あなたの本の世界を変えましょう!

板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

+1cm

2016-08-12 06:42:39 | 

 1cm(センチメートル)は僅かの長さに感じますが、競争の世界ではその僅差が順位を決する大差となります。逆に言えば、この僅差にフォーカスすれば、この本の副題である、

「たった1cmの差があなたの世界をがらりと変える」

に変わります。つまりは僅差を大切にする心を持つこと、僅差を大差にするOS(オペレーションシステム)をインストールすることを強調している本書は、胸を差す言葉と楽しい絵で構成されて、どこを読んでも、どこから読んでも飽きません。

 私が唸ったページが60ページの「ひとりぼっち」。孤独の居た堪れなさを切々と書いていますが、61ページの点線を谷折りすれば、62ページの「じゃない」に結びつき、60ページと62ページが融合して、「ひとりじゃない」に大変身。1ページを挟むだけで、「ひとりぼっちじゃない」気分にしてくれます。

 また、175ページの「明日の降福確率」。奇跡は幸福ではありません。今あることが幸福であると思う心こそが「僅差を大切にする」心ですね。

 最後にもう一つ。44ページの「Video Kills the Radio Star,Smartphone Kills Smart People」。スマートフォンの登場は世界を変えましたが、それで幸せになったのか?スマートフォン依存症は全世界に拡大しています。

「信じられないかもしれないけれど、わずか数年前わたしたちは〔    〕がなくたってとても幸せだったのです。」

 リアルの方が大切と言われなくても理解できるけれども、すぐそばにある存在に引かれて(魅かれて)しまう人間の弱さこそが僅差かもしれません。

『+1cm』(キムウンジュ/文 ヤンヒョンジョン/イラスト、文響社、本体価格1,430円)

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