いよいよ、この論考の中心コンセプトである「平衡老化」の話である。
四、平衡老化
・・・「認知症のように極端に新皮質が劣えても、心地よい大脳辺縁系への刺激が入れば、にっこりほほえんで暮らすことができる。実際、いくら寝たきりになっても満足した表情をうかべる要介護高齢者は多くみかけられる。・・・手段である新皮質と身体機能に見合った大脳辺縁系の目的があれば、満足が得られると言えよう。
若い人は新皮質と臓器障害もなく、かがやかしい(新皮質的な)目的をかかげてつき進むことができる。加齢と共に新皮質機能も劣え、臓器障害が出てきたときに、これらの手段に見合った大脳辺縁系の目的という平衡老化(Balanced aging)が目標であれば、いくら手段が劣えても満足が得られよう。
平衡老化は身体障害があろうがなかろうが無関係で、成功老化を達成した人でも、失敗老化と考えられる達成しなかった人でも、すべての人が満足が得られる概念である。
高齢者は若い人のように心身共に健康であることが(で、ではないか)生活の質(QOL Quality of Life)が高いのではなく、例え寝たきりでも、大脳辺縁系のささやかな満足が得られれば、にっこりほほえんで暮らせることから、平衡老化を保つことでQOLが高いと言えよう。認知症という極端な例をみると新皮質が劣っていることは大事なことではなく、むしろ、大脳辺縁系がQOLを決めている。
高齢者の医療費の増大が懸念されているが、若い人は病気をしないし、高齢者になって初めて病気になるのであるから、医療費が高齢者に多く消費されているのが現状である。しかし、高齢者では医療(病気?!)は難治性で、いったん治療してもすぐ再発する。臓器ごとに多臓器障害を治療しても、肝心の本人のQOLはどこかへいってしまい、病気は治ったが、長期入院で寝たきりになってしまった、あるいは専門科からたらい廻しされるなど、高齢者医療は患者と医療者双方にとってはがゆいものになっている。
せめて、多臓器障害はすべての臓器間で因果関係があり、一元病因的に説明できると考え、多彩な症状のどこにピットホール(私注:つぼ)があるかをつきとめ、必要最小限の薬で治療することが望まれよう。(私注:多臓器障害には、一つの「つぼ」原因があり、それを治療すれば全体の治療になるという構想)それには老年科のような独立した診療科が必要と考えられる。
平衡老化から考えて、大脳辺縁系を薬を中心とした医療で喜ばせる、楽しませることは不可能である。高齢者では加齢と共に機能低下がおきて障害が出てくるのは避けられない摂理であるから、更に、医療も効果は少ないのであるから、平衡老化を達成するためには、医療以外の非薬物療法が有用になってくる。」(続く)
四、平衡老化
・・・「認知症のように極端に新皮質が劣えても、心地よい大脳辺縁系への刺激が入れば、にっこりほほえんで暮らすことができる。実際、いくら寝たきりになっても満足した表情をうかべる要介護高齢者は多くみかけられる。・・・手段である新皮質と身体機能に見合った大脳辺縁系の目的があれば、満足が得られると言えよう。
若い人は新皮質と臓器障害もなく、かがやかしい(新皮質的な)目的をかかげてつき進むことができる。加齢と共に新皮質機能も劣え、臓器障害が出てきたときに、これらの手段に見合った大脳辺縁系の目的という平衡老化(Balanced aging)が目標であれば、いくら手段が劣えても満足が得られよう。
平衡老化は身体障害があろうがなかろうが無関係で、成功老化を達成した人でも、失敗老化と考えられる達成しなかった人でも、すべての人が満足が得られる概念である。
高齢者は若い人のように心身共に健康であることが(で、ではないか)生活の質(QOL Quality of Life)が高いのではなく、例え寝たきりでも、大脳辺縁系のささやかな満足が得られれば、にっこりほほえんで暮らせることから、平衡老化を保つことでQOLが高いと言えよう。認知症という極端な例をみると新皮質が劣っていることは大事なことではなく、むしろ、大脳辺縁系がQOLを決めている。
高齢者の医療費の増大が懸念されているが、若い人は病気をしないし、高齢者になって初めて病気になるのであるから、医療費が高齢者に多く消費されているのが現状である。しかし、高齢者では医療(病気?!)は難治性で、いったん治療してもすぐ再発する。臓器ごとに多臓器障害を治療しても、肝心の本人のQOLはどこかへいってしまい、病気は治ったが、長期入院で寝たきりになってしまった、あるいは専門科からたらい廻しされるなど、高齢者医療は患者と医療者双方にとってはがゆいものになっている。
せめて、多臓器障害はすべての臓器間で因果関係があり、一元病因的に説明できると考え、多彩な症状のどこにピットホール(私注:つぼ)があるかをつきとめ、必要最小限の薬で治療することが望まれよう。(私注:多臓器障害には、一つの「つぼ」原因があり、それを治療すれば全体の治療になるという構想)それには老年科のような独立した診療科が必要と考えられる。
平衡老化から考えて、大脳辺縁系を薬を中心とした医療で喜ばせる、楽しませることは不可能である。高齢者では加齢と共に機能低下がおきて障害が出てくるのは避けられない摂理であるから、更に、医療も効果は少ないのであるから、平衡老化を達成するためには、医療以外の非薬物療法が有用になってくる。」(続く)
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