人間は2元論にとらわれています。「便利」と「不便」なら「便利」を選び、「早い」と「遅い」なら「早い」が良いと思っています。しかし、本当にこれでいいのだろうか?今回は「強い」と「弱い」で2元論立脚がいいのかどうか考えています。
自然界では「弱肉強食」として、「強い」ものが「弱い」ものを食する食物連鎖のフレームから、強くなければならない、弱いと餌食になる可能性があるとしています。しかし、食べられる存在がなければ自然界は成立せず、食物連鎖のトップは脆い存在となります。つまり、
「強い生き物が生き残る」のではなく、「生き残ったものが強い」
としています。生物は「他の生物と少しずつ生息環境をずらしながら、自分の居場所を確保している」わけです。
この「強弱」の2元論から抜け出す手立てとして、
1.弱い者の視点に立つ 2.違いの大切さに注目する 3.すべては依存しながら生きている
ことを念頭に置くことを提案しています。小粒でもピリリと辛い存在になれば、好んでいただけるやもしれません。弱くても、その存在意義を示し、なくてはならないものにならなければなりません。
『弱くてもいいんだよ』(辻信一著、ちくまプリマー新書、本体価格840円)