武藤里美 会員限定記事
北海道新聞 2025年4月8日 7:00(4月8日 9:55更新)
「琉球民族は言葉や文化、土地を失っており、アイヌ民族と同じ問題を背負っている」と語る渡名喜隆子さん
約150年前に日本に併合された琉球王国にルーツを持つ人々が、北海道の先住民族であるアイヌ民族との連携を強めている。琉球民族とアイヌ民族は共に和人への同化を強いられた歴史があり、研究者に墓地から持ち出された先人の遺骨返還が滞っているなど共通の課題も多い。「少数者同士だからこそ、一緒に声を上げたい」。沖縄のマイノリティーたちが願うのは、先住民族としての尊厳の回復だ。
「アイヌ民族から『私たちも司法の場で(先住民族と)認められたところから始まった』と勇気付けられた。同化という同じ負の歴史を持つアイヌ民族と手をつなぎ、先住民族、人間としての尊厳を取り戻したい」。沖縄県浦添市出身で札幌市在住の琉球民族、渡名喜(とぅなち)隆子さん(74)はそう語る。
大阪高裁は2023年、旧京都帝国大(京都大)の研究者が昭和初期に沖縄県の墓から持ち出した遺骨の返還を子孫が求めた裁判の控訴審判決で原告の訴えを退ける一方、琉球民族を初めて「沖縄地方の先住民族」と表現した。
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