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匠の技、平取町が購入し支援 二風谷アイヌ博物館で工芸品展

2022-04-27 | アイヌ民族関連
北海道新聞04/26 05:05

展示されているアイヌ工芸品に見入る来館者
 【平取】町立二風谷アイヌ文化博物館で企画展「アイヌ伝統工芸のわざ~コロナ禍の博物館活動~」が開かれている。新型コロナウイルスの影響で経営が悪化した町内のアイヌ工芸品制作者らを支援するため、町が二風谷民芸組合から購入した工芸品87点が並ぶ。
 同組合の2020年度や21年度の売り上げはコロナ前の19年度に比べ、いずれも半減した。町は21年度に工芸品を購入。財源として国の新型コロナウイルス対応の地方創生臨時交付金約500万円を活用した。
 企画展では「二風谷イタ」(盆)や「チカラカラペ」(木綿衣)のほか、アイヌ文様がデザインされた名刺入れやネクタイ、スマートフォンケースなどを展示。いずれも同博物館に近い二風谷工芸館などで購入できる。
 フィンランドの大学職員で、道内旅行中に企画展に立ち寄った羽田勝之さん(42)は「着物の色が鮮やかで、自分にはできない匠(たくみ)の技だと思った。スマホケースは日常使いでき、フィンランドでも(販売すれば)人気が出そう」と話した。
 入館料は高校生以上400円、小中学生150円で町民は無料。5月22日までの午前9時~午後4時半で無休。問い合わせは同館(電)01457・2・2892へ。(杉崎萌)
(注)記事中の「チカラカラペ」の「ラ」は小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/674083

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「ゴールデンカムイ」監修者がアイヌ語を書き起こし幻の祭が明らかに 「チロンヌプカムイ イオマンテ」本編映像

2022-04-27 | アイヌ民族関連
映画.COM2022年4月26日 14:00

アイヌ長老の入魂の祈りを35年ぶりに甦らせる
(C)VisualFolklore
アイヌ民族の知られざる祭祀を記録したドキュメンタリー「チロンヌプカムイ イオマンテ」の特別映像が公開された(※タイトル「チロンヌプ」の「プ」は小文字が正式表記)。司祭の日川善次郎エカシによる「火の神への祈り」が映し出される。本作は、実写映画化も決まった漫画「ゴールデンカムイ」のアイヌ語監修者・中川裕がアイヌ語の現代日本語訳を担当しており、日川エカシの祈りの言葉はアイヌ語だが、中川がそのすべてを翻訳したことで、チロンヌプカムイの旅立ちを見守るアイヌの長老の思いが初めて明らかになった。
1986年、屈斜路湖を望む美幌峠で、75年ぶりに「チロンヌプカムイ イオマンテ」が行われた。狩猟民族であるアイヌの教えでは、動物は自らの肉や毛皮を土産にして人間の国へやって来るとされる。彼らはキタキツネを我が子のように育てると、そのキタキツネに祈りを捧げて歌や踊りで喜ばせ、土産を背負わせて神の国へ送る「イオマンテ」を執り行う。祭祀を司るアイヌ長老・日川善次郎エカシは、祈りの言葉の一言一句に魂を込める。60年代から日本とアジアの民族文化を撮り続けてきた北村皆雄監督が、86年当時の映像に2Kレストアを施し、貴重な祭祀の様子をよみがえらせた。
このほど公開された映像は、チロンヌプカムイの霊魂を確実に神の国に送り届けるため、火の神の助けを借りようと、囲炉裏の火に向かってカムイノミ(神への祈り)を行う様子が切り取られている。火の神は人間の生活の側にいる一番身近なカムイだ。日川エカシは繰り返し繰り返し、言葉を唱えて願いを伝えようとする。言葉を間違えたり、手落ちがあれば、チロンヌプカムイが神の国に帰ることができずに大変なことになるため、居合わせる者の真剣な表情から、神事の重さが伝わる。さらには、民族衣装に正装したアイヌたちがイクパスイ(献酒箸)で酒をすくって、火の神への供物・依り代であるイナウに捧げる姿など伝統的なアイヌ文化も確認できる。
4月30日から、ポレポレ東中野ほか全国順次公開。
https://eiga.com/news/20220426/12/

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アイヌ民族の知られざる祭祀の全記録 映画『チロンヌプカムイ イオマンテ』本編特別映像が公開

2022-04-27 | アイヌ民族関連
otocoto4/26(火) 14:00配信

ドキュメンタリー映画『チロンヌプカムイ イオマンテ』
1986年に行われた祭祀「チロンヌプカムイ イオマンテ」の全記録、ドキュメンタリー映画『チロンヌプカムイ イオマンテ』。本作は、チロンヌプカムイ(キタキツネ)の霊魂を神の国に送り返し、毛皮と肉を背負ってまた人間の国にやってきてほしいと願うアイヌ民族の重要な祭祀を映し出している。大正時代から75年ぶりに行われた祭りの貴重な記録映像を2Kレストアし、歌、踊り、言葉をよみがえらせた。まもなく最終回を迎える人気漫画『ゴールデンカムイ』のアイヌ語監修者である中川裕が、アイヌの長老の入魂の祈りを全て書き起こし、現代日本語訳をつけた。
司祭の日川善次郎エカシによる「火の神への祈り」のシーンがおさめられた本編特別映像が公開された。
チロンヌプカムイの霊魂を確実に神の国に送り届けるため、火の神の助けを借りようと、囲炉裏の火に向かってカムイノミ(神への祈り)を行う。火の神は人間の生活の側にいる一番身近なカムイ。日川エカシは繰り返し繰り返し、言葉を唱えて願いを伝えようとする。言葉を間違えたり、手落ちがあれば、チロンヌプカムイが神の国に帰ることができずに大変なことになる。居合わせる者の真剣な表情が神事の重さをものがたる。
映像には、民族衣装に正装したアイヌたちがイクパスイ(献酒箸)で酒をすくって、火の神への供物・依り代であるイナウに捧げるようすなど伝統的なアイヌ文化が映し出される。日川エカシの祈りの言葉はアイヌ語だが、中川がそのすべてを翻訳したことで、チロンヌプカムイの旅立ちを見守るアイヌの長老の思いが初めて明らかになった。
ポレポレ東中野では、4月30日(土)より〈公開記念トーク〉が各回上映後に開催される。
ドキュメンタリー映画『チロンヌプカムイ イオマンテ』は、4月30日(土)よりポレポレ東中野ほか全国公開。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8541a9eb09f017e6d7878d3b77031374d048708f

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北村皆雄監督最新作『チロンヌプカムイ イオマンテ』本編特別映像解禁

2022-04-27 | アイヌ民族関連
ナビコン[04月26日14時00分]  【映画】

©VisualFolklore
4月30日(土)からポレポレ東中野にて公開する北村皆雄監督最新作『チロンヌプカムイ イオマンテ』の本編映像が解禁となった。 
映画『チロンヌプカムイ イオマンテ』は、1986年に行われた同名の祭祀の全記録。チロンヌプカムイ(キタキツネ)の霊魂を神の国に送り返し、毛皮と肉を背負ってまた人間の国にやってきてほしいと願うアイヌ民族の重要な祭祀を映し出している。大正時代から75年ぶりに行われた祭りの貴重な記録映像を2Kレストアし、歌、踊り、言葉をよみがえらせた。まもなく最終回を迎える人気漫画『ゴールデンカムイ』のアイヌ語監修者である中川裕が、アイヌの長老の入魂の祈りを全て書き起こし、現代日本語訳をつけた。

©堤大司郎
今回解禁するのは、司祭の日川善次郎エカシによる「火の神への祈り」のシーン。チロンヌプカムイの霊魂を確実に神の国に送り届けるため、火の神の助けを借りようと、囲炉裏の火に向かってカムイノミ(神への祈り)を行う。
https://www.youtube.com/watch?v=fO-bJa5f--I&t=1s
火の神は人間の生活の側にいる一番身近なカムイだ。日川エカシは繰り返し繰り返し、言葉を唱えて願いを伝えようとする。言葉を間違えたり、手落ちがあれば、チロンヌプカムイが神の国に帰ることができずに大変なことになる。居合わせる者の真剣な表情が神事の重さをものがたる。映像には、民族衣装に正装したアイヌたちがイクパスイ(献酒箸)で酒をすくって、火の神への供物・依り代であるイナウに捧げるようすなど伝統的なアイヌ文化が映し出される。日川エカシの祈りの言葉はアイヌ語だが、中川がそのすべてを翻訳したことで、チロンヌプカムイの旅立ちを見守るアイヌの長老の思いが初めて明らかになった。ぜひスクリーンでその思いを感じてほしい。 
■映画概要 
(1986 年撮影/2021 年制作/105 分/カラー/16:9/DCP・Blu-ray) 
【監督】北村皆雄 
【監修・カムイノミ対語訳】中川 裕(『ゴールデンカムイ』アイヌ語監修) 
【語り】豊川 容⼦ 【⾳楽】豊川容⼦+nin cup 
【司祭者】⽇川善次郎エカシ 【企画・スチル】堤 ⼤司郎 
【制作】三浦 庸⼦ 【製作・配給】ヴィジュアルフォークロア 

Youtube予告動画
HP

https://navicon.jp/news/73391/

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〈社説〉琉球遺骨 返還は学問の府の責務だ

2022-04-27 | ウチナー・沖縄
信濃毎日新聞2022/04/26 09:30
 世界の潮流に逆行している。判決をお墨付きにしてはならない。
 琉球王家の子孫に当たる沖縄県民らが、京都大を相手に、研究のため昭和初期に古墳から持ち出した遺骨の返還を求めた訴訟である。京都地裁が返還を認めない判決を言い渡した。
 2007年に採択された「先住民族の権利に関する国連宣言」は、先住民族が遺骨返還の権利を有し、国は返還を可能にするよう努めると明記している。
 宣言を受けて海外では法整備が進み、先住民族や旧植民地に遺骨を返す動きが広がる。国内でもアイヌ民族の遺骨について訴訟などを経て返還が実現している。
 沖縄県も、琉球王国が明治政府により強制的に併合された歴史がある。先祖の遺骨を本来ある場所に祭りたいと願う沖縄の人たちと、誠実に向き合うべきだ。
 遺骨は、西暦1500年以前の沖縄北部の豪族か、その一族のものとみられる。原告は、1920~30年代に旧京都帝国大(京都大)の研究者が「盗掘」した複数の遺骨のうち、大学が保管する26体の返還を求めていた。
 大学側は、研究者の随筆を根拠に、当時の県庁や警察の許可を得たと反論。遺骨と原告の関係性が明確ではないと主張していた。
 判決は、遺骨は祭祀(さいし)する不特定多数の人全員に帰属しているとは言えないと指摘。原告も不特定多数の子孫と同じ立場とし、返還請求権を認めなかった。
 同時に「琉球民族として遺骨を墓に安置したいという心情」に理解を示し、関係機関と返還の是非を協議するよう提言している。
 訴訟を通じて、大学側は遺骨収集の経緯や保管の実態を十分に明らかにせず、和解にも応じてこなかった。世界の潮流を無視するかのような態度があからさまだ。
 大学側が、裁判所の提言をすぐに受け入れるとは思えない。国連宣言に基づき、国が間に入り、協議の場を設けて、返還を働き掛けていくべきではないか。
 収集の詳細な記録や遺骨台帳は見つかっていない。正当な手続きを経ていたか疑問が残る。大学側が今後も保管を続ける意向なら、改めて原告らも含め関係者に同意を得るのが筋だろう。
 京都大には、戦前の奄美大島や台湾、朝鮮半島で収集した骨もあるとみられるが、保管状況も収集の経緯も明らかにされていない。
 調査を進めて公開し、子孫からの返還要請があれば真摯(しんし)に対応する。学問の府がすべきこの責務を果たしていない。
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2022042600063

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アラスカ北極圏の石油開発、トランプ政権時代の政策を転換

2022-04-27 | 先住民族関連
朝日新聞2022年4月26日13時23分

 4月25日、米国のバイデン政権は、アラスカ北極圏の石油開発を加速するトランプ前政権時代の政策を転換した。米アラスカ州アンカレッジにある国立の野生生物保護区で撮影。提供写真(2022年 ロイター/U.S. Fish and Wildlife Service)
 [アンカレッジ(米アラスカ州) 25日 ロイター] - 米国のバイデン政権は25日、アラスカ北極圏の石油開発を加速するトランプ前政権時代の政策を転換した。
 内務省土地管理局がオバマ政権時代の「アラスカ国家石油保留地」管理政策を再導入した。保留地の約半分で石油リースを認める一方、北極圏のエコシステムと先住民族にとって重要と判断した土地の保護を強化する。
 トランプ政権時代の政策では、保留地の80%以上で石油開発を認めることを目指していた。この政策に対しては、アラスカの連邦裁判所に2件の訴訟が起こされており、内務省土地管理局は、訴訟に対応するため、オバマ政権時代の政策を再導入した。
https://www.asahi.com/international/reuters/CRWKCN2MI07J.html

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アイヌ語、沖縄語、やまとことば。「地名」に込めた大地の「祈り」

2022-04-27 | アイヌ民族関連
ゴム放置新聞2022-04-26
出版ジャーナリスト 原山建郎
 ロシアによるウクライナ侵攻から3カ月目の現在も、いまだに停戦交渉再開への見通しは立っていない。
 そのドサクサに紛れて、4月7日、ロシア下院議会の有力議員が「北海道の全権はロシアにある」として、その根拠を「ロシア人開拓者が交易のために開発、植民地化を行い、利用していた。そこ(北海道)にはアイヌ民族が住んでいた。サハリンやウラジオストク近郊、カムチャッカの南部に住んでいるのと同じ民族で、ロシアの民族のひとつだ」と発言し、そう遠くない将来、ロシアが北海道に侵攻する可能性をほのめかした。
 また、日本の領海である沖縄県の尖閣諸島付近では、中国海警局などの艦船による領海侵犯が常態化しているが、尖閣諸島の領有権のみにとどまらず、「沖縄(琉球王国)もかつては中国の領域(朝貢を行っていた属国)だった」として、中国メディアの一部は「沖縄(琉球)の主権は中国に帰属すべきだ」と主張している。
 日本の北方からの脅威(大陸から渡来したアイヌ人は、ロシア人と同じ系統の民族であると主張するロシア)と、南方からの脅威(琉球はもともと中国の属国であったと主張する中国)は、今回、ロシアによる一方的なウクライナ侵攻が起こった21世紀のいま、少なからず現実味を帯びはじめているようにもみえる。
 『アイヌ語地名と日本列島人が来た道』(筒井功著、河出書房新書、2017年)の解説がとても興味深い。
 ホモ・サピエンス(現生人類)は、いまから二〇万年ほど前のアフリカで誕生した。六万年前に「出(しゅつ)アフリカ」と人類学者が呼ぶアフリカからの拡散が始まり、それがアジアに達したのは五万年前であった。この数字には研究者によって多少の違いはあるが、シナリオそのものは現今の通説となっている。
 ホモ・サピエンスが日本列島に渡ってきたルートは三つある。北からサハリン・北海道ルート、朝鮮半島・対馬ルート、台湾・沖縄ルートである。これも現在、通説とされている。その時期は対馬か沖縄のいずれかが最も早く、三万八〇〇〇年前~二万六〇〇〇年ばかり前のことらしい。いちばん遅かったのは北海道ルートで、二万六〇〇〇年ばかり前のことらしい。
(『アイヌ語地名と日本列島人が来た道』227ページ)
 ロシアは「北海道」を、中国は「沖縄」を、本来は自国の領土だと強弁するが、人類の起源(ホモ・サピエンス)がアフリカでの誕生だとすれば、世界の国々は全てアフリカの「領土」であるということになる。
 しかし、前回のコラム№134の末尾に書いたように、それぞれアイヌ語や沖縄(琉球)語、やまとことば(原縄文語)などのことばで発音され、文字に記された地名には、その大地で暮らす人々を見守ってきた「たましいの物語」がある。地名に込められた物語は「もの(その人の身の上、土地で起こった事象・出来事を)+かたり(ことばというカタチを借りて伝える)」重要な手がかりであり、それは古代の語り部たちが話して聞かせるアイヌや沖縄の「民話」となり、それらを統合した物語はやがて「神話」と呼ばれるようになった。
 去る4月23日午後、観光船「KAZUI(カズワン)」が知床半島沖で遭難した。観光コースの名所、「カシュニの滝」はアイヌ語で「カシ(狩小屋)+ュニ(のある)+イ(ところ)」、もう一つの名所、「カムイワッカの滝」はやはりアイヌ語で「カムイ(神の)+ワッカ(水)」であり、狩猟と漁撈を生業としていたアイヌ人にとって、それぞれ神聖な場所を表す地名である。また、観光船の母港があるウトロ(宇登呂)は、 「ウトゥ(その間を)+チ(我等が)+ク(通行する)シ(所)」に由来し、岩と岩との間に細道を通って集落から浜へ往来するところ。知床半島の知床(シレトコ)は、「シㇼ(大地)+エトㇰ(突き出たところ)」に由来し、土地の突端部分、岬を表す地名である。ここかしこにたくさんのアイヌ神話(民話・伝説)がある。
 ことしは沖縄の本土復帰50年(1972年5月15日)という節目の年で、NHK朝の連続テレビ小説の舞台に「沖縄」をとりあげた『ちむどんどん』が放映されている。タイトルの「ちむどんどん」は、沖縄語の「チム(胆=心胸・心)+ドンドン(心が高鳴る様子を表すオノマトペ)する」から、「胸(心)がドキドキする」となる。また、沖縄語の「チム+グスイ(胆薬)」は、肝臓の薬ではなく、心(胆)に沁みる言葉(薬)の「チム(胆)」である。チム(胆)は「肝に銘ず(強く心に留め、決して忘れない)」の「胆(ハート)」である。
 ちなみに、ドラマの舞台である山原(ヤンバル)村のモデルは、沖縄本島北部の山原地区にある東村(ヒガシソン)、国頭村(クニガミソン)、大宜味村(オホギミソン)あたりらしい。もしかすると、主人公・比嘉暢子の名字「比嘉」が「東」を意味することから、「東村(ヒガシソン)」がそのモデルではなかろうか。
 沖縄語の発音で「東西南北」の方角を、それぞれ東(アガリ)、西(イリ)、南(へー、フェー)、北(ニシ)というが、ドラマのヒロインの名字はおそらく比嘉(ヒガ)という地名からとったものではないだろうか。
 『沖縄地名考』(宮城真治著、沖縄出版、1992年)に、「比嘉(ヒガ)」「東江(アガリエ)」という地名の由来が載っている。引用文中の(※)は現在の地名、漢字のルビはカッコ内にカタカナ表記した。(以下同)
 「比嘉は東方の義」
 (※沖縄県)勝連村(※旧中頭郡・現うるま市に統合)の離島に字(あざ)比嘉(ヒガ)がある。これをヒヂャと読み、浜比嘉と併称されて、比嘉は(※沖縄本島の)東部に位している。ヒヂャは沖縄語で東のことで、もと光を意味し、日本語のぴかぴかが光を修飾するのと同系の語である。東は旭光の発する所であるのに基づくものである。仲里村(※旧仲里村・現久米島町)に字(あざ)比嘉がある。山城(ヤマグスク)と相対し、比嘉は東に、山城は西にある。これも東の義であることが明らかである。/東江(アガリエ)は(※名護市)名護町の元の字名でアガリと読み、(中略)沖縄語アガリもまた東の義で、朝日のあがる方である。/東(ひがし)村は国頭郡の属村で、大正十二年久志村(クシソン、※現名護市東部)より分立したものである。久志村を俗に東原(ヒヂャバラ)もしくは東方(ヒヂャカタ)と称えるに基づいて命名したものである。
(『沖縄地名考』「位置による地名」70~71ページ)
 たとえば、地名の大字(おおあざ)は地域共同体(昔の町名・村名) が単位であるのに対して、字(あざ)や小字(こあざ)は大字よりも小さい田畑のような耕地、山林、採草地など経済的な土地のまとまりを単位としている。したがって、昔の一般庶民は「名字」など持っていなかったから、○○村に住んでいる誰それ、誰それの息子(娘)と呼ぶときに、より詳細な地域名(大字→字・小字)を「名字」代わりに命名したものだったのではないか。それが現在の「姓(名字・苗字)」のルーツであり、先祖代々の土地につけた地名(大地の言霊)に、子孫の健康、繁栄を見守り、いつまでも幸せであるように願う「祈り(思い)」を込めた。
 ここまでアイヌ語発音が残る北海道・東北北部の地名、沖縄語発音である沖縄諸島の地名を見てきたが、「やまとことば」のルーツ、原初の日本語(原縄文語)の地名も調べてみよう。すでに、本コラム№21(琉球方言、東北方言という「フルコト」、もの・かたり文化。)でもとりあげたが、沖縄語は「やまとことば」を産んだ「原縄文語」の流れを汲む言語である。コラムの一部を再録してみよう。
 『日本語教室』(井上ひさし著、新潮新書、二〇一一年)にある井上説によれば、原初の日本語(原縄文語)は、前期九州縄文語を起点に①九州全域に広まると後期縄文語→九州方言に、②南下して琉球縄文語→琉球諸方言(沖縄・奄美諸島)に、東へ向かった一つは③表日本ルート縄文語→山陽・東海方言を経て関東方言に入り、もう一つは④裏日本ルート縄文語→北陸・東北方言を経てやはり関東方言に影響を与えた、という四つの流れがあるという。ここで注目すべきは、中央からはるかに遠い、琉球諸方言と東北方言、そして出雲方言に「原縄文語」が色濃く残っていることである。
(連載コラム「つたえること・つたわるもの」№21)
 「やまとことば(上古代の日本語)」の音韻(素語)からその成り立ちを研究している野村玄良さんは、自著『日本語の意味の構造』(文芸社、2001年)で、「地名」の素語について述べている。(太字表記は原山)
 地名の「津」は「港・船着場・船の渡し場」の意で使われたが「港」の意は津に比べれば新しい使われ方で、本来「ツ」は「穏やかな水域」の意で、波静かな河口の内側にある入り江や、浦なども「ツ・津」と呼んだのである。この「ツ・津」は限られた一定の水域の意である。/佐渡の「両津」の地名は、内側に封鎖された内海と外洋を分ける細長い陸地にこの地名が付けられた。だから「ツ」は明らかに一定の水域を意味している。「高津」は「高潮」の意で、時々水面下になる地点である。/「大津」は大きな港の意もあるが、本来は大きな水面・水域から長じて大きな湖の意で「琵琶湖」を指す言葉である。「津波」は、港だけに来る波ではなく、突然海岸に押し寄せる波長の長い高波で、この「ツ」は巨大な水塊を意味する。/ちなみに「海」は「ウ・∩形」+「ミヅ・水=ミ・霊妙・霊的+ツ・津・液体」で、決して「生み出す」の意はない。山の上や、岬・海岸や島の高みから海を眺めると、水平線は明瞭に∩形に湾曲をしていることが確認出来る。また古来より船で海を渡る人々は、水平線の下から島影や船影がだんだん浮かび上がってくるのを目の当たりにしてきた体験を持っている。海原の果てが湾曲していることは周知の事実だったのである。
(『日本語の意味の構造』181~182ページ)
 「瀬」は「狭く突き出た場所」で、人がうつ伏せた「背中(狭い場所の意)」から。海や川にあるのは「瀬」で、田んぼにあるのは「畔・アゼ」。海の瀬は「浅瀬」もあれば「沖津瀬」もある。昔から船が瀬に乗り上げると難破するので恐れられている。「瀬戸際」はこの「瀬」のことである。 
(『日本語の意味の構造』155ページ)
 「岬・ミサキ」=「ミ・湾曲した突き出た形で、耳形」+「サキ・先」である。岬のあたりは岩礁地帯で船の運行にきわめて危険な地帯であるから、海神の支配を感じ取ったのは海の民である。(中略)海岸から少し飛び出した地形の呼称は「○○鼻」の地名が無数に存在する。鼻も耳も突き出た形であり、人体語を当てて命名されていることは誰にでも分かる。
(『日本語の意味の構造』238ページ)
 「ナニハ・難波」は「ナ・軟弱」+「ニ・泥土」+「ハ・端・へり」=陸地のへりが、泥状になっているところの意。昔は「難波潟・ナニハガタ」と呼ばれたところ。淀川の河口一帯は葦の茂る入り江で、泥状の湿地帯には、いく筋もの水路が複雑に交差するところで、「ナニハヅ・難波津」と呼ばれる入江は船の出入りが多く交易の場所となっていた。
(『日本語の意味の構造』242ページ)
 北海道・東北北部のアイヌ語地名、奄美群島から琉球諸島に息づく沖縄語地名、九州・四国・本州のあらゆる地域に点在するやまとことば(原初の日本語・原縄文語)の「地名」には、その土地に祀られた八百万の神々による「ここに暮らす人々よ、幸(さき)くあれ」という「願い」、大地の「祈り」が込められている。
【プロフィール】
 原山 建郎(はらやま たつろう)
 出版ジャーナリスト・武蔵野大学仏教文化研究所研究員・日本東方医学会学術委員
 1946年長野県生まれ。1968年早稲田大学第一商学部卒業後、㈱主婦の友社入社。『主婦の友』、『アイ』、『わたしの健康』等の雑誌記者としてキャリアを積み、1984~1990年まで『わたしの健康』(現在は『健康』)編集長。1996~1999年まで取締役(編集・制作担当)。2003年よりフリー・ジャーナリストとして、本格的な執筆・講演および出版プロデュース活動に入る。
 2016年3月まで、武蔵野大学文学部非常勤講師、文教大学情報学部非常勤講師。専門分野はコミュニケーション論、和語でとらえる仏教的身体論など。
 おもな著書に『からだのメッセージを聴く』(集英社文庫・2001年)、『「米百俵」の精神(こころ)』(主婦の友社・2001年)、『身心やわらか健康法』(光文社カッパブックス・2002年)、『最新・最強のサプリメント大事典』(昭文社・2004年)などがある。
https://gomuhouchi.com/serialization/42581/

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国連での先住民フォーラム派遣へ資金募る 琉球民族独立学会

2022-04-27 | ウチナー・沖縄
琉球新報4/26(火) 13:39配信

「先住民問題に関する常設フォーラム」に若者を派遣するため、資金を募っている友知政樹共同代表=21日、宜野湾市の沖縄国際大
 【宜野湾】琉球民族独立総合研究学会(友知政樹共同代表)は、25日から5月6日まで米国の国連本部で開催される「先住民問題に関する常設フォーラム」に沖縄の若者を派遣するため、クラウドファンディング(CF)で資金を募っている。友知さんは「世界中の先住民族と交流し、仲間たちが置かれている状況などを学んでほしい」と語った。フォーラムでは文化や教育、人権などに関する先住民問題を議論する。
 以前に参加した友知さんは「先住民の皆さんが自信を持って伝統衣装を着て、自らの文化に誇りを持っている姿に勇気をもらった」と語り、若い人たちにも経験してもらいたいと、若者の派遣を企画した。
 1人を国連本部に送り、ほかに3人がオンライン参加予定。フォーラムでは、国連人種差別撤廃委員会などが沖縄の人々を先住民として認めて勧告していることに日本政府が従っていないことや、辺野古新基地建設の埋め立てに本島南部の土砂が使用される可能性のある問題などをスピーチで訴える計画がある。
 CFは琉球新報のサイト「YUIMA」で5月20日まで実施。サイトはhttps://yuima-okinawa.jp/project/detail/955から。
 (狩俣悠喜)
https://news.yahoo.co.jp/articles/38e472358b913105aa0f9ce9cb4e1b4a468d27bf

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鎮魂と祝賀の舞披露 琉球芸能奉納団がウポポイへ 白老

2022-04-27 | アイヌ民族関連
苫小牧民報2022/4/26配信
 全国各地の神社仏閣などで琉球芸能を奉納している琉球芸能奉納団(伊禮末子団長)が23日、アイヌ民族文化財団(札幌市)が管理運営する民族共生象徴空間(ウポポイ)・慰霊施設=白老町=を訪れ、北海道アイヌ協会や財団関係者らを前に鎮魂と祝賀の舞を披…
この続き:517文字
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https://www.tomamin.co.jp/article/news/area2/75643/

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代官山で立体造形作家・森井ユカさん個展「ニッポン妖怪録」

2022-04-27 | アイヌ民族関連
みんなの経済新聞4/26(火) 18:10配信

民話で知られる「一寸法師」(大阪、右から2番目)などの作品が並ぶ場内
 立体造形作家・森井ユカさんの個展「ニッポン47妖怪録」が4月27日、代官山のギャラリー「子の星」(渋谷区代官山町)で始まる。(シブヤ経済新聞)
 全国に1600ほどあるといわれている伝承に登場する妖怪の中から、47都道府県ごとに1つずつ選び、森井さんの解釈で立体化した作品を展示する同展。森井さんはポケットモンスターの「ポケモンカード」公認イラストレーターのほか、妖怪ウオッチに携わるなどキャラクターデザイナーとしても活動しているなか、「原点に立ち返る」ため日本の妖怪の立体化に取り組んだ。3年前に行った世界の民話に登場する怪物の立体作品に続く展示にもなっている。
 妖怪は、その都道府県に伝わる伝承からセレクト。北海道=アイヌに伝わる海の泡に化け変化自在の「ルルコシンプ」、福島=てんぐ、群馬=民話に登場する「ぶんぶくちゃがま」、東京=江戸時代の娯楽読み物「黄表紙」に登場する夜道に豆腐を持って現れるだけの「豆腐小僧」、岐阜=飛騨や美濃に出没する人の心を見透かす「サトリ」、富山=南砺市に伝わるヒキガエルのような体に人の顔の「センポク カンポク」、島根=瀬戸物を寄せ集めたような姿をしている「瀬戸大将」、大分=臼杵市に伝わる米や宝が入っている壺の精霊「宝化物」、沖縄=ガジュマルなどに住む樹木の精霊「キジムナー」など。
 入道や僧侶のような姿という言い伝えもある「たんころりん」(宮城)は、収穫せずに放置された柿の木が妖怪化したという伝承から柿をモチーフに制作。妖怪画を描いたことで知られる鳥山石燕が正面を向く僧を描いている「日和坊」(茨城)は、てるてる坊主に寄せた姿で作った。作品は焼いて固めるドイツの粘土「FIMO」で制作。1体ずつ木製のフレームに入れ、日本画の顔料を使って背景を描いている。
 作品は販売(各1万9,000円)するほか、作品をデザインしたポストカード(1枚200円~)、妖怪のシルエットをデザインした手拭い(100本限定、1,800円)などのグッズも展開する。
 森井さんは「おそらく妖怪のイメージは人の数だけあると思うので、『自分だったらこう描きたい』というような、創作意欲をくすぐる存在になったらうれしい」と話す。
 開催時間は11時~20時(最終日のみ19時まで)。5月2日まで。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1c82bd1561b86b7cccacd47d3d1edb86fd3c0d2b

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