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社説:アイヌ政策 「象徴空間」に知恵集めて

2011-06-29 | アイヌ民族関連
(北海道新聞 6月28日)

 政府のアイヌ政策推進会議(座長・枝野幸男官房長官)の作業部会が、最終報告をまとめた。
 胆振管内白老町に設置する大規模公園「象徴空間」について、アイヌ文化の振興、国民理解の促進、将来の連携・協働-の拠点となる「ナショナルセンター」として整備するとした。省庁横断で実現するため、新法の必要性にも触れた。
 これまでアイヌ民族側が求めてきた内容をほぼ盛り込んでおり、評価できる。着実に実現したい。
 ただ、アイヌ民族政策の中で象徴空間整備は始めの一歩にすぎない。
 アイヌ民族を先住民族と認めた国会決議(2008年6月)は、先住民族が「名誉と尊厳を保持し、その文化と誇りを次世代に継承していく」ことの重要性をうたった。
 しかし、道外居住者を対象にした初の全国調査では、厳しい生活の実態も明らかになっている。
 あらためて民族の苦難の歴史を思い、共生の環境づくりを進めなければならない。
 象徴空間は、文化施設のほか、体験・交流活動の拠点とも位置づけられた。具体的な内容や工程には触れず今後の課題として、新たな部会を設けて作業に当たる。
 日本では前例のない施設である。国は整備主体として、しっかりと取り組んでほしい。省庁の垣根を越えて一体で推進することが、特に大事だ。
 また、アイヌ件民族側の積極的なかかわりが極めて重要になる。自分たちがしたいこと、知ってもらいたいことを、民族の意見としてまとめ、反映させたい。そのための仕組みを考えてほしい。
 既存の施設や制度との連携も課題だ。
 国土交通省は道内各地で伝統的生活空間「イオル」再生事業を行っており、成果も上がっている。ほかに日高管内平取町の伝統工芸振興、釧路市の阿寒湖温泉アイヌシアター建設といった取り組みもある。
 一方民間では、装飾品や音楽の分野などでさまざまな活動が広がっている。若者や主婦らの間では、アイヌ文化を発信する側にも、それを受け取る側にも、新しい感覚が育ちつつあるようだ。
 拠点とはいっても、一カ所集中では多様なアイヌ文化を守ることにはならない。
 作業部会は共生空間を「扇の要」と位置づけた。それにふさわしいセンター機能のありかたに知恵を絞ってほしい。
 専門知識を持った担い手を育て、職場を提供することも、拠点として果たすべき大きな役割だろう。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/301925.html
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