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パブコメ98%公表せず アイヌ新法方針案 大半が差別表現

2020-01-18 | アイヌ民族関連
北海道新聞 01/18 05:00
 政府が昨夏行ったアイヌ施策推進法施行に伴う基本方針案のパブリックコメント(意見公募)で、寄せられた6305件の大半がアイヌ民族の存在を否定するなどの差別的な表現で占められ、約98%が公表の対象外となっていたことが北海道新聞の情報公開請求などで分かった。公募期間中、インターネット上では文例を示してこうした表現での意見提出が呼び掛けられており、専門家は「異常な状況」と指摘している。
 昨年5月施行のアイヌ施策推進法はアイヌ民族を初めて「先住民族」と位置付けた。基本方針案はアイヌ施策の意義や目標などを規定。昨年7月31日~8月13日にネットなどで意見を公募し、案の修正は行わず9月に閣議決定された。
 内閣官房アイヌ総合政策室は応募意見について、基本方針案に関する意見は138件と判断。残る6167件は「案に関しない意見」としてネット上で公表する「意見の概要」から除外した。情報公開請求に対しては、個人の特定につながるとみた部分を黒塗りした上で「関しない意見」も含め全ての意見を開示した。
 情報公開された資料によると、「関しない意見」の大半は「アイヌ民族は存在しない」「アイヌ民族は先住民族ではない」「アイヌ民族への差別はなかった」―などの内容を含んでいた。ネット上では、同様の意見提出を促す記述が複数確認され、個人による20~30件の提出を求める例もあった。意見は匿名が可能なため、同一人物が複数提出した可能性もある。
 内閣官房アイヌ総合政策室は取材に「アイヌの人々を傷つける内容があった」と認め、ネット上の呼び掛けについては差別を禁止するアイヌ施策推進法の第4条などを挙げて「一般論として法の趣旨に反する言動があったことは遺憾だ」と述べた。
 第4条は「何人もアイヌの人々に対してアイヌであることを理由として差別すること、その他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」と定めている。昨年4月の国会審議では内閣官房アイヌ総合政策室が「民族としてのアイヌはいない」との発言は、ヘイトスピーチ(差別扇動表現)に当たるとの認識を示している。
 差別問題に詳しい師岡康子弁護士は、非公表とした政府の対応を評価する一方で「単に隠しただけでは何も解決しない」と指摘。「こうした言動がアイヌの人々を生きにくくしているのは確かだ。政府は何かあるたびに差別的言動は許さないとの姿勢を明確にし、啓発を強めるべきだ」と話している。(金子俊介)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/384359
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