西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

学習「平衡老化」(佐々木英忠著)-2

2011-11-25 | 食物栄養・健康・医療・農業・教育

三、認知症
「脳機能が極端に劣えた状態は認知症と診断される。単なる物忘れなら、食べる、トイレ、風呂、寝ると、家族または介護者の指示に従って行動し生活は何とかできる。
しかし、認知症の患者は時間、場所、人を正確に記憶できない、さまざまなトラブルを引き起こす。以前あったはずのお金がないので身近な家族や介護者にお金を盗まれたと主張する。自分にふさわしくない態度をとったと怒るなどの精神行動異常症状(behavioral and psychological symptoms of dementia BPSD)である。

 BPSDは非現実的な架空の主張をするので、ちょうど統合失調症の妄想と似ていることから抗精神病薬を含む向精神薬で治療するのが一般的である。
 しかし、BPSDは新皮質の物覚えの機能が低下したために記憶違いを主張し、これを否定されると家族や介護者に暴言やはては暴行を加えるなどの怒りを発しているのである。怒ることができることは、感情を司る大脳辺縁系は比較的保たれていることを示唆している。

 実際、BPSDの患者にラベンダーなどのよい香りを使ったアロマ療法、足浴やマッサージなどの心地よい体性感覚の刺激、等々を組み合わせて五感を刺激し、大脳辺縁系の情感によい刺激を与えることにより、本人にとっても嫌なBPSDは消退する方向に動く。

 認知症は物忘れという新皮質の機能低下を生じても、大脳辺縁系の機能は残っていて十分刺激に反応できると言える。

 介護者は給料が安いからやめるのではなく、患者が向精神薬を使用されて、大脳辺縁系まで神経遮断され、いくら介護者がケアをしても無反応であるから、やりがいがないからやめると考えられる。患者の大脳辺縁系(の機能)が残っていれば、心地よい刺激に対して、時には「ありがとう」とお礼を言われたりすることでやりがいを感じるのである。」

新皮質系の記憶機能が劣化するのが「認知症」としても、旧皮質、大脳辺縁系の機能は、一般にしぶとく残っているとすると、「薬」で無理にそこの機能まで犯すべきではなく、そこに心地よい五感刺激を与えることで、いい気分で「にこにこ」する状態が保たれれば良いのでは・・・、ということなのかな。(続く) 

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