水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・21」

2013-11-07 19:05:48 | Weblog



カルテ番号 う・11(1)

上原真理は重度の腰痛だった。
発症したのは20歳になって間もない頃。短大在学中だった。
それ以前から重かったり、時々の痛みもあったが日常は不便なく暮らしていた。
ある日、朝起きようとしたら強い痛みがありしばらく動けなかった。
これがぎっくり腰というものか、と思いその日はおとなしく寝ていた。
いろいろ調べると、2、3日から1週間くらいまでらしい。
次の日、ゆっくり気をつけてなら、歩けるのでタクシーで病院に行った。
レントゲンでは異常なし、炎症もないようなので安静して経過観察し、痛みが強い時の薬をもらい帰ってきた。

通常は徐々に収まるらしい。
ところが、2週間たっても3週間たっても多少の軽減はあるが、痛みは消えない。
その日から行ける範囲で、幾つもの病院、接骨院、その他の治療院に通った。
回復する期待が持てそうな医院にはしばらく通ったが、大きく改善する事はなかった。
欠席が多くなったが、何とか学校は卒業した。だが、とても就職できる状態ではなかった。
日によって、楽な時と動けない時があるが、楽な時でも痛みが無くなる事はなかった。
そして、ベッドで過ごす時間が多くなった。

自分を叱咤激励し、思い切って腰に負担のない時間の短いアルバイトもしてみた。
時間が短ければ仕事はできた。そして仕事中は痛みも少ないようだった。
そういうアルバイトも1か月は持たなかった。痛みの強い日はベッドから動けない。
朝にならないと状態がわからないのだ。そして欠勤の連絡をする。
雇い先もそういう状態のアルバイトを使い続けるわけにはいかないので、辞める以外になかった。
調子のいい時期もあるので、次のアルバイトに向かう。とはいえ、2か月はもたなかった。


(登場する人物・組織・その他はフィックションです)



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