昨日は母岩付き鉱物標本をテーマにしようと思って書き始めたところ、話がそれてしまいました。Tさんだけではなく母岩付きを好むコレクターは多いです。私も初期の頃は美しい形の単結晶が好きでしたが、そのうち群晶や他の鉱物と共生している鉱物、さらには変わった結晶をしている鉱物や変わった形でくっついた鉱物等へと好みが広がっていきました。そして究極は母岩付きの標本です。
母岩付きの標本は何故好まれるのでしょうか?
それは母岩付き標本は学術的に貴重だからです。もともと標本とは学術的なものです。母岩付き標本はその鉱物の産状や成因などの情報を持っているからです。
鉱物コレクションは欧米の王侯・貴族の趣味から始まりました。そしてそれは博物館や大学等の研究機関に広がり、近年では普通の市民の趣味へと広がっております。
本来、研究用の標本が一般人の趣味のコレクションの対象となってきた訳です。
趣味のコレクションになると研究用とは内容が少し変化します。その変化とは「美」という付加価値と「希少性」という付加価値が付いてくるのです。美しい標本、珍しい標本はその価値が上がります。
母岩付きのまま存在する確率は低いと言えます。さらに採集するのが難しく、標本サイズに整形するのも難しいのです。
そういう意味で母岩付きの標本は価値が高いのです。
?パキスタン ギルギット産のアクアマリン
この写真は母岩付きのアクアマリンの美結晶です。この標本は他にも面白い要素が複数あり、後日また登場する機会があると思います。
?青森県尾太鉱山産の水晶・黄鉄鉱・黄銅鉱のフラワー状の共生群晶(母岩は閃亜鉛鉱)
まるで鉱物の花畑を彷彿とする美しい標本です。閃亜鉛鉱の母岩に3種類の鉱物たちが共生しています。この標本はお店の正面のショーケースに置いてあります。
美しく貴重な母岩付き鉱物標本、是非見に来て下さい。