オーディオ専門誌で、アンプ製作などメカニック関係の記事が主体となっている「無線と実験」の最新号を見ていたら、巻末の方にCD紹介のコーナーがありアメリカのヴァイオリニストのヒラリー・ハーン「シベリウス/シェーンベルクのヴァイオリン協奏曲」が2008年のベストCDなる(音楽評論家の)コメントがあった。
シベリウスのヴァイオリン協奏曲には目がないのでこういう記事を見付けると心穏やかではない、早速HMVを覗いて例の「3枚セット割引」に便乗して以下のCDを注文。1週間もしないうちに配達された。
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1 「ヒラリー・ハーン プレイズ・バッハ」 録音年次:1996~1997年
この盤は彼女のデヴューアルバム「バッハ無伴奏ソナタ・パルティータ集」にあたるもので、ディアバゾン・ドール賞を受賞して話題となったもの。何だかわけが分からない「知る人ぞ知る賞」のようだが、鮮烈なデヴューを果たしたともいえるもので、以前オーディオ仲間のM崎さんからコピー盤を譲り受けていたものだが気に入っていたのでこの際改めてオリジナル盤を購入したもの。演奏の可否は別として録音(音質)は抜群でヴァイオリンの冴え渡った音色には陶然とさせられる。
2 「エドガー ヴァイオリン協奏曲/ラルフ・ヴォーン・ ウィリアムス ザ・ラーク・アセンディング」 録音年次:2003年
いわゆる「SACD/CD盤 」と称されるもので、通常のCDトランスポート(ワディア270)でも聴ける。バックのオーケストラがコリン・デーヴィス指揮ロンドンシンフォニーとあったので購入する気になったもの。
3 「アーノルド・シェーンブルク/ヤン・シベリウス ヴァイオリン協奏曲」録音年次:2007年
CD3枚が入った梱包を開けるとまず本命のシベリウスのヴァイオリン協奏曲をいの一番に聴いてみた。ヴァイオリンの出だしのソロを聴いただけで、オーケストラとの(音量)バランスがまずとれていることにひと安心。ワディム・レーピンの同曲録音で苦い思いをしたのでつい神経質になってチェックしたものだが、ヴァイオリン協奏曲の場合はホントに難しい。
とにかく最新録音なので音質が抜群にいいのが最大のメリット。しかし、非常に残念なことに音楽的には胸を打つものがない。ただヴァイオリンが鳴っているだけで感銘を受けるにはほど遠い演奏。
これまでこのヴァイオリン協奏曲には特別に思い入れがあって、ヌヴー、ハイフェッツ、オイストラフ、アッカルドと一流どころを聴きこんできたので北欧のリリシズムと郷愁をどう表現するかは分かっている積もり。
この程度なら、ワディム・レーピンの演奏のほうが音質は劣るがまだ魅力がある。ハーンは1979年生まれということなので今年で30歳前後。まあ、レーピンとは7歳の開きがあるので年齢的には十分情状酌量の余地あり。逆に健闘しているという見方も出来るかもしれない。
クラシック音楽の伝統がないアメリカ出身のヴァイオリニストがこれから長い目で見てどういう変容を遂げていくかということになるのだろう。とりあえず、ブラームスのヴァイオリン協奏曲をデ・ヴィートと抱き合わせで注文しているのでそちらの方をじっくりと聴いてみて感想を改めて持ち越しすることに。
以上、私見とはいえ大胆な感想でした。