ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

オーストラリア・アジア テクタイト2

2023-09-18 14:06:15 | 日記・エッセイ・コラム

私はこれまで、オーストラリア・アジア テクタイトの色は黒だと思い込んでいました。

ところが、そんな思い込みを覆す現象に遭遇しました。

先日、久しぶりに常連のDさんが来店し、店にある大量のオーストラリア・アジア テクタイトの箱の中から、一つの小さな欠片を取り出して、店に置いてあるLEDライトで照らして見ました。すると、それは透けて赤色に見えました。我々は、その現象に驚き、他のテクタイトにも同じようにやってみました。

その結果、大きなものや厚みのあるものや球状のものは透けることなく黒のままでしたが、薄く平べったいものや小さな欠片の中には透けて見えるものが、それなりの確率で存在しておりました。それも赤色だけではなく、緑色や黄色のものもありました。全体的には、透けるものの中では、大雑把に言うと、赤色率が高く、緑色と黄色率は低いようでした。それと、青色のものも探しましたが、短時間の探索ではみつかりませんでした。

考えてみると、テクタイトの色は衝突した隕石(小天体)の色ではなく、地球の地表の岩石が衝突の巨大エネルギーに因って瞬間的に熔かされ大気中で固まったガラス質の物質なので、落下地点の様々な岩石が熔解して混じり合う訳ですから、その偏在した混じり方で、成分の揺らぎも生じただろうし、その透過性も変化したのだろうと想像できます。それらの違いが、形や色の違いになったのだろうと思われます。

オーストラリア・アジア テクタイトの面白さは、その広範囲の散らばり方だけではなく、形のバリエーションと黒だけではない透過光によるカラフルな色のバリエーションにもあったようです。

それはクレーターの謎だけではなく、テクタイトそのもののバリエーションの謎もあり、安価ながらも貴重な石だったという事を物語っていました。

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