先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

現代に生きる古代マヤ人の子孫たち、直面する差別と貧困

2012-12-21 | 先住民族関連
2012年12月20日 20:51 発信地:グアテマラ市/グアテマラ
【12月20日 AFP】5200年に及ぶ古代マヤ文明の「長期暦」が21日に区切りを迎えるにあたり、それを祝う者も「終末の日」だと信じる者も、世界中の目がかつて繁栄した古代文明に注がれている。しかし、現代のマヤ人の窮状は話題にされそうにない。
 絶頂期には南北米大陸で最も豊かな文化を誇っていた古代マヤ文明。その子孫にあたる中米やメキシコのマヤ人は、差別や搾取、貧困に苦しんでいる。
■奴隷とされたマヤ人、今も社会の末端に
「先住民系の人々は常に安価な労働力だとみなされてきた。これが今も根強く残っている」と、グアテマラの人類学者アルバロ・ポップ(Alvaro Pop)氏は指摘する。同氏は国連(UN)の「先住民問題に関する常設フォーラム(Permanent Forum on Indigenous Issues)」の委員だ。「彼らは道具だとみなされ、公共政策の対象だとは考えられていないのだ」
 マヤ文明がが頂点を迎えたのは紀元250~900年で、1200年頃には衰退し始めた。それから300年後のスペインの植民地時代、マヤ人は自分たちの土地を奪われ、貧困に陥った上に奴隷とされた。
 現在、マヤ人の直系子孫は2000~3000万人がメキシコ南部、ベリーズ、ホンジュラス、エルサルバドル、グアテマラなどにいると推計される。
 メキシコでは1994年、社会的窮状と搾取による苦しみからチアパス(Chiapas)州で反政府組織サパティスタ国民解放軍(Mexican Zapatista Army for National Liberation、EZLN)が創設され、その悲惨な境遇に世界の関心を集めた。
 グアテマラでは、マヤ人は社会の末端に追いやられ、教育や保健医療といった基本サービスの利用も制限されている。人口1430万人の半数近い42%が先住民系だが、その貧困率は80%にも上り、国連開発計画(UNDP)によれば、先住民系の子どもの10人に6人は栄養不良で、乳児は1000人に40人という高い割合で死亡している。
■内戦で村ごと消される
 マヤ人が最も大きな犠牲を払ったのは、グアテマラ内戦(1960~96)だろう。政府軍と左翼ゲリラによる内戦中、先住民コミュニティーでは600件を超える大量虐殺が記録され、数万人が難民となってメキシコ南部へ逃れた。特に、エフライン・リオス・モント(Efrain Rios Montt)将軍の独裁政権下(1982~83)では「焦土作戦」の下、マヤ人の村々が一掃された。
 この国家による抑圧のさなかに登場したのが、マヤ系先住民の人権活動家リゴベルタ・メンチュ(Rigoberta Menchu)氏だ。先住民虐殺を激しく糾弾したメンチュ氏は、1992年にノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞した。
 メンチュ氏はAFPの取材に「内戦が、先住民系を物理的にも精神的にも掃滅する口実として使われた」と語った。「焦土作戦」によって先住民らはさらなる貧困へと突き落とされたという。
■土地から追われる先住民たち、今も続く苦難
 現在も、先住民系の人々が故郷とする地域には、政府の「麻薬との戦い」の一環で軍部隊が入り込んでいる。そして水力発電、鉱山採掘、農業開発といった各プロジェクトが再び先住民たちを彼らの土地から追放している。
 ホンジュラスでは、化粧品や加工食品の主要原料とされるパーム油需要の増加によって、プランテーション所有者と土地なし農民の間の土地紛争が激化している。(c)AFP/Henry Morales
http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2917670/10019318?ctm_campaign=txt_topics

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【オーストラリア】ウラン最大輸出国から転落も、非公開報告が警告

2012-12-21 | 先住民族関連
NNA 12月20日(木)8時30分配信
 豪官民合同審議会のウラニウム・カウンシル(UC)が、オーストラリアはウランの輸出制限を続ける限りウラン輸出が伸びず、カザフスタンやカナダに抜かれ、ウラン輸出最大国の地位から滑り落ちる可能性があると警告していることが分かった。流出した非公開報告書の中で明らかになった。世界のウラン埋蔵量の33%がオーストラリアにあり、関係企業はウラン産業のさらなる推進を連邦政府に求めていくとみられる。19日付オーストラリアンが報じた。
 同報告書でUCはオーストラリアのウラン産業の問題として、従来から資源産業全体で指摘されてきたコスト高に加え、不必要かつ重複した環境評価の手続き、ウラン輸出港の制限、ウランに対する一般の誤った理解などを指摘している。またUCは、福島第一原発の災害でウランの需要が減っても、アジアには原子力発電所の設置を進める国家が増えており、長期的にはウランの需要は安定するとした。
 現在、地元民などの反対で、オーストラリアでウランの輸出が可能な港は、南オーストラリア(SA)州のアデレードと北部準州(NT)のダーウィンに限定されており、ウラン採掘業者は高い費用を払って、それらの港までウランを輸送しているが、UCは、「積み出し港の問題で、ウランを必要とする国はより安く安定供給可能な国に向かうだろう」としている。
 非公開報告書はUCが作成し、エネルギー・資源産業に関する官民合同の「エネルギーと資源に関する常任審議会(SCER)」に提出されたもので、通常は非公開だがオーストラリアン紙が入手した。
 SCERはハワード保守連合政権時代の2007年に設立され、ウラン採掘企業や、連邦・SA州・NT・西オーストラリア(WA)州の各政府代表、先住民土地団体のノーザン・ランド・カウンシルで構成されており、10月にウラン採掘許可に踏み切ったクイーンズランド州政府や、ウラン探鉱を認めたニューサウスウェールズ州政府もSCERへの参加が期待されている。
 UCの報告書が流出したことについて、ファーガソン資源相は、「審議会の報告書が公開されるのは普通ではない。自分はSCERの議長だが、審議会の議決を経ずに報告書を公開することはない」と述べた。
 ■業界の反発?
 連邦政府のバーク環境相は18日、ウラン生産会社トロ・エナジーがWA州ウィルナに所有するウラン鉱の環境評価について、結論を出すにはさらに情報が必要だとして、最長で2013年3月末まで延期すると発表した。
 トロ・エナジーのホール社長は、「18日に連邦政府の環境評価の結果が出るものと期待していた。(決定には)とても驚き、落胆している。環境省からは何度もこれ以上の情報は必要ないとの助言を受けてきた」と述べた。
 WA州政府は先に3年に及ぶ環境評価を終え、10月に同社のウラン採掘を許可したが、ウランを輸出するにはさらに連邦政府の環境評価の決定を必要としている。
http://news.nna.jp/free/news/20121220aud004A.html

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

(3)文化発信 まず足元から

2012-12-21 | アイヌ民族関連
(2012年12月21日 読売新聞)
 10月下旬、札幌大学(札幌市豊平区)の一室が、熱気に包まれていた。
 アイヌ伝統の衣装をまとい、のどを震わす独特の唱法で声を合わせながら、床を蹴り、跳び、舞う。「最高!」と口々に叫ぶ18人の学生は、「ウレシパクラブ」のメンバーだ。
 ウレシパはアイヌ語で「育て合い」のこと。ウレシパクラブは、「アイヌ」と「和人」の学生が力を合わせ、アイヌ文化の継承のため活動、発信する課外サークルだ。学生20人が所属し、アイヌ語や文化、舞踊、工芸を学んで成果を披露するほか、各地のアイヌの人々とも交流している。昨年はドイツで発表し、喝采を受けた。
 同クラブは、アイヌとの交流を通じてグローバル人材を育成する「ウレシパプロジェクト」の一環として始まった。「身につけたいのは、多文化を理解し、共生する力。その力を体得するために、アイヌの若者の力が必要だと考えた」と、発案者の本田優子教授(55)は説明する。
 きっかけは7年前、豪州留学から戻ったばかりの女子学生が本田教授に漏らした一言だった。「現地でアイヌのことを聞かれたが、何も知らなくて白い目で見られた……」
 本田教授自身も、北海道で育ちながらアイヌを知らないと思っていた。アイヌの若者にはアイヌ文化などを学ぶ機会を、他の学生には多文化共生を学ぶ機会を提供する一石二鳥の取り組みとして、プロジェクトを思いついた。
 アイヌの若者は奨学生として受け入れ、アイヌ文化や言葉、歴史からなる特別コースの履修と、同クラブへの所属を義務づけ、他の学生が共に学び、交流できるようにした。2010年、第1期生として6人のアイヌ学生を迎え、プロジェクトが始動した。
 成果は見え始めている。足元の歴史を見ていなかったことに気づいて猛勉強を始めた大学院修士課程2年、長谷仁美さん(24)は、「将来は世界中の民族や文化の衝突をなくすため役に立ちたい」と抱負を語る。アイヌの学生たちも、「文化を学び、誇りを持てた」と言う。
 活動に共鳴し、アイヌの学生の就職支援などを申し出た企業は43社にまで増えた。
 佐藤俊夫理事長(63)は「グローバル時代に必要なのは、足元の文化を理解し、発信する力。それを育むのが大学の使命だ」と話している。(松本美奈、写真も)
 メモ ウレシパプロジェクトは、アイヌの若者が対象の「奨学生制度」のほか、理念に賛同し、優秀な奨学生を優先雇用する「カンパニー制度」、多文化共生の推進を活動の柱としている。ウレシパクラブはプロジェクトの中核組織で、学生を支援する教職員、研究者、法人、市民を含めると、会員数は200人近くに上る。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20121214-OYT8T00219.htm

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする