水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」
カルテ番号 う・11(4)
20代の10年間のほとんどを、天井を見つめて過ごした。
瞳には天井が映るが、観ているのは心だ。
心は過去の痛みを映し出す。肉体の痛みではなく、自分に向けた言葉の痛みだ。
家庭でも、少し係わったアルバイトでも、治療院でも、相手の言葉に敏感になる。
言った相手の気持ちは軽いのだろう。
だが、重く痛く受け取る癖がついてしまった。
話しているうちに、更に次々と思い出される。
そして、腰痛が発症する以前に遡った。
ずっと閉じ込めていた事。それは誰かに言いたかった事でもある。
それが実に自然と浮き上がってきたのだ。
上原真理は、今日ここに来た本当の目的と意味を知った。
心理的な痛みが腰痛になる事がある。しかも意外に多い。
風間陽水の氣は、閉じ込めていたモノ、閉じこもっていたモノに届く。
堅牢の扉が勝手に開く。そこに光が届く。
閉じこもっていたモノ、閉じ込められていたモノが自然に出てくる。
それは陽水が意識したわけではない。勝手になることだ。
だから陽水は気の無い相づちをするだけだ。
それで上原真理の腰痛は消えた。
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カルテ番号 う・11(3)
風間陽水は重病な人を相手にする。そういう人は、群馬県の最北に来院するのは往復の体力気力が削がれてしまう。だから出張治療が多い。
陽水の身体一つあれば、どんな僻地でも地の果てでも治療はできる。
上原真理からの問い合わせのメールでも、動くのが困難なら出張しますと伝えた。
困難でも行ってみたいという意向の人は、それなりの理由があるものだ。
上原真理は同じ関東とはいえ簡単に行けないので、一日治療を希望した。
休み休みで母親の運転する車が治療院に着いたのは、自宅を出て5時間かかった。
その夜は近くの温泉に宿をとって、次ぐ日はゆっくり帰るという。
「先生、私にとってここまで来るのは一大イベントなんです。着いただけで目的の半分は達成できたわ」
上原真理は笑顔でそういった。
治療時間は休憩を入れて5時間半。その間母親は近郊をドライブしているという。
一人でドライブするのが好きだから、母親にとってもここまで来るのは気晴らしになるらしい。
陽水の治療は患者がどんな格好をしてもかまわないし、勝手に動いてもかまわない。
一番楽な姿勢でいいし、話しながらでもいいので上原真理にとっては居心地がよかった。
そして、遠くまで来た解放感と陽水への安心感からか、今まで誰にも話さなかった思いが自然と口に出た。
社会的には特に問題の無い子供時代と家族環境だったが、人の心の中は様々なモノが複雑に絡み合う。心はその人独自の感じ方、受け止め方、抑え方で出来ていて、解放すると消えてしまう仕組みだ。
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カルテ番号 う・11(2)
加齢による摩耗や長期に無理な姿勢をしている場合、あるいは物理的な衝撃などの思い当たる事を除けば、腰痛の原因の多くは謎とされている。
上原真理も思い当たることが無かった。
姿勢が特に悪いわけでもなく、虚弱体質でもなく、食材の好き嫌いも特になかった。
両親も姉も親戚も特に腰痛で悩むことはなかったし、骨の異常もヘルニアの疑いもなかった。健康的な一族といってもいいだろう。
だからこそかもしれない。最初の頃は誰もが心配してくれたが、この状態が長引くにつれ、家から出ないのは真理本人のだらしなさのような態度や言い方が増えていった。
何とか家から独立したい。
真理はネットであちこちを調べていった。だが、どれも書いてある通りには受け取れない。
それは数多くの治療院に行った感覚で判断していた。
ある日、氣功の治療院のホームページを見ていた。今までも気功治療というのは受けたことがあった。何となく腰痛が楽になる気もしたが、特別な変化はなかった。
とはいえ、通常の整体や接骨院や整形外科でする施術は真理には強すぎるのか、かえって痛みが増したり、重くなったりするので、できるだけ優しい治療を探していた。
施術法としては気功のように負担がかからないのがいいのだが、回復しないのでは時間の無駄になる。
そのホームページを見ていると、何だか身体が楽になるように感じた。
もしかしたら・・・
その時は、発症してから10年が経っていた。
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カルテ番号 う・11(1)
上原真理は重度の腰痛だった。
発症したのは20歳になって間もない頃。短大在学中だった。
それ以前から重かったり、時々の痛みもあったが日常は不便なく暮らしていた。
ある日、朝起きようとしたら強い痛みがありしばらく動けなかった。
これがぎっくり腰というものか、と思いその日はおとなしく寝ていた。
いろいろ調べると、2、3日から1週間くらいまでらしい。
次の日、ゆっくり気をつけてなら、歩けるのでタクシーで病院に行った。
レントゲンでは異常なし、炎症もないようなので安静して経過観察し、痛みが強い時の薬をもらい帰ってきた。
通常は徐々に収まるらしい。
ところが、2週間たっても3週間たっても多少の軽減はあるが、痛みは消えない。
その日から行ける範囲で、幾つもの病院、接骨院、その他の治療院に通った。
回復する期待が持てそうな医院にはしばらく通ったが、大きく改善する事はなかった。
欠席が多くなったが、何とか学校は卒業した。だが、とても就職できる状態ではなかった。
日によって、楽な時と動けない時があるが、楽な時でも痛みが無くなる事はなかった。
そして、ベッドで過ごす時間が多くなった。
自分を叱咤激励し、思い切って腰に負担のない時間の短いアルバイトもしてみた。
時間が短ければ仕事はできた。そして仕事中は痛みも少ないようだった。
そういうアルバイトも1か月は持たなかった。痛みの強い日はベッドから動けない。
朝にならないと状態がわからないのだ。そして欠勤の連絡をする。
雇い先もそういう状態のアルバイトを使い続けるわけにはいかないので、辞める以外になかった。
調子のいい時期もあるので、次のアルバイトに向かう。とはいえ、2か月はもたなかった。
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カルテ番号 い・5(9)
生死が同じ重さと思えるからこそ、この世で肉体を得て生きている大切さがより一層解る。
僅か100年を生きるのが貴重な体験なのだ。
その100年さえも無理な負担で削って少なくしているのが現状だ。
長く生きるのが目的ではない。だが、限りある生命を精一杯長く保つのは基本なのだ。
健康というのは、とても大きな意味を持っている。
陽水の仕事が生命に係わる治療者になったので特に考えるが、そうでない愛田恵子なども多くの身近な人の生死を目のあたりにしてきた。
通常より長く生きると自然と生きる意味を考えてしまう。
多分、隠れて生きている同体質の人も生きている貴重な意味を感じているのだろう。
ただし、それを表に表すわけにはいかない。誤解されるのも仕方ないのだ。
飯綱氏は自分では残してしまう澱みを陽水に消してもらった。
そこに医療世界の一つの部屋をみるようだった。
医療関係者はプロ故に駆け込む場所が少ない。見つからない場合も多い。
陽水の治療の生き方がどうであろうとも、医療関係者用の数少ない治療場なのだ。
理解は出来ない部分があるが、それでも縁ができた事を幸運だと思った。
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カルテ番号 い・5(8)
飯綱氏は陽水の身体がどう特別になったのかは解らない。それでも黙って話の続きを聞いた。
「病気を治す事にはそれほどの意味はない。ただ病気をキッカケにして生き方が変わるなら、それは大きな意味となる。僅か100年の生命でも生きることには意味があるからだ。
そして幾つもの変化や転換を体験することが、この世に生きてきた意味にもなる。人は健康時には、あまり他人の話を聞いてくれないが、病気になると真剣に生き方を考えてくれる。そのお手伝いが気功師の仕事だ。というような話でした」
飯綱氏はそんなふうに思ったことはなかったが、言われればその話は充分に納得できた。
それでも苦しんでいる人を回復することができるなら、それだけでも大きな意味だし、治療自体に意味が無いとは思えなかった。
陽水はこの治療をするようになり、46歳から発動した身体になってからは更に誤解されてもかまわないし、理解されるとは思っていない。だが飯綱氏の様子から、もう少し言葉を継ぎたした。
「これでもホームページを作って載せていますし、職業版電話番号も登録してあります。
たまには見つけて問い合わせて来る人もいますよ」
「でも先生の治療が必要で見つけられない人もいるわけでしょう?」
「それは縁が無かった、ということで・・・」
陽水は飯綱氏のようなマジメな治療者をみて、人の意識は生きている範囲で変わるのだとつくづく思う。人は自分の生命の範囲100年くらいまでの考えや想像などの意識でいる。
ところが800年から1000年の寿命を得た場合、感じ方、想像がかなり違う。おそらく生命に対する思いやりが軽いと思われるのだろう。それは仕方のないことだった。
人を生の部分でとらえるが、陽水のような種族は人の生死が同じ重さになってしまうのだ。
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カルテ番号 い・5(7)
飯綱氏は陽水のメンドウという意味はわかったが、治療者としての生き方が理解できない。
縁があり、求められたなら治療するのが治療者だと思うのだが、陽水は違うらしい。
患者に対し冷淡とも思えないが、あっさりはしている。
そんな飯綱氏の腑に落ちない顔を見て言った。
「人間、治しても100年もすれば死んでしまうし」
「それはそうですが、そんな事を言ったら何をしても意味がなくなります」
陽水はいきなり話題を変えた。
「私は20年前にお師匠様がいました。私を気功師に変えた人です」
飯綱氏はそれも聞きたかった。陽水が何故、治療の道に入ったのか?
「いろいろな教えがあったのですが、意味が理解できるのは治療師になって10年過ぎてからです」
飯綱氏もそうだった。10年過ぎて、やっと道が見え始める。そこでプロの自覚が起こる。
「お師匠様は私と出会って1年半で亡くなってしまうのですが、言葉はいつまでも残っています。その一つが先ほどの言葉です」
思い出すのか、陽水は微笑んで話を続けた。
「お師匠様は肩の力の抜けた人で、暖かい氣で信じられないほど広く包むのですよ。今、私がこういう身体になって判るのですが、その規模は超特別でした」
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カルテ番号 い・5(6)
陽水は更に言葉を重ねた。
「それらの治療法や治療者には患者さんがいて、回復する人がいます。同じような病が、全く違う方法で回復することも多々あります。どうしてでしょう?」
飯綱氏も知っていた。自分の治療者としての判断では悪化しても回復しないだろうと思われる治療法がある。
同業者で争いごとはしないが、それとなく避けた方がいいと忠告する。
ところが、その治療法で回復している場合がある。
「何故、この世には様々な治療法や治療者がいるのでしょう?」
事実として、様々な治療院で満足している患者さんがいる。
陽水は静かな声で話を続けた。
「それは、その治療法やその治療者を必要としている人達がいるからでしょう。私はそう思っています。危険でない限り、それが異端といわれる治療法でも」
飯綱氏は、ここでやっと陽水の質問の意図が解ったような気がした。
「相性ですか?」
「その時の状態の相性で、不変な相性ではありませんが必要なのでしょうね。そして、その治療法や治療者と出会うのは縁というやつでしょう」
飯綱氏も見えない世界で人と人や出来事がつながっていると思っている。
「でも先生、縁が起こるにはキッカケが必要です。それが世にアピールするということではありませんか?」
「宣伝もその一つになるでしょうが、今の社会では縁の無い人まで影響してしまうでしょ。
例えばテレビのコマーシャルのように必要無いのに買う気を起こさせる。売る事だけが目的ならそれでいいですが、私のような場合、必要で無い人と関わるのはメンドウなのです」
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カルテ番号 い・5(5)
飯綱氏もプロとして人を診る仕事だ。
診ていると、観てしまうことが多々ある。
風間陽水の治療者としての生き方は治療道タイプだと思ったのだ。
間違っても商売の為の治療院経営はしていない。そして腕もある。
患者の為に仕事をしているとしか思えないのに、世に出ていかない。
多くの患者に知ってもらうには、社会にアピールする必要があるのだ。
それにより救われる病がある。飯綱氏もそうしてきた。
それなのに答えは、メンドウだからでは納得できない。
「どうしてですか?先生の方法でしか回復できない病があると思います。宣伝はそうした人の為に必要だと思いますが」
陽水は少し困った顔をした。
「世の中には多種多様な治療法があり治療者がいます。私はその一人にしかすぎません」
そして続けた。「何故、多種多様な方法と治療師がいるのでしょう?」
飯綱氏は即答した。
「いろいろな人や方法があるのは、いろいろな考えがあるからでしょう」
「そうですね。でも、素晴らしい方法があるなら、そんなに幾つも分かれないでしょ」
「それは・・・まだ統一できる医学や治療法が無いからだと思います」
「そうでしょうね。まだ生命の仕組みも病の仕組みも回復の仕組みも途中ですからね。
では、同じ質問をします。何故多くの治療法と治療者がいるのでしょう?」
飯綱氏は質問の意図が解らなくなってきた。
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カルテ番号 い・5(4)
生命や病や治療法を常に正面から受け止めている治療者は謙虚になる。
とてつもなく大きな相手と相対しているのだ。謙虚は当然だ。
逆な言い方なら、傲慢な医療者は生命や病を観ていない。
治療者、医者、医療関係者の見分け方など簡単なのだ。
評判や地位など、宣伝や金や権力で何とでもなるものだ。
飯綱氏は謙虚な医療者だった。
そして、理論や設備でなく、自分の身で体験して判断する。
今までも多くの治療者やセミナーで体験してきた。
だから、陽水の治療が別次元だと判断できた。
同時に、それは学問や技ではなく、教わることが出来ない種類だと理解した。
それでも研究熱心な治療者だ。いろいろ質問はする。
陽水の治療は会話しながらでも可能だ。
態勢が疲れたら好きなように動いてもかまわない、とも言われた。
飯綱氏は、プロだからこその疑問が幾つも湧いてくる。
「先生のこの治療は多くの人が必要としていると思いますが、どうして広げないのですか?」
陽水は笑って言う。
「メンドウだから・・・」
この答えに、飯綱氏は治療者として面食らった。
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