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苦しみの歴史から一歩 道アイヌ協会メンバーら10人 国会傍聴

2019-04-20 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/20 05:00
「歴史の大きな一ページになる」―。アイヌ民族に関する新法が19日、参院本会議で可決、成立すると、民族衣装を身にまとい、本会議場で傍聴していた北海道アイヌ協会のメンバーら10人はがっちりと握手を交わし、涙をぬぐって喜びを分かち合った。
 アイヌの人々の誇りが尊重される社会の実現など、議場で新法の趣旨説明が始まると、同協会の加藤忠理事長(80)は何度もうなずいて聞き入り、涙があふれた。国会近くで取材に応じ「抱えきれないような苦しみ、悲しみ、歴史があった。これからも一歩一歩、国民の理解を得て進んでいきたい」と語った。
 共に傍聴した阿部一司副理事長(72)は「国が初めてアイヌのことを先住民族と認めて法律にしてくれた。(国に認められるよう訴えてきた)先輩たちに感謝したい」と話した。
 一方、新法に対しては、アイヌ民族が長年求めてきた先住権や生活、教育支援が盛り込まれなかったことへの落胆の声もある。日高管内平取町の「平取アイヌ遺骨を考える会」の木村二三夫共同代表(70)はかつての同化政策から大学進学率などに格差が残る現状を踏まえ、「新法では不十分。差別をなくすためにも、スタートラインの差がなくなる施策を進めてほしい」と訴えた。(尾張めぐみ)
■札幌大・本田教授に聞く 経済的な自立こそ重要
 新法をどのように活用するべきか。アイヌ民族の現状や文化に詳しい札幌大の本田優子教授に聞いた。
 アイヌ民族の経済的な自立につなげることが何より大切です。特に市町村が対象の交付金事業は、目先の利益や短期的な成果を目標とせず、例えばアイヌ民族が伝統的に活用してきた植物や木を育て加工品を商品化するなど、10年後や20年後を見据えたグランドデザインを明確にすべきです。
 交付金を受ける市町村は、アイヌ民族や文化への理解を深めるとともに、アイヌ民族による専門的な役職や部署を設けるなど、当事者が主体となる仕組みを整えてほしい。
 新しい挑戦に意欲的なアイヌ民族の若者も増えています。交付金の地域計画策定に携わる組織を各地のアイヌ協会につくるのも良いでしょう。アイヌ文化に関わる事業を自治体や企業に助言するアイヌ民族のコンサルティング会社など、事業を広く受注遂行するアイヌ民族の企業ができることも期待したい。
 新法に足らざる点が多いのは事実です。ただ、アイヌ民族を先住民族と位置づけたことで国際的な先住民族政策のレベルを意識していくことになる。一足飛びに権利を保障することが難しいとしても、まずは新法が次世代のために有効に活用されることが大切です。(斉藤千絵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/298133
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