西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

分子生物学者のウイルス認識

2009-05-22 | 食物栄養・健康・医療・農業・教育
最近、分子生物学者・福岡伸一さんの『動的平衡』Dynamic Equilibriumという本を読みつつある。

色々示唆に富んだ本で、何かと刺激になるが、現在も問題のウイルス認識についても示唆に富んでいると思う。以下引用

「ここ数年、ニュースで世間を騒がせる病気に鳥インフルエンザというのがある。鳥が罹る風邪なのに、ヒトにもうつってくる可能性があるのだ。・・・、病原体は「種の壁」を超えないのが原則なのだが、超えてくる連中がいるのである。

インフルエンザ・ウイルスの生存戦略はなかなか大胆で巧妙だ。彼らは(細胞に入り込む鍵穴に合う)鍵をつくりかえることができる。いわば「鍵師」なのである。そして、彼らは常に鍵をあれこれかえてみる実験を繰り返している。鍵をかえることによって、新たな宿主に取り付けるようになるのである。

鍵だけでなく、自分たちが身にまとっているコートを少しずつかえている。コートというのは、、ウイルスの本体であるDNA(核酸)を包んでいる殻(タンパク質)のこと。そして、コートを着がえるのは、それによって変装し、ワクチンが効かなくなるようにしているのだ。

ワクチンは、、ウイルスの殻に結合して、これを無毒化する抗体なので、抗体が殻と結合できなくなると、その効力を発揮することができない。同じインフルエンザでも、一昨年と昨年、昨年と今年で、流行するタイプが異なると(コートを着がえられてしまうと)、もう同じワクチンは効かなくなってしまうのである。

インフルエンザ・ウイルスは増殖するスピードがとても速いので、増殖するたびに少しずつ、鍵やコートの形をかえることができる。

それがうまく働くには、近くにそれを試すための新しい宿主がより多く存在することが好都合だ。大量のニワトリを一カ所で閉鎖的に飼うような近代畜産のありかたは、インフルエンザ・ウイルスに、進化のための恰好な実験場を提供しているようなものである。

まったく同じことは、好んで大都市にすむ私たちヒトについても言える。都会はウイルスにとって天国のようなところなのだ。こうして彼らは少しずつ姿かたちをかえて、宿主と「共存共栄」している。(194-195頁)

今回は、豚から始まって「都会」にきている。日本でも「田舎」はまだ免れている。大地震等の大災害、毎年のようなウイルス(インフルエンザ)攻撃を避けるためには、もうすこし散在居住を考え、実行していかないと、強力な「波」が来た場合、大変なことになりかねない。

過去ブログ:ウイルス関係:http://blog.goo.ne.jp/in0626/e/be829c3fcb41130f11b98423878cae69

ここには宇宙人Copernicusさんの詳しいコメントもあり、参考になりますよ。

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