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鉱物の部屋へのいざない

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謎の痕跡

2019-03-01 10:31:30 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「謎の痕跡」です。まずは、今日の写真です。







これは中国産のテクタイトです。「謎の痕跡」とはこのテクタイトに付いていた傷跡の事です。テクタイトとは隕石衝突によって作られる天然ガラスの事で、高速で衝突した巨大な隕石のエネルギーで蒸発気化した地表の石や砂などが、上空で急冷して固まったものだと考えられています。その形状は球状や滴状のものが多いのですが、このテクタイトは珍しい板状のものです。そして、その表面には無数の丸いくぼみがあるのですが、その一角に雪に結晶を想わせるような六条(八条?)の傷跡があります。

これは何でしょうか?

毎日、鉱物を見ていると、無意識的に、その無秩序の中にある鉱物特有の秩序に反応してしまうのですが、今回のこの謎の痕跡の正体は何なのでしょうか?もしかすると、それは単なる偶然のものなのかもしれません。

実は、この謎の痕跡を見つけたのは私ではなく、常連客のDさんでした。私はDさんの指摘で、その痕跡を面白いと思ってしまいました。

そもそも、これはテクタイトです。鉱物の結晶ではありません。そのようなガラスの中にある秩序だった模様とは何なのでしょうか!!

そういえば、テクタイトの中には他にも興味深い形状を成すものがあります。





上の写真も中国産のテクタイトなのですが、全体が球状になっていて、その片方に半球状の窪んだ穴の痕跡があります。これは何を物語っているのでしょうか?偶然にしては不思議なもので、そこには何らかの必然があったような気がします。

テクタイトはモルダバイトやリビアングラスと比べると比較的安価に流通しております。それは大量にあるからで、中国から東南アジア一帯に点在し、それほど珍しいものではないからなのですが、それらの中には、形状的に面白いものがあるのも事実です。それは単なる黒い天然ガラスではないのです。

それから、もうひとつ面白い事に、それらの成因となる隕石クレーターがまだ特定されていないそうです。そういう意味でも、大小「謎の痕跡」の自乗的面白さがあり、一つで二度美味しい石だと思います。


コメント
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