「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

音楽談義~マーラー作曲「大地の歌」8枚の試聴盤~

2009年11月28日 | 音楽談義

久しぶりにクラシック音楽を話題に。

グスタフ・マーラーの晩年の大作「大地の歌」は聴くたびに、そして歳をとるごとに印象が深くなっていく。

作曲の経緯については1907年に友人から贈られた「シナの笛」の詩集(李太白、孟浩然などの詩集)にマーラーが深い感銘を受けたことに発する。当時、健康の衰え、死が近いことを予感していたので東洋的諦観、無常感に深い共感を覚えたことによるものだ。

六楽章からなる全楽章をこの詩集の詩を歌曲として用いている。第一楽章は「大地の哀愁を歌う酒の歌」で詩は李太白で”生は暗く、死もまた暗い”と結ばれる。

以下第二楽章は「秋の寂しさ」、第三楽章は「青春について」、第四楽章「美について」第五楽章「春に酔った者」そして最後の第六楽章は「告別」として第一~第五楽章の集大成として全曲のほぼ半分に当たる長大な楽章になっている。

奇数楽章はテノール、偶数楽章はコントラルトまたはバリトンで歌われる。

自分が一番好きなのは第六楽章。

永遠なる大地の美しさへの憧れとこの世への惜別の情を告白する心境が万感の思いをこめて歌われる。

めぐり来る春を賛美しつつ”永遠に、永遠に・・・・”と空中に溶けいるように消えていくはかない歌声で結ばれるくだりの寂寥感は限りなく美しく深い感動を呼び起こす。

演奏は、さすがに大作だけあって幾多の指揮者が挑戦しているが、現在、手元にあるのは次の8枚。

2、4、5は今回の試聴に合わせて購入したもので、6、7、8は湯布院のA永さんからお借りしたもの。

 ブルーノ・ワルター指揮〔1948年録音:ライブ)
  歌手:カスリーン・フェリアー(コントラルト)、セット・スワンホルム
  演奏:ニューヨーク・フィルハーモニー

 ブルーノ・ワルター指揮〔1952年録音)
  歌手:カスリーン・フェリアー、ユリウス・パツァーク
  演奏:ウィーン・フィルハーモニー

3 オットー・クレンペラー指揮(1964年)
  歌手:クリスタ・ルートヴィッヒ(メゾソプラノ)、フリッツ・ヴンダーリッヒ
  演奏:フィルハーモニア管弦楽団 

 ベルナルト・ハイティンク指揮(1975年)
  歌手:ジャネット・ベーカー(メゾソプラノ)、ジェームス・キング
  演奏:ロイヤル・コンセルトヘボー

 ヘルベルト・ケーゲル指揮(1977年:ライブ)
  歌手:ヴェラ・ソークポーワ(メゾソプラノ)、ライナー・ゴールドバーグ
  演奏:ライプツィヒ放送局交響楽団

 レナード・バーンスタイン指揮(1966年)
  歌手:ディースカウ(バリトン)、ジェームス・キング
  演奏:ウィーン・フィルハーモニー

7 クラウス・テンシュテット指揮(1982年)
  歌手:アグネス・パルツァ(アルト)、クラウス・ケーニッヒ
  演奏:ロンドン・フィルハーモニー

 ジュゼッペ・シノーポリ指揮(1996年)
  歌手:イリス・ヴェルミヨン(アルト)、キース・ルイス
  演奏:ドレスデン国立管弦楽団

      
      1           2            3            4

      
      5           6            7            8

以上、8枚の「大地の歌」を”第六楽章に絞って”次々に聴いてみた。〔27日の午前)

ずっと昔にフルトヴェングラーの演奏に熱中・感動した体験を持ち、ジネット・ヌヴーが弾く「ブラームスのヴァイオリン協奏曲」に今でも涙する思い入れの深い感性のもと、ややエキセントリックなコメントになるがお許しを。

1と2
ワルターはマーラーの友人、直弟子として知られ、初演もワルター指揮で行われている。最高のマーラー解釈者といわれているので一度は聴くべきものだろう。

つごう三回録音しているが今回は1948年盤と1952年盤。しかし、いかんせん、いずれも録音があまり良くないので万人向きではない。自分でも一度聴けば十分だと思った。この曲目は「豊かな音」で聴かなければ感興が削がれる。


クレンペラーはさすがに大器晩成型の指揮者だけあって、「勿体ぶりや」の名に恥じず雄大なスケール感に見るべきものがある。

長年の愛聴盤だがメゾソプラノのルートヴィッヒがみせるドラマテックな歌唱力にゾッコンで一世一代の名唱ではないかと思えるほどで、ほかのどんな名演を聴こうとこの印象は覆らないが、近年、演奏にやや飽きてきた印象あり。


包み込まれるような豊かな音のコンセルトへボウは好みだが惜しむらくは肝心のベーカー(メゾソプラノ)がいまいち。やや声質が軽すぎて心に響いてくるものがない。一度聴けば十分。


ソークポーワの第一声を聴いたときにこの歌手は只者ではないと思った。朗々としてあたりを睥睨するような歌声に圧倒されてしまった。クレンペラー盤のルートヴィッヒに匹敵すると思ったほど。

指揮者のケーゲルも「大地の歌」の曲風に合うと思って購入したのだが狙いが当たった感じ。しかし、ベスト盤にするにはどこか”ためらい”を覚える。


さすがにディースカウ。余裕のある年期の入った歌唱力が「骨太い男の諦念の世界」をいともたやすく醸し出す。こうなると偶数章を「「アルト(orメゾソプラノ)かバリトン」のどちらが担うのがいいのか永遠の課題に直面する。

フィナーレの「永遠に、永遠に・・・」
という部分ではウィーン・フィルとの一体感もあって「寂寥感」の表現に他の歌手とは違って明らかに一日の長を感じる。これは是非手元に置いておきたい盤。


パルツァの澄みわたった歌声がきれいに空間の中に溶け込んでいく。耽美派のマーラーとでも言うべきか。「慟哭」とか「生への執着」とは無縁の悟りきった世界で、これはこれで立派なマーラーだろうが自分が求める「大地の歌」ではない。


少しも気負ったところのない自然な雰囲気の「大地の歌」ですぐに演奏に引き込まれる。ヴェルミヨン(アルト)の歌唱もまったくの過不足無しで極めてGood。オーケストラも秀逸で管楽器の美しさは特筆もの。

録音もドレスデン・聖ルカ教会の立体空間の広さを充分感じさせるもので、歌手、演奏、録音など何もかもが揃っていてすっかり魅了された。

これら8枚の中で
「ベスト」と言っても何ら”ためらい”を覚えない。

最後に自分なりの順番を。

1 シノーポリ盤 2 バーンスタイン盤 3 クレンペラー盤 4 ケーゲル盤

以下は順位なし。

          


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独り言~「絶賛また絶賛!ちあきなおみ特集」~

2009年11月25日 | 独り言

2週連続で放映(NHKBS2)された「ちあきなおみ特集」は実に見ごたえのある番組だった。改めて彼女の魅力が縦横無尽に炸裂した印象を受けた。

 11月14日(土) BSエンターテイメント「歌伝説 ちあきなおみ、再び」

 11月21日(土) BSまるごと大全集「ちあきなおみ」

もちろん、彼女のファンを自認している手前、ぬかりなく録画予約をしておき、両方の番組が終了したあとの22日〔日)に一気に観てみた。

収録時間は14日の「歌伝説」が105分、21日の「BSまるごと」が120分だから合わせて約3時間半の長丁場。

日頃、テレビの音は別系統のアルテックのフルレンジ20cmスピーカーをVV52B〔真空菅)のシングルアンプで鳴らして聴いているが、こういう番組は特別。

改めてDAコンバーター(ワディア)の入力をテレビ接続の光ケーブルに選択し直して、本来のオーディオ装置で聴き始めたところどうも音質がスッキリしない。

そしたら何と、録画スピードを「21」という中途半端な数値に設定していたのを思い出した。シマッタ!

日頃、音楽以外の番組を録画しているので、HDDに沢山の番組を収容しようと、録画スピードを最大「32」のところを「21」とし、「高画質・高音質」よりも「量」を優先していたツケがもろに回ってきてしまった。

というわけで、再度NHKが放映してくれたら今度は間違いなく「32」で録画しようと”てすぐね”をひいて待っているところ。

それはさておき、、この「ちあきなおみ」特集は両番組とも良かったが、特に21日の「BS丸ごと」が生番組ということもあってファンからの大量のファックスの紹介や豊富なゲストのコメントを挟むなど一味違ったユニークな構成だった。

「エッ、この人が彼女のファンだったの」という意外な方が次々に登場してくる。また、そのコメントが実に正鵠を得ていると思ったので、自分の記憶に遺しておく意味で抜粋して次に羅列してみた。

☆ 茂木健一郎氏(脳科学者)~ビデオレター~   

彼女の大ファンです。2~3年前、クルマを運転してるときにラジオ番組で特集をやっていて、「こんなに凄い歌手だったのか」とビックリしました。やはりこの歳にならないと(良さが)分からない歌手っていますよね。

人生のさまざまな思い、苦しいこと、悲しいことが巡りめぐったあとで「ちあき」
さんの歌を聴くと、自分の脳がさまざまなところをバランスよく刺激される、調和が取り戻される、とても深いところで癒されます。

☆ 吉田 旺(「喝采」の作詞者)      

(「喝采」)の歌詞の方はまったくのフィクションだったが巷間、あたかも実人生のように騒がれて受け取られたのは「ちあき」さんの卓越した表現力と詩と曲の隅々、裏の裏まで血を通わせた歌唱にあったと思います。

ここ数年来、「ちあき」さんの歌が若い人たちに見直され、新しいファンの波が大きく広がっているのは本当に喜ばしいことだと思います。

次に、14日の「歌伝説」から抜粋。

☆ 船村 徹氏(作曲家)       

デヴュー当時から彼女の歌唱力に注目していた作曲家の船村徹氏の談。

本人も言っているが裏声が苦手、〔美空)ひばりさんは〔裏声が)きれいな人だったが、「ちあき」さんの方向は語っていく歌をやっていくべきだと、そういう歌唱法をやっていくべきだと言った。

やはり、
「おたまじゃくし」の裏側を歌えるということですね。「おたまじゃくし」をなぞっていくのは誰でもやりますね、つまり文章でいえば「行間を読む」というか、それを我々の世界では「おたまじゃくし」の裏側を歌い、弾いていくと、それができる人だと思った。

そして、最後に膨大なファックスやインターネットの中から「石澤典生」アナウンサーが紹介した「点字」のお便りが全てを言い尽くしていた。

「なおみ」さんと私たちは「歌」という絆でつながっています。そっと見守るのが私たちの任務です。私たちに出来るのは、ただ元気でおられることを祈るばかりです。

            


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オーディオ談義~パソコン用の外付けCD-Rドライブの購入~

2009年11月24日 | オーディオ談義

1980年にCDが登場してから、オーディオ装置もデジタル抜きでは語れない世の中になった。

この傾向に拍車をかけたのがアップル社の「iPod」の登場。自分の場合だが、昨年の10月に「iPod」を活用した「170iトランスポート」(ワディア社)を購入してからは、「iTunes」の活用でパソコン内臓のCDドライブを利用する頻度が一挙に高くなった。

しかし、現在使っているパソコンはNECのヴァリュースターVL370/F(デスクトップ型)だが内臓のCDドライブが
「縦置き」になっているのが難点。CDという円盤を高速回転させるのに「縦置き回転」と「横置き回転」のどちらがいいか、これは自然の摂理によって明白そのもので言わずもがな。

「パソコンでCDドライブを本格的に使うのなら横置きの外付けドライブを購入したほうが絶対いいよ」とずっと以前からオーディオ仲間のM崎さんからアドバイスを受けていたのだが、パソコンへの接続が難しそうだし、どういうメーカーの製品を選択していいかもよく分からないのでそのまま放置していた。

ところが、つい先日このブログを通じてメールの交換をしている東京在住の「摂田」さんから耳寄りの情報が入った。

『先日来からお尋ねの外付けCDドライブについて面白い機械を見つけましたのでご報告します。

○○○ という会社の CD-R/CD-RW ドライブです。オーディオ・ファンの切望でリバイバルした製品の後継機種(新発売)らしく、今どきDVD にも Blu-Ray にも対応していない「旧式」のものですが、音質にこだわってわざわざそうしたのだと言っています。

もし、こういう「変わり者」に興味がおありでしたら,次のHP を御覧下さい。~HP省略~』

早速、アクセスしてみて諸元を見たところ「パソコン・オーディオ」には珍しく、かなり音質にこだわった機器のようで俄然乗り気に。「接続方法や現在のパソコン機種への適合状況」などをメールで問い合わせたところ、すぐに返事が返ってきた。

要するに「接続は簡単ですし、現在の機種にも適合してます」という気持ちのいい回答。今後のフォローも行き届いているようだし早速購入を決めた。価格は送料込みで19,950円。

到着したのが、11月21日〔土曜日)の午前中。
                   

「音」のためにCDへの書き込みを最適化した究極のCD/Rドライブとある。しかも「2倍速書き込み対応」とか「音響用コンデンサ使用」なんてマニアがゾクゾクすることが書いてある。

根が信じ込みやすいタイプなのでこういう宣伝文句には極めて弱く、まずもってうれしくなる。パソコンへのUSB接続を済ませ、電源スイッチをオン。電源がパソイコンと別なのが何よりもいい。使用説明書どおりパソコンにきちんと接続されているかの表示確認を行なったところ「OK」。

そして、いよいよ問題の「果たしてうまく活用できるか」ということに。メーカーは簡単に操作できると言っていたがこればかりは実際にやってみないと分からない。それに、いまだにパソコンには習熟していないのでやや不安がつきまとう。

以前から使っているCDコピーのパソコン用ソフトは「roxio」だが開けてみると、きちんとCDドライブの選択が出来るようになっていた。

これまでの「HL-DT-ST・・・・・・」から「○○○-CD-R・・・・」を選択してドライブを開始。ソースディスクは、あの16名の歌手が吹き込んだ「別れの一本杉は枯れず」。

まず、
16倍速でコピーしてみたが見事に成功で、使えると分かってこれでひと安心。実に簡単でメーカーの言葉はウソではなかった!

すぐに、オーディオ装置の電源を入れてこのコピー盤のうち7トラックの美空ひばりの「別れの一本杉」を聴いてみたがまずは「上の部」である。「横置き」のメリットが十分確認できた。

次に原盤との聴き比べをしてみたところ、やはりコピー盤のほうが
「音が硬質」の印象がする。これははっきりと分かるほど。

そこで今度は
4倍速コピーしてみた。計算上、16倍速比べてCD-Rへの書き込みが4倍の時間を取るが、いい音質を得るためにはこのくらいの犠牲は当たり前。

そしてこの
4倍速の音は信じられないほど良かった。原盤に極めて肉薄している音だといってよかろう。4倍速でこの音なら「2倍速」ではどんな音になるんだろうと楽しみが一気に膨らむ。

自分の耳だけでは心もとないのでメール仲間の奈良のM中さんに「別れの一本杉は枯れず」の「16倍速」と「2倍速」を実験用に送付して聞き比べていただくよう勝手なお願いをしたところ早速メールが届いた。ご本人のご了解のもと、次のとおり掲載させてもらおう。

『メール有難うございました。もっと拘りのCD-Rドライブがないか気にかけてこの会社のドライブをマークしていました。

ヤマハの技術も導入されているAudioMaster機能搭載で実際に聞きたいと思っていました。なんとタミング良いメールで有難く思っています。
 

 

Intelligent Air Flow(空気循環機構)、
水晶(クリスタル)タイプの発振子採用、
ピックアップのフレキシブルコネクタの金メッキ(ウィスカ対応)、
ELNA社製コンデンサー搭載、
そしてAudioMASTER機能の搭載。これ以上盛り込むものはない、
と自信を持ったドライブです(カタログより)
 
それにしても、このメーカーなかなかマニアの触手をくすぐる会社ですね。
電解コンデンサーまで特徴に入れて惚れてしまいました。 
2倍速の音の違いを早く聞いてみたい心境です。

しかし、CDのコピーは個人で楽しむ範囲に限られていますので残念ですが今回はご遠慮させていただきます。このドライブを手に入れた暁には私も早速この2倍速と今までの外付け16倍速とを聞き比べてレポートしたいと思います。』

オット危ない、危ない!

ついウッカリ「M中さん」に反社会的行為の片棒をかつがせて、ご迷惑をおかけするところだった。おそらく、これまで”ちゃんとした”組織で徹底的に「コンプライアンス」
を叩きこまれた方だろうと、およそ察しがつく。万事に大雑把な自分とは大違いである。


それにしても、同じコピー盤なのにこんなに音が違うのを聴かされると、自分が現在持っているコピー盤が「無用の長物」になってしまい、改めて全てコピーし直さねばならないのがたいへんな手間。

それに加えて、「iTunes」の約1500曲のリストも歌謡曲とPopを除いて全てゴミ箱に叩き込んで改めて収録のやり直しになるが、これも「いい音」が聴けると思えばうれしい悩み~。

              
 

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独り言~ヤンキースの松井を取り巻く情勢~

2009年11月17日 | 独り言

今年でヤンキースとの契約が切れてしまう松井選手。

ポストシーズンの大活躍にも触発されてブログでもつい集中的に取上げてしまった。

 10月22日「ヤンキース松井のレッドソックス入りはあるのか」

☆ 11月 3日「ヤンキース松井、契約金高騰か」

 11月 8日「松井を甘く見すぎたペドロ・マルティネス」

これらMLB「3部作」は全てネット情報に基づいたものだが、時間の経過とともに早くも色褪せ気味で、今では関心が20日〔日本時間)までの独占交渉に向けてヤンキース側からの条件提示に絞られている。

日本ではシリーズのMVPをすぐに放出するなんてまず考えられないが、そこはそれアメリカのことだから「ビジネス」という割り切り方が明確。

交渉はヤンキース側は「DH専門」、松井側は「守備にも就かせてくれ」との攻防になっている模様。どうやら話は長引きそうで、チーム自体の「若返り」といった大切な将来構想を孕んでいるので双方に言い分があり一筋縄ではいかない。

ここで、松井選手を取り巻く情勢を客観的に眺めてみよう。

まず松井の契約交渉代理人のテレム氏は、既にヤンキース以外のチームとの交渉を視野に入れて松井自身のイメージアップを図る声明を出している。

一言でいえば「謙虚な人柄で、勝負強いバッター」とのことだが、社会奉仕の一例としてかってのスマトラ沖での大地震の際に邦貨にして5千万円の寄付を国際機関に行ったことにも触れている。

当時のことは自分もよく覚えていて、松井が5千万円も寄付するのにイチローはなんで寄付しないんだろうなんて思ったが、こういうときになって当時の寄付がイメージアップにつながるとは神様もなかなか粋な計らい。

ところで各球団の懸念は、松井の両膝の故障がどの程度かということで「守備に就けるかどうか」の一点だろう。

そういう中、松井の両膝の手術をした担当医師(スコット・ロデオ氏)のコメントがつい最近発表された。

「週、2~3日程度なら守備に就くことも可能だが4日以上になると故障のリスクが高くなる」といったもの。

これには考え方が二つに分かれる。「週3日も守備につけるのか」もう一つは「週3日程度しか守備につけないのか」。

自分は「松井が守備に就きたい」といっている以上、素直に受け取って「毎試合可能」
と思っていたので、これは明らかにマイナス発言だと瞬間的に思った。

いずれにしても今後の契約交渉にモロに響くこんな重要なコメントをいくら手術を担当したとはいえ一介の医師が発表していいものだろうか。

非常に軽率な発言にビックリしてしまった。医師は自分しか知りえない患者の秘密を守る義務がある。日本だったら訴えられても申し開きが立たないし、とても考えられない。

アメリカでの出来事とはいえどんなに大目に見てもこれはプライバシーの侵害に当たると思う。これによって、松井の商品価値が下がったとしたらどうするつもりだろう?

さて、ヤンキース側の強硬姿勢も分からぬではない。打撃はとかく水物だし、松井のこれまでの7年間を振り返って、今年のMVPは別として「貴方はチームに多大の貢献したと言い切れますか」という話。

これまで幾多の大事な場面で凡退する松井を見てきたのも事実だし、実際にタイトルらしきものにもいっさい縁がなかった。「高額な年俸の割りに働きが悪い」がマスコミの論調だった。

それに年令も35歳というとボチボチ先が見えてきた感じ。松井はメジャーで10年やりたいといっているのであと3年程度という思惑があるが、両膝の故障を抱えて先行きは決して明るくない。

それともう一つ大きな理由がある。

やや先走りしすぎるが、来年でツィンズの捕手マウアーがFA資格を取得する。マウアーといえば捕手という難しいポジションなのに打撃の天才振りを発揮している選手。今年もイチローを抑えてダントツの首位打者(ア・リーグ)。小柄なのに本塁打の数も松井と同じく28本。

身体の軸が動かず、最短距離でスムーズにバットが出てくるバッティングはまるで芸術品を見る思いがする。こんないいバッターを獲得できればヤンキースなら今後10年はチームの成績がまず安泰。

というわけで、今年はマネーをできるだけ節約しておいて来年一気にマウアーを最高の契約金額でもって「三顧の礼」で迎えようという算段ではなかろうか、という気がする。自分がヤンキースのGMならまずそうする。

けだし、マウアーの来年の争奪戦は見ものだろう。

さていよいよ結論だが、以上の理由で松井のヤンキース残留は半分以下の確率、ア・リーグの別のチームへの移籍が濃厚。レッドソックスかエンゼルスのどちらかと自分はみる。

それと守備の負担の大きい外野をアッサリ諦めて1塁手として再出発できないものだろうか。そうすると選手寿命はもっと延びるのだが。

             


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独り言~「趣味同士の敵対と互恵の関係」~

2009年11月16日 | 独り言

ときどき、ブログを読んでいる方や知り合いから”なかなか多趣味ですね”といわれることがある。たしかに自分でも暇で時間をもてあまし退屈で困るということはまずない。

しかし、同じ年令ぐらいでちゃんと働いている方を見ると「まだ世の中のお役に立っていて偉いなあ~」と感心する気持ちも、もちろん持ち合わせている積もり~。

さて、この日常を支えている趣味を大別すると次の四つつになる。

1 「音楽鑑賞&オーディオ」

 
「釣り」

 
「読書」

 MLBほか娯楽番組の視聴とネット情報の収集

また、ここ3年ほど2~3日おきに更新している「ブログ」も書いて投稿することはあまり苦にならないので趣味といえば趣味だが、ことここに至って「継続の観念」がずっと強いので最近では義務に近い感じがしていて、趣味の範疇からは遠のくばかり。

ところで、人生に貴重な彩を添えてくれるこれらの趣味だが、お互いに自分の中で仲良く収まっているかというとそれほどでもない。

まず、はたからみても目を引くのが
の趣味。この両者はまったく肌合いが違うし、少なくともお互に相乗りして一段と趣味の中身が充実するといった互恵関係ではない。

とにかくも随分と奥が深くかなり集中力を要する趣味なので気分的に「切り替えスイッチ」を入れるのがたいへんで、にのめり込んでしまうと当分の間の方がほとんどおろそかになり、反対ににのめり込んでしまうと
の方が・・・という訳で、なかなか同じ時点での両立が難しい。

そもそも片方は「屋内で楽しむ趣味」であり、もう一方は「直に自然と触れ合って野外で楽しむ趣味」というわけで、基本的に性格が違っていて、いわば頭脳派と肉体派の対決。

しかし、この対決が実際には思わぬ効果をもたらしている。

端的に言えば、自分の中では
に対して
が常にブレーキをかけている状態がずっと続いている。

は極めて情感に訴えかけてくる趣味である。何といっても音楽のいいところは、ハートを揺さぶって「感動」を与えてくれるところにある。感性に強く働きかけ、ときには感極まって涙さえもが流れる趣味というのはこの世知辛い世の中でそうそうは無い


これが昂じてくるとさらに高い音質と感動を求めるあまり、”お金がどんなにかかってもいいからお目当ての機器が絶対欲しい”という欲望が強固に芽生えてくる。つまり「情感」が「理性」を駆逐してしまうというわけ。これこそが巷にオーディオ愛好家が氾濫する理由。

しかし、悲しいことにその必要なお金というのが中途半端な額では間に合わないのが痛い。お金は無限に湧き出てくるものではないので結局、借金してでも何とかしたいが、そこはそれ両肩に家族というのがズッシリと重くのしかかっている。

欲しくて欲しくて堪らず、それかといってお金は足りない、そういう悶々とした日々をずっと続けるわけにもいかず、やっぱりどこかで折り合いをつけざるをえない、そこでまったく性格が異なる「釣り」の方に関心を移して、しばらくオーディオをやり過ごすというのが若い頃の自分のやり方である。

いわばあまりお金の掛からない「釣り」で気を紛らわせるわけだが、これがまたやり始めると結構面白い。そしてある程度時間が経つと、あら不思議、あんなに欲しかったオーディオ機器が”それほどでもない”となってしまう。

これは、いわゆる”ごまかし”という手段なので決して褒められたものではないが、時間が経ってみると結局あんな高い機器を購入しなくて正解だったという事例が意外と多かった。おそらくオーディオの世界に入り込みすぎて視野が狭くなり一時的な「ストレイ・シープ」
になっていたのだろう。

との関係とはそういうことなのだが、ともなると
の双方に対して等距離にあってたいへん友好的で好ましい存在である。それに時間、場所を問わずいつでもすぐに気軽にスッと楽しめるところが何よりもいい。

こうして結局のところ自分の場合、
これら4つの趣味が敵対と互恵の関係で成り立つということになるのである。

           


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音楽談義~「ちあきなおみ」はなぜ歌わない?~

2009年11月11日 | 音楽談義

10日(火曜日)の夕方、近所のM上さんから電話があった。14日と21日にNHKBS2で「ちあきなおみ特集」があるので是非録画して欲しいとのこと。

早速「月間TVガイド」で確認すると14日は19:45分からの「BSエンターテイメント」、21日は21時から「BS丸ごと大全集」でそれぞれプログラムが予定されている。

既に同じような番組を録画して保存しているものの、前回未公開だった映像素材やプライベート写真を公開と番組解説にあるのでこれは再度録画せねばなるまいと思っている。


さて、NHKでこうも再三再四「ちあきなおみ特集」を組んでいるところをみると彼女の人気がいまだなお衰えずということなんだろう。

ときどき「モーツァルトと並んで”ちあきなおみ”ですか?」なんて人から怪訝な顔をされていささか面映いときがあるが、好きなものは好きなんだからどうしようもない(笑)。

しかし、クラシックファンでありながら彼女が好きなのは何も自分ばかりではなくて、日頃「バッハ」に傾倒しているオーディオ仲間も彼女のファンだし歌唱力を高く評価しており、
彼女が第一線の表舞台から姿を消して随分経つ(16年間)のを今でも残念がっている。

自宅のオーディオ装置のどこかをいじるとまずテスト用に彼女のCD盤をかけて良し悪しを確認しているのだが、その度に「これほどの歌手を休業のまま放っておくのはホントに勿体ないよなあ~」といつも慨嘆している。

さて、彼女が歌手活動を断ったきっかけや理由についてはいまだに謎に包まれている部分が多いが、その真相に肉薄していると思える一冊の本がある。

「ちあきなおみ 喝采、蘇る」(2008.3、石田伸也著、徳間書店刊)                                                         

本書の中で、作曲家「鈴木淳」氏によると”ちあきなおみ”の最大の武器は声だという。張りがあって、ハスキーさがプラスされた独自の声。世界に二つとないようなヴァイオリンにも似た「名器」たる響きがあるという。

その声に加えて歌唱力が図抜けているのだから、復活を待望する声が絶えないのもよく分かる。

ここ数年、CDの売れ行きも好調だというが、それだけに
休業に至った経緯や再登板の可能性
を知りたい人が多いのも無理はない。

丹念に関係者に取材を重ね、大変な労作ともいえる本書を手がかりにその辺を探ってみよう。

 休業に至った経緯について

往年の日活俳優「宍戸錠」の実弟である「郷治」が肺ガンにより帰らぬ人となったのは、1992年の9月11日。享年55歳という早すぎる死はまだ44歳だった妻の”ちあきなおみ”から一切の歌手活動を奪った。

故人の強い希望により、皆様にはお知らせせずに身内だけで鎮かに送らせていただきました。主人の死を冷静に受け止めるにはまだ当分時間が必要かと思います。皆様には申し訳ございませんが、静かな時間を過ごさせて下さいます様、よろしくお願いします。ちあきなおみ


郷の死の直後、所属するレコード会社から代読されたコメントを最後に、ちあきは公式の場から姿を消す。

このコメントの
<まだ当分>
という言葉から、芸能界的な尺度で測れば半年、長くても1年、悲しみが癒えたころにはまた深みのある歌を歌ってくれるものと誰もが思っていた。

しかし、16年目の夫の命日を過ぎてもいまだに「生」で歌う日は訪れていない。”ちあきなおみ”はとうとう
62歳
という年齢を(2009.9.17)越えてしまった。

 「彼女が歌わない理由」について(類推)

 
母親がステージママで、4歳の頃から米軍キャンプ回りだった。母が喜んでくれるからとその一念で歌っていた。幼い頃は母親のためだけに、そして他界後は夫のためだけに歌っていただけで、もともと歌手稼業にはそれほど未練がなかった。

2 
夫の郷治が遺言のごとく「もう唄わなくていいんだよ」と告げたという説がある。兄の宍戸錠はこの説に否定的だが、ちあきは人前に身をさらさないことが「殉愛」と決めこんでいる節(ふし)がある。

 
前座歌手時代を含めて長いこと芸能の世界にいてその身勝手さや醜さにイヤ気がさした。

4 
本書の巻末にあるシングルCDのディスコグラフィによると、休業直前に発売されたCDがいずれも振るわず低迷。たとえば今となっては名曲といわれる「紅とんぼ」(1988:作曲 船村徹)は最高46位で売り上げがたったの6.6万枚。さらに「黄昏のビギン」(1991年:作曲 中村八大)に至ってはチャートインすら果たしていない。
快心の出来ともいえるこれらの曲を評価してくれない関係者や大衆にすっかり愛想が尽きてしまった。

以上4つの理由以外にもあるのかもしれないが、結局は”ちあき”だけがホントの理由
を知っている。

 
最後に、復帰の可能性について

2006年のこと。紅白を中心に、ちあきに表舞台復帰のラブコールを送り続けるNHKがより具体的なプランを描いていたという。

『BS放映による
「歌伝説 ちあきなおみの世界」は、再放送のたびに反響が大きくなっていった。その人気の高さに何としても”ちあき”を復活させたい。その手段としてたとえばアメリカのニューオリンズに何ヶ月でも滞在してもらってボイス・トレーニングをやってもらう。そして大丈夫となったら、そのまま現地で収録をしてもいい。』 

以上が、派手な演出や人前に出ることをためらう彼女にとってわずかに可能性を見出す復帰の
「お膳立て」
ではないかという。

さて、万一彼女のNHK紅白の出場が固まれば、それはそれは物凄い反響を呼ぶことだろう。そのときは自分もここ30年ほどこのかた一度も見たことがない「紅白」を絶対見る積もり~。

     


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独り言~MLB:松井を甘く見すぎたペドロ・マルティネス~

2009年11月08日 | 独り言

大方の予想どおり、ヤンキースの優勝で終わった今年のワールド・シリーズ。もっとフィリーズが健闘するかと思っていたが意外と”もろい”チームだった。

ともあれ、松井選手のシリーズMVPは日本人初の見事な快挙。チームの勝利を優先する日頃の地道な取り組み姿勢に対して野球の神様が最後になって微笑んだみたいで”心からおめでとう”と言いたい。

それにしても地方の弱小球団とは違って、名門ヤンキースの「MVP」とは恐れ入りやの鬼子母神。

結局、第2戦の決勝ホームランと第6戦の6打点が受賞の要因だったが、よく考えてみると、この二戦はともに相手投手が
「ペドロ・マルティネス」。

つまり、「MVP」の原因は「ペドロと相性が非常に良かった」ということに尽きるといっても過言ではなかろう。

というわけで、ここでペドロの分析をしてみるのも悪くはあるまい。

さて、このペドロ、通算200勝以上を挙げている大投手だがここ2~3年故障続きでまともに出場しておらず、引き取り先がなかったがようやく故障も癒えてシーズン途中にフィリーズから拾われた選手である。

ナ・リーグのチャンピオンシップシリーズのドジャース戦の第二戦に7回投げて無失点の好投で一躍ワールドシリーズの先発として起用されたものだが、40歳前後という年齢もあって、もはや下り坂という印象は否めない。

しかし、往年のペドロは凄かった。レッドソックス時代、丁度、松井がヤンキースに入って間もない頃にテレビ中継を度々見ていたが抜群の球威によってまったく手も足も出ない印象で、すっかり見下されていた感があった。

当時、マリナーズのイチローとも対戦したが、ペドロは試合後にバッターボックスのイチローの印象を聞かれてたった一言
「Little」。

「単打ばかりで長打力が無いので怖くない」といった意味だろうが、歯に衣を着せない言い方だったのが妙に記憶に残っている。

これは余談になるが、イチローがマリナーズとの再契約を巨額の複数年契約で更改したときに、ある球団のオーナーが「馬鹿げている」と評したことがあるが、そのときに改めてホームラン・バッターの価値についてMLBと日本野球の違いを知る思いがした。

たった1球の失投で点が入るホームランの怖さは言うまでもないがMLBではホームランを警戒するあまり、ピッチャーは失投しないように極めて慎重に投げるのでその分、疲労が蓄積して早めに降板してしまう。

したがって、どんなに打率が低くてもホームラン・バッターは打席に立つだけで試合に大きく貢献しているという考え方、つまり「パワー信仰」が根強い。

一方、長打力のない打者に対してはその反対で極めて過小評価される。そういう見方が日本の野球とは大きく違うところ。

さて、話は戻って随分と球速が衰えたペドロをこれまでの仕返しとばかり見事に打ち込んだ松井だが、このシリーズの結果をみてどうもペドロは松井に対して「甘く見すぎたのではないか」という気がしてしようがない。

もちろん、あんな球速でもピッチングのうまさでヤンキースのほかのバッターは打てなかったのだから、ここはまずもって松井の打撃技術を褒めるべきだがそれにしてもという感じ。

ペドロは松井に対して過去の対戦で「簡単に討ち取っていた」というイメージがあまりにも強く残っていてそれが災いしたという気がしてならない。裏を返せば自分の衰えを直視したくなかったのだろう。

第六戦の試合前のコメントをみても、ジーター、A・ロッド、テシェイラあたりの主力には言及しているものの松井のマの字も出てこない。第2戦で決勝ホームランを打たれて当然ショッキングなはずなんだから意識してないはずが無く「警戒する」ぐらい言ってもおかしくないのにあえて無視した感じ。

結局、この”意地っ張り”が命取りになってしまった。

たとえば第6戦の2回、4番のA・ロッドには敬意を表したみたいに無死なのに簡単に四球で歩かせてしまい、あえて松井で勝負。

まるで、松井なんか簡単に討ち取れるという態度がマウンド上でミエミエだった。しかも再三、いい当たりをファウルされておりタイミングが合っていると分かっているはずなのに、勝負球はベルトあたりの絶好球。

その球を見事に本塁打した松井もさすがだが、ペドロの意地も相当なものでもしかすると根底に日本のスモール野球に対する蔑視があるのではという気さえした。

ともあれ、松井がそのおかげで「MVP」を獲得したのだから日本人として言うことなし!

松井のお父さんが「秀樹の野球人生で生涯最高の日」と感激されていたが、来年以降どの球団に所属しようと自信をつけた松井選手のさらなる活躍が楽しみ。

しかし、今年のMLBがこれでもう終わりか思うと淋しくてたまらない。

            


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独り言~ヤンキースの松井選手、契約金高騰か?~

2009年11月03日 | 独り言

いやあ、やってくれましたね~。ヤンキースの松井選手。

ワールド・シリーズの大舞台での本塁打。それも、2本も。

初戦敗退後の大事な二戦目、重苦しい雰囲気を払い除けるような見事な決勝ホームラン、そして敵地に乗り込んでの第三戦では、代打で追い討ちのホームランと絶好調。

チームも後押しされるように2日〔日本時間)の第四戦にヤンキースが勝利したので3勝1敗とフィリーズに対していよいよ王手がかかった。

第五戦で負けたとしても、第六戦以降は地元での戦いになるので極めて有利。この状況ならヤンキースが9年ぶりの栄冠を手中に収めて、待望のニューヨークの目抜き通りの凱旋パレードを果たす可能性が高そう。高層ビルからの華やかな紙吹雪が景気の回復に一役かったりして~。

さて、そこでいささか気が早いがここで問題になってくるのが今年でヤンキースとの4年契約が切れる松井選手の去就。ヤンキースに残るのか、或いは他球団へ新天地を求めるのか。

もちろん主導権を握っているのはヤンキース側、日本でいえば巨人みたいな名門チームなので入団したい選手は山ほどいるが、果たして更新にあたり熱意を見せて高額の契約金額と複数年契約を提示するかどうかの一点に掛かっている。

ヤンキース以外にもレッドソックスなどの有力球団が松井選手の獲得を虎視眈々と狙っているので、さぞや球団側もアタマを悩ますことだろう。

それに輪をかけたのが改めて見せつけられた今シリーズでの松井の活躍。もし不発に終わっていればスンナリと「どうぞ他球団へ」となったのだろうがこうなると一考の余地が出てくる。

何せワールド・シリーズはMLB関係者の注目の的である。テンションが”ひときわ”高くなった選手のもとに、投手力、守備力、打撃力、走力、そしてメンタルの面まで含めて、極めてハイレベルの戦いなので出場する選手たちの実力を推し量り、評価するのは絶好の機会。

したがって、そういう中での松井の2本のホームランはMLB関係者に強烈なインパクトを与え、契約金の高騰を招くのは間違いなし。松井株急上昇である。

さて、ここで「まな板の上の鯉」松井選手に対してヤンキース球団の腹のうちというか判断のもとになるいろんな要因を探ってみよう。もちろん、不安を抱えている両膝の状態が現状維持、あるいはもっと良くなると仮定した上での話。

1 日本人ファンの獲得

松井のおかげでこの7年間ニューヨークに日本人のファンが増えて海外ツアーなんかで押し寄せたことは確実であり、経済効果は計り知れない。メディア面でも潤ったはずで、たとえばテレビの中継料。NHKのBSなんかではヤンキースのカードはスター選手に恵まれているので視聴率も高いはず。

2 ライバル球団の動向

宿敵であるボストン・レッドソックスが獲得の意欲を見せているのが気になっているはず。松井選手はこれまでの7年間のトータルでレッドソックス戦には3割以上の高打率を残しているし、とりわけ敵陣のファンが熱狂するフェンウェイパークでの好成績も無視できない。こういう選手がライバル球団に移籍することの得失を計算しないはずはない。

3 ヤンキースファンの反応

気になるのがニューヨークのファンの反応である。松井の移籍に対してファンの拒否反応が高ければ球団も考えざるをえまい。もちろん地元メディアの反応も含まれる。おそらくネット上で「松井の移籍について賛成、反対」のアンケートが実施されることだろう。

4 同僚選手との関係

ネット情報ではヤンキースの顔とも言えるキャプテンのデレク・ジーター選手と極めて良好な関係を結んでいるようだ。同じ年令ということもあってジーターはシーズン中「松井は自分好みの選手」と公言してはばからない。

ツィンズとの地区シリーズ初戦前に「今日、お前はホームランを打つぞ」と松井に暗示をかけたのがほかならぬジーター。〔実際、その日に松井はホームランを打った!)。

これには
「ポストシーズンに活躍して是非残留を確実にしてくれ」というジーターのひそかなシグナルが込められているような気がするがどうだろうか。それにワールドシリーズでの第二戦の決勝本塁打も打った瞬間にベンチ内で飛び上がって喜んでいたのがジーターだった。

各球団を次々と渡り歩く選手が多く、お互い選手間同士でドライな関係とされるMLBでは、松井選手とジーターとの友情は珍しい。残留に向けて主将ジーターの何らかの後押しがあるかもしれないとは、ちと”うがち”すぎかなあ~。

それから、松井選手と同様に今年で契約が切れるジョニー・デーモン外野手との競合も一つのポイント。契約金額も松井選手とほぼ同額の選手である。球団側では両選手のうちせめてどちらかでも切って高額な年俸をカットしたいのがヤマヤマだろうが、このデーモンもこのシリーズで見事な活躍を見せているので二者択一も難しい状況。

ここで余談になるがMLBの選手は契約更改の年になるとどうしてあんなに活躍するのだろうか。自分にとってはずっと大きな謎の一つである。シーズンオフの時期に意図的に練習量を増やしたり、あるいはシーズン中生活節制に努めたりするから?

そういうことなら日頃からやってればいいのに、複数年契約が滞りなく終わった途端に翌年のシーズンから目に見えて成績が下がるのだからまったく始末に負えないと思うのは自分だけだろうか。

さて、話は戻っていよいよ結論に移ろう。

以前のブログでの言を翻すようで悪いが松井選手とデーモンは金満球団ヤンキースのもとに、久しぶりに世界一となったご祝儀相場によって、単年~2年契約でともに残留とみたが結果やいかに。

       
 


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