今日の話題は「鉱物結晶をイメージさせるガラス」です。
鉱物結晶は個体ですが、ガラスは液体です。もっと正確に言えば、ガラスはアモルファスな非晶質です。鉱物結晶とガラスは全くの別物です。
世の中には全く別物でありながら、どことなく似ているものが数多くあります。
ひとの造ったガラス作品の中には天然の鉱物をイメージさせるガラスがあります。
この写真は横山翔平さんというまだ若いガラス作家の作品です。「Prism」という名の器です。その名にふさわしく、この器の表面は光輝いています。まるで鉱物の雲母の結晶をちりばめているような感じがします。この器は昨年の「Cook It Raw in ISHIKAWA」という食のイベントで使われたもののようです。このようなガラス作品からはガラス表現の無限の可能性を感じてしまいます。金沢は伝統工芸が盛んな所ですが、工芸の世界にはまだまだ新しい表現の可能性が満ち溢れています。若い作家さん達の今後の活躍に期待したいと思います。
これは市販品のガラスのゴブレットです。無数のキューブ状の結晶が規則正しく並んでいるように見えます。黄鉄鉱の結晶か蛍石の結晶のような印象を受けます。連続する立体幾何学図形で構成されるガラスの形状には、器という実用の美を超えて彫刻的な美しさをも感じます。
さらに内側の光景には万華鏡的な世界が現れます。結晶世界に迷い込んでしまったかのような錯覚すら覚えてしまいます。まさしく「鉱物結晶をイメージさせるガラス」だと思います。
これは山入り(ファントム)水晶を思わせるガラスのオブジェです。天然の水晶と違って、丸い感じがするところが、ひとの造ったものらしいところです。恐らく、天然のファントム水晶と同じように、下から順番に大きくしていったと思われます。天然水晶の場合は自然の結晶成長ですが、このガラスオブジェは作者の意図がはっきり形に現れております。
あと、「鉱物結晶をイメージさせるガラス」という話題にふさわしい人間が造った水晶のようなガラスオブジェがあったのですが、仕舞い込んで見つかりません。今日はこの辺で終わります。