去る4/19一般財団法人土地総合研究所の第170回定期講演会が霞が関ビル35階の東海大学校友会館・富士の間で開催され、日本不動産学会から参加希望者の募集があり、応募して入場券をもらい聴講しました。たまたま講演者が昔お世話になった中城先生だった事もあり参加したのですが、霞が関ビルは素晴らし場所だし、地下鉄虎ノ門駅から徒歩3分で途中に会計検査院がある事も初めて知りました。まず東海大学の校友会は素晴らしい所にあるのにはビックリしました。久しぶりの先生のお話は、本日は専門家が多数おみえなので中古住宅の価値・評価・契約・教育の4点に絞り問題の提起をしたいとの事でした。イギリスの住宅などでは、容積率の観念が無く、日本の建築確認にあたる書類を提出するとエリアマネジメントの観点から公聴会にかけられ反対が多いと許可に成らないのだそうです。そこで建物の外部はそのままにして内部のコンバージョンが進んでいるとのことで、テームス河畔の倉庫等も改造して1Fにわざわざ遊歩道を新設し、途切れていた遊歩道に繋いでみたり、最上階をレストランに改装した事例等の写真もプロジェクトで投影し解説して下さいました。評価では安普請だった昔の倉庫のクレイーンを残したまま改装したり、その発想は色々な工夫に富んだものでした。建物は改装工事をうまくやれば60%位の資産価値は保てるそうです。もし緑などをのこせば時間が経過すれば建物は古くなってもエリア全体の価値があがり素晴らしい街に成るとのことでした。欧米はなにしろ土地と建物が一体の評価なのでエリア全体の価値が上がれば、建物も同時に上がるのだそうです。日本のように古い建物の価格はゼロで土地だけの値段なんてあり得ないとのことでした。中古流通を考えるとき、日本のように何でも立て替えると言う考え方は見直すベき時期だとも思わされました。また契約ではドイツなどでは売買当事者が合意すると、仲介業者よりも売買物件に複雑な改修工事を施した建物の個別性を自在に反映する契約書の作成能力を持つ公証人の出番で、後からクレームの無い様に、裁判官型の契約書が作成されるし、アメリカ等では、買主・売主双方のエージェントが専門的に話し合い、後からのクレームが出ない工夫がされているとか、我が国も仲介業者の資質を上げなければならないとの耳の痛いご指摘もありました。最後は、瑕疵担保責任については、売主の告知義務が大切な点、特に無過失責任である点や欧米の様に買主の自己責任も重視する制度のあり方は市民の不動産力を高めるためる教育が必要で、千葉県では県の行政に明海大学が協力し大手不動産業者を巻き込んで、産官学連携の購入前の安心講習会が開催され年2回の割で8年も続いていることや放送大学で今年4月から「不動産学入門」が開講されたお話がありました。久しぶりに先生のお話を聞きましたが日本もヨーロッパの様に、これからはエリアバリューを考慮した建物の改修をして長く使えるような工夫がもっと必要ではないのか、と言う気がしてきました。中城先生、貴重なご指摘有り難うございました、この場をお借りしてお礼申し上げます。
(株)市川不動産