「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

古典管の恩恵

2018年05月29日 | オーディオ談義

我が家のオーディオシステムほど「真空管の恩恵」を受けている事例も珍らしいのではないかと、思うことがときどきある。まことに真空管無しでは我が家のシステムは完全に崩壊する。

ずっと昔の話だがトランジスター(以下、TR)素子が登場したときに、もはや真空管は消えて無くなるという説がまことしやかに唱えられたし、実際に真空管アンプは下火になってしまったが、今となっては完全に盛り返す勢いで、仲間によると哀れにもTRアンプはオークションで値がつかない状況だという。

いい事例が昔使っていたラックスのSQ38FDという真空管アンプで、いったん製造中止に追い込まれたものの、ちゃっかり真空管人気の復活にあやかって、いつの間にか息を吹き返してしまった。

真空管復活の主因は素人の憶測になるが、デジタルの時代になって「音の響き方」が素っ気なくなり、そのマイナス面を少しでもカバーするためというのが当たらずといえども遠からずといったところだろうが、どうも倍音の響き方に違いがあるような気がする。

ただし、真空管と一口に言っても製造年代によって古典管と近代管に分けられる。

「古典管と近代管のいったいどこがどう違うのか」と問われても明確な基準があるわけでもないが、個人的には時代的な分水嶺として前述したTRが勃興してきた時代を境に区分されるのではないかと思っている。

TR素子が登場する前は、それはそれは真剣かつ熱心に真空管が製作されたものだが、変わり得る素子の登場によっていっきに熱気が無くなり同時にコストばかりが重視され「ぞんざい」な存在になっていったという筋書きにおそらく異論はあるまいと思う。


そこで肝心の両者の音質の違いについてだが、個人ごとの好みがあるのでいいも悪いもないが、一般的にチャラチャラして音に深みが無く寿命が短いし故障しやすいのが近代管の特徴でこの呪縛から解き放たれた球をいまだかって身近に見聞したことがない。

そういうわけで我が家の真空管アンプ群はすべてと言っていいほど古典管(1940年代前後)で覆いつくされているが、このほどこれらにまた新たな仲間が加わった。

つい先日、我が家の古典管の主治医「北国の真空管博士」から、次のようなメールが届いた。

「1928年に発表されたARCTURUSのブルーチューブ071が手に入りました。

現在あなたの「WE300Bシングルアンプ」の前段管に使用されているトリタンのRADIOTRON UX171は1925年に開発が始まり1926年の中ごろに発売されていますのでほぼ同時期の製造ですね。
 

半年後1926年の末頃には酸化皮膜フィラメントのRADIOTRON UX171Aが発売されます。 

ARCTURUSは071のほかに071Hという傍熱型と071A(0.25Aフィラメント)も1928年に発表しています。 

これら3種類が同時に併売されていたことになります。 

これは、ARCTURUSが今後どのような球が市場に受け入れられるのか様子をみていたのかもしれません。 

それぞれの特徴として、 

071A:フィラメントが省電力で安価 

071 :071Aよりもフィラメントハムが小さいがバッテリーの持ちが悪い 

071H:AC点火専用、造りが複雑で高価 

この中で生き残ったのは最も安価な071Aでした。  

ところがスピーカーの再生帯域が広い現在ではフィラメントパワーの大きな071や171の方が情報量が多く感じます。 

これは、UX245よりもフィラメントパワーの大きなVT52の方が評価が高いのと似ています。

今回お知らせした「071」はフィラメント電流が「0.5mA」で通常の71Aに比べると2倍になっています。前段管あるいは出力管として使い道も多いと思いますのでいかがでしょうか。

オークションに出してもいいのですが、こういう珍しい球は真の愛好家に使って欲しいので・・・。」

以上のとおりだが、願ってもない話である。フィラメント電流の多い球を「前段管」や「出力管」に使うと情報量が飛躍的に増大する例をイヤというほど体験してきたので、まるでダボハゼのように飛びついた(笑)。

ほどなく到着してさっそくアンプの前段管を「171」(トリタン・フィラメント)からブルーの「071」(酸化被膜フィラメント)に差し替えた。

     

すべて直熱管なのでスイッチオンと同時に音が出てきたが、プリアンプの音量を同じにしていたところあまりにも大きな音量が出てきたので驚いてボリュームを絞った。これまで使ってきた「171」もフィラメント電流は同じ「0.5mA」だがややヘタリ気味だったのかもしれない。

この「071」は新品のせいか実に鮮烈で歯切れがいい音を出す。1951年製の「WE300B」がまるで生き返ったみたいに元気溌溂になった。

これでまたハラハラ・ドキドキ・ワクワクしながら、しばらく楽しめそうだ(笑)。


 


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魅惑のツィーター「スーパー3」

2018年05月26日 | オーディオ談義

これが、つい先日オークションに出品されたツィーター。巨大なマグネットを目にして思わず息を呑んでしまった。 

   

タイトルは「英国 ビンテージ Wharfedale Super 3 重量級 アルニコ ツイーター 優雅な響き ―とても貴重な 初期型 アルニコ Gold Magnet ユニット」

昨年、ワーフェデールのユニットを運よく落札し、味をしめて以降静岡県のTさんの出品物はいつも「アラート」機能にかけているので出品のたびにメールで知らせてくれる。

今回登場したこの「スーパー3」だが、このマグネットを黙って見過ごせるほど自分はまだ成仏しきっていない(笑)。

周知のとおりSPユニットはコーン紙タイプにしろ金属のダイヤフラム・タイプにしろ、その機能の生殺与奪の権をにぎっているのは強力なマグネット次第だが、口径の小さなコーン紙(口径10センチ)に対してこれほどの大型マグネットを初めて見た。ついロ-サー(イギリス)を連想してしまう。

ツィーターは有り余るほど持っているが、とても強烈な誘惑に抗しがたく右手が勝手に動いて入札欄を「ポチッ」(笑)。

いつものことながら「T」さんの「ふつふつと愛情が伝わってくる」詳しい解説をみてみよう。

「Wharfedale社の、3インチコーン・ツイーター、Super 3。2本での出品です。

ラベルからもわかりますように、組み込み用バージョンではなく、単品として販売されていた品です。まだ、モノーラル中心の1950年代前半の製品ですので、完全な揃いはなかなか見つけることはできません。出品の品は、比較的揃っていますが、コルゲーション・ダンパーに片方はカバーかかっていますが、もう片方にはこのカバーがありません。(これが一般的です。)その意味で、厳密に、pairではなく2本としましたが、pairとしてステレオ使用するのに全く問題はありません。
 

Super 3は、Wharfedale社を代表するツイーターで、高級システムW70をはじめとして、数多くのシステムに使われておりました。また、Leak社のスピーカーシステムにも使われるなど、タイプは全く異なりますが、Peerless社のMT25と並んで、この時代のヨーロッパを代表するツイーターになっておりました。
 
出品のSuper 3は、中でもとりわけ貴重な、初期型のアルニコ Gold マグネットを搭載したユニットで、Wharfedale社の最高級機SFB/3などに採用されていました。画像からもわかりますように、巨大なアルニコ・マグネットで、Red アルニコ時代のSuper 5のマグネットよりはるかに大きなものが使われています。(Wharfedale社のマグネットは、アルニコ Gold タイプ→アルニコ Red タイプ→フェライトタイプと変わっていきますが、Super 3についてはアルニコ Red タイプは存在しなかったようです。)
 
音質的には、重量級のマグネットの効果でしょうか、コーン型としては、反応が早く、切れのある音で、ホーン型に負けない音の強さがあります。フェライトタイプのSuper 3で時に感じられる「キツイ」という感じも、このアルニコタイプにはありませんので、ゆったりと、まさに優雅に音楽に浸ることができます。

また、上品で、透明度の高い音は、ジャーマン・ビンテージの高域に通ずるものがありますので、イギリス系のビンテージはもちろん、ジャーマン・ビンテージとの組み合わせも、よい結果が得られます。 (当方、出品のものとは別の10-15ΩタイプのSuper 3を、一時期、Siemens15dと繋いでおりましたが、心地よい音楽を奏でてくれました。)
 
およそのサイズは、ラウンド径92.5mm。取り付け寸法が、ネジ穴対角で、およそ100mmになっています。
 
イングランド・トーンを愛する方、ジャーマン・ビンテージのファンの方、38μF程度のコンデンサーによるローカットでフルレンジの高域補正に、また、本格的なネットワークを使用しての2way構成にいかがでしょうか。」

以上のとおりだが、運も手伝って見事に落札を果たした。やはり超希少品ともなると「ふさわしい情熱の持ち主」のところに落ち着くようだ(笑)。

Tさんにお尋ねすると「3000ヘルツ以上で使うのがベスト」とのことなので、JBLのD130(イン・ウェストミンスター)の上に載せることにした。

したがってチャンデバのクロスオーバーを5000ヘルツ仕様から3000ヘルツにわざわざ改造してもらって「一日千秋」の思いで待ち続けたところ無事到着(19日)。

さあ、胸をワクワクさせながら既存のバッフルに取り付けて試聴してみた。

        

前述のように3000ヘルツ以上を受け持たせており、駆動するアンプは「171(トリタン)シングル」だ。前段管は「MH4」(マルコーニ:メッシュプレート)、整流管は480(スパートン:メッシュプレート)という、まずは簡単に手に入らない超希少管ばかり。

このブログはやたらに「超」という文字が出てくるのがちょっと気になる
(笑)。

    

この組み合わせで悪い音の出ようはずがない・・。

解説文にあったとおり、重量級マグネットのおかげで「反応が早い」「切れ味が鋭い」で、まごうことなくホーン型に負けない音だった。しかもヴァイオリンは言うに及ばずシンバルにも十分対応できるのでクラシックもジャズも両方いける見事な「二刀流」(笑)。

また清澄感が抜きんでているので、075ツィーターを付け加える気にサラサラならないのが何とも不思議で、これまで使ってきた数々のツィーターのうちでもベストと折り紙を付けてもいいくらい。

しかし人間の欲というものはつくづく恐ろしい。3000ヘルツ以下が大型ホーン(ウェストミンスター)なので、負けてはならじと今度は木製ホーンに入れてみた。

取り付けるバッフルの加工に1時間ほどかかり、緑色の塗料が余っていたので塗ってみた。

     

ホーン(後面開放)のせいで後ろ側からの音〈逆相)の回り込みが少なくなったせいだろうか、一段と中低音域とのつながりが良くなった気がする。

見かけも良さそうなので、これで完全に決まり~(笑)。




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試聴会のときの「後知恵」

2018年05月22日 | オーディオ談義

先週の17日(木)の午後のこと、久しぶりにOさん(大分市)が我が家にお見えになった。

「いやあ、お元気でしたか~。およそ2年ぶりぐらいですかねえ。」

Oさんは歴戦の強者(つわもの)で長年鍛えられた耳はとうてい自分ごときが及ぶところではない。

JBLパラゴンをはじめ、タンノイやアルテックを愛用されておりどちらかといえばジャズが主体だが、クラシックにも造詣の深い方である。

我が家では4系統のスピーカーがあるがこの2年間ですっかり様変わりしたので、どのスピーカーがOさんのお気に召すのだろうかと興味津々で、その論評とともにお客さんをお迎えする最大の愉しみの一つである。

時間の関係で「LE-8T」を除き、聴いていただいた3つのシステムの順番は次のとおり。

使用したCDトラポとDAコンバーターはdCS(イギリス)。

 プリアンプ「クリスキットカスタム・マークⅥ」 → パワーアンプ「PX25シングル」 →スピーカー「ワーフェデールの2ウェイ」(クロス4000ヘルツ)

 同プリアンプ → パワーアンプ「WE300Bシングル」 → スピーカー「AXIOM80」

 チャンデバを使った2ウェイマルチシステムでクロスオーバーは1000ヘルツ。ワディアのDAコンバーターから直結。

中低音域 → パワーアンプ「2A3シングル」 → スピーカー「JBLのD130」

高音域 → パワーアンプ「171(トリタン)シングル → スピーカー「JBLの175」

このシステムについてはジャズ好きのOさんに応じて急遽175に変更した
もの。

試聴盤は「木村好夫」のギターから始まって、「バロック デュオ」(マルサリス)、モーツァルトの「K136」、「エラ&ルイ」、ツィゴイネルワイゼン(ハイフェッツ)、「サキソフォンコロッサス」と、アトランダムな選別。

このうち「バロック デュオ」のマルサリス(トランペット)がいたく気に入られたご様子なのでCD盤をお貸ししたほどだった。

また、最後に聴いていただいた「サキソフォン・コロッサス」だが、「XRCD」盤と普通のCD盤の違いにえらく驚かれていた。断然「XRCD盤の方が音が柔らかい」とのことだった。

        

さて、競馬の予想とまではいかないが(笑)、Aさんのお好みのシステムの順位は自分の見込みではおそらく第1位「3」、第2位「2」、第3位「1」だと推測していた。

ところが結果的にはこの予想が見事に外れてしまったのはほんとうに意外だった。

はっきりとAさんが順位を申されたわけではないが、その態度や「つぶやき」から推し量ると第1位は「1」、第2位が「2」、第3位が「3」ということになった。

とにかくダントツだったのが最初に聴いていただいたワーフェデールのシステムで、クラシックのみならずジャズでも十分いけるとのことで、まったく惚れ惚れというご様子だった。

実を言うと、このシステムは入り口から出口まですべてイギリス勢で統一ということもあるし、現在一番のお気に入りだったので内心ではとてもうれしかった(笑)。

「このユニットは昨年オークションで手に入れたのですが、あまりにも音が気に入りましたので、相手方(静岡県のTさん)に無理をいってさらにスペアで2本追加して譲ってもらいましたよ。」

と、申し上げると「その気持ちは十分わかりますよ。独特の清澄感があって、とても品がいい音です。思わずスピーカーの存在を忘れて音楽に聴き惚れてしまいました。」とOさん。

    

これが我が家の至宝「ワーフェデールの2ウェイ」システム(クロスオーバー:4000ヘルツ)で口径30センチ+口径10センチのユニットで両者とも「赤帯マグネット」の持ち主。

箱は自作で、適度に箱鳴りをさせるために板の接着にはネジをいっさい使わないまま板厚を1.5cmと薄目にしており、底板にはユニットの背圧を逃がすために自前の「ARU」を取り付けている。

PX25アンプとの組み合わせを含めて我がオーディオ人生の集大成に近づいたともいえる音だが、いい音か悪い音かは別にして、ほんとうに気に入った音を出そうと思ったらやはりスピーカーは自作に限る(笑)。

それにしても、意外だったのが「AXIOM80」の評価で、どうもイマイチという感じだった。問わず語らずだが「あまりにも神経質すぎる音」ということだったろうか・・。

このスピーカーは周知のとおり駆動するアンプ次第でいかようにも変身するが、AXIOM80の愛好家で知られたあの高名なオーディオ評論家「瀬川冬樹」さん(故人)は、その著作集などで推し量る限り「ふっくらした」鳴らし方がお好みだったようだ。

「AXIOM80からふっくらした感じを出すためにはアンプを71Aプッシュプルにして聴いてもらえばよかったかもしれない。」と、思いついたのは、玄関先で「いやあ、ワーフェデールは・・・」と、感心の体(てい)で帰途につかれたOさんを見送った後だった。

「肝心の時には出ず、物事が済んでしまってから出る知恵」(広辞苑)「後知恵」というが、試聴会のときになると、いつもこうなんだからほんとうに困る~(笑)。



 


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効果があった「オーディオ・アクセサリー」

2018年05月19日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

新しいジェンセンのツイーターを試着したので近隣にお住いのオーディオ仲間「Y」さんに来ていただいて、試聴していただいたところ「バランスがいいですね。」と、なかなかの好評だった。

Yさんとはお付き合いも長いのでお互いに遠慮するような間柄ではなく、「悪い音のときは悪い」とはっきり歯に衣を着せずに口に出される方なので、素直に受け取ることにした。

30分ほど試聴していただいただろうか、いきなりYさんが「よろしかったら実験をしてみたいのですけどいいでしょうか」と、口調を改めて意を決したような眼差しで申し上げられた。

少し気圧(けお)されながらも「ハイ、いいですよ。」と気軽に応じたところ、ポケットからやおら取り出されたのが試聴用のCDとオーディオ・アクセサリーの小道具。

    

左側のCDが「T-TOC RECORDS」という会社が録音したCDで、この社長さんがオーディオマニアだそうで、「東京の電気は汚れているので茨城にスタジオをつくってそこで録音した。」という優秀録音。

そして、右側の白くて小さい穴の開いたもの(2個)は「アモルメット・コア」というオーディオ・アクセサリーで、何でもSPコード(プラス、マイナス一緒)に、これを通すとコモンモードノイズ(高周波)が除去されるのだという。

こういう小道具は眉唾ものであまり信用しない性質(たち)だし、コモンモードノイズの正確な意味もサッパリ分からないが、理論はさておき実証したうえで効果が上がればそれはそれで認めようというのが我がポリシー。

Yさんのたってのご要望で「ぜひアンプはWE300Bを、スピーカーは音の微細な変化に対応できるAXIOM80でお願いします。」

「ハイハイ、わかりました。」(笑)

    

はじめに従来通りのままで試聴し、音質を確認したうえで今度は「アモルメット・コア」にSPコードを通して聴いてみた。装着は実に簡単。

二人とも耳をそばだてて傾聴したところ、何と音が変わったのである!すっきり爽やかというのか、あきらかに透明感が向上したのには驚いた。

Yさんも「やはり変わりましたね。ベールが1枚も2枚も取れた感じです。このシステムだと如実にわかると思っていました。」と、感無量といった面持ち(笑)。

いやあ、こんな小道具がねえ・・・。
参った、参った。

「これって、いくらするものですか?」「たしか〇千円ぐらいだったと思います。ネットでググってもらうとわかりますが。」「そうですか。」とさっそく面前でググってみたところ、サイズがいろいろあったが小さめだったのでお値段は超安かった。

「ここでお金を払いますので、このまま置いていってくださいよ。いいですね。」と無理を承知で言ったところ「仕方ありませんね・・。」(苦笑)。

Yさんがお帰りになった後で、我が家のSPコードにすべて装着しようとネットでさっそく注文して計8個ゲットした。

これでひとまず、気が収まって一件落着。

まったく「いい歳」をして、聞き分けのない子供みたいだ・・(笑)。



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ジェンセンのツィーターが巻き起こした波紋

2018年05月17日 | オーディオ談義

このところややマンネリ気味の我が家のオーディオに一陣の風が巻き起こった。

つい先日のこと、我が家の真空管の主治医「北国の真空管博士」からメールが届いた。

「Jensenの小型ホーンツイーター入手しました。Jensen得意のフォノリックダイヤフラムです。金属ダイヤフラムのツイーターよりもペーパーコーンスピーカーとの音の繋がりは良いかもしれません。インピーダンスが8Ωなので使いやすいと思います。

帯域は2Khz-18Khz程度と思うのですが詳しいデータが無いので使ってみないと何とも言えません。2ウェイ方式の高音域用に使われていたものです。アルニコマグネットでホーンはアルミダイキャストのようです。興味があればお送りします。」

さっそく返答。

「それは願ってもない話です。現在使用しているJBLの175ドライバー(1000ヘルツ以上)は、良くも悪くもちょっと金属っぽい音がするのでぜひ入れ替えて試してみたいところです。ただし相性というものがありますのでうまくいかないときは返品してもいいでしょうか。」

「はい、もちろん結構ですよ。」とご快諾。

2日後の12日(土)の午前10時頃に無事到着。

   

外見からして程度が良くていい音が出そうだが、ちょっとマグネットが小さいので1000ヘルツ前後を持たせるのは酷かもしれないというのが第一印象。

しかし、鳴らすアンプが小出力の真空管アンプ「471B(デフォレ)シングル」なので、壊れることもなかろうと、175と入れ替えてみた。

試聴盤はつい先日話題にした「木村好夫」のムードギターで、倍音が豊富なので高音域用のテストにはもってこいで1時間ほど試聴してみたが、流石に「フォノリックダイヤフラム」だけあってウーファーとのつながりにまったく違和感がないが、惜しいことに最高音域の伸びがいま一つ。

そこで、予備役に編入していたJBLの「075」ツィーターの出番となった。マイカコンデンサー(0.075μF×2個)でローカットして接続。

    

随分レンジが広くなってムードギターはバッチリだったが、試聴盤をエンヤのCDに切り替えてみると、不安が的中して1000ヘルツ前後に周波数の谷間があるようで声がやや上ずり、かすれ気味になることに気づいた。

この「駄耳」にもはっきりわかるほどなのでかなりヤバい(笑)。

仕方がないのでチャンデバを「クロスオーバー5000ヘルツ」に取り換えることにした。現在の手持ちはいずれも2ウェイ方式でクロスが「500ヘルツ」「1000ヘルツ」「5000ヘルツ」の3台だが、まさか「5000ヘルツ」の出番がやってくるとは夢にも思わなかった(笑)。

10分ほどで作業が済んで、ワクワクしながら聴いてみると、ウ~ン、どうなんだろう。

ウーファーに5000ヘルツまで持たせてスピード感に違和感を持たせないところは、さすがJBLのD130(口径38センチ)だが、少しもったり気味かなあ。チャンデバ製作者のMさん(大分市)に頼んでクロスを3000ヘルツに下げてもらうことにしよう。

ようやく一段落したところで時計を見ると13時40分だった。まだ時間が若い。

御馴染のオーディオ仲間のYさんに「ジェンセンのツィーターがやってきて何とか音出ししてみました。聴きに来ませんか。」

すると、いつものように一つ返事のもとでYさんが駆けつけてくれた。ただし、Yさんが別の目的をもってお見えになろうとはその時は知る由もなかった(笑)。

以下、続く。

 


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真空管の選択はオーディオの死命を制する

2018年05月12日 | オーディオ談義

つい先日のブログで「どういう真空管を使おうと所詮、(音質は)50歩百歩」なんて、うっかり口を滑らせてしまったが今となっては「覆水盆に返らず」で内心「しまった!」と思っている(笑)。

まあ、あえて弁解させてもらうとすれば
使っている真空管がすべて実力伯仲の古典管ばかりなので、どれもこれも似たような音質と思える環境にあることも争えない事実なので許してもらうとしよう。

さて、そういう厳しい選抜状況の中でも、真空管を換えることで痛切に音が良くなったと感じた事例を2件ほど紹介してみよう。

☆ 「2A3」シングルアンプの事例

     

ある人に製作していただいてからおよそ20年近い間、改造に改造を重ねてきたがKさん(新潟県)によって昨年の夏にようやく終止符を打ってもらったアンプである。

ひとくちに「2A3」といっても千差万別でピンからキリまであるが、これはフランスの名門「VISSEAUX」の刻印ものである。

中低音域の厚みが並の2A3とは違うので愛用しているが、この球をドライブする前段管は聞きなれない「6DE7」(テレビ用)で、「北国の真空管博士」の強力な推薦のもとで採用されたと聞いている。

「2A3の前段管は強力なドライブ力を持った真空管が必要」とのことで、この珍しい「6DE7」はテレビ用とあって場所をとらない小さなミニチュア管(画像左端)ながらドライバー管にも出力管にも使えるほどの優れモノである。

当初はNEC製の「6DE7」が使ってあった。NECといえば一時期あの名門「ウェスタン社」(アメリカ)と技術提携していたことがあり、当時製作された真空管には「ウェスタン」の技術が導入されているので侮れない存在だと「博士」が仰っていた。

これはこれで満足していたのだが、違うブランドの「6DE7」が欲しくなり、博士に相談したところ「海外のオークションで見つけてあげましょう」というわけで、運よく「RCA」製の「6DE7」が見つかり送ってもらった。

急いで「NEC」製から付け替えたところ、これがまあ何と素晴らしい…。

改めて前段管の重要性に思いを馳せたわけだが、たとえて言えば「スピーカーを生かすも殺すも真空管アンプ次第」 → 「真空管アンプを生かすも殺すも出力管次第」 → 「出力管を生かすも殺すも前段管次第」と、だんだん袋小路に入っていくので、まことにどのような球を(前段管として)選択するかは真空管アンプにとって「ノウハウの極致」のような気がして仕方がない。

したがって、そういう大切な前段管にポピュラーな球を使っている事例をみると、僭越ながら「あんな凡庸な球を前段管に使うなんてまったく芸がない。製作者の力量とセンスを疑いたくなる。」と思ってしまう。

さしずめ、その悪しき代表格といえば「6SN7」あたりかな~(笑)。

☆ 「71Aプッシュプルアンプ」の事例

     

2年ほど前にオークションで落札し改造してもらったアンプだが、出力トランスは泣く子も黙るほどの「ピアレス」(アメリカ)だし、インターステージ・トランスはパーマロイコアが使ってあるなど、お値段の割には信じられないほど良質の部品で成り立っていた。

ただし、シングルと違ってプッシュプルなので出力管が左右両チャンネルで2本づつの計4本要る。

当初は手持ちの中から適当にブランドの違う4本のナス管(371A)を組み合わせて聴いていたのだが、中低音域の厚みは気に入っていたのだが、どうも高音域が歪み気味だったのでプッシュプルとはこういうものかと半ば諦めていた。

しかし、どうしても気になるのでつい先日、思い切ってナス管から比較的特性のそろったST管(レイセオン)4本に挿し換えたところアッと驚くほどの変わりよう。

中高音域の抜けが見違えるほど良くなった。「プッシュプルアンプの場合、特製の揃った真空管をペアにすること」と、耳にタコができるほど聞かされてきたがそこは素人の悲しさで「大したことはあるまい。とにかくST管よりもナス管優先だ。」と軽く考えていたのだが、やはり甘かった。

これで待望の「71Aプッシュプルアンプ」が第一線級に躍り出てくれて、アンプの選択に困るほどのうれしい悲鳴。

以上、二つの事例を通じて「真空管の選択はオーディオの死命を制する」といっても過言ではないと思う今日この頃(笑)。




 


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木村好夫の魅惑のムードギター

2018年05月10日 | 音楽談義

 つい先日のこと、行きつけの「運動ジム」で備え付けの朝日新聞(2018.5.4)を読んでいたら第一面の「天声人語」に次のような記事があった。

「前略~ギブソンが経営破綻した。ギター市場が縮小するなか、活路を求めて音響機器へと事業を拡げたがうまくいかなかった。名門企業の落日である。

ジミー・ペイジ、ジミー・ヘンドリックス・・・。かっては若者が神様とあがめる奏者が何人もいたが、今は見当たらくなったと米紙が指摘していた。

音楽に目覚めたらまずギターを手にする時代は終わってしまったのか。ギターが前面に出ないヒップホップの隆盛なども響いているようだ。

<たった一つの音だけで誰かを崖っぷちから救い出したり、恋人たちを寄り添わせたり・・・>。ギターの持つ力について名手のカルロス・サンタナが述べている。戦争を終わらせることだって可能だと「エレクトリック・ギター革命史」。

聴く人の気持ちを揺り動かす力は、もちろん多くの楽器にある。それでも、ギターだけが持つ魔法があるような気がするのは、なぜだろう。」

以上のとおりで、ギターの名門「ギブソン」(アメリカ)がいったん債務整理を図って今後はギター製造に専念するというお話だが、この文章の中のポイントといえば最後の「ギターだけが持つ魔法があるような気がするのはなぜだろう」という箇所。

いわば、ギターの音色は格別の趣があるというわけだが、
実にタイミングよく自分も似たような体験をしたので述べてみよう。

ギター奏者
「木村好夫」と聞いてピンとくる方はどのくらいおられるんだろう。

「美空ひばり」など大歌手たちの伴奏をしていた、いわば当時の第一人者であり「黄金の指を持つ男」と称されたが亡くなられてからもう20年ほどになる。

BS放送で深夜番組「音楽のある風景」というのがあるが、先日「木村好夫」特集をやっていた。

題して「ムードギター昭和歌謡百選 木村好夫」という番組で録画して後で視聴したところ、ギターの音色がすこぶる哀愁味を帯びていて大いに琴線に触れるものがありウットリ聞き惚れた。大好きなヴァイオリンにもない独特の表現力がとても新鮮に感じた。

それに「昭和歌謡」のノスタルジックなメロディーがとてもいい。それほど歌謡曲を好んで聴いてきたわけでもないが、自分の青春時代の記憶と分かちがたく結びついているのでたいへん懐かしくこれもまた大好きなモーツァルトとは違った良さがある(笑)。

「善は急げ」とばかり、すぐに注文して4日後ぐらいには到着した。

   

左側が5枚組、右側が3枚組で全部で8枚のCDだが、このところ毎日のように聞き惚れている。

ギターはどうしてこうも素敵な音色を出すんだろう!

ギターの魅力全開といったところだが、素人考えながら楽器は「叩く」「はじく」「擦(こす)る」「吹く」ことで分類されると思うが、ギターは「弦楽器」に分類されており「はじく」ことで音を出すので「撥(はつ)弦楽器」その一方、お馴染みのヴァイオリンは「こする」ことで音を出すので「擦(さつ)弦楽器」とされている。

木村さんの奏法は自称「ちりめんビブラート」とされるもので独特のアコースティックな響きがたいへん魅力的だが、使用されているギターは前述のギブソンではなくスペインの「ホセ・ルイス・ロマニョス」で、「ギターのストラディヴァリウス」と称されている。

道理で「素晴らしい響き」のはずだ(笑)。

スペインのギターといえばハードボイルド作家「逢坂 剛」氏(直木賞)の「カディスの赤い星」を思い出す。

いずれにしろ昭和20年代生まれのオーディオ愛好家にはぜひお奨めのCD全集だと思いますよ~。

 


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旧くて新しいテーマ「プリアンプ不要論」

2018年05月08日 | オーディオ談義

今年の4月から東京に転勤されたオーディオ仲間のSさん。

福岡のご自宅には「タンノイ・ヨーク」(モニター・シルバー内蔵)、「AXIOM80」(最初期版)、そして「タンノイ・チャトワース」(モニター・レッド内蔵)の3つのスピーカーがある。

使用されているレコードプレイヤーは「EMT」、CDプレイヤーはフィリップスの「LHH-1000」、アンプは「PX25」の親玉的な存在の「PP5/400」シングル(モノ×2台)と、すこぶるハイエンドの愛好家である。

    

これからしてお分かりのとおりSさんは根っからのクラシック・ファンである。

おそらくこのたびの連休で福岡の実家にお戻りになっているはずと思って久しぶりに連絡をとってみたところ当たり~。ご在宅中のSさんのコメントは大要次のようなものだった。

「当初は忙しくてオーディオどころではなかったのですがようやく一段落といったところです。マンション住まいなのでスピーカーはチャトワースを持っていきました。CDプレイヤーはリンを新しく購入しました。

私はUSBなどを使ったハイレゾは大の苦手でレコードにしろCDにしろ回転系で音を鳴らさないと何となく落ち着かないのです。パワーアンプの方は現在北国の真空管博士にお願いしてありますので連休明けぐらいには届くと思います。

プリアンプは使わずにCDプレイヤーと直結にするつもりです。優秀なプリアンプなら別ですが中途半端なプリアンプなら使わない方がいいですからね。博士にもその旨伝えていますので、付属のボリュームを特別仕様にしてもらっています。」

やはり、連絡は取ってみるもので得難い情報が手に入った。

レコードからデジタルの時代になって40年近くなるが常に取りざたされるのが「プリアンプ不要論」である。このブログでも11年間にわたって再三再四取り上げてきたように「旧くて新しいテーマ」である。

この論争の行き着くところは結局Sさんが仰るように「優秀なプリアンプなら使った方がいいが、中途半端なプリアンプなら使わない方がいい。」という「ケースバイケース」に尽きるのだろう。

このところ我が家では「いいプリアンプ」に恵まれたので「プリアンプ必要論」に与(くみ)していたが、Sさんの言を聞いて久しぶりに「プリアンプ不要論」の実験をしてみる気になった。

我が家の場合、これまでの傾向としてDAコンバーターとパワーアンプを直結にすると中高音域の響きはGOODだがどうしても中低音域の響きが乏しくなるのが難点だった。そこで、中低音域を独立して音量調整でき、響きを少しでも豊かにできればうまくいく可能性があるかもしれないと狙いを定めた。

そういうわけで、チャンデバ(クロスオーバー:1000ヘルツ)を使った2ウェイのJBLシステム「D130+175ドライバー」の出番となった。周知のとおりチャンデバを使う最大のメリットは複数のSPユニットの音量調整を単独で出来ることにある。

そこでシステムの流れは次のようにした。

使用するDAコンバーターは「ワディアの27ixVer3.0」(ボリューム調整可)。

      

<1000ヘルツ以下>

チャンデバ → パワーアンプ「2A3シングル」(出力管:フランスのVISSEAUX) → スピーカーJBL「D130」(口径38センチ:イン・ウェストミンスター)

<1000ヘルツ以上>

チャンデバ → パワーアンプ「471B(デフォレ)シングル」 → スピーカー「JBL175ドライバー」

こういう場合いつも自画自賛で気が引けるが、「ありのまま」で言わせてもらえば「GOOD SOUND」だった(笑)。

箱(ウェストミンスター)が大きいせいか中低音域の響きは十分だし、音量調整の方もワディアのDACのフルボリュームが100だとすると、通常聴く分は60あたりで十分だし、リスニングの位置からリモコンで遠隔操作できるので便利なことこの上ない。

今のところ我が家では「LCネットワーク」あるいは「フルレンジ」のシステムはプリアンプを使い、その一方「チャンデバ」を使ったときは「プリアンプを使わない」に落ち着きそうだが、ご承知のとおり「気分屋」のところが大いにあるので、このまま1か月ぐらい聴いて本格的な結論はその後としよう(笑)。

 


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そういうわけで「JBL175ドライバー」の再登板

2018年05月05日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

愛知県からお見えになったSさんの鋭い耳に敬意を表しつつ、その一方では大いに当てにしながら(笑)、我が家を代表する「PX25シングル」アンプと「WE300Bシングルアンプ」の両方を試聴してもらったところ次のようなコメントだった。

「WE300Bはオーディオ的にはいい音だと思いますが、やや派手な音で前に出てきますね。クラシック音楽としての表現力からするとPX25の方が一枚上手ではないでしょうか。私はPX25の方が魅力があって好きです。」

そうなんですよねえ、仰ることはよく分かります(笑)。

我がオーディオ仲間のうちでも「PX25」派と「WE300B」派とに見事に色分けされるのがとても興味深い。前者を純粋なクラシック派とすれば後者は「何でもあり」派ともいえよう。

どちらがいいとか悪いというものではないものの、かくいう自分はといえば「ワーフェデール」を鳴らすときは「PX25」が好きだが「AXIOM80」を鳴らすときは「WE300B」が好きで、これはもう完全な日和見主義者である(笑)。

ちなみに、このPX25アンプはつい先日、出力管1本がオシャカになったのを機に整流管を直熱管から傍熱管(コッサーの太管「CV378」)に換えてから一段と音が澄んできた気がしている。

まことに「災い転じて福となる」あるいは「ピンチはチャンス」だった(笑)。

2時間ほどの試聴だったがSさんがお帰り際に遠慮がちにこう申された。

「これだけワーフェデールでヴァイオリンがうまく鳴ると、JBLの混成旅団がどう逆立ちしたってヴァイオリンの響きは追い付けそうにないですよ。むしろヴァイオリンに拘らずに管楽器をうまく鳴らす方向で調整されたらいかがでしょうか。これだけの大型システムですと音の余裕度がまったく違いますから、このままではもったいない気がします。」

いかにもトランペットが大好きなSさんらしいお言葉である。

翌日(29日)の午前10時に再度来訪されることを申し合わせて、Sさんがお帰りになった後で沈思黙考すること10分あまり。

それもそうだ・・・。どうしても大味になる大型システムでヴァイオリンをうまく鳴らそうなんて欲張り過ぎかもしれない。クラシックとかジャズとかに拘らず管楽器をうまく鳴らす方向で考えると面白いかもね~。ワーグナーの楽劇あたりは管楽器の迫力次第のところがあるし、さぞかしゾクゾクくるかもねえ。

ここで前回のブログの冒頭部分で張った「伏線」が生きてくる。

つまり、仲間の影響を受けやすい傾向にあるのが良くも悪くも我がシステムの特徴なのである(笑)。

そういうわけで「JBL175ドライバー」の再登板となった。交換するのに5分とかからず、あとは能率がメチャ高いユニット(108db)なのでパワーアンプのボリュームを若干絞るだけ。

大分市内のホテルに宿泊され、きっかり翌日(29日)の10時にお見えになったSさんに、「ほら、1000ヘルツ以上はこうしましたよ。」と第一声。

    

「あれぇっ!」

さっそくSさん持参のトランペットのCDを聴くと「これ、これ、やっぱり管楽器の表現力はJBLのホーン付きドライバーに限りますよ!」

それからは、この際とばかりいよいよ待望の「アンプ転がし」に入った。

このシステムはチャンデバを使って2ウェイマルチで鳴らしているが、中高音域(1000ヘルツ以上)を担当している「471A(デフォレ)シングル」(前段管:MH4(メッシュプレート)」は175ドライバーと相性抜群なのでいっさい変える気はない。

問題は中低音域(~1000ヘルツ)を担当しているJBLのD130(イン・ウェストミンスター)を駆動しているアンプ「171Aシングル」(前段管:6SN7)で、次の2台のアンプと交換して比較試聴してみることにした。

まずは「371Aプッシュプル」、次は「エレハモ300Bシングル」(モノ×2台)となったが、それぞれにいい面と悪い面があって「帯に短し、たすきに長し」(笑)。

たとえば171Aシングルはボーカルはとてもいいが低音域の沈み込みがやや物足りない。371Aプッシュプルは量感が十分だが音が膨らみ過ぎて175ドライバーのスピードについていけない。箱が大きいせいだろう。「エレハモ300B」は無難過ぎてやや個性に乏しいといった具合。

まあ、これからはその日の気分次第で入れ替えることにしよう(笑)。

そうこうするうちに丁度お昼時になったので市内のレストランに繰り出したが、ちょうど連休中とあって市内の幹線道路は県外ナンバーで大混雑なので遠回りになるが裏道を抜けた。

昼食後に半年後の再会を約束してお別れしたが、Sさんはこれから福岡の実家に戻られ、連休後に愛知県に戻られるという。

「次回はおそらくあまりシステムは変わっていないと思いますので期待薄ですよ~。」と、述べたが、何しろ今後のオークションでの掘り出し物次第なので、はたしてどうなっていることやら(笑)。

 


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オーディオの歴史は、お付き合いの歴史

2018年05月03日 | オーディオ談義

およそ50年近い我が家のオーディオの歴史を冷静に辿ってみると、自分の耳を頼りにしながら取り組んできたというよりもその当時のお付き合いのあった仲間たちの影響を色濃く反映しながら今日に至った感がいつもしている。

つまり、オーディオの歴史とは、お付き合いの歴史であり、「井の中の蛙」になることを少しでも防止できたという意味で(関係の方々に)感謝の念が堪えないが、その一方では「お前にはそもそも主体性ってものがないのか」と読者から軽蔑されそうな気もするので痛しかゆし(笑)。

「学ぶ」という言葉の語源は「真似ぶ」から来たという有力な説もあるので何ら臆することもないのだが、
実は今回(4月28日)愛知県から我が家に試聴にお見えになったSさんとの試聴会でそのことを改めて痛切に感じたので縷々述べてみよう。

Sさんは半年ごとに実家(福岡県)に帰省されており、その都度足を延ばされて我が家を覗かれるのが通例になっているが、今回も半年ぶりの再会だった。

「いやあ、お元気でしたか。半年間でどのくらいシステムが変わったのかワクワクして来ましたよ。お宅のシステムはとても澄んだ音がしますからね~。」と仰るSさん。

「どうもありがとうございます。想像される以上に変わったと思いますよ。ただし、音が良くなったかどうかは別問題ですが。」と苦笑しながらの返答。

すると「音の変化を楽しむのがオーディオですから音が良くなろうと悪くなろうと構わないと思いますよ。要は楽しめばいいんですよ。」とSさん。

この言葉を聞いて、まるで百万の味方を得たような思いがした(笑)。

はじめに聴いていただいたのは「長時間聴いても疲れない音」としてお気に入りの「JBL+グッドマン」の変則2ウェイシステムだった。

          

「長時間聴いても疲れない音」を言い換えると「周波数レンジを欲張らず気に障るような刺激的な音を出さない音」ともいえるが、Sさんによると「とてもバランスがいい音ですねえ」で、まずはひと安心。

次に聴いていただいたのがワーフェデールの2ウェイシステムだったが、これがまあ絶賛、また絶賛。

    

「ヴァイオリンの音色がまるでむせび泣くような響きでとても魅力的ですね。スピーカーの後方にきれいに音が広がって、控えめな佇まいが何とも言えません、何だか胸が切なくなるような響きですよ。」

これはクラシックファンならお分かりのとおり最上級の理想的な誉め言葉である。

   

駆動したパワーアンプは我が家のお宝「PX25シングル」(前段管は超希少な「GX-112」のトリタン・フィラメントでインターステージ゙・トランス内蔵)だったが、ひとしきり聴いていただいた後で今度は「WE300Bシングル」アンプに切り替えて聴いていただいた。

    

この300Bアンプの概要は、厚さ2.5ミリの銅板シャーシ、前段管は「371」(トリタン・フィラメント)、出力管は「WE300B」(1951年製のオールド)、整流管は「4274A」(STC)、入力トランス(HA-100X)、インターステージトランス(HA-106)ともにUTC(アメリカ)、出力トランスはベテラン(個人)の手巻きによるもの。

持ち主が言うのも何だが、真空管、トランスとも「おいそれ」とは手に入らないものばかりだし、さらに前段管と出力管のヒーター回路はそれぞれ別々になっているという、たいへん凝った代物である。

しかも最終的な製作責任者は古典管の泰山北斗「北国の真空管博士」と役者がそろっている。もし我が家のオーディオ機器をすべてオークションに出したと仮定すると一番高値がつきそうなのがこのアンプだろう(笑)。

ちなみに、両方のアンプとも前段管は「トリタン・フィラメント仕様」を使っているが、通常のフィラメント仕様と違って情報量が段違いなので愛用している。

さあ、イギリスを代表する出力管とアメリカを代表する出力管の一騎打ちの結果は、はたしていかに・・・。

以下、続く。


 


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鬼門の右チャンネル

2018年05月01日 | オーディオ談義

我が家には現在4系統のスピーカーがある。

「どうしてそんなに要るのか、お前は頭がおかしい!」と、お腹立ちの方もいるだろうが(笑)、味覚と聴覚は感覚器官(五感)として似た者同士であり、毎日同じ定食では飽きが来るのと同様に日替わりメニューのようにして音を楽しんでいる。

このうち2ウェイシステムの「ワーフェデールの純正組み合わせ」(口径30センチ+口径3インチ)は手作りのエンクロージャーをはじめユニット(両者とも赤帯マグネット)の購入から据え付けまで一番苦労したので「手が掛かる子供ほど可愛い」の類で愛着度の筆頭に位置している。

ただし、このシステムに限ってはどうも右チャンネルの音が左チャンネルと比較して小さいのが難点で、どうも原因がよくわからない。

ボリュームのマックスの位置が6時だとすると、左チャンネル側を3時ぐらいに絞ってようやく左右の音量のバランスがとれる程度になる。これは音質的にもそして精神衛生上においても極めてよろしくない(笑)。

素人なりに原因を考えてみた。

1 右耳の聴力の衰え

自分は右利きだが利き耳は左である。たとえばツィーターが鳴っているかどうか確かめるときは常に左耳を持っていくのでよく分かる。したがって加齢とともに左腕の握力が弱っていくように右耳の方の聴力が衰えた可能性がある。

2 アンプの右チャンネル側の真空管のへたり

これが一番可能性が高い。そこで愛用中のPX25アンプの前段管と出力管ともに左右を差し換えてみたところ、やはり左側の音が強いので真空管のせいではなかった。

しかしアンプ特有のクセかもしれないので、今度はアンプを丸ごと「2A3」アンプに換えてみたところ、やはり左側の音が強い。したがってアンプや真空管のせいではないことが判明した。

3 SPユニットのばらつき

そもそも左右のSPユニットにバラツキがあって右側ユニットのマグネットの磁束量の衰えのせいで出力が弱いのかもしれない。こうなるともう「お手上げ」で自分ではどうしようもない。

以上のとおりでからして、もう仕方がないと「さじ」を投げていたところ意外なところに解答が見つかった。

先日、オーディオ仲間がお見えになって仔細に右側のスピーカーをご覧になってから一言「SPコードをネジ締めした部分の端っこがネットワークのケースに接触しているけど、このケースは非磁性体ですかね。」

えッと、思わず声を漏らした。「たしかそうだと思いますがねえ」と言いながら、念のためネジ止めの部分のSPコードの端っこを持ち上げて接触から外してやると、あら不思議たちどころに左右の音量が均等になったのでメデタシ、メデタシ。


つまり、アンプ側からSPコードを伝わってきた電流が磁性体のケースに接触して電流が漏れていたことになる。道理で、これでは右側のSPが音が弱くなるはずだ!

      

画像をご覧になるとわかりやすいが左側のグレイのネットワークのケースが磁性体で、それにSPコードの端っこが接触していた。

初歩的な不注意そのもので「いったい何をやっているんだ」とばかり自分の頭を小突いてやった(笑)。

右チャンネルの不調についてはもう一つある。

アンプ類はときどき使ってやらないと電気的にあまりよろしくないので、久しぶりに予備で待機中のプリアンプを引っ張り出して鳴らしてみたところ、こんどは右チャンネルの音が弱いどころか音がまったく出ない。

もう、右チャンネルは鬼門だ!(笑)。

しかし、今回は一発で原因が分かった。プリアンプの上蓋を開けて真空管の右チャンネル側(「12AX7」の3本)を仔細に点検したところ1本が見事にオシャカになっていた。

     

銘管「ムラードのECC83」の頭部が白くなっており、しかも根元のガラス部分が割れていた。なぜ割れていたのかまったく心当たりがないので不思議で仕方がないが現実を受け入れるしかない。

予備の「ブライマーのECC83」と交換してスイッチオンすると無事に音が出てホット一息。

我が家だけかもしれないがオーディオは次から次に故障の連鎖反応を起こすことがあるのでほんとうに困ってしまう(笑)。

     


 


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