とは大違いである(笑)。

当日の試聴中に丁度いい機会とばかり相談を持ちかけた。

「このところ気になっているのがAXIOM300の高域部分です。今でも十分鳴ってくれているのですが、ツィーターを加えるともっと良くなりそうな気がして仕方がありません。

折よく、ワーフェデール(イギリス)のコーン型ツィーター(アルニコ・マグネット)がオークションに出品されてますがトテモ迷ってます。明後日の月曜日(28日)が落札日になってますがどうしたもんでしょうかね?」

ワーフェデールはとてもいいですよ。実はAXIOM80を購入するときにどちらにしようかと随分迷いました。ツィ-ターをあらぬ方向に向けたりしてコンサートホールの雰囲気の再現を目指したメーカーです。クラシック音楽の鳴らし方をよく知ってますが、どうしてもボーカルの定位が物足りなくてAXIOM80にしました。しかし、今でも未練があります。とてもいい買い物だと思いますよ。グッドマンのウーファーとワーフェデールのツィーターの組み合わせは最高でしょう。」と、Sさん。

「そうですか・・・。」

迷いが吹っ切れたので、ひとつトライしてみますかな~。口径がわずか10センチそこらの小型ユニットである。マグネット部分が赤色というのは「AXIOM80」もそうだが、「赤色にハズレなし」という伝説があるのをご存知だろうか(笑)。

            

入札数が20件にも及びかなりの人気だった。予想外の高値に渋い顔だが、墓場にお金を持って行けるわけでもなし、ま、いっか。

出品者と順調に連絡を取り合って、いよいよ本日(金)に到着予定。

さ~て、どういう使い方をしよっか。

1案 AXIOM300はフルレンジのままにして、ワーフェデールをマイカコンデンサーでローカットして超高域分だけ使う。

2案 2ウェイ式のネットワークを使って周波数を分割する。

1案が一番無難な使い方だが、そのうち欲が出てきて2案に移行するのは目に見えている。そこで手頃なネットワークがないかしらとオークションを覗いてみると丁度いいのがあった。

           

パイオニアの「DNー7」である。12db/octで16Ω式、2ウェイ/3ウェイの切り換えが出来るようになっており、2ウェイのときは4000ヘルツがクロスオーバーとなって丁度頃合いのいい数値。メチャ手頃なお値段だったので即決で落札。

おそらく高域用のアッテネーターが要るだろうが、来てから考えましょう。この「DN-7」も本日(金)到着予定。

スピーカーはフルレンジに限ると思うが、2ウェイなどに発展させるとヴァラエティが豊かになり手間と時間がかかること請け合いで暇つぶしにはもってこいである(笑)。

最後に、Sさんから「モニター・シルヴァー入りのオリジナルのタンノイ・オートグラフ」の続報が入ったので紹介しておこう。

「日本にやって来たシルバーinオートグラフは、思った以上に調整に時間が掛かっていて、試聴が出来るようになるのは4月の後半以降になる様です。何しろ60年以上も前の製品ですから仕方がありませんね。

そして、既に購入希望者が7名も居るそうです。TEACからは自社主催の試聴会を開催したいので、売却する前に一度貸し出して欲しいとの依頼があってるみたいで、実際に売りに出されるのは、もっと先の事になりそうです。しかし、店主は売却先をどうやって決めるのでしょうかね?」

こう返信した。

「あんなに高額なのに7名も購入希望者がいるとは驚きです。売却先は結局、札束で両方の頬っぺたをヒッパタいてその回数の勝負ということでしょうかね。久しぶりにオーディオ界に衝撃が走りましたが、オーディオにも血沸き肉躍るような夢が必要な気がしてきましたよ(笑)。」

すると、こういうメールが届いた。

「残念ながら私は一回しかヒッパタけませんので端から勝負になりません。しかし、歳はとってもオーディオファイルの情熱、まだまだ覚めやらずと言ったところでしょうかね。最終的にどうなるのかは全く予測がつきませんが、WINNERが中韓でない事を祈るのみです。」

そうなんですよねえ・・・。


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